運動会2015~学内1周RBクロスカントリー

    作者:相原あきと

     競技名:
     『学内1周RBクロスカントリー』

     内容:
      学園の敷地内を走り回るクロスカントリー。

     RB:
      リアルバウトの略。
      クロスカントリー中に相手走者を妨害する事を可とする。

     禁止事項:
      サイキックの使用は禁止。
      ライドキャリバーに乗ったり引っ張って貰ったりは禁止。
      学校の備品や校舎を破壊するような事は禁止。

     ――――――――――――――――――――――――――――――

     5月31日(日)は武蔵坂学園の運動会。学生たちは優勝を目指し盛り上がる。
     だがここに、別の意味で盛り上がる者たちがいた。

     彼らに統率者は無く、全てが同志だった。
     彼らは自然発生し、気がつくと自然へと帰って行く。
     メンバーに誰がいるかは不明、どう連絡を取り合っているかも不明。
     しかし、彼らはリア充が発生するタイミングで確実に自然発生する。
     ある者は覆面を、ある者は三角頭巾を、ある者は素顔で……。
     彼らの名は――RB団。

     運動会まで数日と迫った武蔵坂学園の屋上に、怪しい学生たちが集まっていた。
    「運動会とは、学園祭、修学旅行に並ぶ3大リア充増加学校行事のひとつ」
    「クリスマスとかバレンタインは違うのか?」
    「あれは学校行事じゃないだろう」
    「ああ、そうか、なるほどな」
     覆面や頭巾や見バレ覚悟の素顔の団員は、雑談を続ける。
     しかし、その内心では何かを一心に祈り続けていた。
     そして、屋上へ続く扉がバンッと開かれ、1人の同志が現れる。
     皆の視線が一斉に集まる。結果は……どうだ!?
    「みんな! 紛れ込ませておいた俺達の競技が――今年も通ったぞ!」
    『だっしゃーっ!!!』

     『学内1周RBクロスカントリー』。
     RBの上にはリアルバウトとルビが振ってあるその競技は、学校中を舞台としたリアルバウト有りの何でもあり競争の事だ。――表向きは。
    「ふふふ、良しッ! この隠語で今年も同志が集結するだろう」
    「ああ! 遠慮なく流れ弾でリア充を爆発させられる!」
    『お、おお~!』
     だが、そんな中で1人がおごそかに告げる。
    「だが、一つ問題がある……」
    「なんだ、同志よ?」
    「いや、俺の思い過ごしなら良いのだが……最近、マンネリ化してないか?」
     マンネリ、それは同じ事を繰り返す事で飽きてくる現象。
     もちろんリア充襲撃を飽きだしているという事ではない。
     しかし、彼以外にもソレを感じている者は少なからず居たようで。
    「爆発……か」
    「何?」
    「いや、その通りだ。なんでも爆発に頼り過ぎて無いか? 俺たちは自由だ、爆発にお約束と伝統を求めるのも良い、だが、新しい発想こそジェネシスを作り上げると思うんだ」
    「まー、確かにな……リア充どもも爆発に対抗策を練ってくる事も多くなったし……」
     同志数人が意見を一致させ、一つの提案を行なう。
    「俺と同じ志を持つ有志達だけでもいい、今回は爆発を禁止してリア充を襲撃しようじゃないか」
     コクリ、周囲の同志たちの一部が深く頷いた。
     やがて……。
     彼らは常に活動していた。
     個人で、集団で、イベントや行事、果てはダークネスの依頼やクラブ活動中ですら。
     集まっている団員達の嫉みと妬みと嫉妬と遺伝子がヒートアップしていく。
     そして異様なオーラが頂点に達した時、吠えるように団員達が叫びをあげる。
    「一年ぶりに恒例のヤツを行くぞ!」
    『おー!』
    「目的は!」
    「リア充撲滅!」
    「合い言葉は!」
    「リア充爆発しろ!」
    「我ら!」
    『RB団!!!』


