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札幌市地下鉄東西線沿線沿い、豊平川の真上に掛けられた、一条大橋という橋がある。
ある日の朝、この一条大橋に、1人の女が腰かけていた。
「ふん、武蔵坂の灼滅者か。前に奴らと戦ったのは約半年前だが……随分と奴らも名を上げたものだ。何故奴らは闇落ちしないのか、それだけが不思議だが」
短い銀髪に軍帽を被り、全身に迷彩服を身に纏ったその女の碧き瞳は、常人なら見ただけですくみあがる程に鋭い。
「しかし……これのどこが斬新な闇堕ちゲームだ。斬新なのは顔面だけにしろ」
そうぼやきながら女は血塗れのナイフを弄びながら立ち上がり、路上に転がっていた何かをグシャリと踏み潰す。
一条大橋の上には、複数の人間の死体が酷い有様で転がっていた。
更に破壊され、血に塗れた車両も放置されたこの橋の上は、まさに地獄絵図となっていた。
この女の名は、ネル。六六六人衆序列五三〇位である。
「だがまあ、この五か月間は下位の連中の撃退に追われていたからな…………奴らを闇堕ちさせ、上位の序列を頂くとしよう」
ネルは不意に、両手に持ったショットガンとアサルトライフルで、動かぬ死体の山に風穴を空ける。
「さあどうした灼滅者、ダークネスの成り損ない共! さっさと姿を現せ! 貴様らの力がどれ程のものになったか、私に見せてみろ!!」
地面に広がるどす黒い血だまりの中で、ネルは吼えた。
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「千布里・采(夜藍空・d00110))さんが、姿をくらましていた斬新・京一郎の足取りを掴みました。自称斬新の社長を見つけた訳ではありませんが、彼の手引きと思われる事件が発生しています」
神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)は赤いファイルを開き、事件の説明を始める。
「六六六人衆序列五三〇位、ネル。自らを『軍曹』と称する彼女は、以前皆さんと交戦した事もあります。ネルは札幌の一条大橋の上で、通りかかった一般人達を見境なく殺害した後、皆さんが現れるのを待ち続けています。殺人現場で待ち受けるネルを灼滅し、被害者の方々の仇を取ってください」
ウィラは現場である一条大橋付近の地図を灼滅者達に配った。
「皆さんが一条大橋に訪れると、そこは酷い有様となっています。散らばる死体に、破壊されたたくさんの車両。広がる血だまり。その中心に、ネルはいます。一般人達を助けることは、出来ません。今回の作戦の目的はネルの灼滅となります」
そう語るウィラの語り口は坦々としている様にも聞こえたが、その声には僅かな怒気がこもっていた。
「ネルはナイフ、アサルトライフル、ショットガンを駆使して戦闘を行います。攻防バランスが取れた能力で、皆さんと戦うことになるでしょう」
そこまでの説明を終え、ウィラはファイルをパタンと閉じた。
「説明は以上です、が……どうやら今回の事件では、なんらかの方法で敵の力が弱められているようです。誰が何をしてそんな事になっているかは分かりませんが、敵を灼滅出来る機会である事は確かです。これ以上の殺戮を止める為にも、ここでネルを灼滅して下さい。お気をつけて」
参加者 | |
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槌屋・透流(トールハンマー・d06177) |
桐城・詠子(逆位置の正義・d08312) |
西院鬼・織久(西院鬼一門・d08504) |
水無瀬・旭(瞳に宿した決意・d12324) |
十・七(コールドハート・d22973) |
