はじめての灼滅者講座1:格好よく戦ってみよう!

    作者:七海真砂

    「皆さん、お集まりくださって、ありがとうございます」
     集まった生徒の前に立ったのは五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)だった。
    「春は出会いの季節と言うように、多くの新入生が武蔵坂学園にいらしています。そこで、ぜひ歓迎会を、と言いたいところなのですが……」
     実は皆さんに解決して欲しい『事件』があるんです、と姫子が告げるのと同時に、1人の男子生徒が立ち上がった。
    「七不思議使いの白鷺・鴉だ。実は九州に厄介な事になっている町がある。武蔵坂学園の皆で挑めば、事件を解決できるのではと思ってね。転校早々、厄介事を持ち込んで申し訳無いが、ぜひ力を貸して頂けないだろうか」
     どうやら、今回の事件は白鷺・鴉(高校生七不思議使い・dn0227)達から持ち込まれた物らしい。鴉が話している間に、姫子が予め用意していた地図を配っていく。
    「場所は長崎県佐世保市、佐世保駅の周辺だ。実はここに、都市伝説『口裂け人間』が大量発生しているのだよ」
     口裂け女は知っているだろうか、と鴉は皆を見回す。
     マスクをした女性が「わたし、きれい?」と言いながら近付いてきて、持っている刃物で遭遇した相手を殺してしまう……そんな怪談話を聞いた事がある者もいるかもしてない。
    「女だけじゃなく男の姿をした奴もいるから『口裂け人間』と俺達は呼んでいるのが、要はコレの事だ。そして口裂け人間の厄介な所は強さでは無い。数だ。佐世保駅周辺には数千体の口裂け人間がいるのだよ」
     そんなに!? と、あまりの数に、聞いていた灼滅者達も驚きを隠せない。
    「この事件に関しては、私の方でも、いくつか情報を掴むことができました」
     説明しますね、と姫子が口にすると、灼滅者達が一斉に彼女へ注目する。
     姫子はエクスブレインだ。そしてエクスブレインは事件に関する予知を得る事が出来る。その情報が事件の解決に欠かせない事を知っているからこそ、熟練の灼滅者であればあるほど、エクスブレインの言葉にしっかり耳を傾けるのだ。

    「まず、今回の『口裂け人間』大量発生には、どうやらダークネス『タタリガミ』が関わっているようです。ただ、もうここにタタリガミはいません」
     なので今いる口裂け人間をすべて倒せば、事態は終息すると姫子は告げる。
     元凶のタタリガミは、どうやら『うずめ様』の配下で、都市伝説を発生させた後、佐世保から立ち去っているという。
    「口裂け人間は大量にいますが、彼らは組織的な行動はしておらず、バラバラに動いて人を襲っています。そして口裂け人間は、『一人で歩いている学生』だけに近付き、襲い掛かるようです」
    「口裂け女という怪談は、もともと学校帰りに一人で歩いている子供を狙うと言われているのだ。都市伝説だから、その通りに行動しているのだろう」
     姫子の予知に、鴉が七不思議使いの立場から補足を加える。
     そうなると、口裂け人間と戦うには、こちらも『バラバラになって、一人で歩く』必要があるだろう。集団で行動していると、口裂け人間は現れないのだから。
    「なので現地では基本的に単独行動ですね。敵の強さは、一対一で戦った時にちょうど互角か、皆さんの方がやや優勢になるくらいの力量です。口裂け人間は必ず刃物を持っていて、これを武器にして戦います。皆さんが普段使っている武器のサイキックと、同じ物を相手も使ってくるでしょう」
     刃物だから解体ナイフや日本刀、咎人の大鎌などを持っているのだろう。
     妖の槍やガンナイフ、断罪輪などを使ってくる口裂け人間もいるかもしれない。

    「敵の総数は多いですが、私達の人数だって多いです。これだけの人数で向かえば……そうですね、全員がそれぞれ1~2体ずつ倒せば、口裂け人間はすべて倒せるでしょう」
     いきなり何千体もの敵と戦う! と言われると身構えてしまうかもしれないが、1人1人が倒さなければいけない数は決して多くない。戦いに不慣れな人も安心して参加して欲しいと、姫子は微笑んだ。
    「戦いが初めての人は『自分の目の前に現れた敵と、自分が使えるどのサイキックで、どのように戦い、勝利したいのか』をイメージしてみると、良いかもしれませんね」
     自分が一番カッコよく活躍しているところは、どんなところだろうか……と考えてみるのもいいかもしれない。こう戦ってみたい、活躍してみたい、一番コレがやりたい! というイメージがあればあるほど、どう行動するかは考えやすくなるはずだ。
     あとはとにかく、自分の思ったままに行動してみてください、と姫子は言う。
     基本は単独行動になるとはいえ、周囲には大勢の仲間、頼れる先輩達がいて、同じように戦っている。行きや帰りもみんな一緒だ。決してひとりではない。
     自分が一番輝けるように頑張れば、先輩達も出来る限りの手助けをしてくれるだろう。
    「ね」と姫子は先輩達だけに向かって、そっと目配せする。
     新しく武蔵坂学園に来た人の中には、まだこの学園について何も知らない人だっている。そんなみんなに、武蔵坂学園が一体どんなところなのかを伝えられたら、なお良いだろう。
    「では俺も、俺の七不思議を一番効果的に披露できそうな戦い方を考えてみるとしようか」
     遠慮なく戦わせて貰うぜ、と鴉はニヤリと笑いながら、何かを考え始めたようだった。


    ■リプレイ

    ●佐世保駅からの出発
     灼滅者達は、いくつかの経路に分かれて長崎県佐世保市三浦町にある、佐世保駅を目指して移動していた。
    「口裂け人間か……」
     窓の外を見ながら、ふと呟いた森下・良平(高校生人狼・d29279)の顔がどことなく嬉しそうに見えるのは、実際に良平が口には出さないものの、口裂け人間に会える事を楽しみにしているせいだろう。良平は、実は怪談話が好きなのだ。
    「口裂け女。1970年代の終わり頃、日本で流布された都市伝説だね」
     エミリオ・カリベ(魔法と科学と文学少年・d04722)は移動時間を使い、売店で買った都市伝説本に目を通す。
    「まあ学園で聞いた話の通り……ぁ、べっこう飴が好きなんだ?」
    「みたいだね。甘いものが好きって、なんだか女の子らしくって可愛いなぁ……」
     フゲ・ジーニ(幸せ迷宮回廊・d04685)は少しなごんでいる。今回は男の口裂け人間もいるが、男だって甘い物スキーはいっぱいいるから何もおかしな事は無い、と思うフゲ自身も甘い物は大好きだ。
    「口裂け女は今も居るよね、ほら、SNSで口元隠して私綺麗? って写真載せちゃうの」
    「へー、辻ちゃんが知ってるのとはちょっと違うっすね。そんなタイプもいるっすかー」
     美月・あいり(アウロラ・d00728)の言葉に、辻・蓮菜(反魂パステルアーミー・d18703)は感心したような声を上げているが、それはちょっと違うんじゃないだろうかと、他の灼滅者達は首を傾げたり、苦笑している。
     まあ、美しさを求めてしまうのは、いつの時代も女性のさが……なのかもしれない。
    「それにしても都市伝説が現実に存在して、ここまでの被害を出すって、改めて考えると怖いですわね。それにタタリガミの力まで加わって……て。……?」
     歪神・漣美(天翔る青い小鳥・d17332)は、ふと首を傾げた。
     都市伝説を生み出し、喰らい、その姿になるのがタタリガミのはず。ではなぜタタリガミの力で生み出された都市伝説が、食べられる事なく、こんなに佐世保にいるのだろう?
    「タタリガミは、生み出した都市伝説を必ず喰らうわけでは、ないんです」
     予習が不十分でしたわ、と嘆く漣美に七不思議使いの御伽・百々(人造百鬼夜行・d33264)が答える。タタリガミは噂話を元に都市伝説を生み出すが、それを喰らう事もある……というだけにすぎない。過去、武蔵坂学園が、ごくごく普通の都市伝説だと思っていたのも、実はタタリガミが生み出した存在だった……という事もあるかもしれない。
    「これだけ大量の都市伝説を生み出せるとは恐ろしい。ある意味噂のスペシャリストといえるでしょうね」
     何らかの情報媒体を持っているとは聞くが、それにしても凄い話だと七識・蓮花(人間失格・d30311)も語る。
    (「という事は、大量発生は喰らう事が目的では無い可能性もあるのかな……」)
     敵の目的については、雨堂・亜理沙(赤錆びた白影・d28216)など多くの灼滅者が気に掛けている。様々な予測が挙げられていたが、しかし真相は謎のままだ。
    「タタリガミの中には、都市伝説を生み出すのではなく、自分が都市伝説であるかのように振る舞う個体もいるんですよね……」
     謎といえば、と百々が再び口を開く。自分に相応しい姿の都市伝説を探し求めている百々にとって、そういう事件は収穫が無くて個人的には残念な事例だ。
     しかし口裂け人間は、間違いなく都市伝説であるとエクスブレインが明言している。有難い話だ。果たして自分に相応しい口裂け人間に出会えるだろうか?
    「実りがあるといいですね。自分達高3には、今回ある意味で卒業旅行になりますかね……にゃはは」
     そう小さく笑うのは西原・榮太郎(霧海の魚・d11375)。
     東京の武蔵野市から長崎県まで、距離も移動時間も結構ある。ちょっとした旅行のような状況で、佐世保をついでに楽しもうとしている者も少なくない。あちこちの席で、ガイドブックや佐世保バーガーショップの情報を眺める灼滅者の姿が見られた。