    ■リプレイ


    「らぶ無くしては世界は栄えぬ! RBの魔の手かららぶとカップルとついでに運動会も守る……そう、我々こそ愛のメッセンジャー・愛のサーカス小屋!」
     シャキーン!
     周防・雛(d00356)が名乗り、RB団へ宣戦布告をするは今レース第二位の規模を誇る【愛のサーカス小屋】の9人だった。
     雛達はそれっぽいポーズを取ってるが、その中には手を繋ぎ顔を赤くしている者達やキスをしている者までいる。
     声にならない嫉妬パワーが高まる。
     そしてーー。
     パーンッ!
     スタートの合図と共にRB団が彼等に突貫。
     だが!
     ドガガッとモブRB団を蹴散らし立ち塞がるは淳・周(d05550)、サーカス小屋のリア充ペア達を守りつつ。
    「ここはあたしに任せな!」
     周の言葉に「助かる、見ず知らずのヒーロー」と散っていく面々。
     そして。
    「おら、処刑の時間だ!」
     周が戦いを始める。
     スタートと合図に綺麗にカウンターが決まってダブルで吹っ飛ぶは木津・実季(d31826)と木津・火炙(d32600)の姉弟。
    「って、殴り合いはゴール付近のみって約束したじゃん!」
    「そっちこそ! なんだよそのメリケンサックは!」
    「あー! この野郎のせいで盛大に出遅れた」
    「それはこっちの台詞だっつーの!」
     そのままやり合いつつ走りだす2人。
     一方、開始早々RB活動に勤しむは嶋田・絹代(d14475)だ。
    「今日の晩御飯は死激ックスだ!」
     タバスコ水風船を遠慮なく男性リア充の顔面にねじ込むと、同志の若生・若(d20457)が援護とばかりに水風船を投げ、さらに霧亜・レイフォード(黒銀の咆哮・d29832)がスモークボールで襲撃し易い状況を整える……が、凄いのはその後だ、3人ともその場に止まらず、速攻で次のステージへ逃走したのだった。
    「私を差し置いてナンパなんていい度胸ね!」
     黒島・もいか(d22385)がアルヴァン・ルティック(d21573)を見つけ怒りを露わにする。
    「いや違うって。ってかそれ、私をナンパして、に聞こえるんだが」
    「っ!」
     そして始まる痴話喧嘩。集まってくるRB団。
    「来んじゃないわよ!」
     もいかのぐーパンが炸裂、飛んでいくRB団とアルヴィン。
    「何で俺までぇぇぇっ!?」
     合唱。
     ドッ、ダダダッ、ドガッ!
     激しく打ち合いつつラブい話をするのは参加人数第三位の【梁山泊】が二代目首領、森沢・心太(d10363)と結島・静菜(d02781)。
     会話内容からRB団が集まり出すと、静菜が心太の手を引きある地点へ。
    「な、なんじゃこりゃー!?」
     2人を追ったRB団達が次々に接着剤の水溜まりにハマる。
    「何とも楽しい競技ですね♪」
     さらに動きが止まったRB団を控えていた阿久沢・木菟(d12081)がエアガンで撃ちまくる。しかもーー。
    「目がー! 目がー!?」
     良い子はマネしちゃいけません。
    「はは、2人ともさすがですね……あ、祟田くん達の方は大丈夫でしょうか?」
     と、心太が崇田・來鯉(d16213)とヴァーリ・マニャーキン(d27995)の方をみれば、2人ともバットと杖で相手のスネを強打したりと頼もしく善戦中だ。
    「この競技の時だけは兄者は私の王子なんだから、ちゃんと守ってくれよ?」
    「ああ、愛莉を守るのは忘れない」
    「……うん、今日だけ……な」
     十分過ぎる程リア充である。
     ちなみに梁山泊で一番やばかったのは蒼間・夜那(d14520)と舜(d04381)の蒼間姉弟だ。
    「……姉貴、C4どこに設置しようか?」
    「えーやっぱクレイモアじゃね?」
     どこのゲリラ戦だ。
     爆発、トンファー、地雷、金属バット。
     ヤられたRB団が「これ、レースだぞ!?」と悲鳴をあげれば。
    『レースぅ? どうでもいいね(よ)』
     と絶妙なハモりとゲス顔を浮かべるのだった。
    「ふぅ、やっと捕まえたよ」
     RB団の被り物を被ってリア充に迷惑をかけつつ逃げるミックを、何とかキャラメルで釣って確保したのはアッシュ・マーベラス(d00157)と安藤・ジェフ(d30263)。
     しかしその時だ、背後に気配を察して振り返ると、そこには2人が恐れる人物が超巨大な水槽を持って。
    「わー!」
    「ア、アッシュ君、よく見て下さい、この方、違います」
     そこに立つは秋山・梨乃(理系女子・d33017)。恐れる人物とは似ているが微妙に違う。
    「え、えっと、何してるの?」
    「私か? お姉ちゃんにお願い(強制)され待機中だが……」
     その頃、正面グラウンドでは参加規模一位の【戦戦研】、小田切・真(d11348)、そして戦戦研リーダー鹿島・狭霧(d01181)だけが残っていた。
    「では、助けを求める方々を救助してきます」
     救護班的役割を担うと宣言する真に、狭霧が任せるわ、と肩を叩き送り出す。
     そして狭霧はシーバーをON。
    「ネーベル・コマンドより作戦参加中の全ユニットへ伝達。状況開始、状況開始。目標に遭遇次第各個制圧せよ。尚、武器の使用は任意。幸運を祈る。終ワリ」


