深夜も1時を過ぎた。
そこは北海道札幌市。最終列車はとうに行き、地下鉄南北線は本日の業務を終えている。がらんとした空間は人だけが死に絶えた世界のようで寒々しい。
ホームから少し先へと行った走行路面上、黒い煮こごりに似た暗がりに異変が生じ始めた。全ての輪郭が揺らめいてはぼやけ、古色蒼然と色褪せる。
目を凝らすと周囲は岩を削り出した壁のようだ。作業の跡は随分と粗い。亀裂からは細く水が染み出し、足許はぬるつく泥濘と化している。
ごろり、という音が響いた。
板を打ち付けて作られた二両のトロッコが、岩のトンネルの中を進み出すところだった。土砂を運ぶためのものだが、今は何も積まれていない。代わりに、骸となって久しい蝙蝠たちが、わっと飛び立った。
「キ、チキ、キィ、キィ」
白骨化した体には干からびた飛膜が申し訳程度にへばりついている。それらが忙しなく飛び回ると、遠くから金属のぶつかり合う音が聞こえて来た。
脇道があるのか。行く先を横切ったのは、骸骨の馬を連れた一体のスケルトンだった。欧風の甲冑に、錆付いた剣と盾。
揺らめいて退けた彼らの前を、ごろりごろりと木の車輪が行く。
向かう先はどこまでも暗く濁り、覗けば覗くほど何も窺えないのだった。
手許の資料を順に繰って、石切・峻(大学生エクスブレイン・dn0153)は顔を上げる。
「札幌の地下鉄は、レールが一本なのか」
乗り物に対する興味は尽きないが、そこでふっと眉根を曇らせた。
「その地下鉄が深夜にダンジョン化していると、錠之内・琴弓(色無き芽吹き・d01730)さんから情報が寄せられた。今のところ被害が出ていないのは、ダンジョン化が終電後から始発までの数時間程度に限られているからだが、放置すると大変なことになりかねない」
何せ多くの人が利用する交通機関である。しかも地下だ。万が一の事態が起きてからでは手遅れとなる可能性が高い。
「該当する場所は南北線の北34条駅から麻生駅方面に向かう途中の区画で、ダンジョン内を幾多のアンデッドが徘徊している。決して強力な敵ではない。けれども数が多い。罠などの仕掛けもあるはずだから、どうか慎重に頼む。君たちに直に効く仕掛けというのは、そうないはずだけれども」
地味な嫌がらせはあるかもしれないと眉を顰める。
「現れるアンデッドは数が勝負の蝙蝠の骸と、途中に馬と人のスケルトン十数体。それと、最も奥に骨の馬に騎乗した他よりも少し強力なスケルトン一体のはずだ。それらを探索して撃破して貰えたら、時間内であってもダンジョンは消失する」
敵の攻撃や注意事項を記した資料を一部ずつ配りながら、峻は首を捻った。
「まだ被害は出ていないが、事件の規模の大きさが問題だ。見過ごして大事になるというのは、色々とつらい。そも」
皆へと向き直る。
「これが自然に生じた現象なのか、ノーライフキングによる何らかの実験のようなものなのかもわからない。だから、放っておくわけにはいかないんだ。どうか、君たちの力を貸して欲しい」
お願いしますと頭を下げる。その面持ちは、どうにも物思わしげだった。
参加者 | |
---|---|
棲天・チセ(ハルニレ・d01450) |
星陵院・綾(パーフェクトディテクティブ・d13622) |
ダグラス・マクギャレイ(獣・d19431) |
七塚・詞水(ななしのうた・d20864) |
湊元・ひかる(コワレモノ・d22533) |
志穂崎・藍(蒼天の瞳・d22880) |
