欲望集いし斬新カジノ

    作者:カンナミユ

    「松下カズト君、だね」
     男は優しい声で前の少年に話しかけると、少年――カズトはこくりと頷いた。
    「君は当カジノを利用し、負けた。間違いないね?」
     再び頷くカズトは無言のまま。
    「負けた以上、君がチップと引き換えた『これ』を返す事はできない」
     そう言って男は『これ』――ビデオをテーブルに置く。
     カジノで遊ぶ為にはチップが必要だ。チップを得る為には犯罪を収めたビデオが必要だ。
     カジノで負ければ犯罪を収めたビデオは――。
    「君のご両親はさぞかし悲しい思いをするだろうね。愛情込めて育てた可愛い息子が犯罪を犯していたと知れば」
     ああなんという事でしょう! 愛しい息子が警察に逮捕されるなんて!
     淡々と話す言葉を耳に俯き涙を流すカズトだが、
     ごとり。
     何かが置かれる重い音。顔を上げれば残酷なほどに優しい顔。
    「『それ』を使いなさい。なに、簡単な事です。このビデオ以上の犯罪を提出してもらえれば、ビデオはお返しした上で差額のチップをお渡ししましょう。そのチップで勝てばいいのだから」
     そうすればビデオも返ってくるし、お金も得られる。
    「…………」
     カズトはぎゅっと両手を握り締め――、
     『それ』を手に取った。
      
    「斬新コーポレーションの斬新京一郎が新たな動きを見せたようだ」
     結城・相馬(超真面目なエクスブレイン・dn0179)は言いながら集まった灼滅者達を見渡した。
     それは鈍・脇差(ある雨の日の暗殺者・d17382)がもたらした情報で、札幌のすすきので六六六人衆、斬新京一郎は地下カジノを運営しているというのだ。
    「この地下カジノは斬新だけに普通では無いカジノのようでね、客に犯罪をさせてその犯罪をチップにしてカジノを遊ばせているんだ」
     犯罪をチップと引き換えにして遊ぶ斬新地下カジノ。
     このカジノで遊ぶ為に犯罪を犯していく事により一般人を闇堕ちさせたり、或いは犯罪者として優秀な一般人の配下を手に入れようとしているのかもしれないという。
    「この地下カジノを潰す為にお前達には客としてカジノに入り込み、支配人の六六六人衆と配下のアンデッドの灼滅を頼みたい」
     相馬は言い、頷く灼滅者達を目に資料を開いた。
    「このカジノに客として入るには説明した通り、自分が犯罪を犯した証拠を店に提出してチップと交換しなければいけない」
     交換できるチップの量は犯罪の大きさによって決まる。小学生から遊べるので初めての人でも気軽に遊べるよう考慮されており、それは信号無視や畑の野菜を食べるなどの簡単なもので構わないようだ。
     受付でそれを渡してチップと交換してカジノ場に入り、支配人と接触する必要がある。それはチップを使い果たし支配人室に連行されたり、ディーラーにケチをつけた騒ぎで支配人を呼び出す等、方法は色々あるだろう。
    「店には従業員の他に20人程の客がいるようだ」
    「それはカズトも?」
     話を聞く灼滅者の言葉に相馬は頷いた。
     小学5年生のカズトは小さな罪をチップに換えてゲーム代欲しさにルーレットに興じている。
    「店内にはアンデッド4体が従業員として働き、カジノ場の奥にある支配人室には六六六人衆――水野・要がいる。アンデッドは強くないようだが、要は序列外であっても全員で戦って同じくかそれ以上の力を持っている」
     優しい顔と物腰の中年男性、要は従業員と同じディーラー衣装に身を包み、ナイフを持ち戦う。
     カジノの客は戦闘が始まれば我先にと逃げ出すので避難誘導は不要だと説明する中、
    「これはあくまで俺の考えとして聞いて欲しい。もし出来るなら可能な範囲で構わないから、こんなカジノにもう手を出さぬよう説得してもらえないだろうか」
    「子供まで犯罪に手を染めるなんてシャレにならないしな」
    「ああ」
     資料から灼滅者達へと向けて相馬は言い、あくまでも可能ならの話だ、無理はするなよと念を押す。
    「すすきのといえば……SNK六六六のアリエル・シャボリーヌの拠点だったな」
     ふと思い出した相馬は資料をめくる。
     もしかするとこの地下カジノを通じて接触しようと考えているのかもしれないな、と口にし資料を閉じると言葉を続けた。
    「本社を潰されても全く新しい斬新な商売を始めてしまうアイデアには驚かせられるが、お前達の手でこの斬新なカジノを叩き潰してくれ。頼んだぞ」


