タタリガミの学園~仕事の選べない人の

    作者:聖山葵

    「リコーダーの吹き口舐め回す女子用のスクール水着を着たびしょ濡れのおっさん……ねぇ」
     静まりかえった夜の教室で、ほぅと嘆息したのは、板の打ち付けられ浮遊する一枚の戸だった。
    「何がどうしてこうなるのかな……まぁ、これも七不思議だよね」
     見るからにやる気のなさそうなそれは、手にしたメモ帳に板の合間から覗く目を落とすと、もう一方の手に握ったペンを紙上に走らせる。
    「はい、完成っと」
    「げへっ、げへへへっ」
    「……いや、何が悲しくてこんな変態作り出さなきゃならないんだろうなぁ」
     愉悦の表情を浮かべ、近くにあった机からリコーダの吹き口を取り出し、早速舐め始めた変態七不思議都市伝説をジト目で見て、何度目か解らない嘆息をしたその戸は身体を傾けて、教室を出ると周囲を見回しもう一度嘆息する。
    「おまけにこれとか……おーい、終わったよ! あんた、僕の護衛なんでしょうに」
    「おー悪ィ悪ィ、ぶん殴れる奴もいねぇし、むしゃくしゃしてなぁ、つい」
     戸の声に割れた窓ガラスを踏み砕きながら廊下の曲がり角から現れたのは、上半身の入れ墨を隠そうともしない半裸の男で、その額からは一本の角が天を突いていた。
    「やってらんないよなぁ……」
     悪びれもしない羅刹の顔を見て、浮遊する戸は相手に聞き取れないほどの小声で、吐き捨てた。
     
    「九州で発生していた七不思議の都市伝説は知っているか?」
     その都市伝説について重大な情報が寄せられたのだと君達を呼び集めた座本・はるひ(高校生エクスブレイン・dn0088)は明かした。
    「武蔵坂学園以外の灼滅者組織の灼滅者が九州のダークネス組織によって拉致、闇堕ちさせられて利用されていたらしいのだよ」
     そして、現在もこの闇堕ちさせられた灼滅者達は九州の学校で都市伝説を生み出し続けているという。
    「そこで、都市伝説を生み出そうと学校へ出向いてきた所を襲撃し救出する作戦を行おうと言う訳だ」
     上手く行けば、利用させられている元灼滅者を救出することが出来ると言うだけでもやってみる価値はある。
    「それで、まず元灼滅者の護衛についているダークネスだが、入れ墨をした羅刹が一体となる」
     戦いを好む性質の様でじっとしているのが苦手と護衛としては不的確この上ない性格をしており、自分の力が振るえないことを不満に思い、今回君達が赴くケースでも、苛立ちと手持ちぶさたを紛らわせる為に、校内をうろついてモノに当たろうとするとのこと。
    「戦闘になれば、神薙使いのサイキックに似た攻撃で襲ってくるだろうな」
     実力に関しては八人でかかればごく普通に倒せるレベルの上、日頃の行いから些少戦闘音がしても、元灼滅者の方は「ああ、また暴れてる」とか思うだけだろう。
    「次に、元灼滅者でダークネス『タタリガミ』の方だが、こちらは都市伝説を強化したような能力を持っている」
     今回の場合は、開かずの戸。侵入したモノを飲み込んでしまう都市伝説だが、攻撃手段としては影業のサイキックとほぼ同様のモノになる。
    「影にのまれるか、戸の中に吸い込まれるかの違いがあるだけだな」
     ただ、外見が戸の為、教室の戸などに偽装して他者をやり過ごすカモフラージュ能力も持つので、一度取り逃がすと見失ってしまう可能性もあるし、追跡中の奇襲には注意が必要だ。
    「まぁ、逃さなければ良いだけなのだがね」
     バベルの鎖に接触せずに遭遇するタイミングは、羅刹なら当たるモノを探して単独行動している時、タタリガミなら教室の真ん中で都市伝説を生み出す準備をしている最中になる。
    「流石に教室の真ん中に浮かんでいる戸は見間違わないと思うのでね」
     尚、タタリガミを上手く説得出来れば攻撃を鈍らせことが出来る。
    「タタリガミ側と接触するつもりなら、説得をすることを推奨しよう。時間は余りかけられそうにないのでね」
     いくら護衛に向かない性格とは言え、羅刹は同じ校舎に居るのだ。時間をかけすぎれば、タタリガミの元にやって来てしまうことが考えられる。
    「私から説明出来ることはこんな所か……いや」
     自分の言を頭を振って否定したはるひは、再び口を開く。
    「件の元灼滅者なのだがね……無理矢理闇堕ちさせられた灼滅者は君達が救出に来た灼滅者である事を訴え、信じてもらった上で撃破することが出来れば、救出することが出来ると思われる」
     闇堕ちさせられている灼滅者の名は、隠戸・光(かくしど・ひかり)。
    「捨て置くことは出来ない。元灼滅者のことも都市伝説が生み出される事態もな。護衛を含めればダークネスは二体、少々大変な任務かもしれないが――」
     宜しく頼むとはるひは君達へ頭を下げたのだった。
     


