帰ってきた、アルパカマスク!

    作者:空白革命

    ●OPテーマ『燃えよアルパカマスク』
     地下レスリング場。通称アルパカジム。
     超人的闇プロレスラー、アルパカマスクの隠れ家にして本拠地である。
     彼はかつて戦った猛者たちを想いながら、再戦を夢見てトレーニングに明け暮れていた。
     そこへ……。
    「へえ、ここがアルパカジムねえ。シけたトコじゃーん。汗臭いしだっせえし、おまけに汚えし」
     ドアを蹴り開け、妙にちゃらちゃらしたアンブレイカブルが入り込んできた。
     ニット帽を被った少年である。
    「なんだお前、ここは部外者立ち入り禁止だ……ぞ……?」
     掴みかかろうとした身の丈二メートル超えの大男――だったが、彼に手が触れる前に地面に倒れていた。頭をがしりと踏みつけられる。
    「今なんかした?」
    「な、なにを……ぐおお!?」
     頭を踏みにじられ、悶絶する大男。
    「ボクに許可無く触らないでよね。死刑だよ死刑。このまま踏み砕いて、脳みそぶちまけの刑なんかいいかな」
    「や、やめ――」
    「そこまでにしてもらおう。そいつは一般人パカァ」
     ライトに照らされ、一人のレスラーがリングの上に現われた。
     片目にまざまざとした傷跡を残し、延長上に深いそり込みを入れた男だった。
     彼こそがアンブレイカブルレスラー・旧アルパカマスク!
     かつてアルパカの覆面を被っていた彼だが、自らの力不足を悟りマスクを脱ぎ、今は一般人に混じってトレーニングを重ねているのだ。
    「お前もアンブレイカブルだろう。来い、決着はリングの上でと決まっているパカァ」
    「ふうん……」
     少年はリングに飛び乗り、相手の顔を覗き込んだ。
    「ボクらシン・ライリー派に加わるつもりはある?」
    「毛頭無いパカァ」
    「なら、死んで貰おっか」
    「できるものなら……!」
     凄まじい速度と練度で少年に組み付き、抱え上げる。
    「くらえ我が執念、アルパカ・バックドロップ――改!」
     
     それから数分後。
     旧アルパカマスクはリングの上で力尽きていた。
     全身を傷だらけにし、池のように広がった血がリングの外へと漏れ出ていた。それだけではない、無理矢理もぎ取られたアルパカマスクの腕が元に戻ること無く少年の手のなかにあった。
    「こんなもんか。レスラーってダッサイよね。律儀に技を受けちゃったりしてさ」
     腕をリングの外に放り投げる少年。
    「ここにいる連中もそんなのばっかなんでしょ? 一般人のクセに……腹いせに全員こーろしーちゃおっと!」
     こうして、地下レスリング場は惨劇の舞台となる……はずである。
     

    「獄魔覇獄を覚えてるか。そいつを失敗させたシン・ライリーが同じアンブレイカブルのケツァールマスクと抗争を始めてるらしい。放置するってのもアリだったんだが、この巻き添えをくって一般人に被害が出るっつーと放っておけん。俺たちが先回りして動くことになった」
     
     我々の役目はシン・ライリー派のアンブレイカブルと旧アルパカマスクの衝突を防ぐことだ。
    「つっても奴はプライドのある身だ。『これからの戦いに負けるから去れ』と言ったところで、勝負から逃げるようなことはしねえだろう。だからこそ、こいつで語る必要がある」
     ニトロはぐっと拳を握り、獰猛に笑った。
    「つまり、道場破りだ!」
     シン・ライリー派に劣るとはいえ旧アルパカマスクもじゅうぶん強力なアンブレイカブルだ。灼滅者八人の力を合わせて戦う必要があるだろう。
    「奴も強くなってる。だが俺たちだって強くなっている。燃える戦いができそうじゃねえか……なあ!?」


