ボロ雑巾のようにしてやるぜ!

     蓬莱・金糸雀(陽だまりマジカル・d17806)は、こんな噂を耳にした。
     『人間を雑巾代わりにする都市伝説が存在する』と……。
     この都市伝説は筋骨隆々の男で、物凄く奇麗好き。
     そのせいか、少しでも汚れているところを見つけると、ピカピカになるまで掃除しないと気が済まないようである。
     そう言った努力が実を結び、今では町の人気者になっているのだが、ゴミのポイ捨てをする人間達には容赦がなく、雑巾代わりにして己の過ちを悔いさせているようだ。
     しかも、都市伝説の催眠によって、まわりにいる人間達も『ポイ捨てをしたのなら、こうなっても当然』という考えになってしまうらしく、誰も助けようとは思わず見てみぬふりをするようである。
     そのため、都市伝説はやりたい放題。
     ゴミのポイ捨てをした人間達を襲って、ボロ雑巾になるまで使い込んでいるようである。
     そう言った意味で、都市伝説は強敵。
     場合によっては、催眠状態にある人間達に、口汚く罵られてしまう可能性さえ捨てきれない。
     そう言った事も踏まえた上で、都市伝説を倒す事が今回の目的である。


    参加者
    赤威・緋世子(赤の拳・d03316)
    十束・御魂(天下七剣・d07693)
    杉凪・宥氣(天劍白華絶刀・d13015)
    蓬莱・金糸雀(陽だまりマジカル・d17806)
    ハチミツ・ディケンズ(無双の劔・d21331)
    アノ・シュヴァル(若きヴァンパイアハンター・d24825)
    天城・紗夕(蒼き霧の聖女・d27143)
    杜守・霊禍(うつしみ・d33220)

    ■リプレイ

    ●ポイ捨て禁止
    「シンガポールではポイ捨ては罰金という話を聞いたことがありますが、今回の都市伝説はそれを極端にした感じですかね? 綺麗好きなのはいい事ですが、何と言ったらいいのやら」
     十束・御魂(天下七剣・d07693)は事前に配られた資料に目を通しながら、都市伝説が確認された住宅街に向かっていた。
     都市伝説は筋骨隆々の男で、物凄く奇麗好きなようである。
     ただし、ゴミをポイ捨てする一般人に対しては容赦なく、雑巾代わりにして己の過ちを悔い改めさせているようだ。
    「綺麗好きなのは好感が持てますが、ちょっとやりすぎですね」
     天城・紗夕(蒼き霧の聖女・d27143)が、険しい表情を浮かべる。
     都市伝説は良かれと思ってやっているようだが、被害を受けた一般人達からすれば、いい迷惑。
     確かにポイ捨ては良くない事だが、雑巾代わりにされて、納得する事など出来ないだろう。
    「ポイ捨てがよくないのは分かるし、悪い事じゃない。まあ、そのやり方が過激だから、ダメなんだけどね」
     杉凪・宥氣(天劍白華絶刀・d13015)が、深い溜息をもらす。
     何となく都市伝説の言い分も分かるのだが、手放しで褒める事は出来なかった。
     しかし、都市伝説のまわりにいる一般人達は催眠状態に陥っており、それが悪い事だと思わず、逆に煽るような言葉を吐き続けているようである。
     そのため、都市伝説も『自分は正しい。自分のやっている事は間違っていない』と思い込み、歪んだ正義感を振りかざしてポイ捨てをした一般人達に襲い掛かっているようだ。
    「ポイ捨ては良くないにしても、そのせいで人が雑巾の代わりにされるのは何とも複雑ね。もう少し、ましな注意の仕方もあったでしょうに……」
     蓬莱・金糸雀(陽だまりマジカル・d17806)が複雑な気持ちになった。
     だが、都市伝説は世のため、人のため、この世からポイ捨てを撲滅しようと思っているため、手段は選ばないようである。
    「……んぅ。さんざん。使い倒して。ボロ雑巾の。ように。捨ててやる。みたいな。感じかな?」
     杜守・霊禍(うつしみ・d33220)が、不思議そうに首を傾げた。
     いまいちイメージしづらいが、おそらくそんな感じなのだろう。
    「……と言うか、人間を雑巾にしたところで、余計に汚れるだけだろうが! 人間は油を纏っているようなものだし、血が出たら汚すだけだし、デメリットばかりだ。ちなみに私なら、きつい体勢で縛り上げて生ゴミ用の袋に頭だけ出して入れて生ゴミの日に出すかな。『私は街を汚しました』って貼り紙付きで」
     アノ・シュヴァル(若きヴァンパイアハンター・d24825)が、自らの考えを述べる。
    「それはナイスアイデアだっ!」
     次の瞬間、都市伝説が催眠状態にある一般人達を引き連れ、満面の笑みを浮かべて近づいてきた。
     よほどアノのアイデアが気に入ったのだろう。
     『明日から、共に戦おう!』と言って、親しげに肩を組んできた。
    「ポイ捨ては確かに人間として許されざる悪です。だからといって、人間をボロ雑巾のように、ですとか身勝手にも程がありませんこと?」
     すぐさま、ハチミツ・ディケンズ(無双の劔・d21331)が、納得のいかない様子で口を開く。
    「おい、こら、テメエ! 一体、誰に口を聞いていやがる!」
    「まずは俺達を通すのが筋ってモンだろうが!」
    「テメエもボロ雑巾にしてやろうかっ!」
     それに気づいた一般人達が、捲し立てるようにして吐き捨てた。
    「ええい、周りの人間の罵りが口汚いな! それも掃除しろよ!」
     赤威・緋世子(赤の拳・d03316)がイラッとした様子で、一般人達を指差した。
    「そう思うのは、お前達の心が汚れているせいだっ! まずは俺達が相手になっている!」
     次の瞬間、一般人達が思わせぶりにポーズを決め、緋世子達のまわりを囲むのだった。