    参加者
    大堂寺・勇飛(三千大千世界・d00263)
    鈴鹿・夜魅(闇世ノ鴉・d02847)
    不知火・読魅(永遠に幼き吸血姫・d04452)
    小鳥遊・優雨(優しい雨・d05156)
    現世・戒那(紅天狼主三峰・d09099)
    八葉・文(夜の闇に潜む一撃・d12377)
    レオン・ヴァーミリオン(暁を望む者・d24267)
    神酒嶋・奈暗(快楽主義者・d29116)

    ■リプレイ

    ●突入
    「リコーダーの吹き口舐め回す女子用のスクール水着を着たびしょ濡れのおっさん……って、ただの変質者じゃねぇか。不思議でもなんでもないと思うんだけど」
     思わず心の声を口に出してしまったとして、誰が鈴鹿・夜魅(闇世ノ鴉・d02847)を責められようか。
    (「七不思議使い……か。灼滅者仲間としてオレたちが絶対救ってやるぜ」)
     月明かりが窓から差し込む廊下を歩きつつ、大堂寺・勇飛(三千大千世界・d00263)ただ、ぐっと拳を握りしめる。
     ただし、これ以上変な都市伝説作られるのはたまったものじゃないと言うのも紛うことなき本音であろう。
    「タタリガミ、七不思議。いろいろと興味深いけど今は何より無理やり闇堕ちさせられた人の救出が一番だね」
     もちろん、現世・戒那(紅天狼主三峰・d09099)がそんな風に心情を言語化すれば、おそらくは勇飛のみならず他の同行者達からも同意を得られただろう。
    「こうして進む分にはこのランプも要らなそうだよな」
     遠くでガラスの割れる音を聞きつつ、神酒嶋・奈暗(快楽主義者・d29116)は腰に落とした視線を前方に戻す。
    「……確かにそう、ね。……と言うか」
     最後まで言わずに八葉・文(夜の闇に潜む一撃・d12377)が目を向ける先は、一つだけ廊下へ明かりの漏れているやや遠い教室。
    「そう言えば、光くんが都市伝説を作る時、メモにペンを走らせるみたいだものねぇ」
     レオン・ヴァーミリオン(暁を望む者・d24267)の思い出した七不思議都市伝説の作成方法が理由なら、ものを書くのには明るい方が良いと、タタリガミ自身が明かりをつけたのだろうか。そして、作り出されるのは、変態七不思議都市伝説。
    「そんなの生み出して、あいつらは何考えてんだ?」
    「今回の変態七不思議都市伝説を生み出す目的はおそらく……妾達に対する嫌がらせじゃな」
     いかにも理解しがたいと言った表情で零す夜魅へと不知火・読魅(永遠に幼き吸血姫・d04452)は推測を口にしてみせると、ちらりと一度だけ後方を振り返る。
    「んじゃま、サクッと救いにいきますか」
     代弁はレオンがしたと言っても過言はない。
    「応、行くとしようか」
     振り向いた理由は突入前の確認の様なもので、これに応えたのは、勇飛。
    「音の遮断は任せて下さい」
     並んで歩きながら小鳥遊・優雨(優しい雨・d05156)は一つ頷き。
    「ついでにムズい話もそっちの方で頼むぜ」
     前を行く優雨へリクエストを付け加えると奈暗は視線を後方にやる。
    (「やること済ましてさっさとトンズラしねーとな」)
     何処かで聞こえる破壊音は遠いが、連戦は無理とも見ていた。
    (「さてと」)
     やがて灼滅者達は、光の漏れ出た教室の前に辿り着き。
    「リコーダーの吹き口舐め回す女子用のスクール水着を着たびしょ濡れのおっさん……ねぇ」
     中から聞こえてくるのは、独り言とため息。
    「変態を呼び出されても困りますので、止めてもらえますか?」
    「え?」
     何もしなければ情報通り起こりえた、変態七不思議都市伝説の誕生は、優雨の投げた声によって中断させられたのだ。