ユリアーネ・ツァールマン(ゲシュペンストの騎行・d23999) |
十文字・瑞樹(ブローディアの花言葉のように・d25221) |
赤石・なつき(そして心をひとつまみ・d29406) |
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そこは、まさに地獄だった。
散らばる死体、焼けた死体。穴だらけの死体。
むせ返るような臭気と大量の死体が散らばる橋に、8人の灼滅者達が訪れる。
「……チッ、やりやがったな」
橋の上の惨状に桐城・詠子(逆位置の正義・d08312)が顔をしかめ、待ち受けていた自称軍人を睨み付けた。
「あぁ……来たか。遅かったな、灼滅者。おかげで今日は十分すぎる程殺せたが」
近づいてくる灼滅者達に、ネルは獰猛な笑みを浮かべる。
「灼滅者を呼ぶためだけに、ここまでやるのですね……」
「この人達1人1人に、帰る場所があったんだ……待っている人たちがいたんだよ……!」
橋の上で大量の人々が殺され、赤石・なつき(そして心をひとつまみ・d29406)は深い悲しみを。水無瀬・旭(瞳に宿した決意・d12324)は強い怒りを覚えていた。
「気にするな。こいつらは貴様らよりも価値が無いただの産廃物だ」
ネルはそう言って足元の遺体をグシャリと踏み潰す。
「無為にその命を奪うだけでなく、死者をも愚弄するのか……必ず、仇は取る」
十文字・瑞樹(ブローディアの花言葉のように・d25221)は怒りを込めた視線でネルを睨み付け、刀を抜く。
「余分な物は排除済みか済み、力も弱まっているか……ク、ヒヒ……我等が狩りやすいようにお膳立てしてくれたか」
一方の西院鬼・織久(西院鬼一門・d08504)は今回の依頼を、単純に六六六人衆を灼滅する好機だと捉えていた様だが、恐らくネルへの殺意は誰よりも強いだろう。
「……ダラダラ喋っていてもしょうがないわ。さっさと始めましょう」
スレイヤーカードを解放した十・七(コールドハート・d22973)が殲術道具を構え、戦闘態勢に入る。
「そうだな……名を上げたとはいえ所詮灼滅者。大人しく闇堕ちする事だな」
ネルはナイフとショットガンを構え、灼滅者達に向ける。
「軍曹だか何だか知らんが……今日狩られるのは私たちではない、お前だ」
「アンタが何人殺したか、何が目的かは知らないけど、後先考えずに殺りすぎたようだね…………キレた私らは、結構怖いよ?」
槌屋・透流(トールハンマー・d06177)と ユリアーネ・ツァールマン(ゲシュペンストの騎行・d23999)はそうネルに告げる。
「その生意気な口がどれだけ持つのか楽しみだな……さあ、殺し合うぞ」
血に塗れた橋の上、六六六人衆ネルと灼滅者達の戦いが始まった。
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「ワイルドハントの狩りを邪魔しちゃならぬ、冥府に連れて行かれるぞ……と。狩人はどっちだろうね、軍曹?」
百物語を発動させたユリアーネがスレイヤーカードを解放すると、その衣装が『死霊使い』の都市伝説に相応しきものに変貌する。
「もちろん私だ」
ネルはショットガンの引き金を引き、前衛に向けて弾丸をばら撒いた。
「こんな眠たい弾丸に誰が当たってやるかってんだ!!」
放たれた弾丸の1つ1つを全て剣で斬りおとして攻撃を防ぎ、ライドキャリバーの『ヴァンキッシュ』と共に仲間を庇った詠子。
「さて……おいで、皆」
ユリアーネが呟くと同時に足元の影が蠢き、笛を持った少女と数多くの亡者たちの影が姿を現す。
どこからか笛の音が聞こえる。
その笛の音に合わせ、亡者たちの腕がネルを引きずり込もうと一斉に伸びた。
「クソ……離れろ!!」
