地獄合宿~戦いは続く

    作者:邦見健吾

    ●終わらない戦い
     昨年、宿敵である刺青羅刹「天海大僧正」とスキュラ八犬士「安土城怪人」の勢力が琵琶湖周辺に集結し、激突しようとしていた。
     灼滅者たちは両者に攻撃を仕掛け、双方の戦力を削ることで衝突を避けた。しかし彼らはその後も戦力を増強し、愛知県内で睨み合いを続けている。

    ●決戦、小牧長久手の戦い
    「現在、天海大僧正の勢力が長久手市に、安土城怪人の勢力が小牧市に集まり、愛知県内で睨み合っています」
     五十嵐・姫子(大学生エクスブレイン・dn0001)が、灼滅者に対して今年の合宿内容の説明を始める。
    「戦略的な意味はないものの、対抗意識から引くに引けなくなり、一触即発の状況へ陥ってしまいました。このままでは名古屋を巻き込んで大きな戦いが起き、それをきっかけにダークネスの全面戦争に発展する可能性があります」
     そこで攻撃を仕掛け、激突を阻止するのが2015年地獄合宿・名古屋の合宿内容だ。
    「どちらか一方を叩いた場合は、反対側の勢力が有利になる可能性があります」
     決戦を防ぐならどちらか一方の勢力を攻撃するのが確実だが、結果的にとはいえ、ダークネス勢力に肩入れしたくないと考える者もいるだろう。
    「両者を攻撃した場合は、両勢力が一時的に手を結び、武蔵坂という共通の敵に対抗する危険があります」
     琵琶湖では両方を攻撃したが、今回も同様のことをすれば、またどこかで延々と睨み合いを続ける可能性もある。しかも戦力を大きく削るのは難しいため、直接敵対した時のリスクも大きくなる。
    「また、お互いの戦力は琵琶湖の時と少し違っています。注意してください」
     天海大僧正の軍勢は、慈眼衆を始めとする天海大僧正の配下の他、同じ刺青羅刹の鞍馬天狗の手勢、朱雀門高校の生徒やデモノイドが主力だ。
     さらに、サイキックアブソーバー強奪作戦で撤退した軍勢の一部、ウズメからの援軍、ウズメの同盟者であるアフリカンパンサーからアフリカンご当地怪人が少数、HKT六六六の殺人鬼、HKT六六六の淫魔などが加わる。
     安土城怪人の軍勢には、刀剣怪人やペナント怪人の他、アメリカご当地怪人やロシアご当地怪人、アンブレイカブルのレスラー、業大老配下と思われるアンブレイカブル、セイメイ配下と思われるアンデッドの軍勢、斬新コーポレーションの元社員などが参加している。
    「大規模な戦いになることが予想されます。決して気を抜かず、強い意志を持って臨んでください」
     どの選択肢にもメリットとデメリットがある。戦うだけでなく、選ぶこともまた求められているのだ。


    ■リプレイ

    ●急襲、長久手の陣
     市街の外れ、長久手市に入った灼滅者たちは、天海大僧正の配下である慈眼衆への襲撃を開始。敵が迎撃の態勢を整えるまでがチャンスだ。
    「長久手の名を持つ者として、いっちょ戦ってみますか!」
    「貴様らは……灼滅者!?」
     長久手を姓に持つ蛇目(d00465)が先陣を切り、羅刹たちに銀の弾丸を連射した。敵の足を止め、仲間たちの攻撃の布石となる。
    「はっはっは、この御仁たちはまだ睨み合っていたか!」
     僧侶らしくない高笑いとともに、景瞬(d13056)が前に出た。
    「今日は誰が死合ってくれるのかな?」
     不敵に笑う景瞬に敵も応じ、槍撃の応酬が始まった。
    「何か持ってるやつは……」
     絹代(d14475)は何かしらを使って無限存在を利用していると踏むが、それらしいものは見当たらない。今は縛霊手を叩きつけ、攻撃を優先する。勇士郎(d23204)はチェーンソー剣を振るって切り込んだ。
    「戦場を駆け回る事になるけど、頑張ろうね!」
     探求部は戦線を支えようと援護に回る。建物の裏から飛び出した結衣奈(d01289)はガトリングガンを構え、炎の雨で狼士を爆撃した。
    「的を絞らせません」
     藍弦(d01815)は後方から、手挟む符を投げて敵を催眠状態へと陥れる。神経を集中させ、不審な動きをしようとする敵を探しながら戦う。
    「一般の方々に被害が及ばないようにする。それが僕の、いえ僕達の目的です」
     弱った敵を冷静に見極め、統弥(黒曜の刃・d21438)が斬艦刀を振るう。長大な刃が、慈眼衆を斬った。
    「長丁場になりそうですからね、焦らず行きましょう」
     皆無(d25213)は槍を回転させて突き進み、攻撃とともに敵の注意を引く。狙い通り、慈眼衆の攻撃が皆無に注がれた。
    「矛盾を孕んでいようとわたし達は人間として貴方達と戦う。それが愚かと言われようとも!」
     地獄と化していく戦場に結衣奈の声が響き、探究部の戦いが続く。
    「お守りさせて頂きたいと思います。ノノ、ふわふわハート」
     はじめましての会のみくる(d13728)は慈眼衆の斬撃から仲間を庇い、同時にノノにハートを飛ばさせて回復した。
