修学旅行2015~国際通りまちぐゎー探検!

    作者:佐伯都

     武蔵坂学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
     今年の修学旅行は、6月23日から6月26日までの4日間。
     この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
     また、大学に進学したばかりの大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われます。

     修学旅行の行き先は沖縄です。
     沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
     さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
     
    ●修学旅行2015~国際通りまちぐゎー探検!
     修学旅行最終日、羽田へ向かう飛行機を待つまでの自由時間。少し早めの昼食をとっておくか、それとも買い忘れのお土産探しに奔走するか……という時間帯でもある。
    「どうせなら、両方いいとこどり、しちゃいませんか!」
     生粋の北国生まれ北国育ちな松浦・イリス(ヴァンピーアイェーガー・dn0184)は、修学旅行を相当楽しみにしていたようだ。カラフルな文字が躍る分厚いガイドブックを抱え、付箋がついたページを机の上へ広げる。
     国際通りはゆいレールの駅からほど近く、約1.6kmに渡って続いている。お土産店からカフェに居酒屋、果ては地元の人御用達の市場まで、沖縄旅行の醍醐味がぎゅぎゅっと詰まっているエリアだ。
    「特に第一牧志(まきし)公設市場は『那覇の台所』って呼ばれてるみたいですね。東京の築地みたいなものなんでしょうか?」
     地元食材が所狭しと並ぶまちぐゎー(市場)の熱気もさることながら、店のにーにー(お兄さん)やあんまー(お母さん)達が元気に試食をすすめる声が飛び交う様子は、ローカルな雰囲気を味わいたいなら必見だ。
     ここは一階の市場で買い求めた食材を、二階の食堂で調理してもらえる『持ち上げ』のシステムでも知られている。新鮮な魚をその場でお造りにしてもらうのはもちろん、一階には精肉店もあるので焼きたてステーキを、という事も可能だ。
    「大まかに精肉・鮮魚・総菜と加工食品、のカテゴリに分かれてるみたいですから、『持ち上げ』をしなくても面白い特産品とか探せそうですね」
     沖縄ならではのもずく入りかまぼこや、口の中ではじける食感が楽しい海藻の海ブドウ、真空パック入りのチラガー(豚の顔皮)、うちなー漬け物の島らっきょう……と珍しいものが目白押しな市場内。賑やかさを楽しみつつ、沖縄ならではのナニコレ食材を探すのも楽しいだろう。
     市場内はもちろんだが、国際通り沿いにも様々な店舗がぎっしり並んでいる。
     ちんすこうを初めとして紅芋菓子や南国フルーツの定番みやげはもちろん、海洋文化モチーフの洒落たアクセサリーショップや雑貨店、沖縄ならではの感性が光る個性的なTシャツショップ、琉球ガラスのセレクトショップ等々、買い忘れたお土産を探すには困らないはずだ。
    「『持ち上げ』もいいですけど、最後のお土産選びのチャンスですしね。紅型の浴衣とか、ないかな……!」
     楽しかった修学旅行もとうとうお開き。
     最後の自由時間、どう過ごすかはあなたしだい。


