●Accident
春らしい陽気にまどろんでいた難駄波・ナナコ(クイーンオブバナナ・d23823)は、隣のベンチに座る子供達の会話の中に「バナナ」という単語が出た事に気が付いた。
こっそりと耳を傾けると、吉田店という店先に大きなバナナのぬいぐるみが置かれているらしく、バナナが大好きな人を見つけると、自分を食べてもらいたい一心で飛び掛かるのだが、しかしぬいぐるみなので食べてもらえず、怒って暴れるというものだった。
それを聞いた女の子は、きっとバナナが好きだったのだろう「もうバナナきらい!」と泣き出してしまった。まだ幼稚園生くらいの幼い子には、衝撃的だったのだろう。
泣き声を聞きつけた母親が女の子をあやしながら、困った風に笑っていた。どうやらその話はこの辺りではよく耳にする噂話のようだ。
まさか、と思ったナナコだったが、すぐにその思いは的中してしまった。
●Caution
「その八百屋さんは、バナナのたたき売りが有名でして、店先に成人男性ほどの大きなぬいぐるみを飾っているのが特徴なんです」
灼滅者達に件のぬいぐるみが映った写真を手渡した五十嵐・姫子(大学生エクスブレイン・dn0001)は、口元を隠して小さく笑って見せた。
ぬいぐるみは黒豆のような目と、半月に切ったスイカのような赤い口、加えてデフォルメされた手足がニョキリと生えて自立したバナナで、中々愛嬌があるものだが、なにせ図体がでかい。怖がる幼い子も居るらしい。
「結構いたずらとかも多いみたいでさー、小さな子を怖がらせるために近所のがきんちょが、ちょっかい出したりで、怪談話がいくつか出来上がってるんだよ」
ナナコはバナナを馬鹿にされているみたいで、何だか不満げ。こんなに美味しいのに、と今もぱくついている。
「それが今回の都市伝説を生んでしまったきっかけなのです。幸いこの都市伝説によっての被害者はまだ居りませんので、どうか早急な灼滅をお願いしたいのです」
バナナのぬいぐるみ、もとい都市伝説はバナナ好きに反応する。バナナを語るも良し、食べても良し。好きという気持ちが伝われば、きっとすぐに飛び掛かってくるだろう。
「ぬいぐるみは店先の台座の上に飾られています。盗難防止のため、足首に鎖が繋がっているようですが、都市伝説として動き出すと恐らく引き千切ってしまうでしょう」
だが、最初は攻撃的ではないので、不意を突かれる、といった事はないと思われる。
「でも自分を食べてもらえないって分かると、そりゃあもう地団駄踏んで悔しがって暴れるみたいだから、豹変には気を付けて!」
最初は抱き着いてくるだけだが、豹変すると突進してきたり、熟れていないバナナを降らして殴りつけたり、はたまたバナナの皮を撒き散らしたりしてくるようなので、注意が必要だ。
八百屋の周辺は閑静な商店街で、どの店も開店は朝の9時から。もし囮と奇襲と二手に別れるならば、付近の自販機や脇道、トラックの影に潜むと良いだろう。
「そう強い敵ではないようですが、皆さんくれぐれも気をつけて下さいね」
「お店が開いたらバナナのたたき売りで買っていくと良いよ! あ、バナナじゃなくても良いからさ!」
そうして二人は明るい表情で灼滅者達を見送った。
参加者 | |
---|---|
王華・道家(ピピピピピエロ・d02342) |
水軌・織玻(水檻の翅・d02492) |
姫条・セカイ(黎明の響き・d03014) |
三条・美潮(大学生サウンドソルジャー・d03943) |
レイス・クラリス(ヒステリックおばさん・d18446) |
ハレルヤ・シオン(ハルジオン・d23517) |
難駄波・ナナコ(クイーンオブバナナ・d23823) |
サン・クロース(戦うミニスカサンタ・d32149) |
