Kissa＋Kukat　～春のぬくもり～

■リプレイ

●炬燵の魔力
　今日のラッキーアイテムは猫。そう『Kissa＋Kukat』――一輪の花を咥えた猫のシルエットの看板を見上げた愛丸は、手を引く春に眉尻を下げながら、互いに初の猫喫茶へ。
　猫よりケーキな親友は、やあやあと仔猫達に挨拶しながら黒猫チョコケーキinおこた。
　膝上の金毛の猫をひと撫でする春。その指先を見つめながら、自分も触れたいという言葉を飲み込めば、
「にゃー」
「わっ」
　借りてきた猫のように大人しい愛丸へと、春は抱き上げた仔と一緒に猫あたっく！
「春くんまで猫になっちゃったの？」
　彼の気遣い。その温もりに自然と笑顔を零す愛丸へ、春も瞼を下ろして穏やかに想う。
　炬燵もにゃんこも、君も。とてもあたたかくて、オレはすき。
　去年の子は居るだろうか。大きくなっただろうか。
　炬燵を探ればふわりと毛玉。気づいて膝へ乗ってきたアメショやマンチカン、ペルシャやトラ猫の子に百合とレインは破顔する。
　ほんわか眺める一夜も「一緒に遊んで？」と玩具を振れば、メインクーンの仔猫がぴくり。一緒にみゃーみゃー、澄んだ声で唄い遊ぶ。
　前と同じケーキと飲み物で今年の成長をまたひとつ結び、撮り方を覚えた百合の携帯で１枚、想い出を刻もう。
　響の猫カフェデートは、去年の三毛猫さんをご指名。手をぎゅっ。なでなで。おこたと日本茶と桜餅で、ぽやんとまったり。
「いやはや、和みますねぇ……」
　流希も幸せ気分に浸りながら、その掌に擦り寄ってきた猫をひとつ撫でる。
　猫舌の夕月だけれど、猫は大好き。
　炬燵に入った彼女の膝には、ノルウェージャンの美人さん。
「良いのかい？　撫でちゃうぞ？」
　澄ましながらも、みゃあと鳴いたのはきっとお許しだろう。もふもふを満喫しつつ、遊び寛ぐ猫達を愛でる。
　ああもう可愛いなぁ。ここが天国か。
　きっと顔なんて緩みっぱなしだけれど、気にしない。
　そっと炬燵布団を捲ると、ふさふさ尻尾のねこだまり。満面の笑みのように見える寝顔の脇、もふもふの毛に隠れていた肉球が陽桜と健を誘う。
「そぉっと、まずはちょん、って」
「起さない様に……な？　この寝顔、皆にも見せたいし」
「お。なら、２人とにゃんこ達で撮ろーか？」
　ひょこっと顔を出し、にまり愛機を掲げる叶。数枚ぱしゃりと撮った所で、小気味良くなるお腹の音。
「健ちゃんは猫よりおかし？」
　照れ笑いをする健に、つられてくすくす。ケーキセット食べて、猫用おやつあげて、なんて思いながらも、
「このにゃんこさん、去年ひおと遊んだ子かも？」
「じゃあ、そっち挨拶が先だな！」
　ふわもふ真っ白チンチラを抱っこする陽桜へと、笑顔を向けた。
　愛想の悪いデブ猫さんに占拠された炬燵を前に途方に暮れていた真理も、叶から『玩具を動かすコツ』を教わって――
「そう！　本当に生きてるみたいに動かしてやれば……」
「なーん！」
「やっと動いたー！　すごいね叶くん、ありがとう！」
　褒め言葉にははにかみながらも、カメラを構えれば気持ちもきりっと。
「撮るぞー、真理」
「うん。可愛く撮ってね」
「元がいーからな。心配ねーよ？」
　ずっしり重さも愛らしく。ぎゅっと抱きしめて――猫さん、はいチーズ！
　おこたと漸く見つけた遊び相手のぬくもりにほんにゃり笑顔のアスル。草灯も撫でようとするものの、届かぬ手にしょんぼりする様にどうぞと背を屈めれば、丁度視線の合った灰色猫に草灯は瞳を窄める。
