●名ばかり実験
「さあさ、今夜の実験は人体の不思議についてだ。生徒諸君、準備はいいかね?」
薄暗い洋館の一室にて、陽気な男の声が響く。
声の主は年の頃にして四十半ば。口髭を生やした彼は黒い薄手のスーツの上に白衣を羽織っており、理科教諭のようだと表すに相応しい。
彼の前にあるテーブルに強制的に座らされているのは小中学生の少年少女達。
彼等はどこかから無理に連れて来られたらしく、誰もが怯えきっている。しかし、男は何も気にすることなく話を続けた。
「其処のキミ、まずは最初の実験台になってくれたまえ」
「ひっ……」
指差された少年が身を竦め、その表情が恐怖にひきつった。男は自分の髭に触れながらもう片方の腕で少年を引き寄せる。
「おや、返事は? 『はい、モーリス先生!』と元気な返事をしなさい」
「は、はい……モーリス先、生……」
少年は声を振り絞り男に従った。何故なら、男の手には鋭利なナイフが握られており、逆らおうにも怖くて出来ないのだ。少年の返答に満足そうな表情を浮かべた男は少年の首筋に触れる。そして――。
「人間というものは不思議なものでね。例えば、ほら」
男が示した瞬間、少年の首筋から血が溢れ出した。
「こーんな風にいとも簡単に斬り裂けてしまうのさ。どうだい、愉快だろう?」
少年がナイフで切られた痛みで呻き、残された子供達が悲鳴をあげる。
男はにやりと笑い、その様子を愉悦の眼差しで見つめていた。その口の端に見える八重歯は鋭く尖っており――ヴァンパイアたる男、モーリスは自分の指先に滴った少年の血を実に美味そうに舐め取った。
●幻の栄華
軽井沢の別荘地の一部がブレイズゲートになり、付近の子供達が浚われている。
その悪事を行っているのはヴァンパイアのモーリスと名乗る男らしい。事前に調査に向かい、情報を持ち帰った灼滅者の話を聞き、君は仲間と共にブレイズゲートへ向かった。
このブレイズゲートの中心となる洋館は、かつて高位のヴァンパイアの所有物だった。だが、そのヴァンパイアはサイキックアブソーバーの影響で封印され、配下のヴァンパイアも封印されるか消滅するかで全滅した。
しかし、この地がブレイズゲート化した事で消滅したはずのヴァンパイア達が蘇り、かつての優雅で残酷な行いを繰り返すようになったのだ。
復活したヴァンパイアは一度は消滅した配下の一人。彼、あるいは彼女は別荘のひとつを占拠し、かつての暮らしと栄華を取り戻そうとしている。
ヴァンパイア達はブレイズゲート外に影響するような事件を起こすわけではない。だが、その中に一般人が取り込まれているのならば放ってはいけない。
敵の灼滅を決めた君達は件の屋敷へと赴く。
実験と称して子供の血を啜る、悪しき吸血鬼を滅ぼす為に――。
参加者 | |
---|---|
百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286) |
江良手・八重華(コープスラダーメイカー・d00337) |
桃野・実(水蓮鬼・d03786) |
五十里・香(魔弾幕の射手・d04239) |
高倉・奏(二律背反・d10164) |
天城・翡桜(碧色奇術・d15645) |
火伏・狩羅(嚆矢・d17424) |
天城・ヒビキ(インディゴファイア・d23580) |
●実験のはじまり
灯が落とされた昏い洋館は血の匂いがした。
踏み締めた床が鳴る音。開いた扉の蝶番が軋む音。そして――ヴァンパイアが行う『今夜の授業』を受けに仲間達が部屋に踏み入った音。
それらを扉の外で聞き、事が起こるのを待つ江良手・八重華(コープスラダーメイカー・d00337)は胸中で独り言ちる。
