風紀委員、辻村・凛華の斬新闇堕ちボランティア

    作者:のらむ


     札幌市地下鉄東豊線、環状通東駅。
     この駅のすぐ近くに、環状通と屯田通がぶつかるとある交差点がある。
    「斬新な闇堕ちゲーム…………どの辺が斬新なのかはちょっとよく分からなかったけれど、やっぱりこれは素晴らしいボランティアよね! 前回成功した時にはちょっぴり序列も上がったし!」
     そしてこの交差点の中心に、六六六人衆、辻村・凛華(つじむら・りか)が佇んでいた。
     赤混じりの長いポニーテールをなびかせ、セーラー服を着用した自称風紀委員。
     しかしその可憐な見た目とは不釣り合いな血塗れの曲刀型のウロボロスブレイドを、凛華は構えている。
    「闇堕ち出来ずに中途半端な力を持て余し、強大なダークネスと戦っている非力で可哀そうな灼滅者……随分株は上げたけど、それでも弱い事には変わりない。そんな彼らを闇堕ちさせてあげるのは、やっぱりこの風紀委員、辻村・凛華の役目よね!」
     ハツラツとそう語る凛華の周囲には、死が溢れていた。
     ウロボロスブレイドによってバラバラに切り刻まれた死体。
     凛華の鋭い蹴りによって顔面を砕かれた死体。
     爆発する程破壊された車の中で燃え尽きていく死体。
     普段皆が平和に利用していたこの交差点は、凛華の手によって殺戮の舞台となっていた。
    「さてさて、灼滅者達はまだ来ないのかしら? でもこの辺の人達は全員殺しちゃったし……」
     クルクルとウロボロスブレイドを弄びながら、凛華は周囲を見渡す。
    「さあ、いつでも来なさい灼滅者!! 今回も私が、あなた達をちゃんと闇堕ちさせてあげるわ!!」


    「札幌地下鉄沿線で、斬新京一郎の手引きと思われる闇堕ちゲームが行われている事は、皆さん知っているでしょうか。六六六人衆は周囲の一般人達を虐殺した上で、皆さんの事を待っています。斬新社長が何を企んでいるのかはわかりませんが、この六六六人衆を灼滅して下さい」
     神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)は赤いファイルを開くと、事件の説明を始める。
    「今回闇堕ちゲームを行うのは、六六六人衆序列四四五位、辻村・凛華です。彼女が序列四六四位だった頃、一度皆さんと戦いを繰り広げた事もある相手です」
     自称風紀委員の凛華は、ボランティアとして『灼滅者達を闇堕ちさせてあげる』為に、再び闇堕ちゲームを行うらしい。
    「凛華は2本の曲刀型のウロボロスブレイドと、履きつぶしたスニーカーで戦闘を行います。とにかく火力馬鹿な能力の上ポジションはクラッシャーで、やたら攻撃力が高いです。それに次いで回避・命中が高く、防御は他に比べてやや弱めです。それでも強いですが。それと前回の戦闘の中身を見た限り、彼女はメディックから先に潰していく様な戦いをする事が予想出来ます」
     ウィラは資料をめくり、説明を続ける。
    「現場となるのは、環状通東駅のすぐ近くの交差点ですが…………予知で見た限り、それはもう酷い有様です。その場に生存者は1人もおらず、凄惨な死体と燃え盛る車が広がるばかりです。彼らを助けることは出来ません。接触できるのは、凛華が殺戮を終え、一息ついてからです」
     ほんの少し荒い口調でそう語り、ウィラはファイルをパタンと閉じた。
    「説明は以上です、が……今回の戦いでは、何故か六六六人衆の力が弱められている様です。誰が何してそんな事になっちゃったかは分かりませんが、高位の凛華を倒すには絶好のチャンスです。皆さんを可哀そう呼ばわりする失礼なあいつを、どうか灼滅してください。お気をつけて。


    参加者
    ミネット・シャノワ(白き森の旅猫・d02757)
    普・通(正義を探求する凡人・d02987)
    上條・和麻(闇を刈る殺人鬼・d03212)
    高倉・奏(二律背反・d10164)
    嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)
    杠・嵐(花に嵐・d15801)
    ガーゼ・ハーコート(自由気ままな気分屋・d26990)
    盾河・寂蓮(泥濘より咲く・d28865)

