●
ここはとある私立高等学校。
「自由と独立を理念とする本校は生徒の自主性および自由学習を推奨しています。しかし――」
丸めがねのおかっぱ少女が、煙臭い室内に立っていた。
背後にはずらりと同じ制服の生徒が並び、胸には風紀のバッヂがとりつけられている。
「それが不良行為であると我々生徒会が認識した場合、それに対し停止要求、もしくは校内に限った捜査権限が付与されます」
「だったらなんだァ、オオイ!」
「俺たちバイクの勉強してるんですけどォ!」
「最大何キロ出ますかってなァ!」
「道路交通法違反は立派な罪です。解体処理を要求するとともに、グループの解散を――」
「うるせえ!」
暴走族と思しき格好の男子たちが、重そうな金属棒を投擲した。棒は後ろに並んでいた男子に命中。額から血を流してうずくまった。
「ガタガタうるせえ連中だなァ! たたきのめして文句言えねえようにしてやれや!」
「「オウ!」」
並んだ生徒たちへと襲いかかる暴走族。
真面目に勉強を続けてきた生徒と今までバイクを乗り回していた男たちではまるで勝負にならない。軽く武装したにもかかわらず、生徒たちは次々にたたきのめされ、屋外へと放り出されてしまった。
「み、みんな!」
「最後はお前だ大将サンよオ!」
少女の前に巨漢が詰め寄った。大型のスレッジハンマーをかついでいる。
「まずは手加減してやるよ、オラァ!」
振り下ろされるハンマー。
少女は。
男を見上げ。
一ミリたりとも動かなかった。
「なっ……!?」
額に直撃するハンマー。常人ならば即死するはずだ。彼とて慌てて避けるだろうと思って振ったのに、彼女は予想に反して避けも防ぎもしなかった。
どころか。
「校内での許可無き暴力行為は固く禁じられています」
額から血をながし、相手をキッと見据えたまま、少女はジャケットの内側に手を入れた。
パチンパチンと固定ベルトを外す音。
そして内側から現われたのは、二冊の六法全書だった。
「ですが今は、やむをえません!」
途端、彼女を中心に謎の爆発が巻き起こり男はその場から吹き飛ばされた。
「な! なんだ!?」
「これだけは、これだけは使いたくありませんでした。ですが皆を守るため、校内の風紀を守るため、なにより私の意地を通すため……使わせて頂きます!」
二冊の本を翼のように広げ、少女は相手に突撃した。
「――書類双拳!」
「ぎゃああああああ!」
男は部屋の壁を突き破り、外へとごろごろと転がっていった。
「う、うぐぐ……」
重傷だが死んではいない。
破壊された壁を潜るように出てきた少女は、二冊の六法全書を交差するように構えた。
「これが私にできる最大限の手加減です。続けますか?」
「に、人間じゃねえ……」
「そうです、遺憾ながら」
彼女は今、ダークネスの力に呑まれようとしているのだ。
●
「世の中に正しくあって欲しいって考えは誰にでもあるもんだが、それをどうしても通したい時『正義』って言葉を使っちまう。お互いの間をとったり、納得のいく共存方法を見つけたりってことは……やっぱやりにくいんだ、人間ってやつは。不器用な生き物なんだよな」
大爆寺・ニトロ(高校生エクスブレイン・dn0028)はいつものように教卓にあぐらをかき、事件の内容を説明していた。
「名前は六道・法枝(りくどう・のりえ)。アンブレイカブルに闇落ちしてる。正確には『しきりかかっている』だな。これから不良グループの強制鎮圧を単独で行なおうとしてる所に介入して、完全なアンブレイカブルになっちまうのを力尽くで止めるってのが、俺たちの役目になる」
六道法枝の得意技は力のこもった六法全書二冊を使った特殊な拳法だ。
アンブレイカブル系、魔導書系のサイキックと言えば分かりやすいだろうか。
