修学旅行2015~魔人生徒会主催・激闘枕投げ大会!

    作者:六堂ぱるな

    ●いざや修学旅行
     湿気も暑さも本腰入ってきたこの時期、どうせ暑い思いをするならヒートアイランド現象より南の島、ではなかろうか。
     武蔵坂学園の修学旅行、今年は6月23日から26日までの4日間である。
     超マンモス校の名に恥じず、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒たちが民族移動さながら旅立つ。大学に進学したばかりの大学1年生も、同じ学部やクラブの仲間との親睦を深めるため、同じ日程・スケジュールで旅行が行われる。

     行き先は沖縄。
     首里城に美ら海水族館、マリンスポーツ、島めぐり。伝統文化に触れたり、沖縄そば食べたり、お土産を買ったり。
     楽しい思い出を作って、青春の1ページを刻みましょう!
     
    ●決せよ、キングオブ枕投げ
     その会合は常に秘されている。
     出席するものが何者であるかが明かされることはない。
     提案者の企画は、誰の反対もなく今、実行の裁定がくだった。
    「修学旅行の夜の定番、といえば……でございますからね」

    「枕投げ?!」
     宮之内・ラズヴァン(高校生ストリートファイター・dn0164)が思わず声をあげ、周囲がしいっと制した。もうかなりの人数が、その秘密の企画を知っている。
    「先生に見つかんないように周知しないとなあ。メールで回すか」
    「魔人生徒会がルールを裁定したそうでございますよ」
     誰かが輪の中で囁く。
     先生には見つからないよう、かつ寝ている学園生の邪魔にもならないよう、照明を落とした多目的ホールで行う。
     サーヴァントの参加はOK、人造灼滅者の諸君には人間形態でご参加頂きたい。
     使用する枕は持ち込み不可、宿のものを使う。
     枕は2回当たったら失格。枕での殴打はカウントに入らない。サーヴァントがいる人はサーヴァントと主がそれぞれぶつけられたらアウトになる。
     総当たり戦で最後まで残っていたものが優勝。優勝の他に、一番たくさん参加者を倒した敢闘賞もあるとか。
    「で、優勝者と敢闘賞には、参加者で持ち寄ったお菓子の贈呈があると」
    「おーいいな。そういうの燃えるな」
     ESPは人や建物に被害が出るような危険のあるものはNG。音が漏れないようにサウンドシャッターは使うけど。
     施設に傷が入るような行為とサイキックは不可。

    「ルールはこれで全部でございます」
    「おーし俺知り合いのクラブにメール回すわ」
     ルールの説明を終えた生徒が廊下を去っていくのを、ラズヴァンは何となく見送っていた。ストレートの髪が桃色ぐらいでは驚かないが、あのお面は何だっけ……夜叉?
     メッセージを打っていた生徒がふと振り返る。
    「ラズヴァン参加するか?」
    「するに決まってるだろ!」
     来日したら中学校の修学旅行が終わってた。
     武蔵坂学園に来たのは高校二年生の9月、前の高校ではまだで、武蔵坂では終わってた。
     見事に修学旅行にかわされ続けたラズヴァンは今ようやく、修学旅行の定番『枕投げ』に参加できるのである。
    「優勝も狙いたいとこだが、皆でめいっぱい楽しむのが一番だよな。仲間でチーム組むのもいいし、ゲリラ戦法も悪くない。もちろん俺も手加減しないぜ!」
     修学旅行初日の夜。
     ひとつ、激闘枕投げを楽しみませんか?


    ■リプレイ

     
     消灯時間も過ぎた夜更け、彼らは集う。
     今宵いでよ、枕投げの王!