    「みんな回復するZ! どんどん攻めちゃってくれ!」
     洋(d30069)は力強い歌声を響かせ、全力で仲間の傷を癒していく。懐かしのアニメのテーマ曲が戦場に響いた。
    「敵の足止めは任せてください! 徹底的に邪魔してやりますよ! ジャマーなだけに! ふへへへ」
    「……あ、うん、任せたよー?」
     論人(d32898)がサムズアップしてボケるが、ガーゼ(d26990)の反応は鈍い。
    「ヤバイ、スベッた……。これもそれも全て天海大僧正が悪いんだぁ!」
    「的はこっちだよ」
     ガンナイフを撃ちまくって八つ当たりすると、ガーゼは青色の交通標識から光線を放ち、敵の攻撃を誘導した。
    「んじゃ、やっつけに行くぜ!」
     レイシー(d05861)はどす黒い殺気を解放し、敵を呑み込んで歴史民俗学部の先陣を切る。せっかく歴史を学ぶ学部だからということで首を突っ込みに来たのだ。
    「天海僧正の力を、これ以上、広げさせはしない。ここで、お前たちを止める」
     同じく歴史民俗学部の朔夜(d05997)は断罪輪を構え、自身の体ごと回転させて敵を切り裂いた。
     リアン(d15736)は内心不機嫌ながらも光纏う拳を振るい、無表情で慈眼衆を打ちつける。冷静な打撃が羅刹を吹き飛ばした。
    (「まさか初めての親睦会がこうなるとは……」)
     綾鷹(d10144)は相変わらず無茶な学園に苦笑し、跳び蹴りを繰り出した。霊犬の義龍も追撃をかける。無事帰れたら、改めて普通の親睦会をしたいものである。
     歴史民俗学部のこの戦いも、いずれ歴史の一部になるのだろうか。
    (「慈眼衆……分割存在でありながら現世に喚ばれるもの。どこから湧いている?」)
     戦いの最中、有無(d03721)は情報を掴もうと敵の動きに気を配る。だが乱戦では思うように移動することも難しい。
    「……私はスサノオの事を知りたい。知らなければならない」
     スサノオが慈眼衆にいるのが人狼として気にかかり、友衛(d03990)も情報収集を図る。友衛の槍と狼士の刀がぶつかり、残響音を響かせた。
    「私も手伝おう」
     そこに磯良(d05091)が加勢し、ダイダロスベルトを矢に変えて狼士を撃ち抜く。狼士の剣が流星のように迫るも、霊犬の阿曇が盾となって代わりに受け止めた。
    (「小牧・長久手の戦いか……」)
     勇騎(d05694)は腕を異形化させ、刀を持つ慈眼衆を叩いた。人間の知る歴史がどこまで本当なのか疑問に思っており、他勢力の出現に警戒しながら戦闘を続ける。
    「回復は任せて、戦いに集中して!」
     光輪の盾を飛ばし、仲間の傷を癒す綾子(d15852)。天海大僧正を一目見たいところだが、慈眼衆の反撃はそれを許さない。雨(d23777)は横槍が入らないよう護符で敵の動きを妨害する。
     シャドウハンターを中心とするクラブ・soul board diversからは紅緋(d01389)らが集まり、鞍馬天狗やウズメから派遣された刺青羅刹と戦う。
    「力試しです。刺青羅刹の方、お付き合い願いますよ」
    「舐めんじゃねえ!」
     拳をぶつけ合うとビリビリと力が伝わり、強敵だということを実感させられる。
    「烏天狗……とやらはなぜ新大陸に?」
    「ああん?」
     シャルロッテ(d16038)は問いながら法陣を展開するが、羅刹は答えを返さない。しかしこれも予想の範疇か。
    「天海大僧正も安土城怪人も、まさか学校行事で攻撃されるとは思わないだろうねー」
    「何か言ったか?」
     糸括の部員たちも他の羅刹と戦闘に入った。和奏(d03706)は羅刹の拳を正面から受け止めると、狼の銀爪を突き立てて反撃する。
    「サポートは任せて。思いっ切り、行っちゃっていいからね!」
     ミカエラ(d03125)はオーラを癒しに転じ、傷ついた数奏を回復させた。息の合った連携で羅刹の攻撃を凌ぐ。
    (「羅刹たちは刺青を奪い合っているんじゃなかったっけ?」)
     ダイダロスベルトを伸ばし、杏理(d16834)もフォローに回る。刺青は奪い合う物と記憶しているが、なぜ今共闘しているかが気にかかる。
     千尋(d07814)が後衛から飛び出し、サーベルとデモノイド寄生体を一振りの大剣に変えて真っ直ぐに斬り下ろした。心情的には吸血鬼を灼滅したいものの、今は羅刹に集中だ。
    (「鞍馬天狗は朱雀門の生徒会長の目論見に気付いてんだよな?」)
     明莉(d14267)はオーラを宿した拳を連打し、羅刹を打つ。気になるところではあるが、聞いて答えてくれる相手でもない。
    「まさに合戦って感じだね」
     周りを見回せば複数の勢力が蠢いている。渚緒(d17115)は黄色に変わった交通標識で照らし、仲間に耐性を与えた。
    (「……まだやってたんだな」)
