心は猫の姿となって

    作者:森下映

    「そこをどけよっ!!!」
    「にゃーーーっ! にゃあっ! にゃあっ!」
     学校で使い始めたばかりの彫刻刀を握りしめ、外へ出ていこうとする少年を、ドアの前で必死に止めようとしているのは翼の生えた1匹の猫。
    「オレは早く……早く外にでてっ!!」
    「にゃあああっ!!!」
     少年は猫を思い切り振り払い、
    「誰かをころしたいんだよっ!!!!」
    「にゃあーーーーーっ!!」
     グサリと刺さった彫刻刀の先、猫のサーヴァントは消滅し、少年は部屋を出て行った。

    「みんな集まってくれてありがとう! 一般人が闇堕ちして六六六人衆になる事件が発生しようとしているんだ。今回闇堕ちしてしまうのは早谷・アンジ、小学4年生の男の子だよ。彫刻刀を使い初めたのをきっかけに、殺人衝動に目覚めてしまったみたいだ」
     須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)が言った。
    「今彼の人間としての意識は、猫のサーヴァントの姿となってその悪行を止めようとしているんだけど……サーヴァントにダークネスを止めることは不可能なんだ」
     猫のサーヴァントが、悪事を止めるのを諦めて消えてしまった時、彼は完全に闇堕ちしてしまうことだろう。その前に闇堕ちしかけの一般人を撃破して救出してほしい。そして間に合わず猫のサーヴァントが消えてしまった場合は、それ以上の悪事を重ねる前に灼滅してほしい、とまりんは言う。
    「アンジさんは猫のサーヴァントの制止もきかずに、深夜に外に飛びててしまう。みんなは彼が高架下で、復活した猫のサーヴァントをまた攻撃しようとしているところで接触することになるよ」
     高架下で待ちぶせていると、アンジと猫のサーヴァントがもめながらやってくる。アンジ自身の説得は不可能だが、猫のサーヴァントは灼滅者たちがアンジを救出に来たことが理解できれば、戦闘に参加せずに灼滅者たちを応援してくれる。が、アンジを殺しに来たと誤解した場合は、アンジ側にたって戦闘に参加してしまう。猫のサーヴァントと戦闘になった場合も、戦闘中に説得は可能だ。
     アンジを闇堕ちから救うためには『戦闘してKO』する必要があり、猫のサーヴァントが残っている状態でKOすると、灼滅者として生き残る。アンジは大小形さまざまな彫刻刀を武器に、殺人鬼と天星弓相当のサイキックを使う。ポジションはクラッシャー。
    「猫のサーヴァントの行動に彼の本当の気持ちがあらわれていると思う。みんな、よろしくね!」


    参加者
    両角・式夜(黒猫ラプソディ・d00319)
    化野・周(トラッカー・d03551)
    逆神・冥(復讐者は何を語る・d10857)
    鈍・脇差(ある雨の日の暗殺者・d17382)
    朝川・穂純(瑞穂詠・d17898)
    ジュリアン・レダ(鮮血の詩人・d28156)
    高原・清音(中学生殺人鬼・d31351)
    フリル・インレアン(小学生人狼・d32564)

