「……さあ、お嬢様。今日も確りと教育してあげますからね」
瀟洒な屋敷に響く美声に、椅子に縛り付けられた少女はくぐもった悲鳴を漏らした。ゆるゆると顔を上げれば其処に、綺麗に金髪を撫でつけた青年が居る。
きっちりと着こなした執事服に、細いフレームの眼鏡が良く似合っている――きっと彼の姿を見た者は、その高潔な佇まいに虜になるのだろう。何より、自分がそうだったから。
――しかし、今はその微笑に秘められた狂気が恐ろしい。妖しく輝く紅の瞳は、まるで獲物をいたぶる猛獣を思わせた。
「礼儀作法は淑女に必要不可欠なものですが、先ずは笑顔の練習と行きましょうか。……笑いなさい、何をされても。うつくしくたおやかに、花のように微笑むのです」
ああ、と少女はぎこちなく顔を歪めて笑おうとした。けれど表情はこわばり、知らず知らず涙が頬を濡らす。それを見た青年の瞳が、不服そうに細められた。
「……いけませんね、人前ではしたなく涙を流すなど。そんないけないお嬢様には、罰を与えなくては」
にぃ、と青年の唇がつり上がり、その口元から鋭い牙が覗く。それと同時、白手袋に握られた銃身の刃が翻り――少女の肌に朱を刻んだ。
「ああしかし、このままお嬢様が一人前のレディになれるかどうか。それより先に――……」
肌を這う舌が涙を舐めとり、そのまま青年は少女の首筋に牙を立てる。ぽたり、と零れる血の雫が、彼女の服に新たな染みを作った。
「私がお嬢様を、奪い尽くしてしまいそうです」
――軽井沢の別荘地の一部が、ブレイズゲートになったのだと言う。
このブレイズゲートの中心となる洋館は、かつて高位のヴァンパイアの所有物だった。しかし、そのヴァンパイアはサイキックアブソーバーの影響で封印され――配下のヴァンパイアも封印や消滅するかで全滅してしまっていた。
――が。この地がブレイズゲート化した事で、消滅した筈のヴァンパイア達が過去から蘇ってしまい、再びかつての優雅な暮らしを行うようになったのだ。
現れるヴァンパイアは、消滅した配下のひとり。彼の者は別荘の一つを占拠し、かつての栄華を取り戻そうとしている。
彼らは、サイキックアブソーバー以前の暮らしを続ける亡霊のような存在だ。呼び集められた一般人を、気が向いたらという理由で殺すような優雅な生活をしているので、放置していくわけにはいかないだろう。
「……おや、侵入者ですか」
別荘に足を踏み入れた灼滅者たちに向かい、その青年は優雅に微笑んで見せた。ディートリヒ、と自らの名を名乗ったヴァンパイアは、椅子に縛り付けられた少女に手を伸ばし――彼女を淑女にする為の教育の最中なのだと言う。
当然、そんなのは彼の戯言だ。それは少女の虚ろな表情、そしてその身体を染める血からも明白だった。一行は頷き殲術道具を構えると、ディートリヒは高らかに嗤い声を上げる。
「貴方がたも教育して欲しいと? よろしいでしょう、誠心誠意お仕えさせて頂きますよ……!」
――かくして、戦いの幕が上がる。嗜虐に酔う執事を滅し――過去の亡霊を再び葬り去る為に。
参加者 | |
---|---|
野和泉・不律(アンコールは止まらない・d12235) |
一恋・知恵(命乞いのアッシュ・d25080) |
ルクルド・カラーサ(生意気オージー・d26139) |
ディートリッヒ・オステンゴート(狂焔の戦場信仰・d26431) |
夢幻・天魔(千の設定を持つ男・d27392) |
黒乃・夜霧(求愛・d28037) |
シフォン・アッシュ(影踏み兎・d29278) |
只乃・葉子(ダンボール系アイドル・d29402) |
●背徳の宴
