バレンタインデー2015~チョコレイトロリポップ!

    作者:志稲愛海

     ちっちゃくてまんまる可愛い見た目は、まるでロリポップキャンディーのようで。
     カラフルな色合いやトッピングは、とても楽し気で華やか。
     しかも、たくさん作れるくらい簡単なのに、アレンジは自由自在!
     可愛いものが好きな人には、動物さんやお花のカタチのロリポップを。
     賑やかな雰囲気が好きなあの人へ贈るのならば、色鮮やかに大胆に。
     渋めで落ち着いたものが好きそうな人にも大丈夫、甘さ控えめシンプルなものまで。
     好みのスポンジケーキで作った生地に、キャンディーのように棒をさした後。
     くるりとチョコレートでコーティングして、好きなように自由に飾ってみれば。
     貴方だけの――オリジナル・ロリポップチョコレートの完成!

    ●チョコレイトロリポップ・パーティー!
    「もうすぐバレンタインだが……やはりバレンタインといえば、チョコレートだな!」
     そうぐっと気合を入れて拳を握る綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)に。
    「バレンタインか、もう2月だもんな」
    「紗矢っちは、誰かにあげる予定とかあるのー?」
     そういえばと首を傾ける伊勢谷・カイザ(紫紺のあんちゃん・dn0189)と、オレもチョコ欲しいーとへらりと笑む飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)。
     そんな二人や教室にいる皆に。
    「特に誰にあげるかとかは、決めてないんだが……参加したいバレンタイン企画を見つけたんだ」
     紗矢は、ある1枚のチラシを見せるのだった。
    「えっと、なになにー? ロリポップチョコレート作り?」
    「ロリポップチョコレートか、ケーキポップとも言われてるな。作り方も簡単でたくさんの量できるし、何より見た目がすげー可愛くて色々アレンジできるから、確かにバレンタインチョコにぴったりだな!」
     そうチラシを覗き込む遥河と料理好きなカイザに、紗矢はこくりと頷いてから。
     その瞳をキラキラさせて、続ける。
    「ロリポップチョコレート作りは勿論、バレンタイン用のものを作った後に、試食を兼ねたお茶会も催されるらしい。可愛くて美味しいだなんて……正義だと思わないかっ?」

     ロリポップチョコレートは、ケーキポップとも言われていて。
     クリームチーズを混ぜたスポンジ生地で形を作り、キャンディーの様に棒でさし、チョコレートでコーティングして。あとは自由自在にデコレーションできる、一口サイズの可愛らしいお菓子だ。
     今回の企画では、生地はあらかじめ、プレーン・抹茶・イチゴ・チョコ味など様々なものが用意され下準備されているというので。
     好みの生地を好きな形にして棒にさし、様々な味や色のチョコレートでくるりと包んで自由にデコレーションして、オリジナルのロリポップチョコレートを作ってみよう! という内容であるという。
     そして、デコレーションの自由度は高いが手順は至って簡単な上に、一度にたくさん作れるので。バレンタインプレゼント用のものを作るついでに味見もかねて、作り終わった後、みんなでチョコレートを食べる試食会も催されるという。
     作った力作を披露したり、試しに作ってみたものを味見してみるのもいいし。余った生地で、ちょっとしたチョコレートフォンデュも楽しめそうだ。

    「生地はあらかじめ、主催側が下準備していてくれるのか。ケーキ生地も、コーティングするチョコレートの味も、飾るトッピングも、色々な味や種類が用意されているんだな!」
     そう興味深そうに詳細を見るカイザに、遥河も頷いて。
    「生地やチョコの種類がたくさん選べるならさ、甘い物が苦手な人もいけるかもね! 抹茶生地とかビターチョコもあるみたいだし。わ、ていうか、デコレーションって工夫次第で、ホントに色々できるんだねー!」
     女の子らしく、カラーシュガーのお花やチョコペンで描いたレースなどで可愛く飾るのも良し。
     動物さんや好きなものの形をした、個性的なロリポップもまた良いだろうし。
     シンプルに、ナッツやアラザンなどを少し散らすだけでも十分にお洒落だ。
     短いメッセージなどをチョコペンで描いて、気持ちを伝えてみるのもまた良いだろう。
     それぞれ、好みや渡す人のイメージに合わせて等、自由にたくさんのロリポップチョコレートを作ってみよう!

