人口の明かりなど無い、夜の暗闇に包まれた山の奥深く。月明かりの元に人影が見えた。
白の王セイメイの前に、赤い武者鎧のアンデッドが平伏し、下知を待っている。
「北征入道への合力が、そなたらの望みでございますか」
セイメイの言葉に、武者鎧のアンデッドが地面に頭をつけんばかりに深く平伏する。
「よろしいでしょう。各地に封じていた武者達を呼び起こし、北征入道の元に馳せ参じさせましょう」
その言葉に武者鎧のアンデッドが顔を上げた。
「蒼の王コルベインの北征洞窟が現世に出現する事は、私の計画の助けにはなれど、邪魔にはならないのですから」
その言葉を最後にセイメイの姿が消える。武者鎧のアンデッドはゆっくりと立ち上がり、咆えるように月を見上げた。
「どうやら白の王・セイメイが動き出したようなんだ」
能登・誠一郎(高校生エクスブレイン・dn0103)が教室に集まった灼滅者に向けて説明を始める。
「札幌のダンジョン事件を起こしているノーライフキングに、援軍を派遣しようとしているみたいでね。鎌倉時代の武者の姿をしたアンデッド達を送り出そうとしているようなんだ」
武者姿のアンデッド達は、ダークネスに準じる力を持つ強力なアンデッドのようだ。
「源平合戦の古戦場などの場所に封印されてるみたいでね。現われるまでにはまだ時間があるよ。でも、出現してから10分程度で北海道ダンジョンへと転移してしまうみたいなんだ。だからみんなには早期決着を狙ってもらうことになるよ」
現わる場所で待ち、出たならばすぐさま倒してしまわねばならない。
「敵が現われる場所は石川県の倶利伽羅峠だよ。視界の悪い山道に入ったところみたいだ」
そこで待ち伏せしていれば封じられていた敵が一斉に現われる。
「武者アンデッドの数は強力な個体が1体、配下のアンデッドが10体現われるよ」
強力な赤い武者はダークネスに準じる能力を持ち、配下の黒い武者でも1体で灼滅者1人以上の戦闘力を有している。
「確実に止めを刺さないと転移後に回復してしまうようだからね。どれだけの数を確実に仕留められるかが重要になるよ」
敵は守りを固めて転移までの時間を粘ろうとするようだ。こちらが逃げれば追ってくる心配も無い。
「白の王セイメイも動いて、札幌のダンジョン事件は大きく動こうとしているみたいだね。みんなの力で武者アンデッドを可能な限り灼滅して、敵の思惑を潰して欲しいんだ。このままだと何が起きるか分からないからね。出来る限りの事をしていかないと、敵戦力も多くて大変だろうけど、お願いするよ」
誠一郎の言葉に強く頷き、敵の思い通りにはさせないと、灼滅者達は意気込んで現場へと向かった。
参加者 | |
---|---|
シャルリーナ・エーベルヴァイン(ヴァイスブリッツェン・d02984) |
御盾崎・力生(ホワイトイージス・d04166) |
天雲・戒(紅の守護者・d04253) |
アイナー・フライハイト(フェルシュング・d08384) |
榊・拳虎(未完成の拳・d20228) |
莫原・想々(幽遠おにごっこ・d23600) |
神隠・雪雨(虚往実帰・d23924) |
石神・鸞(仙人掌侍女・d24539) |
●倶利伽羅峠
石川県と富山県の境目にある倶利伽羅峠。かつて平家と源氏が戦った曰くのある土地である。
夜の暗闇に包まれたその場所に照明の光が灯る。そこには灼滅者達が集まっていた。
「倶利伽羅峠の戦いは、平家の軍が奇襲によって敗れたそうだな」
来るまでに予習した御盾崎・力生(ホワイトイージス・d04166)が周囲を見渡す。
「俺たちも、電撃作戦で決着をつけるとしよう」
その言葉に仲間達もしっかりと頷いた。
「……倶利伽羅峠、ってことは平家の英達ですかね? 思いっきり馬鹿にしてやろっと♪」
神隠・雪雨(虚往実帰・d23924)はニヤリと嗜虐的に笑い、いかに相手を挑発してやろうかと考える。
「ハルファス軍に続いて、鎧骸骨達を滅ぼさないといけなくなったな」
天雲・戒(紅の守護者・d04253)は北に向かうソロモンの悪魔と戦った時の事を思い出す。
「今回は時間制限がある。それに間に合わせないとな」
携帯のアラームの設定を確認して準備をする。