白藤・幽香(リトルサイエンティスト・d29498) |
ユーヴェンス・アインワルツ(優しき風の騎士・d30278) |
●黄泉への切符
その瞬間、灼滅者たちの周囲で世界が揺れた。
瞬き一つ。目蓋を上げると確かだった足下は不確かに、不明瞭だった暗がりは岩肌に、継ぎ目を見分ける前に変容を遂げた。
彼らは今、坑道の入り口に立っている。
振り返ってはならない。そこにはホームの影はおろか確かなものの何一つない、行き止まりの闇があるはずだから。
白藤・幽香(リトルサイエンティスト・d29498)が、ライトのスイッチを弾いた。ほんの小さな音が幾重にも反響する。最初に見えたのは岩肌から落ちる水滴だった。
(「こんなダンジョンをどうするのかしらね」)
彼女の知る限り、今動いている屍王といえば白の王くらいのものだ。斬新社長との提携は邪魔をしたはずだった。小さく首をひねるが答えは出ない。割り切ることにした。
皆が明かりを灯す。暗闇にぼうっと光の塊ができると、暗がりが蠢いた。乾いた小さな音が一つ。そして、また、一つ。そして、
「キィ、ィー、ィ」
一塊に舞い始めるのは幾多の小さな骸だった。蝙蝠。スケアバットだ。隙なく身構える八人の前で、しかし、その小さな連中は暗がりへと飛び去る。
棲天・チセ(ハルニレ・d01450)と湊元・ひかる(コワレモノ・d22533)が、ペンを手に顔を見合わせた。地図の始点に記載するものは、経路とエネミー。スケアバット多数。
彼女らの動きでライトが揺れると、羽ばたきの音もまた位置を変える。光を根拠としてこちらの位置を把握しているらしい。
ダグラス・マクギャレイ(獣・d19431)が赤い瞳を上げる。蝙蝠たちの消えた方角へと鋭い視線を投げた。
「骨野郎どもがこそこそと……」
視界外から狙い撃ちをしてくるつもりか。
「どいつも木端微塵にしてやるから覚悟しやがれ」
野卑ともとれる物言いだが、どこか飄々とした色が滲む。存外、楽しんでいるのかもしれない。そうした彼の横で、光が一つゆらりと揺れた。
「トロッコが」
七塚・詞水(ななしのうた・d20864)が駆け出していた。蝙蝠が飛び立った後に、暗い木目の色が見えていた。車輪の軋みが聞こえる。急がなければ走り出すだろう。
車両の端をつかんで併走し、身軽に飛び乗る。小柄がものをいう瞬間だった。
(「北海道でも地下に入ると意外とあったかい……のかな?」)
頬を撫でる風は、まだ柔らかかった。前方に身を乗り出させてカンテラを引っ掛ける場所を探す。乾いた蔓を巻きつけて縛ろうとしたその時、前髪が舞い上がった。視界がガクンとブレる。
「え」
「発進するわ」
志穂崎・藍(蒼天の瞳・d22880)と星陵院・綾(パーフェクトディテクティブ・d13622)が差し出したものは長い棒。
「こんな事もあろうかと!」
詞水がそれらを支えに寸でのところで飛び降りると、カンテラの明かりは前へと遠ざかり始めた。皆、安堵の息をつく。
ユーヴェンス・アインワルツ(優しき風の騎士・d30278)がハンドライトを掲げた。
「上手くいったか」
洞穴の径はそう大きくはない。車両の脇に並ぼうと思うと、片側二、三人分くらいの隙間しかなかった。
(「……はっ、これが自然に起きた現象な訳がないだろ」)
大きく歩を踏み出す。
(「実験にしろ偶然にしろ不死王が原因のはずだ、要らねェ犠牲が出る前にここを潰す」)
