彼……水島という男も、この水族館が大好きだった。
好きすぎて自宅を水槽だらけにしたあげく、キレて水槽を木っ端みじんにした彼女を殺したのが最初の殺戮である。
それ以来、魚嫌いの人間ばかりを選んで殺し続けてきた。
そうして殺戮の日々を送っていた彼が沖縄で出会った、日本で一番美しく大きな水族館。
大きな水槽をゆったりと泳ぐ魚たちを見ているだけで、自然と笑顔になれたのである。
年間パスポートを手に入れ、毎日のように水族館に通った日々……それは、水島が最も笑顔に満ちていた頃である。
「ああ、ここを守って、殺して、過ごすのが俺の役割だったんだ」
ふと、水島の前にスマイルイーターと名乗る男が現れた。
「殺戮ランキングなんてつまらない。HKT六六六で、思う存分楽しまないか」
「ああ、ランキングなんて気にせず好きな奴だけ殺して生きていきたい。ぜひ参加させてくれ」
そう嬉しそうに水島が笑ったのも、この時だけであった。
水島の笑顔に、彼はブチ切れ。
完膚なきまでにたたきのめされたあげく、スマイルイーターはこう言った。
「魚は笑わないだろ? だったら君も気持ち悪い笑いを止めてくれないか? これはお願いじゃない、命令だ」
こうしてスマイルイーターから徹底的に精神攻撃を受けた結果、彼は立派な引きこもりになってしまった。
今では、大好きな美ら海水族館のトイレの中で、スマイルイーターの爆弾を守りながら幸せそうな人々に恨みの言葉を唱える日々である。
春めいてきた日差しの中、相良・隼人(大学生エクスブレイン・dn0022)は再び沖縄行きのチケットを差し出してきた。
それは、沖縄で何か大きな事件が起きている事を意味している。
チケットをじっと見つめ、ハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314)は拳を握りしめる。
「……予想は当たって欲しくなかったでござるよ」
公設市場での戦いの後、ハリーは美ら海水族館で調査を行っていた。その結果、美ら海水族館に爆弾がある事が判明したのである。
隼人は、調べた結果を皆に淡々と説明する。
「実はこの他にもまだ爆弾が多数発見されているが、それらすべてを一斉に撤去しなけりゃスマイルイーターに気づかれちまう。皆の協力もあってすべての位置が判明した今、一斉に攻撃を仕掛けるチャンスだ」
スマイルイーターに気づかれないように爆弾撤去をしなければならないので、事前に一般人の避難は行えない。
爆弾の護衛をしている六六六人衆を倒し、爆弾を運び出してほしいと隼人は言った。
肝心の爆弾の位置はというと、黒潮の海の出口付近にある男子トイレの個室の中である。
そこには、水島という男が一人座って爆弾を見張っているだろう。
「スマイルイーターの命令がないまま爆破する事はないから、水島がキレて爆破させる……って心配はないだろう。ただし、お前達が敗北すればスマイルイーターに知られて爆破……って事になる」
場所は男子トイレ内となるが、場所的にサポートメンバーに頼れる程に戦場として広くはないだろう。
また、すぐ近くに巨大水槽の黒潮の海がある為、おそらく観光客でごった返している。
水島は水草に似た形の影を操って攻撃を繰り出す。配下が居なくとも彼一人で灼滅者と戦うだけの実力を備えており、油断は出来ない。
なお、爆弾は撤去した後で、人の無い海にでも運んでいって爆破してもらう事になる。
「バベルの鎖があるから爆弾じゃ灼滅者は死にやしないし、安心して爆破処理しろ」
いい笑顔で隼人は言った。
参加者 | |
---|---|
源野・晶子(うっかりライダー・d00352) |
ベルタ・ユーゴー(アベノ・d00617) |
御神・白焔(死ヲ語ル双ツ月・d03806) |