現場には既に撤退を始めている風紀委員と、六道法枝の鎮圧対象としてその場に残っている不良グループが存在している。不良グループは状況が飲み込めずに混乱しているようだ。
「この事態をなんとかできるのは、やっぱり俺たちしかいない。頼んだぜ、灼滅者のみんな!」
参加者 | |
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天上・花之介(ドラグーン・d00664) |
東雲・由宇(終油の秘蹟・d01218) |
皆守・幸太郎(カゲロウ・d02095) |
蓬莱・烏衣(スワロー・d07027) |
十七条・法権(戦闘風紀委員長・d12153) |
月叢・諒二(飄逸ロマンシング・d20397) |
夜伽・夜音(蝶葬クライン・d22134) |
日輪・戦火(汝は人狼なりや・d27525) |
●壱ノ書『憲』、弐ノ書『民』
「や、やべえよアイツ」
「どうする……?」
六道法枝が不良グループと対峙しているさなか、不良学生は次の行動に迷っていた。
今まで通り風紀委員を蹴散らすか、えらく苦戦しているらしい委員長側の加勢に向かうか。おのおのがプライドや保身を天秤にかけながら考えていると、竹楊枝を咥えた月叢・諒二(飄逸ロマンシング・d20397)がずかずかとやってきた。
納鞘した刀を肩にかつぎ、不良学生たちを目で威圧する。
「……」
「な、なんだよ……」
無言だが、だからこそ恐ろしい。訳も分からず暴れだそうとしていた不良学生たちは冷や水を浴びたかのように大人しくなった。
そこへ。
「あらあら、学舎でなにふざけたことしてるわけ?」
横転したバイクを足蹴にして、東雲・由宇(終油の秘蹟・d01218)が現われた。
「こんなの誰だって怒るわよ。家でやれっつーの」
「そ、そんなのお前に言われる筋合――」
「あ?」
「ん?」
片眉を上げる諒二。張り付いたように笑う由宇。
不良たちは本能的に立ち上がり、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
「す、すいませんでした!」
「よしよし。もう私の視界で暴力を振るうんじゃないわよ」
由宇は手をぱたぱたとやってから、『彼女』へと振り返る。
「邪魔者は片付いたわよ、六道法枝さん?」
「見ない顔です。校外の方ですね。どうして私の名前を……」
一緒になって逃げる不良たちのボスを見送ってから、法枝は由宇たちに向き直った。
向き直って、由宇や諒二たちが『こちら側』であることを察知した。
反射的に身構える。
いや、身構えたのは何も二人に対してのみではない。
「学校守ろうとしたり、世の中正そうとしたり、それはすげーことだと思うが」
なぎ倒されたバイクに腰掛ける形で蓬莱・烏衣(スワロー・d07027)が現われた。
「今のままずっと突き進んじまったら……」
「法枝ちゃんじゃなくなっちゃう。それはそういう力なの」
烏衣の後ろからゆっくり歩み出る夜伽・夜音(蝶葬クライン・d22134)。
「法枝ちゃんは法枝ちゃんのままで居て欲しい。大切な場所を守りたいって想い、僕もある、から」
「でも分かるぜ。自由は時に暴走する。そのブレーキとしての正義が、正義の力が必要になる時がある」
ハンドポケットで校舎から歩いてくる皆守・幸太郎(カゲロウ・d02095)。
「お前はそれをよく考えて選択したんだろう。問題ないぜ。だがそのブレーキが暴走したとき、現われる奴がいる」
「それが我らだ!」
倉庫の屋根で立ち上がり、強かに見得を切る日輪・戦火(汝は人狼なりや・d27525)。
「私はホワイトテリアー、白き狼! 扱いきれぬ力は正義無き暴力だ。まず君は力の使い方を覚えたまえ!」
「あなたたちは一体? ……まさか」
眼鏡の奥で僅かに目を見開く法枝。
