修学旅行2015~なんくるないさー、シーサー作り!

    作者:志稲愛海

     武蔵坂学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
     今年の修学旅行は、6月23日から6月26日までの4日間。
     この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
     また、大学に進学したばかりの大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われます。

     修学旅行の行き先は沖縄です。
     沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
     さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
     

     沖縄の町をぐるりと見回せば、ちょこんとお座りしている獅子の姿がたくさん。
     そう――沖縄といえばお馴染みの魔除けの像、『シーサー』!
     そして、修学旅行初日。
     そんなシーサーを作る体験に参加できるのです!
     貴方だけのオリジナルシーサーは、魔除けらしく勇ましく??
     それとも、キュートで可愛らしく?? 個性的で奇抜な子も、勿論あり!
     大切な人や仲の良い友達やクラスメイト同士、お揃いで作ってみても良いし。それぞれ完成したシーサーを見せ合いこするのも良いし。
     こだわりにこだわり抜いた匠の一品を作り上げるも良し!
     ある意味芸術が爆発しちゃっても……きっと、良い思い出!?
     世界でたったひとつのシーサーを、貴方の手で自由に作って。
     楽しい思い出と自分だけのオリジナルシーサーを、沖縄のお土産にしませんか?

     作り方は楽しくて、そしていたって簡単!
     粘土をこねて胴体や足や顔などのパーツを作り、土台に接着していけばOK。
     そして作ったシーサーに、好みの色を塗ったり模様を入れたりすれば、完成!
     丁寧に教えてくれる先生もいるので、小さい子や不器用さんでも安心。
     なんくるないさー! なんとかなるさ!
     誰でも、気兼ねなく楽しく参加できる体験なのです。
     いろいろな表情や仕草をしたシーサーは勿論、個性的な装飾品のパーツを作ってつけてみたりなど、各個人それぞれのアイディアや好みで自由に制作できるので。
     まさに、世界にひとつだけ。貴方だけのオリジナルシーサーが作れます!
     そして作成したシーサーは窯で焼いた後、丁寧に梱包して郵送してくれますので。
     修学旅行の間に持ち運んで壊れる心配もありません、ご安心を!
     
    「シーサーって沖縄情緒溢れてるし、すげー可愛いよなぁ!」
     修学旅行にわくわくと心弾ませながら、シーサーの可愛さにキュンとした後。
     伊勢谷・カイザ(紫紺のあんちゃん・dn0189)は、修学旅行のしおりと沖縄のガイドブックを交互に眺め、続ける。 
    「修学旅行の日程が発表されたけど、もうチェックしたか? 俺は特に初日の『シーサー作り体験』、今から楽しみにしてるんだ。みんながどんなシーサー作るのかも興味あるし、シーサーなら沖縄土産にもぴったりだしな!」
     そう言いながら、ガイドブックのシーサー作り体験のページに几帳面に付箋を貼り、作業の工程をチェックしつつ。
    「作り方はすごく簡単らしいから、誰でも作れるみたいだぜ? 先生もいて丁寧に教えてくれるみたいだから、万一手順が分からなくなっても安心だな。でも……可愛いのや勇ましいのもいいし、ちょっと人とは違った感じのとかも面白そうだし……どんなシーサー作るか、今から悩むよなー」
     こう見えても結構器用で、物を作ったりするのとか俺得意なんだぜ? と。
     オリジナルシーサー作りへの意気込みをみせるカイザ。
     そして、ニッと満面の笑みを宿して。
    「沖縄の言葉で有名な……そう、『なんくるないさ~』! わいわいみんなで楽しく作ればきっと『なんくるないさー』、何とかなるはず! みんなのシーサーがどんな子か、よかったら俺にも見せてくれよな」
     カイザはそう、シーサーのタテガミのようにもふもふな霊犬・ゼロをわしわしと撫でてから。修学旅行のしおりを眺めつつ、楽しげに瞳を細める。
     