    「動物さんも捨てがたいが、お花のデコレーションもすごく可愛いな……」
    「簡単に作れるお菓子だから、どっちも作れると思うぞ」
    「チョコレートは貰うのもすっごく楽しみだけどさー、作ってみるのも面白そうだねっ!」
     紗矢は、そんなカイザと遥河の言葉に、もう一度こくりと頷いた後。
    「もしよかったら、このロリポップチョコレート作りのイベントに、参加してみないか?」
     教室にいる皆にも、改めてそう声を掛けたのだった。


    ■リプレイ


     失敗しても、美味しく頂けば無問題!?
     ましろがリボンで束ねるのは、ありがとうと大好きが沢山咲いた、お花のチョコ。
    「チョコの花束か……インパクトもあっていいんじゃない?」
    「美夜ちゃんのは犬猫いっぱいで可愛い♪」
     美夜が作るのは、お座りやお昼寝ポーズが可愛い優志の家族達。1つだけ、コーヒー豆を入れて。
     もちろん味も、ぱっくん味見したましろのお墨付き!
     その笑顔を見ると、頑張れるわたしになれるから。
     紗奈の喜ぶものをと、ひよりはまんまるチョコに猫耳つけて。
     紗奈を気にかけつつも深呼吸、チョコペンで黒猫さんの顔とおヒゲを。
     そして嬉しい笑顔をくれるひよりに紗奈が作ったのは。
    「さなちゃんも出来上がり?」
    「うん、向こうでいっしょにチョコレート食べよう!」
     びっくりさせたいから……当日までナイショ。
     何でやろーと呟く裕士の手つきは怪しげだけど。
     すぐ傍で、くるり生地にチョコを纏わせる夜露は楽し気で。すごいわーと褒めて貰えれば、満面の笑顔。
     そして、あーんと試食し合う二人を飾るのは、去年作った瑠璃と水晶の色。
     今年も、またこうやって。
    「すっごい愛してるで、夜露」
    「世界で一番、お兄ちゃん愛してる、やで。」
     最大の愛を――二人で紡いでいく。
     器用で手慣れた、ムキムキ腹筋柄エプロンの七尾だけど。
    「ぶっ?! えっちょー……これさあ、何?」
     チョコペンで描いた顔は、まさに画伯!
     シタは笑いを殺しつつ、手際よく可愛くなる魔法をかけてあげて。
     Hoo! 女子力ゥ! とちょっかいをかけながらも。
    「……で、お前それ誰にあげんの??」
    「だぁめー! ないしょちゃんなのっ」
     七尾は、顔が赤いシタにニヤニヤ。
     アリスのロリポップは、まさに不思議の国。
     何故かチョコ作りを止められたミルフィも、試食のお手伝い。
    「はい♪ ミルフィ、あ~ん、して下さい♪」
    「ん……♪ いつもながら……とっても美味しゅうございますわ……♪」
     差し出された白兎をぱくり口にすれば、ほっぺが落ちそうな美味しさ!
     そして兎さんのお返しは――くるり甘さを纏わせた、チョコフォンデュで。
     色々な道具を使って翼が器用に作るのは、ナノナノ、キャリバーに霊犬!
    「……どうだ、刃だぞ。中々上手くできてるだろう?」
     そんなチョコの刃に見入るディアナも。
    「何だか魔法使いの杖みたいだと思わない?」
     甘いお星様やアラザンの星屑煌くロリポップを、リボンで飾って。
     これで魔法掛かるかしらと、照れつつも一振り。
     翼が私のこともっと愛おしくなる恋の魔法――と。

