すべてをドロドロに!

     ジェルトルーデ・カペッレッティ(撃滅のストラディオット・d26659)は、こんな噂を耳にした。
     『服を脱がす触手がいるなら、服を溶かす触手だっている』と……。
     この触手は都市伝説で人通りの少ない裏通りを根城にしており、普段は物陰に潜んでいるものの、獲物を見つけると服をドロドロに溶かして欲望の限りを尽くすようである。
     そのため、都市伝説を警戒して裏通りを利用する一般人が減りつつあるものの、事情を知らない一般人が都市伝説に襲われて、足腰が立たなくなるまで責め立てられているようだ。
     中には都市伝説の触手を忘れる事が出来ず、フラフラと現場に戻ってくる者もいるが、大半の場合が『触手、怖い。マジ怖い!』という状態になっているため、早急に倒さねばならない。
     ただし、都市伝説は擬態能力に優れており、気が付いた時には襲われている可能性が高いため、色々な意味で注意が必要だろう。
     その事を踏まえた上で、都市伝説を倒す事が今回の目的である。


    参加者
    火室・梓(質実豪拳・d03700)
    土岐・佐那子(夜鴉・d13371)
    御影・ユキト(幻想語り・d15528)
    タバサ・アドミラドール(疾風の斬魔・d21454)
    フィゼル・ハートレット(温もりの檻に囚われて・d25289)
    日輪・黒曜(汝は人狼なりや・d27584)
    白峰・ハナ(温泉狼・d27679)
    八剱・志穂(ダンシングバード・d31592)

    ■リプレイ

    ●表通り
    「……服を溶かす触手ですか。頑張らないといけないですね、色々と……」
     火室・梓(質実豪拳・d03700)は仲間達と共に、都市伝説が確認された場所に向かっていた。
     都市伝説はありとあらゆる服を、ドロドロに溶かす事が出来るらしい。
     しかも、溶かす事が出来るのは、都市伝説が服だと認識したもの。
     そのため、例え葉っぱであろうが、カップ麺であろうが、都市伝説が服だと認識すれば、ドロドロに溶かす事が出来るようである。
    「まぁ、裸になっても、狼に戻れば良いんだけどね」
     白峰・ハナ(温泉狼・d27679)が着替えの入ったリュックを背負い、苦笑いを浮かべた。
     万が一、都市伝説が襲ってきたとしても、狼の姿であれば溶かすモノがないのだから、被害も少ないはずである。
    「まあ、出来る事なら、あまり出くわしたくない所だが、かといって放置しておくと被害が増えるだけだしな……」
     フィゼル・ハートレット(温もりの檻に囚われて・d25289)が、複雑な気持ちになった。
     しかも、都市伝説がテリトリーにしているのは、人気の少ない裏路地。
     いかにも、格好の狩場と言える場所。
     それ故に、都市伝説がいつ襲ってきても、おかしくない。
    「……何だか嫌な予感しかしないわね」
     日輪・黒曜(汝は人狼なりや・d27584)が警戒した様子で、殺界形成を発動させる。
     これで都市伝説と戦っている最中に、誰かが迷い込んでくる事もないだろう。
    「触手かー。どんな感じなんだろ?」
     タバサ・アドミラドール(疾風の斬魔・d21454)が、興味津々な様子で資料に目を通す。
     都市伝説に対する恐怖よりも、怖いもの見たさや好奇心の方が強いためか、どこか楽観的。
     むしろ、少しぐらいなら、襲われてもいいと言わんばかりのノリであった。
    「とにかく、みんなを恐怖におとしいれる触手は退治するんだよー!」
     八剱・志穂(ダンシングバード・d31592)が仲間達に声をかけ、気合を入れて裏路地に入っていく。
     裏路地には街灯がほとんどなく、不気味な雰囲気が漂っていた。
    「なんででしょうか、皆さんわくわくしている様に見えますが……」
     土岐・佐那子(夜鴉・d13371)が、魂の抜けた表情を浮かべる。
     この時点で嫌な予感しかしない。嫌な予感が大行進。
     出来る事なら、回れ右をして帰りたいというのが、本音であった。
    「あの……、帰っていいですか?」
     その途端、御影・ユキト(幻想語り・d15528)が、涙目になった。
     だが、この状況で今更逃げ出す訳にもいかない。
     そんな事をすれば、お約束とばかりに都市伝説に襲われ、恥ずかしい思いをするのがオチなのだから……。

