ヒノコ、身を休める

    作者:J九郎

     福岡県白島、男島。
     かつては、下関要塞の一翼を担う軍事基地であり、現在は巨大な石油備蓄基地となっている、福岡県沖の小島である。
     その小島の岸壁に今、多数のイフリートが集っていた。
    「ガイオウガ様ノ無念、イカニシテモ果タサネバナラヌ」
     その中心には、黒い毛皮のイフリート、クロキバが居た。
    「アフリカンパンサーノ座ス軍艦島ハ、間モナクソノ姿ヲ見セルダロウ」
     彼が見つめるのは、海の彼方。
    「ウズメトハ話ヲツケタ。本懐ヲ遂ゲタ後、アフリカンパンサーノ地位ヲ我ラガ占メルナラバ、軍艦島ヘ導コウト……」
     そう言ってクロキバは、苦渋の表情を浮かべる。
     アフリカンパンサーを討つ為とはいえ、うずめの配下に成り下がらなければならぬのは業腹なのだろう。だが、今は他に方法は無い。
     武蔵坂の灼滅者さえも撃退する軍艦島に、アカハガネ達が離脱した事で更に勢力を縮小させたクロキバ達が攻め入るには、これしか方法が無いのだから。
    「オ前達ノ、命、アズカラセテモラウ」
     そのクロキバの言葉と同時に、海上に島のように巨大な軍艦が姿を見せ、イフリート達が、力強く吼え猛った。
     因縁の決戦の幕が、今上がろうとしていた――。
     
    「……そんな戦いが、軍艦島であったみたい」
     集まった灼滅者達に、神堂・妖(目隠れエクスブレイン・dn0137)は暗い顔でそう告げた。
    「……クロキバは、うずめ様の傘下に加わる事を条件に軍艦島に招き入れてもらって、アフリカンパンサーに勝負を挑んだみたい」
     獄魔覇獄の後の反乱騒ぎもあって、クロキバの求心力はかなり下がっており、単独でアフリカンパンサーを討つ事は不可能だったのだろう。
    「……だから、本懐を遂げる為に、他のダークネス組織を後ろ盾にするのは、やむを得なかったんだと思う」
     そこまでして挑んだアフリカンパンサーとの決戦だったが、結果的に勝利したのはアフリカンパンサーだった。
    「……敗れたクロキバ達は、うずめ様の取り成しで撤退を許されて、今は戦いの傷を道後温泉で癒しているみたい」
     だが道後温泉といえば、HKT六六六のもっともいけないナースの勢力圏である。
    「……もっともいけないナース配下のいけないナース達は、戦いに敗れ傷ついたイフリート達を癒すことでその心を捕らえ、自分達の仲間にしてしまおうとしてる」
     今回の目的は、イフリート達がもっともいけないナースの仲間になるのを阻止することだと、妖は語った。
    「……今回向かってもらう温泉は、道後温泉の中心街から外れた、東側の山の中にある寂れた温泉。ここにはイフリートといけないナースしかいないから、人払いとかは気にしなくて大丈夫」
     それから妖は、一旦言葉を切った。
    「……そこで湯治してるのは、何度か武蔵坂の灼滅者の前にも現れたことがある、ヒノコっていうイフリート。彼はもし戦いになれば、ファイアブラッドと人狼のものに似たサイキックを使ってくる」
     そして、一緒にいるいけないナースは、サウンドソルジャーと殺人注射器のサイキックを使ってくるという。
    「……ダークネスを二体相手にするのは大変だけど、いけないナースはお客様に安全にお帰り頂く事を再優先として行動するし、ヒノコは過去の経緯から灼滅者に好意的だから、うまくすればヒノコだけ撤退させることはできるはず」
     そこで無理にヒノコを追わずに、いけないナースだけ灼滅すれば、今回の目的は達成できることになる。もちろん、ヒノコを撤退させずに敢えて二体を相手にするという選択肢もあるが、その場合はかなりの覚悟が必要となるだろう。
    「……この事件を放置したら、ヒノコはいけないナースに籠絡されて、もっともいけないナースの配下になってしまう。……それを阻止するためにも、みんなには頑張ってきてほしい」
     そう言って妖は、灼滅者達を送り出すのだった。
     