ひとまず、一つに固まった。トロッコを囮として先導させ、後ろに続く。問題は敵から察知されやすいことだった。後手を前提に進まなくてはならない。
ひかるは、地図に線を引き始める。中央が一本道なのは確かで、それは何よりも迷宮の主の知るところ。閉塞の中で恐怖心が濃縮され、ずしりと心にのしかかった。
(「隣にあの人が居てくれれば、どんなに良かっただろう」)
救われた自分は、誰かを救わなくてはならない。導きの光を求める瞳に、揺れる何かが映った。瞬く。
「来ます」
パサッ。
飛膜の羽ばたきだ。蝙蝠が複数、ジグザグに飛来するのが見えた。藍がカードを握った片手を上げる。
「志穂崎藍、参ります!」
凛とした声に応えて、妖の槍が槍穂を輝かせた。鋭く、強く。
●出口なし
わんっ、と鼓膜が痺れるが、多くの者はさして動じない。彼らの強さを知ると、蝙蝠たちは宙で適度な距離を取ろうとした。
チセと彼女の相棒、霊犬のシキテを前に立て、後方から幽香がコールドファイアを放つ。削り出された冷たい炎は数体の蝙蝠を頭上で凍り付かせ、そのままの姿で地へと落とした。砕ける瞬間のパリンという音が、小さな細工物のようだ。
上空を仰いだユーヴェンスが光臨させるのは、無数の光を散らす十字。きらめきは、身をかわそうとした他の数体を撃って跳ね上げた。
確かに敵は強くない、が。
「これは、まずいやろ」
チセが、落ちた敵の数を数えながら表情を曇らせた。トロッコの姿が遠い。皆、顔を跳ね上げる。
戦闘に動きを取られる瞬間は車両を追えない。戦っては走り、戦っては走りで次第に距離が開く。
追わねば。駆け出した綾が、足を止めた。靴底が不気味な振動を拾っている。
「何か……」
来る。
顔を上げた瞬間、向かって左の空隙から四足の骨が突っ込んできた。
ガトリングガンを腰だめにしてバレットをばらまくと、無数の炎に足許を炙られたスケアホースはゴッと蹄鉄を鳴らして跳躍する。描く弧は見上げるまでに大きい。綾は引いた脚に重心を移して、後ろへと身を捻る。
「馬ですっ……、っ!」
肩の関節が爆ぜるほどの痛打が来たが、銃身を地に着いて耐えた。そこに藍が妖の槍を走らせる。長物で突かれると馬は弱い。
もんどりうって倒れた巨体が足掻く。立ち上がりかけたところに、ダグラスが拳を突っ込んだ。大きく跳ね上げたアッパーは、馬首をあらぬ方へとへし曲げる。
がらん、という空虚な音が響き、その後の静寂には遠い車輪の音と彼らの息遣いだけが漂った。
「構造によっちゃ時間切れもあるわな」
拳に残った骨屑を払い、前方を透かし見る。棒を持つ者たちが左右を探ると、双方とも少し先に分岐があった。
ダグラスが左に折れようとするのを見て、綾が右を選ぶ。
「互いにアリアドネの糸を使えば大丈夫ですよね?」
しかし、糸が一人分しかない。それぞれに分散の方針も違う。早過ぎるという者もあり、意見のない者もあった。
トロッコの姿は遠ざかり、そろそろ闇と見分けがつかない。どうするか。
ひかるは地図の端に記した撃破数を数え、思うほどはかどらない現実に眼差しを伏せる。
「……それでも、進まなきゃ」
それぞれの指針を胸に三々五々動き始めると、双方の脇道の奥から冷たい風が吹いてきた。壁へとストックを差し出したチセが、小さく首を捻る。おかしな溝がある。
「何やろ?」
どれ、と綾が自分の棒を差し出した時、反対側の脇道では藍が足許に棒を差し出していた。どうも音が違わないか。
ザラララ……ガンッッ!!