     そうして第一陣が佐世保駅に到着する。と、早速動き出した者がいた。
     『七不思議使い』の面々である。
    「とりあえず、一般人を遠ざける為に百物語といこうか、同胞たち」
    「じゃあオレは『殺戮の奇術師』を披露しようかねぇ」
     木菟・巽(夜毎七ツに闇を咲く・d33287)の呼びかけに哭神・百舌鳥(百の声を持つ男・d33397)は早速、最近仕入れたばかりの怪談話を披露する。
     佐世保駅を行き交う人の数は多い。しかし、七不思議使いには、怪談話で人々を自分から遠ざける力がある。
     駅で買ったばかりの佐世保バーガーを両腕に抱えた小西・清(ヤムヤムヤミー・d33293)など、多くの七不思議使い達が文字通りに百物語を繰り広げ、駅周辺からは次第に人影が減っていく。
    「これなら口裂け人間を見間違う心配も無いですね」
     よかった、と四刻・悠花(中学生ダンピール・d24781)はホッとする。今時期は花粉症などでマスクをしている人も多いだろうから、普通の人と口裂け人間を一目で見分けるのは難しいのではと考えていたのだ。夕凪・葉月(犬耳刑事見習いは魔法使い・d06717)など、この点を懸念する者は他にもいたが、今のこの状況で灼滅者に近付いてきて、更に「わたし、きれい?」などと聞いてくる一般人は流石にいないだろう。
    「ターゲットかどうかの確認は、我々を見て驚かないかでも判断できるでしょう」
     また、エナトス・セラフ(黒い鳥・d32596)の言う通り、殲術道具を装備した際の相手の反応などでも見定められるだろう。
    「しかしこれほどの数の口裂け人間が噂にすらならないとは、バベルの鎖も良し悪しだな」
     糸木乃・仙(蜃景・d22759)が言うように、千を超える都市伝説が徘徊し、学生を狙うだなんて大事件だ。しかしこうした事件の情報が、人々の間に広がる事は無い。バベルの鎖の力によって、誰かが事件について喋ったり、インターネットに書き込んだり記事にしても、誰も気に留めなくなってしまう。
     だからこそ、人々は危険を認識できずに佐世保駅周辺で日常生活を送り続けている。もっとも、だからこそパニックになっていないのだし、この後の戦いが目撃されても、その情報が広まる心配もいらない……という事なのだから、まさに良し悪しだろう。
    「ただ広まらないとしても、見た人を驚かせるのは間違いないから、周囲には一応気を配った方が良いだろうな」
     一般人への配慮を大切にしたい。バスタンド・ヴァラクロード(リザードヒーロー・d10159)らはそう考えていた。
    「他の皆も大体到着したようだね。それにしても、本当に大人数だ。ようやく口裂けレディやジェントルマンを倒せるのは良い事だが……」
     片霧・篠(黄昏時の語り部・d33285)は仲間の多さを喜びつつ、ある懸念を口にする。
    「元凶のタタリガミは、今どこで何をしているのだろうか」
    「できれば情報を集めたいわね」
     最初に口裂け人間が生み出された場所を特定できれば、手がかりになるのではと口にするのは時坂・綾子(黒百合の誓・d15852)。樗・透哉(誰が為の糸・d21860)などのように、口裂け人間を問い詰めるのも手かもしれないと考えている灼滅者も多い。
    (「……口裂け人間……人を殺す殺す理由があるなら……話くらいは……」)
     戦うのは、それからでも遅くはない。黒錠・影迷(闇の奴隷・d31355)も相手の返答は待ってみるつもりだ。
     情報収集をメインに、と考えていた灼滅者達は手分けしてそうした調査を行いながら、今回の作戦を進める事にする。俺も加勢しよう、と山本・仁道(高校生デモノイドヒューマン・d18245)もそれに頷き、持ち場を地図に書き込んだ。
     また、他にもクラブ単位で相談しながら探索場所を絞ったり、連携について打ち合わせるなど、最終準備を進めていく。
    「情報はネットで共有しよう」
     タタリガミの事に限らず、情報共有は便利なはずだと水貝・雁之助(おにぎり大将・d24507)は提案する。大人数ならSNSが便利だろうと考えてのことで、たとえば口裂け人間の遭遇場所や数をアップすれば、手薄な場所を重点的に巡るなどの対策も取りやすいだろう。
    「なるほど。それは便利だな」
     困っている者への助言もしやすくなりそうだ。鏡月・空(スカイブルーなフール・d23766)も、すぐアクセスできるように準備する。
     その間に、小此木・情(ばらん・d20604)は用意した機材のセッティングを完了させた。戦いの記録は、今後何かの参考になるはずだ。しっかり皆の様子を記録しようと、情はカメラを構えた。
    「じゃあ作戦に取り掛かろう。みんな、『スレイヤーカード』の使い方は大丈夫?」
     言いながら自分のスレイヤーカードを構えたのは守安・結衣奈(叡智を求導せし紅巫・d01289)だ。結衣奈が「神薙ぐ力、清き風の祝福を!」と叫んだ瞬間、スレイヤーカードに封印されていた力が解放され、結衣奈の手にマテリアルロッドが現れる。
    「こんな風に『決めゼリフ』を言うと封印が解除されるよ!」
    「殲術道具は『旧校舎』や『クラブショップ』などで手に入ります。今回は急な話で準備が間に合わなかった人もいると思いますが、帰ったら足を運んで、次の戦いに向けて活用してみてください」
     結衣奈に続けて、そう矢薙・一真(高校生神薙使い・d04825)が補足する。

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    【マスターからの解説】
     少し聞き慣れない単語が出てきたと思うので、解説を捕捉しますね。

    『スレイヤーカード』は、灼滅者なら誰でも持っている、あなただけのカードです。灼滅者は、とても凄い身体能力や、とんでもない武器・防具を持っていますが、このままだと日常生活しづらいので、普段はあなたのカードに、その力を封印しています。
     スレイヤーカードについては、ゲーム解説ページの『超常なる力』で詳しく解説しているので、もっと詳しく知りたい人は、そちらも参考にしてみてください。このページには、少し前に話題になった『バベルの鎖』についても、詳しく解説していますよ。
     http://tw4.jp/html/world/2-2psy.html

    『旧校舎』は、サイキックハーツのコンテンツの1つで、キャラクターのパワーアップができます。サイキックハーツのページは、必ず一番上に『アイコン』が並んでいるのですが、このアイコンの右から2つめ(ゲーム解説の左)にある、UPと書かれた旧校舎のアイコンを押すと移動できます。
     移動すると、
    『サイキックエナジーを使用して、サイキックを強化します。』
     と書かれたページになっています。ここの一番下に、さりげなく書いてある『呪いを呼び寄せる』という行動が、一真さんが説明してくれた『誰でも無料で殲術道具を手に入れられる場所』です。殲術道具とは、武器や防具などの装備アイテムのことなので、要するに、旧校舎で呪いを呼び寄せると、なんと無料でアイテムが手に入るのです! ……あ、呪いを呼ぶとアイテムになるだけで、呪いのアイテムという訳ではありません。ごく普通のアイテムです、怖くないですよ。
     ここでは他にも、サイキックやアイテムの強化ができるので、自分のキャラクターをもっと強くしたい時に、また訪れてみてください。

    『クラブショップ』は、上にある旧校舎の左のアイコンをクリックした先の『クラブ活動』から行けます。
     クラブショップというタブを押すと、ショップの一覧になりますが、クラブショップでの買い物には『サイキックエナジー』という物が必要です。
     サイキックエナジーは、灼滅者として戦った時などに手に入ります。

     今回のシナリオに参加した人は、リプレイの公開と同時に『経験値』『いくつかの殲術道具』『サイキックエナジー』を獲得しています。手に入れた殲術道具を装備したり、サイキックエナジーで買い物やサイキックの強化、呪いの呼び寄せなどをして、キャラクターを強くしてあげましょう!

     そして、キャラクターを強くするには『個人授業』がオススメです!
     個人授業は『教室』で受けられます(上にある、左から3つ目の『靴』のアイコンから教室に行けます)。
     教室のオープニング一覧の最初は、必ず『個人授業』が表示されています。ここを押すと、武蔵坂学園の色々な先生から『個人授業』を受けられます。
     個人授業をクリアすると『経験値』が獲得できて、あなたのレベルが上がります! 個人授業は無料で受けられますし、レベルが上がるとキャラクターがどんどん強くなりますし、より強い殲術道具が装備できるようになりますから、受けない理由はありません! 頑張ってクリアを目指しましょう!
     難しい問題があったら、先輩達に答えを教わっても大丈夫! クラスメイトやクラブの仲間に聞いてみたら、誰かが答えを知っているはずです。灼滅者講座の掲示板で質問してもいいですよ。
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    「危険になったら退却または助けを呼んでください。すぐに駆けつけます。くれぐれも無茶はしないでください。生きて帰るまでが講座です」
     くいっと眼鏡をあげつつ、更に遠藤・彩花(純情可憐な風紀委員・d00221)が後輩達へ呼びかける。一対一での戦闘開始とはいえ、すぐ傍には多くの先輩がいるのだ。何かあれば、遠慮なく頼ってほしい。
     実際、原・憐華(死天使・d14030)や識守・理央(オズ・d04029)など、多くの先輩達が何かあればすぐ加勢に駆けつけられるよう、佐世保駅周辺に手分けして散らばり、動いていくつもりだ。
    「ヤバいと思ったら誰かと合流して、2人以上で安全な場所まで撤退してね」
     桜吹雪・月夜(花天月地の歌詠み鳥・d06758)が、更に無理はしないように呼びかける。
     今回の敵は、1人の時にしか現れない。2人以上で動けば、ほぼ安全に撤退できるはずだ。宮武・佐那(極寒のカサート・d20032)や天霧・佳澄(高校生殺人鬼・d23566)などが協力して回復や休憩用の拠点を設けているので、何かあれば遠慮なく、そこへ来てほしいと呼びかけた。場所は、ネット上の地図で確認できる。
    「誰だって初めて戦う時は緊張する。だが、皆がそれを乗り越えて本物の灼滅者になるんだ。自分を信じろ。そうすれば、きっと望んだように戦えるようになる」
    「はい、頑張りますね!」
     後輩たちを励ます関島・峻(ヴリヒスモス・d08229)の言葉に四方塚・梔子(特異点の雨・d33353)はドキドキしながらも、そう元気よく答えて気合を入れた。