そんな彼女の後ろに、十七条・法権(戦闘風紀委員長・d12153)がふらりと現われた。
「かつて戦闘風紀委員長と呼ばれた男が居た。やむを得ず闇の力を使った男が居た。だがそれは間違いだった。闇に手を染めた時点で、ルールを侵していたのだ」
「……」
ゆっくりと振り返る法枝。
眼鏡を指で押し上げる法権。
「この十七条法権、この世の風紀を守るため、脱法した君を灼滅する」
「そう、ですか。そういうこと、でしたか」
重いものを飲み込むような顔で、法枝は六法全書を構えなおした。
「私は第十八代戦闘風紀委員長、六道法枝。皆さんの言葉に納得すると共に、現時点より風紀委員長を辞職します!」
「な……っ!」
満身創痍の風紀委員たちが身を乗り出す。それを視線で制して、法枝は続けた。
「ただし、あなた方が私のブレーキとなれない限り、皆さんを暴力的部外者として排除するものとします。異論はございますか!」
「いや、ねえよ。完璧だ」
天上・花之介(ドラグーン・d00664)はブレイカーに斬撃アタッチメントを接続。
エンジン音を唸らせ、歯を食いしばった。
「来いよ、六道。人間のままで意地を通せ。風紀を守りたいやつが、力に呑まれでどうすんだってな!」
「ええ、ですがまずは……六十パーセントまでです」
法枝はそう言って、『商』『刑』と刻まれた二冊の本を交差させた。
●参ノ初『商』、肆ノ書『刑』
「『トギカセ』」
夜音は封印解除と同時にイエローサインを展開。標識から広がった波動が由宇や諒二たちを包み込み、同時に封印解除した彼女たちは法枝めがけて突撃した。
「ここまで闇にあらがってる人は初めて見るわね。尊敬しちゃう」
「だから尚のこと、そのまま『法拳』を振るわせるわけにはいかない」
由宇は青いストラを、諒二は白い手ぬぐいを発射。布は槍のように法枝の両肩に突き刺さり、後方の壁へと縫い付けた。
「今こそあなたの意志の強さが必要なときよ、六道さん」
由宇は金色のブレードを、諒二は納鞘したままの刀を振りかざし、法枝へと交差しながら叩き付けた。
後方の壁を破壊しながら、法枝は倉庫内へと転がり込んだ。
さらなる追撃として突きを繰り出す由宇と諒二。が、法枝はその二つを開いた本で挟み込んでホールドした。
「刑法第二百六十条及び第二百八条!」
本から手を離し、新たに『民』と『憲』の本を取り出し、二人に向けて叩き付ける。
「民法第七百九条及び第七百十九条!」
地面と水平に吹き飛ばされる二人。
そんな彼女たちを空中でキャッチして、花之介と烏衣は横へ放った。
「バトンタッチだ」
「まずはぶち込む!」
倉庫から出てきた直後の法枝を狙ってまっすぐに突撃する花之介。
両手で掴んだ本でもって受け止める法枝。
その頭上高く、烏衣がスターゲイザーでもって突っ込んだ。
爆散する地面。
思わず直撃をくらって宙を待った法枝を狙い、花之介と烏衣が立て続けに炎の蹴りを繰り出した。
身を丸くして防御する法枝。
「憲法第三十一条及び第十九条!」
空中で『憲』の本を開いて翳す。すると花之介たちのいた場所が突如として爆発し、彼らを校舎の壁まで吹き飛ばした。
「夜伽!」
「むむ、がんばるさん!」
急いで回復を図る夜音。彼女を背に、戦火はどこからともなく炎と風が描かれたスティックを引き抜いた。
スイッチを押し込むと上下に伸び槍へと変化する。
「ゆくぞ!」
着地したばかりの法枝へ容赦なく突き込む。本を翼のように翳してひらりとかわす法枝だが、その動きを読んでいたかのように槍を反転。風部分に氷塊を纏わせると、それを直接叩き付けた。
思わぬ連撃に体勢を崩され、その場を転がる法枝。
「むっ――!」
戦火は再び槍を反転。炎部分の刃を凄まじい連続振りでもって叩き付ける。
「し、商法第四章第十二条!」