過去から蘇った邪悪な存在――それは、血を渇望するヴァンパイアのひとり。別荘を根城とする彼の者は、無辜の少女を捕らえて、狂気じみた享楽に耽っていた。
――それはまるで、永遠に覚めない悪夢のようで。その担い手であるダークネスに二度目の死を与えるべく、灼滅者たちは月下の別荘へと赴く。
「……えっと、ディートリッヒ……さん?」
目的地の一室に乗り込み、件のヴァンパイアと対峙し――彼の名乗った名前を聞いた、只乃・葉子(ダンボール系アイドル・d29402)は、被ったダンボールの中で宝石のような瞳をぱちくりさせた。
「念のため言っておきますが、敵はアチラです。俺ではありません」
そんな葉子の問いかけに、ディートリッヒ・オステンゴート(狂焔の戦場信仰・d26431)はにこやかに微笑んで、嗜虐的な笑みを見せている目の前の敵を睨み付ける。偶然にも敵の名もディートリヒと言うらしく、同じ名を背負っていると言うのは何とも不愉快だった。
「俺との戦いは、アレ倒した後でお願いします。後でなら歓迎ですので」
(「……と、それはさておき、先ずは一般人の少女を助けなくてはいけませんよね」)
仲間のやり取りにちょっぴり苦笑しつつも、ルクルド・カラーサ(生意気オージー・d26139)は、椅子に縛り付けられている少女を心配そうに見遣る。敵を油断させる為、現在の彼は薄汚れた衣装を纏っていた。
(「弱々しさを演出して、モテヨワな自分をコーデです♪」)
これも敵の嗜虐心を煽り、油断させて隙を作る為のこと。ルクルドは敵に恐怖している自分を隠さず、尚且つ強がって戦おうと――敢えて気丈に振る舞った。
「お、お前なんて怖く無いぞ! 本当だからなっ」
おや、とその時、ルクルドに興味を示したのかディートリヒの眼鏡が冷たく光る。と、其処で、更に相手の気を引こうと一歩を踏み出したのが、野和泉・不律(アンコールは止まらない・d12235)だった。
「んー……なーんかむかむかするわねぇ、この変態執事。こう言うのって私だーい嫌いなのよねぇ」
その唇から紡がれるのは、遠慮なしの罵倒の言葉。相手の加虐心をそそるような弱々しさは、自分らしくない――そう結論付けた不律は、強気に相手を突っぱねていく事にしたのだ。
「愛の鞭ー? そーいうのは大体余計なおせっかいだし、こいつはただそれを良いコトに自分の欲を満たしたいだけの駄犬みたいだしねー」
そこまで一気にまくしたてると、不律は真紅の瞳を細めてにやりと笑う。
「……礼儀知らずの出過ぎた下僕を教育してあげましょう」
「小生意気な方がいいのかな? それとも泣いてるほうがお好み?」
彼女に続くように、一恋・知恵(命乞いのアッシュ・d25080)はディートリヒの前でくるりと回り――ドレスの裾を摘んで、優雅にお辞儀をしてみせた。けれどそれも一転、知恵は親指で自分の首を切って下に向ける仕草で挑発する。
「やだ、私ったらお行儀悪い。ねえ執事さん、貴方好みに立派に調教してみてよ」
ああ、でもぉ? と少女はニヤニヤと微笑んだ。己のビハインド――七草美・穂麦と手を合わせ、頬を合わせて戯れのように囁く。
「貴方如きに出来るわけないかぁ。だって、か弱いただの女の子相手じゃないと元気になれない、腑抜けた腐れた玉無しのヘタレ野郎だもんね? 私を跪かせるなんて、百年やっても無理ね」
徹底的に、知恵はディートリヒを挑発したのだが――彼は形の良い眉を不快そうにひそめたばかり。どうやらあからさまな罵りに、簡単に激昂する相手では無いようだが、それでも注意を引く事には成功したのは良しとすべきだろうか。
「……残念ですが、仕える主人を選ぶ権利は此方にありますので。貴女のような屑は、此方から願い下げです」