中央の通路上、分散を決めかねた幽香の耳に凄まじい音が聞こえて来た。左右、双方からだ。遅れて漂い出てくるのは土煙。
「……?」
どちらに行くべきか。見比べたその時、前方から嫌な気配が伝わって来る。腹の底に響く一際重たい地鳴り。それは、先ほどの数倍も力強い蹄鉄の音だった。
ダンッ! という音と車輪の軋み。自走するトロッコを踏んで跳び越えたのか。
「あら、お邪魔してるわよ。そこをどいてね?」
単独でバベルブレイカーを構える幽香の声は、それでもひんやりと落ち着いていた。
●地よりも深く死よりも無残に
ぽつり、と雫が落ちる。それは、赤い。
左側の通路だ。ひっきりなしに鮮血を滴らせているのは、藍の右手。彼女は極北の氷柱よりも太いスパイクをつかんで、それを全面に仕込んだ鉄板の端に宙吊りになっている。真下に転がっているのは、彼女の棒と詞水、ダグラス、ユーヴェンスの三人だ。
「う……」
血に手がぬめった。隙間が細すぎる。ずる、と指が外れると同時、ウィングキャットのみけだまが真下に滑り込む。翼を広げたみけだまにぶつかって弾んだ藍は、眩む頭を振りながら地に手を突いた。
床が跳ね上がったのだ。皆、自ずから下へと身を転じたこともあり被害は免れたが、もし挟まれていたならば、生きたまま地獄絵図を見ることになっていただろう。
「これって」
こちらが跳ね上がったということは。
上を見上げると天井には幾つかの滑車が取り付けられており、太い鎖が何本も走っていた。答えは右側通路の床の下で響く。
「落とし穴?」
ひかるの声だ。チセと綾と彼女、そして霊犬たちが穴底へと落とされていた。幸いにしてこちらには杭がない。沈んだ床の四隅には赤錆びた太い鎖が見える。
咄嗟につかんだひかるは、大きく目を見開いた。はっと息を飲んだチセが二人を庇う。
「シッ、ギィ……ッ」
真っ黒な眼窩をさらした骸骨が三体、上から彼女たちを見下ろしている。その肩の上に羽ばたくのは数体の蝙蝠。
「……!」
綾は仰向けに転がったままの姿勢でガトリングガンの銃口を持ち上げ、強く両足を踏みしめた。軋むほどに奥歯を噛んでトリガーを引き、連射の反動を一身に受け止める。
降り注ぐのは奇怪な叫びと耳を引っかくような超音波。ひかるが展開するラビリンスアーマーの内で、チセは携帯に向かって叫んだ。
「こちら、右通路。床が落盤、上方にファイター三体、バット複数。上るのに難渋しそうや!」
ジジッ。ノイズの後に聞こえたものは、ガンッと盾を打つ剣の音。まるで木琴を破壊したかのような甲高い響き、そして、藍の声。
「い、ま……そちら、へ……え? ……ラ、スさん?」
一瞬の無言を挟み、声が男のものに変わった。
「こっちにレバーがある。足、踏ん張ってろよ」
OKの掛け声に「はい」と答える声。詞水のようだ。そして、地の底が軋んだ。ゆっくりと持ち上がる。
「上がった」
綾が脚を大きく振って立ち上がり、ひかるは影を、チセはその手にバベルブレイカーを構える。身を低めた霊犬二頭は三人の壁。
右側の反撃が始まった。
その時、左通路ではユーヴェンスが粘るファイターを切り払い、脚で払いのけたところだった。黒き聖剣・レイヴンズ・ブランド・リジュネを構え直す。討伐カウントを信じるならば、残りはわずか。切っ先を振って、右通路の方向を示す。
頷いて駆け出した詞水が、中央通路を見た途端に足を止めた。
「みけだま!」
前方に大きく光を振って命じ、逆の手に光を宿す。追いついた三人は、事態を知ると物も言わずにその横を駆けた。
「オ……ッ、グ……ォオオ!」
中央の通路のその真ん中で、白骨の戦士が骨の軍馬の手綱を引き絞っていた。錆付いた蹄鉄が虚空を掻く。飛び散る泥。それを浴びて、地に倒れ伏している白衣の姿。
「……くっ」
バベルブレイカーの杭を地に着いて立ち上がろうとする幽香には、もう、その力が残っていない。顎がぐらりと持ち上がる。