     校舎の壁へと最初に到達したのは神夜・明日等(d01914)と有城・雄哉(d31751)。だが、地上からの妨害で2人の持つロープがぶつりと切れる。
     即座に窓枠やサッシに掴まった雄哉はそこからロッククライミングで続投。一方明日等は落下途中で自前のロープを投擲、屋上の柵に絡ませ再び登り出す。2人ともさすが武蔵坂である。
     続々と壁を登る参加者達。
     そんな中、七枷・蒼生(d33387)は無事壁を登りきる事に成功。途中で被害を受けなかったのは抱える又臣さんのおかげだろうか?
    「ん……又臣さん、ありがとうね」
     トテテと進む1人と1匹。なごむ。
    「さて」
     壁を登り切った西原・榮太郎(d11375)は事前準備の水風船で次々と登ってくるリア充を爆撃。
     さらに、だ。
     ベチャ……ねばねばねば。
     それは山芋、とろろであった。
    「リア充でなければこんな事に……ともとれるよね?」
    「滋養強壮には山芋が一番!」
     山芋を投げたハノン・ミラー(d17118)と天ヶ瀬・爽子(d20081)が思わず見つめ合う。まさかの山芋被り。芽生える絆。
     ズシャシャッ!
     そんなネバ地獄を突破し3人の前に着地するは愛のサーカス小屋、鳥居・薫(d27244)と奏森・雨(d29037)。ちなみに薫が庇ったので雨は綺麗です。
    「ああ、薫君……かゆくない!?」
     心配する雨を手で制し、奥の手のタバスコ爆弾を取り出す薫。
    「てめぇら、やったからにはやられる覚悟はいいかー!」
    「仕方ない」
    「ひゃああ! ホント反省ピュアアおごぅ!?」
    「あっしはーっ!?」
     榮太郎が自爆し、ハノンが吹っ飛ばされ、爽子が屋上を滑って消える。
    「うしっ!」
     ガッツポーズの薫に、思わずにこにこ顔の雨であった。