    ●世紀末の暗夜的カットからどうぞ
     満ちるは寝首を掻かれる疑心暗鬼、殺人事件が発生しては被害者が凌駕する世紀末の様相、【探偵学部1年】――っていやコレ探偵の世界じゃないよね?
    「こんな学部に居られますか! 俺は枕投げしますよ!」
     刑一の宣誓をもって死闘は展開された。
    「紳士協定、って程でもないけど……」
     学部の仲間に飛んでくる枕を撃ち落とす、リア充たる一樹の背後に刑一が湧いて出る。
    「デストローイ!」
     その枕を全裸に紙袋、モザイク型前張り一丁の拓馬が枕で叩き落とした。枕で殴りかかる拓馬から跳び退り刑一が叫ぶ。
    「おのれ、ルール違反でしょう!」
    「ルール違反? 強き者こそがルールなのだァ!」
     そこへ未散が盛りあがった筋力にものをいわせてあらん限りの枕を放った。流れ枕の直撃で刑一と拓馬が吹っ飛ぶ。
     手にした枕で防いだ源治が底抜けに明るい笑顔で構えた。
    「ガチでやってやらぁ。学部にヤバいのもいるしな!!!」
    「全身全霊を持って挑むとしよう!」
     未散が投げる枕を源治が素早く握った枕で打ち落とす。
     一樹の背後に、殺人鬼の本領発揮、ひたりと歩みよった零冶が囁いた。
    「どちらが上かハッキリさせようか」
    「紳士たるもの遊びでも精一杯やらせてもらうよ?」
     二人が枕を手に床を蹴った。残るは敗者の屍のみ。
     ――これが後に探偵学部で語られる、「枕投げ連続殺人事件」であった。
     【井2C】の花火が厳かに告げる。
    「世界の革命は枕投げから始まったんだよ!」
     花火が枕を投げると、いおんが枕を抱えてきて渡す。相棒のカノンと死角を補いあいながら、麗が朗らかに提案した。
    「私達は一発でアウトだから。ジョジョを盾に使用しよう」
    「大リーグボール級の一投を受けてみやがれぇーっ」
     飛んでくる枕を迎撃しながら、玉砕覚悟の丈介が思い切りよく動いていて。
    「燃えない炎の魔球だ、消えない消える魔球だ!」
     彼の動きを乙女はちゃっかり計算しつつ、低い姿勢で駆ける花火にいおんがつかず離れず。カノンと背中あわせで舞うように麗も続いた。目指すはお菓子――もとい優勝!
     【鏡の向こうの世界】はひと塊で移動する。
    「隼人くん飛鳥くん京くん、今夜は楽しもう!」
    「俺たちのチームワークを見せてやろうぜ!」
     枕を拾っては京に渡す樹咲楽と、隼人へのパスに集中する飛鳥が笑いあう。
    「受け取れ、隼人、俺の愛を!」
    「おお、ありがと……って、てめぇの愛なんざいらねーよ!!」
     行く手に現れる誰かへ思い切り枕を投げつけながら隼人が叫んだ。その横では相手の隙を見て枕を投げながら、京が色々ふっ切っている。
    「あぁ、どうしてこうなった……えぇい、仕方ない!」
     飛んでくる枕を握った枕で叩き落として、豪快に羽目を外した聖羅がにやりと笑った。
    「私の動体視力を舐めるなよ!」
     被弾して転がった誰かを盾に枕をかわして前線へ飛び出す。
    「楯無流・枕返し拳!」
     【井の頭中2I】はストレリチアさんの雄叫びからどうぞ。
    「がんほー! 逃げる人はお肉ですわ! 逃げない人はよく焼かれたお肉ですわ! いただきまーすですのよー!」
    「やっぱり、宿泊行事といえばまくら投げだよね! はりきっていこー!」
     結月がソレイユと微笑みあって意志表明、互いに死角を補い合って動きだす。とりあえずチームで動きながら、七波は枕を投げて隙の出来た相手に枕をぶつけにいった。
    「卑怯? いえ、これは戦術ですよ」
     その兄を盾に体力不足を補う七葉が枕を放ち、参加者の数が減ってくると兄に向き直った。
    「2番じゃダメなんですか?」
    「悲しいけど、これって枕投げ大会だからね」
     しれっと応えて七葉が兄へ枕を叩きつける。やり遂げた男の顔で七波が吹っ飛んだ。
    「この狼の血がうずくのですわー!」
    「ストちゃん、覚悟ー!」
     壁を背にするストレリチアに、死角をソレイユに任せた結月が挑みかかる。
    「絶対に、お菓子は渡さぬ。絶対に、じゃ!」
     枕2個持ちで機動力を生かし、大柄な者には下から、小柄な相手には上からの攻撃を繰り出すシルビア。