     睨み合っていた両勢力に呆れつつ、脇差(d17382)は刀を抜き放つ。死角から斬撃を見舞い、敵の足を鈍らせた。
    「今回こそ白黒を付けたいですね」
     理利(d23317)は太刀を抜き、空を切って斬撃を飛ばす。名古屋がどうなるのか、終わってみるまで誰にも分からないだろう。
    「ウズメの居所を答えろ!」
     あおぞら空想部のメンバーは軍服の羅刹と戦う。銀都(d03248)は突進し、炎纏う蹴りを見舞った。
    (「頑張ったらいいことあるかな?」)
    「死ねぇ!」
    「ごっ!?」
     余計な考えが頭をよぎり、羅刹に殴られる銀都だった。
    「うずめ様のことお好きですか?」
    「貴様らに話すことはない」
     蓮(d21742)の問いを羅刹は斬って捨てた。それでも霊犬のルーとともに銀都を回復させ、しぶとく立ち回る。
    (「ついでのようにする戦いではないでしょう!」)
     個人的な心情から琴(d25034)は慈眼衆との衝突を避け、部外から加勢した。飛びずさるとともに足元から影を伸ばし、刃に変えて切り裂いた。
    (「こいつら……人の地元で何てことすんだ!」)
     愛知をご当地とするヒーロー、鎗輔(d12663)は霊犬のわんこすけともに、羅刹の中を駆け抜ける。情報を集めたいところだが敵が多く、ただ戦うだけで精一杯だった。
    「軍艦島では世話になったな、灼滅者ども!」
     アフリカンパンサー配下・高菜ガゼル怪人に対するはKILL SESSIONの灼滅者たち。
    「青函トンネルから戦いばかりだけど、ディスカッションの練習よりはマシだな!」
     エルメンガルド(d01742)はダイダロスベルトを矢に変えて射出し、敵を穿った。
    「敵がよりどりみどりってのも困りもんだなァ」
     さらに葉(d02409)が槍を突き立てて追撃し、螺旋描く一撃がガゼル怪人の胸を抉る。
    「はあ!」
    「大勢でバラしあいっこは爽快だなァ、オイ!!」
     怪人が鋭く尖った角を伸ばして襲いかかるが、錠(d01615)はクルセイドソードで切り払い、白い光を放つ一閃を浴びせる。
    「アフリカン怪人は緑化活動に励んでいるからまあいい……わけないですね」
     由乃(d12219)は纏うオーラを拳に集め、目にも留まらぬ連打を叩き込んだ。奇襲は成功といえど敵戦力は多数。死闘になりそうだ。
    「サーイ!」
    「よっしゃ。お前ら行くぜ!」
     露草庵の相手は豚骨サイ怪人。御伽(d15646)は楽しそうに笑うと先陣を切り、炎を纏うナイフで分厚い皮膚を切り裂いた。
    「サイ!」
    「ハイハイ、届いてないカラね」
     サイの突進を、洋剣を構えた嵐(d15801)が受け止める。仲間に視線を送り、仕留めるように促した。
    「どうぞ存分に戦ってくださいませ!」
     音雪(d19981)はナノナノのちまきとともに傷ついた嵐の傷を癒し、仲間を支える。符の力がダメージを取り除き、異状への耐性を与えた。
    「前はお任せしましたよー、よろしくお願い致します」
     鈴音(d14635)が杖を怪人に向けると、雷が迸る。雷は空気を突き抜け、敵を撃ち貫いた。
    「長々といられても迷惑なんだよ!」
     さらにそこに、クラブ外から犬太郎(d20640)が参戦。ライドキャリバー ・ニャンダバーレッドとともに突進し、サイを蹴った。
    (「一枚岩ではないと思いますが」)
     天海側には多勢力が集まっているが、それが付け入る隙だと悠花(d24781)は思う。遠間から一気に近づき、棒を叩き込んで魔力を注いだ。

    ●小牧に潜む者達
     一方、小牧市の安土城怪人勢にも灼滅者の攻撃が及ぶ。殲術再生弾がない以上、灼滅者勢は敵が反撃に転じる前に打撃を与えなければならない。
    「世に戦のあるところ、必ず慈眼衆あり! デスよ!」
    「世迷言を!」
     あきら(d00502)は慈眼衆を騙り、刀剣怪人にガトリングガンを連射。すぐに見破られてしまうが、その瞳は生き生きと輝く。
    「刀剣怪人! 俺のクラブに来て、刀剣について語らねえか?」
    「笑止!」
     シュバルツ(d00546)の振り下ろした斬艦刀を、刀剣怪人は自身の体である刀で迎え撃った。刃が正面から衝突し、火花が散る。
    「姓は常儀、名は文具。参ります!」
     文具(d25406)は名乗りを上げ、剣を握って迫る。飛来する斬撃を霊犬・糊が受け止め、霊体の剣で怪人を貫いた。
    「初めまして! わたしは大夏・彩だよ。早速だけど帰ってくれない?」
     光の盾で敵の攻撃を誘い、文具のサポートに回る彩(d25988)。癒しの矢を放ち、仲間の傷を癒す。
    「敵は小牧にあり!」
     断罪輪を装備し、十十十(d26079)は慈眼衆ごっこをしながらペナント怪人に突っ込む。際限なくテンションが上がり、自身の体ごと断罪輪を回転させてペナントを斬った。