「援軍、となれば全て倒しておきたい所だが、少しでも苦い顔させれたら儲けもの」
アイナー・フライハイト(フェルシュング・d08384)は油断無く、足場を確認し邪魔になりそうな草木を斬り払う。
「敵の集結を少しでも阻む、っすか。なかなか戦略的な話になってるっすねぇ」
グレーのフード付きスウェットを着た榊・拳虎(未完成の拳・d20228)は、軽く体を動かしてウォームアップする。
「……相変わらず、なんにもない」
家出中の莫原・想々(幽遠おにごっこ・d23600)は見知った土地での戦いに複雑な思いを抱く。
「感傷に浸ってちゃ駄目、すぐに彼等は来る」
首を振ってそんな気持ちを入れ替え、これから起きる戦いへと集中する。
「北の地というと、私共の宿敵でもあるハルファス軍が目指しております」
石神・鸞(仙人掌侍女・d24539)は何かが起こっている北の方角を遠く眺める。
「セイメイも何やら意図があって動いているようですし、恐らくはハルファス軍を何らかの形で利用するつもりなのでございましょう」
そうはさせないと、灼滅者達は戦い向けて気持ちを高めると、場の空気がゆらりと動き、幻のように武者鎧を着込んだ骸骨達が現れた。
「狙いは赤武者ですよぉ」
のんびりした口調ながらも、シャルリーナ・エーベルヴァイン(ヴァイスブリッツェン・d02984)は真剣な眼差しで現れた武者達を見る。
黒い武者達の中、一際大きな赤い武者が居た。武器を手に持ち灼滅者達は視線を合わせ頷くと、一斉に仕掛けた。
●平家
「さぁ行くぜ。今日は骸骨を壊すだけの簡単な仕事だ」
不敵な笑みを浮かべ戒が炎の翼を広げる。それは仲間達を包み込み燃えるような活力を与えた。
「一気呵成に仕掛けるぞ」
力生が重々しいガトリングを腰だめ構える。銃口から無数の光弾が吐き出された。弾丸は赤武者の強固な鎧に弾かれながらも、隙間から内部の骨を抉る。
「時間は有限。後は考えず全力で、いこう」
アイナーが帯を矢のように飛ばして武者の腕を貫いた。続いてシャルリーナも帯を飛ばして赤武者の体に突き立てる。
「ルーシェちゃん、力を貸してください……!」
シャルリーナが声を掛けるとウイングキャットのルーシェが肉球パンチを叩き込んだ。
『敵襲カ! 皆ノ者武器ヲ取レイッ!』
大きな声で赤武者が指示を出すと、一斉に黒武者達が武器を構えて灼滅者達に向き合った。
「11対8で10分……3ラウンド少々っすか。物足りないっすが、仕方ないっすね」
フードを脱ぎ捨てたボクサースタイルの拳虎は機敏に飛び込み、赤武者の顔面に拳を叩き込んだ。
「貴方達は、負けてしまったのね。だけどそれは全部過去の話」
哀れむように想々の瞳が赤く瞬く。瞳だけでなく髪も土茶に染まり、手にした蝋燭がゆらりと蠢き炎が赤武者を包み込む。
「どうやら平家の方であってるみたいですね」
口元に笑みを浮かべ突っ込んだ雪雨は、勢いを乗せて蒼く輝く氷柱のような槍を突き出し赤武者の胸を貫く。
『何処ノ武者カハ知ラヌガ、我等ノ邪魔ハサセン』
赤武者は3尺は超えるだろう大太刀を抜き放ち、上段から振り下ろす。雪雨は槍を横にして受け止めようとするが、重い一撃に押し切られて地面に膝をつく。そのまま頭をかち割らんとする刃。だが横から近づいた鸞が赤武者の脇腹に針を突き刺して動きを止めた。
「出来る限りここで食い止め、敵の企みを阻止いたしましょう」
鸞は針を引き抜き間合いを開ける。すると先ほどまで立っていた場所に矢が飛んできた。見れば黒武者達が矢を番えている。更には槍を持った黒武者が突き込んでくる。
「平家の武者のようですが、この世界に貴方達の居場所はありません」
想々が純白の帯を伸ばして編み込み、盾のようにして飛来する矢を防ぎきる。
「纏めて動きを止めてやるぜ!」
戒は縛霊手を展開させると結界を張り巡らせ、槍を持った武者達の動きを絡め取る。
「邪魔をするというなら、全て燃やし尽くそう」
力生が地面を抉るように踏みしめガトリングを向ける。放たれる銃弾は炎の塊。撒き散らすような炎の雨が黒武者も全て巻き込んで骨の体を燃やす。
『火ヲ消セ! 敵ヲ近ヅケルナ! 時間マデ凌ゲレバヨイ!』