小芝居はもう終わりですか――そんな感じで失笑を漏らしたディートリヒは、慇懃な態度で一礼する。どうやらこの一件で、完全に相手は戦闘態勢に入り――油断を誘う事は出来なくなったようだ。
「女の子が怖がる顔が好きなの? うーん……なんて言うか、凄い趣味だね」
ぽつりと本音を呟いた、シフォン・アッシュ(影踏み兎・d29278)は、お嬢様を思わせるドレスをゆっくりと翻したが、綺麗に着飾るだけでは敵の興味は然程惹けなかった。ダークネスにそういうの関係ないかもだけどさっ、と彼女が悔し紛れに呟いた所で、遂に仲間が動いた。
「……フッ、囚われの姫よ。俺が来たからにはもう大丈夫だ」
物憂げに髪をかき上げつつも、夢幻・天魔(千の設定を持つ男・d27392)は怪力を発揮して、少女を椅子ごと抱え上げる。そのまま彼は、安全な部屋の外へと少女を連れて行った。去り際にルクルドの霊犬、田中・カラーサが「大丈夫か? お嬢さん」とでも言うかのような渋いまなざしを向ける。
(「これで、女の子の方は大丈夫……!」)
なら、と黒乃・夜霧(求愛・d28037)は敵に立ち向かおうと決意を新たにした。当初の予定通り、初めての戦いで恐ろしい敵に怯えて震える――そんな風に振る舞おうと、決死の表情でディートリヒを睨み付ける。
「なんてひどいことを……! 貴方には、人の血が流れてないのですか……!」
彼の行いに、怒りよりも恐怖が勝って上手く動けない。そんな心境を巧みに演じ、夜霧は震える身体をごまかしつつ、必死で立ち向かう健気な少女になりきっていた。
「や、やだ……こないで……!」
ディートリヒの注意が自分に向けられた、その隙を狙って――夜霧は、渾身の力で交通標識を振り下ろす。しかし、その軌道は読まれていたらしく、彼は片腕を翳してその一撃を受け止めた。
「その気障な眼鏡、砕きたかったです……!」
残念がる夜霧だが、今のはあくまでも不意打ち――本当の戦いはこれからだ。そうしている内に、少女を助け終えた天魔が合流し、皆は行こうと言うように頷き合う。
「今宵の来訪者は、随分と無粋な方々のようですが」
血の紅を思わせる瞳を不吉に揺らめかせ――別荘を護る執事は、月夜を背にして朗々と告げた。
「……教えて差し上げますよ。身の程と言うものをね」
●加虐の遊戯
「弱々しい姿にまんまと騙されたな吸血鬼! 僕はちょっと本気でビビってるぞ!」
演技ではなく、実は本当にビビリな所もあるルクルドが、一生懸命戦おうとばかりにびしりと指を突き付けた。そんな、心はちゃんと男の子している主人を見守る田中も、咆哮を響かせて斬魔刀を振るう。
(「ディートリヒと言う名前は、今は居ないある人が、俺に託してくれた憧れの名前です」)
サバモンボールを掲げ、ライドキャリバーのファルケを召喚したディートリッヒは、燃え盛る炎を剣に纏い――同じ名を持つヴァンパイアを、一気に斬り裂いた。
「同じ名を背負いながら弱者を虐げ、悦ぶ様は……ああ、実に不愉快ですね」
しかし、敵はすぐさまガンナイフを操り、銃弾の雨が彼らの足を縫い止める。させないとばかりに、手の甲の盾で障壁を展開し、味方を守るのは知恵だった。
「何を言われても、アイドルを目指す心は折れませんから!」
ステージ衣装のドレスを波打たせ、葉子はマイク片手に神秘的な歌声を響かせる。彼女が歌うのは、しっとりとしたバラードで。それは初めてのライブに臨む女の子、その不安や希望を歌った曲だった。
「ククク……かつて災厄の化身と呼ばれたこの俺の力、見せてやろう」
混沌の担い手――所謂ジャマーのポジションについた天魔は、意志持つ帯を操り、狙いを定めて獲物を貫こうとした。しかしその一撃は躱され、同じく攻撃の精度を上げようとしたシフォンも、間一髪の所で避けられてしまう。