    「これから毎日安土城怪人を焼こうぜ? 安土城は吹き抜け構造で炎上し易かったそうじゃねえか」
     攸(d33379)はコートの裾を伸ばして敵を拘束すると、手にしたお化け提灯の口が開いて火の玉を吐き出した。
    「我が名は斬影騎士”鎧鴉”! 共に烏に連なる者よ! いざ尋常に勝負!」
    「名乗りを上げたな。よかろう、その勝負受けてやる!」
     切先が両刃になった怪人を発見し、正流(d02428)が勝負を挑む。
    「さぁ、戦劇を始めようか!」
     同じくクラブ・鉄鴉に属する律希(d03629)もシールドリングの光で正流の名乗りを演出。防御力を高めて支援に回る。
    「無双迅流! 冥王破断剣!」
     正流の振り下ろした豪快な一撃が、怪人を斬った。
    (「……何で対立してるんだ?」)
     実(d03786)は光の盾でペナント怪人の攻撃を受け止めながら目線を動かす。安土城怪人やご当地幹部の思惑が気になるが、それを知る術はない。
    「一堂に会して、祭りみたいな賑いだな」
     安土城怪人との対面を目指し、キィン(d04461)はペナント怪人たちと戦闘を開始。左手を振るい、籠手から飛び出した手裏剣で敵軍を攻撃した。
    (「誰かが傷つくのは見ていられない」)
     紫姫(辰砂の瞳・d09272)が縛霊手を構えると、黒い羽が舞い散り、同時に敵を停止する結界が展開される。今は何より、戦力を削るのが先決だ。
    (「……気に喰わない」)
     主を失っても平然と自分の目的のために動く安土城怪人が、リステア(d11201)は気に入らなかった。紫姫とタイミングを合わせ、炎の奔流を重ねる。
    「いま治療しますねっ!」
    「怪我の治療は、私と空煌君に、まかせてくださいね」
     ペナント怪人が一斉にビームを照射するが、空煌(d33265)とシェスティン(d28645)がフォローに回る。空煌が癒しの力を秘めた矢で射抜き、回復と同時に眠っていた感覚を呼び覚ます。シェスティンは喉を振るわせ、混沌とした戦場に天上の歌声を響かせた。
    「撃ち抜くデース!」
    「国籍は違ってもヒーローと怪人、惹き付け合う宿命なのさー」
     朱毘(d07844)たちは頭部が拳銃になったアメリカン怪人と対峙していた。地面に杭を撃って衝撃波を放ち、ライドキャリバー・イチマルの機銃とともに動きを止める。
    「ご当地怪人……容赦はしない」
     その隙を突き、妹の風蘭(d16178)がライフルから山形のガイアパワーを込めたビームを照射。光条が怪人を呑み込み、その体を焼いた。
    「さぁ、ヒーロータイムだ!」
     バトルコスチュームに身を包んだグラン(d28548)が戦場を突き抜け、怪人に迫る。至近距離まで近づくと、オーラを拳に宿して連打を見舞った。
    「アメリカに帰って反省してください!!」
    「ご、誤射だと!?」
     星(d33720)は構えたガンナイフに影を宿し、怪人の懐に飛び込んだ。至近距離から斬撃を浴びせ、影が乗り移ってトラウマを呼び覚ます。
    「ロシアンタイガー様の仇ぃ!」
     怒りの形相で灼滅者を睨むのはロシア怪人・プリャーニクノフ。コサック戦闘員も一緒だ。
    「因幡ビームウワァ!」
     ウワァは語尾で、別に悲鳴を上げているわけではない。羽和(d26729)は手を耳の横に当てて兎の真似をし、純白の光線を放った。
    「おおおおおっ! 変身っ!!」
     士(d32706)は怪人に向かって突進しながら殲術道具を解放し、バトルコスチュームを纏う。蜂蜜ウェーブに呑み込まれるがすぐに立ち上がり、大剣を振り下ろした。
    「誰が呼んだか知らないが、全てが謎に包まれた『謎のサムライヒーロー』の登場だ!」
    「謎のまま死ね!」
     フルフェイスのヘルメットで素顔を隠しリリィ(d33874)が参上。愛刀を構えてポーズを決めると、全力の拳で殴りつけた。
    「さあ、戦いだ」
     安土城側にはアンブレイカブルも参戦していた。やはり強者と戦えればそれでいいのだろう。
    「凍土に去りし冬将軍よ、汝の残せし息吹をもちて、世界を白く染めよ!」
     アリス(d00814)が手をかざすと、不可視の術が敵の熱を奪った。殲術再生弾が欲しいところだが、弾数に限りがあり簡単には使えない。
    「おおお!」
     冷却の術を食らったアンブレイカブルに、嘉哉(d08263)が燃えたぎる拳を打ちつける。炎が敵を包み、パチパチと空気が焼ける音が鳴った。
    「ひゃっはー! 俺とも勝負しろー!」
     紅蓮の闘気を纏い、利戈(d15666)が突進。拳を連打すると、すぐ飛び退いて距離を取る。残念ながら因縁の相手はいないものの、目の前の相手に集中する。
    「僕は雄哉。手合せ願おう」
    「おう!」
     人造灼滅者である雄哉(d31751)はダークネス形態になり、ウロボロスブレイドを振るう。業大老の所在を尋ねてみたが、相手は聞く耳を持ち合わせていなかった。