    ■リプレイ


     交差点の地獄絵図。その中心で、六六六人衆辻村・凛華は灼滅者達の事を待ち続けていた。
    「んー……全然来ないわね……場所が悪かったかしら。別の所行ってもっかい殺した方が……」
    「その必要は無い。そして、させない」
     凛華の呟きを遮ったガーゼ・ハーコート上條・和麻(闇を刈る殺人鬼・d03212)。そして凛華の前に姿を現す灼滅者達。
     灼滅者達は嫌でも、交差点に散らばる凄惨な死体を目の当たりにする事となる
    「なんてひどいことを……これだから、六六六人衆相容れないんだ……」
    「別に平気っすよ。人殺しの癖に死体で感傷に浸ってちゃ泥水以下になる気がするし」
     同じ灼滅者でも、普・通(正義を探求する凡人・d02987)と嶋田・絹代(どうでもいい謎・d14475)ではその状況に異なる感想を抱いている様だ。
    「ようやく来たわね灼滅者!! 今回も私が貴方たちを……あれ? そういえばどこかで見た顔もいるわね?」
     ウロボロスブレイドを向けた凛華が、僅かに首を傾げる。
    「ああ、覚えてた? こっちとしては全く嬉しくないけどね」
    「前回の様にはいかないよ……必ずここで倒す」
     以前の戦いにも参加していたガーゼ・ハーコート(自由気ままな気分屋・d26990)と杠・嵐(花に嵐・d15801)がそう言って、スレイヤーカードを解放する。
    「あなたち、そんなに私に闇堕ちさせてほし……って、あれ? あれぇ?」
     突然凛華が素っ頓狂な声を上げながら、高倉・奏(二律背反・d10164)の顔を凝視する。
    「やあやあいつぞや振りですねえエセ風紀委員。その節は大ッッ変お世話になりました。ですので今回はお礼に参りました。お礼参りに来ました」
     奏は殺意と怒りが多分に含まれた声でそう投げかけ、凛華の顔を正面から睨み付ける。
    「何てこと……せっかく綺麗なノーライフキングに闇堕ちさせてあげたのに、すっかり元に戻ってるじゃない! 流石の私も大ショックよ!!」
    「その程度でショック受けるのは早いですよ……貴方はここで、私達に灼滅されるんですから!」
     ミネット・シャノワ(白き森の旅猫・d02757)の言葉に、凛華は心底驚いた様子で目を見開く。
    「私を灼滅する……? 何て無謀な事に挑戦するの貴方たちは! 四四五位の私に、貴方達が勝てるわけないじゃない!」
    「さあ、それはどうだろうな。俺たちの心配をするのも、闇堕ちさせてくれようとしているのもいいが……今のその力で、その目的を達成できる余裕はあるのかね……お前は、自分の命の心配をしろ」
     盾河・寂蓮(泥濘より咲く・d28865)は静かにそう言い放ち、 殲術道具を構える。
     そして、戦いが始まる。
     