「……うーん、当てにくいなぁ」
「くっ、かつては最強の戦士であった俺だが……やはり、この世界に来る際に施された72の封印の所為で、力が制限されている……」
厨二妄想を炸裂させる天魔だが、それを聞いた夜霧はきらきらと目を輝かせた。どうやら彼の言葉を素直に信じ込んだらしい。
「そうなんですか……! 格好良い……!」
そう言いつつも、夜霧は摩擦で生み出した炎を靡かせて――激しい蹴りを叩き込んでふわりと笑う。一方の不律は、ディートリヒの動きを縛ろうと縛霊手の霊力を放出するが、サーヴァントを従えている分、異常付与の確実性は落ちる。
「あ、指示出すのを忘れてたわ。適当に動いて頂戴」
そして、彼女のライドキャリバーのスウィートも、主と同じ位置で攻撃に加わる事となった。確実に此方を追い詰めて来るディートリヒの猛攻へは、ルクルドが的確な回復を行っていたが――やはり、回復に専念するのが彼一人と言う状況は厳しすぎた。満足に攻撃を行えないままに、葉子も早々に回復役へ加わる事になる。
「これは、ちょっと厳しい……ですね」
ルクルドの頬を汗が伝い、飛ばした防護符がシフォンを守護する中――思うように動けないでいるのが知恵だった。使うと決めていたサイキックが活性化されておらず、彼女は脳裏に描いていた戦法を実行出来ずにいたのだ。サーヴァントの穂麦は頑張ってくれているが、知恵の顔には何時しか焦りが滲んでいて。
「……知恵ちゃん、大丈夫?」
己を気遣うシフォンの呟きも、果たして彼女の耳に届いていたのだろうか。何処かいつもと違う雰囲気を感じて、少し心配になったシフォンは軽く吐息を零す。
(「昔、ダークネスに囚われてた事があるから、この手の連中は絶対に許さない事に決めてるの」)
暴風の如き知恵の回し蹴りが周囲を薙ぎ払うが、彼女の奮戦も其処までだった。幾度も銃弾を受け、纏うドレスは朱に染まり――其処に、ディートリヒが零距離の近接戦を仕掛けたのだ。
「だからコイツも、絶対に許さな……っ!」
誓いの言葉は、途中でくぐもった悲鳴に変わった。翻った銃刃が知恵の手を貫き、ダンッと言う無慈悲な音を立てて床に縫い止める。そのまま肉を抉る厭な音が部屋に響き、豪奢な絨毯が見る間に赤黒い染みで汚れていった。
「かはっ……っく……うああぁ……ッ!」
悲鳴が不意に途切れたのは、ディートリヒの靴底が加減無しに知恵の胴にめり込んだからだ。顔面を狙った拳は既に返り血に染まり、咳き込んだ知恵は盛大に吐血をして動かなくなる。
「おや、百年だなどとお聞きしたような気がいたしましたが。……私の気付かぬ間に、それ程の時が過ぎていたのでしょうか」
――それは最早教育などでは無く、ただ目障りな塵を排除しただけ。そう言うかのようにディートリヒは知恵の顔面を踏み躙り、そのまま無造作に部屋の隅へと蹴り飛ばす。
そして、冷ややかな瞳を微塵も揺らがせる事無く、彼はそれきり知恵に興味を示さずに――戦いを再開した。
●悪夢の終わり
しぃん、と厭な沈黙が別荘の一室を支配する。
「部長さん……」
葉子はそれだけ呟くのが精一杯で。不律は内心、この戦いを通して部員の皆との交流を深めようと張り切っていただけに、横たわる冷たい現実に歯噛みする。
――それでも。だからこそ。知恵の為にも、目の前の敵を灼滅しなくてはならない。
(「……いつも通り。心は熱く、頭は冷静に、ね!」)
頷いたシフォンは動力剣を構え、チェーンソーの刃を唸らせて無慈悲な斬撃を見舞った。彼女の姿に皆も我を取り戻し、落ち着いて反撃に移ろうと動き出す。
「更なる災厄へ堕ちていくか……フハハハハ! 64の世界を旅し、108の戦闘装束を持つ俺の力が効いてきたようだな……!」