    「さあ、こい!」
    「皆さん楽しみましょう!この戦いを!」
     梁山泊が相対したのは、ケツァールマスクの配下と思しき覆面のレスラー。心太(d10363)が飛び出し、正面から拳をぶつけ合う。
    「やっぱり強い相手と戦うと楽しいですね。あなたも楽しめていますか?」
    「もちろんっ!」
    「将がいきなり先陣切るのはやめて欲しいよね」
     理央(d01858)が後に続き、鋼の拳でレスラーを打つ。彼らの上にいる者の思惑はともかく、後腐れなしで戦える相手は気が楽というもの。
    「私達の全力で挑ませて頂きます」
     妖気帯びる槍を水平に薙ぎ、静菜(d02781)が氷柱を飛ばした。信頼出来る仲間との共闘は楽しいもので、不思議と体が軽く感じる。
    (「名古屋って美味しいものいっぱいあるわよね……」)
     が、それを味あわせてくれないのも判っていた。来年は普通の合宿ができることを願って、春陽(d17714)は標識で殴りつける。
    「まあ、俺ららしく行こうか」
     前衛を仲間に任せ、小次郎(d15614)が霊縛手を構えた。霊縛手から祭壇を展開し、構築した結界で敵の動きを鈍らせる。
    「あくまで合宿だからな、戦争と違って無理は効かんから程々にな」
    「ははは!」
     倭(d11721)がレスラーの前に立ちふさがり、盾となりながら手裏剣を投げつけた。しかし毒に蝕まれながらも、レスラーは愉快そうに笑う。
    「さあ、俺も楽しませてくれるかな?」
    「もちろんです!」
     ロストリンク邸は力を合わせ、豹覆面のレスラーアンブレイカブルと激戦を繰り広げる。燐(d06868)がレスラーにガトリングガンを向けて無数の火弾を撃ち出すと、光明(d07159)もロッドを叩き込む。
    「おおおお!」
    「僕に任せてください」
     レスラーが光明を投げ飛ばすが、朔夜(d02935)は霊縛手で指差して霊力を送り、ダメージを取り除いた。
    「はっはぁ!」
    「……ド派手な技の方が映えるのかな?」
     ライラ(d04068)はレスラーの突進を臆することなく迎え撃ち、鬼のそれと化した拳を力任せに叩きつけた。だがレスラーは獣のごとく肉体を躍動させて再び襲いかかる。
    「とう!」
    「良い一撃だ。こちらからも返礼といこう」
     レスラーの鋼鉄の拳を、久遠(求道者・d12214)が真正面から受け止めた。足に力を込めて踏みとどまり、固く握った拳を叩き込んだ。
    「プロレスを悪用するなんて許せないからね♪」
    「ははは! 負けんぞ!」
     部外から愛(d33591)も駆けつけ、腕を掴んでレスラーを投げ飛ばす。レスラーも負けじとすぐ立ち上がり、ダイビングプレスを繰り出した。
    「さ、私達も行くわよ!」
     まずは由宇(d01218)が気功の砲弾を撃ち出し、RiskBreakerから参加した灼滅者たちはHKTに扮してアンデッドの群れに攻撃を開始する。
     八雲(d01991)もシャツを着用し、漆黒の弾丸を放った。暗い想念が毒となり、死してなお動く者を蝕み始める。白骨死体に取り囲まれると、威司(d08891)はダイダロスベルトを鴉の翼のように広げ、意思持つ帯が舞い散る羽のように敵群を呑み込んだ。
     黄色いシャツに袖を通し、耀(d31795)もロッドを叩き込んでは退いて、ヒット&アウェイで攪乱を図る。葉(d31920)はライフルを構え、銃口から冷たい炎を放った。敵群を包み込み、炎が揺らめく。
     由宇たちはHKTに偽装して武蔵坂であることを隠そうとしているが、単身でダークネスに及ばない灼滅者の身では成りすますのは難しい。が、何より敵の多くが意思持たぬアンデッドでは偽装工作の意味はなさそうだ
     露香(d04960)はマテリアルロッドでアンデッドを打ち、一体倒しては離脱して身を隠す。物陰から様子を窺うが、何の変哲もないアンデッドばかりで特徴は見当たらない。
    「さーて、地獄合宿の始まりですーん。参りましょう、鳴滝さん、皆!」
     馨麗(d09921)とともにいるのは、昨年度まで同じクラスだった者たち。ゾンビの打撃を霊犬の鳴滝さんが受け、馨麗は両手を重ねて気功の砲弾を撃ち出した。
    「このメンバーでってあまりないから、いい機会だよね。行き当たりばったりな連携見せてやろう!」
     殊亜(d01358)はライドキャリバー・ディープファイアを突撃させると、剣に炎を走らせて一閃。
    「ほらほら、皆やっちゃっていいよ。いやー仲間っていいねぇ」
     地面に杭を撃ち込み、衝撃波でアンデッドの動きを止める黒白(d00593)。高みの見物といきたいが、アンデッドは波のように押し寄せる。
    「さって、私達の本領、存分に見せてあげるわよ!」
     巫女(d01423)は動きの鈍ったアンデッドにウロボロスブレイドを振るい、龍のようにうねる刃で敵群を切り刻んだ。