    「行くぞ……お前はここで、必ず仕留める」
     戦闘が始まり、和麻が黒刀『無月』を構え凛華との間合いを一気に詰める。
    「やれるもんなら……クッ!」
     和麻の動きを見切る事が出来ず、凛華の脇腹が一瞬にして切り裂かれた。
    「お前が風紀委員を自称しているとか……そんな事は俺だどうだっていい。だが……俺たちを誘い出す為だけに大勢に人間を虐殺するのは許せない」
    「それこそ私にはどうだっていいわ! だってダークネスでも灼滅者でもない唯の人間じゃない!」
    「お前にはそうなんだろうな」
     和馬は凛華の言葉にそう応え、黒杖『鈴彦姫』に込められた魔力をゆっくりと引き出していく。
    「六六六人衆は一片の慈悲なく倒す、それが俺の全てだ」
     チリン、とどこからか鈴の音が鳴り、和麻は杖を大きく振り下ろす。
     叩きつけられた杖から膨大な魔力が流し込まれ、凛華の身体は爆発しながら地面へ叩きつけられた。
    「大見得切っておきながらあっさりぶん殴られてるじゃないですか」
     楓は倒れた凛華に向けて即座に数本の矢を放つと、凛華の身体を地面に縫いとめた。
    「……この位どうってことないわよ!」
     矢を引きちぎりながら立ち上がる凛華。
    「さてさて、それじゃあ今度は自分が一発仕掛けますかね」
     そして絹代がナイフを構え、凛華に飛び掛かる。
    「さっさと終わらせて帰るっすよ」
     絹代が振り下ろした刃は凛華の肩に深く突き刺さり、大きく抉った。
    「この……せっかく闇堕ちさせてあげるっていうのに、どうしてそこまで抵抗するのよ!」
     凛華が曲刀を振り上げると、絹代は咄嗟に後ろに跳び、自らの黒き瘴気を手に集中させていく。
    「気持ちだけ受け取っておくよ。殺すコトしか頭にないヤツに可哀そうって言われるのは心外だけどね」
     そう言って絹代が手を突き出すと瘴気の塊が凛華に向けて放たれ、包み込まれた凛華は肉体と精神の両方を蝕まれた。
    「やっぱりいつまでたっても貴方達のそういう所はさっぱり分からないわね……」
     凛華は首を傾げながら曲刀を振るうと、伸びた刃が寂蓮に襲い掛かる。
    「そう簡単には当たってやらないぞ」
     寂蓮が咄嗟に風の刃を正面に放つと、斬撃は一瞬にして相殺された。
    「外した……だったらもう一度……ッ!」
     凛華が再び攻撃を放とうと振り上げた腕に、どこからか放たれた鋼糸が巻きついた。
    「まあ、そう慌てずに……ところで、君は本当にここでたくさんの人を殺したのかい? 遺体が少ないんじゃないか?」
     鋼糸を放ったガーゼが、糸をしっかりと掴みながら問いかけるが、凛華は訝しげな顔で見返すだけだった。
    「え? 何を言っているの貴方は? 結構みんなバラバラになっちゃって分かりにくいけど、しっかりと全員の首を――」
    「オーケー分かった、もういいよ」
     ガーゼがそう呟いて糸を思いきり退くと、凛華の腕から激しい血飛沫が飛び散った。
     続けてガーゼはチェーンソーを構えると、そのエンジンを駆動させ、激しいエンジン音を掻き鳴らした。
    「……というか、前と比べて弱くない?」
    「そんな訳ないで…………グァッ!」
     ガーゼが突き出した刃が凛華の身体に突き刺さり、振動する刃は凛華の身体の骨をガリガリと削り取った。
    「行くよ。あたし達はもう二度と、あんたの好きな様にはさせない」
     更に嵐がダイダロスベルトを射出すると、凛華は全身を抉られながら後ろに下がった。
    「こちらの攻撃は、まだ終わりません……」
     通は剣を構えて凛華を見据え、正面から斬りかかる。
    「あなたにはここで、必ず倒れてもらいます!」
     放たれた斬撃を避ける間も無く、凛華は真正面から深い傷を刻まれた。
    「この……!」
     凛華はキッと睨みながら、通に向けて曲刀の刃を伸ばした。
    「そう簡単に通れるとは思わないことです」
     しかし一瞬にしてミネットが通の前に飛び出すと、その斬撃を真正面から受け止めた。
    「ありがとうございます……まだまだ、私達は戦えます!」
     通は弓を構えると静かに息を整え、凛華の急所に狙いを定めていく。
    「…………今!」
     そして通が放った1本の矢は、正確に凛華の心臓を貫いた。
    「イタタ……確かに前回よりは相当強くなってるわね……でも私は諦めないわ! 風紀委員として!」
     相当なダメージを負ったようだったが、凛華はまだ立っている。
     戦いはまだ続く。