    参加者
    神薙・弥影(月喰み・d00714)
    織部・京(紡ぐ者・d02233)
    猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)
    リディア・キャメロット(贖罪の刃・d12851)
    蒼羽・シアン(クイーンオブブルー・d23346)
    鮫嶋・成海(マノ・d25970)
    日与森・モカ(ツギハギさん・d29085)
    依代・七号(後天性神様少女・d32743)

    ■リプレイ


     ビデオに収まるのは信号無視をする8人の学生達。
     中でも通行する車の邪魔をするように歩く猪坂・仁恵(贖罪の羊・d10512)がしっかりと映るそれを目に従業員はなにやらいくつか確認をした後、8人へとチップを渡す。
    「やっぱり、小さな犯罪でも心の中でやましい気持ちが渦巻くものね……」
     ぽつりと口にしリディア・キャメロット(贖罪の刃・d12851)が受け取るのは決して多いとはいえない枚数のチップ。8人全員での罪だからという理由のようだが、彼女達にとってそれはどうでもいい事だった。
     そう、重要なのはチップを受け取り、地下カジノへと足を踏み入れた、その先。
    「実は初めてなのよね、日常生活の中では。ちょっとドキドキするわ」
     チップを手に神薙・弥影(月喰み・d00714)は言いながら扉を開け、その先――カジノ場へ。
    「でひゃひゃひゃ! 広いっすねー!」
    「確かに広いわね」
     柔らかな照明の元で繰り広げられるその光景を目に日与森・モカ(ツギハギさん・d29085)と蒼羽・シアン(クイーンオブブルー・d23346)は率直な感想を口にする。
     このカジノは斬新コーポレーションが経営する地下カジノ。遊ぶ為のチップと引き換えにするのは現金ではなく、罪だ。
     様々な年齢層の客がゲームに興じる様子を見渡せば、リディアの目に留まるのはルーレットに興じる一人の少年。
     エクスブレインの説明によれば、この地下カジノは小学生でも罪をチップに替えて遊ぶ事が出来るという。あの少年――カズトもここで遊んでいるという事は、罪を犯したという事である。
    「罪を重ねさせるなんて……止める」
     織部・京(紡ぐ者・d02233)はぽつりと思いを口にし、
    (「そんなカジノは、私達が潰してあげるわ」)
     悲しい現実を目にリディアも決意と共に、カジノ場の構造も頭に入れていく。
     控えめな曲が流れるカジノ場は、歓声や悲鳴、怒声が混じり、お世辞にも静かとは言えない。
     灼滅者達は目線で合図し、作戦を開始する。
    「私、ポーカーでお金を7兆倍に増やすんです……!」
     依代・七号(後天性神様少女・d32743)は無表情に拳を握りしめ、言葉なく鮫嶋・成海(マノ・d25970)の拳は近くにいたアンデッド従業員に直撃した。
     