    「指揮官はどこだ?」
     ASCALONの黎嚇(d01695)は視線を動かして指揮官を探すが、アンデッドの層は厚い。剣の刀身を霊体化し、実体のない剣でアンデッドを深々と貫く。
    (「慈眼衆サイドに阻止しておきたい計画でもあるのか?」)
     アンデッドが押し寄せて次々に攻撃してくるが、国臣(d31009)がダイダロスベルトを伸ばして包帯のように仲間を包む。
    「すまん、助かる」
     国臣から回復を受け、ユージーン(d27018)は斬艦刀を豪快に振り下ろした。斬艦刀はあまり使わない得物だが、ここで試してみるのも合宿らしいかもしれない。
    (「あんま無理はできひんな」)
     投扇興遊技部もアンデッドの駆逐に。小町(d15372)は慎重に狙いをつけ、弱ったゾンビの首を大鎌で刎ねた。戦いに不慣れな者もおり、深追いは禁物だ。
    「できるだけがんばるネ!」
     トレイシー(d21398)がプリズムの十字架を生み出すと、そこから無数の光線が迸り、アンデッドを撃ち貫いた。風華(d33687)は偵察のあと箒から降り、戦線に加わる。距離をとって狙いをつけ、雷の魔術でゾンビを射抜いた。
    「まさか地元の愛知県が戦場になるとはな……」
    「何が斬新だよ……」
     流希(挑戦者・d10975)は鎗輔と連絡を取ろうとして、スーツを着崩した男を発見した。斬新コーポレーションの元社員と判断し、光剣で一太刀浴びせる。
    「灼滅者め……!」
    「自分のやりたい事をやり通すのが武蔵坂流でござる」
     男はナイフを抜くが、そこに木菟(八門継承者・d12081)が参上。旋風伴う回し蹴りを見舞うと、男はそのまま倒れた。

    ●鬼と組む吸血鬼
    「武蔵坂……こんなところにまで!」
     天海勢力には朱雀門の生徒やデモノイドも加わっている。それは脅威ではあるが、今は同時に攻撃する好機でもある。
    「勝った側が我々の敵になるだけだ。ならば共々葬り去るしかあるまい!」
     聖羅(d33961)ガトリングガンを構え、先制攻撃。銃身の回転とともに弾丸の雨が降り注ぎ、朱雀門の生徒たちを襲った。
    「おおおおおおお!」
     悟(d00662)は槍をプロペラのように振り回し、斬撃の車輪と化して突き進む。敵中に1人孤立するが、相棒の想希(d01722)も駆けつけ、背中合わせになって敵と対峙する。
    「頑張ったら夕飯俺の好きなもんにしてくれるか?」
    「ええ、おかわりし放題もサービスです」
    「よっしゃあ!」
     2人で槍を重ね、混乱する吸血鬼たちをさらに追撃した。
    「新調した装備を試すにはうってつけかな」
     蒼司(d31532)は魔導書を広げ、朱雀門の生徒たちに手をかざす。不可視の術が敵から熱を奪い、その体を凍らせる。
    「お前たちは何のために戦っている?」
     武蔵坂と同じく学園を基盤とする朱雀門の生徒に、明彦(d33618)は興味があった。答えは返ってこないが、白光放つ剣を振るい、自身の肉体を強化する。
    「ここにも戦力を送ってきたっすか。気に食わないっすね」
     クラブ・天剣絶刀の面々も、朱雀門への攻撃に回る。まずギィ(d01039)は斬艦刀を斜めに切り下ろして牽制。さらに陽和(d02848)が腕を狼のそれに変じさせ、銀に光る爪を突き立てて吸血鬼の翼を引き裂く。
    「返り討ちにしてやるわ!」
    「させません」
     朱雀門女子が指差す先に逆十字が現れ、陽和を引き裂いた。しかし空凛(d12208)がダイダロスベルトで包み込み、霊犬の絆が癒しの眼差しを送る。
    「芦屋市で何を狙っているのですか?」
     玲那(d17507)は攻撃を受けた自身を回復させながら問うが、答えは返ってこない。ここにいるのが朱雀門の全軍というわけでもないので、他方面に出向いた者がここにいなくても不思議はないだろう。
    「一矢報いさせてもらうぞ」
     孤立しないよう仲間を追いかけつつ、日和(d33461)は怪談を語って触手を出現させた。粘液を帯びた触手が伸び、朱雀門の生徒たちを襲う。
    「ここで叩くっすよ!」
     豪快に斬艦刀を叩きつけるギィ。天剣絶刀は連携をとり、混乱した吸血鬼を少しずつ撃破する。
    「御首頂戴いたします。お覚悟を」
     ケイ(d01149)は銅鑼を打ち鳴らして宣戦布告、エアシューズを滑らせて黒い翼を生やした男子生徒に迫り、炎熱纏うローラーを叩きつけて蹴りを見舞った。
    「情報収集……どころではありませんね」
     倒した敵に交渉を持ちかけようとするユーリー(d21055)だが、今は乱戦の中であり、残念ながらその余裕はない。
    「まったく、合宿でダークネス同士の戦いに乱入するなんて……とんでもないわね、この学校」
     元々病院に所属していた春香(d33760)は武蔵坂の無茶に呆れつつ、チェーンソー剣を振るう。小さな刃が回転してデモノイドを巻き込み、青い体躯を抉った。