    「さて、状況は……」
     屋上に到達し周囲の戦いの隙間を見極めるは犬塚・沙雪(d02462)、クラブの仲間に声をかけたがたぶん単独参加。なんかRB団も手出しし辛い。被害を最小しつつ進む沙雪とは逆に、邪魔する奴らを蹴っ飛ばしつつ一直線に突き進むは白神・柚理(d06661)、結果は同じ、屋上端から2人は勢い良くジャンプし次のステージへ。
     ガッ、と屋上の端を掴みクルリと屋上に体を持ち上げ着地するは去年の優勝者・八葉・文(d12377)、壁登りでヌルヌルになった右足で滑るように加速し屋上を突破。だが、その背後にピッタリとつく影が……アリス・ドール(d32721)だ。身長の低さを利用し人に隠れ、妨害やトラップを他者に排除させつつここまで来た。
    「やるからには……勝つの……」
     初めての運動会とは思えない良い順位をキープし進むアリス。
    「サーカス小屋ペット枠、沢渡・花恋(d24182)!」
    「猛獣枠、ロジオン・ジュラフスキー(d24010)!」
    『リア充の看板引っ提げ華麗に推参!(登場でございます!)』
     何かと思ったRB団の天城・兎(d09120)が屋上に着地すると同時。
    「物理結界セロファンシート発動!」
    「!?」
     セロファンまみれで芋虫化する兎。
    「さっすがロジー!」
    「ふふ、では……あっ(すってん転り)……くっ、くっつきましたー!?」
    「ロジー!? でも、そんなロジーも……アタシ、クラクラきちゃう」
     と、2人の世界を繰り広げる中。
    「カップルの不幸を守る為、全ての赤い人は破滅への導火線!」
     RB魂が肉体を凌駕し芋虫で突き進む兎。
    「とりあえず、落ちろ」
    「あー!?」
     近くにいたアルディマ・アルシャーヴィン(d22426)によって蹴り落とされる兎。
     と、シーバーからのある地点へ向かうよう指示がくる。
    「了解」
     アルディマはマントを翻し。
    「たまにはこういうバカ騒ぎも悪く無いか……」

     屋上後半の区画は戦戦研によってほぼ制圧されていた。
     やってくるRB団を新城・七葉(d01835)がボーラとネットの2段攻撃で無力化、それでも襲い来る輩は片方の男RB団と恋人の振りをし同士討ちを……。
    「私の妹分に手を出すとは、覚悟は出来ているのだろうな」
     なぜか激怒したヴァイス・オルブライト(d02253)が同士討ちの間も無く団員達をボコボコにする。
     だがしかし、そんな中でも孤軍奮闘するRB団がいた。
    「爆ぜろ! 脅えろ! 我が友ゴキの驚異を味わうがいいのです!」
     超精巧なゴキフィギアを雨霰とバラまくは黒橋・恭乃(d16045)、今レース中で一番恐ろしい攻撃だっただろう。
    「そこまでだRB団、水でも被って頭を冷やすんだな!」
     平・和守(d31867)が警告すると共に放水銃をぶっぱ。中破ポーズで吹き飛ぶ恭乃。
     と、そこで和守達にもシーバーからの連絡が……。

     給水塔の上でリア充板に偽造の書き込みをし続けるはアイスバーン・サマータイム(d11770)。
     と、ラインが着信。
    『逃げろ』
     いつの間にか給水塔が狭霧の指示で集まった戦戦研のメンバー達に囲まれていた。
     ならば!
    「RB団同志の皆さん、わたしアイスバーンはここに帰って来ちゃいました!」
     一斉に武器を構える戦戦研。
    「RB団に栄光あれです」
     合唱。
     そしてお帰りアイスバーン。