     楽しく作れば、なんくるないさー! なんとかなるさ!
     愛くるしいものでも、強く猛々しいものでも、個性が爆発した芸術的なものでも。
     貴方の感性におまかせ、どんなものが出来上がるかはアイディア次第!
     少しくらい歪んでもご愛嬌、それも良い沖縄の思い出。
     あなたも修学旅行の思い出とお土産に――オリジナルシーサー、作ってみませんか。


    ■リプレイ


     デフォルメ感ある大きなパーツや、くるり円らな瞳。
     目指すシーサーはそう、可愛い子! ……だけれど。 
    「可愛くならないんだけど助けてー!」
     紗は仁奈に、思わずヘルプ!
     そんな声に、仁奈が提案したアイテムは――ピアス。
     ヴァニラともお揃いな雫型や、可愛らしいハート型ピアスを、シーサーの耳に飾って。
    「私達で2体セットみたいに作っちゃう?」
    「よーし、じゃあリボンとか飾ってあげようか?」
     可愛い麻呂眉さんに、きゅっとお揃いリボンを結べば……ほら、なんくるないさー!
     世界に1つだけの、強くて可愛いペアシーサーが。
     ――面白い顔をしたこいつは、沖縄のご当地モンスター??
     そんなクリスの認識を正した後。桃夜はいざ、集中してシーサー作り……!?
    「真剣なクリスもいいなぁ……」
    「僕の顔ばっかり見てないようにね」
     通常運行すぎて、バレバレです。
     一方、完璧に仕上げるべく夢中でクリスが作るのは。
    「耳にはちゃんとピアスもつけよう♪」
    「クリスが作ってるのってオレみたい」
     ご名答! ピンクと赤の彩りの、トーヤシーサー。
     そして隣に並ぶのは。
    「ん……もしやこのカラーリングは……僕??」
     シーサー同士もラブラブ――グレーと赤の、クリスシーサー。
     やはり可愛く作るのは、女の子が得意――。
    「あああっ、なんか変な形にっ」
    「ぶっ、ちょ、何それっ」
     ……というわけでは、ないみたい。いつもと二人の立場も逆転!?
     未知の才能を発揮する和菜の、斬新すぎるナマハゲ的シーサーに、思わず吹き出した玲は。
    「笑うな、もー」
    「そこの形はこうしてさ……」
     ぺしぺし叩かれつつもヘルプを受けて、張り切って手直しを!
     高2の時も、一緒に沖縄に来たけれど。
     そう――これはデートです、デート。これ超大事です。
     不意に触れ合った手に、お互いドキッとする今は……ただの級友じゃ、ないから。

     厳ついのも格好良いけど、可愛く作りたい。
     そして遊び心は大切!
    「粘土ってこねるの楽しいですねぇ……うーん、この辺もうちょっと弄ってみましょう」
     縁樹はこねこね、目や口をデフォルメして。
     ころころ沢山作るのは、可愛くて小さな、お土産用シーサー。
     希沙が作るのも、大切な人へのお土産。
     うつ伏せに丸く、オレンジ色のつんつん毛、黄緑の眠たげな半目の双眸。
    「……あ、何かもっふりなってもた」
     でも、なんくるないさー!
     カイザに手伝って貰いつつ、削ったり足したり。
     バランスを整えつつ、似てきたかな――と。
     自分用ならば、十分の出来だけれど。
    「うーん、なかなかカッコよく仕上がりませんね」
     一ミリの狂いも許さない!
     そんな意気込みで、時間ギリギリまでシーサーを作るアルベルティーヌ。
     なんていってもこれは――彼への、贈り物なのだから。
     一昨年、この沖縄で遥香が作った『鹿シーサー』。
     そして半ば嫌がらせのように贈った相手こそ――今、お付き合いしている人という不思議。
     でも今回作るのは、金色のボディと……さらに立派な、鹿の角のシーサー。
     その名も!
    「よしっ、『スーパー鹿シーサー』完成ですっ!」
     粘土をこね、シーサーの形を作りつつ。
    「ええと、こうして。……似てるんですよね、何となく」
     飛廉が思うのは、留守番中の夕星の姿。
     そして。
    「……はっ、うう、これでは、義兄に、義兄にからかわれます……!」
     隠しても見つかる気しかしないけど……気付いたら、柴犬に似た形に。
     水花が作りたいのは、可愛い感じのもの。
     ちまっとしていて、円らな瞳で、もふもふの――。
    「……あれ、何だか何処かで見たような。というか……ぜ、ゼロくん?」
     そうふと、隣で一緒に作るカイザの手元を見てみれば。
     そこには同じ様な、ゼロ似のシーサーが。
     作務衣に草鞋に頭のタオル。装いはまさに、陶芸家!?
     一心不乱に捏ねた豊のシーサーはやはり、匠の一品??
     なんという事でしょう、という長い説明も忘れません!
     でも豊はふと、他の参加者を振り返って。
    「……で、なんで俺こんなん作ってんだ?」
     周囲のツッコミ待ちな、そんな一言を。


