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石垣・佳代。23歳、女性。
約1年ほど前、佳代は軽い気持ちで手を出したギャンブルにどっぷりとはまってしまった。
しかし勝負の神とやらは全く舞い降りず、負け続け。
それでもギャンブルを止める事は出来ず、ギャンブルの為に金を稼ぎ、ギャンブルの為に借金までする始末である。
そんな佳代がすすきのでの夜の仕事を終え、町の外れにある自宅アパートに戻ると、何故かソファーの上に、頭が大きなシャボン玉に覆われた摩訶不思議な女が座っていた。
「あなた……誰? 正々堂々とした泥棒? 警察呼んだ方がいいかしら?」
「佳代さんですね? 待っていました……私、SKN六六六のリーダーの、シャボリーヌといいます」
「ええ……っと?」
ペコリと頭を下げたシャボリーヌと名乗る女に、佳代は動揺を隠せない。
「早速本題ですが……佳代さん、あなた、私の配下になりませんか? そうすればあなたの魅力は最大限に引き出され、お店のナンバーワンになる事も出来るでしょう」
「ナンバーワン……? 私が……?」
「はい。ナンバーワンになれば今よりももっと沢山のお金を稼げて、ギャンブルをしながら、十分に豊かな生活が送る事ができます。どうでしょう、私と一緒に、すすきのの夜を支配しませんか?」
シャボリーヌが佳代の目をまっすぐと見つめ、夜の部屋にしばらくの静寂が訪れる。
「わ……分かったわ……」
佳代はシャボリーヌの言葉に、静かに頷く。
お金が稼げればもっと沢山ギャンブルが出来るし、ナンバーワンになって皆から羨ましがられるのも悪くない。
佳代がそう思ったのも事実だが、それとは別に、佳代はシャボリーヌが持つ底知れぬ魅力に魅せられてもいたのだった。
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「さて……詠子さん。SKN六六六が一般人を勧誘するという推理、当たったみたいですね」
神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)が桐城・詠子(逆位置の正義・d08312)にそう切り出すと、赤いファイルを開いた。
「あら、本当ですか? という事はまた、シャボリーヌの手で一般人が闇堕ちしたという事でしょうか……」
「そういう事ですね。ゴッドセブンのナンバー6、アリエル・シャボリーヌが、札幌の歓楽街すすきので配下を増やそうとしている一連の事件については、皆さんも既に知っているかもしれませんね。ちなみに闇堕ちした淫魔達は、その地区の有力なパフォーマーにパフォーマンス勝負を挑んで勝利することで、その地区の淫魔的な支配権を確立しようとしているそうです。あ、これ資料です」
ウィラはファイルから数枚の資料を取り出し、詠子に手渡した。
「ええと……闇堕ちしてしまったのは、石垣・佳代さん。ギャンブルの為に借金まで背負った彼女を、シャボリーヌは闇堕ちさせてしまったみたいですね……」
その詠子の説明に頷き、ウィラが続けて説明する。
「淫魔と化した佳代は、その引き出された魅力を存分に活かしながら、夜の店で大活躍しています。皆さんはそんな佳代が早朝に帰宅するのを彼女の自宅で待ち伏せ、灼滅することとなります」
「どうやら、現状佳代には配下の一般人等はいないようですね……ちなみに佳代さんは闇堕ちする以前と変わらず、むしろ以前よりも更に、ギャンブルにドップリと嵌っているそうです」
詠子がそう説明するとウィラはファイルををパラリとめくり、佳代の戦闘能力を説明する。
「佳世はそのギャンブル狂いな性格に違わず、何かしらのギャンブルに由来したサイキックを使用し、攻撃してきます。攻撃力がやや高め、その分防御力はやや低めとなっている様です」
「完全に闇堕ちしているため、救出は不可能、ですか……ここで確実に灼滅するしかありませんね」
詠子がそう言って資料をウィラに返すと、ウィラはファイルをパタンと閉じた。