     体育館の屋根へ跳んでくるリア充を、後光のように背負った照明で照らし落とすはハリー・クリントン(d18314)。
     だがーー。
    「あ、熱っ! 拙者燃えてる! これぞRealBurning!?」
     火の玉となって落下していくハリー。
     入れ替わりにその場に現れるは戦戦研の狩野・翡翠(d03021)、着地点に広げたマットを引きRB団員達を転落させボーリング玉で追撃。
     逆にリア充には。
    「ここは任せて、先に進んで下さいね?」
     と先へ進ませる。
     そして着地点を越えたのは鋼菊・待宵(d34217)と有瀬・桂(d34395)。
     だが、待宵をお姫様抱っこし進む姿はRB団の格好の的だ。
     飛んできたスモーク弾を桂が叩き落とす。
    「簡単にやれると思ったか?」
     効果が悪いと判断するや否や、モブRB団に後を任せ先へ進むレイフォード。だが、残されたRB団は待宵の投げたタマゴ手榴弾を浴びせられ胡椒と唐辛子の阿鼻叫喚に。
     けらけら笑う待宵、気性荒く暴れ出す桂、とんだリア充である。
     だが、もっとヒドいのは愛のサーカス団、御神・白焔(d03806)と色射・緋頼(d01617)ペアだった。そう、スタート時にキスしてたペアだ!
    「いいのか? 今日の私は一段と足癖が悪いぞ」
    「それでは、守護ラブのためにやられてください」
     手を繋いだままダンスを踊るように団員を蹴散らし、最後は緋頼をお姫様抱っこし2人は去っていった。
     1対1で戦うは義勇軍のガーゼ・ハーコート(d26990)とRB団来海・柚季(d14826)。
    「絶対に悔しくないし、泣かないし、悔しくないし!」
     柚季が木刀で打ち込み更にバナナの皮も放る。
    「大~丈~夫、手加減してあげるからー」
     ガーゼがピコハンで迎撃、するとバナナの皮の1つが柚季の足下へ。
    「え? あっ! わ、われわれはいつだって現れるからなー、なー……」
     屋上から落下する柚季。
     その屋上の一角にはパン食い競争の用意がしてあった。やってきた参加者は勘違いしてパンを食べ、そのカレーの辛さに気絶する。
    「実弾じゃなくても、当たれば十分に効くわよ」
     葵璃・夢乃(d06943)が『くさやストレミングリキッド』を入れた水鉄砲で次々にパン悔い場を守るRB団を撃退。
     だが。
    「あはははははは! それは2年前に経験済みさ!」
     現れるはRB団・夏炉崎・六玖(d05666)。
    「ここを通るリア充は、このカレーパンを食べ全滅してもらう」
     自分でカレーパンを手掴みし一口、そして凌駕出来ずに倒れる六玖。
    「(何をやってるんでしょう……)」
     深廻・和夜(d09481)が呆れつつ横を走り抜け屋根から次のステージへとジャンプ。さらりと被害無く抜けていった。


     RB団の潜在能力を発揮し走り抜けるは黒木・摩那(d04566)。
     カップルに割り込み。
    「リア充チョップ! 私の前でイチャイチャなんてさせないわ」
     手を切って走り去る。
     武道館の屋根の上では上半身裸にボディペイント、腰ミノに邪神面のディーン・ブラフォード(d03180)を筆頭に怪しい儀式を行うRB団達。
    「リア充滅ぶべしリア充滅ぶべし……」
     そして儀式の中央、貼り付け台にはフィン・アクロイド(d11443)。
     カッ!
     炎が爆発したかと思うと、フィンの拘束が解けモブ達が平伏す。
    「同志よ」「同志よ」「同志よ」。
    「ああ、なんか色々あって。こうなった」
     再びRBの炎を纏ったフィンが狙撃銃でリア充の進路に設置したドラム缶を狙撃、爆破、炎上。
    「何もかもが懐かしい……燃えろ、リア充」
     お帰りなさいパート2。