    ■リプレイ

    ●国際通りまちぐゎー探検、開始
     修学旅行最終日、約1.6kmに渡って続く賑やかな国際通りの真ん中、梗花はふと我に返った。両側に、所狭しと土産物や洒落たセレクトショップ、一見冗談かと思うような変Tシャツの店などがひしめいている。
     ここに来るのは都合三度目だが、前の二回はダークネス絡みの事件だったので、こうして平常通りの活気に包まれているだけでも嬉しいような、不思議な気分だった。
     クラブへの土産を忘れていたことを思い出し、梗花は色鮮やかな紅型のクラフトショップへ歩き出す。
    「わぁ、ここが国際通りかぁ! 普段見てる商店街とはやっぱり少し雰囲気違うねー」
    「お土産が沢山ですね、沖縄塗れになってしまいます! 皆さんは何を買うです、マギも探すの手伝うですよ」
     【外国語学部1年】のメンバーと共に国際通りへ繰り出した晴汰のあとを、遅れまいと慌ててマギが追いかけた。アドバイスは任せる方向でいるのか、ホナミがガラスケースの中へ並べられたブレスレットを指さす。
    「折角だからミンサーで何か欲しいの。『いつの世までも』の五四模様、素敵じゃない?」
    「それもいいけどよ、七峠。ちょいあの花笠っての被ってみてくれよ、似合いそうじゃね?」
     壁に飾られていた、こんもりとした形が特徴的な琉球舞踊用のカラフルな花笠。允が薦めるまま、店主の了解を得てホナミが笠をかぶって見せると、晴汰とマギが似合う似合う! と手を叩いた。
    「なんかいいもんあった?」
    「うん? ちんすこうに紅芋のタルト、3箱ずつ!」
     それは買いすぎなのでは、という顔をする悠埜に郁は菓子店の店頭で指折り数えだす。
    「俺達の家に持ち帰る分、クラブで配る分、お義父さんお義母さんと弟の分……って、わ!」
     突然、悠埜が放ってきた真っ青な放物線。落とさぬようなんとか受け取った郁は、真っ青なガラス玉をあしらったチョーカーに瞠目した。
    「え、何コレ……ちょっと待ってよ悠埜、同じ物、プレゼントさせてよ!」
     慌てて走り出していった郁を微笑ましく見送り、道文は【明の家】の面々を前にさあ買うぞー! と気勢をあげる。
    「気合充分で自分用の洋服とアクセ漁るよー! 紅型のワンピースと、琉球ガラスのアクセとマキシワンピースと! 山田先輩はアロハとか新調したらどうですかー? 明太君もアロハとサングラスで先輩とお揃いにするとか」
    「えっ……た、確かに欲しい……」
     思わずうぐぐと言葉に詰まったものの、源次郎はクラブへの土産は変Tシャツでいいかなという気分になってきた。その背後で、明太があれこれ店内を物色している。
    「しっかし何買おうかなぁ。扇子……いや、琉球グラスも捨てがたいし……え、これ俺が全部持つの!?」
     道文の大量の荷物を、よろしく、とばかりに両手に積み上げられた明太が悲鳴をあげた。甘党の彼のために黒糖の塊でもないものかとぐるぐる歩き回っていた九音が、凄まじい荷物の量に目を丸くしてその背中を見送る。
    「サトウキビって言ってた気もするけど、乾いたらダメだろうから……」
     ところで、ここは何処なんだろ。
     鼻と耳だけを頼りに巡るには、国際通りはあまりにも音と香りに溢れすぎていたのかもしれない。

    ●ハリセンボン、豚の頭、海蛇、ヤシガニの共通点を述べよ(答:全部食べられる)
     市場の二階、いわゆる『持ち上げ』に挑むシノは、小梅の手から下がるビニール袋の中の、トゲトゲの特徴あるフォルムに唖然としていた。
    「……ハリセンボンって食べられるんですか?」
    「味噌汁にすると美味いんだって。さっき店のおっさんに勧められた」
     ミーバイは天ぷらにして食うよ、と小梅はシノのグルクンと一緒に、カウンターで元気よく包丁をふるう食堂のあんまー達へ渡す。
    「私の為に、グル君、から揚げになって下さい」
    「アンタ……あだ名なんかつけると後が辛いぞ」
     厨房の奥に消えたグルクンをなぜか遠い目で見送ったシノに、小梅がけらけらと笑い声をあげた。その一方で、カウンターに食材を山積みにして開口一番、あんまーを一瞬凍りつかせた猛者が一人。
    「これ全部、漬物でお願いします」
     漬物マニアである蘭花は沖縄の食材を漬物にしてお持ち帰りするつもりだったようだが、その顛末は本人のみぞ知る、といった所だろう。
     大人数のため早々にテーブルを確保した【天文台通り2年E組】の面々は、関東ではなかなかお目に掛かる機会のない山羊の肉をはじめ、沖縄ならではの魚であるマクブー、イラブチャーにミーバイ、ノコギリガザミ、そして海ぶどうと、一階で買い求めてきた食材を次々と店員に渡して調理法をオーダーしていく。
     大地は忘れずに、食後のデザートとしてジーマミ豆腐とシークワーサーのジュースも確保していた。
    「山羊のスープ……ヒージャー汁なんか、普段馴染みが無くて良さそうかな」
    「山羊って刺身でも食べられるらしいよ。ちょっと炙ってあるらしいけど……あ、すいません、イラブー汁も追加で」
     玉がすかさず追加オーダーをしているのに便乗して、イズルが何やらあやしげな名前を挙げている。
    「色々美味そうだ。ま、喰うなら肉だろ肉!」
    「肉ならとりあえずラフテー作ってもらっているけど……羅刹さんは食べさせてあげるね」
    「お、あんがとなー!」
     今日も今日とてトレードマークの拘束服姿な百鬼に、音猫は喉に詰まらせないようよく噛むように、と言い含める。
    「あ、完成しました!? 待ってましただよ!」
    「何か色々あるんですね! これがさっき買ってきた食材だなんて何だか感激しちゃいます!」
     テーブルへ運ばれてきたお造りや唐揚げ、なかなか特徴的な匂いをたてているヒージャー汁に、ジークとユーフォリアが歓声を上げた。
    「天ぷらは熱いし注意っすよ?」
    「うわっ。なんかオサシミ凄っ……これぞ日本って感じするよね!」
     テーブル上に並ぶ大皿の数々に、シフォンが満面の笑みを浮かべる。いっただきまーす、の声も高らかに一斉に箸をつけるものの、そこにもクラスメイトの個性がにじみ出ており、玉が小さく笑った。
    「ああ、何か百鬼さんが飢えてるそうなので一品あげよう」
    「んー! お刺身ぷりぷりしてる! 天ぷらもサクサクっす!」
     今揚げたての天ぷら、というのも意外とありそうで実は食べられる機会は少ない。ユーフォリアが、これ美味しかったんですよ食べてみてください、と音猫にノコギリガザミの炒め物を勧めている。
    「す、すごい沢山持ってきて下さっていますが、食べきれるんでしょうか……それにしても、どうして『持ち上げ』って言うんでしょう?」
     ふと割と本質的、根本的な疑問を口にした鮮花に、その場の面々は首をかしげるしかなかった。
    「海蛇、ハリセンボン……強そうなのばかりね!」
     見慣れないものばかりで埋め尽くされている市場を楽しげに歩きまわるアリスがはぐれぬよう、ヌイはつかず離れずの距離を保っていた。
     不意に悲鳴をあげて背中に隠れてしまったアリスに、どうした、と声をかけると、どうやら精肉コーナーに豚の頭を発見してしまったらしい。
    「大人はああいうのを丸かじりするんだぜ……?」
    「お……大人への道は遠いのね」
     真に受けてやや顔を青ざめさせたアリスのご機嫌取りに、ヌイがフルーツパーラーで奢らされるまで、あと15分。