    「お、おおおおおぉぉぉぉ……!!」
     真正面から受けた一撃に加えてライドキャリバーの一撃を受け、吹っ飛ばされたアンデッドは悲鳴を上げて倒れるが、よろよろと起き上がる。
    「チップ少なすぎません? これでチップを増やして貰えませんかね?」
     よろよろと起き上がるとそこへ無表情の、同情とむかつきの感情が渦巻く仁恵が立ち、やや荒い言動と共に変化させた腕を振るうと、
    「喰らい尽くそう……かげろう」
    「ぅおおおおぉ!」
     解除コードを口に十文字槍を手にした弥影も螺穿槍を放つと目前のアンデッドが動き、ナイフが閃いた!
     金属音が響き、ナイフを払うと残りのアンデッド達も騒ぎに気付いてこちらへとやってくる。3体全員の手にはナイフが握られており、柔らかな照明を受けてぎらりと光る。
    「正義の味方登場です」
     戦いの中で仁恵が向けるのは、本気でビビらせるべく浮かべる悪い笑み。
     突然の出来事にざわつき出すカジノ客をよそに灼滅者達はアンデッド達へと攻撃を開始した。
    「法を犯してギャンブルに耽って、そんな人生でいいの?」
    「テメー達も逃さねーです。顔は覚えましたからね。心を入れ替えれば考えてやりますよ」
     アンデッドの攻撃を捌きながら弥影と仁恵は声を上げ、
    「……馬鹿みてぇな事してんじゃねぇよ。手汚して得た金やモノなんざその辺のゴミ以下だろ」
    「次こんな所で見かけたら殺しますから」
     成海と七号も逃げ出すカジノ客へと説得――こんなカジノに手を出さぬようフォローする。アンデッド従業員と戦いながらでは一人一人に向ける事は不可能だが、この状況下であれば効果はあるだろう。
    「さぁ、私のこの一撃、見切れるかしら?」
     アンデッド達へと放つリディアの鏖殺領域はダメージを受けた2体が倒れ、残りは2体だ。
     カジノ客は戦闘に巻き込まれないよう、我先へとカジノ場から逃げていく。そんな中、ちらりと見れば周囲を見渡し逃げ出そうと動く少年、カズトの姿。
    「いきなり騒ぎになって吃驚しちゃったかな? ごめんね」
     弥影からの声に駆け出そうとしていた足はぴたりと止まり、カズトは声をかけられた灼滅者――従業員と戦う学生へと顔を向けた。
    「な、なに? 早く逃げないと」
    「愉しいだけってのは怖いのよ」
    「犯罪に手を染めて親を悲しませるな」
     カズトの近くで戦いながらではシアンとモカはそう声をかけるのが精一杯だったが、それでも心を打つものがあったに違いない。
    「カズトさん。今なら引き返せます。罪に対する意識がある内に、手を引いて下さい。これ以上罪を重ねないで下さい」
    「親にバレたらと思うようなら……こんな事もっと良くないのわかるですよね? チンケな罪で賭けて負けてる様な奴にツキがくるか! 怪我する前に帰れ!」
    「ご、ごめんなさいっ……!」
     成海と京、そして灼滅者達の言葉に涙目のカズトは走り去る。
     カジノ客は全て逃げ、残ったのは灼滅者達とアンデッド2体。
    「あと1体ですね」
     大鎌を振るい、七号が放つレイザースラストはよろめくアンデッドを貫き、
    「さてっと、これでラストっすよ!」
     霊犬・ケタケタさんと共にモカが最後の1体を屠ったその時。
    「ようこそ、招かれざるお客様――いいえ、灼滅者ご一行様」
    「……っ?!」
     突然の殺気に振り返れば、ぎらりと光るナイフが七号の視界に入った。
     