    ●口裂け人間を探せ!
    「佐世保駅の近くの学校……この小学校がいいかな」
     エドアルド・アルコバレーノ(サディコパッツィーア・d20740)は、地図をしっかり確認しながら歩き出した。学校帰りの子供が狙われるのなら、学校の近くを見回るのが良いのでは、とエドアルドは考えたのだ。
     迷子になるのが不安だと考えた羽刈・サナ(小学生シャドウハンター・d32059)は、スーパーGPSも活用しながら道を歩く。
     そんな中、猛烈な勢いで走っているのは水城・恭太朗(理不尽に座す・d13442)である。
    「よっしゃあああああ数千体の中から選ばれし、最巨乳の口裂け女を探せ!」
     俺はそいつと戦う! という意気込みが、彼をそうさせているらしい。
    「せっかくなので、ちょっと観光させて貰おうかしら」
     どうせなら、と橘・彩希(殲鈴・d01890)は駅周辺を見物しつつ歩いてみる。真田・舞姫(桜舞神姫・d01430)が目指した先は四ヶ町商店街で、ここは隣接する三ヶ町商店街とあわせて、直線のアーケード街としては日本一の長さだと言われている。日本一の商店街の風情を楽しむように、舞姫はゆったり歩いていく。
    「あ、ここのお菓子美味しそう!」
     山上・尊(山の送り人・d33248)は店頭に置かれたお菓子をガラス越しに眺めている。だが、すぐに首を振ると、また後で見に来ようと場所だけメモして歩き出す。
    「逆に人気(ひとけ)の無い場所を回ってみようか」
     アルベド・ホロスコープ(白き闇呼ぶ歌姫巫女・d04468)は、人目の無い場所こそ怪異が潜みやすいのではと、そうした店舗の裏側や死角になりそうな階段などを巡っていく。
    「普段はみんなで行動してるから、こうやって一人でダークネス待つのってちょっと緊張しちゃうかも。斬し……こほん。新鮮!」
     朝山・千巻(懺悔リコリス・d00396)は、ちょっとお茶目な発言をしつつも、いつもとは違う新鮮な緊張感に包まれながら、敵を探す。
     そんな中、人通りの無い道を歩いていた龍田・薫(風の祝子・d08400)は、ふと何かを感じて足を止めた。
    「うーん……?」
     小首を傾げ、左右をきょろきょろ見る薫の背後に、いつの間にか忍び寄る影。
    「ワタシ……キレイィィ!?」
    「!」
     大鎌が大きく振りかぶられ、一直線に薫の首元を狙う。口裂け人間だ!
     驚いた薫がハッと振り返ったその瞬間、現れた霊犬『しっぺ』が、口裂け人間と薫の間に入り込む。
    「ガウッ!」
     勇敢に吠えたしっぺは攻撃を受け止めると、すぐさま口にくわえた斬魔刀で反撃に出る。薫が危険に陥った事で、スレイヤーカードが自動的に封印解除されたのだ。殲術道具を纏った薫も、まるで黒狼のような形を取った影業を伸ばす。
     さっそく交戦した灼滅者は薫だけではない。佐世保駅周辺の様々な場所で、口裂け人間と遭遇した灼滅者達の戦いが次々と始まっていた。
    「現れたようだな」
     守寺・千鶴(高校生七不思議使い・d33185)はすぐさま影業を放って敵を絡め捕ると、そのまま構えたマテリアルロッドを、大きく裂けた口裂け人間の口の中へ叩き込む。
    「穢れも、罪も共に」
     そう封印を解除したジュリアン・レダ(鮮血の詩人・d28156)はナイフを構え、それで攻撃……するかのように見せかけて、フェイントで蛇咬斬を繰り出した。
    「神梛木一刀流、畑梛木・歩。参ります」
     たとえ相手が都市伝説であろうと礼は欠かさず、お辞儀をしてから畑梛木・歩(高校生ご当地ヒーロー・d32496)は天星弓を構る。
    「わけあって今までの七不思議は使えなくなったとこでね。オレの新しい最初の女にしてやるぜ」
     ニッと笑って、六堂・竜樹(騙リベ・d33215)はガトリングガンを構える。
    「ねえ、僕のこと、カッコイイと思う?」
    (「来た……!」)
     男の口裂け人間に話しかけられた富士川・見桜(響き渡る声・d31550)は、見桜にとって精一杯の勇気を振り絞った。青く輝くクルセイドソードをぎゅっと握り締め、敵を見つめ返す。
    「私だって戦えるんだ!」
     見桜は決して力が欲しいと願ったわけじゃないし、むしろこんな力なんて無い方が良かったと思っているくらいだ。ただただ、大好きな歌を歌っていることができれば、それだけで良かった。でも、
    (「私も戦う。みんなの笑顔を守る為に……!」)
     助けて貰ったから、今度は自分が助けたいと、見桜は 戦う。
    「ポマードポマードポマード!」
     一方、武器以外の物を取り出したのは城崎・瑞樹(暴走特急地獄行き・d29645)だ。口裂け女の都市伝説に、ポマードに怯むという物があったので、瑞樹は佐世保までの移動と中にポマードを調達し、実践してみたのだ。
     ヒッ、と小さく息を呑むような音がしたのを見逃さず、瑞樹は魔力を集中させる。
    「アイシクルフォール!」
     途端、口裂け女の周囲の熱量が一気に失われ、その体が凍りつく。
    「慣れぬ道で一人歩きはのう。迷子になっても気づかぬ公算が高いのが問題じゃて。お主もそう思うじゃろ……っていつの間に隣に」
     ぼやいていたルティカ・パーキャット(黒い羊・d23647)の傍らには、ふと気づけば謎の気配。顔を上げれば、それは間違いなくマスクをした少年の姿。早速おでましかと、すぐに戦闘態勢を整え、攻撃へと移る。
    「だ、大丈夫。大丈夫です。お父様に教えて貰った通りにすればいいだけ……!」
     近付いてくる口裂け人間に気付いた瞬間、ウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(中学生サウンドソルジャー・d33129)は鼓動が一気に早鐘を打つのを感じた。しかし、泣き顔になりながらも自分にそう言い聞かせ、今すぐ逃げ出したい気持ちをこらえ、恐怖を必死で抑えながら、殲術道具を構えた。
    (「人はいませんね。なら!」)
     口裂け人間と接触した百鬼・暦(鬼の子誰の子あなたの子・d32376)は、無関係な一般人が周囲にいないのを確認すると素早く天星弓を構えて矢を放つ。怒り狂ったような笑い声と共にナイフで斬りかかってくる敵に、今度は影縛りを繰り出して相手の動きを阻害する。
    「ふふふ……この『魔心眼』の千晶と戦おうとはいい度胸です」
     天王洲・千晶(龍王魔心眼・d31185)はバベルの鎖を瞳へ集中させながら敵へ一歩、また一歩近づくように歩きながら、掛けている眼鏡を外す。次の敵の動くを予測するように観察すると、すぐさま、怪談蝋燭の煙をくゆらせた。
    「できれば距離を取りたいんだけどなっ」
     断罪輪を繰り出した時崎・芦花(中学生エクソシスト・d32360)は間合いを取ろうとするが、刃物で斬りかかってくる敵側が距離を詰めてくるので、なかなか難しい。だが、それならそれで戦い方はあると、至近距離からのレイザースラストで敵を貫き、更に狙いを定めて断罪転を構える。
    「まずは凍って貰うわ」
     甘莉・結乃(異能の系譜・d31847)はすぐさま妖冷弾を撃ち、敵を冷気で包んでから本格的な攻撃を繰り出していく。
    「………」
     静かに瞑目した藤代・雪弥(中学生殺人鬼・d33153)は、腰を落として刀の柄に手を掛けた。
     吐いて、吸う。呼吸を整えながら精神を研ぎ澄ませた雪弥は、気配だけで敵の動きを悟り、
    (「今だ」)
     一瞬の判断で抜刀すると、滑らかな動作で敵を斬り捨てた。
    「いきなり首とか、やめてよね」
     宙返りをして龍骨斬りを避けた天王寺・勇狗(最も身近なモノ・d33350)は、手にした鋼糸を反対に、敵の首に巻きつける。
    「でもすぐにわかったよ。気配、全然隠してないね」
     勇狗が言うように、口裂け人間は殺意をあらわに攻撃してくるため、不意打ちや急襲にはなりにくかった。
    「ねえ、私綺麗かしら?」
    「私には分からん」
     目の前までやってきた口裂け人間の問いかけに、赤峰・樹軌(レタルペ・d31362)はそう返しながら相手のマスクを剥ぎ取った。途端、逆上したような悲鳴じみた叫びをあげてナイフを振り上げる口裂け人間。
    「まあどう言ってやれば良いのか、私には分からんが……マスクで隠すぐらいなら聞くな馬鹿もん」
     そんな彼女に樹軌もまた、雲耀剣を繰り出す。
    「わたし、きれい……?」
    「わたし、きれい……?」
     マスクをした女に呼びかけられた夢術・静水(どこにでもいる普通の通り魔・d25015)は、あえて同じセリフを返しながら、付けていたマスクを外す。その下からは、なんと大きく裂けた口……のような特殊メイク!
    「じゃじゃーん、実は私も口裂けでしたーなんてね。ねえねえびっくりした?」
     相手をからかうようにネタばらしをする静水への返事は、容赦の無いナイフでの斬撃がひとつ。まあそんな反応だろうとは思ってたけど、と静水もまた身構える。
    「あたしの方がキレイだっつーの。マスクで口元隠すよーな、自信無いヤツが敵うわけないじゃん、超ウケる」
     と言いつつ全く笑っていない顔で、口裂け女を見ているのは丹・辰砂(マナ・d27479)だ。こちとらメイクに気合入れてがっつり時間掛けてんだから当たり前でしょ、と辰砂は幻狼銀爪撃で口裂け女を切り裂いた。
    「私の動きについて来れるかなっ?」
     シフォン・グレイシア(穢れ無き純心・d32232)は、敵を翻弄するように動き回りながら攻撃を繰り出していく。口裂け人間側も、なかなかの俊敏さだ。だが、シフォンの方が一枚上手。
     デモノイド寄生体と一体化させた腕を刃に変え、一気に敵を切り裂いた。
     短期決戦を目指すのは真田・宗一郎(高校生殺人鬼・d33571)も同じだ。ホーミングバレットから零距離格闘にシフトしながらはガンナイフを繰る。
    (「手負いの敵は厄介やしな」)
     敵からの反撃を警戒しながら、宗一郎は戦う。
    「クッソ、綺麗なお姉さんオーラで超好みなのに! クッソ!」
     内藤・盟也(夢オワレ人・d33486)の前に現れたのは、マスクさえ外さなければ超美人に見える素敵なお姉さんだった。
    「都市伝説じゃなければ」と真剣に本気で残念がるものの、もちろん敵をこのままにはしておけない。
    「畜生、悪夢にご招待だ!」
     盟也はサルユメ奇譚を語る。悪夢で人を傷付ける怪談は、今まさに具現化して口裂け人間に傷を刻む。
    「はぁ……だるい」
     目の前に現れてしまった口裂け人間に、不動院・優依斗(貧弱ダウナー系・d32751)は心底だるそうに溜息をつきながら神薙刃を生み出した。逆巻く風は刃となって、敵に襲い掛かる。
    「死ね。てめぇは死ね」
     鋭い眼光で敵を見据えたヴィルヘルミーネ・シュラウドラフ(銀剣十字の黒騎兵・d31244)は、緋色のオーラを宿した武器を全力で叩き込む。既に催眠状態に陥っている敵が無駄な動きをするそこへ、更に追い打ちを掛けるように逆十字のオーラで敵を引き裂き、トドメをさした。
    (「攻撃の事しか頭に無いみたいね」)
     無敵斬艦刀を振り下ろす敵の動きを見極め、ユリア・クラリス(イノセントダーク・d33028)は軽やかな動きで敵の一撃を避ける。そのまま反対に敵周辺の熱量を奪い、反撃に出た。
    「弐の不思議『サキガミ』――」
     鳳月・威降(中学生七不思議使い・d33339)が今日の七不思議奇譚に選んだのは、全身から様々な形状の刃物を生やした姿を持つ、美しい少女の都市伝説だ。
     目には目を、歯には歯を、であれば刃物には刃物を……というわけだ。
    「いいな、これ」
     来る途中で買ってしまった新しいヘッドホンで音楽を聞きながら、幡谷・功徳(人殺し・d31096)踊るように路地裏を駆けていた。腕を交差させた瞬間に、二挺のガンナイフから放たれた弾丸が次々と口裂け人間を貫く。
     家計には痛いダメージを負ったが、体に走る傷は気にならない。軽快なポップミュージックに合わせて、ボイスパーカッションを交えて歌いながら、功徳は存分に殺人鬼としての力を解放する。
    「てめぇとっととくたばりやがれゴルァぁぁ!!」
     気合の入った超弩級の一撃。軽々と持ち上げたロケットハンマーを思いっきり叩き込んだ兎月・來音(中学生サウンドソルジャー・d33536)は、汗1つかいていないのに「ふう」と額を拭うような動作をして、
    「らいらい超頑張っちゃったよ!」
     と、見ているかもしれない周囲の皆に、アピールする事も忘れない。
    「今回は黒の本、山姫を語りましょう……」
     水虎・ななか(ミトラの日々・d33295)は自分の七不思議について記した魔導書を取ると、かつての戦いを思い返しながら山姫について語る。美しい女性の姿をした山姫は、山に迷い込んだ男の血を啜り、多くの命を奪っていた……。
    (「恐ろしい都市伝説でした。でも、この力があれば、口裂け人間も倒せるはずです!」)
     そう確信し、ななかは都市伝説を武器に、眼前の都市伝説と戦う。
    「ねえ、私ってキレイ?」
    「そうですね……」
     女に話しかけられた干潟・明海(有明エイリアン・d23846)は、後ろ手にスレイヤーカードを取り出しながら、返事をする。
    「とても綺麗だと思いますよ。長い髪に白い肌、目元も整って素敵です。でもですね……」
     メキメキと音を立てて、人造灼滅者である明海の外見は大きく変わっていく。頭も体もダークネス化すると、くわっと口を大きく開く。
    「……口元はちょっと、おちょぼ口かも知れませんね!」
     明海はそのままカードの封印を解き、瞬時に殲術道具を纏って攻撃を開始する。
    「悪いが、おぬしなぞにかまっとる暇はないんじゃ!」
     口裂け人間が振るう日本刀に傷付きながらも、雨宮・萌衣瑠(スカーレットシンフォニー・d32179)は握り締めた槍を回転させた。敵の傷も、かなり深い。萌衣瑠はそのまま敵に向かって突撃すると、一気に口裂け人間を切り伏せてしまう。力尽きた口裂け人間は、そのまま姿を消していく。
    「――終わりだ」
     妖冷弾を撃ち出したイサ・フィンブルヴェト(アイスドールナイト・d27082)は、口裂け人間に背を向けた。まるで血振りをするかのように槍の穂先をイサが振るった、その瞬間。口裂け人間を包んでいた氷が粉々に砕け、撃破された口裂け人間は消滅していく。
    「やりました……ふっ、10年前の私なら負けてたかもしれませんね!」
     地獄投げで飛ばした口裂け人間が動かなくなり、消滅していくのを見届けながら、朱卦・奈王(キミが描いた小さな世界・d30698)はクールに決め台詞を放つ。なお、彼女がまだ7歳である事にツッコミを入れるのは野暮というものだろう。
    「君達の噺も素敵だが、ここは一つ別の噺もいかがかな?」
     終集・現真(美奇談蒐集家・d33279)が口裂け人間へ語るのは、泣き女郎奇譚だ。昔々ある所に、結ばれぬ恋で入水自殺した女郎と、男がいた。
    「しかし男は奇跡的に生き残り、一人の娘を嫁に貰うのです。その日から夜な夜な目を瞑ると、女郎の咽び泣く声が聞こえてくる。さぁ、君にも女郎の泣く声が聞こえてきただろう? どんなに耳を塞いでも、その声はやむことはない。君が死ぬまで……おっと、もう聞こえていないかな」
     泣き女郎の怨念は現真の言葉と共に実体化して、口裂け人間を幾度と傷付けて死の淵へと誘ったのだ。
    「それでは噺はここまで。次回をお楽しみに、ってね」
     パチンと扇を閉じて、現真は再び歩き出した。