折れるほどの力で全身を締め上げられ、ネルの動きが僅かに鈍る。
「アンタは殺した人たちなんていちいち覚えてないかもしれないけどさ……!」
そしてユリアーネが怪談を語ると、ネルの脳内に死霊たちの怨嗟の声が直接響き渡る。
「グ……! なんだこれは……!!」
「さあ? バチでも当たったんじゃない?」
気味悪げに頭を抑えるネルの一瞬の隙を付いた七が、ネルの後頭部に全力で標識を叩き込む。
「ク、ヒヒ……随分と鈍い動きだ」
そして揺らめいたネルの顎先に、織久は黒炎を纏わせた拳を叩きつけた。
「グ……!」
身体を吹き飛ばされたネルは、ナイフから忌まわしい呪いの風を放つ。
しかし織久はその風の中を突っ切り、その呪いよりも膨大な怨念が宿りし大鎌、闇器【闇焔】を振りかぶる。
「ヒ、ヒハハ……! 怨敵には死あるのみ!」
血色の炎が宿りし刃がネルの胸を貫き、赤黒く染まる。
「私なんかよりもよっぽどイカレてるな……!」
ネルはその至近距離から織久の胸にナイフを突き立てるが、織久は全く怯まない。
「死ね、死ね……!! 怨敵を殺せるのならば、この身がどうなろうと知った事か!!」
更に織久は西院鬼伝承武器、闇器【百貌】の刃をネルの肩に突き立て、そして抉り取った。
「まだまだ、俺たちの攻撃がこの程度で終わると思うなよ!!」
織久の攻撃の直後、側面から強襲した旭が剣を振りおろすと、抉れたネルの腕を斬りおとした。
「グッ……確かに貴様らはそれなりに強くなった様だ」
ネルは驚愕に目を見開きながら腕を拾い取り自己回復と共に無理やりくっつけた。
「お前は逆に弱くなったんじゃないか?」
透流はダイダロスベルトを展開し、ネルの身体へ狙いへ定める。
「ぶち抜いてやる、覚悟しろ」
そして放たれたダイダロスベルトがネルの胸を一瞬にして貫いた。
「調子に乗るな!」
ネルはアサルトライフルの銃口を透流に向け、引き金を引く。
「やらせはしないぞ!」
一瞬して透流の前に飛び出した瑞樹が、放たれた弾丸をその身に受けて攻撃から庇う。
「助かった…………更にぶち抜く」
透流はネルの攻撃が終わると、腕に装着した縛霊手をネルの腹に叩きつけ、そこから放った霊力の網でネルの身体を縛る。
「何故貴様らは人を殺した程度でそこまで憤慨するのか……さっぱり分からないな」
「理解する必要もない。お前はここで必ず壊すからな」
透流は静かな怒りと共に足元の影を伸ばし、ネルの全身を飲みこんだ。
「今の内に回復を……」
なつきは己の内に降ろしたカミの力から癒しの風を生み出し、前衛を包み込んだ。
「鬱陶しい真似を……」
影から抜け出したネルはナイフを掲げ、これまでネルが殺した犠牲者たちの呪いの風を放つ。
「これは……たった1つの存在に、ここまでの事が出来てしまうのですね……」
風の中に含まれた膨大な呪いに、なつきは嫌でも犠牲者の多さとその凄惨な殺され方を想像してしまう。
そしてそんな事が出来る存在が自分の中にいるということにも、僅かな恐怖を感じた。
「だけどそれでも、皆を助ける為なら……」
闇堕ちも辞さないその覚悟と共に、なつきは生み出した風の刃を放つ。
「グ、ア……!!」
その風の刃に急所を鋭く切り裂かれ、ネルは血に塗れながら地面を転がる。
「クソ、まさかここまでやるとは…………だが私は死なない、絶対に皆殺しにしてやるぞ!!」
血に塗れた銀髪を振り乱して吼えるネルの姿は、まるで追い詰められた獣の様な姿だった。
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「死ね死ね!! 死んでしまえ!!」
ネルはショットガンとアサルトライフルをそれぞれの手に持つという滅茶苦茶な構えで、灼滅者達に弾丸をばら撒いていく。
「さっきまでの余裕はどこへいったのかしらね、軍曹さん?」