    ●一般人達
    「随分と強がっているようだが、どうせ口だけだろ。私達の狙いは都市伝説だけだ。怪我をしたくなかったら、そこを退け!」
     アノが一般人達に警告しながら、一気に距離を縮めていく。
     その間も一般人達が罵ってきたが、完全に無視。
     素早い身のこなしで一般人達の攻撃を避けつつ、都市伝説に迫っていった。
    「俺達が口だけだと……!? だったら、遠慮なく掛かって来いよっ! さっき仲間を呼んだから、テメーらに逃げ場はねえぞ!」
     眼鏡を掛けた一般人が、スマホ片手に叫ぶ。
     それと同時に掃除用具を持った一般人達がワラワラと現れ、問答無用で襲い掛かって来た。
    「だったら俺達が真の掃除って奴を教えてやるぜ!」
     緋世子が殺気立った様子で、一般人達に当て身を放っていく。
     都市伝説の催眠下にあるとはいえ、相手は一般人。
     多少のダメージであれば、耐える事も出来るようだが、大して強くはないようである。
    「ラテー、とりあえず掃除用具にならないように頑張れよー?」
     緋世子が軽く冗談を言いながら、霊犬のラテに視線を送る。
     ラテは茶毛のポメラニアン。
     決して雑巾でもモップでもハタキでもないのだが、一般人達の目が獲物を狙うハンター状態。
     隙あらば掃除用具として使うつもりでいるようだ。
    「ぎゃわわわん!」
     次の瞬間、霊犬のサニーが一般人達に捕まり、助けを求めるようにして鳴き声を響かせた。
    「まさか、サニーが犠牲になるなんて……。あなたの犠牲、無駄にはしないわ」
     金糸雀が薄らと涙を浮かべ、青空に浮かんだサニーに別れを告げる。
     その途端、一般人達に担ぎ上げられていたサニーが、『まだ死んでいないから!』と言わんばかりに鳴き声を響かせた。
    「ヒャッハー! 見たか、これが俺達の実力、俺達の本気! この調子でお前ら全員ボロ雑巾だァ!」
     小太りの一般人が、いやらしい笑みを浮かべる。
     おそらく、正義と言う言葉に酔いしれているのだろう。
     自分達は正しい事をしているのだから、何をやっても許される。
     そんな歪んだ正義感を持っているためか、まったく躊躇いがないようだった。
    「……ん。なら。私が。あなたを。ボロ雑巾に。してあげる」
     霊禍が驚く事無く、百物語を使う。
     その途端、まわりにいた一般人達が怯えた様子で、蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。
     それに合わせて、緋世子がサウンドシャッターを使う。
    「テ、テメエ、何をしやがった!?」
     残った一般人達も、動揺しまくり。
     目の前で予想外の出来事が起こったせいか、両足がカタカタと震えていた。
    「それじゃ、しばらく眠っていてくださいね」
     御魂が囁くようにして、魂鎮めの風を発動させる。
     その影響で残った一般人達も、崩れ落ちるようにして、深い眠りについた。
    「ふっ……、なかなかやるじゃねえか。それこそ、俺が裁くのに相応しい悪っ!」
     都市伝説が変身ヒーローの如く、格好良くポーズを決める。
    「大体、雑巾にされた側は痛すぎますし、行動も極端すぎますので、ここで始末させて頂きます」
     ハチミツがスレイヤーカードを構えた。
    「おっ! ヤル気か! だったら、来いよっ! 来い、来い、来いっ!」
     都市伝説がハイテンションで、ポージング。
     ハチミツを雑巾代わりにすべく、少しずつ間合いを取った。
    「これ以上、被害の拡大を防ぐために、きっちり倒しましょう!」
     次の瞬間、紗夕がシスター服を脱ぎ捨て、スレイヤーカードを発動させる。
    「五行相剋生、四神相応……来い!!」
     それに合わせて、宥氣がイヤーデバイスの電源をオンにすると、スレイヤーカードを発動させ、都市伝説に攻撃を仕掛けていった。