    「くくく、今宵の枕は血に酔うておる!」
     彼女が放った枕から仲間を敷布団でガードしたのは【6年薔薇組】の文具だった。相手の背後に回りこんだ糊が枕を当てる。
    「私の先読みからは逃げられないわよ!」
     預言者の瞳の如く直観を働かせ、エリザベートが(魔球の発音で)『魔くら』を放つ。絶妙なコントロールで飛ぶ枕が他者を撃墜し、近づく者には楠乃葉が枕二刀流で立ち塞がった。
    「シナモンビーム!」
     文具のお布団ガードの陰からスナイプするのも忘れない。
    「お菓子はわたしたち6年薔薇組がいただくよ!」
     黒い布をかぶったシロに不意打ちさせつつ、彩はクラスメイトとの連携攻撃に集中。
    「めざせ優勝と敢闘賞の2冠!」
     文具の枕レガリアスサイクロンが炸裂すると楠乃葉も飛び出した。
    「これでも喰らうの! 龍鱗餃……神霊枕っ!」
    「彩、後ろ!」
     エリザベートの枕の援護をうけ、彩も枕を手に駆けだした。
    「隙を突き崩していくよ!」
     混戦に巻き込まれないよう、壁を背に紅葉は目をこらす。流れ枕を叩きおとしては移動、あまり攻撃せず、一つ所に長居はしない。何はともあれ生存第一。迅速をモットーに静かに動き回るのも戦術だ。
    「行くわよ下僕、あたしについてきなさい!」
     基本戦術は【焔の陰から】。目を瞑って暗闇に目を慣らす恵に、枕をかわしつつ焔がぽそりとツッコんだ。
    「お前ちっさいんだから盾なんかなくても当たらねーよ」
    「今ちっさいって言ったかしら? 脳筋のくせに!! ばーかばーか、ばかほむ!」
     応酬しつつ、目に入る相手の足元を狙い撃つ恵である。
    「うふふ、隙だらけね! ごめんあそばせっ」
     その枕を受け、ぱたりと倒れたのは遥香だった。
    「あー……もう終わっちゃいましたー」
     恵が通過するのを確認、そのまま息をひそめる。まだ初弾だけど『死んだふり作戦』!
     女子チーム、【武蔵坂スイーツクラブ】。
    「枕の撃ち落としは任せるといい」
     枕投げは全力で楽しむけれど、それはそれとして勝ちたいしお菓子も食べたい白金。迎撃を引き受けた彼女の傍ら、アイスバーンが声をあげた。
    「わーやられちゃいましたー」
     スッゲェ棒読みだったけどそのままパタリ。コロコロと隅へ転がっていく。
    「アイちゃん!? なんで投げずに寝てるんっすか!?」
     思わず雅がツッコんだが動かない。お任せを決め込んだようだ。暗くて流れ枕も当たってない。そこへ駆けこんできたラズヴァンと、雅の目が合う。
    「一度全力で戦ってみたいと思ってたんっすよね」
    「逃げたら男がすたるよな?」
     雅にラズヴァンが笑い返す。
     飛び交う枕を叩き落としながら、白金はぽそりと呟いた。
    「……勝ちたいものだな」
     素早さで上をいく雅の枕がラズヴァンの頭をとらえたが、お互い参加者に飲みこまれる。その中を錠が駆け抜けてきた。
    「よォ、ラズ。よかったら撃墜数勝負すっか?」
    「乗った!」
    「あ、ラズヴァン。ちょっと守って?」
    「おーいいぞ……じゃない?!」
     黒死斬の要領で回り込んだ【井の頭6年桜組】のフローレンツィアを追って枕が飛来したが、それを横合いから錠が叩き落とす。
    「まだ落とされるにゃ早いぜ!」
    「サンキュー!」
     錠の背後に迫る枕を撃墜してラズヴァンが笑った。その隙にフローレンツィアは離脱。
    「優勝目指して乱れ撃つの~」
    「まくら、まくら……あった♪ それ~☆」
     手当たり次第に枕を投げる瑞葵の傍ら、フィリアもぽいぽい枕を投擲。エミーリアがむんずと柔らかいものを掴んで放ったが、それは瑞葵さんとこのもここさんだった。
    「ナノ~!?」
    「はわ!? もここ~!?」
     悲痛な叫びをあげる主従。枕ではないのでノーカンだが、とりあえず避けとく錠。
     投げては回避に専念するエミーリアに、回りこんだフローレンツィアが飛びかかる。
    「はぁい、エミーリア! あーそびーましょ!」
    「わふ~!」
     転がって避けるエミーリア。どうせなら友達と一緒に遊ばなくちゃ意味がない。
     白熱するクラスメイト同士の戦いの中、コロコロ回避作戦を決行していたフィリアがすやすやと寝落ちしていた。