ハルトヴィヒ・バウムガルテン(いつでもどこでも義妹を探す・d04843) |
ハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314) |
双葉・幸喜(正義の相撲系魔法少女・d18781) |
左藤・大郎(撫子咲き誇る豊穣の地・d25302) |
土也・王求(天動説・d30636) |
沖縄の日が傾く頃、各班は一斉に動き始めた。
人が混雑する5月の週末に、その人混みに紛れるように少年少女達は闇に足を向ける。巨大な水槽を見上げる子供達や、手を繋いで笑顔で吸いそうを見つめる男女。
彼女達をハルトヴィヒ・バウムガルテン(いつでもどこでも義妹を探す・d04843)は静かに見つめていたが、その様子に土也・王求(天動説・d30636)がふと気付いて足を止めた。
ハルトヴィヒの視線は、水槽ではなく人々に向けられている気がする。
「……何か気になる事でもあったかえ?」
王求が聞くと、ハルトヴィヒは笑みを浮かべて振り返った。とても個人的な欲求があったハルトヴィヒであったが、それよりも優先させるべきは六六六との戦いである。
「いいえ、何でもありませんよ。行きましょうか」
そう言うと、ハルトヴィヒも歩き出した。
掃除道具を持ったベルタ・ユーゴー(アベノ・d00617)が堂々と男子トイレに入っていくと、ハルトヴィヒやハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314)も、当然男子トイレに何の躊躇もなく入っていく。
双葉・幸喜(正義の相撲系魔法少女・d18781)は、闇纏いを使用して姿を隠している。
「大勢が掃除に入るより良いですよね」
幸喜は目立ってしまう事を心配していたようだったが、多分思ったよりも周囲の人はこちらに感心を向けてはいないだろう。
こんなに素晴らしい水槽を前にして、他のことに気を向けている人は多くはない。
「みんな楽しそうですね」
幸喜の言葉には、源野・晶子(うっかりライダー・d00352)が深く頷いた。
こんな事件がなければ、楽しんできて楽しんで帰りたいものである。
最後に入った晶子は、倉庫から失敬した清掃中の立て看板を立てて道案内の地図を貼っておいた。
「……設置完了です」
晶子は、どこか落ち着かないようにトイレ内に背を向けている。中にいる一般人の人達は、まだ用が済んでいない訳で。
ベルタが清掃員である事を告げると、左藤・大郎(撫子咲き誇る豊穣の地・d25302)はラブフェロモンを使って中の人達に訴えかけた。
「ご迷惑をお掛けしますが、掃除が終わるまで他のお手洗いのご使用をお願いします」
男子トイレ内で爽やかな笑顔を振りまきながら、大郎が言う。
中にいた数人はとても名残惜しそうにしていたが、大郎がトイレ掃除だと言うなら仕方あるまい。ラブフェロモンの効果を受けた男性達は、皆ぞろぞろと出て行った。
……そして、残されたのは一つの扉が閉じたままの個室である。
「さて、それじゃあそろそろ出てきてもらおうか」
周囲の人が消えたのを確認すると、御神・白焔(死ヲ語ル双ツ月・d03806)がそう言うとトイレのドアを叩いた。男子トイレ内の音は、ハリーがシャットアウトしている。
個室内から反応はない。
だが、この奥に息を潜めて隠れている者が確かに居るはずであった。
「どうした、聞こえているんだろう」
白焔は続けるが、しんと静まり帰った個室。
最悪の場合強制的に割り込む事は出来るが、と白焔はトイレ上部の空間を見上げた。ベルタや晶子は、後ろから説得の様子を見守っている。
特にキャリバーを連れている晶子や大郎は、水族館内でキャリバーを運用する事も出来ず、ここでようやくキャリバーを呼び出した。
……さすがに狭いのは、やむなし。