     ――しーさー、しーさー、楽しいさ~♪
     そんな直哉の自作ソングに乗せ、【文月探偵倶楽部】が作るのは勿論!
    「さてと。やっぱ着ぐるみシーサーだよね!!」
    「にゅ、シーサーさんに何の着ぐるみを着せましょうっ?」
     当然の様に、着ぐるみシーサー!?
     ぺんぎんにフクロウ、それとも沖縄らしくマングース?
     月夜は着ぐるみに収まる、やや小さめな七色のカラフルシーサーを作って。
     ミカエラのシーサーは、自分とお揃いのひまわり!
     波型の葉脈で、ちょっと神様っぽい造形に?
     仕上げに『たんてい』とお腹に書けば、さんふらわあシーサーの完成!
     まぐろのシーサーの仕上げもやはり、マグロ着ぐるみで!
     ……でも。
    「あ、あれ、なんだかバランスが悪いわね……?」
     マグロの口から見えるシーサーは、何だかシュール??
     そんなシュールさに噴き出したまぐろのシーサーを、とても可愛らしいと眺める仲次郎は。
    「どれ、私は仮・轟天号の着ぐるみシーサーでも作ってみますかー……」
     仮・轟天号の着ぐるみシーサーを!?
     そして、とっても上手く出来ましたよーと、ある意味前衛的なシーサーを掲げる。
     シーサーといえば、狛犬の仲間っぽい! けれど。
    「ちょっとくらいわんこっぽくなっても構いませんわよね?」
     いえ、むしろ桐香のシーサーは……ちょっとどころか、とってもわんこ。
     でも!
    「……ここはシーサーの着ぐるみを着せれば問題ないですわよね?」
     着ぐるみを着せれば、無問題!? 
     そしてキラキラビー玉の瞳に、きりっと格好良い眉、手には虫眼鏡。
     勿論、クロネコ着ぐるみを着せて!
     ヒーローの証たる赤いスカーフを靡かせれば。
    「着ぐるみしーさー・クロネコバージョンの出来上がりだぜ!」
     計算通り! と、どや顔の直哉!
     ていうか。
    「何かちょっと違う気がしますが?」
     1分程、持参した資料のシーサーと、眼前の着ぐるみの森状態なシーサーたちを交互に眺めた後。
    「このクラブで参加ですからね」
     そう結論を出した七波も、ふわもこ狼さんなケモぐるみを、狛犬風のシーサーに着せたのだった。
     ――着ぐるみ着せれば、福来る!?
     ある意味、通常運行な光景は……安心できる癒しの環境、なのかも??

