運命支配者

    作者:一縷野望

     最初の呼び名は「託(タクス)さん」だった。
     趣味が占いだと口にしたら、さっそく「占って」って言われて面食らい。てっきり暗いと敬遠されると思ってたから。
     恋愛相談をする彼女の眼差しは真剣。自信がないって言ってたから占いで出ているいい所を褒めて励ました。
     そしたら恋が上手くいったらしい。
     たちまち噂は広がり、彼女は「リヤンちゃん」と親しげに呼ばれるようになった。
     最初に占ってもらった子はどんどん迷い羊を連れてきて、信仰者はどんどんどんどん増える。
     彼女の占いは誕生日から性格や運命を導き出す、ちょっとデータめいている感じ。
     性格分析が好きなお年頃――あと、当たるとなると、言葉への信頼度はハンパない。だから迷い羊を思い通りに動かせる。
     恋も友情も、彼らの進路決定にすら介入し操る。
     人生を玩具にする。
     すればする程、彼らは彼女を持ち上げる。
     今や学年は彼女の支配下。こっそり教師もアテにする始末。テストの点数だってこちらの都合の儘に操れちゃう!
     それがまたタノシイ、とっても!
     ――今、彼女の呼び名は「リヤン様」である。
     

    「闇堕ちしてソロモンの悪魔になりかかってる人が予知に引っかかったよ」
     灯道・標(小学生エクスブレイン・dn0085)は手帳を開き続ける。
    「彼女の名前は、託・リヤン(タクス・リヤン)さん、高校1年生」
     共学の高校に通う彼女は、占い好きの少女。だが占いの影響力の意外な大きさに気づき、闇人格がそれに耽溺している。
    「みんなは彼女の学校に潜入して、彼女を説得して救って欲しいんだ」
     標は男女それぞれの制服を教卓に置いた。
     皆はこの学校の学生に偽装して、放課後に潜入して接触して欲しい。
     リヤンは自分の教室の根城に、占いに頼り来る迷い羊を待ち構えている。
    「人避けしていきなり全員で殴りかかると説得は失敗するよ、気を付けて」
     じゃあどうすれば?
     問いたげな視線に、標はぱたりと文庫本めいた手帳をとじる。
    「簡単だよ。リヤンさんに占ってもらえば、いい」
     占いは1対1。
     取り巻きも席を外すので、占いの最中であればじっくり彼女に語りかける事ができる。
     占いへ興味を示し純粋に楽しむ姿勢、これが鍵だと標は言い切る。
     りやんは、占いで人を操りたかったわけじゃない。
     占いをきっかけに自分の世界と他者の世界を広げたかった――そんな純粋な気持ちを思い出させてあげて欲しい。
     占いへの率直な感想や、お礼はとても有効だ。
     ただ『信じてない』と意固地に言い過ぎるのは禁物。そういう人間程、ねじ曲げてやりたい支配してやりたいと、彼女の魂が闇の力へ手を伸ばしてしまうから。
    「全員が占い終わったら、改めて全員で教室に入ればいいよ」
     あとは、交した言葉次第。
     もしリヤンの心が抗えていたならば、戦う事で救出叶うだろう。
     逆に心が闇に飲まれていたら、戦いは灼滅と同義である。
    「リヤンさんは魔法使いと魔導書のサイキックを使用してくるよ」
     魔導書は占いのデータを書き留めたノート、まこと彼女らしい。
    「ちなみにボクも自分の結果調べてみたんだけど……好奇心旺盛で楽観的、自由で……欠点は考え無しで衝動的、だって」
     面白いよね、と誕生数3のエクスブレインはぱっと晴れやかに笑った。


    参加者
    ポンパドール・ガレット(祝福の枷・d00268)
    月雲・彩歌(幸運のめがみさま・d02980)
    月原・煌介(白砂月炎・d07908)
    三和・悠仁(夢縊り・d17133)
    蓬莱・金糸雀(陽だまりマジカル・d17806)
    月光降・リケ(太陽を殺す為に彷徨う月の物語・d20001)
    四辻・乃々葉(よくいる残念な子・d28154)
    冬青・匡(ミケ・d28528)