    ■リプレイ


    「いつまでもついてくんなよっ!!!」
    「にゃーーーっ!!!」
     アンジと猫の争う声が近づいてきた。高架下、灼滅者たちと3匹の霊犬はアンジとの接触の時を待つ。
    (「う……彫刻刀って刺さると地味に痛いよな」)
     鈍・脇差(ある雨の日の暗殺者・d17382)はすでに傷つけられた猫と、これから受けるであろう自分たちの痛みを想像し、眉をしかめた。
    「お前なんかしんじまえ!!」
     アンジが手に持った彫刻刀を猫に向かって投げつけた。猫がぎゅっと目をつむる。が、
    「割り込み失礼」
     彫刻刀は玉鋼水芙蓉からシールドを展開しつつ、立ちはだかった両角・式夜(黒猫ラプソディ・d00319)の腕に刺さっていた。
    「健気な猫を虐めるのはそれくらいにしておいた方がいいよ」
     式夜は自分の腕に刺さった彫刻刀を引き抜き、放り投げる。どくんと脈うって噴き出した血に藍染めの作務衣に描かれた藤の花が染まった。霊犬のお藤は心配そうに主人を見上げ、止血する。そして式夜が大丈夫、というように目を合わせると、お藤は朝川・穂純(瑞穂詠・d17898)の霊犬かのこ、逆神・冥(復讐者は何を語る・d10857)の霊犬鬼茂とともに猫を守るように位置をとった。式夜の傷へは穂純も護符を飛ばして手当てを重ねる。
    「なんだよ、お前ら!」
     アンジが叫んだ。
    「その渇き、オレも知ってる。仲間もだ」
     防御を高める夜霧を前衛へ展開しながら、ジュリアン・レダ(鮮血の詩人・d28156)が言った。他人のような気がしないアンジ。殺人衝動に目覚めた苦しみはよく知っている。その苦しみを軽減することは難しいことも。それでもアンジを絶対に助けたいし、衝動に抗う自分たちの姿を見せたい、とジュリアンは思う。
    「えっと、わたしは猫さんのケガを……」
     大きな帽子を深々とかぶったフリル・インレアン(小学生人狼・d32564)が、放った帯で猫を包帯のようにぐるぐると巻く。
    「にゃっ?!」
    「だ、大丈夫ですよ、傷をなおすだけですから」
     突然のことに驚き、手足と翼をばたつかせた猫だったが、帯に包まれるうち傷や痛みが癒えていくことがわかったのか、次第に大人しくなった。
    「大丈夫か猫……いや、アンジなんだろ?」
     脇差が言う。怯えたような目で見つめ返す猫。
    「殺人衝動に闇堕ちなんて状況だ、いきなり言われても戸惑うだろうが……被害が出る前に止めたいなら俺達が力になろう。俺達は灼滅者、お前の仲間だ」
    「頑張ってるな。早谷アンジ」
     ジュリアンも猫と目を合わせて、言った。
    「私達はアンジくんを倒しに来たんじゃなくて助けに来たんだよ」
     穂純が言う。
    「このままじゃアンジくんは心の中の闇に飲み込まれちゃう。でも今ならまだ救えるの! アンジくんの様子が変なのはその闇のせいで……私達はその闇を打ち破れるの」
    「おい、そいつにかまうなよっ!」
    「!」
     脇差の背後をアンジの斬撃が襲った。
    (「やっぱ痛え」)
     黒革のライダースジャケットがざっくりと裂け、血が滲む。が、脇差は猫に主人を殺しにきたと誤解されないよう、アンジのほうは振り向かず、猫に向かって話し続けた。
    「いいか? アンジの暴走を止めるには戦って倒す必要がある」
     戦って、という言葉に猫がびくりとする。
    「が、お前の意識が残っていればちゃんと元に戻れる」
     脇差が説明する。その間に、脇差の傷を癒しのオーラで治療していた冥は、
    (「……鬼茂? やけにやる気があるな」)
     猫を守りながら、何か言いたげに猫を見つめている鬼茂の様子に気づいた。
    (「自分たちは君の味方だ、僕たちも彼を止めたい、だから一緒に戦ってほしい、か」)
     冥は鬼茂の気持ちが猫に伝わることを願いつつ、アンジの手元に注意を払う。アンジは指の間に複数の彫刻刀を抱えていた。
    「俺たち、これから早谷くんに攻撃するけど、助けるためだから! 灼滅したいんじゃないから!」
     同じくアンジの攻撃を警戒しながら、化野・周(トラッカー・d03551)が言う。
    「俺たちは早谷くんに帰ってきてほしいんだよ!」
     猫は周を見つめ、そして周の肩越しにアンジを見た。本当にアンジは大丈夫なのか、まだ猫は不安を拭いきれていないようだ。
    「本当に殺したりしないよ。ほら、錯乱した時とかは衝撃を与えて目を覚まさせるとかあるじゃん? そんな塩梅だよ」
     と、式夜は言い、
    「なもんで、殺人鬼の先輩がいっちょぶん殴る!」
     片目をつむり、殴るジェスチャーをしてみせる。一触即発の緊迫した状況とはある意味対照的な式夜の軽い調子に、猫の表情も少しゆるんだようにみえた。
    「戦って倒すまで、お前の意識が残っていればちゃんと元に戻れる」
     脇差が言う。
    「………諦めてはだめよ………諦めたら……もう戻れない」 
     そう言って高原・清音(中学生殺人鬼・d31351)は蠢く帯を式夜に向かわせ、次のアンジの攻撃に備えて防御を固めておく。
    「……わたしたちが……止める手伝いをするから……あなたも頑張って」
    「猫さん、ほんとはあまり無茶をしちゃダメですって言いたいんですけど、頑張らないとアンジくんを助けられないですね……」
     フリルが言った。
    「だから、頑張ってもいいですけど、わたしたちに助けを求めてください。1人じゃ無理でもみんなで頑張ればきっと大丈夫です。アンジくんを闇堕ちから救えます」
    「だから俺たちと一緒に早谷くんを助けてほしい!」
     周が言い、
    「どうか私たちの事、信じて……!」
     相棒のかのことともに穂純も訴える。
    「お前が諦めさえしなければ、絶対に成功する!」 
     式夜が言った。猫の尻尾が、ぴく、と動く。
    「てめーら、ごちゃごちゃやってんじゃねーよ!」
     アンジが彫刻刀を携えた右手を大きく後ろへひいた。
    「だから絶対諦めんじゃねーぞ!」
     脇差は猫にそう言葉を残し、日本刀を手にアンジへ向かって駆け出す。
    「穢れも、罪も共に」
     武器の封印を解除したジュリアンから、走る脇差を追うように帯が飛んだ。ジュリアンと冥をフリルの白炎が包み、清音は魔導書を開く。穂純はかのこへ猫を守るよう伝えると、自分の片腕を異形化させた。式夜は玉鋼水芙蓉のシールドを攻撃用のそれへと変え、
    「よしお藤、にゃんこに恩を売っておくぞ」
     お藤に猫を守らせ、自分は前線へ駆け出る。と、
    「な!?」
     アンジの動きが不自然に止まった。その隙にジュリアンの帯がアンジの胸元を貫き、脇差が日本刀の先で身体中を斬り裂く。何か、灼滅者たちの知らない魔力がアンジの動きを捕らえていた。気付き、皆が後ろを振り返る。
    「猫さん……!」
     周が嬉しそうに言い、タン、とアスファルトを蹴った。
    (「そう、闇堕ちしたって楽しいことなんかなんにもねーからな!」)
     金色のメッシュの入ったアッシュピンクの髪が術の力を得ながら、何度も高く宙を返る。1つ前の季節には自分も闇の中へ堕ち、そして仲間に救われた。
    (「やっぱ普通の生活が一番楽しいよ!」)
    「友達と遊んだり買い食いしたりさ、そういうのが一番楽しいって!」
     だから帰っておいで。着地、撹乱するステップの上下で周は踵と肘を連続でアンジへ当て、交錯するように走りこんだ穂純の鬼の腕がアンジの右肩を砕いた。そして間髪いれずに式夜が障壁で真っ向から殴りつける。
    「あまりこういった使い方はしないのだがな」
     着物の袂が揺れた。冥は鋼糸を巧みに操り、アンジの目の前に蜘蛛の巣のように張り巡らせる。突然畳み掛けられた攻撃と冷たく光る糸の網の圧迫感に、アンジの顔色が変わった。そして、
    「……あなたを止めるわ……誰も殺させない……」
     清音の禁呪がアンジの身体と霊体を同時に爆破、破壊する。
    「ありがとうございます、猫さん……必ず、助けます……!」
     そう言ったフリルに、にゃあと一声猫が答えた。