    「この……さっさと闇堕ちしなさい!!」
     凛華は曲刀を物凄い勢いで振り回し、後衛を纏めて斬り裂いていく。
    「すぐ回復します! 耐えてください!」
     通は癒しの風を生み出すと後衛に放ち、即座にその傷を癒した。
    「そろそろか……」
     これ以上ダメージを受けるのは厳しいと判断した寂蓮が、嵐とポジションを交代し、攻撃に転じる。
    「ややこしい作戦を……!」
    「確かに此方を狙うお前の作戦は理に適っていた、が……戦力を甘く見すぎたな」
     歯噛みする凛華に寂蓮は静かに返し、片腕を異形化させる。
    「お前はあまりにもやり過ぎた……それなりの報いを受ける時だ」
     寂蓮が放った拳が胸を打ち、凛華の身体が吹き飛ばされる。
    「報い? 風紀委員がやった事に、間違いがある訳ないじゃない!」
    「…………」
     寂蓮は無言のまま、カミの力によって生み出した風を片腕に纏わせる。
    「閻魔も貴様の減刑願いは聞き入れまい……殺しも出来ず、殺されるばかりの獄に堕ちるがいい」
     僅かに怒気が含まれた声でそう言い放ち、寂蓮が放った鋭き風の刃が凛華の首元を通り、一瞬にして斬り裂いた。
    「ッ……確かに何かおかしいわ……明らかに力が出ていない……」
     ようやく表情に焦りが見えてきた凛華に、ミネットが攻撃を仕掛ける。
    「可哀そうなあなた。もう、ランクは気にしなくていいですよ……私たちが来た以上、次の殺戮を犯すことは無いと知りなさいっ!」
     ミネットは無数のダイダロスベルトを周囲に展開させ、次々と凛華に向けて放っていく。
     まるで生きているかの様に動くダイダロスベルトの複雑な動きが、徐々に凛華を追い詰めていく。
    「変幻自在の布槍術……どんどん見切れなくなっていきますよ……!」
     ミネットのその言葉の直後、凛華の背はダイダロスベルトに貫かれた。
    「ガッ……誰が可哀そうよ……私は風紀委員よ……可哀そうなのはあなた達の方じゃない……」
     忌々しげに睨み付けてくる凛華に向け、ミネットはバベルブレイカーのジェット噴射で突撃する。
    「あなたが何者であろうと関係ありません。確かなのは、ここで私たちに灼滅されるという事だけです!」
     ミネットが撃ち放った杭を鳩尾に受け、凛華の身体が大きくひしゃげる。
    「そろそろ、終わりが近づいてきたかな」
     立て続けにガーゼが振り下ろしたチェーンソーが、凛華の肩を削り取る。
    「このまま攻めきるっすよ」
     そして絹代が放った赤きスカーフが凛華の首元に巻きつくと、そのまま切り裂いた。
    「可哀想……可哀想ね…………」
     嵐は静かにそう呟き、その華奢な身体に不釣り合いな巨大な縛霊手を装着する。
    「この期に及んで、まだ自分たちが可哀そうでないとでも?」
    「……まあいいよ。行動で証明してやる…………お前を倒すコトでな」
     凛華の言葉に答えた嵐は勢いよく縛霊手を振り上げ、凛華に向けて勢いよく叩きつける。
    「これは重傷を負ったアイツの分……これは闇堕ちした高倉の分……!!」
     言葉と共に連続で放たれる拳は、徐々に激しさを増していく。
    「そしてこれは……あたしのプライドの分……!」
     その破壊的な一撃は凛華の身体の中心にぶち当たり、凛華は地面に叩き伏せられる。
    「グアッ!! グゥッ……許さないわ、風紀委員の私にこんな仕打ち……!」
     凛華は怒りと共に嵐へ刃を放ち、鋭く全身を切り裂いた。
     しかしその一撃を受けても、嵐は毅然として戦場に立ち続ける。
    「……自分に不似合いな、無様な戦いはしないよ」
     凛華はひたすらメディックに向けて攻撃を放っていたが、灼滅者達はその凛華の戦術に対策する作戦を立てており、未だ誰も倒れてはいなかった。
    「終わりだ。最後位潔く消えていけ」
     和馬が黒刀で斬り上げ、凛華に強烈な一撃を加えた。
    「あり得ない……あり得ないわ……可哀想なのは貴方たちで、私は風紀委員で…………」
     全身に傷が与えられた凛華は、血に塗れた顔で灼滅者達を睨み付ける。
    「ゴチャゴチャうるさいですよ、虫の息のエセ風紀委員。貴女の最高順位は四四五位で打ち止めです」
     奏はビハインドの『神父様』と共に凛華へ接近し、攻撃を仕掛ける。
     神父さまが手をかざすと、形成された無数の霊力の十字架が凛華の全身に突き刺さり、身体を蝕む。
    「私も神父様も滅茶怒ってますからね! 多少痛いのは勘弁して下さいよ!」
     次の瞬間には、奏がフルスイングした盾が凛華の顔面に叩きつけられ、そのまま吹き飛んだ。
    「闇堕ち……闇堕ちさせないと……何で風紀委員に逆らうのよ、みんな私に従いなさいよ……!!」
     凛華はふらふらと立ちながら曲刀を振り上げ、攻撃を仕掛けようとする。
     しかしその攻撃が放たれるよりも早く、灼滅者達が一斉に攻撃を仕掛けた。
     嵐の炎の蹴りが顎を打ち、
     寂蓮が放った鬼の拳が胸を打つ。
     ガーゼが放った糸が全身を締め付け、
     ミネットが放った鋼鉄の拳がこめかみを打つ。
     絹代が放った瘴気が全身を包み込み、
     和麻が魔力を込めた杖を全力で叩きつける。
     通が影の触手で足を締め付け、
     奏が身体の内のオーラを全開で放出し、その全てを両足に纏わせる。
    「もう本当に終わりですよ。エセ風紀委員。覚悟は決めましたか? 決めてなければさっさと決めてください!」
     奏は全力で凛華に向けて飛び掛かり、全身の力を足に集中させる。
    「まずは一撃!」
     奏は凛華の腹を蹴り上げると、その身体を空中に浮かせる。
    「風紀委員が、こんな所で……!」
    「ノイズは黙ってて下さい……これで、決めます!」
     浮いた凛華に向け、奏は機銃の様な激しい蹴りの連打を浴びせる。
     怒りが満点に込められた蹴りの連打に、凛華は全身の骨を砕かれる。
    「さようなら」
     そして最後に奏が凛華の首に足をかけ、躊躇なく一気に踏み抜いた。
     一瞬の静寂が戦場を包み込み、凛華は首を抑えながら声を絞り出す。
    「私は風紀委員……辻村凛華……こんな所で死ねない、のに……」
     そう呟いた直後、凛華の全身は砂の様に崩れ去り、そして跡形もなく消え去って行った。
     灼滅者達は、六六六人衆に勝利したのだ。