「さて、説明は以上です。シャボリーヌの戦力を削いでおくのはきっと後々の為になると思いますし、純粋に淫魔を灼滅するチャンスでもあります……お気をつけて。皆さんの作戦の成功を願っています」
参加者 | |
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天鈴・ウルスラ(星に願いを・d00165) |
御幸・大輔(雷狼蒼華・d01452) |
シャーロット・オルテンシア(深影・d01587) |
星野・えりな(スターライトエンジェル・d02158) |
暴雨・サズヤ(逢魔時・d03349) |
片倉・光影(鬼の首を斬り落す者・d11798) |
月詠・茉莉(パペッター・d14565) |
飯倉・福郎(ワラウワレワレワラワレテ・d20367) |
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現在の時刻は午前5時。
場所は、すすきのの外れにあるとあるアパート。
シャボリーヌの手によって闇堕ちさせられた淫魔・佳世を灼滅するべく、8人の灼滅者達はこの場所へと訪れていた。
室内は別段広いという訳でもなかったが、自分たちにとっては特に戦闘に支障が出ることも無く、逃走の防止も容易だと判断した一同は、彼女の自宅アパート内で待ち受ける事とした。
静寂が拡がる室内で、灼滅者達は佳代を待つ。
「堕ちてしまうほど、彼女は、賭け事がすきだったのか……そうまでして、やりたいこと、だった?」
「魅せられたこと自体を非難はしないが……そのギャンブル狂いに終わりを見せてやらないといけないな。
暴雨・サズヤ(逢魔時・d03349)が誰に言うでもなく呟くと、片倉・光影(鬼の首を斬り落す者・d11798)がそれに続く。
「闇堕ちさせられたことに同情はするけど、ダークネスになったなら、容赦はしない」
「彼女の手によって被害を出させない様にするには、灼滅しか方法がありませんしね……闇堕ちしなかった自分の幸運を喜んでおきましょうか」
御幸・大輔(雷狼蒼華・d01452)が静かに言い切り、シャーロット・オルテンシア(深影・d01587)が改めて確認するように呟くと、アパートの外からコツコツと、乾いた足音が聞こえてくる。
「そろそろお出ましですかね」
「…………来ます」
飯倉・福郎(ワラウワレワレワラワレテ・d20367)と星野・えりな(スターライトエンジェル・d02158)がそう言った直後、玄関の扉がガチャリと開き、派手な服に身を包んだ淫魔・佳世が姿を現す。
「ハア……早朝からまたお客さん? 今回はシャボリーヌ様じゃないみたいだけど……あなた達誰? 今度こそ正々堂々とした泥棒?」
灼滅者達の姿を見た佳代が、深いため息を漏らす。
「いやいや、拙者達は正々堂々とした灼滅者でゴザルよ! そのギャンブル狂いの治療に馳せ参じた次第、デース」
天鈴・ウルスラ(星に願いを・d00165)の言葉に、佳代の眉がピクリと動く。
「灼滅者……私たちの敵ね。ギャンブル狂いについては、反論の余地も無いわね」
佳代はそう言うと全身の魔力を解き放ち、トランプやルーレットなど、多種多様な武器を自身の周囲にフワフワと浮き上がらせる。
「ギャンブルで人生が狂っちゃう何て悲しいの……でも……ココノエ! 戦いの時間なの!」
月詠・茉莉(パペッター・d14565)がスレイヤーカードを解除すると、巨大な黒猫のぬいぐるみ『ココノエ』が出現する。
「せっかく充実した日々を送れるようになってきたのよ……邪魔はさせないわ」
佳代はそう言って、灼滅者達を睨み付ける。
淫魔と灼滅者達の戦いが始まった。
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「貴方たちに全く恨みはないけど……殺す気なら殺し返すまでよ」
佳代は周囲に漂うトランプを灼滅者達に放ち、竜巻と共に灼滅者達を切り刻む。
「クッ……真風招来!」
光影は後ずさりながらスレイヤーカードを解放し、日本刀「黒龍」を構える。