     悟が作るのは、えびふりゃーぽっぷ!?
     それをカイザにあーんすれば。
    「!!?」
    「どや? 効果は抜群や!」
     中身は、わさびてんこ盛りの大サービス!
     そして悶えるカイザに良い笑顔で水を渡した後。ちゃんと甘いのを作り直します!
     すずりが作るのは、自分へのご褒美の花束ロリポップ!
     一足早い春を華やかに咲かせながらも。
    「ねぇねぇ、伊勢谷君は何を作っているの?」
    「俺のは霊犬ぽっぷだぜ!」
     器用な手際のカイザのチョコを覗き込む。
     そして紗矢にノリノリで渡されるのは。
    「これを受け取る相手になったつもりでぜひ紗矢君の感想を伺いたい」
     アンカーの、赤い花咲くチョコレートの花束。
     それを、美味しいし綺麗だなと食べた紗矢に礼を言った後。
     縁日のあんちゃん風に、残りの材料でたこ焼ロリポップを!
     3種のバウムクーヘンをぐるぐるロール状にジヴェアが巻いていけば。
     あっという間に、顔サイズに!?
     それを3色チョコで包んで模様をつけ、沢山トッピングで飾って。
    「みんな見てみて~」
     おっきなロリポップを皆に見せて、得意顔!
     紅葉狩りの時の彼女にあげるのか? と、笑顔で訊いたカイザに頷くも。
    「て、てかさ! カイザは誰にあげるんだ? 聞かせろよー!」
     照れつつも、そう誤魔化すように話題を振る薫。
     何て言ったって……彼女との、どきどきな初バレンタインだから。
     水花のロリポップは、雪の結晶柄とバケツをかぶった雪だるまさん。
     カイザのは、まんまる霊犬のゼロポップ。
     そんな互いのチョコを見せ合った後。
    「折角なので、交換してみますか?」
     おう! と頷くカイザと、水花はチョコを交換こ。

    「いぬー! わんわん!」
     嬉し気なぬいの手には、上手に抜けた犬型の生地。
     ららも雑貨舖の皆の為に、動物さんをいっぱい作って。
     目の前はすっかり、ロリポップの動物園!
     わーわー楽しく共同作業して可愛くデコれば。
     自分のは不恰好な気もするぬいだけど、バッチリ完成です!
     そして。
    「頑張ったから、らら達だけで先にお味見しちゃおー」
     ナイショの味見も、もぐもぐの幸せ。
     ニホンオオカミの姿だけど、瑠禍は知っています。
     愛と気合いがあれば出来ない事は無いと!
     そして喜乃は犬耳ロリポップに顔を描きつつ、気合充分な瑠禍の様子をちらり。
    「……瑠禍も食えるように多めに作ることにするわ」
     謎の物体Xを量産する彼女の分も、作る事にしました。
     そんな彼を見ながら、瑠禍はぽつり一言。
     喜乃がずっと一緒にいてくれたらいいのになぁ……と。
     相変わらずのツンっぷりだけど、どこか誘われて嬉し気なもいかは。
     アルヴァンの手際の良さに、ちょっぴり感心。
     でもそれも、全力でナンパの補助スキルです!
     そして。
    「ちょっとでも感心した私がバカだった……むぐっ!?」
    「美味い? もいかのためのロリポップだぜ?」
     そうアルヴァンにチョコを差し込まれ、もいかが返すのはやっぱり。
     反射的に飛び出した、ぐーぱんです!
     先輩の卒業祝いにスーパー布団子が作るのは、ずっとしまっておきたくなるようなスゴイチョコ!?
     藤乃はそんな彼女にのんびり笑いつつ、一緒にダークチョコのロリポップをお洒落に飾って。
     ホワイトチョコの方は、似顔絵を――。
    「うーん、これ人の顔……だよね?」
    「あ、藤乃もヘタだ」
     大丈夫、手作り感たっぷりです!
     そしてお楽しみの試食分も、しっかり忘れません。
    「時兎、甘いもの……それほど好きでは、無かったのよね?」
     そう顔を覗く瑠璃に、へーき、と答えて。
     時兎は悩んだ末、果物にチョコを纏わせる。
     そんな彼に瑠璃があーんしたのは、第一号の兎さん。遥河とカイザにも白と黒の兎さんをお裾分けして。
     そして時兎も、紗矢に一つ分けてあげた後。
    「瑠璃もあーん、してほし?」
     大切な親友に改めて二人で――これからもよろしく、と。
     クリスと桃夜も、パー子のお土産に沢山のロリポップを!
     ショコラ生地をイチゴチョコで包み、アラザンやスプレーで飾れば。
     桃夜も絶賛な、クリスのロリポップ完成!
     でも肝心なのは、やっぱり味。
    「というわけで最初の一本はトーヤがどうぞ」
    「はい、オレのパー子ポップも食べて食べて~」
     でーんと大量のロリポップを並べるクリスに。桃夜も、ナノナノなパー子ポップを!
     お菓子といえば和菓子だけど。折角だから、括と名雲もロリポップチョコに挑戦!
     括がくるり咲かせるのは、ピンクと白の雛菊。
     そして名雲がいざ描くは、動物の顔……だけど。
    「かわいくできてると思うケド……狐? 狼?」
    「うむむ、予想以上に難しゅうございやした……」
     上手くいかずに、思わずしょぼーん。
     でも、食べた人が笑顔になるのならば――愛嬌ある狐さんも本望です!