    ■リプレイ

    ●1『ミケ』
    「初めましてリヤン。僕はタスク、冬青匡っていうんだ!」
     タクスとタスクは似ていると屈託なく破顔する冬青・匡(ミケ・d28528)へ、リヤンもつられて笑う。
    「見てほしいのは、好きな人と仲良くいられるかどうか」
     少年の好きは『友達』それが微笑ましくて。
    「1の君はね、喧嘩してもすぐに仲直りできるのが凄い所」
    「本当に?!」
     褒めてもらえたと嬉しげに、三毛色をひょこんと揺らす。
    「頼られるとついつい頑張っちゃうかな」
    「んー」
     狼神扱いだった過去。尊敬や賞賛なんかより自由気ままに生きる猫が羨ましかった。
    「もしかしたら、頼られるの窮屈?」
    「え、なんで解るの? 魔法みたい! 猫が羨ましくって」
    「好きなように過ごしてるものね。うん、猫を目指していいのよ」
     始まりの1は、続く数字に手本を見せねばとプレッシャーを感じてしまう。故に自らの願いを見過ごしてしまいがち。
    「心の声が聞こえてるならそれを大事にしてあげて。そしたらお友達からも『大好きな匡くん』でいられるわ」
    「ありがとう!」
     ぎゅう!
     絆つなぐように握手でぶんぶん。頬のヘアピンがふにゃり。
    「へへ、リヤンも僕の好きな人の一人に入れていい?」
    「……いいの?」
     顔を出した本来の内向的な彼女へ、匡は大きくこくり。
    「次に話す時はリヤンの事を教えて」
     絶対に、約束。

    ●11『太陽を殺す為に彷徨う月の物語』
    「恋占いをお願いします」
    「11は一見すると穏やか、母性の2が基礎だから。でも1の完璧さと厳しさも孕んでる――だから唐突に爆発したり……ごめんなさい、希望は恋占いよね」
    「いいえ。面白いわ、とても」
     手を合わせ繊細な細工の髪飾りをちりり鳴らし、月光降・リケ(太陽を殺す為に彷徨う月の物語・d20001)は柔和に笑んだ。
    「1人で生きてけるように見えるけど、実は誰かに頼りたいって願ってる」
    「誰でもいいのですか?」
    「ううん。尊敬できる人、心の拠り所にできる信頼できる人……ダメな人に捕まりにくいとも言えるかも」
    「人を見る目があるということ?」
    「そうよ、11は本質を見抜くから」
     ――熱の籠もった語りを見せる今のリヤンからは、相手を誑かそうという悪意は感じられない。
    「人の気持ちが見えすぎるあなたが『善意でしか見たくない』と思えた人、それが運命の人かも」
    「ありがとう」
     リケは背筋を伸ばし席を立つ。
    『彼女を闇堕ちから救う』と目的意識がはっきりした灼滅者は、彼女の闇を刺激しない。
     逆に安易に頼る人間に担ぎ上げられて自分を救いの神と誤認し堕ちる辺り、ソロモンの悪魔らしい。
    「あなたにも幸運が訪れますように」
     ……これは本当の気持ち、だから微笑みは白薔薇のように清楚で艶やか。