     道後温泉にて。
    「あらあら坊や、ひどい傷。手ひどくやられたのね」
     きわどいビキニの水着姿にナースキャップという倒錯した格好の美女が、巨大な犬のような外見のイフリートを膝枕しつつ、傷口に軟膏を塗り込んでいた。
    「ガウッ! アフリカンパンサー、強カッタ!! ヒノコ、マダマダ強クナラナイトダメッ!」
    「ほらほら落ち着いて。今は傷を癒すことに専念しましょうね」
     そう言って、ヒノコの頭を胸に抱き、優しく撫でるいけないナース。
    (「ああ、モフモフしていい手触り……。いけないわ、新たなカ・イ・カ・ンに目覚めてしまいそう」)
    (「ガウッ、コイツノ胸、ヤワラカクテ、キモチイイゾ……」)
     なんだか互いに離れがたくなっている二人であった。


    参加者
    穂照・海(狂ツタ夜ノ住人・d03981)
    城橋・予記(お茶と神社愛好中学生・d05478)
    桜塚・貴明(櫻ノ森ノ満開ノ下・d10681)
    廣羽・杏理(フィリアカルヴァリエ・d16834)
    居木・久良(ロケットハート・d18214)
    ホテルス・アムレティア(斬神騎士・d20988)
    ペペタン・メユパール(悠遠帰郷・d23797)
    ユージーン・スミス(暁の騎士・d27018)