     どこを見てもチョコだらけの楽園!
     【桜堤3ーF】の3人も、甘い世界でチョコ作り。
     サーニャはくるり丸めた生地をチョコで包んで。沢山の色や味の、お花ロリポップを。
    「こんな感じに作ったんだけど、どうかな?」
    「……成る程、ちょこぺんで絵を描くのも手かの」
     迷いながらも可愛いクマさんポップを作る咲耶を見つつ、ルティカはスポンジ生地の上に苺を刺して。
     何だかおでんの様な印象は、銀のアラザンをかけて回避!
     そして完成した後は勿論。
    「二人のチョコ、どっちもすごく美味しそうでござるね」
     仲良く1本ずつ、交換この味見を!

     【蝉時雨】の皆も、作ったチョコを早速試食!
    「皆の個人的なイメージフラワーで作ってみたわ、どうぞ遠慮なく」
     そう櫻が差し出すのは、食紅やアラザンで彩られ咲いた、精巧なチョコの花々。
    「わぁ、櫻ちゃんのすごいクオリティ高いねー。食べるの勿体ないくらい」
     何気に嘉市のチョコを盗み食いしようとしつつも。ひよこにナノナノにゆきだるま、理一は可愛らしいロリポップを皆に、あーんとお裾分け。
     そして至福の表情なミケは早速、ほらほら寄越せーと全員のチョコを貰うべく両手を差し出して。
    「この顔が微妙な三毛猫さんをあげるから、交換!」
    「って、こらミケ、そんなにいっぺんに食ったら喉詰まらせちまうぞ」
     一思いに食っちまってくれ、と。嘉市は、くちばしがポイントな愛嬌たっぷりひよこロリポップを、ぴよっと並べる。
    「見た目が綺麗だったり、可愛らしかったり個性が出ていますね」
     そう皆のチョコを眺める惟元は、抹茶とプレーン生地をビターチョコで包んでホワイトチョコでラインを引いた、シンプルイズベストなチョイス。
     料理が苦手な奏哉も、どうにか丸型のロリポップを完成させて。
     うさぎもプレーン生地にイチゴチョコを纏わせ、アラザンを散らしたロリポップを。抹茶や、ビターチョコにナッツもおすすめ!
     でも――何よりも。
    「どれも美味しくて、つい……食べ過ぎてしまいそうだ」
    「……うん、やっぱりみんなと食べると美味しい、ね!」 
     わいわい皆で作って食べるチョコは、何倍も美味しい。