     一方、武道館内では愛のサーカス小屋、風見・孤影(d04902)と古参RB団、風真・和弥(d03497)が対峙していた。
    「愛がなければ世は栄えぬ。お前等がやる事はただの暴虐だ」
    「ふっ……敢えて言おう! 無理を通して道理とリア充蹴っ飛ばす!」
     同時、2人が踏み込み。
    「秘技、畳返し!」
    「畳返しの術!」
     バララと畳が起きあがり中央で激突。
    「ほう」
    「やるな」
     場所を移動し畳が舞う。
     そんな2人の戦いを良い距離で見守るは無関係な若生・めぐみ(d01426)。
    「もうやめて下さい! 争いは何も生みません」
     演技を入れつつ必死に呼びかけるめぐみ。
    「めぐみ、役に立つよう頑張りますから!」
     畳が舞う。めぐみが叫ぶ。もう、何が何やら……。
     そんな武道館だが、なぜかRB団が続々と集まってくる。それは戦戦研の嵯神・松庵(d03055)と風間・紅詩(d26231)の情報操作の賜だ。
     そしてある程度集まった所で現れるは鏡・瑠璃(d02951)と灯屋・フォルケ(d02085)。催涙弾とゴム弾ランチャーを瑠璃が派手に撃てばRB団達から悲鳴が上がり、迎撃だと突撃してくるRB団には軍用スコップとスタンガンでフォルケがシステマ格闘技を駆使しとどめを指す。
    「制圧完了です」
     フォルケのサインに瑠璃が頷き、狭霧に連絡を入れる。
     やがて、戦戦研が去った後、こっそり起き上がる数人の団員達。
     しかし。
    「RB団相手に試したいとかそんな事は考えていない。無いったら無い」
     立ち塞がるは狂舞・刑(d18053)、鉄製の鎖と荒縄が飛び哀れ団員達が転がされる。
    「そこで大人しくしてもらうとしよう」
     そんな武道館内で畳返し合戦中もある一区画を守っている少女がいた。
    「わが名はシルビア(仮)、リア充を罰するためにやってきた!」
     シルビア・ブギ(d00201)と名前入りのジャージを扇風機でたなびかせていると、リア充を追い立てて来るのはちくわ(なぜ?)を持った素破・隼(d04291)だ。『今回は 罠で賢く 脱やられ』と気持ちよく句まで読む調子の良さ。
    「ふふふ、この紐を引けば畳がひっくり返り、そのまま落とし穴に」
     遠慮なく落とし穴の紐を引っ張るシルビア。
    「にゃあああー! おぉぉーちぃぃーるぅぅぅっ!?」
    『とはいかないのが やられ遺伝子』
     一緒に落下しつつも下の句を読む隼。
     初年に比べればちょーほー部の参加も減っているが、頑張れ、シルビア! 応援してるぞ!


    「刮目せよ。このプールに放たれた大量の昆布を!」
     プールの中心で叫ぶは裏方・クロエ(d02109)、そしてプールを埋める大量の昆布。
     プール間際で躊躇するはかつて月見で結婚式をした、ミハイル・オルダノフ(d00534)と東郷・香澄(d00028)。このペアを足止め出来たなら十分金星だ。
     そして、その隙に殺到するモブRB団達。
    「魔法少女みらくる・いりな、参上です」
     香澄が水着姿、ミハイルが着流し姿で木刀を持ち、襲い来るRB団を迎撃。
     残るはクロエ1人。
    『チェストォォォォォ!』
     一気に跳躍する2人。
     だが。
     ブクブクブク。
     哀れクロエは昆布に絡まれ溺れていたのであった。
     そんなプールを気品的で可憐なバタフライで乗り切ろうとするのは須野元・参三(d13687)。
    「優勝はこの気品高き私が一番似合っているのだよ!」
     なんという気品! 昆布をものともしない!
     やがて昆布プール内にモブRB団が沸き、待ちかまえる罠が発生。
     その駆除に苦心する事になったのは一・威司(d08891)と荒谷・耀(d31795)だ。
     プールサイドから投げ縄を使うも、逆に耀はプールに引っ張り落とされ。威司が手を取り助ける事に。
    「え、やだ! 見ないで!?」
     と、耀の体操着が濡れーー。
    「耀……」
     上着を掛けてやり頭をなでる威司。らぶい。
    「あ、あの、ミルフィがひどい事しちゃってごめんなさい……」
     アリス・クインハート(d03765)が溺れ掛け復活した幌月・藺生(d01473)にプールサイドで謝る。
    「いやいや、半分は昆布のせいだし、RB活動も十分したし、気にしないで」
     そう言うとデッキチェアでお弁当を広げる藺生。
     思わずアリスもお菓子をお裾分け。
     一方プール内ではビキニ姿でRB団と戦うミルフィ・ラヴィット(d03802)の姿が見える。
    「わたくしの壱から漆までの太刀、耐えられますか?……いざ、【白兎の七本刀】ーー壱の太刀っ!」
    「ぐあ」
    「壱の太刀っ!」
    「ぐへ」
    「壱の太刀っ!」
    「ぐ……って、待て! なんで弐に行かないんだ!」
     ミルフィのお仕置きは続く。