     ――こねこねこねこね~♪
     ギンに倣い【わにばに】の皆で唱えるのは、シーサー作りの呪文!?
     照れ隠しに突っぱねつつも、ギンに袖を捲って貰ったひよりが目指すのは、可愛いシーサー。
     そして呪文を唱えつつ、粘土をこねていた流だが。
    「うおおあらぬ方向向いちまったあああ!!」
     シーサーの首が、ぐるんっ!?
    「だ、大丈夫、まだ直せます!」
    「ちょ、違うギンその向きじゃねぇ……!」
     ギンの手助けで、余計にあらぬ方向へ!?
     でも、わたわたしつつも。どことなくコミカルな流のシーサー完成!
     3人をイメージして作ったギンも、自分の青メッシュを入れて出来上がり。
     名付けて!
    「どんな魔物も一昨日来やがれってんだい! さいつよわにばにシーサー☆」
     そして、ひよりも。
    「どう? 強そうで可愛いでしょ?」
    「おう……か、かわ……強そう、だな!」
     照れ隠しの上から目線でカイザに手直しして貰った巨大シーサーを、自慢気に披露!

     【縁組】の3人が作るのは、友人への土産用シーサー。
     すいすい器用に形を整え、獅子や狛犬の如き格好良いシーサーを作る結弦。
     その隣で眉間にしわを寄せながらも、何とか真剣に作業を進める那月は。
    「何というか、前衛的ですね。僕そういうの好きですよ」
     結弦にそう、フォローされた感溢れる言葉を掛けられた後。
    「花澤、それはなんだ」
     ある意味、さらにプロ級なリアンのシーサーを、結弦と凝視する。
     地獄の番人の如き厳つい、炎纏った顔の怖い獅子は……どこぞの幻獣!?
     そんなシーサーというかむしろクリーチャーを、やりきった顔で作成したリアンは。
    「獅子だろ? 火事から守ってるんだよな?」
     だったらこうなるだろ、と、しれっと返してから。
    「何なら、翼付けるか。あいつ鳥好きだし」
    「彼は星も好きだから星はどうでしょう」
    「……じゃあ、ほくろでも付けたらどうだ」
     3人でそう、オリジナル感半端ない、お土産の仕上げを!

     【保健室】の皆は、揃って大学1年と高校2年!
    「ん? なんだお前らその目は?」
     その事実を知らなかったけど知っていたと言ってみた後。
     翌檜が提案したのは――きしめんシーサー作り!
    「見ていろよ私は昔から図工は3だった女だ!」
     中2かと思われていたミラァも、やる時はやるんです。ちなみに合言葉は、デストロイ!?
     そして翌檜が作るきしめんは、可愛いさより美しさ重視の、きしめんの新境地!?
    「ってかお前のきしめんまでチャラいんだけど。何このすげェキメ顔!」
     翌檜風ニューきしめんにそうツッコミつつ。きしめん雪像を思い出しながら作業する小次郎は、いつも一緒にいる分、有利!?
    「……なにこれチャウチャウ? きしめんはもっとこう、こんな感じだろ」
    「これはほら、シーサーだし敢えて威厳出す感じで、っつーかさ! ほら!」
     そして空中で展開する、葉と小次郎の、エアきしめん描き!
     それから、新境地的きしめんにさとうきびを咥えさせつつも。
    「やばぃ……難しぃ……」
    「あー、何だかんだニノマエのが一番きしめんぽいな。でも三園のきしめんも優しい感じがして俺は好きだぜ」
    「これきしめんじゃなぃ……どっちかというとそうめんだ……つらい……」
     ミラァのには触れない方向で。
     翌檜はハイビスカスで飾っためんこいきしめんたちを、交互に眺めるのだった。