「さっさと終わらせましょう……仕事帰りで私も疲れてるのよ」
佳代は巨大なルーレットを高速回転させ、光影に振り下ろす。
「そうやすやすと何度も喰らってたまるか!」
光影は咄嗟に片腕を異形化させると、放たれた斬撃を拳で受け止める。
「……今だ、神風!」
光影が呟いた瞬間、佳代の背後に回り込んでいたライドキャリバー『神風』が突撃し、佳代の身体を吹き飛ばす。
「闇に堕ちなければこうはならなかったんだろうがな……奴に目を付けられたてめぇの不幸を呪うんだな」
自身に向けて飛んでくる佳代に向けて光影が黒き刃を振り下ろすと、切り裂かれた佳代の身体から鮮血が飛び散った。
「ガンガン攻めてゴリゴリ削っていくでゴザルよ!!」
ウルスラは佳世の肩に槍を思いきり突き刺し、追撃を加えた。
「チッ……痛いじゃないのよ、灼滅者!」
佳代は傷口を抑えながら、灼滅者達を睨みつける。
「助けてあげたいけど……助けるためには灼滅するしかないの……!」
茉莉はトランプの竜巻をくぐり抜け、全身の闘気を自身とココノエの全身に纏わせる。
「助ける? 何から? 私はいたって幸せよ?」
佳世は茉莉に向けて無数の銀玉を撃ち放つ。
「結構痛いけど……こっちからも攻めるの」
茉莉は痛みを堪えながらココノエと共に駆け出すと、闘気を纏わせたココノエの腕を振り上げる。
「ココノエ! 閃光百裂拳! なの!!」
闘気が纏った黒猫の拳が機関銃の様な勢いで佳代に降りかかり、全身に打撃を加えた。
「チッ……邪魔よ!!」
佳世が放った赤いビームに吹き飛ばされ、茉莉の身体が壁に叩きつけられる。
「大丈夫ですか? ……すぐに回復します」
シャーロットは即座に指輪を掲げると、闇の力を茉莉に注ぎ込み、その傷を癒した。
「まだまだ……ギャンブルにとらわれたその呪縛から、解き放ってあげるの!」
茉莉は背から炎の翼を顕現させながら言い切り、全仲間たちに破魔の力を付与していった。
「ふむ……ギャンブルに嵌っているという割には、あなた随分とギャンブル運がなさそうですねぇ」
己のジャマー能力をかなりの所まで高めた福郎は『冥観刃』を構えながら、軽い口調で佳代に投げかけた。
「ふん……今はまだ勝負の神が降臨してないだけよ」
「はあ、そうですか……ところで知ってます? 小指と小指の節がピッタリ合う人は賭博に向いてないそうですよ?」
「は、はあ? 一体何言って……あれ?」
佳世の意識が僅かに逸れたその一瞬で、佳代の視界から福郎が消える。
「ああ、向いていませんね」
一瞬で佳代の背後に回り込んだ福郎は鋭い二連の斬撃を放つと、佳代の両手の小指を綺麗に斬りおとした。
「グァッ!! この……!」
佳代は福郎を睨み付けるが、相変わらずその飄々とした態度は変わらない。
「小指が無くなったら、ツキが降りてくるかもしれませんよ? まあないでしょうが」
福郎は冥観刃を掲げ、虚ろな霧を周囲に放つ。
更にジャマー能力が強化された福郎が「倍プッシュだ……!」とつぶやいた気がするが、多分気のせいだろう。
「のらりくらりと鬱陶しい……クッ!!」
「俺たちの事も忘れて貰っちゃ困るね」
大輔は大地の畏れを纏わせた杭を佳代の身体に放つと、鋭く貫いた。
「……賭け事が好きなのは、分かるけど……なんでここまで……」
サズヤは闘気を纏わせた回し蹴りを放ち、佳代の身体を壁に叩きつけた。
「グッ……まだまだ私は死なないわよ!」
佳代は巨大なルーレットを振り回すと、灼滅者達を纏めて斬り裂いた。
「中々強烈な攻撃ですね……すぐに回復します!!」
えりなは透き通った声で優しい歌を紡ぎ、仲間たちの傷を静かに癒していく。
「それじゃあ……今度は私が攻める番ですね! お父さん、行きましょう!」
星形のエレキギターを構えたえりなは、亡き父親の姿をしたビハインドと共に、佳代へ攻撃を仕掛ける。
「私の演奏、聴いてください!」
えりながノリのいいロックを演奏すると、奏でられた曲が音波となり、佳代の脳を直接揺さぶった。
「この……!!」
