サワルモノ

     皇樹・桜夜(夜光の死神・d06155)は、こんな噂を耳にした。
     『ノーブラかどうか胸を触って確認する女が一般人を襲っている』と……。
     この女は都市伝説で、銀髪の長い髪を揺らしながら、繁華街をウロついており、ターゲットを見つけると、問答無用で胸を揉み、ノーブラかどうか確かめているようだ。
     そのため、襲われた女性は自分の身に何が起こったのか分からず、パニック状態。
     我に返った時には、都市伝説が逃げ去った後。
     しかも、最近では手口が悪質になっており、ブラジャーをつけていた場合は、それを奪って逃げていくようである。
     そう言った意味で、都市伝説は強敵。
     色々な意味で面倒になる前に、都市伝説を倒しておくといいだろう。


    参加者
    艶川・寵子(慾・d00025)
    ティセ・パルミエ(猫のリグレット・d01014)
    皇樹・桜夜(夜光の死神・d06155)
    皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)
    極楽鳥・舞(艶灼姫・d11898)
    韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555)
    山城・榛名(白兵隠殺の姫巫女・d32407)
    亜之円・梓乃(小学生ダンピール・d32767)

    ■リプレイ

    ●狙われたブラ
    「揉んでブラも盗むなんて! そんな都市伝説に私は、おこだよ!」
     極楽鳥・舞(艶灼姫・d11898)は不機嫌な表情を浮かべながら、仲間達と共に都市伝説が確認された繁華街に向かっていた。
     都市伝説は女性がブラをつけているのかいないのか確かめるために、いきなり胸を揉んでくるらしく、沢山の女性が被害に遭っているようだ。
     しかも、都市伝説は女性がブラをつけていた場合はそれも奪っていくらしく、中には数万もする高級ブラを盗まれた女性もいるようである。
    「私にとってはこれが最初の依頼なんだけどさ。私達に敵対してる連中で全員こんなへんてこな奴らなの? ノーブラかどうかなんてほんとどうでも良い事じゃん、まじで意味がわかんない」
     亜之円・梓乃(小学生ダンピール・d32767)が、納得のいかない様子で答えを返す。
     もちろん、実際にはこういった敵と遭遇するのは、稀な事。
     大半の都市伝説が一般人相手では太刀打ちする事が出来ないほど恐ろしい存在……であるのだが、こういった都市伝説が悪目立ちするのも事実であった。
    「……まったく、なんでこんな都市伝説がいるんだよー……。桜夜も変なの見つけないでよー……」
     韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555)がジト目で、皇樹・桜夜(夜光の死神・d06155)を睨む。
     こんな都市伝説が存在していたのでは、ブラをつけて外を歩く事なんて出来ない。
    「うう、皆さん、ごめんなさい……」
     桜夜が申し訳なさそうにする。
     だが、桜夜も悪意があって、こんな噂を聞いた訳ではない。
     悪いのは噂を流した者達であり、そこに悪意のある尾ひれをつけた者達なのだから……。
    「なんで……こういう時に……男子が……私だけ……。はぁ……なるべく……見ないように……しよう……」
     そんな中、皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)が、魂の抜けた表情を浮かべた。
     人によっては『ラッキー、ハーレム状態♪』と喜ぶ状況であるのだが、零桜奈にとっては生き地獄。
     気まずい雰囲気のまま、繁華街に向かっているため、まるで嵐が去るのを待っているような状況であった。
    「でも、ブラなんて奪ってどーするんだろ? コレクションにでもしてるのかな? でもでも、女の人の都市伝説だし、よくわからないやー」
     ティセ・パルミエ(猫のリグレット・d01014)が、不思議そうに首を傾げる。
     一体、どんな噂が元になっているのか分からないが、話に尾ひれがついていくうちに、理解不能な怪物的な存在になってしまったのかも知れない。
    「それに胸を触っても特にいいことはないと思うのですが……」
     山城・榛名(白兵隠殺の姫巫女・d32407)が、ボソリと呟いた。
     榛名にとっては分からない事ばかり。
     そのため、頭の中がハテナマークで、いっぱいになった。
    「ブラジャーは着けていてもいなくても大好物よ? 形を整えるためにレースに包んでいても自由奔放に服の中でふるまっていても、どっちも素敵なおっぱいだから!」
     そんな榛名の疑問を解決する勢いで、艶川・寵子(慾・d00025)がニコッと笑う。
     おそらく、都市伝説もおっぱいが好きなのだろう。
     特にブラをしていない解放的なおっぱいが!