●朝霧の中で
ほんのりとクリーム色に染まる長襦袢に、鮮やかな黄色の着物を合わせた姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)の黒髪を、朝風が攫っていった。彼女がそっと髪を押さえて風の行き先を見送ると、丁度そのとき難駄波・ナナコ(クイーンオブバナナ・d23823)が、「必殺! バナナ変身!」と掛け声を上げたところだった。
振り向けば、顔以外をすっぽりと覆いつくす、バナナの着ぐるみを纏ったナナコが居り、その傍らではサン・クロース(戦うミニスカサンタ・d32149)がサンタ袋に詰めた山のようなバナナを配っていた。
(「しっかし、バナナか、特に思い入れとかねぇんだよな」)
皆の手にバナナが渡ってゆくのを後方で眺めていた三条・美潮(大学生サウンドソルジャー・d03943)は、仄かに香る甘い匂いに、くん、と鼻を鳴らす。
(「うーん、どうしたもんかね、好きでも嫌いでもないとか本当に困るな、こういう時」)
見やれば件の商店を通り過ぎた先の角に自販機がある。あそこなら隠れられそうだ。
(「ぬいぐるみさんは動いてくれるかなあ」)
一人離れていく美潮を一瞥し、手にしたバナナを顎に当て、ぬいぐるみを盗み見たハレルヤ・シオン(ハルジオン・d23517)は、つぶらな瞳でそこに在る姿に、にっこりと双眸を細くする。
(「可愛いからパクって食べちゃいたい位なんだけどお、それはだあーめ」)
ハレルヤはサウンドシャッターを展開し、準備を整えると、最もシュガースポットの多い、とろりとしたバナナの皮を剥き始めた。
「れっつばななぱーりー!」
見計らったようなサンの一言で灼滅者達はゆっくりと頷き合った。
●誘惑魅惑
「バナナってそのまま食べて良し、焼いて良し、揚げて良し。色んな調理が出来る万能食材だよね。メインで食べてもデザートにしても良いし、わざわざ専用の携帯ケースとか作られちゃうくらいだし。ほんと凄いよねー」
日が昇って間もない静けさに満たされた商店街に、高々とした声が澄み渡る。にっこりと笑顔を浮かべるぬいぐるみの前で、これ見よがしにバナナを頬張るサンを横目に、水軌・織玻(水檻の翅・d02492)がそのように言えば、セカイが口元に笑みを乗せて頷いた。
「ふふっ、バナナは美味しいですね。チョコバナナや揚げバナナ等も良いのですが、やはりシンプルにそのままが一番美味しく感じます」
「バナナは、スポーツ選手が最も愛するフルーツ……だとかなんとか」
手にしたバナナの仔細を眺めながら、レイス・クラリス(ヒステリックおばさん・d18446)は言う。
「原理はよくわからないけど、かなりのエネルギーになってくれるわ。鍛錬や灼滅の前の腹ごしらえにうってつけなんじゃないかしら? しかも食べやすい」
レイスの言葉に、うんうんと皆が頷き、これでもかと褒めちぎりながら思い思いに頬張っていれば、自身と背比べをしたのか、きらきらと星のように目を輝かせたナナコが「でけぇぇ! バナナぬいぐるみ! お持ち帰りして部屋に飾りてぇ!」と、興奮してはしゃいでいた。
するとそこへ、
「バッナナ~ン☆」
何本ものバナナをジャグリングしながら颯爽と現れたのは、人懐っこい笑みを浮かべたピエロメイクの王華・道家(ピピピピピエロ・d02342)だ。
「バナナは朝昼晩いつ食べても、冷やしても凍らせてもドリンクにしてもとても美味しい逸・品♪」
彼は、パフォーマンスが皆によく見える位置に陣取り、華麗な手捌きでぽいぽいとバナナを宙へと放り投げ、舞わせてゆく。
「不足しがちな栄養素もバッチリ、果物の中で値段も安くて房も多く、何より面倒臭がりでも大丈夫」