佳代がえりなに向けてビームを放とうとした次の瞬間、後頭部に冷たい感触が伝わる。
えりなに銃口を突きつけたビハインドが引き金を引くと、霊力で出来た弾丸が零距離から叩きつけられた。
「いい感じにダンディーだよ、お父さん!」
その隙に佳世に接近したえりなは注射器の針を心臓に突き立て、カラフルなサイキック毒を流し込んだ。
「ガ……まだまだよ……勝負の神は、私を見捨てたりしないわ……」
佳代は口元の血を拭いながら祈りを捧げる。
すると全身に受けた傷や、切り取られた小指が瞬時に再生し、肉体が強化される。
戦いはまだ続く。
●
「喰らいなさい、灼滅者!!」
佳代は鋼鉄のトランプが舞う竜巻を生み出し、灼滅者達に放つ。
「ギャンブル、ギャンブルでゴザルか……そういえば、最近はオンラインカジノとやらも流行っているのでゴザッタか?」
飛んでくるトランプを次々と弾き落としながらウルスラが佳代に投げかける。
「あら、そんな便利な物が……あなた達を殺したら、やってみるわ」
佳代はトランプを手元に集めながら、ウルスラにそう返す。
「拙者は嗜まぬ故事情には疎いでゴザルが、基本賭け事はヤクザの資金源だって知り合いのヤクザさんが言ってたデース」
「関係ないわ。楽しいもの」
「ま、やっぱりそうでゴザルよな! ぶっちゃけ拙者にとってもどうでもいいでゴザルよ!」
ウルスラは魔導杖に魔力を込め、佳代の鳩尾に全力で叩き込む。
七色の光と共に放たれた打撃に、佳代の身体は大きく吹き飛ばされた。
「攻撃の援護、するの……!」
次の瞬間、茉莉が放った巨大な影が佳代の足元に喰らいつき、その動きを一瞬止める。
「その援護に全力で乗っかるでゴザルよ!」
ウルスラは首に巻いた空色の一枚布を手繰り寄せると、佳代に向けて放つ。
「ギャンブル狂いは死ななきゃ治らないでゴザルよ」
放たれた一枚布は佳代の胸に深く突き刺さり、大きく抉った。
「そろそろ限界が近づいてきてるんじゃないか?」
立て続けに光影が異形化させた拳を放ち、速く重い打撃を叩きこむ。
「グゥッ……嫌よ、まだ死にたくないわ……私はままだギャンブルしたりないわ!!」
佳代は吼えながらルーレットを回転させ、灼滅者達を斬る。
「何が、佳代をここまで狂わせた……?」
激しい攻撃が飛び交う戦場で、サズヤは静かに考えていた。
「淫魔と合う前から、多分……賭け事が、原因で……それ自体は、佳代の責任……けれどダークネスにならなければ、まだ元の生活に戻れたかも……んん、難しい」
深く思考を巡らせながらも、サズヤは両脚に炎を纏わせ、佳世の動きを見定めていく。
「佳世にとってギャンブルは……それまでの生活を壊してまで、やりたかったこと?」
サズヤは佳代にそう問いかけ、佳代はその問いに一瞬で返す。
「闇堕ちする前の私の事なんか興味ないわ……でも今の私は死ぬまで好きなだけギャンブルが出来る! それで十分よ!!」
闇堕ちする前の佳代の事はもう分からないが、己の快楽に忠実であり続ける淫魔にとっては、それがある種当たり前の思考なのかもしれない。
「……ん、やっぱり、少し難しい」
サズヤは僅かに眉を下げながら呟き、佳世に向けて駆け出した。
そして放たれた蹴りが胸を打つと、同時に放たれた爆炎が佳代の全身を包み込み、燃やす。
「…………もう一撃」
サズヤは更に鋼鉄の拳を佳代の脳天に叩きこむと、佳代はゆらゆらと後ろへ退がった。
「ギャンブルの楽しみはよく解らないですけど……貴女にとっては大きな魅力だったんでしょうね……」
えりなは佳代の身体に針を突き立て、その生命力を奪い取った。
「もう限界も近い筈……一気に仕留めましょう」
シャーロットは全身に影を纏わせながら佳代と対峙する。
「それでは、殺しましょうか」
そう呟いたシャーロットが、影で包み込んだ右腕、その指先に嵌められた指輪に、自身の魔力を込めていく。
「灼滅するしかない以上……私の手が血に濡れるのも仕方のないこと」
シャーロットの黒き指先から放たれた魔の弾丸を、正確に佳代の心臓を撃ち貫いた。