    ●名物にうまいもんあり
    「旅行と言えばご当地限定フレーバーがアツいってガイドブックに書いてありました! スナックにチョコレートに、あぁっ、さーたーあんだぎーも!」
    「うーん。やっぱりご当地ものがいいよね」
     ご当地スイーツの菓子箱に大騒ぎしているリリウムの横で、智優利がなるほどなるほどと鷹揚に首肯しながら品定めをしている。ならば、と沙月が柔らかく微笑んだ。
    「黒砂糖や紅芋を使った物が沖縄らしくていいですね。あ、でも甘い物が苦手な方用にしょっぱい物も用意しておきましょうか」
    「俺はどないしよかなー、クラブの皆で食べられるモン、とー……グッズ系はあんまいらんかな」
    「私はそうね、物として残るものと、食べちゃえるものと、両方買っていこうかしら?」
     南国ならではの貝殻細工の小箱や、紅型をふんだんに使ったドレスもいいだろう。試食の紅芋タルトを口へ運びながら、あげはは思案顔の【夕鳥部】部長、右九兵衛にちんすこうを差し出す。
    「やっぱり海っぽいものが多いですね。貝殻のアクセサリーとか珊瑚のアクセサリーとかかわいいー♪」
    「あ、このシーサーのお店、可愛い! ぬいぐるみにストラップに……このシーサーボンボン、欲しい!」
     きゃーっと椎菜と紅葉が歓声をあげる様子に、右九兵衛はこっそり溜息をついた。このたびのメンバーが女子率高めな事や普段沙月がよく頑張ってくれていることも手伝って、すっかり女子会のノリに近い。
    「何だかぶちょーさんがせつなそうなので、さーたーあんだぎーあげます」
     リリウムの優しさに、ちょっと目から汗が出そうだ。
     一方、アイスバーンはここまで来るのにすっかり体力を使い切ってしまっていた。ひとまずネットカフェに避難して、そこから後日海外有名店の定番みやげが配送されるように手配しておくことにする。
    「考えてみればウチはメンバーに統一性がないな。やはり種類を揃えていったほうが……というか、女子に何を買っていけば良いか私はさっぱりわからない」
    「皆は何好きかなー?」
     思案顔のアルディマに、唯と厳治も揃って居残り組へのお土産チョイスに考え込んでしまう。【鳴梟荘】からの修学旅行参加者はおよそ半分なので、何も持ち帰らなかったとなれば足を踏まれかねない。
    「うーん……お菓子? 料理? 女の先輩もいるしアクセサリも良いのカモ。先輩たちは何買うんデスか?」
    「とりあえずメジャーな物を押さえたいか。ちんすこう、沖縄そば、サーターアンダギーに紅芋タルトあたりが手堅い所だろう」
     女子は基本的に味にうるさいので、失敗は許されないのだ。
     琉球ガラスのセレクトショップ前で立ち止まった曜灯の視線を追った健は、そこにハイビスカスの髪留めを見つける。
    「幼馴染への土産か? 琉球ガラス、綺麗でイイな!」
    「アクセサリーがいいなと思っていたの。ブレスレットでもいいけど……」
     桜色の長い髪をした幼馴染みへのお土産だ。どうせなら、その髪がより引き立つようなものがいい。