    ●5『祝福の枷』
    「おれ、朝の星座占いとかぜったい見る派なの。よろしくネ!」
     口元に手を当ててポンパドール・ガレット(祝福の枷・d00268)はひそひそ、バレンタインが近いから気になるのは恋愛運。
    「……無縁そうじゃね?」
    「5ってプレイボーイが多いのよ」
     にんまり笑うリヤン。
    「例えば最初の切り出し方、上手くわたしの気を惹いた。会話上手な所を生かすとモテるわ」
     じっと観察する蒼はお礼の言葉に薄く笑む。
    「……って君は既にわかってる。でもやらないのは距離を置いてるから?」
     笑顔の儘でポンパドールはリヤンを見つめた。
     ――両親との絆は、炎の獣が目覚めた時に断ち切られた。
     拒絶を向けられるぐらいなら、信じない方がマシ。嫌われるぐらいなら、もう誰も好きにならない!
     隠した部分を丸裸にされたような、此は――ナニ?
    「でも絆に逃げを求めがちだから、制御されている方が倖せなのかもね」
    「……そうなん、だ」
     王冠にを直す素振りで触れた手が僅かに震えた。
    「うん、リヤン。ありがとネ」
    「逃げてもいいのよ」
     立ち上がる彼が辛そうだから呼び止める。
    「心と体がアンバランス。気付かず心が疲れすぎるのが5の弱点。心の悲鳴は聞いてあげて」
     しばしの間、後。
    「悩んでるひとをスパーンって助けてあげられるの、カッコいいなあ」
     今度はしっかりとした笑顔で。
    「真剣に答えてくれてありがとう!」

    ●5『陽だまりマジカル』
    「あたしって結構こう無愛想だし、それに……人見知りなのだけど」
     家族にも誤解されてる気がすると、斜め下を向く蓬莱・金糸雀(陽だまりマジカル・d17806)
    「分析力に優れてて理性的、だから心の中には色々に価値観がある」
     陽があがるように金糸雀は俯くのを止め空の蒼を捉える。
    「どの価値観で判断しようか悩み出したらさあ大変。どの反応が正しいかデータがありすぎてわからない」
    「あたしはそんな所もあるのね……」
     正直ピンとは来ないけれど金糸雀は前向きに肯定する。
    「ちょっと違った?」
     探るようにリヤンは金糸雀の紫苑を覗き込んだ。
    「じゃーあー、寂しがり屋さんだけど感情の儘に動くのが怖い……とか?」
     要は気弱な自分を隠しているのだ。強い人間はきっと、自分の弱みを晒した上で向き合えるのだろうから。
    「当たってる、すごいわ。どうすれば直せる?」
     ぱっと弾ける喜びに「それよ」とリヤンは相好を崩す。
    「あなたの笑顔は力があるの。わたし、今喜んでもらってすごく嬉しい」
    (「やっぱり、彼女は唯、占って相手に喜んでほしいだけね」)
     ――思い出すきっかけになれただろうか? なれたなら嬉しいとますます笑みが深くなる。
    「ありがとう。視野が広がった気がしたわ」
     教室のドアをあけるとお座りしていたサニーが尻尾はたはたお出迎え。聞かれてなければいいけれどと零れるは溜息。

    ●5『夢縊り』
    「初めまして。占って頂けると聞いて……」
     おずおず切り出す三和・悠仁(夢縊り・d17133)は、先程の2人と印象が違うが彼もまた、5。
     聞きたいのは人とのつきあい方。
     親しくなりたい、でも1人の方が楽な気もする。どうしたいのか自分でもわからない。
    「奇数はね、個人的な感情を抑え込んで分裂を抱えてしまいがち」
    「なるほど……思うところは、確かに」
     願うは平凡、されど謀企む暴虐なる闇を抱える自覚が、其れこそが異常だと理解を促す。
     弱くありたい、負けたくない。
    「珍しい事ではないわ」
    「……」
     常に抱える揺れが今の一言で一瞬止まる、これが託リヤンという女の闇か。
    「心は夢を見たくても、卓越した分析力が現実を叩きだしてしまう。自動的に」
     それでも動かずにいられない、5。
    「隠しても引きずり出す、あなたの方が分析に秀でていると思います……」
     蝋燭で炙るような陶然が浮かぶもすぐに占者の仮面を被る。
    「わたしの頭は良くないわ。分析じゃないの……勘?」
     ぱらり。
     ノートを繰る音は『5』で止まる。
    「誕生数はわたしの勘を裏付けてくれるみたいで愉しいの……と、ごめんなさい。人とのつきあい方よね」
     ぱたり。
     ノートを閉じて蒼が黒を捉えた。
    「揺れて彷徨うのが運命のようなもの。だからね、仲良くしたい時に仲良くしてくれる人を選べばいい」
     彷徨うあなたを見守るのが倖せな人だっているはずよ?