スケアキャヴァリィの切っ先が、大きく円月を描いた。暗闇が引き裂け、骸骨の奥で青白い妄執が燃える。
毛羽立つ一撃に頬から肩までを引き裂かれながら、ダグラスが幽香の腕をつかんだ。踏み込む馬の前脚を、藍の巨腕が払いのける。
「ゥ、ゥゥルッ!」
蹄鉄の一撃が、彼女を地へと蹴り伏せて退いた。泥が頭上よりも遥か高く跳ねる。息が詰まり、何も見えない。
飛び退き、地を踏み鳴らして、騎手はまた手綱を絞る。
右側で光が揺れた。
「間に合ってや」
チセがバベルブレイカーを構えて全力で駆けて来た。粉々となった骨が足許で跳ね上がる。
「間に合わせてやる」
ユーヴェンスがライトを咥えて両手を空け、その全身に逆巻く風を呼び起こす。銀の髪が舞い上がり、足元の塵芥が渦を描いて、ざぁっという響きと共に軍馬の直進上を走った。
「ヒ……ッ?!」
跳び越えようとしてならず、馬の前脚二本が膝の下から両断されて飛んだ。ガラン、という音を立てて落ちた脚骨の上に馬の胸が落ちる。投げ出された騎手が、盾面で強く地を打った。
反動を使って起き上がると、盾の後ろへと身を低めて脇を締め、泥を踏み散らす。
断末魔の馬の嘶きが、坑道内へと高く轟いた。
●like a old man’
その盾は錆びて傷つき紋も見分けられない。バベルブレイカーを突き出したチセは、咄嗟に逆の手で肘を押さえた。
音が何も聞こえない。凄まじい金属音が頭蓋の中で響き渡り、それから聞こえなくなった。足が押されている。重たい。視界の全てが盾だ。他には何も見えない。
「ぅ……」
また、足が下がった。そこへ、するりと伸びてくる白いものがある。翼のように彼女を囲み、冷たい痺れを癒し始めた。ラビリンスアーマーだった。
放った詞水の唇が小さく動く。
「……かっこいい」
騎兵への憧れもあったが、それよりも仲間の姿は眩い。何があろうとも、ここで負けたりはしない。負けさせない。
「グ……ッ」
キャヴァリィの足が前に出た。膝で地をすりそうになりながら、盾を構えた肘を前へと押し出してくる。身も銘も朽ちようとも、隊を奪う者への激昂は朽ちはしないのか。右手を下げた。
キィィ、という細い音は杭と噛み合った盾の面が削れる響きだ。その影で骨の五指が柄を握り直す。
綾の体からダイダロスベルトが踊る。振り上げた敵の肘へとその切っ先は走り、関節の隙間を貫いた。ぱっ、と骨の欠片が散る。
「……ッ、グ!」
騎兵の膝が落ちた。ひかるの腕に幽香を託してダグラスが走る。
構えは尖烈のドグマスパイク。狙うのは相手の頭蓋骨。重心の高さを活かして地を蹴ると、突き出された盾を首を捻って避けた。
ひゅ、と息を吸って、突き出すMiach。惑うな狙え。穿って抉れ。
「ッ、ガァァァッ!!」
杭の先端が骨の額を貫くと、そこから雲の巣のように亀裂が走る。噛み軋られた歯が砕けて飛び、それは灼滅者たちの頬を細く傷付けた。
「ァ……」
雪崩のように骨が降る。幾つも幾つも折り重なって、最後に盾が落ちて地に突き立つ。
歪んだ面につかの間映り込むのは色を失った八人の姿。ここはどこで、今はいつなのか。疑問すらが鏡像と共に砂のように崩れて落ちる。
「ラスト一体、終了です」
地図を手に、ひかるが告げた。
瞬き一つ。
目を開けた時、そこは暗い地下鉄の隧道だった。
「あ……」
振り返るともの言わぬ真っ直ぐなレールがある。
ただ、行けと彼らに道を指し示すがごとく、現実に揺るぎはなかった。
作者:来野 |
重傷:白藤・幽香(リトルサイエンティスト・d29498) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
|
種類:
公開:2015年4月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|