    「最強のシーサーを作っちゃうぞ、おー!」
    「……おー」
     サズヤもつられるほど気合が入った壱子が目指すは、どんな災いも一発で倒せそうなシーサー!
     アイナーも、小さな犬のような可愛いシーサーを作る……つもりが、猫の様な狐の様なシーサーに!?
     実は絵や造形は苦手なアイナーは、篠介に助けを求める視線を。
     でも。
    「……なぁ知っとったか。ワシは作るとこまでは大丈夫じゃったんだ」
     そんな篠介のシーサーの彩りは、まるで邪気の塊!? でも造形は得意なのです!
     そして、思ったより丸くなったけれど。
     ……慎重に、と。沖縄の海や森が育んだ鮮やかさでシーサーを彩る、サズヤ。その頬にも、知らぬ間に、同じ色が。
     そして依子が作るシーサーは、牙が大きくて、眉と目が凛々しい獅子!
    「こ、怖いかも……」
     ……ちょっと凛々しすぎました!?
     でも、なんくるないさー!
    「篠介君は進展どうです? これ、色明るくしたら平気かしら……」
    「よう出来とるじゃないか。何つか……皆の親分みたいで」
     隠さないでも大丈夫、貫禄ある親分シーサーです!?
     そして。
    「えへへ、ひだまりシーサー出来上がり!」
    「……! ……おぉ、ひだまり」
    「イチゴのはさすがと言うか、可愛いながらも勇ましそうだ、な」
     もこもこひだまり、ピンクが綺麗な壱子のシーサーも完成!
     やっぱりちょっぴり丸いけど、サズヤのシーサーも満足な出来。
     何とか形にした黒いシーサーを作ったアイナーも、出来上がったシーサーたちを眺めて。
     ずらりと並んだ、世界にふたつとない思い出に、シャッターを切ってから。
     また、今度は【Cc】の部室で――シーサーたちが全員集合するのを、心待ちに。


     【タケノコ荘】の皆も、いざシーサー作り! ……なのですが。
    「ところでシーサーとは何者でございましょうか?」
     犬……でしょうか、というシュランゲの声を聞いて、杳が作ったのは。
    「手先は器用なんだよ、俺。ほら、上手でしょ?」
    「黒八さん、可愛らしいレトリーバーでございますね」
     すごく上手なゴールデンレトリバー! ですけれど。
    「……黒八、胸を張ってるとこ悪いがシーサーは犬じゃないぞ?」
     翔也のツッコミに、衝撃を受ける杳。
     そこでまず、シーサーの事を調べた魅羅は。
    「伝説の獣! なるほど!!」
     早速、作業開始!
     そして一騎は、可愛いものを作ってみる事に。
    「なんつーかこう……がおーって感じの奴とすました感じの奴! 小さい2匹!」
    「お、いいなそれ。俺も小さいのを作るか」
     何だか大きなものを作る藍凛を後目に。
     ストラップにできる小さめのものを複数作る翔也。
     ……犬っぽくなったけど、気にしない。
     でも、犬だけではありません!
    「色は……えっと……水色、とか……涼しそう……で、いいかな……?」
     涼しげな渚の水色シーサーは――猫?
    「おおっ、ゴールデンレトリバーにポメラニアンに水色の猫! わんにゃん大行進! 可愛い!」
     一騎の言う通り、まさに、わんにゃん大行進!!
     そして実季も、ちまっとした犬っぽい何かを作りながら。
    「だ、誰かヘルプ!」
     粘土相手に、悪戦苦闘。それから、皆の様子を見回してみれば。
    「どうヨー! ミラの傑作なのヨ!」
    「ん? ……おぉ、これはまた随分と個性的なシーサーですねぇ……」
     視線の先には、斬新な魅羅のシーサーが。
     シーサーは伝説の獣、ということで!
     完成したのは――ミラが かんがえた さいきょうの けもの !
    「ミラさんのは……スライム?」
     シュランゲはスライム……いや、魅羅作の伝説の獣を見つつ、そっと自分のシーサーを隠すも。
    「シュラさんは、見せてくれないのカナ? カナー?」
    「……一騎柴犬、シュランゲポメ、なんか皆の犬っぽくない?」
     今まで集中して作業していた藍凛に、いびつなポメラニアンをしっかり見られていました。
     そして、そんな藍凛のシーサーも。ガオォッと吠えている、デカいガタイの良い土佐犬!?
    「……ゴールデンレトリバーに柴犬とポメラニアン、……土佐犬? あ、あれ? シーサーはどうなったのです?」
    「ほら! 守屋のもシュランゲのも犬だよ? 木津のだって……!」
     もう楽しければ良し、なんくるないさ~!
     出来上がった皆の作品を並べれば。
     【タケノコ荘】の玄関もきっと、賑やかなわんにゃん大行進に!