    ●戦い方アドバイスします!
    「格好良く戦うなら、オンリーワンな武器を活かすのも重要よね」
     そうオデット・ロレーヌ(スワンブレイク・d02232)が構えたのはマテリアルロッド。勢いよく振ると、飾りの鳥が白く輝きながら羽ばたく仕草をする、オデット愛用のロッドだ。
    「天国まで超特急で連れて行ってくれる鳥よ! 行ってらっしゃい!」
     今まさに鳥を羽ばたかせながら、オデットはフォースブレイクを放つ。
    「あたしのマテリアルロッドは『ウィッチクラフトポロン』って名前なんだよ♪」
     同じマテリアルロッドでも、野村・さやか(天奏音楽・d00162)が持っているのは全く違う見た目だ。音楽を愛する彼女らしく、音楽の力を魔力に変換しながら戦うウィッチクラフトポロンは、亡き祖父からの大切な贈り物でもある。
    「当たれ! 音符のつぶて!」
     音楽の力をこめながら、さやかもフォースブレイクを繰り出した。
    「これはね、親友からの贈り物なんだ」
     楯縫・梗花(此岸過迄・d02901)が纏うのは、サイキックエナジーで武器化したオーラ。大切な友から貰った物だからこそ、なんだか温かさを感じて……頑張れる気がするのだと、梗花は今もまた、拳を構える。
    「俺のも、友達が名付けてくれたから……わかるよ」
     頷いたのは九重・木葉(一握の・d10342)。決して枯れずに成長を続ける植物かのように、伸びていく影業は、木葉にとっても思い入れのある、大切な武器だ。
    「まるで友達が一緒にいてくれるような気持ちになるものね。心強いわ!」
     東郷・時生(天稟不動・d10592)は16歳の誕生日プレゼントとして貰ったスタイリッシュなエアシューズを履いて走る。口裂け人間との間合いを十分に詰めると、
    「覚悟なさい! 私の蹴りは、重いわよ!」
     そう跳び上がり、スターゲイザーを炸裂させた。

    ====================
    【マスターからの解説】
     先輩たちが装備している武器は『オリジナル殲術道具』と呼ばれる物です。
     さっき紹介した『旧校舎』では、こうした、あなただけのオリジナル殲術道具を作成することもできます。
     ただし作成には課金が必要で、有料コンテンツになります。お金は大切ですから、サイキックハーツというゲームに遊び慣れた頃に、検討してみましょう。
    ====================

    「狙いどーりっ!」
     口裂け人間が振り下ろした無敵斬艦刀での一撃を華麗に避けながら、巳越・愛華(ピンクブーケ・d15290)は嬉しそうに笑っていた。
    (「1対1なら単体攻撃。敵が使うと予想される刃物系武器の単攻撃なら、この防具がいいと思ったんだよねっ」)
     おそらく最も高確率で敵の攻撃を回避できる防具の1つのはずだと、そう予測して準備をしたからこそ攻撃をよけられたのだ。この利を最大限に活かしてみせると、愛華は反撃に出る。
    「斬撃に強い防具を選んでおいて、正解だったな」
     居合斬りの直撃を受けた長崎・莉央(ヘーゼルレイン・d16750)も、どこか余裕のある様子で頷くとクルセイドソードを構える。見た目はとても軽装に見えるが、耐性はバッチリだ。

    ====================
    【マスターからの解説】
     ここからはサイキックハーツの戦いのルールを交えつつ、戦いのコツをガイドします。
     ルールが色々あって、難しく感じると思います。あなたは正しいです。その通りです! だってこれ全部理解できたら、あなたはいきなりベテラン勢の仲間入りです。
     最初からいきなり全部覚える必要はないので、時間のある時に少しずつ、順番に読んだり覚えたりしていきましょう。
     そもそも、全部完璧に覚えて無くても、大体何とかなります。わからないことは、知ってる人が教えてくれるからです。
    (たぶん、先輩達も結構な人数が「あ、そんなルールもあったな……」と読みながら思う内容になってると思います)

     それではまず、防具です。
     サイキックハーツの防具は、装備すると能力値が上がりますが、その他に必ず『回避属性』と『ダメージ耐性』がつきます。
     回避属性は、気魄・術式・神秘の3つがあり、その属性で攻撃された場合の命中率が半減します。つまり、敵からの攻撃を回避しやすくなるのですね。
     ダメージ耐性は破壊力・斬撃力・魔法力の3つがあり、その攻撃で受けるダメージを半減できます。つまり、攻撃が当たってしまった時のダメージが減るのですね。

     今回の敵は、刃物で攻撃してくるという情報がありましたが、これは、
    『刃物に該当する武器やサイキックで攻撃してくる』
     というヒントになっていました。
     サイキックハーツの武器やサイキックは、ゲーム解説ページの『ルーツ・殲術道具・サイキック一覧』に行くと、詳細を確認できるようになっています。
     ここを見ながら『具体的に、どのような攻撃をしてくるのか』を推測しながらプレイングを考えると、活躍しやすくなります。

