「なによっ、みんなで馬鹿にしてっ!」
小学生の頃から転校を繰り返していた彼女が地元愛媛に戻ったのは半年前のこと。転校する前の中学校で仲良くなった友達が、休みを利用してわざわざ自分に会いに来てくれたのは嬉しかったのだが、事件はささいなことから始まった。
愛媛っ子らしく、みかんが大好きな彼女が、愛媛ではみかんジュースでご飯を炊くこともあると言うと、友人達は冗談だと思って誰も信じてくれなかった。友人達も悪気はなく、場を盛り上げるために大げさに「そんなものあるわけない。嘘に決まっている」と言ったのかもしれなかったが、彼女にはそれがどうしても許せなかった。
「給食にも出るっていうのに……美味しいのにっ……!」
彼女はぶつぶつ言いながら、炊きあがったみかんご飯をおにぎりにするためひとつひとつ握っていく。
「ふっ、今こそみかんおにぎりを世に知らしめるとき! 待ってなさい、観光客たち!」
ご当地怪人と成り果てた少女の足元に、にゃあにゃあと絡みつく猫がいた。まるで彼女の悪行をなんとか食い止めようとするかのように。
「もう、うるさいなっ! あっちいってなさい!」
猫は少女の足に蹴り飛ばされ、力なくその場にうずくまった。
「またまた愛媛に、みかんのご当地怪人が現れたよ」
須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)は集まった灼滅者達に向かって説明を始めた。
「……と、いうことは、みかん愛にあふれる怪人がみかんジュースでご飯を炊いちゃってるわけだね!」
自身の考察を以前にエクスブレインに伝えていたルリ・リュミエール(バースデイ・d08863)は、驚きつつもついにきたかと身構えるのだった。
「ルリさんの言うとおりなんだけど、今回は一般人が闇堕ちしてダークネスになる事件なんだ。それでね……普通なら闇堕ちしたダークネスは、すぐにダークネスとしての意識を持って人間の意識は消えちゃうんだけど、彼女は元の人間としての意識を遺してて、ダークネスになりきっていない状況みたいなんだ」
彼女の名前は清見・せとか(きよみ・-)。中学二年生の少女だという。
「現在せとかさんの人間としての意識は、猫のサーヴァントの姿となって、彼女の悪行を止めようとしているんだけど、サーヴァントにダークネスを止めることは不可能みたいなんだ」
猫のサーヴァントが、悪事を止めるのを諦めて消えてしまうと、せとかは完全に闇堕ちしてしまうとまりんは告げた。
「だから、そうなる前に、せとかさんを撃破して救出してほしいんだ。もし、間に合わなくて、猫のサーヴァントも消えてしまったら……彼女がそれ以上の悪事を重ねる前に、灼滅するしかなくなるんだ」
彼女の人間としての意識は全て猫のサーヴァントにいっているから、説得はできないとまりんは付け足した。
「みかんおにぎり怪人となったせとかさんは、観光客にみかんジュースで炊いたご飯を食べてもらうため、道後温泉そばの商店街に現れるよ。そこで道行く人にみかんおにぎりを渡して、断ったり、美味しくないと言った人に容赦ない攻撃をするよ」
接触は容易だが、観光客が多いので人払いか場所を移動する必要があるだろう。
「せとかさんを闇堕ちから救うためには、戦ってKOする必要があるよ。猫のサーヴァントが残っている状態でKOすれば灼滅者として助け出せるからね」
ただ、猫のサーヴァントは灼滅者達がせとかを助け出そうとしていることが理解できればこちらに味方してくれるが、せとかを殺しに来たと誤解してしまうと、こちらと敵対して戦闘に参加してしまうのだとまりんは説明した。
「まずは猫ちゃんに、ルリたちが敵じゃないよって伝えないといけないんだね」
なかなかやることは多いが、救えることができるなら、救いたいと思うのが灼滅者というものだ。