    参加者
    犬神・沙夜(ラビリンスドール【妖殺鬼録】・d01889)
    月雲・悠一(紅焔・d02499)
    鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)
    無常・拓馬(信頼と安定の外道・d10401)
    琴葉・いろは(とかなくて・d11000)
    白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)
    月代・蒼真(旅人・d22972)
    琶咲・輝乃(夜空の星光の下で過去を想う者・d24803)

    ■リプレイ


     高らかなゴング音と共に、月代・蒼真(旅人・d22972)は変身した。
     全身をアルパカめいたものに包み、ダイビングラリアットを仕掛ける。
    「樹さんから貰ったスーツの力――アルパカ・ボンバー!」
     彼の毛深い腕は赤いビキニパンツの男、旧アルパカマスクの顔面に炸裂。
     旧アルパカマスクは空中で回転した。

     時は数分前に遡る。
    「ここへ、俺たちが力を合わせても勝てないような相手がやってくる。あんたもお弟子さんも無事じゃすまないんだ」
    「だから……どうだと言うんだ?」
     パイプ椅子に座る旧アルパカマスクに、蒼真は強く語りかけた。ミネラルウォーターを手に、低い声で問い返す旧アルパカマスク。
     蒼真は強く拳を握った。
    「俺は……いや、俺たちはあんたみたいな奴が好きだ。無駄に倒れて貰いたくない」
    「無駄なものか。だが、どうしてもというなら」
    「ああ……」
     仮面を嵌める琶咲・輝乃(夜空の星光の下で過去を想う者・d24803)。
     魔法少女カードを翳す白金・ジュン(魔法少女少年・d11361)。
    「「戦うしかない」」