連撃をかろうじてかわし、戦火を薙ぎ払う法枝。追撃をはかろうとしたところで銘無しのビハインドが彼女の攻撃を受け止めた。
あまりの衝撃に吹き飛ばされるが、それでいい。
「それで六十パーセントか?」
「この際全部はき出せ。俺たちもそのつもりで来てる」
法権は影の手錠をぐるぐると腕に巻き、ナックルダスターのように握り込んだ。
一方で幸太郎は身体を覆う炎を白からグレーへと変化させ、拳に集中させた。
ストリートファイトの要領で一気に距離を詰める幸太郎。
凄まじい速さでパンチラッシュを繰り出し、ギリギリでかわす法枝だが、頬や肩が真空刃で斬れていった。
片目を瞑って耐える法枝。
「十曰、絶忿棄瞋、不怒人違――平常拳!」
高速スウェーで脇へ回り込んだ法権は、雷を纏わせた拳を思い切り法枝へ叩き込んだ。
流れる動きで手錠の端を法枝の腕に接続させ、強引に振り回す。
「十七曰、夫事不可独断――相談拳!」
「ンッ!」
倉庫の壁を右から左へ破壊し、ごろごろと転がる法枝。
法枝はよろよろと起き上がった。
額から流れた血で片目を瞑り、長く深く息を吐く。
「み……皆さんの力量は、私のブレーキとなりえる可能性があると判断しました。六道法枝が現在所有する全ての能力を行使すると共に、今後一切の身体的灼滅的保証を破棄します。よろしいですね」
法枝は四冊の本を自分の周囲に浮かべると、虚空の本棚から二冊の本を抜き出した。
「そいつは?」
「『どうなっても知りませんよ』という意味です!」
●伍ノ書『民事』、陸ノ書『刑事』
「そいつが百パーセントか? さって、どんなもんかな!」
拳をばしんとグローブインし、烏衣は法枝へと襲いかかった。
ぶわりと地面から数センチほど浮かび上がる法枝。
烏衣は飛ぶ鳥の如く鋭い回し蹴りを繰り出すが、法枝の周囲を高速飛行する本によってはじき返される。と同時に、刑事本を開く。
「没収、執行!」
「な――!?」
激しい光が烏衣を貫き、彼を保護していたイエローサインの波動が消失した。
返す刀で民事本を叩き付ける。
「実刑、執行!」
殴り飛ばされた烏衣は途中にあったバイク二台と校舎の壁をそれぞれ破壊し、家庭科室の机に激突した。
「つつ……なんつうパワーだ。やっぱ強えぜ」
「当然だ。それだけの力を必要としたのだから」
「そしていずれはこの力で悪を討つことになる。だろう?」
戦火は槍を収納すると、大型エンジンを搭載した巨大チェーンソーを出現させた。
「機剣ハーレイ!」
「一曰。以和為貴――調和拳!」
法権は影業手錠を両手に掴んで引き絞り法枝めがけて駆けだした。
「一斉にしかける。包囲攻撃だ」
「応!」
前後から挟むように、法権と銘無しのビハインドがが回り込む。
更に横から戦火。上から烏衣という完全包囲体制での攻撃である。
法権の両拳、ビハインドの剣、そして戦火のチェーンソーが繰り出され、法枝は周囲の本でそれを防御。
「そこだ!」
頭上。巨大な鳥型のオーラに包まれた烏衣が、ミサイルのようなスターゲイザーを繰り出す。
直撃……かと思われたその時。
「六方全処!」
法枝を中心に連続して爆発が起き、法権たちはまとめてはじき飛ばされた。
「ちゅーい、だよぉ!」
イエローサインを翳して駆け寄ってくる夜音。
「防御を破壊し、決定的なダメージを与える型、か」
「しかも魔術を併用することで死角を無くしている」
「でも……」
夜音はまばたきをして法枝の顔色を観察した。
額には脂汗が浮かび、呼吸も安定していない。
「とっても、疲れてるみたいなの」
「弱点はスタミナか」
「さっきの攻撃も、受けきってるように見えてダメージ自体は蓄積してるみたいね」
由宇は彼らを守るように立ち塞がると、ふた振りのブレードを柄の部分で接続した。
「ガリッガリに削ってあげる!」