大郎は一息つくと、懐中時計をぎゅっと胸元で握り締めた。一斉攻撃の作戦で時間が差し迫っている為、一刻の猶予もなかった。
「とりあえず掃除でもしながら待つでござるよ」
ハリーはそう言うと、床をゴシゴシモップで洗い始めた。むろん、いつでも攻撃準備はしている。掃除をしながら、話をはじめる。
美ら海水族館は楽しい所だと笑いながら話すハリー。
「そうだな。鞠音に緋瀬……一緒に来たら楽しいだろうな」
白焔もそう答えながら、自然笑みが零れる。水族館に共に来れば楽しかろうと考えるのは自然な事、その笑みも白焔の本心である。
トイレのドアの隙間に白焔がちらりと視線をやると、目があった。
「目……目が!」
晶子が思わず悲鳴を上げる。
隙間の目と、目が合った。
溜息をつき、ハルトヴィヒが口を開く。
「いやいや、魚を見ているだけというのは些かつまらないですよ。恋人と来ていればもっと変わったかもしれませんが」
「実は拙者も、魚よりはペンギンやアシカのほうが好きでござるよ」
ハリーの言葉に、がたんと個室から物音が聞こえた。
『……ぶつぶつ……』
何やら呪詛のような苦情が、中から聞こえる。
それを見たハルトヴィヒが、声を上げた。
「そうですよね、この水族館は駄目です」
『おまえに何が分かるって言うんだ……俺はお前等よりずっとこの水族館に居るんだぞ』
「トイレに引きこもっているだけじゃないですか」
『何だと?』
言い合う二人に対し、ベルタは時計を確認した。その手には、水道に繋いだホースがある。白焔はたまらず、扉に手を掛ける。
上に登る白焔に気付いた水島が、ギャアと悲鳴を上げた。
『何やってんだ入るな使用中だ!』
「こっちは時間が押しているんだ」
飛び降りざまに蹴りをかました音と、下から影を使って迎撃したらしい物音。ベルタは駆け寄ると、上から水をぶちまけた。
飛び散った水がトイレ内を濡らし、全員水だらけになっていく。ベルタはすっかり良い笑顔で、トイレを飛び出した水島が苛ついたように声を荒げた。
「どいつもこいつも……笑うな!」
壮絶な水遊びに、王求が考え込む。
「……ふむ、水着で来るべきじゃったか」
その王求の言葉に、何故か晶子が顔を赤らめた。
よれよれのスーツを着た男が、息を切らせながら個室の前に仁王立ちをしていた。背後の白焔の拳に気付いて回避すると、即座に影を放って対抗する。
ホースを放り投げてベルタがダイダロスベルトを放つが、わずかに彼の体を叩くに留める。しかしベルタにとって挨拶代わりであり、届かなかった事にさほど悔しさは無い。
「こんな所に閉じこもられたら、水族館の人も迷惑やねん」
そう言葉を投げかけながら、ベルタはじりじりと距離を詰めて個室の近くに移動する。白焔が突撃をかけてくれたおかげで、水島の怒りはもっぱら白焔と、水族館を罵ったハルトヴィヒにハリーの三名に向けられている。
ちらり、とトイレの個室を確認するベルタ。
トイレのタンクの横に、ぽつんと置かれている黒いバッグ。
「……」
ベルタが振り返ると、大郎がこくりと頷いてキャリバーをベルタの後ろへと押しやった。すっかり水浸しになった個室の中のバッグを開いてみると、中から爆弾が現れた。
……うん、これはここで爆発させたらアカン大きさや。
小さく呟くと、表に出てきた。
そして、背中を見せたままの水島の背中に、ぶっすりと殺人注射を突き立てた。
「こんなん爆発させたら、大好きな魚も一緒に死んでまうやろ! 耐圧ガラスも万能やないで」
「くっ……さ、魚を殺して自分も死ぬ」
射された傷を手でさすりながら、水島が言った。
ちょっとドラマチックな言葉に聞こえるが、周りを巻き込んだ迷惑行為に他ならない。ハルトヴィヒは、笑顔で言った。
「いえ、あなた一人が死んでください。何故なら、次に私は可愛い義妹と出会って、再びここに来なければならないからです」