    「それっぽっちの攻撃じゃまだまだ殺されてやれねぇなあ」
     口元の血を軽く拭いながら、式夜が笑ってみせる。
    「くそっ! くそおっ!!」
     怒りに我を失い、アンジは闇雲に彫刻刀を投げつけた。
    「にゃあああっ!」
     思わず猫が前に出ていこうとする。しかし鬼茂にお藤、かのこがその前に飛び込み、後ろへ下がれというように猫を見た。
    「うん、下がってて! 猫さんが倒れたら、早谷くんも助けられなくなっちゃうから!」
     チェーンソー剣の刃を駆動させながら周が言う。
    「にゃあ……」
    「アンジくんは必ず助けるよ!」
     猫と、猫をかばって頑張るかのこに微笑みかけ、穂純は前衛へ新緑の香りのする癒しの風を送った。
    「あと個人的に、」
     周の手元から激しいモーター音が響き渡る。
    「猫が傷つくの見たくねーんだわ!」
     アンジが防御に構えた両腕、そして得てきた呪力の加護ごと、周のチェーンソーの刃が斬り破った。猫は自分にもわずかに届いた新緑の香りに鼻を少し低つかせると、尻尾のリングをほわっと光らせる。癒えていく前衛の傷。一生懸命な猫の瞳と目があい、目尻が下がりかけた脇差だったが、くっと両手の指先で持ち上げて戻すと、全身のオーラを拳へ集束させ、アンジの間合いへ駆け入った。
    (「猫を守るか……まあ、好きにやってみるといい」)
     冥が鬼茂と視線を合わせ、頷く。そして冥は、逆神家に代々伝わる妖刀、村正「氷血」を手に、動きやすいよう工夫された着物の裾を翻して走りだした。
    (「わ、わたしも」)
     ぴょこんと飛び出そうになる耳を隠すように帽子の端をつかんで下げ、フリルは大地から有形無形の畏れを呼び覚ます。アンジは懐に入りこんだ脇差の死角へ逆に回り込もうと身体を沈め、近距離で切り出しを振りかぶった。が、
    「っ!」
     ガキン、と硬い音とともに、脇差が利き手に握った日本刀の柄で彫刻刀が叩き落とされる。そして脇差は自分の身体の前に渡した利き腕の下から、差し込んだ逆の手の拳で、アンジへ連打を見舞う。閃光とともに弾き飛ばされたアンジは何とか地面に片手をついて着地するが、
    「彫刻刀と日本刀。同じ刀の名が付こうと……」
    「!」
     着地点を読み、真後ろ。返り血をも凍らせるといわれる刀身がアンジを見下ろしていた。
    「そんな小さな物で、人殺しが出来ると思うな!」
    「く!」
     飛び抜けようと膝を伸ばしたアンジの片足の踵の腱を、冥が村正「氷血」でざっくりと断つ。よろけ、その場に今度は両手をつくアンジ。しかし、走ってくるフリルが視界に入るや否や、片手を頭上に伸ばし、後衛の頭上から多数の彫刻刀を降り注がせた。
    「きゃ〜!」
     長い銀の髪をなびかせて、彫刻刀の雨の中を手にした光剣を振りながら必死に走るフリル。盾役の霊犬たちは猫と後衛を守りながら六文銭を射撃して彫刻刀を弾き返し、式夜もシールドで片っ端から殴り返していく。
    「……!」
     乱れとぶ彫刻刀の1本が、清音の漆黒の髪をかすめ、利き腕の肩へ突き刺さった。
    (「……負けない……負けられない……わたしは無力じゃない……」)
     清音は反対の手で傷ついた肩をぐっと押さえ、
    「……援護するわ……これも受けなさい……」
     途端アンジが凍りつく。清音の死の魔法に零下に突き落とされたアンジへ、畏れを纏ったフリルの鬼気迫る斬撃も襲いかかった。
    「ーーっ!!!」
     出血と体温の低下に震える手で、アンジは傷を塞ごうとする。が、次いで頭上から振り下ろされた縛霊手の殴打に、再び地面に這いつくばってしまう。
    「オレ達は負けないよ」
     縛霊手を構え直し、ジュリアンが言った。
    「勝ち方を教えに来たんだからね。オレ達を見ていてくれ」
    「にゃあ……」
     祈るような猫の声がした。
     