落ちてきたバナナを全てキャッチし、最後の一つを華麗に剥くと、そのままパクリとかぶり付く。
「直ぐに食べられちゃうYO♪」
そうして食べかけのバナナを逆さまにして、剥いた皮を元の形に戻すように手の平でなぞり、
「ハ~ドワ~クなピエロにも欠かせないソウルフ~ドさ☆」
再びひっくり返すと、道家の手中にあるのは、まだ皮の剥かれていない新品のバナナ。
いとも容易く行われたマジックに思わず歓声が上がり、拍手が鳴る。ニコリと笑った道家は、「ありがとう、ありがとう」とおどけた様子でお辞儀をしてみせた。
「――を、」
「ん?」
歓声に交じって小さく聞こえた何かに、思わず反応したのは誰だったのか。
じゃらり、と重たい鎖の音が、静けさの中で弾けたのは、振り返るよりも早かった。
●地団駄
「ぼくを食べてえええ!!!」
身の丈百七十センチはあろう巨大なぬいぐるみに迫られるというのは、中々の迫力があった。
盗難防止の鎖を引き千切り、一直線に飛び掛かって来たバナナを、真正面から受け止めたのはナナコだ。彼女は、短い手足をバタつかせながら己に向かってきたバナナをぎゅむっと抱きとめる。
「うぉぉぉ! 君のその食べてもらいたい気持ち! 受け止めてやるぜぇぇ!」
ナナコは躊躇いも無くぬいぐるみの頭部にがぶり、と噛み付いた。当然食べる事は出来ないが、しかしそこに確かな愛がある事にバナナーー都市伝説は気付いたらしい。嬉しそうな悲鳴が上がる。
と、そこへ。
「往生しろや、パイル生地!!」
背後から射出された美潮のレイザースラストが、丁度人間で言う腰のあたりを貫いた。「ギャッ」と短い悲鳴が上がると同時に、咄嗟に後方へ飛びのいたナナコは、サンのライドキャリバー 、モータールドルフと織玻の霊犬 、豆大福が呼び出されたのを視界の端に捉えつつ、己の片腕を異形巨大化させはじめた。
(「今や全国に色んなゆるキャラが居るケド、今回のケ~スを考えると皆都市伝説に? いや、そもそもご当地怪人?」)
動き出した巨大なそれを前に、ハレルヤがドーピングニトロを使用する傍らで、ライドキャリバーのエムティーファイブを携えた道家は、体内から炎を噴出させる。ちらちらと燃える炎の向こう側で、何とも気の抜ける顔をしているぬいぐるみを見据えて胸の内で呟いた。
「フフッ、アレコレ考えるのはノンノン! 目の前のバナナぐるみをボクのステ~ジで華麗に成・敗★」
その身に纏う炎すらパフォーマンスの演出として魅せるように、彼が放ったレーヴァテインの一撃は都市伝説の中央に命中。くの字に前のめりになった都市伝説を襲ったのは、サンが繰り出したスターゲイザーの飛び蹴りだ。流星の煌めきを帯びたその蹴りを喰らい、派手に吹っ飛んだ所へ、ルドルフのキャリバー突撃が決まり、地面に放り出されれば、レイスの旋風輪が容赦なく襲い掛かる。
「悲しいけどキミ、ぬいぐるみなのよね…! 食べちゃいたいほど可愛いのに!」
「じゃあ食べて!」
ガバッ、と両手を突いて起き上がる都市伝説だったが、バナナが上体を起こした時には、ナナコの鬼神変は目と鼻の先。己目掛けて片腕を振り被るその後方にも、同じく鬼神変のそれを準備している織玻と、小太刀二刀を構えているセカイを見てしまい、「ヒィッ」と青ざめたように声が上擦った。
咄嗟にその場で転がって回避しようとした都市伝説の元へ、白い毛並を波立たせて飛び上がった豆大福が、六文銭射撃にて敵を撃ち抜けば、そこへ巨大な一撃が振り下ろされる。その衝撃たるや、筆舌に尽くしがたく、都市伝説は絶句。
言葉と行動が伴わない事に、いたく動揺している様子だ。
「自分を食べさせようとするなんて、見事なサンタ精神ね! だけど善意だって押し付けはノーサンキューよ!」