    「去年は学園を襲撃されたから、たっぷり仕返しするよ!」
     登(d13258)らは同じクラスの仲間でともに戦う。登はライドキャリバー・ダルマ仮面に跨って突き進み、シールドバッシュを繰り出した。
    「我々は宿敵朱雀門学園を討つため安土城怪人と同盟した。天海殿覚悟されたし!」
     嘘を口にしながら、螺旋渦巻く槍を突き立てる藍(d22880)。これで朱雀門の立場も多少悪くなるといいのだが。
    「藍ちゃん、竹尾君、飛び出し過ぎないでくださいね」
     ギターを構え、清美(d15451)とナノナノのサムが支援に回る。ギターをかき鳴らし、仲間への精神攻撃を吹き飛ばした。
    「クラスの皆にみっともない所は見せられないからね。頑張ろう、中君」
     ビハインドの中君に壁を任せ、良太(d18057)は敵を狙い撃っていく。気功の砲弾が飛び、吸血鬼を打つ。菜々乃(d18427)はエアシューズで加速して敵の中に切り込むと、勢いのまま回し蹴りを繰り出し、旋風とともに敵を蹴散らした。
    「争いを――」
    「うるさい!」
     dreiFedernの美優(d31118)は戦いを止めようと制服姿の吸血鬼に呼びかけるが、当然相手は聞く耳を持たない。唇を噛み、符を放って結界を構築した。
    「仲良くお友達になりましょう!」
    「ふざけるな!」
    「よろしいならば串刺しだ!」
     吸血鬼に憧れる雨月(d33852)だが、思い切り拒絶されたので、串刺しにしようと杭に似た槍を突き立てる。
    「ベレーザを中々倒せなかった責任があるからな。デモノイドだけは1匹でも減らす!」
    「オオオ!」
     アシュ(d01681)はデモノイドに銃口を向けて引き金を引く。狙い澄ました一射が、弧を描いて突き刺さる。
    (「睨み合いが終わればいいが」)
     デモノイドが朱雀門生徒の指示を受けているのを確認し、純也(d16862)は右腕を砲台に変える。死の光線が砲口から迸り、敵を侵し始めた。
    「それじゃ皆、準備OK?」
     学生寮『蒼鳥』もデモノイドの討伐に加わる。ユリアーネ(d23999)の言葉にそれぞれ頷き、空気が変わる。
    「夜雲、真宙、BGMを頼む」
    「お好みのナンバーは?」
     エリザベス(d07944)の声に応じ、夜雲(d22308)と真宙(d26553)が演奏を始めた。
    「Let's rock 'n' roll!」
     エリザベスと討魔(d29787)は笑い合うと、ガンナイフとガトリングガンを連射して銃弾の嵐を起こす。
    「幸運を呼ぶ蒼い鳥……でも、今日ばかりは不幸を呼ぶ凶鳥ってね! でしょ、リズ?」
    「あぁ、そうだな。だが……それは空を舞う凶鳥ばかりではないぞ。地を這う黒猫もまた、だ」
     エリザベスが不敵に笑い返し、ユリアーネの足元の影が鳥の形を成す。
    「みんな、ファイトだよ!」
    「何か、ノッテキターー」
    「HurryHurryHurryHurry More Come to me!」
     真宙は激励とともにギターを奏で、夜雲は激しくギターをかき鳴らして音波でデモノイドを襲う。そして討魔は手当たり次第に弾をばら撒いた。
    「探している相手はいるか?」
    「いや」
     デモノイドとの戦いの中、昴(d09361)が相棒の黒斗(d10986)に尋ねるが、黒斗は首を横に振る。
    (「次こそ……狩る」)
     残念ながら仇敵はいない。意識を切り替え、昴が壁になりながら2人でデモノイドに斬撃を見舞った。
    「新型はいないか」
     戦場に出ているデモノイドの形状を確認し、セレス(d25000)が呟いた。少なくとも、今見えているのは既知の型だ。
    「他のダークネスもいないね」
     樹斉(d28385)は事前情報にない勢力の介入も警戒していたが、どうやら杞憂だったようだ。セレスがナイフを振るって毒の風を吹かせると、樹斉も冷たい炎で敵を包んだ。
    「シャドウはどこにいる……?」
     蝶胡蘭(d00151)たちスーパー銭湯部の面子はアガメムノンの勢力を探すが、その影はどこにもない。なおアガメムノンが参戦したのは武神大戦獄魔覇獄なので完全な勘違い。金ピカの印象が強かったのか、ボスコウを倒したことを自分で忘れてしまっているのかもしれない。
    「あ、あれは!」
    「礼を言うぞ、灼滅者」
     綾(d13622)が指差す先、首輪をしたヴァンパイアが笑む。ご丁寧に蝙蝠型の眷属の大群も。
    「私め達が勝った暁には靴下を――」
    「ならば俺は貴様らの血をもらおう」
     蕪郎(d14752)とナノナノのみずむしちゃんが挑みかかるが、逆に紅蓮に染まる爪と眷属の群れに襲われる。
    「ノオオオオオオッ!」
     さらに赤い逆十字が現れ、ハリー(d18314)の精神ごと切り裂いた。さらに機械の甲殻を持つ蟹の眷属まで湧いてきて、不測の事態に悲鳴を上げる。