     回復はできても浄化の手段はない。頼みの攻撃力も回復の手数に阻まれ、アンジは追い詰められていく。
     アンジが投げつけた彫刻刀を、穂純が投げつけた護符が消し去った。続けて穂純は眠りに誘う符を逆手で弾き出し、夜空を染めるようなジュリアンの歌声とともにアンジを深い催眠へ陥れたところを、清音の影が頭からすっぽりと喰らい尽くす。
     トラウマをひきずりだされ、言葉なくゆら、と立ち尽くすアンジを心配そうに見つめる猫。霊犬たちは依然猫を守り、励ますように囲んでいる。
    「まったく、お藤と似た子だなぁ。なぁお藤?」
     主人を守りたい気持ちを持ち続けている猫のためにも。式夜はアスファルトへぶつけるように火祭鬼灯を走らせ、駆け出た。最後の力を振り絞り、指の間にまた数本の彫刻刀を構えるアンジ。しかし、フリルの光剣のエネルギーの爆発に投げ放つことが叶わない。宙を飛ぶ冥の鋼糸。その細い煌きの下を疾走する脇差と、飛び越える周。外側からは足元に炎を纏い、式夜が回りこむ。
     ギャン! と周のチェーンソー剣が唸った。音と同時、冥の糸がアンジを切り割き、冥の手元へ返っていく隙間、式夜が踏み切る。背中側、脇差の日本刀がアンジの身体中を切り割いた。さらに傷口を周の刃が抉られ、ガッと吐血したアンジが意識を失う前、最後に見たのは炎を象り、炎を纏ったホイールだっただろう。式夜の蹴りを受け、アンジはばったりと倒れ伏した。