大分本音がハルトヴィヒから漏れた気がする。
怒りに燃えた水島が殺気を放つ。
その黒い気魄に、ハルトヴィヒは笑みを浮かべていた。殺気のぶつけ合い、殺し合い、斬り合い、命の狩りあい。
これこそ六六六人衆との戦いであり、ハルトヴィヒの求めていたものである。
水島の殺気に身を削られながら、ハルトヴィヒも冷気を放って応戦する。
「こうでなくては! さあさあ遊びましょう!」
放たれる殺気や攻撃から後ろの仲間を庇いながら、王求も冷気を放つ。それでも漏れた相手の攻撃が、後ろに控えたハルトヴィヒや幸喜、大郎を襲う。
ぞくりと身を震わせ、幸喜が相撲の四股を踏むように陣を張る。トイレ内を陣が包み込み、幸喜たちの傷を癒していく。
「……これしきの攻撃では、怯みはしません」
治癒は幸喜と大郎で手が足りるだろうが、相手の攻撃が後ろに集中するのは面白くない。
幸喜の前に立った晶子がバスターライフルを構えるが、打ち込んだライフルの威力にも怯む事はなかった。
「……っ、爆弾を巻き込まないかと思うと…」
トイレの前に白焔が割り込んでいる関係上、白焔が庇ってくれるとは思っている。だがどうしても、晶子は爆弾の位置が気になっていた。
かわりに石化を図って呪いを放つ。
「ですが、立ち直りが早いようです」
「何とかせい!」
王求が言うと、ベルタは縛霊手を振り上げながら水島に殴り掛かる。巨腕を振り回して威圧するようにし、ベルタは声をかけ続けた。
距離を詰めたベルタは、近距離から掴みかかった。
「忘れたらあかんよ、水島っちゅう男は魚が大好きなんやろ。魚殺されて、それで怒って闇堕ちしたんやて聞いとる。せやったら、大事な魚の事だけは……幸せやった気持ちは忘れたらあかん」
幸せだろうと、殺人鬼には過ぎない。
白焔はそう思っていたが、口にする事はなかった。
相手の殺気をくぐり抜けて、蹴りを叩き込み打ち払っていく。蹴りが炸裂すると同時に、ハリーの槍が貫く。深々と槍で貫かれながら、水島は殺気を放って彼らを威圧した。
深い闇と殺気に覆われたエネルギー。
ハリーは口を覆ったスカーフを引き上げ、槍をしっかりと握り締めた。
「ベルタ殿の言う通りでござる。魚は皆を……其方を笑顔にしたでごさる」
「魚は笑わないんだ、魚を見て笑う事ももう無い!」
水島は笑うのを止めてしまったからだ。
それでも、魚が好きなのにはかわり無い。だったら、その魚を見て笑う自分は気持ち悪いのか、魚が居なければ笑顔も生まれないので在れば、魚が居なければいい。
だが、魚は好きだ。
そういう堂々巡りに行き着き、苛立った水島は影を滑るように這わせながらハリーを切り裂いた。足元から這い寄った影に対応が遅れ、ハリーの左足が血にまみれる。
「治癒を……」
「今は攻撃するでござるよ!」
ハリーが幸喜に答えたが、せめて身を守る為にとシールドを放った。ハリーとハルトヴィヒ、そして白焔に攻撃が集中しているのは明白である。
幸喜は次々、三者にシールドを放った。
大郎が張っていた霧のお陰もあり、次第に水島の攻撃が緩んできたようだ。
「足止めを計りましょう」
大郎はベルタに声を掛けると、ベルタが縛霊手で掴みかかった。水島がそれを回避した隙に、後方から詰め寄った大郎が縛霊手で腕を捕らえる。
すさかず大郎がキャリバーに視線を向けると、一斉掃射を放った。
弾雨から体を庇いながら、水島が縛霊手を影で振り払う。
「やはり、簡単に押さえ込んではおけませんか……」
縛霊手を振り払う力、回避するスピード、いずれもこちらを上回っている。すると、王求がダイダロスベルトを振るいながら晶子に声を掛けた。
一斉攻撃で足止め、という訳だ。
今回ばかりは、身を守ってはいられない。
「妾たちは絶対に負けられぬのじゃ、攻めて攻めて攻めるぞ!」
「分かりました」