     先程の莉央さんは『礼服』を装備していました。これは術式回避・斬撃力耐性の防具です。解体ナイフや日本刀など、斬撃力が高くて術式のサイキックを使える武器がいくつもあるので、これを重点的に対策する作戦ですね。
     莉央さんは、これらの武器を持った口裂け人間との戦いで有利になり、活躍しやすくなるでしょう。
     愛華さんが今回選んだ『民族衣装』は、気魄回避・斬撃力耐性の防具です。刃物の武器には無敵斬艦刀やチェーンソー剣、龍砕斧など、気魄のサイキックが使える武器も多いので、まず気魄のサイキックを回避する確率を上げる作戦です。術式のサイキックは避けやすくなりませんが、斬撃力のダメージを半減させる事である程度対策を両立しています(斬撃力が高い武器には、術式のサイキックが多いのです)。

     こんな風に敵の攻撃を予測し、有利になりそうな防具を考えるのも作戦の1つです。
     長所を伸ばすように自分の得意な能力値を強化できる防具にしたり、「この攻撃を華麗に避けたい」と考え、それが実現できそうな防具を準備する……など、防具の選び方は、他にも様々あります。

     回避と耐性、2つもあるので、いきなり考えるのは難しいと思うかもしれません。
     でも、敵の情報を踏まえて有利な防具を用意できれば、確実に敵に勝ちやすくなります。ちょっとずつ頑張って考えてみましょう!
     もちろん、これだって他の先輩達と相談して大丈夫! 詳しそうな先輩には、どんどん相談して頼ってしまいましょう!

    ====================

    「……口裂け人間!」
     敵と遭遇した重音・愛(愛死のオフェリア・d31841)は、迫る口裂け人間から逃げるようにして駆け出した。しかし、それは愛の考えた作戦の一環だ。
    (「口裂け人間は、『一人で歩いている学生』に近付き、襲い掛かる――じゃあ、出現した後は? 出会った後なら、近くにいる他の生徒と協力できないかしら?」)
     ひとりは心細いから、駅へ戻る道を走りながら、誰かと合流できないか試みる愛。
     と、その時。頭上に不自然な影が差したかと思うと、愛の真後ろに誰かが飛び降りた。
    「勇気の魔女ヘクセヘルド、ここに参上!」
     それは魔女服に身を包んだエリザベート・ベルンシュタイン(勇気の魔女ヘクセヘルド・d30945)だ。すぐさま魔力を込め、ヘクセヘルドはフォースブレイクで敵を迎え撃つ。
     こちら側が2人に増えても、それだけで敵が消えたり逃走する様子はない。それなら、と愛はメディックにつく。
     そんな彼女達に気付いた三条院・榛(猿猴捉月・d14583)は、そっと影からデッドブラスターを撃ち、密かに戦いを援護していった。
     この特徴に気付いた天槻・空斗(焔天狼君・d11814)は、それを活用しようと試みる。
    「じゃ、上手くダメージ入れつつ新入生達の所へ連れて行って、色々教えようかね」
     実際に戦う所を見せつつ、学んで貰えるはずだ。
    「何をすれば命中率が高いか、見えるはずだな。まずはそれが高いものから使ってみるといい」
     結城・創矢(アカツキの二重奏・d00630)は、攻撃は当たらなければ始まらないと告げ、自ら最も命中しやすそうなスターゲイザーで攻撃して実践して見せる。
    「私も去年の灼滅者講座で学んだ身だ。今度は皆の役に立てると良いが」
     ではひとつお見せしよう、と構えた阿久津・悠里(キュマイラ・d26858)は敵の斧を受け止めると、命中率を踏まえて、より確実そうなサイキックを瞬時に見極め、レガリアスサイクロンを放った。

    ====================
    【マスターからの解説】
     攻撃を避けるコツ、ダメージを減らすコツがあるなら、攻撃を命中しやすくするコツもあるんじゃないか? 皆さん、気になりますよね。

     ここでポイントになるのが『命中率予想力』!
     灼滅者は、自分がどのサイキックで、どの敵に攻撃すると、大体どのくらいの確率で攻撃が命中するかを、攻撃する前に知ることができます。凄いですよね!
     なので、プレイングに『一番命中しやすそうなサイキックを使います!』『命中が8割以上のサイキックを使います』といった書き方をすると、シナリオを執筆するマスター(わたしです)は、それに合う、適切なサイキックを使って戦うシーンを書きますよ。

     ちなみに、その次に攻撃した悠里さんは『確実度』を踏まえて攻撃しました。
     こちらは簡単に言うと、「一番倒しそうな敵から攻撃するぜ」という作戦です。命中率の他に、それぞれのサイキックで与えられるダメージの多さや、「あの敵フラフラしてるな倒せるかもな」といった予測などを総合的に判断して、どのサイキックを使うかを決めます。

     攻撃が当たらなければダメージも与えられないので、命中しやすさを優先するのは作戦の1つになると思います。
     もちろん、
    「命中率が低くてもいい! 一撃必殺の浪漫に賭けるぜ!」
     という戦い方もアリでしょう。そういう場合は、あなたのステータス画面を見て、与えられるダメージが一番大きいサイキックを使ったりするといいですね。

    ====================

    「それから大事な事がある。同じサイキックばかり使い続けてると、相手もそれに見慣れて、こっちの攻撃を『見切る』ようになってくる。弱点が判っても、そればかり狙っては逆に不利になってしまうということだな」
     影喰らいを使ったヴィルクス・エルメロッテ(ディスカード・d08235)は、次にオーラキャノンを放つ。これも、その対策だ。

    ====================
    【マスターからの解説】
     ただし、戦い方によっては、あなたの攻撃の命中率が大きく下がってしまう事があります。
     それが『見切り効果』です。

     防具の所で、気魄・術式・神秘の3つの属性があるという話をしたと思います。
     実は、この属性が重要です。
     前のターンと同じ属性のサイキックで攻撃すると、攻撃の命中率が半減してしまうのです。
    ====================

    「だから命中率が下がらないように、違うサイキックを使って攻撃するのが基本だよっ!」
     ヴィルクスさんの戦い方は、まさにそんな感じだね、と亜寒・まりも(メリメロソレイユ・d16853)が説明を捕捉する。
    「だったらサイキックは2つあればいいじゃないって? でも、3つ使うと有利になる事もあるんだよーっ!」
     だから、どんなサイキックで戦うのか、サイキック選びも重要だから、いろいろ考えてみてね、とまりもは新入生達に助言する。

    ====================
    【マスターからの解説】
     実はサイキックには『活性化ボーナス』という物があって、気魄術式神秘全て揃えたり、射程を『近』で統一すると、こっそり威力が上昇したりします。
     他にもHPが増える活性化の仕方とか色々あるのですが、どれも隠しパラメーターになっていて詳しい条件は非公開になっています。ので、自分が使えるサイキックの活性化の仕方を、いろいろ組み合わせたりしてみてくださいね。

     それから野衾・二三(嘲笑う黒き炎・d29268)さんが大事なことを言っていたので、こちらで紹介します。
    「サイキックは『活性化』しないと使えないぞ!」
     皆さんはルーツとポテンシャルと武器のサイキックを使えますが、冒険で実際に活用できるのは『活性化』している、最大5個のサイキックだけになります。
     サイキックは、あなたのステータス画面の『サイキック』というタブで活性化できます。
    ====================

    「こういう手もある。よく当たるぞ、この弾丸は」
     そう言って多鴨戸・千幻(超人幻想・d19776)が放ったホーミングバレットは、見事に敵の胸元を撃ち抜く。
    「足止めを活用するって手もありますなァ」
     撫桐・娑婆蔵(鷹の目・d10859)は敵の死角に回り込み、その足元を一気に斬った。
    「そういうことなら、炎、毒、トラウマのフルコースといきましょう」
     冷静に相手を観察しつつ、苑田・歌菜(人生芸無・d02293)も次々とサイキックを叩き込んでいく。一撃ごとに、敵はダメージだけでなく、様々な衝撃を受けていく。
    「今のうちに莉奈はパワーアップしちゃうね」
     一方、螺穿槍で攻撃した百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286)は、どこか力が漲っている様子だ。葦原・統弥(黒曜の刃・d21438)も抗雷撃を放ちつつ、同時に自分自身にも力を纏っていく。

    ====================
    【マスターからの解説】
     ここで先輩達が活用したのは『エフェクト』です。サイキックには必ず、役に立つエフェクトがついています。
     まず千幻さんの攻撃はホーミング。ホーミングの攻撃は、他のサイキックよりも敵に命中しやすい効果があります。
     次に娑婆蔵さんの足止め。こちらは、敵の回避率を下げる効果があります。
     歌菜さんが与えた炎、毒、トラウマは全部、与えた相手の行動順が来るたび、じわじわとダメージを与え続ける効果があります。重ね掛けできるので、どんどんダメージ量が増えるわけですね。
     莉奈さんや統弥さんが使ったのはエンチャント。これは、自分自身を強化する効果があります。
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    「ここで役立つのがジグザグスラッシュ。敵が既に受けてるバッドステータスを増やしてやるっす」
     たくさんのバッドステータスを受けている口裂け人間に、いろいろな意味で追い打ちをかける一撃を、瀬宮・律(気まぐれな黒蝶・d00737)が繰り出した。
    「敵がエンチャントして、有利な効果を得ている時には『ブレイク』してやればいいぜ」
     相良・太一(再戦の誓い・d01936)は夜霧隠れを使った敵に鋼鉄拳を打ち込み、相手が得たばかりの有利な効果を打ち消してしまう。
    「俺らがバッドステータスを受けた時は、それを『キュア』すればいい。これから使う『シャウト』は、灼滅者なら誰でも活性化できる」
     そう説明して、狼川・貢(ボーンズデッド・d23454)は裂帛の叫びと共に、バッドステータスを吹き飛ばす。
    「喰らうたびに回復してると攻撃できるタイミングが無くなるから、俺は3つくらい受けたら使うかな!」
     夕崎・ソラ(灰色狼・d27397)は、実体験を元にしつつ、そんな風に語った。
    「回復なら『心霊手術』も覚えておくと便利だよ」
     今回みたいに連続で戦いが発生する可能性がある場面では、特に便利だよと、月舘・架乃(ストレンジファントム・d03961)が説明する。