     ――そして現在。
    「マジピュア・ウェイクアップ!」
     コーナーポストから飛んだジュンが、華麗なムーンサルトキックを繰り出した。
     リングの床にたたき付けられるアルパカマスク。跳躍し、ジュンは再びポストに着地した。
    「希望の戦士ピュア・ホワイト、四角いリングに今――降臨です!」
    「パカァ……」
     よろよろと起き上がった旧アルパカマスクを見て、蒼真と輝乃は交代した。
     着流しの袖から鱗にまみれた腕をさらし、輝乃は仮面を押さえた。
    「努力家なんだね、アルパカマスク。あなたみたいな人、嫌いじゃ無い。ううん、好きだよ」
     よろめく旧アルパカマスクに突撃。
     相手の胸を掌底で弾き、ロープに反射させる。
     跳ね返ってきた旧アルパカマスクにラリアットの構えをとると……鱗の腕と、ポストから飛び立ったジュンの腕が旧アルパカマスクをサンドした。
     そこで素早くジュンと蒼真。蒼真はアルパカアームを下敷きでこすると、激しい電気を発生させた。一直線に殴り込む。
    「アルパカ・サンダー!」
    「させるか、アルパカ・ドロップキック!」
     カウンターで繰り出されたドロップキックが蒼真の顔面に直撃。
     もろに張り倒される蒼真。
     起き上がろうとした所に追撃のエルボーが繰り出される――が、滑り込んだ輝乃の手が肘をキャッチ。すくい上げるように放り投げ、旧アルパカマスクを回転させる。
     両足を突っ張るように蹴り上げる蒼真。
     空中に舞い上がった旧アルパカマスクに、ジュンが軽やかに組み付いた。
    「マジピュア式・フランケンシュタイナー!」
     頭を脚で挟み込み、三回転をかけてリング床にたたき付ける。
     大の字になって倒れる旧アルパカマスク。
     ジュンは素早く彼を押さえ込むが、拳をリングに叩き付けた反動で跳ね飛ばされた。
    「わっ!」
     ロープを超えて場外へ転がり出るジュン。
     ジュンに変わって、輝乃が突撃の構えをとった。
    「死んで欲しくないな、あなたみたいな人は」
    「……パカァ」
     背筋を伸ばし、どっしりと構える旧アルパカマスク。
     輝乃はゆっくりと拳を引き絞り、旧アルパカマスクもまた拳を引き絞った。
    「スゲエ……」
     一連の試合を見ているのは勿論灼滅者たちだけではない。
     ジムに通っているレスラーや格闘家たちもまた、彼らの試合を見守っていた。
    「ビリビリ伝わってくる。威力をため込んだ爆弾と爆弾が、正面からぶつかり合うようなもんだ」
    「どうなっちまうんだ……こりゃあ」
     息を呑むギャラリーたち。
     輝乃は大きく大きく息を吸い、止め、大地を爆発的に蹴った。
     腕から激しい熱気を吹き出し、突撃する輝乃。
     全身から闘志を漲らせ、オーラのジェット噴射で突撃する旧アルパカマスク。
     二人の拳が正面から衝突。
     反発しあい、爆発したエネルギーがギャラリーたちを一斉にひっくり返した。
     中でもひときわ頑丈な男が、顔を覆っていた腕を上げると……。
    「ナイスガッツ、パカァ」
     ロープに引っかかってぐったりする輝乃と、リング中央に直立する旧アルパカマスクがそこにはあった。
     拳を突き上げて沸き立つギャラリー。
     そんな中。
     激しい花火を吹き上げながら対抗コーナーから歩いてくる女がいた。
    「磨き抜いた特殊メイクでグロさとリアルさがアップしたゴリアテタイガーフィッシュマスク……リ・イマジネーション! とう!」
     グロテスクきわまりないマスクを被った鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)がロープを飛び越え、リングへ拳と膝でもって着地した。
    「久しいパカァ」
    「お互い様ですわ」
     幽魅は立ち上がり、腕を水平に払った。
    「霊魅、この試合に手出しは無用ですわよ」
     小さく振り返ると、霊魅(ビハインド)はギャラリーに混じってポップ食っていた。
     ゆっくりと前に向き直る幽魅。
    「第二試合、ファイッ!」
     ゴングの音が鳴――るより早く幽魅は旧アルパカマスクに接近。聖なる栓抜きを顔面に叩き付ける。吹き上がる血。
    「ゴリアテ凶器攻撃、からの――ゴリアテキック!」
     顔を押さえて呻く旧アルパカマスク。彼の股間を幽魅は容赦なく蹴り上げた。
     アメリカ人らしきギャラリーレスラーが口をOの字にして身をすくめる。
     膝をついてカタカタ震える旧アルパカマスク。
     幽魅は高笑いしながらコーナーポストに上り、グロテスクなマスクを惜しげも無く晒すと。