(「しかし、悪趣味さで言えば六六六人衆以上だな」)
自嘲めいた思いは奥底に仕舞い、八重華は神経を研ぎ澄ました。
同じく息を潜める火伏・狩羅(嚆矢・d17424)は肩に乗っている霊犬をちらと見遣る。静かに、と行動で示した狩羅の思いを受け取った倶利伽羅は心なしか表情を引き締めたように見えた。
(「それにしてもこの辺り一帯がブレイズゲート化しているとはな」)
五十里・香(魔弾幕の射手・d04239)は先程会った子供達の言動から、付近すべてがブレイズゲート化している事を知った。外には影響を及ぼせないダークネスも、内部地域に住む人間になら手を出せるのだ。
(「皆さんが席に着いたようです……!」)
様子を窺う天城・ヒビキ(インディゴファイア・d23580)は待機組に視線で合図を送り、突入する機会が巡るのを待った。
同じく、実験教室と称された部屋の内部。
――大丈夫ですよ。貴方がたの代わりに、私達が行きますから。
――気をつけてね……ちゃんと席に座らないと、怒られるよ。
天城・翡桜(碧色奇術・d15645)は別室で接触した子供達との会話を思い返し、その忠告通りに並べられた椅子に座っていた。
「今夜も集まったようだね。さあさ、楽しい実験をはじめようじゃあないか」
件の吸血鬼、モーリスは灼滅者達を一瞥すると黒板に目を向ける。桃野・実(水蓮鬼・d03786)と高倉・奏(二律背反・d10164)は大人しく席に着きながらも、いつ見破られるかと危惧していた。
(「明らかにあの子達とは背格好が違うけど、平気みたいだ」)
(「苦しい言い訳をしないで済みそうですね」)
アイコンタクトで語り合う二人。どうやら部屋が暗い事と、モーリスが子供の顔や格好を然程気にしていないこともあって何とか潜り込めているようだ。何より、緊張している様子が怯えているように感じられたらしい。
そして、振り返ったヴァンパイアは一番前に座っていた百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286)に目をつける。
口髭に触れた彼は少女を見据え、口元を三日月型に緩めた。
「今夜はキミにしよう。おいで、実験台になってくれたまえ」
「はい、モーリス先生」
ゆるりと立ち上がった莉奈は促されるまま歩み寄る。大人で白衣のヴァンパイアに心ときめく気持ちもあったが、今の莉奈には別の思いがあった。
もしこの部屋がもう少し明るかったならば、モーリスも気付いただろう。
彼女の柔らかなショコラブラウンの瞳がさながら獲物を狩る時のように一瞬だけ鋭く細められ、その唇が小さな笑みを形作っていたことに――。
●血の授業
ヴァンパイアが違和感を覚えたのは数秒後。
「では、今夜は……む? キミは――」
間近で莉奈を見たモーリスは此処でやっと、部屋に訪れたのが子供達ではないことに気付いた。肩を掴まれた形の莉奈は悪戯っぽく双眸を緩め、軽く舌を出して笑む。
「ばれちゃったにゃー」
もう少し授業を聞きたかったのに、とおどけながらモーリスの手から逃れ、莉奈は魔帯の力を展開する。彼女の動きを起点として、大人しく着席していた翡桜や奏、実も即座に立ち上がった。
「もう怯えてる振りする必要もないですよね!」
奏が呼びかけた刹那、全員が封印解除を行う。途端に周囲の空気が渦巻き、ビハインドの唯織と神父様、霊犬のクロ助が其々の傍に現れた。
同時に、突入の機を窺っていた狩羅が扉を蹴破る勢いで踏み込む。
「妙な授業も今日までです! ――倶利伽羅!」
呼び声に応えた霊犬が主人の肩を蹴り上げる形で跳躍し、モーリスに飛び掛かった。斬魔刀が敵を切り裂く中、相手が反応する間も与えずに狩羅も蹴りを放つ。