    「一番になって伝える……この気持ちを!」
     魂を震えさせグラウンドへ戻ってくるはクレンド・シュヴァリエ(d32295)、途中で地雷の勢いすら味方にし加速。
    「俺は! 君の事が、ずっと好きだーーー!」
     叫ぶクレンドだが、その横にはセルジュ・ディオール(d18765)が追すがる。自らが騎士道精神なら、愛の為に走るこのライバルも中々に心地よい。
     しかし、そんな2人の進む先にローションがぶちまけられていた。
    「いつもとは違うRBを見せてあげよう……ふっふっふ」
     それはRB団八城・佐奈(d22791)の仕込み。
     さらに絹代も現れタバスコ風船が炸裂。
    「タバスコを噛みしめながら、自分が一着をーーぶっ!?」
     絹代の顔面に枕が命中、見ればそれは愛のサーカス小屋メンバー、エステル・アスピヴァーラ(d00821)と雛のペアだ。
    「むきゅ、サーカス小屋出撃~♪」
     胡椒が乱舞しビー玉がバラまかれ、雛が玉乗りしRB団を轢き始める。
     そんな混乱の先に、3人のRBの姿。
    「さて、どうやら今回の難敵は彼らのようだよ」
     若が2人の同志に報告する。
     それはインクの入った水鉄砲等でフル装備した仮面の柿崎・法子(d17465)、そしてサバト服に身を包むラスボス感満載な霈町・刑一(d02621)。
    「斬新コーポの社内恋愛を爆破し、夢の国でクリスマス爆発男と出会い……我々も成長しました」
     コクリ。
    「RB団よ! 集まれぇえ!」
     若が叫びモブRB団達が大量に現れる。
     そこに到達するは戦戦研の4人。
    「悪いが、あんたらの今年はこれで終わりだ……」
    「学園の規律と平和の為、貴様等を捕縛する!」
     叢雲・宗嗣(d01779)の言葉をヘイズ・フォルク(d31821)が引継ぎ、戦闘準備に入る乱獅子・紗矢(d13748)と言乃葉・呼碧(d34181)。
    「ハッハー! とりあえずぶん殴る!」
    「人の恋路を邪魔する奴は、って言葉を知らないのか?」
     突撃する戦戦研、対するRB団も法子が。
    「さぁリア充、義勇軍よ。覚悟しろ!」
     大乱闘開始。
     徒手空拳で次々とモブを沈める宗嗣と呼碧。ワイヤーでRB団を誘導しそこを紗矢がトドメを指す。RB団側は若がアイスやお菓子を配り、法子がインクをまき散らし、刑一が白いチューリップ(花言葉は失恋とかのやつ)で……って、なんか弱そうだぞRB団!?
     結果。
     若が倒れ、法子が紫に染まり突っ伏し、刑一がチューリップの茎に塗った痺れ薬で「エキサイティンっ!」とシビシビ。
    「っかし、容赦ねぇなぁ」
     呼碧が呆れると狭霧に連絡を取っていたヘイズが深刻な声で告げる。
    「まずいな……」
    「どうした?」
    「どうやら、本命はこいつらじゃないらしい」
     グググッと刑一が「くくく……その通り」。
     紫の物体が「よくあること……だよね」。