「みかんおにぎり怪人は、ご当地ヒーローとリングスラッシャーのサイキックを使ってくるよ。説得で弱体化できないから、充分気をつけてね」
「ルリはみかんジュースでご飯炊くよ! 助け出して、おかしくないよって言ってあげなきゃ!」
ルリの言葉にまりんはこくりと頷くと、最後に全員を見つめて言葉をかける。
「助けられるなら、助けてあげたいよね。せとかさんを学園に迎えられるように……全員で協力して、必ず無事に帰ってきてね」
参加者 | |
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無堂・理央(鉄砕拳姫・d01858) |
花澤・千佳(彩紬・d02379) |
ロロット・プリウ(ご当地銘菓を称える唄を・d02640) |
ルリ・リュミエール(バースデイ・d08863) |
柏葉・宗佑(灰葬・d08995) |
雛護・美鶴(風の吹くまま・d20700) |
奏川・狛(獅子狛楽士シサリウム・d23567) |
クッキー・コリコパット(アホの子・d24202) |
●みかんはなにかと万能です
「愛媛と言えばみかん。みかんと言えば愛媛。みかんが溢れる県、それが愛媛、それがみかん県!」
先日の戦いに続き、再び愛媛の地にやってきたルリ・リュミエール(バースデイ・d08863)は、熱いみかん愛を胸に秘めそう呟く。
「おこたでみかん、風邪をひいたらみかん……炊飯みかん!」
花澤・千佳(彩紬・d02379)も、ルリに応えるようにそう返す。
みかんとみかんご飯への愛をもって、一人の闇堕ち少女を救うべく、灼滅者達はそれぞれ熱い思いで松山の地へ集っていた。
「狛さん、もうすぐこちらに来られるそうです」
ご当地パワーを吸収するべく、他の仲間達より早く現地入りした奏川・狛(獅子狛楽士シサリウム・d23567)と、事前に携帯アドレスを交換していたロロット・プリウ(ご当地銘菓を称える唄を・d02640)がそう告げる。
道後温泉駅から、みかんおにぎり怪人となったせとかが現れる商店街へと向かう予定だ。
「蛇口からジュースが出るのも驚きだけど、ご飯も炊くんだね。主食というよりおやつ感覚なのかな……」
みかんご飯を食べたことのない柏葉・宗佑(灰葬・d08995)が興味深そうに呟くと、霊犬・豆助も早く食べたいとばかりに笑ったような愛嬌のある顔で宗佑を見上げている。
「まずはみかんおにぎりを配っているせとかちゃんを見つけなきゃだね」
雛護・美鶴(風の吹くまま・d20700)が観光客で賑わう商店街を見たが、まだ大きな混乱はないようだった。
「あ、奏川ちゃん、こっちこっち!」
ガイアチャージが完了した狛がこちらにやってくるのを見つけ、無堂・理央(鉄砕拳姫・d01858)が手を振り合図する。
「ばっちりチャージ完了です。いつもはシークヮーサーですが、今日はみかんで戦います」
ご当地ヒーローとして、狛は気合い充分である。
「では、せとかさんを助けにいきましょう」
「うなんな!」
ロロットの言葉に、クッキー・コリコパット(アホの子・d24202)が元気よく鳴き声で応える。大きめの猫の姿をしたクッキーは、傍目から見ればただの猫にしか見えないが、普段から猫の姿でいることを選んだ人造灼滅者なのである。
「ねこさんの……清見さんの信頼を勝ち取りましょう!」
猫のサーヴァントの無事を祈りながら、灼滅者達は商店街へと足早に向かうのだった。
●みかんおにぎりと翼猫
道後温泉そばの商店街は、予想通り観光客で賑わっていた。お土産物に目を奪われそうになりつつも、道後温泉へと至る道を歩いていくと、やがて人だかりができている場所を発見する。