     【木庭荘】の女の子達に付き合って来たものの、退屈してきた悟狼。
     そんな彼に差し出されたのは、4人それぞれ彼の為にフォンデュした、ロリポップ。
     まずはみなみのオーソドックスなチョコを味見して、いつも通り酷評した後。
    「でき……た、ゴロー。アタイの、喰えっ」
     次は、作り方を教わりつつ、大きなまん丸苺生地をどぼんとチョコに入れてみた莉亜のロリポップを。
     結構旨いじゃねぇかと、悟狼は莉亜の頭をワシワシ撫でてから。
    「ったく、なんでアタシがアンタなんかの為に本気チョコを……!」
     そう言いつつも突きつける桂花のチョコは、甘ったる過ぎないよう何気に配慮した味。
     そして慌ててツンな言動を取る彼女に、なんだかんだで可愛いよなと、悟狼はニッカリ。
    「……はい、ゴロー。クトの自信作」
     次に食べたヴィクトーリヤのチョコはちょっぴり甘かったけれど。
     渡された無糖の紅茶を飲みつつ、彼女の頭も撫でてあげた後。
    「みなみ。お前のもう1個よこせや」
    「はい、ただいま……♪」
     悟狼はもうひとつ――みなみのチョコを、おかわり。

     冬はやっぱり、雪だるまさん。
     七葉は紗矢にも味見を頼みつつ、雪だるまさんに帽子やマフラーをつけて。
    「ん、私のイメージがこんな感じなんだ?」
     銀河の、雪に芽生えた七つ葉クローバーロリポップを覗き込む。
     藍花のはゴスロリと藍染めの花、ビハインドは白いフリルやリボンをつけて。
     そして藍花とビハインドは、4人の顔型ロリポップを!
    「はい、けっこう上手に出来たと思いますが……、よく出来すぎて、どう頂いたものでしょう?」
    「藍花のも可愛……なんか私だけリアル!?」
     そっくりで、食べるのが勿体無いけれど。
     記念撮影した後、幸せな甘さをいただきます!

     甘い香りと賑やかな声に包まれながら、【週末幸房】の皆もチョコの試食を!
     バレンタインといえば、女の子の行事な印象だけど。
    「男の子でも甘いものは好きだよ? オレたちも早くいっぱい食べよ」
    「よし俺らで食いつくしちゃお! れっつごー! 幸せの新大陸を見つけるのだ!」
     春に手を引かれた優利が目指すは、幸せの新大陸!?
     そしてチョコの海へと面舵いっぱい! いざ、好みの船を選んで進水式。
     夜紘のマシュマロ船は大人っぽいビターの海に、クリスタは抹茶の海へ。夜深が選んだのはバナナ船。
     続くドロシーがイチゴのお船を飛び込ませたのは、甘ーいホワイトチョコの海。
    「一応カットした果物とパンも持ってきておいたから足りるはず……よね?」
     そんな悠衣が春に勧める船は、ふわふわのマシュマロ。
     目移りしつつもパンを選んだ花礫は頬張る時、ほっぺたも一緒にデコレート。
     そして作ったロリポップを、皆で見せ合いこ。
    「む……我、作成品。ちゃンと、猫さン、見えル、かナ? 愛らシ?」
     ちょっぴり歪だけど、誰かに似た黒猫ロリポップを手にする夜深に。
    「おれの作ったのより、ずっとカワイイ。ほら見て、おれの。ヘン」
    「俺が作ったこれ、は。ぱんだのつもり、なんだけど。これじゃ、ただのクマ……」
    「みんな、すごく、じょうず。……わたしの、は。ちょっぴり、へたっぴ。さん」
     ウ二っぽい形のチョコを手にいひっと笑うミツバと、クマっぽいパンダに呟く花礫。ドロシーの手には、ふんわりひとつピンクのお花が。
     でも、大丈夫!
    「少し歪でも、温かさを感じるからあたしは好き。なので……誰かあたしにもちょーだい」
    「おれ、食べる専門だからさ皆の一口ずつちょーだい!」
     個性的なロリポップに思わず笑顔を宿すクリスタと、どれも美味そうだと狙い定める冴が、すかさずおねだり!
     そんな二人に、悠衣も笑んで。
    「チョコは逃げないからゆっくり、ね?」
    「味見、等価交換で」
    「いーよおっけー。交換っ!」
     夜紘と優利も、味見の交換こを。
     そんな皆で過ごすチョコ尽くしな時間は、甘くて優しくて――そして、楽しい。


