残火は拳に燻る

    作者:立川司郎

     以前ケツァールマスクとシン・ライリーの配下達が集っていた町も、少しだけ落ち着くを取り戻していた。
     シン・ライリーの配下達が消えたのを除くと、ケツァールマスクの配下達は比較的落ち着いた様子である。
     その一角にある道場に、3人のアンブレイカブル達が集っていた。以前、ある男がトレーニングをしていた小さな道場跡である。
     アンブレイカブルとか居なかった道場跡も、今や綺麗に修理されて数人の一般の人達も組み手に励んでいる。
     その道場跡に、ゆらりと影が落ちる。
     あの時と同じように。
    「……あれ? あんた」
     と言いかけたアンブレイカブルの腕を掴むと、彼は床に押しつけた。無言の彼の後に続いてアンブレイカブル達が数人押し入ってきた。
     突然の出来事に、道場にいたケツァールマスクの配下達や一般人は無言のまま見守るしかなかった。
     彼らは、決してトレーニングに来たのではない事は、表情で見て取れたからだった。
    「何の用だ……恭二」
     ヘビのマスクをした男が、恭二に聞く。
     恭二は締め上げていた手を離すと、中にいたアンブレイカブル達を見回す。全部で3人。対して恭二達は5人である。
     運良く恭二が手出しをしなかったとしても、やや分が悪い戦いだ。
    「シン・ライリーの配下に加われ、スネーク」
     スネークと言われたマスクの男は、恭二の言葉を鼻で笑った。
     噂には聞いていたが、恭二が居るという事は多くの業大老派もシン・ライリーに下ったという事だろう。
     自分達に、仲間意識とか友だなどという言葉を使うつもりなど無い。
     ただ、アンブレイカブルであるなら、戦う以外にお互い意思疎通の方法など有りはしないのだ。
     スネーク達が身構えると、恭二が一瞥した。
    「それが答えか。……勝てると思うなよ」
     恭二はそう言うと、踏み込んだ。
     勝てない戦い……それもまた、闘士の運命だろう。スネークは心中でそう自嘲したのだった。
     
     道場の片隅で、隼人は静かに座していた。
     いつになく真剣な表情の隼人は、全員集まると一呼吸おいて口を開いた。彼女が持ち出したのは、六門恭二の行方である。
    「……今シン・ライリー派が仲間を勧誘して回っている事を知っているか? 恭二がそれに加わっている事が分かった」
     隼人によると、以前恭二が居たアンブレイカブルの町の道場に現れるという。以前は廃墟のようだった道場が、今は綺麗にリフォームされて一般の人も武道の訓練に励んでいるという。
     スネークは、一般人達に混じってトレーニングをしているようだった。
     恭二側はシン・ライリーの配下の仲間を連れており、勧誘されているケツァールマスク側はスネークと呼ばれる男を含めて3人。
     このままであれば、圧倒的に恭二側が有利であろう。
    「おまけに道場には一般人も複数居る。そのまま戦えば、彼らも巻き添えになっちまうからその前に介入してくれ。おそらく到着は10分前」
     スネーク達は説得しても逃げはしない。
     被害を最小限に抑えるなら、10分前に到着してスネークたちを速攻片付ける事だ。むろん負けを認めて撤退させる事が出来れば、灼滅はしなくとも終わるだろう。
    「スネークはお前達の中で一番強いくらい、あとはまぁだいたいお前達と平均的な強さだ。ただ、恭二は以前8人がかりで戦っているから、お前達だけで恭二達とバトルになったら勝てないと覚えておけよ?」
     一通り説明を終えると、隼人は腕を組んで考え込んだ。
     それにしても、業大老一派もシン・ライリー派に下ったとは……。


    参加者
    加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)
    凌神・明(英雄の理を奪う者・d00247)
    刻野・晶(大学生サウンドソルジャー・d02884)
    森沢・心太(二代目天魁星・d10363)
    シグマ・コード(フォーマットメモリー・d18226)
    双葉・幸喜(正義の相撲系魔法少女・d18781)
    獅子鳳・天摩(謎のゴーグルさん・d25098)
    園城寺・琥珀(叢雲掃ふ科戸風・d28835)