    「これで……前回の雪辱は晴らしたね」
    「完全無欠の勝利って奴です」
     嵐と奏が、自分たちの勝利を喜びつつ、殲術道具を封印した。
    「遺体が消える瞬間を観察していたが……灼滅されたダークネスが消滅する様子と、特に変わり無い様に見えたな」
    「どういう仕組かは分からないけど……まともな手段じゃないよね」
     寂蓮と通が、死体が消滅した交差点を見渡していた。
    「あー……まあ、血は血っすね。特に何の変哲もないっす」
     絹代は現場に残った血を色々調べていたが、特に代わり映えはしないように見えた。
    「一般人の遺体はノーライフキングが連れ出してる? ダンジョン内にラグナロクがいるんじゃないか……?」
     ガーゼがいくつかの仮説を立てていたが、核心に至る程の証拠は無い。
     今後の調査や推理が重要になるかもしれないだろう。
    「付近には、誰の姿も無いか……見つけられてないだけかもしれないが、杞憂だったか……?」
     和麻は周囲に不審な人物がいないか調べたが、誰の姿も見当たらなかった。
    「この場で見つけられる手がかりは、相当限られてるでしょうしね……ひとまず今は、帰りましょう」
     ミネットが仲間たちに促すと、一同はその場を後にした。
     謎は多いが、灼滅者達は有力な六六六人衆に完全無欠の勝利を収め、灼滅した。
     この戦果を手に、一同は学園へ帰還するのだった。

    作者:のらむ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年4月25日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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