     【サーカス小屋】のレディ達も、素敵な河野お勉強を兼ねて、可愛らしいショコラ作りを。
    「懐かしい……里の匂いがするの」
     雛に長い袖を襷がけして貰ったこのはは、抹茶生地を選択。
     そしてチョコをいざつけようとするも……鍋の縁にうっかり触って、熱さに涙目に。
     そーっとおっかなびっくりイチゴチョコに生地をつけてみたエリカも。
    「……チョコレートから、どのくらいで、引き上げればいいでしょうか」
     チョコをくぐらせたロリポップを見つめつつ、雛に目配せしてヘルプ!
     そして、鍋のチョコを混ぜ混ぜするエステルも……?
    「お手伝い希望かしら。あらあら、随分大きなお子様ね」
    「……ひなちゃん、私一応中学3年生なの、ちみっこじゃないのー」
     このはやエリカにデコレーション用のアラザンやカラースプレーを渡しつつ言った雛を、ぺちぺち。

     【刺繍倶楽部】のロリポップも、様々で楽し気。
    「お、一個ずつ丸の数変えてんだ、団子の美味そう」
    「供助兄ちゃん皆の似顔絵描くなんてマジ器用だなー?」
     健が作るのは、煌くスーパーボールに雪だるま、苺・白・抹茶の三色団子。
     供助は夜店の林檎飴の様な真っ赤なロリポップに、皆の似顔絵を。
     藤乃はハートや小鳥……から、丸型に路線変更。
     雪華や梅花や水仙描けば、蜻蛉玉の様で。簪みたい――と呟けば。
    「できた! 動物園! ふじふじ、うさぎあーん。ひよこは供さんにあげるー。健くんも団子と交換しよー!」
    「え! あーん………い、頂きます」
     決死の覚悟で口を開ける藤乃。
     供助はサンキュ! と、希沙のひよこと、彼女のむくれ顔チョコを交換こ。
     そして健も希沙と交換しつつ提案を。
     もっといっぱい作ってお土産にして、皆で食べよう! と。

     【武蔵坂軽音部】の皆も、部員への友チョコを沢山作りに!
     錠が手際良く作るは、ブルーベリーの夜空。その空には、小さなチョコの白星とキラキラアラザンが。
    「めいっぱい可愛くデコっちゃうんだから!」
     時生が作るチョコは、クリスロッテを模した『ナノチョコ』!
     クッキーのお耳に、砂糖細工の♪がポイント。
     緊張して手が震えるけれど。朋恵のわんちゃんロリポップにも、お揃いの音符が飾られれば。
     けいおんの皆……ひつじ……? と。
     壱も作ったひつじさんに、角や楽器型ビスケットをそれらしく――。
    「チョコペンて難しいわね……」
     出来マセン先生!
     そこでさり気なく錠がアドバイスを。
    「チョコペンは、こう切り口を斜めにすると使いやすいぞ」
     そして完成した沢山のロリポップとロッテと。
     笑った皆の大好きな顔を――ぱしゃり、記念撮影。