　白い靴下の黒猫。親しかったあの子に姿重ねて撫でた仔猫は、気持ち良さそうに瞳を閉じた。
「暖かいね」
　呟く声は、アスルの紅茶の琥珀にそっと溶けてゆく。
　炬燵の上の、ミケに似た丸々猫。
　視線を上げれば、妹と３人遊んでいた頃と変わらぬ司の姿。彼女が願えども戻らぬあの頃に、忍は静かな、深い笑みを返す。
　可愛いとはしゃぎながら「しかも男の子ですよ！」と何かを見せる司を窘めつつ、ふわり。娘はやわらにその髪を撫でた。
　ちらり捲った炬燵の中。ジト目で睨まれそっと布団を閉じた周は、キジトラの若猫とボール遊び。
　軽くひょい。山形にぽーん。マッサージ兼ねたブラッシングも終えれば、見かけた娘に声を掛ける。
「エマ、誕生日おめでとう！」
「わー。周さん、ありがとうございますー」
　いつものふんわりに更に拍車が掛かった様子に、ぼそり。
「……カナの方が炬燵好きそうだと思ってたけど……」
「好きだけどおれ、こんな自堕落にはなんねーよ……」
　紅緋からのお祝いは、色々な種類のフレバードティーの詰め合わせ。
「あ、この子おこたに入りたがってるかな？」
　布団を上げて仔猫を中へと案内する紅緋に綻んで、エマは彼女の和歌山のお館話へと耳を傾ける。
　去年の事を零す都璃の視線に、謝りながらも苦笑の混じるエマと叶。
　飲み物にお茶菓子。炬燵でのんびりとしながら、ぶらり寄ってくる猫のふわふわ毛並みを楽しんで。
「こら、服を引っ掻かないでくれ」
「ふふ。慕われてるね、都璃ちゃん」
　足の上に丸まった猫が鎮座している中、恵理は至福の溜息。
「……ねえ、エマ」
「何ですかー恵理さんー」
　肩に登った黒猫を気にもせず、告げたのは叶も交えたセッションへの誘い。彼なら素直な音を出すだろう。それを父親に届けてあげるのも面白い、と。
　半分は本当。もう半分は、理想の音を出せぬ気持ちが判ると言った彼女が、乗ってくるかどうか。
　喜んでくれるのなら、一緒に奏でてみたいけれど。そう思う恵理の気持ちを汲みつつも、娘はちいさく、淡く微笑む。
「ふふ、恵理さんってばー。……私の指、何かが弾けるように見えますかー？」
　そう、桜色のネイルが艶めく、ほんの少し伸ばした指先がひらりと揺れた。
　――コタツには魔力がある。
　そんな言葉を思い出しながら、るりかは珈琲、紅茶、ケーキを満喫しつつ、仔猫達とまったり遊ぶ。
「はー、お腹いっぱい」
　うとうとするままに閉じた瞼の裏、浮かび上がるのは去年のマンチカンの姿。
　覚えてると嬉しいんだけどね。
　子猫はどうしたかなあ。
　またきっと来年も遊ぼうね。
　そう願いながら寝入ったるりかの頬を、子供を連れた１匹のマンチカンがそっと舐めた。
　春色のプリンセストルタを銀猫のフォークでぱくり。きらきら笑顔のイコに、慣れぬ横文字への敗者感を纏った十織も、珈琲を飲みながらつられて微笑む。オカワリするならその笑顔の方を。
　仔猫まみれで石像のように固まる青年に笑みを零していれば、傍らには昨年のあの仔。白雪の毛に森色の眸のペルシャを膝に乗せる姿に十織も瞳を細め、１人と１匹を膝の上へとご招待。
　最強催眠装置OKOTAに、ねこたんぽと膝枕。重なるぬくもりに瞼もとろり。するりと落ちた裾掴む指を捕まえた青年は、穏やかな声で囁く。
「その猫、どことなくお前に似とるな」
　大人っぽさでは猫が少し上のようだが。心中で思いながら、うとうと。――こりゃ確かに最強だな。敵う気がせん。

●ぬくもりと、あなたと
　初めての猫カフェで、ツェザリとアンジュはおこたで寄り添う。