    ■リプレイ

    ●ヒノコとナース
    (「ああ、なんて素晴らしいモフモフ感! こうしてずっと撫で続けていたいわ……」)
     うっとりとした表情でヒノコを撫で回していたいけないナースだったが、その表情がふと険しくなった。
    「どうやら、招かれざるお客様が来たようね……」
     いけないナースの呟きに、ヒノコも耳を立てて周囲の様子を探る。
     と、
    「ナノ!」
    「ワン!」
     ヒノコといけないナースの間に、突如ナノナノの有嬉と霊犬の無天が飛び込んできた。そのまま2体は、いけないナースにまとわりつき始める。
    「新しいモフモフと、プヨプヨ……!? いけない、またも新しい属性に目覚めてしまいそうだわ!」
     いけないナースが何やら身悶えるのを見て、ガッツポーズを見せたのは城橋・予記(お茶と神社愛好中学生・d05478)だった。
    「いいぞ有嬉、そのナースさんに思いっきり甘えて! ふくふくっぷりを堪能させちゃって!」
     一方、何が起きたのかと警戒するヒノコの前に姿を現したのは居木・久良(ロケットハート・d18214)だ。
    「ヒノコくん、久しぶり! お見舞いに食べ物を持って来たよ」
     すでに過去2回ヒノコと会ったことのある久良の姿に、ヒノコも警戒を解く。
    「ガウッ! マタオ前カ!!」
    「これ、ヤキイモだよ。おいしいって言ってくれたからまた持ってきたんだ。あとで食べてね」
    「ガウッ! 後ジャダメ! ヒノコ、今喰ウッ!!」
     久良から袋を奪い取り、早速ヤキイモに齧り付くヒノコ。
     結果的に、ヒノコもいけないナースも目の前のものに気を取られ、互いの距離がわずかに離れた。
    「そっちの少年もいいが、僕のような男をオトしてこそ女としての株が上がるというものだろう?」
     すかさず穂照・海(狂ツタ夜ノ住人・d03981)が、いけないナースを口説きにかかる。
    「なに、あなた? 私はこのモフモフとプヨプヨに夢中なの。今はあなたの相手をしている暇はないわ」
     いけないナースの素っ気ない態度にも、海は動じる様子はない。
    「そそるね、その態度……高い山ほど征服したくなる」
     そして、更に熱意を込めていけないナースを口説き始める。
     その頃、あっという間にヤキイモを平らげたヒノコに対しては、ユージーン・スミス(暁の騎士・d27018)が説得の言葉を尽くしていた。
    「その淫魔は親切で君の傷を癒してるのではない。親切にすることで君の気持ちを自分に向けさせて、自分の手下にしようとしているのだ」
    「ガウ……?」
    「淫魔の手下になってしまえば、君はイフリートの戦士としての誇りをなくしてしまう。それをなくしてしまったら、君はクロキバ達のように強くなれなくなってしまう。イフリートの戦士ではなくなってしまうのだぞ」
    「ガウ??? オマエノ言ウコト、ムズカシクテヨク分カランッ!!」
     イフリートであり子供でもあるヒノコには、ユージーンの説得は、うまく伝わらなかったようだ。その様子を見ていたホテルス・アムレティア(斬神騎士・d20988)が、一歩前に出てヒノコに対し礼儀正しく頭を下げた。
    「我輩はホテルス、ホテルス・アムレティアと申します。ヒノコ殿に置かれましては以後お見知りおきを」
    「ガ、ガウ……?」
     これまでこのような挨拶を受けた経験がないのだろう。ヒノコが困惑した様子を見せる。ホテルスはそんなヒノコと視線を合わせると、ヒノコ達とこれからも仲良くしていきたいと思っている事、いけないナース側と学園が敵対している事を穏やかに語って聞かせていった。
    「ゆえに、彼女達とヒノコ殿達が仲良くなるようなら、最悪我輩達はお互いの意志とは関係なしに戦わなければならなくなるかもしれません」
    「ガウ? デモアノ女、悪イ奴ジャナイゾ。ヒノコノ怪我、治シテクレタ!」
     ヒノコの思考は非常に単純で、何故いけないナースと対立しなければいけないのかが理解できないようだ。
    「相変わらずだなあ、ヒノコくんは」
     そこへ、廣羽・杏理(フィリアカルヴァリエ・d16834)が割って入った。彼もまた、過去に何度かヒノコと接触したことのある灼滅者だ。杏理は有嬉と無天をモフっているいけないナースに視線を向けると、
    「キミからもヒノコくんへ逃げるよう一緒に言ってくれないかな?」
     そう、提案する。
    「は? 何言ってんの?」
    「僕らはヒノコくんを相手にはしたくない、君は彼に無事帰ってほしい、利害は一致してる。互いに戦闘を避けられない事は承知してるんだ。お客様を背に庇うより楽ちんでしょう」
    「随分と虫のいい提案だわ。わたしはもっともいけないナース様から、最高のおもてなしでイフリート達を癒してあげるよう命令されてるのよ?」
     いけないナースが警戒感を露わにそう言うと、
    「こちらでもヒノコくんの治療は行うことが出来ますよ」
     桜塚・貴明(櫻ノ森ノ満開ノ下・d10681)が、『漆絡』の指先に浄化の光を集めて見せた。
    「どちらか勝利した方が、ヒノコくんの治療を行えばいいのではないですか? 私達の戦いにヒノコくんを巻き込んで怪我をさせては元も子もないでしょう?」
     貴明の言葉に、いけないナースはモフる手を止めないまま考え込む。
    「ガウ……ナンダカ、ムズカシイ話シテルナ」
     何が何だか分からないと言った様子のヒノコに、ペペタン・メユパール(悠遠帰郷・d23797)がそっと歩み寄った。そしてヒノコの背中を撫でながら、
    「私は初めましてね、こんにちは」
     にこやかに挨拶する。
    「私達を信じて。あなたのやるべき事、するならここにいてはできないわ」
     理屈でもなんでもなく、ヒノコの心に訴えかけるように。ペペタンはそう語りかけた。
    「俺達、ヒノコくんのことを心配してるんだ。ヒノコくんとは絶対に戦いたくない。だから、ここから離れて欲しいんだよ」
     久良も、分かりやすい言葉を選んで精一杯誠実に、自分の思いを伝えていくのだった。