    ■リプレイ

     以前通った道は、今では少し人通りが減った気がした。
     一度訪れている森沢・心太(二代目天魁星・d10363)の先導で現場の道場に急ぐと、道場では訓練に精を出す格闘家達の声が外まで響いている。
     時計を見ていた獅子鳳・天摩(謎のゴーグルさん・d25098)は、予定の時間より少しだけ早く着いたようだと皆に声を掛ける。
    「さすがにこの町や道場来た事がある仲間が居ると、着くのも早いっすね」
     心太の肩をぽんと叩いて、天摩が言う。
     あの時は最低限手入れをしただけの道場であったが、今は綺麗に修理がされている。
     心太は道場をじっと見つめていたが、加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)がすうっと横を通り過ぎると彼女の後に続いて中へと足を踏み入れた。
     入り口に立って中を見まわした蝶胡蘭は、声を張り上げて皆の意識を引きつける。
    「すまないが、この中にスネークと呼ばれるレスラーは居るか」
     蝶胡蘭の呼びかけに、中にいた人々が一人の男を振り返る。一番奥で仲間と試合をしていた蛇のマスクの男が、ゆっくりと振り返る。
     こちらの様子から、自分達が灼滅者であると気付いたのかもしれない。傍にいた仲間も、緊張の色を濃くする。
     すると双葉・幸喜(正義の相撲系魔法少女・d18781)はぺこりと丁寧に頭を下げたあと、ごめんなさいと小さく謝った。
     それは、これから荒事にしてしまう事への謝罪の言葉。
     蝶胡蘭の言葉を皮切りに、場内は混乱に巻き込まれる事となった。
    「スネークさん達と大事な話があるんだ。皆には席を外してもらえないか?」
    「すぐに全員この場を離れてください!」
     プラチナチケットを仕様した蝶胡蘭の言葉に続いて、幸喜がパニックテレパスを発動した。
     混乱に包まれた道場に、更にシグマ・コード(フォーマットメモリー・d18226)が殺界を形成する。我先にと逃げ出す一般人達を見て、スネークと配下は身構えた。
     最後に、天摩がキャリバーのミドガルドで出入り口を封鎖した。
     ぽん、とミドガルドを叩いて後を任せる天摩。
     蝶胡蘭は時計をセットすると、自身も身構えた。
    「…何の用だ」
     スネークが、様子を伺いながら声を掛ける。
    「くわしく説明している時間がない。スネーク、お願いだ。私達と全力で戦って、私達が勝ったらこの場所から一旦退いてもらえないか?」
    「何故だ。理由もなくここから去る事は出来んな。…それに、売られた喧嘩は買わねば気が済まない」
     戦いに明け暮れるアンブレイカブルに言う事をきかせるには、これしかない。それは、ここにいる灼滅者達にも十分分かって居た。
     凌神・明(英雄の理を奪う者・d00247)はシールドを展開しながら窓からちらりと外を見る。
     逃げ出した一般人達は近くに誰も残って居ないのを確認し、開始の声を掛けた。これで、万が一時間切れで恭二がやってきても巻き込まれる事はあるまい。
    「こちらにも事情があるんでな。戦った末の要求なら、聞かない理由はないな?」
     明が言うと、スネークはにやりと笑った。
     その表情は、了解と見ていいのだろう。