「わああ……ちっちゃい、可愛い、可愛い……！」
　仔猫達と遊ぶツェザリの傍ら、ミルクティーのカップを置いたアンジュが膝に視線を落とす。
「あなたも、炬燵が好きなの？」
　優しく撫でた青い眸の黒猫へと眦を緩めれば、ふわり頭に触れるぬくもり。
「……ツァーリ？」
「……あれ？　わ、アンジュ。猫かと　思った！」
　へへ、とはにかみながら黒猫を見て、
「……にゃんこ、可愛い。でも　アンジュ　一番、可愛い」
　続く言葉に、じわり赤らむ頬。思わず抱きしめた黒猫と、もう一度触れてくれる彼の掌のぬくもりに、口許が綻ぶ。
　可愛い猫達と、２人一緒の時間。楽しくて、嬉しくて、あたたかくて――なんて、幸せ。
　足許に集まってきた仔猫達を愛でた後。ぎゅーってしても、どーんと受け止めてくれる貫禄ある長毛猫を膝に乗せ、百花はエアンと炬燵でぬくぬく。
「……ああ、和む」
　炬燵と猫と彼女のいる空間に和みながら、膝の上で丸まって寝ているミルクティ色の猫の柔らかな背を撫でる。そっと語りかけるたび、ぱたりと揺れる尻尾がまた愛らしい。
「……ふむ。なかなかの美人さんね」
「まあ、確かに。ももが抱えている猫は……重そうだね」
「猫さんは、もっふりが命です！」
　くすくすと笑うエアンに、もふもふをアピールするけれど。でも、やっぱり。
「美人猫さんの後は……ももも撫でてねっ」
　そうねだる様子が可愛らしくて。
　エアンはひとつ微笑むと、百花の柔らかな髪をふわり撫でた。
「イオさん見てください！　可愛いですよっ！」
「写真撮ってやろっか？」
　よじよじダイブしてきた仔猫達は、すっかり我が物顔で膝の上。猫抱くリオンを携帯で撮りつつ、炬燵で肉球ぷにぷに満喫、自家製ケーキに舌鼓。
　幸せの時間に２人、笑顔を交す。
　猫の群れをモーゼ割りしつつ炬燵に入るも、中には既に去年のマンチカン。
　気を取り直し座ったものの、今度はその子が膝の上へ。ぴきっと固まる悟の手を取り、想希は一緒に柔らかな背を撫でる。
　この子も自分達も成長した１年間。少なくとも俺は、去年よりもっと強く君との未来を信じられる。そういう自分達を、この子も見ているのかもしれない。
　そんな子へ改めて２人は自己紹介。パンフレットにあった名は、波を意味する『aalto』（アールト）。次来る時は、君のパートナーや子供に逢えたらいいな。
「俺たちも負けませんから。ね？　悟」
「へ？　俺らも子作りするんか？」
「……違っ」
　思わず噴き出した想希。その鼻を、悪戯っぽく笑んだ悟はきゅっと摘んだ。
　炬燵でもっふり丸まる子は、去年見かけた夜深に似た子。ちらり目配せし、芥汰と夜深も炬燵で肩を寄せ合う。
「元気だったか？　お子サンいたりしない？」
「だタら……旦那様モ、居ル、筈……！！」
　そう夜深と２人で探した先に、どこか芥汰に似た猫と立派なふわもふの仔猫達。
「あくたん、あくたん。今年モ、御写真。撮ル？」
「ん。にゃんこ達の家族写真に紛れ込ませてもらおっか」
　来年も共に訪れる約束と、またこの子達に逢えるように願って――ぱしゃり。
　捲った炬燵布団の奥で転た寝する猫にほわりと笑み、小太郎と希沙はそっと炬燵天国に加わった。
「こたろJr.かわええにゃー」
「……何か、自分が可愛がられてるみたいです……あ、こら。指齧ったらだーめ」
　緑がかった眠たげな瞳のシャム猫の愛で様に、小太郎が照れながら零す。食い意地は、親近感かも。
　すり、と寄ってきたソマリは希沙と似た毛色の仔。こたろJr.を構おうと前脚伸ばす様に、思わず「らぶらぶ、やね」と口にすれば、何だか妙に気恥ずかしい。