    「やばい、逃げるで!」
     七音(d23621)の放った炎が眷属を凍らせるが、吸血鬼を倒すには至らない。何とか態勢を立て直し、スーパー銭湯部の面々は地獄から逃げだした。
    「あら、困ったわね」
    「鋭き真理の剣戟、ヴォーパルの神霊剣!」
     天海側にはHKTからも援軍が。アリス(d03765)が遭遇したのは豊満な体の淫魔。刀身が空色に溶けて火のように揺らめき、淫魔の魂を貫いた。
    「アリスお嬢様は傷つけさせませんわ! 白兎の疾風、とくと御覧あれ!」
     ミルフィ(d03802)はエアシューズで駆け抜け、淫魔に迫る。スカートが舞い上がるのも構わず足を振り上げ、蹴りを見舞った。
    「ヒハ、ヒハハハハ!」
    「はっ、死にに来たのか?」
     織久(d08504)はHKTの六六六人衆を見つけると、不気味な笑い声を上げて黄色いシャツの少年に大鎌を振り下ろした。一閃がシャツのロゴごと切り裂く。
    「織久先輩は六六六人衆しか狙わないよねー。わっ!?」
     翔(d23830)は槍をデモノイド寄生体に呑み込ませ、大剣に変えて振り抜いた。しかし敵の反撃を受けて吹き飛ばされる。
    「大丈夫? 怪我だけは気をつけなよ」
    「とと、兄ちゃん回復サンキュー!」
     颯(d10661)は翔を受け止め、オーラを集めてその傷を癒した。さらにビハインド・綾とタイミングを合わせ、ウロボロスブレイドを振るった。
    「さて、狩りと行きましょう。柚貴さん」
    「おう、ぶっ飛ばすで、雨堂」
     亜理沙(d28216)と柚貴(d28225)も駆けつけ、六六六人衆に追撃をかける。
    「おっと、こっちだよ」
    「ブチ抜けッ、螺穿槍ぉッ!」
     亜理沙が死角から飛び出して鋭い蹴りを繰り出すと、柚貴は螺旋を描く槍を突き立て、敵を抉った。
    「来いよ殺人鬼、俺が斬り捨ててやる……クハッ、ハハハ!」
    「おっと。あんま突っ走んなよ」
     ヘイズ(d31821)は愛刀を抜いて斬撃を見舞い、顔を血に染めて殺し合いに興じるが、敵からの攻撃を雷歌(d04073)が代わりに受け止める。
    「行くぜ、オヤジ!」
     雷歌はビハインドの紫電とともに刀を構え、同時に殺人鬼を斬りつけた。周りに気を配りつつ、自分の戦いにも集中する。

    ●嵐のあとに
     安土城怪人勢に打撃を与えた灼滅者たちは、泥沼に陥って逃げられなくなる前に地獄から引き上げていく。
    「くっ、灼滅者どもめ。好き勝手しおって……」
     灼滅者たちの攻撃を受け、傷ついた刀剣怪人とペナント怪人たち。集中攻撃を浴び、灼滅されてしまった者もいた。
    「おーい、知らせがあるぞー!」
     しかしそこに、1つの知らせが届いた。その内容を聞き、怪人たちがざわめく。
     一方、天海大僧正側に攻撃していた灼滅者たちも続々と撤退を始めていた。
    「天海大僧正に伝えなさい。一般人を巻き込むなら、私達学園の者は必ず障害として立ちはだかるでしょう」
     沙月(d03124)は去り際に、渦巻く風を刃に変え、慈眼衆目掛けて解き放つ。その言葉は宣告というよりも、予言に近いかもしれない。
    「引き際を見誤るな。介入はもう十分だ」
     朱雀門と戦っていた厳治(d30563)もこれ以上の継戦は危険と判断して、美優と協力し、興奮する雨月を引っ張って戦場を後にした。dreiFedern、撤退完了だ。
    「灼滅者め……ん?」
     態勢を立て直そうとした慈眼衆の1人が異変に気付いた。バベルの鎖が脅威の接近を知らせる。
    「慈眼衆、覚悟!」
    「貴様ら、安土城怪人の手勢だな……!」
     そして慈眼衆の前にペナント怪人の大群が現れた。多くの勢力から助力を受けたのが災いしたのか、灼滅者から受けた被害は天海大僧正勢力の方が大きかった。結果、態勢を立て直した安土城怪人勢が総攻撃を仕掛けたのだ。
    「くっ、このままでは……!」
     刀剣怪人たちの一斉攻撃に押される慈眼衆や朱雀門のダークネスたち。ここ名古屋の戦いは、おそらく安土城怪人が勝利を収めることだろう。

    作者:邦見健吾 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年5月11日
    難度:簡単
    参加:153人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 20/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
     あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
     シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
    ページトップへ