「ゲホ……! ふん、一見まともかと思ったけど、所詮はただの殺人鬼じゃないのよ……!」
佳代は赤い光を手に集めながら、シャーロットに接近する。
「そんな事はありません……と、思いますよ?」
そう語るシャーロットの口元は、普段から抑えた殺人衝動の反動からか、楽しそうな笑みが浮かんでいる。
「死になさい!!」
佳代は至近距離からビームを放つが、シャーロットは軽く身体を逸らして避け、全身の影を左手に集める。
「これは、中々キツイと思いますよ?」
シャーロットは佳代の腹に左手を叩きつけると、至近距離から影の弾丸を放ち、佳代の身体に大きな風穴を空けた。
「貴方の命もあと僅か……その死に際まで、しっかりと見届けさせてもらいますよ」
福郎は冥観刃からどす黒い風を放つと、佳代の身体を猛毒で浸食した。
「ガ、フ……!! 嫌よ……絶対に死なない、私は死なない、こんな所でツキに見放されるわけが……」
佳代は身体と口から血を流しながら、血走った眼で灼滅者達を睨み付ける。
「ギャンブルに溺れたら人生も崩壊するっていうけど、本当に悲惨な結末だね……」
大輔はボロボロになった佳代をみつめ、やや同情を含ませた声で呟く。
しかし次の瞬間、大輔の顔からその同情は全て消え去った。
「でも、俺が認める淫魔は唯1人……それ以外は全部灼滅するよ」
大輔はバベルブレイカー『翠玉』を構え、翡翠の杭を高速で回転させる。
そしてその杭を佳代の身体に突き立てると、骨を削り取りながら貫通させる。
「グアァァァアアァアア!!」
佳代は痛みに目を見開きながら後ろへ退がった佳代は、五本の赤いビームで大輔の身体を貫いた。
しかし大輔は動じることなく杖を構え、ゆっくりと魔力を充填させていく。
「お前はココで終わりだ……ダークネスは、必ず灼滅する」
そう言って大輔は佳代に接近し、灼滅者達が一斉に攻撃を仕掛ける。
サズヤが放った拳が佳代の顎先を打ち、
茉莉が放った黒猫の拳が、更に全身を打ち付ける。
ウルスラが突き出した槍が足を抉り、
光影が放った斬撃が肩を斬る。
えりなが放った音波が佳代の全身を弾き飛ばし、
シャーロットが放った無数の魔の弾丸が全身に突き刺さる。
福郎が突き出した刃が腹を抉り、
大輔が勢いよく杖を振り上げる。
「終わりだ」
大輔が叩きつけた杖から、膨大な魔力が流し込まれる。
「イ……嫌よ……私はまだ……遊び足りないわ……」
次の瞬間、佳代の体内で大きな爆発が引き起こされ、佳代の全身が燃え上がる。
その炎が消えると、佳代が立っていた場所には僅かな灰も残ってはいなかった。
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戦闘が終わると、アパートには再び静寂が戻った。
「やはり死体は残りませんでしたか……少し残念ですね」
福郎は戦場を見回しながら、残念そうに呟いた。
「終わったか……全員無事で何よりだったぜ」
「ん」
光影が投げかけ、サズヤは黙って頷いた。
「ココノエ、今日はよく頑張ったの」
「お父さんも格好良かったよ!」
茉莉とえりなが、共に戦った相棒の健闘を称えた。
「シャボリーヌは、絶対に許さない……」
人々を闇堕ちさせるシャボリーヌのやり口に、大輔は強い怒りを抱いていた様だった。
「それでは……誰かに気づかれる前に撤収しましょう」
「そうでゴザルな。付近の住民の目に留まっても面倒でゴザルよ」
シャーロットとウルスラが促し、一同は戦場を後にした。
こうして無事に、1体の淫魔は灼滅された。
未だアリエル・シャボリーヌは健在だが、いつか相対する事があるかもしれない。
その時に備え、今は戦いの傷を癒すとしよう。
作者:のらむ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年5月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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