    ●ヒノコ撤退
    「……やっぱり、あなた達の提案は飲めないわ。イフリートの戦力は私達にとっても重要だもの」
     散々考え込んだ挙げ句のいけないナースの返答に、すかさず予記がつっこむ。
    「……それってどういう意味? つまりイフリートを利用するつもりだったの? そっちも聞こえた?」
     いけないナースがハッと目を向ければ、驚いた顔のヒノコと目があって。
    「語るに落ちるとはこのこと。これで分かったであろう。その淫魔が、君達を利用しようとしていたことに」
     ユージーンが、すかさずヒノコを説き伏せる。
    「お願い。あなたのために、ここからまず離れてもらえないかしら」
     いつの間にかヒノコに抱きついてモフっていたペペタンもそう続けて。
    「さあどうする? 彼は帰してあげてくれないか?」
     ここぞとばかりに海がいけないナースに提案すれば、
    「分かったわよ! 私だってお客様を巻き込むのは不本意だもの。その代わり、あなた達をもっともいけないナース様に献上してあげるわ」
     いけないナースも、遂に折れたのだった。
    「そういうことだからヒノコくん、ちゃんと怪我を治すんだよ」
     さっそく杏理がヒノコに撤退を促し、
    「今度アフリカンパンサーを殴るときは僕らも呼んでくれ。そういえば、僕、アンリって言うんだ」
     それから思い出したようにそう付け加える。
    「ガウッ! ヒノコ、ドッチトモ戦イタクナイ。ダカラ、クロキバノトコロヘ帰ル!」
     ヒノコも状況を理解したのか、大きく伸びをしながら立ち上がって。
    「今度会う時はゆっくりお互いの好きな物とかしたい事とか、仲間や友人の事を語り合いましょう」
     そんなヒノコに、ホテルスが別れの言葉を投げかける。去りかけるヒノコに、今度は久良が声をかけた。
    「ヒノコくん、またね。今度は一緒に遊べるといいね!」
     言いながら何も持っていない手をさっと振ると、いつの間にかその手にはお菓子が入った袋が現れていて。
    「手品、今度はうまく出来たかな。こっちはお菓子だよ、これもどうぞ」
     ヒノコはお菓子を受け取ると、
    「ガウッ! オマエ、手品ウマクナッタ! ヒノコ、マタオ前達ト会イタイゾッ!」
     そう言い残して、山の中へと走り去っていったのだった。

    ●いけないナース、奮戦
    (「イフリートが心配だなんて、やっぱり不思議な気分だよ」)
     ヒノコがいなくなった後も、杏理はしばらくヒノコの消えた方角を見つめていた。
     一方、ユージーンは既にスレイヤーカードを取り出していて。
    「古の英雄よ、我に邪悪を滅ぼす力を!」
     解除コードと共に、白銀の西洋甲冑を身に纏った騎士の姿となる。
    「ダークネスとはいえ幼気な者を籠絡しようとするなど、許せん。堕落の使徒よ、ここで朽ちるが良い!」
     口上と共に放たれた《ASCALON》の斬撃が、いけないナースをかすめる。
    「我が父祖、ホトブロートの子ホテルと其の曾孫たるアムレートの名にかけて、この戦、必ず勝利を掴みましょう!」
     続けて、同じく騎士甲冑姿になったホテルスが、手甲に覆われた右腕で、いけないナースに打ちかかっていった。
    「いやん。そんな強引なアプローチじゃもてないわよ」
     いけないナースはお返しとばかりに、豊かな胸を弾ませながら踊るような動きでユージーンとホテルスを翻弄していく。
    「1人で踊ってないで、ボクとダンスしようよ」
     そんないけないナースの踊りを遮るように予記と有嬉が立ち回り、
    「少し静かにしていてもらいましょうか」
     貴明の発した除霊結界が、いけないナースの動きを封じていった。
    「もらったよ!」
     動きの止まったいけないナースに、ロケット噴射する『モーニング・グロウ』を構えた久良が全力で殴りかかる。
    「いったいわね! このっ!!」
     直撃を受けたいけないナースはふらつきながらも、カウンターで巨大な注射器を久良に打ち込んでいた。たちまち毒液が全身に回り、久良は思わず膝を付く。
    「ミート、彼の回復をお願い」
     ユージーンとホテルスを癒していたペペタンが、ナノナノのミートを回復に向かわせ、ミートのふわふわハートが久良の毒を中和していった。
    「武蔵坂学園が灼滅者、穂照・海……参る!」
     注射を自分に打って傷を癒していたいけないナースに、海の放った逆十字が直撃する。
    「あ、あらら?」
     一瞬意識が飛んだいけないナースは、間違って自分に毒液を注射してしまっていた。