    ●世界は無常と矛盾を孕むよね
    「マクラナーゲ? 勝負? ……デスマッチ! 殺し合い! 血が騒ぐヨ!」
     バナナを持参したンーバルバパヤが駆けまわる。名付けて闇夜のG戦法!
    「タマとったるヨ!」
     下半身狙いの枕ビームが唸り、かろうじて避けた哲慈が声を裏返らせた。
    「危なっ。この枕抉るように飛んできたぞ!」
     同時に飛んできた枕の回避のために、晶がどろんと犬に化ける。【境南町2-4】は特に女子力(物理)に溢れていた。
    「ふふふ、ライナさんガチで行きますよー!」
     リーライナがアイテムポケットから出した軽い羽毛枕と重いそば殼枕の二刀流。どっちも宿のか、じゃあオーケー。羽毛枕で牽制、そば殻枕で意識を刈り取る。
    「……早くて小さい的を狙うのも、中々楽しい」
     神薙刃のごとく渦まく風を伴い、サキの放つ枕がンーバルバパヤを追う。アイテムポケットから詰めに詰めた枕を取り出し放つ彼女に、弾切れの懸念はない。
    「サキは楽しそうでなによりだな、ライナ、……も楽しそう……だな?」
    「随分エグいの出したぞ、女子2人! こわ!!」
     晶が遠い目で呟き、悲鳴を上げるカイルをリーライナの枕が直撃した。
    「……くくく、もう男女関係ねー! くらえー、俺の殲術執刀法スペシャルー!!」
     びゅんびゅん空をきって躍りかかるカイルをかわし、閑が哲慈を振り返る。
    「哲、共同戦線と行くカ?」
    「ほう共同戦線。だが今日ばかりは僕も味方だと思わない方が良いぞ!」
    「閑、せめて少しでも連携するぞ!」
    「良いでしょう九賀谷サン。即興連携お見せしますカ!」
     哲慈の枕を叩き落とした閑は晶の声に応じて笑った。
     枕を避けた証が黄金の右腕で応酬する。返ってきた枕を撃墜し、キラキラした目で絶が訴えた。
    「なんでよけるのーこんなにらぶ♪をこめたのに!」
    「何がらぶだ! 思いっきり顔面狙いやがって!」
     決着をつけようにも容赦なく枕が飛んでくる。
    「こうなったら共闘だ、絶!」
    「おっけー!」
     叩き落とした枕をパスする絶とマサカリ投法で敵を狩る証。息のあったコンビネーションが暗がりを疾駆する。
    「大学生になってまでといわれますと、確かに、大人気ないとは思いますが……」
     頬を掻くのは流希。なんだかんだ言いつつ狙い澄ました枕がまた一人屠る。
    「一撃必殺を食らってみなさい……!」
     【連雀通り高校2-2】、最大戦力が動きだす。
    「待っていました枕投げ! よろしいならば戦争だ!」
     昼とは打って変わって意気軒昂、敵を枕の海に沈める気満々の雨月が咆哮した。
    「さぁさ、私は梟の人造灼滅者。梟と言えば夜。そう、夜は私の時間なので……おっと!?」
     名乗りの途中で攻撃された環奈が、不届き者を追いかけ始める。彼女を狙って横から飛んだ枕は、頼人が鮮やかにカットした。
    「今の俺は謎のイケメン枕マン! ってね」
    「たとえ枕投げでも勝負は勝負や。おもいっきりいかせて貰うで!!」
     2回当たったらアウトなら、最初は捨て身で行くのが宗慈朗。実戦経験のない好子も枕二個持ちで出陣した。コツは移動を続けて立ち止まらない。
    「うちなりに善戦できるよう頑張ってはみるんよ、うん」
    「悪いけど、手加減なんてしないんだからね!」
     基本的には防戦中心、隙あらば攻撃に転じながら智が叫ぶ。その傍らでは枕を躱しがてら、アイテムポケットにインの離れ業をみせるなつみ。枕を備蓄中である。
     クラスを勝たせる為、修羅となる決意のクリスがパーシモンに微笑んだ。
    「パー子も手伝ってくれるのかい? 頑張ろうね」
     主従は闇に目が慣れてから動きだした。死角からの襲撃はお手の物、その側をキープする桃夜もガンガン枕を叩き落としていく、のだが。
    「トーヤは、えーと頑張ってね♪」
    「はい、頑張ります……」
     傷心の桃夜に、敵を的確に仕留めながら優羽がハッパをかけた。どうせなら歳を忘れるくらい楽しみたい。
    「枕投げでも、無茶は禁物だよ!……いざ、勝負っ!」
     その時、突出した宗慈朗めがけて飛び出した影があった。
    「悪いな! その隙もらったぜ!」
     悠里の横回転をかけた枕が宗慈朗と好子を襲う。被弾で退く仲間を追ってくる悠里を、光がすぐさま迎撃した。ため込んだ枕をたて続けに放つなつみの攻撃で落ち、悠里が大の字になって寝転ぶ。
    「あー、すげー楽しいな!」
    「このままいっちゃうよ~ん♪」
     次の相手を探し疾駆する桃夜の前に、葵が突っ込んできた。好子が応戦するが、我是丸が枕をはね飛ばす。被弾済みの我是丸には当たり判定がないため、盾に有効活用中だ。
    「アタシってば、頭いい~♪」
     人数が減るのを待っていた葵が枕を放った。そこへひょっこんと起きた遥香の枕が直撃。ああ無常。