七はその銃撃の隙にネルの懐まで潜り込み、炎の蹴りを叩きこむ。
「黙れ……ダークネスの成り損ない如きが……」
ネルは憎悪の表情で七にナイフを振り下ろす。
「成り損ないね……弱者なのは認めるけど、貴方にそれを言われてもね……上を見れば限りない、それは貴女も同じでしょう?」
七はダイダロスベルトを複数本展開しながら更に蹴りを放ち、斬撃を相殺する。
「所詮は五十歩百歩なのよ、五三〇位『如き』が」
「なんだとこの……グアッ!!」
そして一斉に放たれたダイダロスベルトが次々とネルの身体に突き刺さった。
「……さて、そろそろ敵の限界も近づいてきたかしらね」
パンパンと手を払った七が、静かに呟いた。
「殺してやるぞ灼滅者……私が成り損ないに負けるはずが……ッ!!」
「ハハハハハ! 今回は逃がさぬ! 絶対に逃がさぬぞ!!」
ネルの言葉を遮り、織久は黒き大鎌でネルの首元を鋭く切り裂いた。
「成り損ないか……こんな事が平気で出来る者になるくらいなら、私は一生『成り損ない』で構わん……」
瑞樹は呟き、共に幾多の戦いを繰り広げてきた守護刀、『陽炎』を静かに構えた。
「そんな中途半端な力で、どうして満足できる…………分からない」
「……以前、未熟者が軍人を真似るなと言っていたそうだが……この戦いを見るに、それは貴様自身にも当てはまるのではないか?」
瑞樹はそう語ると、ネルに向けて駆け出した。
「私に逆らうな!!」
ネルは吼えながら燃え盛る散弾を瑞樹に撃ち放つが、その弾丸を真正面から受け止めて瑞樹は刀を振り上げる。
「ここが貴様の死に場所だ。最後位は潔く散っていけ」
一閃。
瑞樹が放った重く素早い斬撃は、ネルの身体を一瞬にして斬る。
「糞がぁ!!」
ネルは血走った眼で瑞樹に飛び掛かるが、次の瞬間、横から飛び出した透流が縛霊手でネルの横っ面を殴り飛ばして引き離した。
「もう一度、キツイの喰らわせてやれ」
「ああ、助かった」
瑞樹は頷くと炎を纏わせた刀をネルに身体に突き刺し、その全身を灼熱の炎で包み込んだ。
「なんだこれは……以前のこいつらはここまでの力は持っていなかった筈……!」
確かに以前と比べ灼滅者達の技量が上がったのも、ネルの力が弱体化されているのも確かだっただろうが、最も重要なのはそこではない。
この場に訪れていた8人の灼滅者達のの尋常ならざる覚悟が、ネルの殺意を完全に上回っているのだ。
「だから言ったでしょ。キレた私らは怖いって」
ユリアーネは手刀を鋭く突き出し、ネルの心臓を一瞬にして切断した。
「ゲホ……!! 私はまだ殺す……殺して殺して殺し続ける!!」
ネルの手により再び銃声が戦場に響いたが、灼滅者達はその程度では怯まない。
「お前が欲望の赴くままに悲しみを振りまく外道なら、遠慮しなくて済む……!」
多くの人間を意味なく殺害してきたネル。そのネルを灼滅するためならば自身が『悪』になるのも構わない。
旭はそれほどまでの覚悟を胸の内に秘めていた。
「行くぞ、六六六人衆……お前の手で、二度と人の命は奪わせない!」
旭は剣を構え、物凄い勢いでネルに向けて突撃する。
そしてネルの身体の中心に刃を突き刺すと、ネルの身体をそのまま引き倒す。
「ガ、フ…………そこを退け!」
ネルは旭の身体にありったけの弾丸を撃ちこむが、旭は退かない。
「お前を灼滅するまで、俺は絶対に退かない……そうでなければ、命を奪われた人たちに申し訳が立たない!」
旭は撃ちぬかれた身体を気にも止めず、至近距離からネルの顔面に暴風を叩きこむ。
橋の上で激しい風が吹き荒れ、ネルの全身は風の刃によってズタズタに切り裂かれた。
そしてその直後、なつきが旭に向けて癒しの矢を放ち、銃弾によって受けた傷を塞いでいく。
「敵の体力は後僅かです……最後まで頑張りましょう!」