ビシィッと人差し指を突き出し、頭に被った帽子のぽんぽんを揺らしながらサンがそう言い放てば、ナナコと入れ違いに駆け出した織玻が鬼神変で都市伝説を叩き潰す。
「これは確かに中々愛嬌のある顔……どっかのゆるキャラで居そう」
拳を持ち上げ、下で呻き声を上げる都市伝説を見た織玻は、しげしげと眺めながら呟いた。
だがここまでくれば嫌でも分かる。都市伝説は自分が食べてもらえないのだと、理解したのか、スクッと立ち上がり「キィィィィ」と狂った鳥のように金切り声をあげたのだ。
「バナナが好きだと言ったのに、ぼくは食べてもらえない! これいかに!!」
ダンダンダン、と、おもちゃを買って貰えずにごねる子供のように地団駄を踏む都市伝説は、黒豆の瞳を釣り上げるとぷりぷりと怒りながら、灼滅者達目掛けて青いバナナのそれを宙へとブン投げた。
まだ熟れていない硬いそれらは上空で一旦静止し、角度を変えたかと思うと、それまでタイミングを見計らい中段の構えを取っていたセカイに向かって降り注ぐ。柄を握る五指に力を込めたセカイは、じり、と僅かに歩幅を広げて小さく呼吸を整えると、その一瞬を見定めた。
「ほ~ら、MT5、キミの出番だよ~☆」
パチン、と軽快な音と共に道家の声がした。ともすれば、セカイの視界いっぱいに現れたエムティーファイブは、敵の攻撃を庇い受けると同時にすれ違いざま機銃掃射にて、迎え撃った。
その瞬間、素早く切っ先を振り下ろしたセカイによる重い斬撃が都市伝説の身体を断ち切った。彼女が身に纏う着物の色に、都市伝説は気付いているだろうか。自身と同じ、バナナを模しているのだということに。
だが一人、集中砲火を受けている都市伝説は、まだ自身を食べてもらう希望を捨てきれないのか、すり足でにじり寄り飛び掛かる様子を見せている。
「バナナってチョ~ットイケナイことに使いたくなるなあ」
音も気配も殺して背後に現れたハレルヤは、目をギラギラとさせながらティアーズリッパーで都市伝説を斬り裂き、指先から脳髄まで浸すようなその感触に身をぶるりと震わせ、恍惚とした表情を浮かべて、ベロリと舐め上げた。
「ボクのことお腹いっぱい楽しませてえ。キレーイに切って並べてアゲル」
「ヒィッ」
さすがの都市伝説もその様子は怖かったのか、吊り上っていた瞳が僅かに震える。それでもそんな事などお構いなしと制約の弾丸を撃ちこんだ美潮は、眼鏡をぐいっと上に押し上げると、バナナの脚に繋がれた鎖をを目にして双眸を細くした。
「鎖に繋がれた等身大のバナナの人形とかシュールだな。なんか余計に不気味と言うか…なぁ?」
じっと立っている時もそうだったが、いざ動いてみればこれもこれで不気味だ。
魔法弾を浴びて転げまわっている都市伝説が苦し紛れに放ったバナナの皮を見た、レイスは、
「バナナの皮……小癪」
そう小さく呟き、自ら突っ込んで攻撃を受け止めつつも、クルセイドスラッシュによる破邪の白光を放つ斬撃を繰り出した。
「全身から溢れるこのバナナパワー!」
すかさず、一見バナナにしか見えないバベルブレイカーを持ち上げたナナコが、尖烈のドグマスパイクを持って、のた打ち回るバナナの肉体をねじ切れば、サンの断罪転輪斬が更に敵を追い詰めていく。
「食べられたいなら大人しく焼かれてくれないかな?」
豆大福に、浄霊眼でレイスを回復するよう指示を出した織玻は、グラインドファイアの炎を都市伝説の上部に蹴り込み、
「……焼き方は加減出来ないけど」
着地すると、ふんわりと髪をふんわりと後ろへ払いながら、にっこりした。その姿にパチパチと手を打ってみせた道家は、エムティーファイブと共に駆け出す。
「バナナの権化のナナコくんにも負けてはいられないNE!!」