黒武者が矢を放って消火し、刀を持った黒武者が前に出て斬り掛かってくる。灼滅者達はそれぞれ武器で防ぐが、更に槍で突かれて傷を負う。
「回復をお願いしますねルーシェちゃん!」
ルーシェのリングが輝き、シャルリーナは傷を癒しながら接近する。間合いに踏み込むと腕を振るい、白衣に忍ばせた小型ロッドを赤武者の胸に叩き込む。
『坂東武者ノ縁ノ者カ? 邪魔ヲスルナラバ斬リ捨テル!』
シャルリーナに踏み込んだ赤武者が太刀を薙ぐ、そこへライドキャリバーの竜神丸が割り込んで代わりに車体を抉られ地面を転がった。
「ああ、そういえば頭に大松付けた牛に追っかけられて崖下に落ちたんでしたっけ?」
『貴様ッ!』
ローラーダッシュで近づく雪雨に、激昂した赤武者は太刀を振り抜く。雪雨は跳躍して避けると炎を纏った足で赤武者を蹴りあげて笑みを笑ってみせる
「……ねぇねぇ、いまどんなきもち? 炎で撒かれてどんなきもち?」
『オノレェ!』
赤武者が返す太刀を振るう。雪雨は素早く後退して刃を躱したが、剣圧が無数のカマイタチとなって雪雨の体を幾重にも切り裂いた。
『死ネィ!』
「強敵だが、一歩も引く気は、ない。仲間は守る」
踏み込んで剣を振り下ろすところへ、割り込んだアイナーが剣で受ける。だが赤武者の膂力は凄まじく、押し切られて吹き飛ばされた。
「威力は凄そうっすけど、当たらなければいいんっすよ!」
拳虎が振り抜かれる太刀を掻い潜って踏み込む。左のボディブローを入れ、前屈みになったところへ右のアッパーを突き上げた。
「休む間は与えるつもりはありません。続けさせていただきます」
そこへ鸞がオーラの塊を飛ばして赤武者の胸を撃ち、衝撃にバランスを崩した赤武者は尻餅をついた。だがフォローするように黒武者が刀を振るう。それをアイナーと竜神丸が前に出て受け止めた。
それと同時に3分経過のアラームが鳴った。
●合戦
「まだ時間はある! このまま赤武者への攻撃を続けるぜ!」
駆ける戒が跳躍し、飛び蹴りを起き上がろうとする赤武者の背中に叩き込んだ。衝撃に前のめりになった赤武者がたたらを踏み手をついた。
『槍ヲ突ケ!』
赤武者が立ち上がり命じると、3対の黒武者が槍を持って突っ込んでくる。
「お前達に用は無い、大人しくしていろ」
力生は地面に片膝をつきガトリングを向けぶっ放す。弾丸が地面を抉りながら武者達の足を削っていく。その攻撃に思わず黒武者は動きを止めて力生の銃口を警戒する。
『小賢シイ! 怯ムナ! 怯エレバ同ジ轍ヲ踏ム事ニナルゾ! 我等ニ後退ハ無イ、命有ル限リ前ニ出ヨ!』
腹に響くような声で赤武者が叫ぶと、黒武者達も体制を整えて陣を組みなおす。そして一斉に攻撃をしてくる。雪雨と竜神丸が攻撃を防ごうとするが、捌ききれずに被弾し傷を負っていく。
「敵の攻撃も激しいですね。ですが負けてはいられません」
仲間に向けて想々は大きな法陣を展開する。白く輝くオーラが包み込み仲間の傷を癒していく。
「全速で行きます!」
稲妻の如き青白色のオーラを纏ったシャルリーナは駆け出し、赤武者が迎撃に振り下ろす刃に向かって更に踏み込んで攻撃を躱すと、横をすれ違う瞬間後ろ回し蹴りを武者の顔に浴びせた。
アイナーの振り下ろす剣を、赤武者は鎧で弾いた。
「装甲が厚い、ならまずは鎧を、斬る」
ならばとアイナーが剣を逆袈裟に斬り上げる、刃が赤武者の脇腹を守る甲冑に食い込んだ。
『コノ程度デハ我ガ具足ハ貫ケヌ!』
赤武者は腕を振るってアイナーを殴り飛ばした。
「鎧の上からでも、衝撃は通るんすよ!」
拳虎が大きく振りかぶって胸に拳を叩きつける。押し込まれて赤武者はよろける。
「仕留めるまで手を緩めずに押し切りましょう」
背後に回った鸞が針を突き刺し、エネルギーを吸いあげて自らの傷を癒す。
「ちょっと本当の事を言われたからって頭に血を上らせるなんて、気が短いですね」
からかうように雪雨は軽口を叩きながら、鎧の隙間に槍を通す。穂先が脇の下から肩の骨を削り取った。
『卑怯ナ坂東武者ニハ二度ト負ケヌ!』
赤武者が太刀を薙ぐ。すると巻き起こった風の刃が周囲の灼滅者達を吹き飛ばした。
「少しでも動きを止めます!」
シャルリーナが駆け寄ると、赤武者は首を刈るように横薙ぎに太刀を振るう。シャルリーナはスライディングするように避けると、そのまま足首を狙って蹴りを打ち込んだ。