     それは突然の事だった。
     死角からの攻撃は体を切り裂き、ぐらりと揺れた瞬間、再び閃き――、
    「させないわ!」
     上がるシアンの声に呼応するようにウイングキャット・エレルが動き割り入り二撃目を防ぐ。
     不意の攻撃の餌食となった体は倒れる事なくかろうじて耐え、七号は意外そうな顔する男を見た。
    「おや、なかなかですね」
     だが、その表情はほんの一瞬。男の顔はすぐ元に戻る。
    「七号さん!」
    「大丈夫っすか?」
     京とモカが走り、仲間達も駆け寄り攻撃主を見据えれば、優しい顔のディーラー姿の男が立っていた。
    「何やら異様に騒がしいので見に来ましたが、まさか灼滅者とは」
    「来たな、支配人」
     柔らかい物腰と言葉に京は言うが、男は柔らかい表情のまま。
    「皆様が戦う様子は拝見させて頂きました。私は当カジノの支配人、水野・要と申します。短い時間とはなりますが、お見知りおきを」
     要――斬新コーポレーションの六六六人衆は恭しく礼をする。
    「困りますね。当従業員を殺害し、営業までも妨害されるとは」
    「此処って、どんな繋がりがあるのかしらね?」
     静まり返ったカジノ場を見渡し言う要は問われた弥影へと瞳を向け、
    「ここが? ……さあ、どうでしょう」
     返すのは柔らかい笑みと曖昧な言葉だけ。
    「このカジノは犯罪行為を歓迎していると聞きました。あなたもボコボコにしたらチップをたくさん貰えるんでしょうか?」
     七号は大鎌を手に言うが、ダークネスの表情は柔らかく、だがその瞳は柔らかくない。
     ダイダロスベルトを翻して放つ仁恵の攻撃を払うと弥影とリディアに続く攻撃をナイフで捌き、成海とモカの一撃を受けたダークネスの体はひらりと舞い七号が振るう変化させた腕はぶん、と音を立て空を切る。
    「私をボコボコにしてチップを沢山、ですか」
     すと立つ要は攻撃で少し乱れた服を直すと視線を再び灼滅者達へ。
    「当カジノで殺人罪は高額なレートで交換させて頂いておりますが……貴方達の力では難しいのではないですか? 失礼ですが」
    「……アンタを消すのは犯罪じゃなくてただの掃除に決まってんだろ。死ねよクソジジイ」
     成海の言葉にダークネスは反応も返さない。恐ろしいほどに冷たい瞳を向ける要はナイフを構え直し、どす黒い殺気を放った。
     斬新コーポレーションの六六六人衆と灼滅者達の戦いははじまったが、この男の序列は六六六位以下の序列外だというが、それでもなかなか手強い相手である。
     弥影が放つ漆黒の狼がその姿を捉え切り裂き、リディアのマジックミサイルが命中しても要の表情からは余裕さえ伺えた。
    (「小さな傷でも……絶対に誰一人倒れさせない!」)
     その様子を目に京は決意しシールドリングを展開させるとエレルを伴うシアンもまた、仲間の傷を癒す。
    「手強い相手っすね。でも負けないっすよ!」
    「そうですね、負けるわけにはいきませんね」
     ケタケタさんと共に動くモカの言葉に七号は頷くとエアシューズを駆り、一撃。防ぎきれず要はそれを受け、お返しとばかりにナイフを翻すと毒の竜巻を前衛へと放った。
    「エレル!」
     続く戦いの中、防ぎ続けたウイングキャットは力尽き消えてしまう。その光景を目にしたシアンは瞳をダークネスへと向ける。
    「アンタらのやってるコト自体は正直どうでもいいんだけど、やるんならダークネスかあたしたち灼滅者みたいな同類ひっかけなさいよ」
     それは自らの過去があるからこその言葉。一般人をターゲットにした事へ対しての怒りの声。
     癒しの風をふわりと送りながらシアンは声を上げたが、ダークネスはふふ、と冷たく柔らかい笑みを浮かべるだけだ。
    「失礼ながらお嬢さん、その案は斬新さがありませんよ」
     成海の拳を受ける要は微かに眉をひそめ、モカと七号の攻撃を捌きながらも言葉を続ける。
    「斬新コーポレーションは斬新さを尊ぶ会社です。貴方がたやダークネスへこのカジノ場を提供するなど、斬新さの欠片もないと思いませんか?」
    「どーでもいいですよ、そんなもん」
     ぎいん!
     金属音が響き火花が散る。真正面からの刃は仁恵の槍が弾き、構えるプログラムナンバーワンを閃かせると陽皇の護を構える弥影も動き槍を振るう。
     戦いの中、灼滅者8人が胸の内に思う事はただ一つ。
    「お前らの好きになんて真っ平だ!」
    「……っ!」
     京が放つその一撃をダークネスはかわそうとするが真正面から受けてしまう。ぐらりと揺れる隙を突いてもう一撃。
    「アンタの好きになんかさせないわよ!」
     弟から贈られたロッド、シュウテン蒼星鳥を手にちらりと見れば、柔らかな顔はいつの間にか余裕を失いつつあった。
     恐らくは限界が近いのだろう。攻撃一手だったその動きにダークネスの行動は回復が挟まれ、傷を癒そうとするがダメージを負いすぎた。
     攻撃を受け、流れる血はシャツを濡らし紅に染まる。ダークネスは灼滅者達の攻撃を防ぎ、払いつつの回復を図るがダメージがそれを上回る。
    「私が負ける、など……!」
    「させるか!」
     モカとケタケタさんの刃にざくりと腕を裂かれ、七号の大鎌を受けた要はナイフを振るうがライドキャリバーが立ち塞がり、防がれてしまう。
    「観念するといーですよ」
     仁恵の神薙刃と共に弥影の漆黒の狼の一撃に血が流れ、
    「さぁ、私のこの一撃、見切れるかしら?」
     得物を手にリディアが死角から切り裂き、京とシアンも攻撃を放てば、立て続けの攻撃にダークネスの体はふらついた。その体は今にも倒れそうだが、要は必死に耐える。
     負ける訳にはいかないのだ。
     だが――、
    「死ねよクソジジイ!」
    「これで最後っすよ!」
     成海とモカの攻撃を目に防ごうと要は動くが間に合わない!
     きい、ん。
     冷たい音を立て、ダークネスの血塗れた手からナイフがするりと落ちた。