     部長の維の掛け声に、おー! と気合充分な【虹色プリズム】の面々は。
     二班に分かれて、早速作業開始!
     偶数班のモチーフは、『虹』。
     レディが男の子に渡すのが普通なんて不思議、と。
     アリスはミルクチョコで包んだ生地を、七色ハートのスプリンクルで飾って。
    「儚ちゃんのは形も凝ってるのね、凄い!」
     アラザン光る、空に架かる橋の様な儚の虹に感心。
    「さぁて、とっておきの虹を作らなくっちゃ」
     そんなゆきの虹は、落ち着いた色味にシュガースプレーの煌き添えた、はんなりさん。
    「チョコペンって難しい……」 
     そう苦戦しつつまなむが描くのは、くねくね波打つ薄緑の線。
     ハートらしき模様がとんでもない感じになった気がするけれど……味は美味しいはず!
     そして湊もいざ、ザ・女のチョコを!
     鮮やかオレンジにミルクチョコを垂らし、パウダーで仕上げを。
    「柚木のオレンジチョコ、美味そうだな」
     啓太郎は女性陣の作品を眺めつつ、抹茶生地にビターチョコを纏わせて。
     解りやすく、七色チョコペンで『Rainbow』の文字を。
    「シンプルイズベストっていい言葉だよな」
     その隣でイカルも、とりあえず虹っぽくなればと。ホワイトチョコで包んだ抹茶生地に七色模様を描いて。
     もぐもぐ大使の与四郎も今は我慢。水色ソーダの空を纏わせて、白チョコのドットと七色スプレーで、青空に浮かぶ虹を。
    「男性陣もなかなかのできですな、侮れぬ……」
     皆の虹に感心し、湊は呟きながらも。並べてみれば架かる、個性的な虹たち。
     それに。
    「わ。島柄長さんそっくりのチョコまで……って、本物……!?」
    「大変っ、ゆきがおいしそうっ」
     ゆき型チョコまで!? いえ、チョコまみれになっている本人です。
     そして奇数班が作るのは、『星』。
    「う、うん。愛は、込めた!」
     ちょっぴり歪な気はするけれど。ひかりは六芒星に挑戦!
    「凄いっスね! 六芒星は難易度高い。巳桜ちゃんのはやっぱ綺麗っス。品があるっつーか」
     手際良く星を量産しつつ皆の星を眺める颯人は、流石部が誇るパティシエ!
     そんな颯人も絶賛な巳桜のチョコも売り物のようで。白いお星様を飾るのは、黄色の星屑やレース。棒にも可愛い藍色リボンをきゅっと結んで。
    「やばいこれ星って判んなくね……?」
    「杉崎くんのも大丈夫、金平糖みたいで星らしいわよ」
     龍生のホワイトチョコの星には、たっぷりカラフルなスプレーチョコが。
     そして黄色に拘った海は、仕上げに転写シートでミニドットを描いて。
    「楽しようと思ったわけじゃないのよ?」
    「ふしのサンのドット……なにそれ凄いッ!」
     思わずそう声を上げた、つばめの作品は。
    「つばめの星ヤバいめっちゃ目合うこわい」
     やたらリアルフェイスな、人面星!?
     いえ、そう言うレナードも。
    「……レニーくんの星は凶器にでも使われたんスか……」
     イチゴ味のペンで書いたソレは、たらり垂れた血文字!?
     そんなダイイングメッセージ的な星の隣に、そっとつばめが人面星を並べれば……ホラー度アップ!?
     さらに。
    「あらあらまあまあ、つばめ様のお星様はイケメンではありませんの」
     林檎が並べた、お目目ぱっちり美少女人面星! お似合いカップル誕生!?
     そんな、個性的過ぎる星々に。
    「この辺カオスすぎない!?」
     思わずそう声を上げる維だが。
    「あ、かきょう先輩! 私が顔を描きましょうか」
     バナナチョコでコーティングした維の星も、カオスの仲間入り!
     そんな芸術のビッグバンもなんのその。
     皆で作った虹と星を、早速合わせてみて。
     颯人の用意した、【R・P】のサプライズチョコプレートが添えられれば。
     いっぱい並んだ、虹と星のロリポップはまさに――キラキラ煌く、虹色プリズム。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年2月13日
    難度:簡単
    参加:89人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 10
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