制約の弾丸を放ち、その身を縛った天魔が高笑いを上げた。ここに来てようやく、ディートリヒを蝕む異常が目に見えて分かるようになってきていたのだ。
(「不愉快だ、などと……驚きました。俺にもそんな人間のような感情があったとは」)
彼の身体は今や炎に包まれており――更なる絶望の淵へ誘おうとディートリッヒが影を操り、一気にその身を呑み込まんとする。
「戦うことが好きと定義された俺が楽しくない以上、これは戦いではありません。……お覚悟を」
これは狩りなのだと暗に仄めかしたディートリッヒに続き、夜霧が殲術執刀法で的確に急所を抉り出した。すると其処へ、不律の白い髪が流星のような尾を引いて、重力を宿した飛び蹴りが敵を踏み躙る。
「さて、強制的に地べたに這い蹲らせて、足でも舐めさせてあげるわぁ」
「……随分と、舐められたものですね」
と、そこでディートリヒが動いた。緋色の輝きを纏ったガンナイフが不吉に煌めき、ずぷりと不律の胴にめり込む。力任せに刃を捻られた不律は、そのまま均衡を失って床に倒れ込んだ。
――礼儀知らずの、出過ぎた下僕を教育する筈が。まるで意趣返しと言わんばかりに、不律は地べたに這い蹲らされ、屈辱と苦痛にその貌が歪む。
かつての生家で受けた厳しい教育、そしてそれを跳ね除けた過去が過ぎり、酷く頭も軋んだが――自分はこのまま、何も出来ずに終わるのか。
「品の無い事ばかりまくし立て、悦に入る下衆の気分は分かりかねますが」
いたぶって愉しむ価値すら無い、と言わんばかりにディートリヒは冷ややかに不律を断じるが――其処でルクルドの操る帯が、不律の身体を鎧のように覆った。
「これ以上、仲間はやらせません」
「そうです!」
笑顔と微笑みを絶やさず、葉子も天上の歌声を響かせて回復に加わる。ディートリッヒは咆哮を響かせ己を鼓舞し、ファルケは決死の突撃を見舞った。
大丈夫だ、とルクルドは皆に言い聞かせた。此方と同じように、敵も確実に消耗してきているのだと。後衛で戦況をつぶさに観察してきた彼は、ディートリヒの動きが鈍ってきている事に気付いたのだ。
「ククク……サディストが動けないままになぶられるのを見るのは、何とも楽しいことではないか? フハハハハハ!」
ジグザグに走る刃を操る天魔は、すっかり普段の自分を取り戻していた。更なる異常を付与されたディートリヒは、再度動きを封じられ――その瞳に初めて驚愕が滲んだ所に、飛び掛かったのはシフォンと夜霧だった。
「よし、夜霧ちゃん、タイミング合わせてどーん! 行くよっ!」
「ええ、そのキザな眼鏡をぶっ飛ばしてやりますっ!」
シフォンの得物に『影』が宿ってディートリヒに襲い掛かり、その精神に潜むトラウマを引き摺りだす。其処へ夜霧が、赤色になった交通標識を握りしめて一気に叩き付けた。
「眼鏡禁止ですよっ!」
その一撃が、止めとなった。何か言いたげにディートリヒは唇を震わせて――そのまま灼滅された。
こうして無事に別荘に巣食うヴァンパイアは倒され、囚われていた少女も助ける事が出来た。ただし、倒れた知恵の容体は深刻で、暫く安静が必要だろうが。
――やがて、悪夢の夜は終わりを告げる。
過去の栄華は露と消え、背徳の館を覆う闇は晴れたのだ。
作者:柚烏 |
重傷:一恋・知恵(一つの恋をキミとした・d25080) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年2月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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