    「くっ、……」
     激しく咳き込む男の口から血がこぼれ、ぼたぼたと床に散る。
    「この私が灼滅者如きに、ね……」
     地下カジノの支配人である男の声は弱く、そう長くはもたないだろう。
     各々武器を手にしたまま灼滅者達はダークネスを見つめる中、七号はすと前に出る。
    「聞かせてください。一体何のためにこんなカジノを経営しているのですか?」
     あの含みをもった、曖昧な受け答えの男に問えば、弱々しくもしっかりとした瞳が七号を見据え、その口元はやはり含みを持ったまま。
     死にゆくダークネスはふふ、と笑い、微かに口を動かした。
    「知っていたとして……私が……い、言うわ、け……」
     ――言う訳がない。
     ごぶりと血の塊を吐く要はどさりと倒れると、その姿は黒い灰となり、斬新な地下カジノには灼滅者達が残るだけとなった。
     ここは何かどこかと繋がりがあるのだろうか。やはりエクスブレインの話したように――。
     曖昧に返された言葉を思い出し、弥影はダークネスであったものを見れば、それはさらさらと崩れて消えてしまう。
    「さて……」
     事務所探索に動く仁恵を目にリディアは周囲を見渡しカズトを探すが、カジノ場にはカズトはおろか客は誰一人として残ってはいなかった。
     目の前で戦闘が起きれば逃げ出すのは当然と言えば当然か。
    「大丈夫、戻れるよ」
    「そうよ、きっと戻れるわ」
     カズトに真っ当に生きる様説得するつもりだったリディアは京とシアンの言葉に頷けば、仲間達もそれを信じ頷く。
     戦闘中であったがカズトに対して出来る限りの事はした。カズトだけではない。他のカジノ客も逃げる中、自分達の言葉を耳にした筈だ。恐らくは手を出す事はもうないだろう。
    「あのカジノ客もまっとうな生き方をしてくれるといいっすよね、鮫嶋ちゃん」
    「そうね」
     モカと言葉を交わす成海は落ちていたチップを一枚つまんでテーブルへ置くとホイールを回し、ボールを入れる。
     灼滅者達が見守る中、回るホイールは止まり、ボールはポケットへ。
    「世の中そう何でも思い通りにいく訳ねーですね」
     落ちたボールとベットされたチップを目にぽつりと仁恵。
     
     斬新な地下カジノは一つ潰え、灼滅者達はそれぞれの思いを胸にその場を後にするのだった。

    作者:カンナミユ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年5月31日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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