    ●仕事選べよとツッコむ奥義
    「このままでいいんですか? 夜な夜な人の居ない学校に忍び込んで、変質者を呼び出すことをこのまま続けることになってもいいんですか?」
     教室に呆然としつつ浮かぶ戸が我に返るよりも、誰何の声を上げるよりも質問は早かった。
    「もう奴らに協力するのはやめろ。さもないと……今度は『廊下を全速力でスキップするセーラー服を着たおっさん』とかいう変態七不思議都市伝説を生みだす羽目になるかもしれないぜ」
    「そうじゃぞ、他にも『汗だくになって一人フォークダンスを踊るブルマ姿のおっさん』とかのぅ」
    「後者はおととい作っただ……って、誰だあんたら?」
     立ち直る暇を与えず、更に夜魅と読魅のコンビが具体例を挙げれば、反射的に答えかけてようやく我に返ったタタリガミは誰何の声を上げる。
    「オレは神酒嶋奈暗。お前を助けに来た同業者、ってとこだぜ?」
     だが、それも灼滅者達からすれば比較的予想しやすい質問だったのだろう。
    「オレたちは武蔵野学園からやってきた灼滅者だ。君を救いに来た」
    「武蔵坂学園っていう灼滅者の学園なんだけど知らない?」
     挨拶をした方が良いのか首を傾げつつも結局名乗った奈暗を皮切りに勇飛が所属を明かし出し、戒那は問い。
    「……まぁ、既に言われちゃってる気もするけど……アナタ達とは違う灼滅者の組織が来た……と言えば、大体の用件はわかるかしら?」
     いや、むしろ先方から聞いてくれたのだからとばかりにタタリガミへ声をかけた仲間達をちらりと見た文は肩をすくめる。
    「他の人も言ってる様に苦境を聞いて助けに来たよー望まないことを強いられるなら僕らとともに逃げよう?」
     だが浮遊する戸が考えて答えを導き出すよりも早く、戒那が説明付きで呼びかけ。
    「助けに、ねぇ」
    「……そう。……月並みだけど、『助けに来た』……少し痛い目を見てもらうけど、ね」
     言葉を反芻したタタリガミに応じた文は補足をするなり、偽断百眼布で全身を覆う。
    「ああ、そう言うことね。だいたい分かった」
     と、灼滅者達の言わんとすることをタタリガミが理解するのとどちらが早かっただろうか。
    「いくぜ」
     放出された奈暗のどす黒い殺気が殺到したのは。
    「ぷはっ、いきなりだな……武蔵坂だっけ?」
    「ああ。武蔵坂学園っていうんだけど、うずめ率いる羅刹陣営、そこの協力者のHKTとは絶賛敵対中でな」
    「ですから、助けに来ました」
     殺気を突破して問い返す戸に応じレオンが捻りを加えて突きを繰り出せば、優雨が補足と同時に帯を射出する。
    「ぐあっ」
     流石にタイミングを合わせての連係攻撃は捌ききれなかったが、妖の槍もAegisも戸へと穴を穿って悲鳴をあげさせ。
    「お前はこの世を変態都市伝説で溢れさせたいのか?」
    「よく考えるのじゃ、それがお主が闇落ちしてまでやりたかった事なのかを」
     今度は夜魅と読魅が呼びかけながら呼びかけながら斬りかかる、一方は炎を宿した龍砕斧を振りかぶり、もう一方は死角から急所を狙って。
    「くっ、随分荒っぽい救出じゃないの」
     軽口を叩いて見せつつも、声には焦りが滲み。
    「がっ」
     僅かに早かったレーヴァテインの方が戸板へとめり込んだ。
    「ぎっ、っく……」
     怯んだところで読魅の斬撃が浮遊する戸の急所と思わしき場所を斬り裂けば、二丁のガンナイフを向け、戒那も訴えた。
    「少なくとも君の意に沿わないことを強制させることだけはないと思う。だから助けさせて欲しい」
     と。
    「痛ぅ、そりゃありがたいこって」
     敵を自動で狙う弾丸が発射されると同時に、戸が開き、中から飛び出したのは闇が形作る触手の様な何か。
    「龍星号っ!」
    「な」
     自己暗示をかけた勇飛が呼べば、他者に気をとられていたタタリガミ目掛けライドキャリバーが突っ込んだ。