なつきの言葉通り、ネルはまさに満身創痍だった。
全身に受けた傷を治しきれず、その全身が血に塗れていた。
「軍人である私が……こんな所で死ねるか!!」
ネルが放った弾丸が前衛に突き刺さるが、誰も倒れる事は無い。
「フン、やっぱり随分と身体が鈍ってるみてェだな……だがこっちは容赦なんかしねえぞ!!」
詠子は弾丸を受け止めると、自身の闘気と影を纏わせた凶悪な両拳をネルの鳩尾に連続で叩き込む。
「オラオラどうしたァ! 止まって見えるぞ軍曹ッ!!」
最後の一撃を顔面に叩きこみ、ネルの身体は地面に倒れた。
「ウ……ウソだ……こんなヘンピな場所で、こんなガキ共に殺される筈なんて……そ、そんな事が、ある訳……」
フラフラと立ち上がりながら、銃口を灼滅者達に向けるネル。
「そんな事が……そんな事が…………ある筈が無ぇんだよぉぉ!!!!」
微かに残った気力で叫びながら、ネルは引き金を引く。
「あったんだよ腐れ軍曹!! 誇りの無ェ軍人なんざ犬にも劣る……死んでその罪少しでも償えや!!」
詠子がそう叫ぶと同時に、ネルが放った弾丸をくぐり抜け、灼滅者達が一斉に攻撃を仕掛けた。
七が振り下ろした標識がネルの動きを止め、
瑞樹が振り払った刃がネルの身体を一閃する。
なつきが放ったダイダロスベルトがネルの足を抉り、
旭が剣でネルの心臓を抉る。
透流が放った影がネルの肉体と精神を蝕み、
織久が突き出した赤黒い槍がネルの左眼を貫いた。
ユリアーネの亡者の影がネルの身体を冥府へ引きずり込もうと全身を掴み上げ、
詠子は片腕をネルに向け、己の影から漆黒の弾丸を作り上げる。
「終わりだ」
そして放たれた一発の弾丸は正確にネルの額を撃ちぬき、ネルの身体は糸が切れたようにバタリと倒れた。
「ウソだ……ウソだ、こんな事……あり得ない、あり得ない…………」
うわごとの様に言葉を続けるネルの顔を、詠子は見下ろす。
「行き過ぎた自信とプライドは身を滅ぼす。来世まで覚えておくんだな」
その言葉に応えることなく、ネルの身体は跡形もなく消滅した。
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「終わった、か……これが少しでも犠牲者への手向けになればいいんだがな……」
「やれるだけの事はやったさ」
瑞樹と透流はそう言って、殲術道具を封印した。
「遺体は……これまでの報告通り、やっぱり消えてるみたいだね。不思議な事に」
「普通ではないですよね……何か強大な力が働いているとしか思えません」
元の姿へ戻ったユリアーネと、なつきが、遺体が全て消え去った橋の上を眺める。
「走馬灯使いでも使ってあげようかと思ったけど……消えちゃったならどうしようもないわね」
「遺体すらも残らないか……悔しいな」
七が呟き、旭は静かに犠牲者たちの事を思い手を合わせていた。
「敵の弱体化、遺体の消失……不思議な事ばかりですね」
「確かに……それに札幌ではこの不可解な闇堕ちゲームだけでなく、地下鉄のダンジョン化も起きています。何かあるんでしょうか……」
戦闘時とは全く人が違う織久と詠子が、そんな事を話していた。
不可解な謎はあるものの、凄惨な殺戮を繰り広げた六六六人衆ネルは灼滅され、誰も闇堕ちすることは無かった。完璧な勝利と言えるだろう。
その戦果を手にし、灼滅者達は無事に全員で学園へ帰還するのだった。
作者:のらむ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年4月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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