    ====================
    【マスターからの解説】
     心霊手術は、戦闘終了後に行う特殊な回復方法です。というのも、心霊手術は『誰にも邪魔されない状況で10分間手術に専念する』必要があるので、戦闘中にはできないのです。
     普通のサイキックで回復するのと、心霊手術は何が違うのでしょうか?
     それは、行野・セイ(オブスキュラント・d02746)さんの説明が詳しいです。
    「ヒールサイキックで回復できるのは衝撃ダメージ。殺傷ダメージはシナリオが終了するまで回復しないが、心霊手術であれば回復できる」

     また新しい単語が出てきましたね。
     サイキックのダメージは、そのサイキックの『殺傷率』に応じて『殺傷ダメージ』と『衝撃ダメージ』に分かれています。
     皆さん、自分のサイキックのページを見てみましょう。『殺傷』という欄があって、30%とか50%とか書いてあると思います。これは、そのサイキックで与えるダメージのうち、何%が殺傷ダメージなのかを表しています。
     たとえば『七不思議奇譚』というサイキックは殺傷40%なので、与えられるダメージのうち40%が殺傷ダメージ、残りの60%が衝撃ダメージです。

     そして、普通のサイキックで回復できるのは衝撃ダメージだけ。だから殺傷率が高いサイキックは『普通の方法で回復できないダメージを与えるサイキック』なんです。
     与えるダメージが多くても、それが衝撃ダメージばかりだと、サイキックで回復されてしまいます。回復サイキックを使う敵と戦う場合、殺傷率は重要なポイントなのです。

     もちろん、皆さんだって回復できるのは衝撃ダメージだけ。敵と戦うと、サイキックでは回復できない傷を負ってしまいます。それを、唯一回復できるのが、心霊手術なんです。
     今後、連続で敵と戦うような冒険に出かけることがあれば、活用してみてくださいね。
    ====================

    「回復もしましたし、また頑張りましょう」
     一息ついたところで、森村・侑二郎(一人静・d08981)はスレイヤーカードに能力を封印すると再び佐世保の町を歩く。やがて、現れた口裂け人間を前に侑二郎は封印を解くと、ウイングキャットの『わさび』と敵に向き合った。
    「サーヴァント使いの戦い方を教えますね」
    「よーし、お手本になれるように頑張るよ! 一惺、回復はよろしくね!」
     霊犬に呼びかける華槻・灯倭(月夜見・d06983)。その指示に吠えると、一惺は灯倭の後ろへ移動する。反対に、パートナーの前に進み出たのは夏目・直(雲居の二十六夜・d03220)のライドキャリバー『震電』だ。
    「震電は攻撃を優先してね。終わったらちゃんぽん食べて、カステラ買って帰ろう。頑張ろうね」
     直の呼びかけに頷くようにエンジンをふかせて、震電はさっそく敵に突撃していく。
    「シュエット……あなたと私は近しき存在。さあ今よ、一緒に攻撃!」
     託・リヤン(絆紡ぎ・d32540)の呼びかけに、ウイングキャット『シュエット』は鳴くと、同時に攻撃を繰り出し、見事なコンビネーションアタックを決める!

    ====================
    【マスターからの解説】
     サーヴァントは、灼滅者の内に眠る潜在能力『ポテンシャル』が具現化した存在です。
     灼滅者はみんな『ルーツ』と『ポテンシャル』を持ちます。ポテンシャルとして、ダンピールやファイアブラッドなど『ルーツにあるのと同じもの』を持っている人もいますが、中にはこうして具現化した存在を連れている人もいて、みんなはよく『サーヴァント使い』と呼んでいます。

     サーヴァント使いは、自分とは別のキャラクターをもう1人連れているのに似ています。自分のサーヴァントには命令を出して、その指示の通りに行動させる事が出来ます。
     1ターンに、自分とサーヴァントの2回攻撃ができるんです。凄いですよね。でも、プラスばかりではありません。
     それは、
    「サーヴァント使いとサーヴァントは『最大HP・サイキック威力・エフェクト発動率』が65%になっちゃいます」
     という侑二郎さんの説明に凝縮されています。
     サーヴァント使いは、そうじゃない人よりも倒されやすく、攻撃で与えられるダメージが少なく、便利なエフェクトの恩恵もみんなより受けにくいのです。

     相棒がいるからこその有利な戦い方もあれば、不利な場面もある。それを踏まえつつ、戦い方を考えるのがポイントになるでしょう。
     たとえば、サイキックハーツは素早いキャラクターから順に行動します。このとき、サーヴァントと主人は本来の行動順を無視して、一緒に同時に行動することがあります。コンビネーションと呼ぶのですが、これは深い絆のあるサーヴァントと、その主人だからこそですね。
     コンビネーションは、他にも深い絆のある他のキャラクターとも発生します。

     ちなみにサーヴァントには名前が設定できます。自分のステータスの『設定』の中にある『イラスト』で設定した名前が、ステータスに表示されるので、大切な相棒の名前を、ここで登録してあげるのも良いかもしれませんね。
    ===================

    「でしたら、私はメディックの本領と恐ろしさをご覧に入れて差し上げましょう」
     葛葉・雅(闇夜の祝詞・d14866)は自分が一番得意とする間合いでの戦い方を実演する。槍を持つ口裂け人間が螺穿槍を繰り出してきたところへ、すぐさまデッドブラスターを撃つ。
     その弾丸は敵に毒を与えるが、それだけではない。相手が得た有利な効果すら、同時に打ち消してしまったのだ。
    「メディックは回復が得意だよ。でも、メディックの仕事は癒すだけではありませんからね!」
     寺見・嘉月(星渡る清風・d01013)は別の敵へ閃光百裂拳を繰り出し、何度も拳を叩きつけながら敵のエンチャントを切り崩す。
    「やるなあ。でもスナイパーだって負けてない!」
     後方から狙いを定めると、鳥辺野・祝(架空線・d23681)は一気に距離を詰めてグラインドファイアを繰り出す。
    「サイキックの威力を上げ、更に命中率2倍のスナイパーで攻めることで、相乗効果も狙えますよね」
     そんな志乃原・ちゆ(トロイメンガイゲ・d16072)の鬼神変は見事に口裂け人間の急所へクリティカルヒット! 大ダメージを与える。
    「もちろん見切られるなど、もってのほか。相手の能力をよく見て的確に攻撃する、これが格好いい戦闘でございますね」
     同様の戦法は翠川・朝日(ブラックライジングサン・d25148)など、多くの先輩が取っている。しっかり命中させた上で、更に大ダメージを与える。それがスナイパーの戦略だ。
    「同じ強さの敵なら、防御重視でいくのもいいんじゃないかな?」
     守りを固めながら布陣し、口裂け人間との対決に挑むのは七時雨・智兎良(夢喰う獣・d25941)。自分が受けるダメージをできるだけ減らしつつ、全力攻撃を繰り返すのは九湖・鐘(祈花・d01224)も同じだ。
    「ダークネス、私の故郷で暴れすぎ。私の故郷、荒らしちゃ駄目」
     むぅ、と少し頬を膨らませ、一刻も早く口裂け人間を全滅させる為にもと、鐘はできるだけ多くの戦いに身を投じる。
    「これでもかと山のように積み重ねていくのは、ジャマーならではの戦い方ですね」
     いくつかのサイキックで攻撃を繰り返す檜枝・夜詠(檜を奉る・d30076)が戦っている口裂け人間は、どんどん炎や氷に包まれていた。そこをジグザグスラッシュで切り刻めば、まるで2つに割れて増えるかのように、更に勢いを増していく。
    「僕は、実はエンチャント重視型なんです」
     とクルセイドスラッシュで攻撃していくのはクゥ・シャミナード(命火招来・d02496)。ジャマーのポジションについた彼は、更にソニックビートをかき鳴らし、自分に有利な効果を次々と積み重ねながら戦っていった。
    「これが『ポジション』です。まずは自分の立ち位置を確立させましょう」
     それによって戦い方は大きく変わってくると、武神・勇也(ストームヴァンガード・d04222)も実際に前衛に立ちながら、新入生達の方を振り返る。
    「一般的なポジションは、クラッシャー・ディフェンダー・ジャマー・キャスター・スナイパー・メディックの合計6つ。この6つは前衛・中衛・後衛の3つに分かれていますよ」
     そうしてアルマニア・シングリッド(暴走する天然爆走ロリっ子・d25833)がポジションの詳細を説明していった。

    ====================
    【マスターからの解説】
     戦闘では、必ず『ポジション』について戦います。自分の隊列や、敵味方との間合いなどをあらわしたものなのですが、それにプラスして、ポジションごとにそれぞれ、有利な効果を得られます。
     たとえばメディックは、サイキックで回復する時の量が2倍になり、更に活性化した全てのサイキックに『キュア』か『ブレイク』が追加されます。本来ならキュアやブレイクができないサイキックで、それができるようになるので、相手がエンチャントやバッドステータスが得意だったりすると、それに対応しやすくなります。
    ====================

    「ちなみに、こんな戦い方もできます」
     巴里・飴(砂糖漬けの禁断少女・d00471)はライドキャリバー『デウカリオン』に乗って敵と戦う。ライドキャリバーと自分が同じポジションにいれば、こんな風に騎乗しての戦闘も可能だ。
    「魔法使いなら、空を飛びながら戦う事もできますよ」
     空飛ぶ箒にまたがって、九重・優太(本の虫・d30450)は上からマジックミサイルを撃つ。
    「飛んでしまえば、刃物の攻撃の一部しか届かなくなるのだよ」
     相手がロクに攻撃できないうちに、文埼・マルタ(序列三十九番目の力・d30960)はアンチサイキックレイで敵を貫いていく。移月・幽輝(小学生魔法使い・d23941)も相手を翻弄するように飛び回りながら、無敵斬艦刀を叩き込んだ。