    ●繁華街
    「かわいいこがいっぱいいるなんて、心が癒されるわね! なんだか女子会みたいで楽しいわ。さぁ、選り取り見取りよ、遠慮なくいらっしゃい都市伝説♪」
     寵子は楽しそうに鼻歌を歌いながら、仲間達と共に繁華街を歩いていた。
     繁華街には沢山の一般人がいたものの、都市伝説の噂を聞いているためか、みんな警戒ムードであった。
    「にゃー、がおー」
     それに気づいたティセが、殺界形成を使って、その場から一般人達を遠ざけた。
     これで都市伝説が現れるのも、時間の問題と思った矢先、何かがテイセ達の前を横切った。
    「なっ!? ひゃうっ!?」
     その途端、桜夜が胸元を隠してしゃがみ込む。
    「にゃあん、どろぼー!」
     続いて、ティセが半泣きになりながら、悲鳴を上げる。
     こんな事もあろうかと、念のため着替えを持ってきたが、傍に零桜奈がいるため、この場で着替える訳にはいかなかった。
    「えっ? 何っ!?」
     その間に彩蝶が都市伝説にブラを奪われ、反射的にサウンドシャッターを発動させた。
    「きゃっ!?」
     すぐさま、舞が彩蝶を助けようとしたが、都市伝説にブラを奪われ、そのまま零桜奈を押し倒すように転ぶ。
    「んんぅ……!」
     しかも、倒れた拍子に舞の豊かな胸に顔が埋まり、息をする事さえ出来なくなった。
     それでも、零桜奈は無我夢中で顔を動かし、必死になって両手を伸ばす。
    「れ、零桜奈っ、そこ、だめぇっ!?」
     だが、零桜奈が掴んだのは、桜夜の胸。
    「ちょっ、どこ触ってっ、ひゃぅんっ!?」
     そして、彩蝶の胸だった。
     これには零桜奈も驚き、慌てて両手を引っ込めたものの、目の前にあったのは舞の胸!
    「ひゃああああ……」
     思わず間の抜けた声を上げてしまったが、既に手遅れ。
     何か言い訳をしようと思ったものの、頭の中は真っ白、何も言葉が浮かばない。
     そのため、仲間達の冷たい視線が、ザクザクと体に刺さっている。
    「これは一体……」
     それを目の当たりにした榛名が、赤面しつつ、口をパクパク。
     何やら見てはいけないものを見てしまったような気持ちのため、どうしていいのか分からず、あたふた状態。
    「うん、うん。そのリアクションとっても可愛らしいわ。恥じらいは女の子の真骨頂よね」
     そんな仲間達を眺めて、寵子が力強くウンウンと頷いた。
    「ウフフフフ……、大成功っ!」
     しかも、都市伝説は上機嫌。
     勝ち誇った様子で、戦利品のブラを掲げている。
    「見事なブラ抜きね……このまま倒されて消えるには惜しいわ。私に伝授してほしいくらい。出会いが別の形だったら、私達きっと仲良くなれたわ」
     寵子が少し残念そうにした。
     もっと別の出会い方をしていれば、仲良くなれたかも知れないが、残念ながら敵同士。運命とは実に皮肉なものである。
    「大丈夫、仲良くなれるわ」
     そう言って、都市伝説が、寵子の黒ブラを返す。
     都市伝説にとっては、友好の証。
     これで仲良くしようといいたいようである。
    「ねぇ、ブラジャーって結構高いんだよ。身よりも無くて稼ぎも無い子供にとっては特にね。だから御代に血と命置いてってもらうよ。……いいよね?」
     次の瞬間、梓乃が都市伝説に冷たい視線を送って、スレイヤーカードを解除した。

    ●ブラハンター
    「あ、あれ? ひょっとして、怒っている?」
     都市伝説が気まずい様子で汗を流す。
     いつもならば、ブラを奪って走り去っていたところなのだが、予想外のトラブルが起こってしまったため、思わずその場に留まってしまったようである。
    「まぁ、そんな強く無さそうだし、一気に片付けちゃおう」
     梓乃が仲間達に声を掛けながら、都市伝説に紅蓮撃を放つ。
    「ちょっ、ちょっと待って! お、落ち着いて!」
     都市伝説が涙目になって、梓乃の攻撃を素早く避ける。
     素早さだけなら自信があるものの、戦闘に関しては初めての経験。
     攻撃を避けるだけならば何とかなるが、どうしていいのか分からず、逃げる事しか出来ないようだ。
    「そんなことばっかして、逃がさないんだから! 女の人でも女の敵なんだよ!」
     すぐさま、ティセが都市伝説を攻撃……!
    「だから、みんな落ち着いて!」
     その攻撃を避けながら、都市伝説が反射的にティセの胸を揉む。
    「あ、ちょ、直接は、だ、だめぇ。にゃ、にゃああ、やああん、あん」
     それと同時にティセが尻尾をピィーンとさせ、恥ずかしそうに頬を染めた。
    「ふふ、この手があったわ。今はみんなノーブラ。揉んじゃえばいいのね!」
     都市伝説が瞳をランランと輝かせる。
     おそらく、都市伝説は気づいてしまったのだろう。
     自分が恐ろしいほどのテクニシャンである事に……!
    「えーい!」
     その間に舞が都市伝説の背後に回り込み、グラインドファイアを仕掛ける。
     次の瞬間、都市伝説が目をパチクリさせ、何が起こったのかさえ理解できぬまま、断末魔をあげて消し炭と化した。
    「こんな都市伝説が生まれるなんて噂って恐ろしいです……」
     榛名がぽつりと呟いた。
     それ以上に恐ろしいのは、零桜奈のトラブル体質である。
    「あ、あの……、ごめんなさい……」
     零桜奈が仲間達に謝った。
    「ま、まあ、事故……ですから」
     桜夜が消え去りそうな声で答えを返す。
     出来る事なら、黒歴史として記憶の奥底に封印したい。
     そんな気持ちを胸に秘め、『早く忘れよう』と自分自身に言い聞かせた。
    「そ、そうだね。事故、事故」
     彩蝶も苦笑いを浮かべて答えを返す。
     そもそも、彩蝶が悲鳴を上げなければ、舞が助けに来る事もなく、零桜奈が巻き込まれる事もなかったため、事故として処理しておくのが無難である。
    「とりあえず、みんなで温かい飲み物でも買って帰りましょう」
     そう言って寵子が彩蝶達に対して微笑みかけた。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年2月16日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