    ●説得も続いてます
    「……ウチは刃。 ……あんたの闇を切り裂き、穿つ……刃や」
    「へぇ、刃ねぇ」
     戸の破損した部分を生えた腕で押さえつつ、文とタタリガミは対峙する。
    「……こちらはあんたに強要はせぇへん……もちろんこの差し伸べた手を取らないのも、自由や」
    「いや、手というかさ、あんたの向けてるのどう見ても殲術道」
    「……殺技、暴風」
     回転する五本の杭が奏でる音は、ものの見事に浮く戸のしようとした指摘の末尾をかき消した。言葉だけで説得する時間は過ぎ去ってやや久しいのだ。
    「……戸板だろうが、関係、ない!」
     高速回転させた杭でねじ切り、あわよくば片足を振り上げ踏み込み、渾身の力で頭突きを喰らわせる。そう、説得(物理)である。
    「くあっ」
     杭に枠の一部を持って行かれてタタリガミが悲鳴をあげ。
    「助けたい、っていう思いに、理由なんて要らねぇ。もう、うずめとかHKTとかの言いなりにゃなりたくねぇんだろ? なら、一緒に来い!!」
     呼びかけながら奈暗は両手にオーラを集中させながら、前に向かって飛ぶ。
    「だぁっ、勝手言ってくれちゃって!」
     傾ぎかけた戸が開いたのは、その直後。闇が形作った刃が奈暗を迎え撃つべく中から飛び出し。
    「ちょ」
     奈暗を目指していたはずの闇は途中で軌道を変えて何もない虚空を貫く。
    「おいおい、そりゃ僕も無理矢理は嫌だっべっ」
     まるで自分の身体を見る様にしたタタリガミのぼやきを代わりに繰り出された拳が中断させ。
    「がっ、ぐ、げはっ、うぐ」
    「――キミたちの助力が欲しい。他ならぬキミたち自身の意志でね」
     拳の雨が多段ヒットしてボコボコにされる戸を視界に入れて、駄目押す様に声をかけながらレオンは死角に回り込む。
    「本当に良いんですか? 七不思議がすべて変態のおっさんで埋まってしまって自分自身も変態のおっさんになってしまうんですよ」
     頷いた優雨が、後を継いで問いかけながらもCocytusを握る手に捻りを加え床を蹴ったのを目にして。
    (大丈夫ですよね、これなら――)
     攻撃の軌道が変に曲がったことで幾人かの灼滅者は悟った。説得の効果があったことを。
    「ぎゃぁぁぁっ」
     レオンと優雨による挟み打ちで貫かれ、斬り裂かれたところへすかさず夜魅と読魅が連係攻撃をしかける。
    「オレ達を信用してついて来れば、変態を生み出す側から、殲滅する側になれるぜ」
    「……まぁ、お主がそんなに変態都市伝説が好きなのならば仕方あるまい。妾もこれ以上止めはせぬのじゃ」
     片方が勧誘し、片方は脈無しと勝手に断定し決めつけてレッテルを貼る。
    「うぐ、ちょっと待てって、決めつがぁぁぁぁ」
     半ば遊ばれている様に見えるのはきっと気のせいだと思う。
    「ぐうう、ちくしょう。半分はアイツの筈なのに、まさかアイツ……変態呼びだしたのは全部僕が悪いってこ」
    「なんだ、キミはそっちか」
     半ば愕然として動きの止まった戸に、今度は戒那が『畏れ』を纏い斬りつけた。
    「ぐはっ」
    「変態七不思議なんぞ作ることに虚しさ感じる心が残ってるなら……無意味さがわかってるなら君は戻ってこられる」
     仰け反る様に後ろへ倒れ行くタタリガミへむけて踏み込み超弩級の一撃を繰り出しながら勇飛は叫び、更に続けた。
    「オレたちは……きっと友になれる!!」
     と。
    「ぐがっ」
    「闇に抗い続ける意志があるなら手を伸ばせ! 必ず僕らがその手を取る! だから、キミも『こっち』に来い!」
     殲術道具の刀身が食い込んだタタリガミの身体が倒れ込む中、レオンも呼びかけ。戸は倒れるなり龍星号に轢かれ。
    「……殺技、雹」
     文はタイヤ痕の残る戸を視界に入れたまま、飛び上がる。赤い羽根の幻影を纏うイメージ、足に宿るは、流星の煌めきと重力。
    「学園だからさ、イベント事たくさんあるぜ? だからよ、一緒に楽しまねぇ?」
    「だから今、助ける。あとちょっと踏ん張ってくれ」
     口々に投げる灼滅者達の声をそれが知覚する余裕があったかは解らない。
    「ぐぇっ」
    「……ただ、一緒に来てくれると、嬉しい、かな」
     跳び蹴りを叩き込むと言うか、倒れたタタリガミを踏みつけた直後に、文もポツリと呟くと、足の下に有った戸はボロボロと崩れ始め、人の姿へと変わる。
    「助けられたようですね」
     ダークネスのままなら何も残らず消えてしまったはずだから。
    「……だね」
     優雨の声に頷きを返し。
    「せめて祈ろう。汝の魂と未来に幸いあれ……」
     変態作成は趣味だった疑惑など割と悲惨な扱いを受けたタタリガミを思ってか、勇飛は目を閉じたのだった。