「ね、また来年も、逢いに来よね」
「はい。来年も、きっと一緒に」
　１年後の２匹と、２人。もっと成長して、もっと仲良くなっているだろうか。そうであればいい。ずっと、似ていたい。そう想い重ねながら。
　猫を飼ってみたい。そう話していた矢先の誘いには、デートがてらに。
「どれがどういう種類かわかんねぇ……なあ、クロはわかるか？」
「よく……分からない」
「ぶはっ、２人してわからねぇのかよ」
　そんな所も揃いの２人。
「ほら、一緒に撫でよう？」
　紅茶をお伴に、猫と遊びながらそう誘うクロトをぱしゃり。ベストショットをばっちり収めたら、おう、と頷きキリエも撫でながら思う。
　こんな風に、のんびりとした時間もいいよな。
　猫に慣れない猫好きの蓮二にも寄り添う猫のいる場所で、逃げられそうで動けぬ彼の口許へと、鵺白がパウンドケーキを差し出した。
「美味しいでしょ？」
「美味しいに決まってるじゃないか」
　照れ隠しの返事には柔らに微笑して。膝上の白猫と瓜二つの愛猫の写真を鵺白が見せれば、いつの間にか傍らにいた猫が膝上に。
　娘が茶トラの大きな猫をひとつ撫でる様に倣って蓮二もそっと触れてみる。
　さらさらとした柔らかな毛並み。――感無量。
「ふふっ、にゃーにゃー」
　グランの持つ猫じゃらしと戯れる仔猫の愛らしさに気が緩み、つい零れた猫語。
「……グラン、今の聞きましたか？」
「さあ、どうでしょう？」
　微笑みながら頭を撫でるグランに、頬染めながら俯く九十九。
　帰りに彼女に聞いてみようか。今日は楽しかったですか、と。
　黒い靴下猫と今年も猫じゃらしで遊ぶ様に、孤影と雛は見合って微笑む。
　まだ終わらぬ、闇と死に抗う日々。だからこそ心の支えであり続けたい。未来の先までも。
　撫でる柔らかな手触りも、温かい紅茶も一抹の癒しだけれど。
　一番の癒しであるあなたと共に、このひとときの幸福を、これからも重ねてゆけるように。
「……莉奈はどっちかって言うと、犬だよね」
　そう言って、大きなノルウェージャンを膝に乗せた恢。
　自由で、関心がないようで時折甘えてくる猫の気紛れさが好きだと言う彼もまた、猫のよう。そんな掴み所のない所に惹かれる莉奈は、猫の事だと心中で添える。
　彼に似たロシアンブルーの仔と遊ぶ莉奈。その様子に瞳を細め、癒される時間を感じながら、恢は猫の顎下をうりうりと撫でていれば、今度は自分へと振られた釣り竿に、
「にゃー」
　そう淡々と鳴いて、ぽん、と莉奈の頭に手を乗せれば、
「にゃーっ」
　思わず、莉奈も漏れる猫の声。
　てしてし、てしてし、猫のように撫でてくれる掌は心地良くて。少女はふわり、綻んだ。

●ひだまりの花
　犬ばかり飼っている灯倭と、ペット禁止のマンション住まいの律花にとって、ここはまさに楽園だ。
　茶毛のマンチカンを撫でながら追ってしまうのは、傍らで短毛の黒猫と遊ぶ律花の猫じゃらし。
「元気で可愛くて灯倭ちゃんみたい」
「ん、私に似てるかな？」
　ね、と首を傾げる灯倭に、黒猫は嬉しそうに瞳を細めてみゃあと一声。
「こんなに可愛い子と似てるって言われると、嬉しい」
「黒って髪も毛も艶やかに見えて、とっても綺麗で羨ましいわ」
「律花ちゃんの髪もとっても暖かい色で、私は好きだよ」
　普段触れられないからこそ、特別なひととき。幸せ倍増だね、と分け合ったケーキと笑顔は、まるでデートのよう。また彼氏くんに彼女を借りて、遊びに来てみようか。