     スネークが掴みかかって来ると、明が真っ向からシールドで対抗した。スネークのパワーは明をうわまわっており、受け止めると腕に衝撃が伝わった。
     …手強い効果のあるサイキックを使う訳じゃないが…。
     明は、その分肉体的な攻撃ダメージを重ねるタイプの彼らを、じっと観察する。
     ひとまず道場に人が戻って来ないのを確認しながら、蝶胡蘭や心太の攻撃のフォローをするのが明の役目。
    「あんた達も、付き合ってもらうっす」
     配下の二人が踏み込んで来た所を、天摩とミドガルドが一斉射撃を浴びせた。後方からの一斉攻撃に、彼らも足を止める。
    「まだこれからだろう?!」
     どこか楽しそうに飛びかかった蝶胡蘭の様子を見て、明もふと笑った。
    「「速攻終わらせる!」」
     蝶胡蘭の声と重なるように、明が叫んだ。
     右手の杖で牽制しながら、蝶胡蘭は左手にいる配下に拳を叩き込んだ。受け止めようとした腕ごと、体で押し込むようにして更に連撃を浴びせる蝶胡蘭。
     スネークが腕を掴もうとすると、間に明が割って入った。
    「お前の相手は…」
    「こっちだ!」
     刻野・晶(大学生サウンドソルジャー・d02884)の大鎌がスネークと明を引き裂くように、床にざくりと突き刺さる。
     風斬り音が耳元で唸り、狭い道場の天井を上手い旋回させながら振り回す晶。
     スネークの攻撃は明と晶のビハインドの仮面が受け止め続けており、攻防の役目を弁えた灼滅者達の攻撃にスネークは攻撃しあぐねている。
     しかしスネークも傷を顧みず、シールドを構えた明に拳を振るった。拳の威力は、ビリビリと明の体に響いた。
     体勢を崩した明の背後に、晶が立つ。
    「君達の戦いは魅せる試合、なのだろう? ならば魅せてくれ」
     大きく薙いだ晶の刃が、スネークと配下達の腕を払った。痺れた腕を庇う配下に視線をやり、かわりにスネークが拳を振るう。
     放出したスネークのエネルギーが、仮面のガードをすり抜けて晶に叩き込まれた。
    「……だがつまらんな」
     スネークは首を振ると、晶に大きく飛び上がって蹴りを浴びせた。
     ガードを壊してこその攻撃。
     スネークの目が語っている。

     スネークが晶と明を相手取っている間、二人の配下への攻撃は後方から天摩や園城寺・琥珀(叢雲掃ふ科戸風・d28835)、シグマ達が続けていた。
     スネークに比べてそれほど強くはない相手である為、倒すの自体はそれほど時間はかからなかった。
     防御に回った配下に、心太が跳び蹴りを浴びせる。
     ぐらりと体勢を崩すと、後方からシグマが一気に詰め寄った。相手が体勢を崩す瞬間を、じっと待っていたのである。
     心太の背後の位置まで詰め寄ると、体勢を崩した配下とスネークたち諸共、結界を展開して捕らえた。
     衝撃が足元から伝わり、配下の男が呻き声を上げる。それでも立ち上がろうとした配下の腕を、心太が異形化した腕で掴んだ。
    「…捕まえましたよ」
    「もう一度…いや、行けるか」
     シグマは呟くと、剣に持ち替える。
     上段から斬り降ろした剣が、動きを封じられた男を切り裂いた。
     もう一方の男の行く手を阻むミドガルドに幸喜はシールドリングを展開すると、スネークの相手をしている明の様子に目を向けた。
     配下達の攻撃は致命傷には至らないが、スネークの攻撃を受け続けるのは……。
    「今後の事を考えると、あまり見逃せませんね」
     そう呟くと、明へもシールドリングを放った。
     攻撃をミドガルドが受け止める間、天摩は後方から一気に詰め寄って蹴りを放つ。縦横無尽に駆け回り、蹴り技を叩き込む天摩に配下の男も笑みを浮かべる。
    「……ならば!」
     男は、天摩に会わせて蹴りを放った。
     右足に衝撃が伝わり、天摩が吹き飛ばされる。後ろから幸喜に受け止められると、相手の男も弾かれて転がっていた。
    「助かったっす!」
    「……大丈夫ですか?」
     幸喜が声を掛けると、ひょいと天摩は起き上がった。
     琥珀が縛霊手を振り上げ、よろりと起き上がった男に拳を叩き込む。起き上がりざまに叩き込まれた拳は、男の戦意を挫くには十分。
     琥珀はふと呼吸をすると、残ったスネークに視線を向けた。
     エアシューズで滑り込む天摩とともに、するりとスネークに迫るシグマ。彼らの攻撃を見つめ、琥珀は声を掛けた。
    「スネークさん。実はシン・ライリー派の方が、あなた方を勧誘する為にあと少しでここを訪れるという情報を掴みました。勧誘といえど、やり方は攻撃的です。不躾ではありますが、今すぐ逃げて頂けないでしょうか」
    「奴等が来るなら、逃げる事など出来んな」
     逃げろ、と言えばそう応えるだろう。
     琥珀は溜息をつくと、縛霊手を構えた。
    「ならば仕方ありません。先ほど言いましたように、勝ってそちらにお引き取り頂くとします」
     小さな体の琥珀が振り上げた拳は、唸りを上げてスネークに振り下ろされる。
     接近しつつ攻撃で返そうとしたスネークの前方に、仮面が立ちはだかって霊撃を浴びせた。鎌で払いながら、晶が叫ぶ。
    「試合終了だ」
    「………」
     無言で振り上げた拳、ぴたりと琥珀は眼前で止めた。
     スネークの眼前で、止められた拳。
     丁度時計が8分を知らせた所であった。
     すうっと腕を元に戻して、琥珀は安堵の息を漏らす。
     灼滅せずに済んだのは、まず一安心である。
    「それでは、退いて頂けますね?」
     そう言った琥珀には、笑みが戻っていた。