     一方、その頃ーー。
     怪しい巨大人形が乱立する場所において、モブRB団と戦うは竹尾・登(d13258)と紅羽・流希(d10975)。
    「雑魚はオレに任せろ!」
    「私も今年は1つ学びまして、はり倒すだけでは復活する……と」
     登が鍋の蓋で攻撃を防ぎつつ、流希がRB団を縛り転がしていく。
    「あの参加者は急接近中ですね、同姓ですが。あの人はラノベのハーレム状態……はぁ、イヤになるよ」
    「あ、良太」
    「おや」
     RB団所属の友人(富山・良太(d18057))を登が見つけ、流希が「知り合い特典でシバかれるのと縛られるの、選ばせてあげますよ?」と笑顔が怖い。
     しかし良太達もただやられるわけじゃない。
     立ち塞がるは武道館から剣道防具一式を装備しやってきた謎の少女(東雲・菜々乃(d18427))。
    「ここを通りたければ私を倒してからにして下さい」
    『ええっ!?』
     しかし自分たちの役目は……と足止めを勝手でる登達。
     そしてモブRB団達の最奥へ義勇軍の一部が到達する。
     待ち構えるはRB団の天倉・瑠璃(d18032)と軍師、丹下・小次郎(d15614)。
     到達した一団から秋山・清美(d15451)が1歩前へ出ると、どこからか飛んできた水で満杯の巨大水槽をバンザイで受け止める。
    「あなたの事です、爆発縛りという情報を流しつつ、爆発オチを狙っているのでしょう。今年はそんな事させません!」
    「ふっ」
    「何がおかしいのです」
     小次郎が合図を送り、ゆっくりしていた瑠璃がカチリとボタンを押す。
     ドンッ、ドドドンッ!
     響き渡る爆破音、同時、破裂する巨大人形達。
    「爆破という火計は用いぬ! 用いるは水計よ!」
     巨大人形を膨らませていた水が一斉に流れだし、壁に囲まれたコース内に氾濫する。
     ゴロゴロゴロ……そんなクライマックスシーンの端で、1人の少女が転がってくる。
    「うう……膝に、たぶんなんか矢みたいのが当たったせいで……」
     それでも前に進もうと見えないまま転がるは園観・遥香(d14061)。
    「あ」
     清美にぶつかり水槽がーー。
     この状況に瑠璃が「水攻めじゃぁぁぁ特大流れるプールじゃぁぁぁぁ! リア充の川流れよ!」と叫びつつ自らも流されていく。
     そして軍師はーー。
    「ゴプゴブゴ……ブバッ!?」
     飛んできた逆さの水槽に閉じこめられ、内部の水中で溺れていた。
     そしてクロスカントリーも決着が近づく。
     押し寄せる水すらかき分け、先頭は卦山・達郎(d19114)とクーガー・ヴォイテク(d21014)。
    「やはり最後はお前か!」
    「今年こそ決着をつけて見せる!」
     罠だろうとRB団だろうと!
     血が流れようと四肢が折れようと!
    「俺の前に、立つんじゃ、ねぇぇぇぇぇ! 
    「じゃ、ま、だあああ!」
     まるで最高のコンビネーションのように達郎の拳が妨害者を、クーガーのラリアットがRB団を吹っ飛ばす。
     ゴールは目前。
    「今こそ……死力を尽くす」
     その声は前でも横でも無く。
     達郎とクーガーの背後、気配を消して付いてきていた戯・久遠(d12214)!
     最後の最後で頭1つ2人より抜け出す久遠。
     まさかの美味しいとこ取り!?
     ガッ!
     その時だ、久遠の肩が誰かに踏まれた。
    「ごめん……ね」
     そして、久遠を踏み台に金髪の少女、アリス・ドールが跳びゴールテープを切ったのだった。

     優勝の決め手は他者の影に隠れて妨害をくぐり抜け、さらに利用してでも優勝するという作戦だろう。
     そして大波乱(氾濫?)のうちにRBクロスカントリー2015は幕を閉じるのだった……。

    作者:相原あきと 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年5月31日
    難度:簡単
    参加:96人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 24
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