「ごめんなさい樹さん、私が間違ってました……っ！」
　懐かない家猫と比べて、懐く猫のなんて可愛い事か。来る？　と樹が膝をぽんぽんと叩けば、ちたちたと寄ってくるアビシニアンの仔猫達。
　膝に乗せて幸せ笑顔の彩歌に、背中を撫でたり遊んだりの樹。猫話には益々花が咲きそうだ。
「あ！　君はもしかして――」
　そっと伸ばした心日の掌に、眼を細めて擦り寄るマンチカン。ふかふかな友達は大きくなっていたけれど、玩具で遊ぶ元気な様子は相変わらずで、何だか嬉しくて、ぎゅっとしてもふもふ堪能。
「叶さんも良かったら一緒に遊ぼう！」
「お！　いーのか！？」
　うきうきと玩具を手にした叶と２人。絶えぬ笑顔が、春に溶けてゆく。
「七星みたいな子に会えるかも、だわ？」
「めっちゃかっこいい子ってことか？」
　そんな会話を交した数分後。
「儚……やべぇ。ふわふわの天使たちがいっぱいいるな……」
　仔猫を腕一杯に抱いて悶える青年１人。その実、彼が今一番天使だろうと儚もほわり笑う。
　炬燵で猫達とはしゃいでいれば、誰かに似た真白の仔。ひとつ撫で、音鳴るボールをぽんっ。
「ほら、儚っ」
　何とか受け止めたそれを追って、とてとてと駆けてきた仔。一緒にボールで遊びながら、その愛らしさに愛おしさ溢れ、ふわりと笑顔が咲く。
　一緒に遊ぼうよ。
　誘うように鳴いた１人と１匹。天使と天使の組み合わせに、七星もはにかみ綻ぶ。
　なんて幸せなひととき。――共に紡ぐ、陽だまり時間。
「どうやら多智花様に気づかれてしまったようです。私もまだまだですね」
　そう語るのは叶の誕生日の話。「私もバレちゃいましたから」と苦笑するエマに、ティーカップを置いたステラはひとつ微笑む。
「さて、次はどんな魔法をかけましょう」
「ふふ、そうですね。じゃあ、こういうのはどうですか？」
　まるでそれは、新しい悪戯の相談。声を弾ませるステラは、その魔法をかけられるであろう無邪気な少年へ、微笑みと視線を向けた。
　元気一杯の仔猫に釣り竿勝負を挑むも、仔猫は素早くぱしっとキャッチ！
「よーし、穂純の敵（？）取ってやるぜ」
「叶君も猫さんも両方を応援しちゃう！」
「両方！？」
　苦笑しながらも、向き合えば真剣そのもの。速攻惨敗の結果には、２人でもひとつ笑い合う。
「春からお互いに中学生だね」
「そーだな。大変な事も多いだろーけど、それ以上にわくわくしてる」
　どんな日々だろう。楽しい事が一杯だといいな。同じ気持ちを抱えて２人、笑顔で交す。
　――中学校でも、どうぞよろしくね！
　白猫、茶虎、子供の靴下茶虎と白茶のハチワレ。変わらず元気な姿に笑む澪につられて、緋織もほわり。
　あったかおこたに、みんなで集って。大きくなった姿に、増えた家族。のんびり過ごせているなら、嬉しい。
「……元々、澪さん日溜まりが似合ってたものね」
　膝に招いた猫を撫でていた緋織の言葉に、澪は静かに瞠目する。
「……わたし、陽だまり…似合う？」
　馴染みのない言葉。眩しくて、でも温もりは好き。それに似合う私に変われたのなら、変えてくれたのはあなただから。
　……ありがと。

　みゃあ。
　帰り際、見送りに来た仔猫の可愛い挨拶は、このひだまりを訪れてくれた皆に向けて。
　――また、次の春に。

作者：西宮チヒロ	重傷：なし 死亡：なし 闇堕ち：なし
種類： 公開：2015年3月22日 難度：簡単 参加：55人 結果：成功！
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