    「必殺! FMC(フライング・胸の谷間で・窒息死)!」
    「パカァ!」
     フライングボディアタックで旧アルパカマスクをなぎ倒す。
     なんというヒール攻撃。
     ギャラリーたちが罵倒の限りを浴びせるなか、幽魅は悠々と両手を掲げながらロープを下りた。
     その間際。
    「あなたとはまた、楽しい試合をしたいですわ」
    「……ナイスヒール、パカァ」
     ゆっくりと立ち上がる旧アルパカマスク。
     ギャラリーたちは『分かっている顔』で語り始めた。
    「アルパカさんはGTFマスクの卑劣な攻撃によって弱っている。本当なら弱い相手を当てて体力を温存させて上げたいところだが……」
    「そんな局面に、こんな強敵を……」
     不安と緊張に包まれた会場。
     その中央リングへ登ったのは、犬神・沙夜(ラビリンスドール【妖殺鬼録】・d01889)と琴葉・いろは(とかなくて・d11000)だった。
     場外から投げられたマイクをキャッチし、びしりと指を突き出す沙夜。
    「強敵と死合って果てるも本望でしょうが、退くことから見える強さもまた、あなたの本質だと思いますよ、ムートンマスク」
    「…………」
     アルパカマスクなんだけど、その名前を捨てている以上突っ込みづらい。そんなそわそわ感を醸し出す旧アルパカマスク。
     一方で、マイクを無理に渡されて『え、私ですか?』という顔をするいろは。
    「よければリングネームをつけていただいても、いいですか?」
    「ドルリンドル玲奈」
    「できれば、別ので……」
    「後でいいだろう。私たちはタッグ交代制で戦う。レフリー!」
     沙夜は黒い獣のマスクを被り、いろはに同じマスクを投げ渡した。ロープから場外に下りる。
     いろはは渡されたマスクを被ると、大量のオーラと影闇を噴出させた。
    「わんこマスク二号――参ります!」
    「えっ」
     相対的にわんこマスク一号にさせられた沙夜があげた抗議の声は、高らかなゴングにかき消された。
     ゴングが鳴るや否や猛烈な突撃をしかける旧アルパカマスク。
    「アルパカジャイロ!」
     両肘を突き出した回転攻撃。いろはは素早く跳躍して回避。
     空振りした旧アルパカマスクの目には、ロープの上にちょんと座る霊犬若紫が映った。
     わんこマスク三号のマスクを被った若紫である。
    「意味ねえ!」
    「ワンッ!」
     ロープをぐーっと引っ張ってからのパチンコのような突撃。それが旧アルパカマスクの腹に直撃した。
     と同時に、旧アルパカマスクの頭両サイドをいろはの手ががっちりと掴み、素早く交差カットさせた。
    「パカァ!」
     脳を揺さぶられてよろめく旧アルパカマスク。
     着地するいろは。
     いろはは振り向きざまに強烈な膝蹴りを繰り出し、旧アルパカマスクの後頭部に直撃させる。
    「不思議ね、いつもより大胆になってるみたい」
     ファイティングポーズで呟くいろはに、旧アルパカマスクはゆっくりと起き上がる。
     その顔に飛びつく若紫。手刀を繰り出し、真空刃を連続発射するいろは。
     対する旧アルパカマスクは両腕を交差させ、やぶれかぶれの突撃を仕掛けた。
    「きゃっ」
     いろは無理に押し倒される。顔にはりついていた若紫を引きはがし、関節技を仕掛けにかかる旧アルパカマスク。
     が、そこへ。
    「そこまでだリャママスク!」
     リング外から飛び込んできた沙夜が旧アルパカマスクにフライングニーキックを仕掛けた。
     なぎ倒されるアルパカマスク。
     沙夜は素早くタッチ交代。旧アルパカマスクの頭を掴んで立ち上がらせると、オーラを纏った平手で高速往復ビンタを繰り出した。
    「ぱぱぱぱパカァ! パカァ!?」
     顔を左右に振られる旧アルパカマスク。
    「とどめだアルメニアンダンスパーカッションマスク!」
    「お前わざと間違えてるパカァ!」
     拳にゴング状のシールドを纏わせて殴り飛ばす沙夜。
     旧アルパカマスクはパカァと叫びながら場外へと山なりに吹き飛ばされた。
     固い地面に叩き付けられる。
     顔を上げると、そこには月雲・悠一(紅焔・d02499)と無常・拓馬(信頼と安定の外道・d10401)がいた。
     いや、アルパカのマスクを被った悠一と、黒アルパカのマスクを被った大体全裸の拓馬がいた。
    「俺たちが次世代のアルパカマスクコンビだパカ……」
    「俺を一緒にすんな!」
     マスクを脱いで地面に叩き付ける悠一。
    「早くリングに上がれ! 最終決戦だ!」