こくりと頷き、バスターライフルを打ち込み続ける晶子。
幸喜は意識を集中すると、再び四股を踏んで仲間に力を送り込んだ。沖縄のガイアパワーを受け取る為、周囲に感覚を張り巡らせる幸喜。
「沖縄を守る為、沖縄の力を……沖縄角力の力を!」
幸喜の力が漲ると、バベルブレイカーを構えた白焔に王求が声を掛けた。
攻撃の一瞬前。
「足元がお留守じゃ!」
「……了解」
王求の指示に従い、白焔はバベルブレイカーを水島の体に打ち込んだ。足を串刺しにするように、バベルブレイカーが足を地面へと貫く。
更にハルトヴィヒの警告灯が点滅し、水島の視界を遮っていた。
「女ならばまだ可愛げもありましたが、男ですし……消し飛なさい!」
「……だ、そうじゃ」
王求は静かに水島を見つめたまま、影で水島の足を切り裂いた。床を這わせるようにして、静かに迫った影は、王求の狙い通りの場所を切っていた。
ずるりと引き抜くと、水島の体勢が崩れる。
立ち上がろうとした水島の足に、大郎のナイフが食い込み傷を抉る。
「爆弾は、解体させて頂きます」
大郎が言うと、壁ぎわ目がけてハリーが蹴りを繰り出した。強烈な蹴りを受けた水島の体が吹き飛び、壁に叩きつけられて崩れ落ちる。
力尽きた水島は、やがてゆっくりと消滅していった。
人の居ない海岸は、穏やかな波であった。
ざあざあと押し寄せる波を前にして、白焔は抱えてきたバッグを砂浜に降ろす。慎重に中を受けてみると、中からベルタの言った通り爆弾が現れた。
とはいえ、白焔にも解体処理などは出来そうにない。
「やっぱり、ドライバーやニッパーで分解……てのは駄目やろか?」
ワクワクした様子でベルタは言ったが、みなあまり賛成している様子は無い。やるなら誰も止めはしないが、成功率は低かろう。
それでも、赤か青かと悩むのはドラマでもおなじみのシーンである。
中を開いたベルタは、赤とか青とかいう問題ではない配線を見て眉を寄せた。
「……あかんか」
ならば爆弾抱えて崖からダイブ、と提案するベルタに対してハリーがニンポー人間花火でどうでござると答える。
既に二人ともネタと化しているようだ。
「サイキックで破壊したらどうだ」
白焔はそう提案したが、簡単に壊れるようなら先ほどの戦闘に巻き込まれていそうな気もする。ただ、全員で一斉に攻撃すれば何とかなるかもしれない。
その場合も巻き込まれるのは避けられない。
「結構大きいですが、死ぬ事はないでしょう」
さらりとハルトヴィヒは言う。
そして気がつくとお土産を抱えている晶子を、ハルトヴィヒが見返した。彼女がお土産を買っている暇があったなら、自分も水族館を回ってみればよかったと思う。
「い、いえ……出口近くで」
晶子は言い訳してみたが、むろん戦いが無事に終わったからこそであろう。確かに、それ位に美味しい所がなければ、わざわざ男子トイレに来た甲斐が無いというもの。
「ならば、さっさと引き返してゆっくり見て回るとしましょうか」
ハルトヴィヒは呟いた。
周囲を見まわし、被害が出そうな場所もない事を大郎が確認する。
「大丈夫です、人もいません。戦闘中ではないのでサウンドシャッターが使えませんから、急いで終わらせてここを離れましょう」
大郎が言うと、王求が槍を構えた。
全てを終わらせ、王求の表情は来た時より柔らかい。
「よし、準備はよいか?」
「いいでござるよ!」
ハリーが答えると、一斉に爆弾を破壊した。
大きな炸裂音が消える頃には、砂浜には激しい痕跡と……幾つもの足音だけが残されていたのであった。
作者:立川司郎 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
|
種類:
公開:2015年5月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|