    ●諸君、お土産選びは戦争だ
     ところでちからちゃん、と妙に改まって切りだした花火に、悪だくみをする時の笑顔でちからは口元を隠す。
    「私みんなに、可愛いもの買って帰ると宣言いたしましたので、拳子ちゃんの女子力アップな品物を買って帰りませんこと?」
    「あら、素敵ですわね藤井の奥様? 女子力といえば足元からではございませんこと? 拳子ちゃん脚もお綺麗ですし……?」
     チラッチラッ、と不吉な視線を感じる。気がつかなかった事にしたい。何も見てないことにしたい。【こた猫】の引率者としてここは拳の頼れる所をアピールしなければならないのだ!
    「いつも花火には拳さんは女の子だよ女の子だよ言われてるけど女子力なんか皆無だって証明してやるぜー! さーお土産お土産!」
     いつのまにやら同行者を見失いつつある拳をよそに、海斗と風斗の双子は学園で留守番をしているはずの知人へのお土産選びに忙しい。
    「ねぇ海斗、こうアクセサリーが欲しいって言ってるんだけど……」
    「風斗、メールして、聞いたの? じゃあ、それ、探そう」
     別行動の知人とも品が被らないよう、双子は打ち合わせに余念がない。
     紗綺は所属クラブ恒例の地元音源探しのため、沖縄のロコドルを扱った店舗内をうろうろしていた。ネット配信が便利とは言え、やはり生の音を自分で手に入れるのが一番楽しい。
    「流石沖縄、外国みたいだねっ! シーサーいっぱいある……」
    「これ案外でかくないっすか!? でも結構愛嬌ある顔してるな……」
     玄関に飾るか、と半ば勢いでシーサー像を買い込んだ鴻之介に、翌檜がやや生ぬるい視線をあてている。
    「シーサー、置くトコ困らね? まぁ確かに欲しがってる後輩が居たな……」
    「あれ、鴻之介くんそれ誰かへのお土産? ねぇ彼女? 彼女かなあ!?」
    「いや、彼女じゃなくて姉ちゃん用だろ。そいつシスコンだから」
     何だか盛り上がっている百花と勝手な事を言う翌檜に、あることない事いってんじゃねーよ、と鴻之介は溜息をついた。
    「そのお菓子なら、あちらの店で買うと百円安いですよ」
    「……え、さっきのお店のほうが安かった? 全然気づかなかったよ」
     國鷹と椎奈のやりとりを見て、しっかり見なきゃね、と朝恵が軽く自分へ活を入れる。
    「教室に持って帰るお菓子も追加しようよ。ちんすこうとかサーターアンダギーに、生のサトウキビなんてものあるね」
     修学旅行該当学年である【天文台高校2の7】だが、帰ってから沖縄の菓子を手に皆で思い出を語り合うのも悪くない。
    「そういう楽しみ方もありですね。では、クラスに持って帰る分は俺が出しましょう」
     一人で国際通りをまわる刑は、自分のためにと言うよりは、やはり所属クラブのメンバーのための土産物探しに忙しい。クラブ用の紅芋菓子やチョコに、自分用のサーターアンダギーをこっそり忍ばせたのは秘密だ。
     果たして誰が言い出したか、【四阿】内でお土産交換をする事になり翼は一抹の不安を感じざるを得ない。とりあえず紅葉のものが一番安牌で本命という気がするが、紫王はしれっと爆弾を混ぜてきそうなあたりが怖い。
     思案顔の蓮が店舗内をうろうろと歩き回るのをよそに、小次郎はそれを見た瞬間即決していた。
    「お店もいっぱいあると悩みますね。私は、やはり食べ物系がいいかな……」
    「紫王と黒咬はどんなの買うん?」
     瀬川と中津川はお菓子系だろうか、女子っぽいし、と考えつつ小次郎は購入した品物を店主から受け取る。
    「じゃあ、せーので出しましょっかっ!」
     ぜーのっ、と紅葉の音頭で一斉にそれぞれが袋を開ける。
     蓮には紫王の六本入り生サトウキビ。翼には小次郎が選んだ、どこか彼の相棒を思わせる笑顔のシーサーと派手なハイビスカスのアロハシャツ。
     紅葉には蓮のちんすこう、小次郎には翼の紅芋タルトが来た。紫王には紅葉が選んだ浮き球モチーフのキーホルダーがやって来た。
    「サトウキビです! これ誰ですか?」 
    「この、いかにもなそのまま感が良いだろう。しかも六本入りだ」
     なぜかえへんぷいと胸をそらしている紫王に紅葉が笑い、さっそくちんすこうの個包装をぴりっと破いて口に含んでいる。
     ほわり、とほどけるように口の中へ広がる素朴な甘さ。
     蓮の花をイメージして作られたという伝統菓子の味は、沖縄での思い出の最後の一幕を飾るにふさわしいものだったに違いない。

    作者:佐伯都 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年6月26日
    難度:簡単
    参加:56人
    結果:成功!
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