靴で虚空を蹴りつけ、カタパルトでも使ったかのような速度で突っ込む由宇。
一方で本のページを交差させる形でかみ合わせ一塊にする法枝。
「ッ――加重拳!」
法枝の本による打撃。それをブレードの一方で受け、反転させて斬りつける由宇。
「き、急迫不正反撃拳!」
別の本でそれを受け止め、由宇の顔面めがけて本を繰り出す。
対する由宇は後方倒立回転でそれを回避。素早くブレードを繰り出した。ブレードが本と衝突。
「ブレイク」
「激発物破裂拳!」
同時に爆発がおき、由宇と法枝が逆方向に煽られる。
そのタイミングで、花之介は発進した。
発進である。バベルブレイカーのブースターを最大出力まで引き上げ、自らをロケットにして突撃したのだ。
「俺の正義をお前にぶつける! それが人間の意地ってやつだ!」
「できるものなら!」
組み合わせた本計三冊を三角形に浮かべ、エネルギー障壁を展開。花之介はその障壁を無理矢理突破し、法枝の顔面に拳を叩き込んだ。
本を散らし、思い切り吹き飛んでいく法枝。
空中で身をひねり、両足と右拳でもって強制ブレーキ。そこへ諒二が強引に殴り込んだ。
「君を止め、そして教えよう。世界の真実。見えざる支配。そして――」
腕を瞬間的に異形のそれに変えると、法枝の身体を強烈なパワーで殴り飛ばした。
「君ができる、もっといい意地の張り方を!」
校舎三階の壁に叩き付けられ、崩れるように落下する法枝。
諒二がゆっくりと歩み寄る。
と、周囲に散っていた六法全書のページが渦を巻いて彼女へと集合した。
「重犯」
片膝立ちで起き上がり、腕にページを大量に集中させ、巨大な腕と変える。
「しま――ッ!」
「虎門楼!」
目を見開いた諒二を先刻以上のパワーで殴り飛ばす。
「わっ」
それをなんとかキャッチし、急いで回復をはかる夜音。
「大丈夫さん? まだ……」
「いや、ここは任せてくれ」
起き上がらせようとする夜音を、幸太郎が片手でとめた。
帽子を被り直し、法枝へと身構える幸太郎。
「俺は自由が好きでな。その自由が暴走した時には、誰かに鎮圧してもらいたい」
「ブレーキ、ですね」
はらはらとおちるページの雨のなか、法枝はゆっくりと構える。
「なれるでしょうか。私が、世界のブレーキに」
「なれるさ。俺がなれたくらいだ……こんな風にな!」
大地を蹴る幸太郎。
大地を蹴る法枝。
お互いに繰り出した拳がぶつかり合い、骨の砕ける音がした。
歯を食いしばってもう一方の拳を繰り出す幸太郎。
口の端から血を漏らしながら拳を繰り出す法枝。
クロスした腕がお互いの顔面に炸裂。幸太郎は足を踏ん張ってこらえ、砕けたはずの拳を無理矢理握って、振りかぶり、おもむろに叩き付けた。
「がっ……!」
殴り倒され、仰向けに転がる法枝。
粗く苦しげな呼吸をしながら、ゆっくりと目を瞑り……………………そして、目を開けた。
「法枝ちゃん?」
まくらもとにかがむ夜音。
開いた法枝の目の中には、もう闇はなかった。
●魔導書、異典六法全書。
呆然と立ち尽くす風紀委員たちに背を向け少女はボロけたジャケットを羽織りなおした。
「いいのか?」
「構いません。私は既に部外者です。校内の風紀は、校内の者が正すでしょう」
そこには闇をすっかり克服した六道法枝がいた。
「改めまして」
バンドで閉じた本を抱え、頭を下げる。
「私の名前は六道法枝。趣味で風紀委員をしている者です」
作者:空白革命 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年1月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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