     スネークが床に転がると、シグマはその傍へと近づきフードの下からじっとスネークを見た。既にシグマも他の灼滅者達も、武器は納めている。
    「突然こんな事になって、悪かった」
     静かな口調で、シグマは謝った。
     悪印象を与える結果になった事、有無を言わさず此処を去れというのは随分酷い言い分だと分かって居るとシグマは言う。
     こうしている間も、時間は迫っている。
    「……何故だ」
     理由を問うスネーク。
     琥珀は先ほどと同じように、簡単に説明を繰り返した。つまり、ここにシン・ライリー派が迫っているという話である。
    「何の罪もない人達が巻き込まれるのは、見逃す事が出来ません」
    「それに、他にもケツァールマスク派の方が何人も襲われています。……彼らには、ケツァールマスクの元に向かうように言いましたが……」
     幸喜が先に受けていた事件について、スネークに語る。
     スネークはふ、と笑うと仲間に肩を貸して立ち上がった。
     負けは負け。
     スネークは名残惜しそうに頷いた。
    「裏口から行かせてもらおう。……それならば、恭二と出会う事もない。それに、この傷で恭二と戦うのもつまらんしな」
    「ああ。もっと強くなって、そしてまた戦ろう」
     天摩が笑みを浮かべて、スネークに言った。