    ●9『よくいる残念な子』
    「マイペースだねのんびりしてるねとは言われるけど……」
     自分なりの不安や悩みはあるのだと、四辻・乃々葉(よくいる残念な子・d28154)はふんわりと首を傾ける。
    「将来のわたしは何に向いてるの?」
     学園で目一杯楽しむと決めたけど常に不安と隣り合わせ。いつ命絶えるとも知れぬ人造灼滅者である乃々葉にとっての残酷な疑問。
    「頑張ってるつもりだけど、いつも結果が出ないの」
     つまんだマフラーに隠されているのは日常が狂ったきっかけの痕。
    「9は受け止め纏める終着点。何にでもなれる、だから自分がわからない。将来も見えにくいかな」
    「わからない……?」
    「空気を読むってあるじゃない?」
    「うん」
    「読み過ぎちゃうの。本当は自分を出したいのに」
     リヤンは小さく瞬く。
    「でもあわせちゃう。その受容性は誰にも持ち得ない力、影響を受けて左右されるのは必ずしも悪い事じゃないわ」
     言われれば浮かぶのは茄子色の髪の彼女。
     彼女に出会ったから茄子嫌いが克服できた。レシピノートを抱えたあの子の照れ笑いに鼻の奥がツンとする。
    「誰かのために尽くすお仕事が向いてるわ。目に見えやすい結果じゃなくても、あなたの行動は誰かをちゃんと救ってる」
    「ありがとう」
     首の傷はまだ晒せない、でも。
    「占いはその人の背中をそっと押してあげられる素敵な魔法なんだね」

    ●3『幸運のめがみさま』
    「友人が占い得意で……」
     結果を見るのが好きと屈託ない月雲・彩歌(幸運のめがみさま・d02980)は、両親の誕生日も告げた。
    「お父さんとあなたは同じ3。自由を愛する率直な人ね。子供じみて見えるけど、実は理解を示す数字。客観視点もしっかりもってるわ」
    「自由、ですか」
     興味深げに動く眼鏡越しの瞳。
     幽閉に近い箱入り娘。束縛に苦しみ堕ちた過去――父もまた苦悩したのだろうか?
    「お母さんの22は恐ろしいまでの実行力を持っている。でも良くも悪くも周囲を巻き込んでしまう」
     リヤンは物憂げに囁く。
    「――辛くは、なかった?」
     母から及ぼされただけではないとは思うけれど、でも。
    「……行き違いは、ありました」
     促す蒼に続ける。
    「でも……またちゃんと、家族をやりたいなって思ってます」
     遠慮しあう現状から抜け出たいと、願う。
    「有能すぎて見えてしまった絶望にお母さんが捕われた時、助けてあげられる、そんな気がするわ」
    「ありがとう」
     彩歌は穏やかに微笑む。
    「……人から言葉を貰うって、素敵なことですよね」
     結果がよかったら、信じて強い気持ちを持てる。例え悪くても結果を起こさぬよう努力できる。
    「占いは、可能性を示してくれる。それって、とっても素敵なことだと私は思ってます」
    「ありがとう……あなたの言葉も、本当に嬉しい」