     男子寮『月夢』と女子寮『月恋』――今回は【月夢月恋】一緒に、シーサー作りに挑戦!
    「どうせ作るならすごっくカッコいいのがいいですよね!」
    「んー、本格的なのもいいけど、今回はデフォルメされた感じにしよーかな」
     作るシーサーは、十人十色。
     アリスは火を噴きそうなシーサーを。弥勒は、お土産でよくあるようなデフォルメされたものを。
    「パーツごとに作ったほうがよろしいのでしょうか?」
    「私は口を開けたタイプだ! その方がカッコいい!」
     口を閉じた可愛いシーサーを作る紫音と対になる様な、角のあるシャープなものを作る紅音。左右対称で足をあげる2体は、自分達と同じ、双子シーサー。
     そして、神秘の力を注入?? バンリが唱えるのは、自作のエイサー的念仏!?
     そんなリズミカルに造形されるのは、迫力満点のご利益シーサーさん……のはずが。
     お手! のポーズにウルウルまなこ、ハズレた牙の一本はヨダレに。
     さらに姫リンゴが飾られ、プラム色に染められたシーサーは、まさに!
    「これは……これでは……まんま己ではないか……」
     そう――いつの間にか、或里シーサーに!?
     そして……作業に苦戦する面々の姿も。
    「ぐぬぬぬ、何度やり直してもシーサーにみえねえ」
    「なんかふわふわな感じにならない……」
     笑いたければ笑えよ! と四苦八苦する葵に、伊勢さんの様なふわもこをなかなか再現できない朔楽。
    「……うーん。2次元に切り取るのは、何とかなっても、造形はなかなか勝手が違いますね~」
     半ベソをかきつつ同じく悪戦苦闘する佐祐理は、芸術学部在学。
     何とか頑張りたいところ! だけれど。
     コツや流れを掴むべく皆の作業をチラ見しながらも、何とか作業を進めて。
     葵も手伝って貰いつつ、前衛的なシュールレアリズム的なシーサーを、何とかカタチに。
    「あと装飾は赤いスカーフを……できた! みんなを守るヒーローシーサーだ!」
    「最後に赤いハイビスカスを頭に乗せて……と。可愛いシーサーの完成です♪」
     紅音と紫音が同時に、双子シーサーを完成させれば。
    「見てください! 強そうですよね、名前はじゃばうぉっく、と言うんですよ!」
     アリスも、純に自信作を披露!
    「さすがみなさんオリジナリティ溢れるの作ってますね」
     純はそう、ついつい皆の作品に魅入ってしまうも。慌てて、自分のシーサーを作るべく、粘土をこねこね。
    「ん、増量中、だよ」
     その隣で、七葉が兄の気配を感じつつも着々とつけているのは。男の子シーサーらしく強くて魔除けになりそうな、ちょっとマシマシなたてがみ!
     朔楽も、ちょっぴりもふもふ感は足りないかもだけど。
    「……僕ももうちょっと格好よくしてあげよう」
     格好良さげな、獅子っぽい感じに仕上げて。
    「月夜君も出来た? 見せて見せて! わ、コックさんなシーサーなんだね!」
     コック帽をかぶった、純のオーソドックスなシーサーを見て、声を。
     そんな個性溢れるシーサーたちを眺めながら。
    「良いお土産が出来たね」
     少しだけ表情を緩める七葉。
     そして、悪いのが入ってこないよーにー、と。
     弥勒がにっこり笑ったシーサーに持たせたのは――『学生寮 月夢・月恋』の表札。
     願いを込めて作ったシーサーを、寮の屋上に並べれば。
     魔除け効果もきっと……バッチリだろうから。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年6月23日
    難度:簡単
    参加:53人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 12/キャラが大事にされていた 2
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