    ●正義の使者
    「さて……、覚悟は出来ていますか」
     ハチミツが鏖殺領域でドス黒い殺気を放ち、都市伝説をジロリと睨む。
     それに合わせて、ナノナノのハバロアが、都市伝説めがけてしゃぼん玉を飛ばす。
    「それはこっちの台詞だっ! 覚悟してもらおうか!」
     都市伝説が雄叫びを響かせ、傷つく事も恐れず物凄い勢いで突っ込んできた。
    「さすがに直撃を食らったら、シャレにならない事になりそうですね」
     すぐさま、御魂が後ろに飛び退いたものの、都市伝説の手は紗夕の胸に……!
     届かなかった! いや、正確に言えば、貧乳である事が幸いした。
    「どうせ、胸をどこかにポイ捨てしてきたとか思っているんでしょ! 全く……私の心が傷ついた責任は取ってもらいますよ!」
     紗夕がムッとした表情を浮かべて、コールドファイアを使う。
    「いや、それは思っていない。天地神明に誓って、嘘はついていないっ!」
     都市伝説が『誤解だっ!』と言わんばかりに叫ぶ。
    「あたしの大事な相棒を、よくも雑巾にしてくれたわね」
     それと同時に金糸雀が、都市伝説に螺穿槍を仕掛ける。
     その横でサニーが何か言いたげな表情を浮かべていたが、途中で無駄だと判断したのか、深い溜息をもらした。
    「グッ……、不意打ちとは卑怯だぞ!」
     都市伝説が悔しそうに唇を噛む。
    「撃つ人間は自分も撃たれる覚悟をしないといけないって言葉知ってる? 今の気分どう? 痛い?」
     そんな都市伝説の頭を踏みつけ、宥氣が恍惚とした表情を浮かべて、そのまま雑巾代わりにした。
    「ぐわあああ、やめ、やめろおおおおおおおおお!」
     都市伝説が涙を浮かべて、辺りに悲鳴を響かせる。
     まさか、自分が雑巾代わりにされるとは夢にも思わなかったため、悔しさと情けない気持ちで心の中がいっぱいになった。
    「自分が雑巾にされてる気持ちってどんな気分かしら? もっと他に方法があったはず。けれど、あなたはやり方を間違ったのだわ。それがあなたの敗因ね……」
     金糸雀が都市伝説に冷たい視線を送る。
    「俺は間違ってなどいない。間違ってなど……いない!」
     都市伝説が宥氣の足を退かすため、全身の筋肉を隆起させ、フルパワーで起き上がろうとした。
    「いいか? ポイ捨てってのは、こういう事を言うんだ……ぽ──い!!」
     それと同時に緋世子が地獄投げを仕掛け、都市伝説にトドメをさした。
    「どうぞ、安らかに……」
     アノが都市伝説の落下した場所に雑巾を供える。
     流石にこのまま放置しておくと、ゴミになってしまうため、持ち帰って焚き上げるつもりだが……。
    「…ん。大掃除の時に。役立ちそう。かな。学校の。掃除当番でも。使えそう?」
     そう言って霊禍が都市伝説を蒐集する。
     そして、霊禍達は緋世子の誘いで、食事に行くのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年5月28日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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