    ●1『白砂月炎』
    「1は開拓者、外向的で……」
     続けかけてリヤンは唇を閉ざした。
    「あの……違う日言ってない? 試すとか厭な感じはしないけど」
     彩宿す月原・煌介(白砂月炎・d07908)の銀月が小さく見開かれる。此処まで見透かすのかと滲むは賞賛。
    「実の処、今言ったのは孤児院に置かれてた日ってだけだ」
    「ごめんなさい、誕生数って残酷な占いね」
     煌介は灯のような光を瞳に宿す。
    「己が生まれたと定められた刻と世界に繋がりがある……俺は此処に在る特別なものだと自信をくれる」
    「特別」
     ちっぽけだと沈む少女へ、
    「君と世界のその祝福を驚き分かち合うのが嬉しくって、俺は占いの虜なんだ」
     実は占術館バイト長と明かす。平坦な口調ながら瞳に滲む愉楽は、リヤンの笑みを呼び覚ました。
    「……何番に見える?」
     興味があると不意に問う。
    「んー……」
     煌介の瞳を覗き込む蒼は彼を掬い上げようと試みる。
    「7」
     ぽつり。
    「内省的で大人しそうでも内側には強い熱……たまに苦しくない? 孤独でいたいけれど……ひどく寂しい」
     奪われるように突きつけられた孤独は――彼の情感と表情を、殺した。
     しばし黙る2人、共有される時間は何処までも心地よい。
    「ありがとう」
     真摯に向き合い術を尽くしてくれて。
     ――世界の真実を言祝ぎ願う青年に、其の魔法は幾ばくか息づいている。

    ●『人読み』リヤン
     ノートを閉じたリヤンは、立ち上がろうとして酩酊したように崩れ落ちる。ひとりぼっちの教室を満たすは嗚咽、ノートの文字は涙で滲む。
    『新しい玩具が増えたのに何故泣くの?』
    「……そんな事、望んでない」
     そう、思い出せた。
    『散々意のままに操って、それを心底愉しんだのに?』
    「……ッ」
    『フフ……『託さん』なんて誰も必要としてないわ。求められてるのは『リヤン様』よ』
     闇が突きつける罪に呑まれそうな刹那、ドアが開き彼らが戻ってきてくれた――。

    「リヤンちゃん、託さんまで戻る必要はないよ」
     一所懸命聞いてくれたあなたと友達になりたいと、赤眼の乃々葉の帯が闇を打つ。
    「あなた『は』気に入らないですね」
     血の如く赤々爆ぜる切っ先でリケが殺すは、リヤン塗り潰さんとす偽りの太陽。
    「あなたは純粋に笑顔が見たかっただけ、忘れないで」
     サニーと共に征き炎巻き上げる金糸雀、その目映さにリヤンの心が目を醒ます。しかし抗う闇はノートから否定の魔力を弾きだした。
    「おれ、リヤンの持ってるチカラで、すっきりしたよ」
     難なく握りつぶしにっと笑うポンパドール。代わりに思い出してと肩に刻む爪痕。
     足りないと嘆く悠仁の影は混迷導く闇を裂く。
    「良ければ、友人になって欲しい」
     そう感じたから……勇気を出し踏み込めば、リヤンも求めるように指を伸ばした。
    「あなたの最初に抱いた気持ちを、忘れないで」
     今日の邂逅で得たモノを――彩歌は瞳色の剣で良き運命を切り開くように薙ぐ。
     夕暮れの教室を舞う細かな埃が目映い炎で煌めいた。それはまるで――不死鳥。
    「リヤン、君の飛翔だ」
     どうか操る事で操られ喪わないで。
     煌介の後ろからひょこり。くりくりした瞳に映るリヤンの破顔に匡は悪魔払いの仕上げと爪を翳す。
    「僕、知ってるよ。君の名前の意味は『絆』と『縁』」
    「! うん」
     祖母がつけてくれた名が、息吹得て輝き放つ。
    「だから縁を繋ごうよリヤン。僕と……僕達と一緒にいこう!」
     誘いは彼女を汚す闇を完全にぬぐい去る。

     ――占い、好きなんでしょう?
     それは誰が言ってくれた言葉だろう? 多分全員だ。
     そんな彼らは武蔵坂という灼滅者達が集う場所から助けに来てくれた……見ず知らずのわたしを助けに来てくれたのだ。
    「ありがとう」
     これからの人生を柔らかに愉しんでいきたいと、占いというカンテラ翳す娘は瑠璃海に浮かぶ月のように、ゆらり、微笑んだ。

    作者:一縷野望 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年1月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 10/キャラが大事にされていた 2
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