それがみかんおにぎり怪人のものだとすぐにわかったのは、爽やかな柑橘の香りを放つみかんおにぎりを一人一人に配っていたからだ。観光客は物珍しさからか受け取り、概ね好評であるのか、みかんおにぎり怪人が暴れている気配はない。
「あっ! あれがみかんご飯?」
美鶴が一番に声を上げると、仲間達は目で頷きあってから作戦を決行する。
「なんかいい匂い……へえ、これがみかんご飯!」
宗佑の言葉を耳ざとく聞きつけたみかんおにぎり怪人は、さっとみかんおにぎりを差し出す。
「愛媛のソウルフード、是非食べていってね!」
「うん、 一度食べて見たかったんだ。……あ、合う! ほんのり甘酸っぱくておいしい」
「愛媛だとこんなご飯の炊き方があるんだ。目から鱗だね」
理央も一口頬張ると驚きに目を見開く。
気をよくしたみかんおおにぎり怪人は、全員にみかんおにぎりを手渡す。
「柑橘類の苦味が米と蜜柑の甘味を引き立てますね」
「わあ、甘いのにさっぱりで、美味しいですねえ。郷土愛に溢れた食べ物、大好きなんです」
狛とロロットも心の底からの言葉を笑顔で語る。
「……こ、これが愛媛の輝く橙色のごはん……! これは東京に広めなければ。もっと知りたい! 愛媛のみかん!」
千佳がグルメ漫画の美食家のような大仰さで褒めそやすと、その言葉を継ぐように宗佑が誘導する。
「俺達東京から来たんだ。ねえ、もっと沢山愛媛の良い所教えてくれないかな」
「郷土愛に溢れた食べ物、大好きなんです。思い出とか、自慢とか、もしかしてお手製レシピですとか。もっとお話、お聞かせ願えたら嬉しいですっ」
ここだと人通りも多くて騒がしいですから、もう少し静かな場所へ……とロロットがさらに人気のない方へと促す。
「ルリはみかんが大好き! だからみかんおにぎりについて、ゆっくりお話が聞きたいです!」
こうまで言われては、みかんおにぎりを広めようとしていた怪人が動かないはずがない。
「そんなに聞きたいのなら、いいよ」
千佳が手を引いて誘導すると、先ほどまでは姿の見えなかった羽の生えた猫がどこかからやって来たのか現れた。心配そうに怪人のあとについていこうとする。
みかんおにぎりを食べるのに夢中だったクッキーだが、その姿を見るや突進して体当たり。猫のサーヴァントはその衝撃に吹き飛ばされて地面に倒れ込む。
「クッキーさん、それではびっくりさせてしまうだけですよ」
悪気はなく、本能的に突進してしまったクッキーにそう声をかけ、ロロットは、そっと猫を抱き上げる。
「せとかさん、これまで、お一人で頑張って下さって、有り難うございます。助けに、来ました」
優しく声をかけると、猫の身体が大きく震える。名前を呼んだことで、少しは警戒心が解けたのかもしれない。
そのまま一行は人気のない路地裏を通り、広さのある駐車場までやってきた。理央はすぐに殺界形成で人が寄りつかないようにし、駐車場にいる人には千佳がラブフェロモンで避難を促す。
「みかんご飯の詳しい炊き方教えてもらえる? どんなジュースがご飯に合うの? みかんご飯と合うおかずってどんなもの?」
ペンとメモ帳を用意した理央が怪人を質問攻めにする。数人でそれとなく怪人の退路をふさぎつつ、残った者は猫の説得に当たる。
「俺達は清見さんを助けに来たんだ。今清見さんを乗っ取っている怪人を打ち倒せばきみを愛媛愛の普通の子に戻すことが出来る」
宗佑が長身の身体を猫の目の高さまで屈めると、真摯な眼差しで訴えかける。
「せとかさん、助けにきたよ! 貴方の体はダークネスに乗っ取られているの。元に戻る方法は、貴方が存在しているうちに怪人さんを倒すこと。だから力を貸してほしいの」
「せとかちゃんは今怪人に体を乗っ取られて貴女の意識が猫になって……でも間に合って良かった。貴女が健在なまま怪人を倒せば元に戻るグースよ」
どうすればせとかを元に戻せるのか、ルリと狛がわかりやすく説明する。