     そこここで敗者の場外乱闘も始まっていた。
    「不覚……この森の賢者がこんなにもあっさりと」
     環奈を慰める仲間に、死角から飛びかかったのは光だった。
    「枕ジャッジメントレイ!」
     彼なりに羽目を外して楽しんでいるようだ。枕を投げつけられた智が笑いながら枕で応酬。
    「誰だろうと、立ち塞がるなら倒すよっ!」
    「枕セイクリッドクロスですよ!」
    「いざ、勝負っ!」
     続いて優羽も参戦、どちらにも枕を補給しながら頼人が笑い転げる。物騒な事件続きだったから、平和な旅行が身にしみた。
     一方その横で、飛鳥が隼人の投げた枕を受け止める。
    「ふ……嫁からの愛、がっちり受け止めてやるぜ!」
    「なんで受け止める姿勢なんだよてめぇ」
    「やっぱりこの二人、ナイスコンビだね~」
     ドン引きの隼人をよそに樹咲楽が笑うが、京は枕を弾き返す作業に集中していた。
    「あぁもう、不幸だ……」
     どこかでリア充めだのちゅどーんだのと音が響く。

    ●今年の女子強い
     勝者は最後まで競ったエリザベートを倒した、【井の頭6年桜組】のエミーリア。クラスメイトが歓声をあげる。
    「勝ってしまいました……わふっ☆」
     敢闘賞は連携がものをいった、【連雀通り高校2-2】の雨月。
    「足使うんですよ足!」
     なんでも足の指まで使って攻撃力更に倍、だそうである。
     勝者には皆からのお菓子が贈与された。ちんすこうや紅芋タルトなどの定番も多かったけれど、楠乃葉のチョコ餃子とかニョホホ印のバナナ、好子のもみじ饅頭も入っている。
     日付も変わった頃、ぱっと多目的ホールの灯りが点いた。
     一瞬動きが止まった皆が見たのは、明らかに血圧上昇中の引率の先生で。
    「こらっ! 消灯時間とっくに過ぎて、何してんだおまえら!」
     怒号と同時に全員が枕を掴んで逃走開始!
     廊下を走りながら皆が笑い声をあげていた。

     明日も楽しい修学旅行。
     たくさん素敵な思い出が増えますように。

    作者:六堂ぱるな 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年6月23日
    難度:簡単
    参加:58人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 7
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