    ====================
    【マスターからの解説】
     サイキックハーツでは乗り物に騎乗しての戦闘も出来ます。ただバイクや車はサイキックで破壊される可能性もあるので、そこは覚悟が必要です。ライドキャリバーに騎乗して戦う時は、同じポジションであれば可能です(ライドキャリバーはHPが0になっても10分消滅するだけで、壊れたりはしません)。
     また、特殊なポジションに『飛行中』があります。何らかの方法で飛べる人だけが、このポジションで戦えます。今だと、ルーツ魔法使いのESP『空飛ぶ箒』が、唯一の手段ですね。
     飛行中は『近』の攻撃を受けなくなりますが、他のポジションみたいな『ダメージ2倍』『命中率2倍』『ヒール2倍』といったボーナスがないので、有利に戦えるシチュエーションは限られてしまうでしょう。
     今回は「チェーンソー剣を持った敵と1対1で戦う事になったら空を飛び、上から一方的に攻撃する」みたいな場面で、とても有効でした。

     ここまでに説明してきたような戦い方のルールや、サイキックや殲術道具の情報などは、次のページでまとめられています。今後の活動に、ぜひ活用してみてください。

    ●ゲーム解説『戦いの手引き』
     http://tw4.jp/html/world/3-2battebiki.html

    ●ゲーム解説『ルーツ・殲術道具・サイキック一覧』
     http://tw4.jp/html/world/4-2alldata.html

     他にも、この『ゲーム解説』のページは、サイキックハーツの情報が詰まっているので、お時間のある時に読んでみると、新しい発見があるかもしれません。

    ●ゲーム解説
     http://tw4.jp/html/world/01index.html

    ====================

    「え、っと……相手の動きを、止めて……!」
     七風・朱華(中学生デモノイドヒューマン・d33419)は、教わった内容を生かして、なんとか頑張って戦ってみる。朱華が装備している契約の指輪は、相手の動きに制約を加えて、その行動を封じるサイキックが使える。
     必ず敵の動きを止められるわけでは無い。だが幸運の女神が朱華に味方した。動けなくなってしまった敵にDESアシッドを飛ばし、見事に口裂け人間を撃破する。
    「やった……!」
     初嶺多・望(高校生ダンピール・d33546)もまた勝利を掴んだ一人だ。戸惑い、四苦八苦しながらの戦いだったが、ビハインドに上手く協力を求め、時には攻撃、時には回復と力を合わせて戦いながら、無事に撃破できたのだ。
    「……ありがとう」
     共に戦った戦友でもあるビハインドに礼を告げ、望は力をカードへ封印していく。
     敵を倒せた松岡・双葉(双端奇譚編纂集・d33228)は、そのまま静かに両手を合わせた。まるで食事の前に「いただきます」と手を合わせるかのように。
     そう、双葉は、今倒した口裂け人間を自分の七不思議とすべく、喰らうつもりなのだ。
     右手をまるで狐のような形にして、コンと一口飲みこむような仕草をした瞬間、霧散しかけていた口裂け人間が吸い込まれる。
    「口裂け人間、蒐集させて貰うぜ」
     敦賀・攸(高校生七不思議使い・d33379)も自分が戦った、同い年くらいに見える口裂け人間を、己の七不思議へと変えていく。
    「反魂沼奇譚は、いかがだったかな?」
     沼のほとりで禍々しい鬼火と共に這い上がってくる都市伝説について、怪談蝋燭を妖しく揺らしながら語った白鷺・鴉(高校生七不思議使い・dn0227)は、ふっと蝋燭を吹き消した。
     そうして辺りに漂う煙と、姿を薄れさせた口裂け人間が混ざり合うと、一気に鴉の体の内へと吸い込まれていく。
    「君の噺は戴いた。……俺の七不思議は、これで残り3つだな」
     ニッと笑った鴉は満足げだ。口裂け人間を蒐集し、自分の七不思議とする七不思議使いが他にも多数いるその一方で、
    「これは、やはり私の蒐集すべきものとは違いましたね」
     という鍋島・陽茉梨(ご当地七不思議使い・d33278)などのように、自分の七不思議にするのは見送って、より相応しい七不思議を探し続けるつもりの者もいた。
    「口裂け人間との遭遇が減って来たな」
     新入生を支援する目的で巡回していた飛鳥居・翔(高校生殺人鬼・d32477)は、敵と戦闘になっている仲間の姿が減ってきた事に気付く。既に、口裂け人間を1体以上倒している者も多いから、もしかしたら、あれだけいた口裂け人間との戦いも、決着が近付いているのかもしれない。
    「敵との遭遇数が多く、今も報告があるのは駅の西から北にかけてのようだから、そこを中心に回りましょう」
     その方面の路地裏を回ってみようと、水野・真火(水あるいは炎・d19915)が地図を広げながら歩き出す。
    「ようやく来たか!」
     高村・圭司(いつもニホンオオカミ・d06113)は、そんな駅の北側で今まさに、口裂け人間から声を掛けられている所だった。狼変身している姿では、学生と見なして貰えない。そのことに気付くまで少し時間は掛かってしまったが、遭遇してしまえば、あとは問題ない。
     心置きなく封印を解除し、護郎丸と共に戦う。
    「俺の力を解き放つまでも無いと思っていたが、嫌な予感が的中したか。やはり、この事件の裏には……」
     口裂け人間から声を掛けられた夢幻・天魔(千の設定を持つ男・d27392)は、とてもシリアスな空気を纏いながら、口裂け人間を見つめ返した。
    「まあ、仕方あるまい。かつて異世界にて『災厄の魔騎士』と呼ばれた、この俺と戦う事になってしまった不運を呪うのだな……クク、フハハハハ……!」
     高笑いと共に、天魔の見た目が大きく変化していく。そう、これはアルティメットモードだ! そのまま天魔は、かつて世界を恐慌に陥れた、あの禁断の剣技を繰り出す!
    「少しいいかな?」
    「なんでしょう」
     路地裏をうろついていた月影・零(冷たき少年・d11940)が振り返ると、そこにも、やはりマスクをした男が立っていた。
    「私ってハンサムですか?」
     不自然な笑みと共に尋ねる口裂け人間に、良く見えないと答えれば、相手はマスクを引き剥がして襲い掛かってくる。零はその軌道を見抜いて攻撃を避けると、瞳にバベルの鎖を集中させ、同じ獲物であるナイフで反対に口裂け人間を切り裂く。
    「愛と正義と太陽よりの使者! ホワイトテリアーここに推参!」
     白いスーツと狼のマスクに身を包み、赤いマントを揺らして立つのは、正体秘密の謎のヒーロー、ホワイトテリアーだ!
     放出した白炎蜃気楼を縫って敵に近付くと、螺穿槍で一気に敵を貫く。
    「貴様の首をもらおう!」
     現れた口裂け人間に急接近すると、木高・彰也(中学生殺人鬼・d33382)は攻撃――すると見せかけて敵の死角へ回り込んだ。フェイントと、そこから生まれる一瞬の隙を突いて、敵を切り裂く。
    「時間は掛かりましたが、勝てましたね」
     花山川・風月(高校生ファイアブラッド・d32829)が選んだ戦い方は、地道にコツコツと炎を与えながら攻撃を繰り返すというものだ。最終的に口裂け人間は燃えつきかけたところを、風月の居合斬りに仕留められた。
    「さて、最後に掃除をして去りましょう」
     街の景観を乱さぬように。簡単な物ではあるが、その点に配慮しながら辺りを片付け、風月は引き上げた。

    ●平和と、新たなる出発
     そうして、どれだけ道を歩いても、もう口裂け人間が1体も現れなくなったのを確認し、灼滅者達は駅へ戻った。
    「あれだけの口裂け人間を、本当に全滅させられるとは……!」
     鴉は驚きと感動の入り混じった顔で、協力に感謝するよと、改めて礼を告げた。
    「いやいや。しかしなんだか地獄合宿を思い出す事件だったな」
    「地獄合宿……?」
     首を振る天方・矜人(疾走する魂・d01499)だったが、その発言に新入生達が不穏な物を感じながら戸惑い、先輩達が「ああ……」と深く頷き返す。
    「武蔵坂学園では、毎年ゴールデンウィークに地獄合宿という行事があるの。一昨年は梅田駅でね、山ほどいるゾンビ退治をしてね……」
     うじゃうじゃ大量にいる感じ、確かに似てるわね、とディアナ・ロードライト(暁に輝く紅玉・d05023)は少し遠い目をしながら同意していた。
    「ええ、5月だったら灼滅者講座じゃなく、地獄合宿の1つになっていたかもしれませんね」
     ちょうど九州も会場の1つですから、と語る華宮・紅緋(クリムゾンハートビート・d01389)の言葉に、鴉たちはまたしても驚愕するしかなかった。
    「……こんなのを、いくつもの会場でやるのか……?」
     灼滅者講座など序の口、地獄は2か月後にやってくる。武蔵坂学園の恐ろしさを、改めて学んだような気がする新入生達だった。

    ====================
    【マスターからの解説】
     武蔵坂学園は学校なので、運動会や学園祭、修学旅行など、普通の学校にあるような行事がいろいろ開催されます。皆さんも先日、期末テストを受けましたよね。
     この多くは『リアルタイムイベント』と呼ばれ、実際のリアル(現実)の日付や時間とリンクして行われます。
     ゲームだけど、現実と同じように時間が流れるのは、サイキックハーツならではの特徴の1つです。もちろん、みんなの誕生日やクリスマス、お正月なども現実と同じように来ますよ。

     で、武蔵坂学園は普通の学校じゃないので、たまに地獄合宿みたいな行事もあります。

     どの行事も、開催が近付いて来るとメインページ(http://tw4.jp/main/)でスケジュールや詳細が紹介されるので、興味のある皆さん、こまめにチェックしてみてください。
    ====================