「大好きな物で誰かが傷つくなんて、嫌だもんね。でも、猫ちゃん……せとかちゃんが頑張ってくれたから間に合ったんだよ。せとかちゃんの体で悪い事してるあいつ、私達が止めてくるからね。それまで見守っててくれる?」
美鶴がせとかの心に寄り添い、優しく声をかける。
「ぅな~ぉ!」
クッキーが癒しのオーラで猫を癒す。あちこち傷だらけだった猫だったが、その癒しは心にも届いたのだろう。
「にゃあ」
わかりました、とでも言うように猫が鳴いた。それを肯定と受け止めた灼滅者達は、闇落ちした少女を救うべく、戦闘態勢を整えた。
●みかん愛の行方
「転身っ!」
かけ声と共にスレイヤーカードを解放した狛は、沖縄のシーサーのご当地怪人「シサリウム」の姿になる。
戦闘開始と共に、美鶴はサウンドシャッターを使って、戦場内の音を遮断した。
「清見さん!」
先ほどまで友好的だった目の前の人間が次々と武器を構え始めたことに戸惑っている怪人に向け、千佳は声をかける。
「今のあなたは暴力と悪意で満たされてる。悪のみかんおにぎり怪人が倒れたとき、あなたは真の愛媛親善大使となるでしょう!」
その言葉は、怪人だけでなく猫にも向けられたものだ。
「ねこさん、わたしたちはあなたの……清見さんの味方です!」
「全ては罠だったの!? あなたたちもみかんおにぎりを馬鹿にしてるのねっ!」
みかんおにぎりを手に悔しさを滲ませる怪人。みかん色の輝きを持った光の輪がいくつかに分裂し、灼滅者達を襲う。
「そうじゃないよ!」
ルリは意志を持つ帯を解き放ち、怪人を攻撃しながらも言葉を紡ぐ。
「ルリは、みかんが好き、みかんおにぎりも大好き。せとかさんと一緒に食べたい!」
「柑橘類とご飯の組合せは充分にある。こんなにも美味しい蜜柑お握りは正義グース。おかしくなんて無いグース!」
シークヮーサー感あふれる全身鎧から、これまたシークヮーサーの皮にしか見えない帯を射出しながらも、狛はみかんおにぎりを肯定した。
「みかんおにぎりはもちろん美味しいけど、ごり押し勧誘は嫌われるよ!」
クルセイドソードを構え、破邪の白光を放つ強烈な斬撃を繰り出す宗佑。霊犬豆助もタイミングを合わせ斬魔刀で攻撃に加わる。
「教えてもらったみかんご飯の炊き方は無駄にしないからね!」
理央はファイティングポーズの構えから、フットワークも軽やかに拳に展開したシールドを叩き込む。
「私の邪魔をしないでっ!」
荒げた声と共に、みかんおにぎり怪人から光の輪が放たれる。軌道が、その様子を眺めていた猫に向かうのを見て、千佳は思わず身を投げ出して庇う。
「ねこさん、大丈夫ですか?」
応えるように、にゃあと鳴くと、尻尾のリングが光を放つ。たちまち千佳の傷が癒されていく。
「ありがとうねこさん。必ず助けますからね」
気を取り直して怪人に向き直ると、千佳は契約の指輪から魔法弾を放ち、敵の動きを封じにかかる。そしてロロットも自身の影を伸ばし、怪人の身体を絡めとろうとする。
「お体を傷付けて、ごめんなさい。 乗っ取っている悪者を追い出す為だって、どうか、信じて下さいね」
「せとかちゃんの体、返しなさいっ!」
動きが鈍った怪人に対し、妖の槍に捻りを加えて突き出し、美鶴は怪人の身体を貫く。クッキーも赤茶色の毛を逆立て、「フゥーっ!」と威嚇しながらリングスラッシャーをぶつける。
「……みかんおにぎりを世の中に広めるまでは……!」
たたみかける攻撃により、幾分消耗した怪人はそう呟くと、光の輪を展開し、守りと回復を図る。
「ご当地にまで迷惑かけて、そんなのをご当地愛みたいに語らないでよね!」
冷気のつららを槍から撃ち出しながら、美鶴。理央は渾身のストレートを放ち、怪人を守りごと撃ち抜く。
「大好きなものを貶されるのは悲しいですよね。でも。無理矢理じゃ、愛は芽生えません」