    ●裏路地
    「まずは触手がどこに隠れてるのか見つけださないとね! 色んな物に化けて隠れてるみたいだし、あちこち色々探さないとー……」
     裏路地に入った志穂は、手当たり次第にコンコンと叩く。
     一応、怪しいと思ったところを重点的に叩いているのだが、そう思って調べ始めると、どれも怪しく思えてきた。
    「さて、帰るのにメール打たなきゃっ」
     タバサが能天気な笑みを浮かべて、スマホでメールを打っていく。
     次の瞬間、影と一体化していた触手が伸び、タバサの身体にニュルリと絡まってきた。
    「ひゃんっ!? やぁ、んきゅっ……!」
     タバサは慌てた様子で声を上げたが、シャワーの如く浴びせられた白濁液を浴びせられ、身に着けていた服が一瞬にして布切れと化した。
    「う、嘘っ!?」
     すぐさま志穂が逃げようとしたものの、上から降ってきた触手に両手両足を絡め取られ、勢いよく身体を持ち上げられて宙吊り状態になった。
     しかも、まわりにいた仲間達も次々と襲われ、あっという間に触手の餌食に。
    「こんな触手……簡単に……」
     そんな中、ハナが触手に食らいつき、自らの感情に身を任せて食い千切ったが、そこから溢れ出した大量の白濁液を浴びて一糸纏わぬ姿になった。
    「もう無理です、生理的に無理です、帰らせてください、お願いします!」
     ユキトが顔を引きつらせて、その場から逃げようとする。
     しかし、触手はそんなユキトを嘲笑うようにして、じわりじわりと逃げ道を塞いでいった。
    「だったら、早く本体を見つける事だ」
     フィゼルがユキトを守るようにして、咎人の大鎌で触手を切り裂いていく。
     そのたび、白濁液が足元まで広がっていき、ツルツルと滑って、立つ事さえ出来なくなった。
     次の瞬間、無数の触手がフィゼルの足に絡みつき、そのまま人気のない物陰に引きずり込んだ。
    「ちょっ……なんてトコを……っ! 胸とか揉まれてるしーっ!」
     その間にハナが触手に胸や太腿を撫で回され、ドキッとした様子で身を強張らせる。
     それでも、必死に噛みつこうとしていたが、今度は喉の奥まで入り込み、白濁液をぶち撒けられたため、反射的に激しくゲホゲホと咳き込んだ。
    (「うわ、すごい、あんなことまで……」)
     梓が思わず見とれて、しばらく言葉を失った。
     触手はまるで個々で意思があるかのように、好き勝手に梓達を責め立て、奥へ奥へと入っていく。
    「私ぬるぬる苦手なのー、イヤー」
     黒曜も涙になって必死に抵抗するが、触手の数が多過ぎて、太刀打ちする事が出来なかった。
    「だ、駄目だよっ! そんな事をしたら……ンッ!」
     志穂が無理やり両足を閉じようとしたが、逆に大きく広げられ、身体中をがっつり弄られ、責め立てられた。
    「ちょっと、それ以上は駄目、全部丸見えになっちゃう」
     梓も慌てた様子で、胸元や股間を隠す。
     しかし、それが原因でまったく抵抗する事が出来ず、全身に触手が絡まった触手が外へ中へと動き回り、自然と口から声が漏れた。
    「皆さん、無事……ではありませんね」
     佐那子が何とか触手から逃げ出し、ビハインドの八枷と背中合わせになって、仲間達の安否を確認する。
    「あうっ、もう無理、お願い誰か抜いて……」
     梓が妄想とする意識の中、口から白濁液を吐き出し、仲間達に助けを求めた。
     他の仲間達も触手に激しく責め立てられ、頭の中が真っ白になっているようだった。
    「帰りたい、帰りたい、帰りたい……」
     まるで呪文のように唱えながら、ユキトがその場にぺたんと座り込む。
     こうなると、もう動けない。
     触手もユキトの反応を楽しむようにして、何度も目の前まで迫ってきた。
    「い・い・か・げ・ん・にしなさーい!」
     次の瞬間、黒曜が限界に達して、スレイヤーカードを解除した。

    ●触手の本体
    「それじゃ、さっきのお返しをしないとね!」
     ハナが近距離から断罪転輪斬を放ち、自分の体に絡みついていた触手を切り裂いた。
     触手は大量の白濁液を撒き散らした事で披露したのか、先程よりも勢いが無くなっていた。
    「た、確かにここで挫けたら、負けですよね……」
     ユキトが涙目になって、目の前の触手に視線を送る。
     先程から必死に逃げていたため、最悪の事態に陥る事はなかったが、既に服はボロボロ。身も心もすっかり疲れ果てていた。
     その途端、触手が威嚇するようにして、白濁液を飛ばしてきたため、ユキトが『ひゃあ!?』と悲鳴を上げて飛び退いた。
    「酷い目に遭いたくなければ、何も考えずに戦え……」
     フィゼルが羞恥と怒りの入り混じった表情を浮かべながら、黒死斬で触手をバッサバッサと斬っていく。
     それに合わせて志穂がユキトを庇いつつ、触手めがけてスターゲイザーを放つ。
    「こんのぉっ、よくも乙女の柔肌を!」
     タバサもイラついた様子で、マジックミサイルを撃ち込んだ。
    「消毒よー♪」
     そこに追い打ちをかけるようにして、黒曜がグラインドファイアを使う。
     続け様に攻撃を食らった事で触手が戦意を喪失させ、逃げるようにして本体に戻っていく。
     触手の本体は筋子をボール状にしたような姿をしており、身を隠すようにして、木の上にぶら下がっていた。
    「随分と潰し甲斐のある本体ですね」
     次の瞬間、佐那子がブロック塀の上に飛び乗り、本体めがけて居合斬りを炸裂させる。
     それでも、都市伝説の本体が触手を使って、佐那子の動きを封じ込めようとしたが、八枷を身を挺して守ったため、近づく事さえ出来なかった。
     その間に佐那子が本体を叩き斬り、跡形もなく消滅させた。
    「ううっ……、都市伝説を倒す事は出来ましたが、服はどろどろですね……」
     梓が疲れた様子でへたり込む。
    「この格好でうろうろするのは、ちょっとって感じだね……! か、帰れるかなー……?」
     志穂も大事なところを隠して、乾いた笑いを響かせる。
     仲間達は、ほぼ全裸。
     一応、着替えはあるものの、仲間達の分まで足りるか、怪しいところである。
    「はふー……。ね、スパとかサウナに行ってみないー?」
     そして、仲間達はタバサの誘いで、近所のスパに向かうのだった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年1月24日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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