続いた八重華は黒い殺気を放出し、薄暗かった部屋を更なる昏さで覆った。
「ここは本職が、殺人の趣きというやつを教えてやろう」
己の忌み嫌う殺人鬼としての性質を受け入れた上で、八重華が紡ぐ言葉には相応の重さが伴っている。満ちてゆく殺気には目の前のダークネスを灼滅するという確かな意志が宿っていた。
「ふむ、諸君は私の愉しみの邪魔をしに訪れたということかね」
受けた痛みをものともせず、モーリスは片目を瞑って確かめるように問う。其処に未だ余裕があると感じ、香はその通りだと皮肉交じりに肯定を示した。
「生存のために犠牲を求めるのであればまだ分かるが」
愉しみだと言い切ったヴァンパイアを赦すことはできない。敵を睨み付けた香は手にした標識を掲げ、敵から齎されるであろう痛みに備えて防護を施した。
刹那、モーリスが紅蓮の斬撃を響きに向けて放つ。
おそらく、敵は失った力を奪い取ろうと狙っているのだろう。逸早く敵の動きに気付いた翡桜はその間に割り込み、仲間に呼びかけた。
「ヒビキさん、下がってください」
攻撃を肩代わりした翡桜は自分の体力が奪い取られていく感覚を覚える。
だが、斬撃を振り払った彼女は構えた盾で相手を押し切り、間合いを取ろうと床を蹴った。同時に唯織が霊撃を放ち、翡桜が距離を開けやすいように補助を行う。
翡桜に礼を告げたヒビキは一気に踏み込み、自らの腕を鬼のそれへと変化させた。
「弱者を虐げるような方はおしおき、です」
ついさっき会った子供達が怯えていたことを思い返し、ヒビキは振るう腕に静かな怒りを乗せる。引き裂く爪がモーリスの身を抉るが、相手は喉を鳴らして嗤うのみ。
「くくく、面白いじゃあないか。では、実証実験といこうか」
――人の身体が壊れてゆく様を見よう。
ヒビキはそう告げたモーリスの悪しき趣向に首を振る。そうはさせない、と。
その行いは最早、実験とも言えぬものだ。実は裡から沸き起こる怒りを隠さず、冷たい目で敵を見据えた。
「そういうのは嫌いだ。全部、蹴り潰したい位に」
クロ助、と実が呼べば霊犬は仲間に浄霊の瞳を向ける。その間に敵の横手に回り込んだ実は床を蹴り上げ、回転の勢いに乗せて蹴りを放った。一瞥する眼差しに変わらぬ嫌悪と憤りを乗せ、実は次の一手に備えて構える。
其処へ神父様が霊障波を放ち、奏が更なる攻勢に出た。
「さあ先生? 不良な生徒に普通の学校じゃ教えてくれない事を教えて下さいよ!」
からかい気味に言い放ち、縛霊の一閃を見舞おうとする奏。だが、モーリスは小さく笑った後に彼女の一撃を躱した。
「残念だが、私は嫌がる子供達に教える方が好きでねえ」
愉悦に歪んだ笑みは狂っていると表すに相応しい。そして、ヴァンパイアは手にしたナイフを振るって毒の風を生み出した。
仲間を庇おうと立ち塞がった狩羅と倶利伽羅がまともに毒を受け、一瞬ぐらつく。
「かるらん、大丈夫?」
「まだまだ平気です。これくらい……!」
心配の声をかけてくれた莉奈に、狩羅はしっかりと身構えることで応えた。守るためにこうして布陣しているのだから、と瞳で語った狩羅は気を集めて自らを癒す。
続けて香が生み出した清めの風が足りぬ癒しの分を担い、仲間が受けた毒と痛みををすぐさま取り払っていった。
莉奈も小さく頷き、魔術杖の先に力を紡ぐ。
洋館に住むヴァンパイアというだけならば絶対に格好いいのに。目の前の相手を打ち倒さなければならないことに残念さを感じながら、莉奈は杖を高く掲げた。
「その格好いい姿、この目で確かめて、焼き付けて、それから――二度と人の目に触れる事の無いようにしてあげる」
次の瞬間、魔力の奔流がモーリスを襲う。