ロロット渾身のメンチコフダイナミックが怪人に炸裂する。愛する故郷の銘菓の名を冠した技は強力な一撃となって怪人を追い詰める。
「くっ、こうなれば……愛媛のまじめなジュースビーーーーム!」
県民御用達の命の水と呼ばれるそれの力を宿した強力なビームが炸裂する。宗佑がすかさず前に出て仲間を庇う。
「ぅな~ぉ!」
それを見たクッキーと豆助がすぐさま宗佑の傷を癒す。
「せとかちゃん、蜜柑の技、とくと見るグース」
ガイアチャージを完了させている狛が、愛媛の地から得たご当地パワーを爆発させる。狛が勢いをつけて飛び上がれば、みかんのオーラを纏ったキックが炸裂する。怪人が愛するみかんの力を借りた攻撃は、容赦なく怪人に鉄槌を下した。
「にゃあ」
猫が頼んだとでもいうように、大きく鳴いた。その声に応えるように、ルリは魔力を宿した杖を振りかざす。
「ルリはみかんが大好き! だから、みかん愛にあふれるせとかさんを必ず助けてみせるのです!」
杖から流れ込んだ魔力が大きな渦となって内部から爆発する。その強力な一撃に、みかんおにぎり怪人はついに倒れ――清見せとかの肉体が残った。
「よく頑張ったね。清見さんを守ってくれて、ありがとう。俺の豆助もきみと同じもの。大事な半身、相棒だ」
「にゃにゃあ!」
宗佑のねぎらいの言葉に対し、翼を持った猫はふわりと空中に浮かぶと、嬉しそうな鳴き声をあげ――そのまま、消えていったのだった。
●みかんおにぎりをお土産に
「あれ、私……」
人としての意識を取り戻したせとかを、千佳が優しく介抱する。そしてゆっくりとこの状況について説明をする。
「ねこさんが助けてくれたんですよ。ここに居る豆助さんもねこさんも、サーヴァントっていう奇跡のあらわれです。どうやら消えてしまったみたいですけど……ねこさんは大事な片割れですよ」
「おにぎり、本当に美味しかったです」
ロロットが笑顔でそう言えば、せとかも嬉しそうに微笑み返す。
「よかったら、まだあるから」
「ボク、クラブの皆にも食べさせてあげたいんだ」
理央が嬉しそうに手を伸ばせば、クッキーは無心でみかんおにぎりを食べ始めた。豆助も尻尾を振って待っている。
しばしのみかんおにぎりタイム。
「ほんのり甘くて、でも、少し皮のほろ苦さが香って……」
「……花澤さん、いっぱいついてるついてる」
ほっぺたをぱんぱんにした千佳の口元をハンカチでぬぐってやる宗佑。
そして全員でせとかに学園の話をする。
「学園にはご当地愛にあふれた生徒もたくさんいます。その気持ちをみんな尊重してくれます」
そっと沖縄名産の紫いもタルトを差し出す狛。みかんご飯やおにぎりをおかしいなどという生徒は学園にはいない。
「私もこんな力があってどうしようかと思ったけど、自分にできることがあるならって、ようやく思えるようになったんだ」
美鶴が自分の気持ちを素直に話すと、せとかもいろいろと思うところがあったようだ。
「うん……私もみんなに助けてもらったから、恩返しができるならしたいかも……」
「うん、学園でも、みんなでみかんおにぎり食べよう♪」
ルリが差し出した手を、そっと取るせとか。
「それじゃあお土産用に、もっとたくさんみかんおにぎり作っていくね」
クッキーと豆助が平らげてしまった様子を見て、せとかはそう言って満面の笑みを浮かべたのだった。
作者:湊ゆうき |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年2月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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