    「だれかヒールほしい人、いる?」
     皆を回復して回っていた夏木・兎衣(うさぎのおもちゃ・d02853)達は改めて怪我人を確かめていく。敵はそこまで強くないという話だっただけあって、重傷人などは特に出ていない。友達やクラブの仲間と合流し、お互いの無事を喜んだり、ホッとする姿も見られた。
    「服が汚れた人はクリーニングするよ」
     準備しておいたESPを使って、天音・洸耶(月櫻獣・d02036)は皆を気遣う。確かに服が汚れていると、帰りの電車やバスや飛行機の中で、ちょっと居心地が悪そうだ。
    「あ、飴を渡しそびれた、です」
     ポケットに手を入れた川原・世寿(女教皇のベール・d00953)は、べっこう飴の存在をすっかり忘れていたことに気付く。せっかくだから渡してみたかったのに、と少し落胆しながらも、消えていった口裂け人間達に飴をお供えして、両手を合わせた。
    「これだけの数の都市伝説を生み出せるタタリガミ……今後も大きな脅威になりそうね」
     その気になれば、彼らはこの位のこと……いや、これ以上の事をできる存在なのだと目の当たりにしたことで、白崎・四葉(白爪草・d12759)は、神妙な顔で茜色の空を見上げた。
    (「……とか言っておくと、先輩っぽさが出る、と思う。なの」)
     とか実は心の中で考えている事は内緒だ!
    「それにしても、こんなにたくさんの口裂け人間を生み出して、何をするつもりだったんでしょうかね?」
    「だよなあ。意味があるのか無いのか……」
     神乃夜・柚羽(燭紅蓮・d13017)の疑問は、シグマ・コード(フォーマットメモリー・d18226)も気になっていた事だ。
    「ブレイズゲートの分割存在じゃあるまいし、同じ都市伝説ばかり増やして何がしたかったのかしらね」
     他にもエリノア・テルメッツ(串刺し嬢・d26318)など、同様の疑問は先輩達の一部が非常に気に掛けていた部分でもある。
    「他にもこうした事件が無いか、心配になっちゃうわ」
     オリガ・オルフェイス(夢奪う告知の花・d10151)も、この九州の地が心配だと頷いた。

    ====================
    【マスターからの解説】
     こうした事件についての推理は、『事後行動』でやってみるといいかもしれません。
    (普通のシナリオだと、冒険が終わった後『事後行動』ができます。ただ、このシナリオは、普段の冒険シナリオとは、ちょっと違うシナリオなので、事後行動はできません。事後行動ができるシナリオに参加したら、試してみてくださいね!)

     せっかくなので、他の冒険の仕方も解説します。
     まず、今回のような『シナリオ』は、全部『教室』から出かけます。教室の行き方は覚えていますか? ページの一番上にあるアイコンの『靴』を押してみましょう!
     個人授業と、それから、今起こっている事件が並んでいます。ここを見る事で、今どんな事件が起こっているのかを知る事が出来ます。
     解決してみたいシナリオがあったら、参加してみましょう。
     ただ、教室はいわゆる『有料コンテンツ』なので、普段のシナリオに参加するには、課金が必要です。

     また、他の冒険に『ブレイズゲート』があります。エリノアさんがちょっと言ってましたね。
     ページの一番上にあるアイコンの真ん中、剣とパレットのアイコンに挟まれた、不思議な建物のアイコンを押すと、そこがブレイズゲートの入口です。
     ブレイズゲートは、教室のシナリオとは違った形で、冒険をするコンテンツです。ここでは『4人1組』でチームを組んで、『迷宮の探索』に向かいます。
     チームを組むといっても、リアルタイムで一緒に冒険する必要は無いです。あなたのキャラクターは、あなたを連れ出した人かシステムが操作するので、あなたは時々届く「連れ出しメール」(誰かのチームの一員として冒険したことが書いてあるメール)を確認するだけで大丈夫。
     連れだしメールには、連れ出してくれた人からのメッセージや、おすそ分けアイテムがついてくる事もあります。来たら嬉しそうだし、わくわくしちゃいますね。
     ブレイズゲートは、自分で出発するには課金が必要ですが、他の人に連れ出される時にお金はかからないから、無料でアイテムが貰えて、お得なのです。

     仲の良い人が出来たら、一緒のクラブに入って『ライブハウス』でバトルするのも楽しいかもしれません。ライブハウスはブレイズゲートの右、剣が交差しているアイコンを押すと行けます。
     ライブハウスも『4人1組』でチームを組むのは同じですが、バトルの詳細が違います。
     戦う相手は、同じ武蔵坂学園の灼滅者! あなたと同じようにチームを組んでライブハウスに出場してきた、他の皆さんとバトルします!
     優勝すると豪華賞品がもらえたりもするのですが、優勝って、すごい響きですよね。憧れちゃいますね!
     ライブハウスは、チームを結成する人(リーダーだけ課金が必要で、他のメンバーは無料です。
     そのかわり豪華賞品もリーダーしかもらえないので、同じ仲間と交代で順番にリーダーになって優勝を目指すチームも多いみたいですね。

     他のアイコンから移動した先では、何ができるのか?
     それは2回目以降のリプレイで改めて解説します……けど、その前に気になるなという人は、自分で押して、その場所に行って、自分の目で確かめちゃいましょう。
     サイキックハーツには、たくさんのコンテンツ、たくさんのページがあります。それを自分で探検してみるのも、冒険っぽくて面白いですよ!
    ====================

    「情報収集や考察は、灼滅者にとって非常に重要だと私は考える。普段から報告書を読み、学内の噂に耳を澄ませるといい」
     もちろん、一人では限界がある。そんな時は学園の皆を頼るといいだろうと倫道・有無(統合死創魔天弄名烙・d03721)は助言する。
    「武蔵坂学園は『灼滅者互助組織』。助け合い協力する為にあるのだからな」

    ====================
    【マスターからの解説】
     わからないことがあったら、先輩や他の人に聞いたり、相談してみよう!
     サイキックハーツでは、大事なことです。みんなそうしているので、遠慮しないで他のみんなを頼りましょう!

     それから。実は先輩達から、プレイングの書き方についてのコツもアドバイスが来ています。ここで紹介していきますね。

    「まあプレイングの書き方には色々あるが、最初の内は『自分がどういう風に戦いたいか』を考えて書けばいいんじゃねえかな。かっこいい自分の戦闘スタイルができたら、戦闘がもっと楽しくなると思うぜ。それに慣れたら見切り回避を意識したり、もうちょい戦闘の手引きを意識していくようにすればいいと思うぜ」
    「でも、いざカッコよくって言われても意外とイメージ浮かばないよね! そんな君に超朗報! めっちゃ飛んだり跳ねたりするとスタイリッシュな感じが出てくるっすよ☆」
    「私なら飛び蹴りをするな。そしてパンチラをする。そう、パンチラは私のロマンだ!」
    「自分が使いたいサイキックを、どのように使いたいのかと絡めて書くように心がけるのも良いですよ。あとは『プレイング』と『パフォーマンス』に分けて書きます」
    「戦いとは、目的を達する為の手段にすぎない。その目的を果たすには、どうしたらいいのかを考えるのが大事だ。で、それはプレイングに書く。自分の個性や魅力を表現する内容は、パフォーマンスに書いていくといい」

     今回のシナリオには『プレイング』しかありませんが、普段の冒険シナリオでは『パフォーマンス』も一緒に書けます。
     プレイングは『シナリオを成功させる為に、どのような行動をするか』を書く場所で、パフォーマンスは『シナリオの成功に関係ない、キャラクター性を表現する為の行動』を書く場所です。
     たとえば、敵を蹴って攻撃するサイキックを使うのはプレイングで、その時パンチラするのはパフォーマンスですね。
     今回、皆さんからいただいたプレイングで、パフォーマンスっぽい物というと、他には、
    「カップメンを啜りながら戦います」
    「喋る時、漢字は小学4年生までに習う物しか使わない」
     などがあります。

     実はこのシナリオ、先輩達のプレイングはとても幅広いバリエーションがありました。
    「先輩だから、自分の得意分野である、これについてみんなに教える」
    「後輩が十分に戦えるようにサポートする」
    「後輩と同じお題でプレイングを書いて、実例を見せてあげる」
    「パフォーマンスの例を教えてあげる!」
     こうした、色々なプレイングを思いつけるのが『先輩』が先輩である証ですね。これは、たくさんのプレイングを経験して、会得した技術です。

     当たり前ですが、パフォーマンスを知らない新入生の皆さんのプレイングに、パフォーマンスに相当する内容は、ほとんどありませんでしたし、他の皆に何か教えるような内容なんて全然ありませんでした。
     そんな皆さんに、今回のリプレイを読んで『プレイングには、こんなに色々な事を書くことができて、サイキックハーツはこんなに色々な活躍の仕方ができるゲームなんだな』と、少しでも体験して貰えていたら嬉しいです。

     もちろん、最初からいきなり色々なプレイングをうまく書ける人はいません。先輩達はたくさんシナリオでプレイングを書いて、こうしたプレイングを書けるようになりました。
     その練習をする為に灼滅者講座はあるので、ぜひ次回も挑戦してみてください。
     そして、プレイングが上手く書けるようになったら、あなたも先輩の仲間入りです。その時は、あなたの後にやってくる後輩の皆さんを、ぜひ助けてあげてくださいね。
    ====================

    「さーて、せっかくだから遊んで帰ろうぜ!」
     七瀬・遊(烈火戦刃・d00822)は、何か面白い観光の穴場や、寄ってみるのにいい店が無いか、『ぶらり再発見』を駆使しながら探そうとする。
     佐世保は初めてという月雲・悠一(紅焔・d02499)も乗り気だし、大体の灼滅者は当然のように、たったこれだけ帰るつもりなんて無かった。
    「佐世保バーガー食べたいな、まだ食べてないんだ」
    「わかります……食べたいですね……」
    「誰か! いいお店紹介して!」
     多くの灼滅者が注目していたのは佐世保バーガーだったが、港を歩いてデートしてみたいという者もいれば、お土産を楽しみにしている者もいたし、ちょっと足を延ばして有名レジャーランドで一泊! なんてプランを計画している人達もいる。
    「おっと、肝心な事を忘れていた」
     解散して各自自由行動になりそうな勢いなのを見て、瑠璃垣・恢(残響のフューネラル・d03192)が新入生達の方を見る。
    「さあ、戦いはまだ始まったばかりだ。ようこそ武蔵坂学園へ。……これが俺たち流の歓迎ということで、ひとつよろしく頼むよ」
     恢の言葉に「よろしく!」と「こちらこそ!」の合唱が始まる佐世保駅に、少しずつ、何も知らない人々の姿が戻り始める。
     その光景に平和を取り戻せた事を実感して、靱乃・蜜花(信濃の花・d14129)や舞笠・紅華(花笠剣士ヴェニヴァーナ・d19839)、守咲・神楽(地獄の番犬・d09482)笹茅・ちまき(オールシーズンチマキラー・d28070)崇田・悠里(旧日本海軍系ご当地ヒーロー・d18094)達は、そっと密かに笑い合った。

    作者:七海真砂 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年3月18日
    難度:簡単
    参加:3288人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 15/感動した 4/素敵だった 8/キャラが大事にされていた 60
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