     場は緊張に包まれていた。
     だがその誰もが、旧アルパカマスクの優しさと度量を知っている。
     彼は現役を退いたとはいえ強力なアンブレイカブルだ。最初のトリオ戦でも、次のタイマンバトルでも、その次のタッグマッチでも、彼は圧勝することができたはず。
     しかし相手の技を全て受け、最終決戦まで通して見せた。
     それはひとえに、灼滅者たちの意志が本物であるかを確かめるため――以上に、彼がレスラーであるがため!
    「譲れない意地を拳で通す。嫌いじゃ無いぜ。俺も……通させてもらう!」
     専用のハンマーを起動。ボトルタンクから赤い液体が機関部に注入され激しい炎がわき上がる。
    「行くぜ!」
    「パカァ!」
     鳴り響くゴング。
     大地を蹴る二人。
     悠一のハンマーが直撃し、ロープへ飛ばされる旧アルパカマスク。跳ね返ってきた所にブレード化したバーニングオーラを発射。
     が、アルパカマスクは身体を凄まじくひねり、空中でありながら斬撃を回避した。
    「空中戦!?」
    「これが俺の本気パカァ!」
     悠一の頭を掴み、スイングをかけて放り投げる。
     そんな彼と入れ替わりに、私服姿にベルトをはめた拓馬が飛び込む。
     そして。
    「変身!」
     ベルトに『逆禁断の果実』をはめ込むやいなや、頭に紙袋だかアルパカだか分からんやつが被さり、ついでに服がほぼ全部吹き飛んでいった。
    「変態パカァ!?」
    「変態ではない、パカ裸マスクだ!」
     拓馬は両膝を曲げると。
    「モヒカンの如き美しき流線形! 母猛踵落とし!」
     アルパカマスクにニーキックを炸裂させた。
    「この構えに覚えがあるだろうパカ、モヒカン野郎からパク、受けつ、パクった技パカラ!」
    「言い切ったパカァ!?」
    「母猛漢百裂拳!」
     起き上がらせた旧アルパカマスクに連続パンチ。
    「パカ裸裸裸裸裸裸裸裸裸! パカ裸ァ!」
    「パカァ!」
     殴り飛ばされる旧アルパカマスク。
     そこへ悠一がリングイン。ハンマーを投げ捨て、格闘の構えをとった。
    「我流でいかせてもらうぜ」
     炎を纏った拳を繰り出す悠一。
     相手に拳がめり込んだ直後、素早く回し蹴りを叩き込む。
     よろめいた旧アルパカマスクを見て、拓馬へとアイコンタクトした。
    「行くぞ変態!」
    「母猛漢・ダブル・スープレックス!」
     拓馬は旧アルパカマスクにジャーマンスープレックスを仕掛け、リングに叩き付ける。
     が、アルパカマスクは柔軟に身体を曲げ、拓馬を両足でホールド。
    「俺が同じ技に屈すると思うパカァ!?」
    「なに!」
     両手を足のように踏ん張り、胴の力だけで拓馬を放り投げる。
    「アルパカ・キャノンボール!」
    「ぐああああああああパララア!」
     コーナーポストに叩き付けられる拓馬。
     変身が解け、いつもの私服姿に戻った。
    「変身解けたら服が増えるのおかしいだろ」
     と言いつつ立ち塞がる悠一。
     彼の身体からバーニングオーラがわき上がる。
    「まさか、こうして本物と戦えるとはな。本当の意味で、因縁ってやつを感じるぜ」
     悠一が派手に構える。
     同じく構える旧アルパカマスク。
     すると、旧アルパカマスクの後ろに巨大なアルパカの姿が見えた気がした。
    「行くぞ若者、受けよ我が執念!」
    「来いよ先人、うなれ俺の赤焔!」
     お互いの全力パンチが炸裂した。
     拳と拳がぶつかり合う。
     波状エネルギーがリングを中心に爆発し、ギャラリーたちが一人残らずひっくり返った。
     その中心で歯を食いしばる二人。
    「パカァ!」
    「おらぁ!」
     最終爆発。
     そして。
     リングの中央に残っていたのは……悠一だった。
    「……っっしゃあああああああああああああああああ!!」
     両拳を振り上げて叫ぶ悠一。
     ギャラリーたちもまた、歓声を上げて彼の名をコールした。
     鳴り止まぬ叫びと拍手。
     煌々と光るスポットライト。
     悠一はこの日、レスラーの魂を手に入れた。


     こうして、旧アルパカマスクとジムの一般人たちは地下練習場を去ることになった。
    「レスラーに二言はないパカァ。それに、俺が破られた以上ジムは畳むほか無いパカァ」
    「なんだ、どのみち負けたら去るつもりだったのか」
    「納得して去るのと、納得せずに去るのとでは大きく違うパカァ」
     そう呟く旧アルパカマスクの手には、金色のマスクが握られていた。
    「だが今日の試合で掴んだパカァ。最強への道のり……」
     彼はマスクを被ると、強く親指を立てた。
    「ゴールデンアルパカマスク。現役復帰パカァ!」

    作者:空白革命 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年1月28日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 7/感動した 6/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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