その衝撃がかなりの威力だったことに、翡桜が賞賛の眼差しを送り、八重華も「流石だな」と呟いた。
それでも未だ敵は変わらず余裕を保っており、八重華は意識を集中させる。
「その程度かい? 抵抗する生徒というのも可愛いものだ」
「悪趣味な輩だ。そのまま悪役として洋画にでも出てきそうだ」
モーリスの言葉を聞き、溜息交じりの言葉を落とした八重華は一瞬で敵の死角に回り込む。其処から放った黒き死を呼ぶ一閃は深く敵の身を抉った。
猟奇めいた実験は所詮、殺人鬼の真似事。
その身を以て痛みを知ればいいと吸血鬼を鼻で笑い、八重華は刀を斬り返した。
●首狩り球技
戦いは激しく、血の匂いは完全なまでに濃くなっていた。
訪れたときは仄かなものだったというのに、ナイフで傷付けられた自分達の血が死の気配をよりいっそう強くさせている。
「実験……いや、これも戦闘の実習みたいなものか」
香はこれまでに繰り返した攻防の苛烈さを思い返し、祭霊の光を仲間に施した。
久方ぶりに回る癒し手は何点ほどだろうか。点数をつけてくれよ、と冗談交じりにモーリスに問う香はまだ余力を残している。
「点数は全てが終わった時に付けるものじゃあないかい」
余裕ぶってはぐらかすヴァンパイアだが、徐々に息が切れているのが分かった。ヒビキは滴る血を拭い、槍を振るう。
「まだまだこちらも負けていませんよ。その首、貰い受けます」
「ははは、諸君は実に愉快だねえ!」
ヒビキの攻撃を受け止めたモーリスは不利を表に出さず、笑みを浮かべた。八重華は僅かに眉を顰めたが、無表情のままヴァンパイアに視線を向ける。
「愉快、ね。殺人鬼の真似事が?」
問いかけと同時に放つ魔力の奔流はモーリスの身を烈しく穿った。
莉奈が螺旋を描く槍で彼の追撃として動き、奏は制約の弾丸を解き放つ。一瞬、相手の体に痺れが走ったようだったが、衝撃を振り払ったモーリスは奏を狙った。
しかし、敵から放たれた赤き逆十字を受けたのは彼女のビハインドだった。
「神父様……!」
奏を庇い、その額を小突いた神父様は戦う力を無くして消失する。
彼はカードに戻ってしまったが、庇うことで作った隙は大きい。翡桜は今こそが好機だと察し、唯織さん、とその名を呼ぶ。その声に応えた唯織が霊障波を放ち、翡桜自身も炎を纏う蹴りで敵に向かった。
「もうこんな実験は止めにしましょう、モーリス先生」
翡桜が真っ直ぐに告げた言葉は攻撃ごといなされ、意味を成さなくなる。しかし、言葉が聞き入れて貰えないことは百も承知だ。
「……」
実も翡桜の代わりに更なる炎を宿すべく、幾度目かの蹴りを見舞った。
子供の顔も覚えないで先生なんてただの変態だ。無言のままモーリスに敵意を向けた実の一閃は激しい焔を生む。
其処へクロ助が六文銭での射撃を打ち込み、すかさず倶利伽羅が連携してゆく。
吸血鬼に飛び掛かり、刃を振った拍子に倶利伽羅の耳がぺちんとモーリスの顔に当った。そのことで相手の視界が一瞬だけ塞がれたらしく、その隙を見出した狩羅が自らの炎を武器に宿す。
「ここからは問答無用で容赦なく行きますよ!」
これまでは盾として徹してきたが、今は畳み掛けるときだ。攻撃に転じた狩羅は全力を振るうことを決め、鋭い蹴りを放った。
一閃によってモーリスの体勢が揺らぎ、莉奈がすかさずロッドを振り翳す。
「素敵なおじ様をミンチにしちゃうのは勿体ないなぁ」
「そうですね、ミンチはやめておきましょう」
続いて駆けたヒビキが莉奈の声を聞き、ふるふると首を振る。
「ちぇー。でも、代わりにやることがあるもんね」
「子供には見せられない場面になりそうですね」