    ●撤収は一人多く
    「さてさて、怖ーいお兄さんが来る前にトンズラしますか」
     さも愉快そうに漏らしたレオンの言葉に反対意見は誰の口からも上がらなかった。
    「応、目的は果たしたことだしな」
    「まぁ、長居してても意味ねーどころか危険なだけだし、それが正解だろ」
     幸いにも破壊音はまだ遠い。
    「これも小鳥遊さんのおかげかなー」
     戦場の音を遮断していたからか、遠くの音がまだ見ぬ羅刹だとするなら、近づいてくる様子はない。
    「ひょっとしたら、戦いがあったことにも気づいていないのかもしれませんね」
     これでは護衛対象に非難されても当然である。
    「何にせよ、変態七不思議都市伝説の誕生も阻止出来たことじゃし、その点についてもめでたしめでたしかぇ?」
    「ま、あいつらの思惑を潰せたなら、よしとすべきだよな」
     帰ろう、と誰かが口にして灼滅者達はこれに同意する。
    「……無事、救い出せたのだものね」
    「いや、お手数かけました。本当に」
     文がちらりと見やれば、人の姿に戻った七不思議使いの灼滅者こと隠戸・光は頭を下げ。
    「何にしてもやることは目白押しかねぇ……これから忙しくなるぞぉ、ってな」
     一人人数を増やし、進む夜の廊下でレオンは追撃を警戒する様に後方へ気を配りつつ、口の端をつり上げた。
     

    作者:聖山葵 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年2月20日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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