    「まずはアンジさんを手当てしますね!」
     初依頼の緊張から解放されたのもつかの間、フリルはアンジの身体を帯でグルグル巻きにする。
    「あとで猫さんも……あ」
    「行っちゃう、のか……」
     少し残念そうに周が言った。猫の輪郭が次第に薄くなっていく。
    「いや早谷くんの中に戻るのかな……」
    「猫さんはアンジくんの心の一部なんだね……私とかのこも同じだよ。おいで、かのこ」
     穂純は消えていく猫を見つめながらかのこを抱き寄せ、
    「よく頑張ったね」
     と、かのこの真っ白な毛並みを撫でた。
    「なんだがお藤も清々しい顔してんなぁ」
     式夜が言う。冥も、じっと猫を見送る鬼茂を見守っている。
    「……」
     猫が消えてしまい、残念そうな脇差。穂純はその様子に気づき、
    「きっとまた会えますよ。そんな気がします」
     だって離ればなれなんて絶対に駄目。穂純はかのこをぎゅっと抱きしめた。
    「アンジくんと猫さんもずっとずっと仲良しでいなくっちゃ。ね、かのこ!」
     こたえるようにかのこは穂純へ鼻をすりつける。
     清音は、穏やかに眠るアンジを見ながら、
    (「……わたしでも……誰かの助けになれたかしら……」)
    「ん……」
    「あ、アンジさん目が醒めたみたいです!」
     フリルが言った。
    「誰も殺めずに済む。こういうのもいいね」
     救うことのできた少年の顔を覗き込み、ジュリアンが言った。

    作者:森下映 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年2月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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