唇を少し尖らせた莉奈はその後に笑みで以て答え、狩羅もこれから起こるであろうことを想像して小さく呟く。そのまま魔力を打ち込んだ莉奈に続き、こくりと頷いたヒビキも魔帯を周囲に広げて攻撃に移った。
ヒビキの狙いはモーリスの首元に定められており、敵の首筋に傷が生まれる。
「代わりに……?」
痛みに呻いたモーリスが二人の会話に疑問を持ち、苦しげに問うた。
すると、口元を緩めた奏が答える。
「サッカーしようぜ! ボール役は先生な!」
軽口を叩きつつも、奏は神父様の仇とばかりに石化の呪いをかけた。
途端にモーリスの身体の一部が石と化し、動きを阻害する。香もこの機を逃すまいと駆け、縛霊の一撃で以て攻撃に転じた。
「さっさと終わらせてあの子達を安心させてやらないとな」
今も、ただ待つだけの子供達はさぞかし不安だろう。香は無慈悲に腕を振り下ろし、モーリスの身を縛り付けた。
「待ってくれないかい、私には……やるべき、ことが――」
ヴァンパイアは自分の不利を今やっと悟り、抵抗を見せる。しかし、実は何の感慨もなく彼を見遣り、冷え切った言葉を返した。
「で?」
授業と称した血の戯れなど、やるべきことなどではない。
クロ助が振るう刃に連携するべく、実はモーリスの胸倉を白衣ごと掴んだ。勢いよく敵を持ち上げた実は怒りのままに敵を頭から床に叩き付ける。
切り傷や打撲の痛みを堪え、モーリスはやっとのことで立ち上がり、灼滅者と距離を取ろうとする。だが、その先には八重華が待ち構えていた。
刀の柄に手をかけ、双眸を鋭く細めた八重華は淡々と告げる。
「教えてやる。こうしてバラすんだ」
刹那、居合い抜きによって放たれた刃が僅かな光を反射して煌めいた。言葉通り、人を死に至らしめる経路をなぞるように放たれた刃は首に向かい、そして――。
白衣は血に染まり、ヴァンパイアだったものの頭が床に転がる。
命乞いも、断末魔すらも残させず――今宵、灼滅者達は一人の吸血鬼を葬った。
●さよならの時間
亡骸となった吸血鬼を部屋に置いたまま、奏達は背を向ける。
彼に弔いは要らない。必要なのは子供達に「もう大丈夫ですよ」と伝えてやることだ。翡桜も踵を返し、実験教室だった場所の扉を閉めた。
皆で別室に向かう最中、香はふとモーリスと交した言葉を思い出す。
「そういえば点数は聞けず終いだったな」
まぁいいか、と香が頭を振る中で八重華とは子供達がいる部屋に入る。実は笑みを浮かべ、不安げな彼等に手を伸ばして微笑む。
「もう怖くないぞ。良く頑張ったな」
「本当……!?」
子供達にぱっと笑みが咲き、狩羅は彼女なりの安堵を覚える。
既に倶利伽羅は狩羅の頭の上に戻っており、一仕事終えたと言わんばかりに脱力していた。そんな霊犬を撫でた後、莉奈はそっと思う。
退廃的な洋館に実験、そしてヴァンパイア。戦いの中で彼に告げた言葉通り、此処で起きた事は全てこの瞳で確かめて刻みつけた。
「悪い先生はもういないの。だから、授業はもうこれでおしまい」
莉奈は優しく微笑み、少年達に甘いキャンディを手渡した。
そうして灼滅者達は子供達を連れて洋館を後にする。その途中でヒビキは振り返り、実験教室だった部屋の窓辺を見つめる。
「さよなら、モーリス先生」
そっと落とした別れの言葉は静かに、穏やかな夜風に乗って消えていった。
作者:犬彦 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年2月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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