     スネークが去って1分。
     時間通り、道場に影が落ちた。
     彼の顔を見た心太が、ふと笑みを浮かべる。その様子からすると、恭二で間違いないだろうと入り口の横で見張っていた天摩が思う。
     キャリバーは窓の外側に置いてあり、いつでも一般人を追い払えるように天摩もよく監視していた。
    「……情報通りですね。お久しぶりです、恭二さん」
    「どういう事だ」
     ここにスネークが居たと聞いてきたはずだったが、彼らは居ない上に灼滅者達がいる。灼滅したのか、それとも追い返したのか。
     警戒を解かないアンブレイカブル達が、ちらりと壁際にいる晶に視線を向ける。
     天摩は肩をすくめ、晶はさらりと言い返した。
    「気にしないでくれ、一般人が来ないように見ているだけだ」
     晶が言うと、心太が続けて口を開いた。
     少し話をしたかったから、先回りさせてもらいました。
     そう心太が説明すると、恭二の配下達がぎろりと睨んだ。
     心太は冷静に、話を続ける。
    「最近シン・ライリーの配下がケツァールマスクの配下の取り込みをしていると聞きました。……まさか、あなたがシン・ライリーの配下として動いているとは知りませんでした」
    「業大老派からシン・ライリーに鞍替えか? 群れを好まないと聞いていたが、引き抜きなんて随分と政治的な事をしているんだな」
     心太と蝶胡蘭が、恭二に質問を切り出す。
     恭二は心太と蝶胡蘭の真剣な表情に気付き、配下に手を上げて制した。ひとまず攻撃する様子は無いらしく、心太は肩の力を抜く。
     恭二は少し考え込む様子で、頭を掻いた。
    「お前には前にここで借りがあったな。…シンが俺達の獄魔大将となった時より、シンが業大老の高弟であり、師範代となった。だからシンが戦うと言えば戦うし、業大老の指示が無いかぎりはシンに従う」
     つまり、アンブレイカブルである業大老派の獄魔大将としてシンが選ばれた時から、シンは業大老派として動いているのだと。
     いや、業大老派を率いているというべきか。
    「下の者には、シンに従うように業大老からの指示が下ったとしか知らない連中も居るかもしれんが」
    「だったら、どうしてケツァールマスク側の人達と戦うような事をしているんですか? 各地でこんな戦いを繰り広げているのは、聞いています」
     続けて幸喜が聞いた。
     幸喜は先日もケツァールマスク派との間に介入していざこざを阻止しており、学園側でもこの事件が多発している事を把握していた。
     正直な所、お互いの関係が悪化しているようにしか見えない。
    「私からもそれが聞きたい。シン・ライリー……いや、業大老派側からケツァールマスクを頼ったのだと聞いている。だが、いきなりこんな強引な手に出たのはどういう理由だ。あまりに態度が違いすぎないか?」
     冷静な口調であったが、状況に関しての困惑や不信感があるように見える。
     今までの相手は皆状況を知らない者や話しどころではない場合が多く、事情を聞き出す事は出来なかった。
     もしかすると、恭二もシンの真意については知らないかもしれないが。
    「戦いに勝てば傘下に入る。負ければ終わり、それだけの簡単な話だろう。凌ぎ合い以外に何が必要なのが、逆に聞いてみたい」
    「話し合いとかはなさらないのですか?」
     幸喜の問いに、後ろの配下が笑い飛ばした。
     何故戦わないのか、と。
    「……なるほど、そういう事か」
     恭二がシン・ライリーに付いた理由を聞きたがっていた明は、その恭二の言葉を聞いて口を閉ざした。
     シン・ライリーが現在の業大老の高弟ならば、それが彼の目指す最強への道に繋がっているのだろう。
     心太が明を振り返ると、彼は肩をすくめた。
     とりあえず、聞きたいことは終わったらしい。心太はこの様子ならもう少し話を聞き出せるのではないか、と様子を伺いつつ切り出した。
    「では、もう少しだけ。タカトという名前に聞き覚えはありますか?」
    「ないな」
    「…そうですか。もし会ったら気をつけてください。タカトは絆を奪うと聞きます」
     絆が具体的に何なのか、恭二はよく分かってなさそうに眉を寄せて首をかしげた。
     これ以上説明しても、絆がなんだろうが気に入らなければ戦うだけだ、とか言い出しそうだったから止めておいた方が良さそうだ。
     恭二は配下に撤退を指示すると、そのまま町に消えていった。
     それを、道場の入り口に立ったまま、シグマはじっと見ていた。
     今回の件でケツァールマスク側に非は無かった。それなら、倒さねばならないのはシン・ライリー側なのではないか。
     結果的に皆、撤退させる事が出来たのは、皆のお陰でもある。
     そして無事返す事に成功したのは、シグマにとっての成功でもあったのだった。
    「さて……話は聞けたが、結局業大老派が戦力増強を図っている理由は分からなかったな」
     晶が呟く。
     何かをしようとする時、戦う他に無いのだろうか。幸喜の疑問は、おそらく仲間もそう感じて居るだろう。

    作者:立川司郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年2月12日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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