    ●さよならいけないナース
    「さあ、抵抗はやめて私の舞に酔いしれなさい!」
     いけないナースは、セクシーな肢体をくねらせながら、巧みに格闘を仕掛けてくる。
    「……やはり淫魔は苦手だ。目のやり場に困る……」
     ユージーンはその攻撃を手甲で防ぎながらも、いけないナースを直視できないがために、何度か直撃を浴びてしまっていた。
     だが、すかさずペペタンの放った防護符がユージーンの傷を癒し、さらなる防御力を彼に付加する。
    「まだまだいけるわよね」
     ぺぺタンの言葉にユージーンは頷くと、改めていけないナースの舞いに対峙した。
    「淫魔とはいえ女の人殴るのって気が引けるんだよなあ。……容赦はしないけど」
     杏理の、言葉通り容赦ない跳び蹴りがいけないナースの足に炸裂し、舞い続けていたナースの動きが止まる。
     すかさず貴明の放った影の刃がいけないナースに迫り、彼女のナースキャップを真っ二つに切り裂いた。
    「いやん、あたしのトレードマークが!?」
    「それじゃあもう、ただのいけない水着のお姉さんだね!」
     動揺したいけないナースに予記の炎を纏った蹴りが炸裂し、彼女の髪の毛に引火。
    「ああ!? 髪は女の命なのになんてことを!?」
     いけないナースは温泉に飛び込んで火を消そうとしたが、
    「いかせないよ」
     久良の『454ウィスラー』から放たれた焼夷弾が、いけないナースと温泉の間に炎の壁を作り出す。
    「HKT、死すべし!」
     海が炎に囲まれ右往左往するいけないナースに導眠符を飛ばし、彼女の注意がそちらに逸れた瞬間、
    「これで決着と参りましょう!」
     ホテルスの放った神霊剣が、いけないナースの魂を打ち砕いた。ゆっくりと倒れていくいけないナースの全身に、炎が広がっていく。ホテルスはそんな彼女の前に膝を付くと、
    「敵ではありましたが、ヒノコ殿を癒してくれたことには礼をさせて頂きます。最期にあなたのお名前をお聞かせ願えませんでしょうか?」
     礼を尽くしてそう尋ねる。
    「ふふっ、変な人間。私はね、リネっていうの。覚えておいてね……」
     そう言い残すと、リネは炎に飲まれ、消滅していった。
    「……みんなで笑いあえる方法ってないのかな」
     その様子を、寂しそうに見つめていた久良がそう呟く。
    (「……前に戦ったイフリートはもっと禍々しく、神々しく、あまりにも人とかけ離れた存在でした。でもヒノコくんのことを知ると……ダークネスはもっと人と良い形で共存出来るのではないかと思ってしまいますよね。所詮甘い幻想なのでしょうか」)
     貴明も、ヒノコの消えていった方角に目を向けて、物思いに耽っていた。
    「折角だし、ボク達もこの道後温泉を楽しんで行かない?」
     そんな湿っぽい空気を吹き飛ばすように、予記がそう提案をして。
     やがて灼滅者達は疲れを癒すべく、道後温泉の中心街へ向けて歩き出したのだった。

    作者:J九郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年6月16日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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