バナナ愛を示せば抱きつきにくるなど、美味しいシチュエーションだったが、敵の様子を見る限りでは、もうそう長くは持たないだろう。ヒィヒィと身体を上下させて疲労を見せているぬいぐるみに、「残念」とおどけた笑みを浮かべてみせると、都市伝説はズダダダダッと駆け出したではないか。
猪突のような突進を見、すかさず都市伝説の右方に回り込んだエムティーファイブが、機銃掃射を放てば、モータールドルフが後方から突撃して吹っ飛ばす。敵の身体がぐらりと大きく傾き、一瞬の隙を生み出した。そこへ道家のスターゲイザーが決まり、大きなぬいぐるみは宙へと放り出される。
「ひぃぃぃぃ」
情けない悲鳴が虚空に響くのを見上げ、
「一言、言っておいてやる。不味そう、お前」
美潮が下からレイザースラストを繰り出して突き上げると、地を蹴って高く飛び上がったハレルヤが至近でにっこりとした微笑みを携えて、フォースブレイクの一撃を顔面に叩き込んだ。
「ギャッ」
仰向けのまま地面に叩き付けられた都市伝説は、陸に打ち上げられた魚のようにビタンビタンと跳ねて、尚も起き上がろうとしたが。
ゆるり、風に乗って届いた謡う声と、しとやかな舞が視界に飛び込み、都市伝説の身体が、はたと止まる。
気が付けば一陣の風が己を追い越して行った。振り返ればそこには二刀を手にしたセカイが居り、視線を落とすと身体に大きなバツ印が描かれていた。それが止めだと気付いた時には既に遅く、路上にぱったりと倒れこんでいた。
「あなたが誰かに食べてもらえることはないわ。安心して消えるがいいわ」
「あぅぅ……」
レイスの言葉に哀しげな声を上げた都市伝説は、意気消沈したように路面に突っ伏し、そのまま動かなくなった。
●新しい朝
「今日入荷したての新鮮バナナ! 目いっぱい食うぞぉぉぉ!」
「ほほう、バナナのたたきを売るわけじゃないのね。でも何だか面白いわ」
繁盛、という言葉に相応しい活気だった。
意気揚々と叩き売りの人混みの中に飛び込むナナコや、合いの手を入れて盛り上げるサンに、感心してパチパチと拍手をしていたハレルヤが興味深そうに適当な値段を口にしてバナナを買い求めている。
「豆大福もバナナ食べたいよねー、いっぱい買って帰ろうね!」
尻尾をふりふり、鼻をクンクンさせている豆大福と共に叩き売りに加わっていった織玻の傍では、八百屋のおかみさんにこそりと声を掛ける美潮の姿があった。
「次のぬいぐるみは普通のサイズが良いスよ、あんまりデカいと子供が怖がるし…」
デザインが悪くないなら本末転倒。
(「着ぐるみ、ぬいぐるみはサイズが人間大に近づくほど頭を大きくとか、可愛く見える決まり事有るんだよな、アレ。バナナじゃ頭を大きくは無理だし小さくするのが無難だべ。次はバナナ普及に繋がるといいやね)」
朝も早いというのに、この人だかり。きっとこの店はまだまだ続けて行けるだろう。
そんな光景を少し離れた場所で見ていたセカイは、初めて見るバナナの叩き売りに驚きを隠せずにいたが、ふと思いつき、バナナの一房にペンで目や口を書いたり、爪楊枝で手足を作ってみせた。
「代わりといってはなんですが…あの方は食べられる事を欲していたのでしたらば、このくらいの手向けは赦されるでしょう」
「わ~お☆ とってもキュ~トだね!」
オーバーリアクションを見せる道家の視線の先には、ぬいぐるみにそっくりな可愛らしいバナナが一つ。笑顔を浮かべていた。
作者:四季乃 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
|
種類:
公開:2015年4月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|