「逃しは、しない」
更に反対側から接近したアイナーが光の剣で足に斬りつける。
『邪魔ダ!』
近づかせまいと赤武者は太刀を振り回す。
「ちっぽけでもプライドってもんがあるんで……そう易々とは通せないんっすよ!」
拳虎はステップを踏み前進する。刃が体を掠めて血が流れる。だが紙一重で致命傷を避け懐に潜り込んだ。
『太刀ガ使エズトモ!』
赤武者は組み付くように拳虎に腕を回し締め上げようとする。密着した状態から拳虎は体を捻り、ボディに右拳を抉り込んだ。肋骨が砕けて地面に落ちる。だがそれでも赤武者は動きを止めずに拳虎の腰に回した腕に力を込めた。万力で締め上げられたようにみしりと体内から音が響く。骨が砕けて内臓が圧迫される。
「ぐぅっ」
拳虎が痛みに声を漏らし、大量の汗を全身から吹き出る。
「とうの昔に死んだ骸骨どもが、これ以上化けて出ないように浄化してやるぜ!」
戒が蝋燭に赤い火を灯す。揺れる火は燃え盛り渦を巻いて赤武者の顔を焼いた。
『ガァッ』
思わず力が緩んだところで、拳虎は拳を顔面に打って反動で距離を取る。
そこへ黒武者達が一斉に仕掛けてきた。それを行かせまいと、力生が弾幕を張り、竜神丸が身を挺して守る。
持っているだけで汗ばむような熱を持ったガトリングを抱え、力生は撃ち続ける。吐き出される銃弾の反動を押さえ込む腕に力が入る。
(「まだだ。もう少しもってくれよ」)
痺れる腕に活を入れるように、力生は一層力を込めてガトリングを支えた。
弾幕を前に接近を諦めた黒武者が矢を放ってくる。それは竜神丸を貫き大破させた。更には槍を持った武者が氷柱を飛ばしてくる。
「数が多いと厄介でございますね。ですが止めてみせましょう」
鸞が氷柱に向かってオーラを撃ち込んで弾き飛ばす。その間にルーシェがリングを輝かせて力生の傷を癒す。
『我等ノ邪魔ヲスルナ!』
太刀を拾った赤武者が全てを断たんと振り抜く。
「どのような事をしたところで、貴方達が報われる事はありません」
赤武者の太刀に想々の帯が絡みつき勢いを弱める。それをアイナーが剣で捌く。
「強打、正面からは防げない、なら」
受け流され赤武者の上体が泳ぐ。
「恥晒した死人が蘇るからこうなるんですよぉ」
木を蹴って頭上を取った雪雨が炎の蹴りを叩き込んだ。その足を赤武者が掴む。そして地面に振り下ろし雪雨の体を叩きつけた。
その時2回目のアラームが鳴る。6分経過の合図だった。
「そこまででございます」
鸞が赤武者の腕に張りを貫く。握力を失い雪雨の体が地面に投げ出された。
「最後まで、諦めません……!」
シャルリーナが突っ込む。だが赤武者もまた踏み込み両者の体がぶつかる。シャルリーナの体が吹き飛ばされる。そこへ振るわれる太刀。
「このタイミングでは、難しい、か」
咄嗟に割り込んだアイナーは剣の平に手を添えて受け止める。だが太刀の勢いは剣を断ち切り、アイナーの肩深くまで突き刺さった。赤武者が引こうとする。だがアイナーは太刀を押さえ込んだ。
「さっきは痛かったですよ。仕返しです♪」
動けぬ赤武者の背後から雪雨が槍を突く。足、脇腹、首筋と切っ先を突き込んだ。
『我等ハ勝タネバナラヌ!』
赤武者はアイナーを振りほどき前に出る。黒武者もその近くに集まろうとする。
「お前らはそこから動くな!」
腕を向けた戒が結界を張って割り込もうとした黒武者達の動きを止めた。
「貴方達の戦は、もう終わったの。此処でまた、眠って下さい」
想々が帯を伸ばす。それは拳虎の体に巻きついて傷を塞いだ。
「さって、最後の一撃っすよ……!」
拳虎は口から血を吐き捨て、痛み体を無視して踏み込む。足は鉛のように重い。ステップも無く一直線に突っ込むと、ぶつかるように拳を打ち込んで赤武者を押し倒す。
「そろそろ片をつけるぞ!」
力生の腕には黒武者が放った矢が突き刺さり力が入らなくなっていた。それでもガトリングを抱えるように持って駆け出す。そして倒れた赤武者の目の前に迫ると銃口をぴたりと突きつけて引き金を引いた。弾丸が至近距離から武者の鎧を穿ち、骸骨の体を粉砕する。
『ヌアアアアア! マタ死ヌノカァ! 恨メシイ! 恨メシイゾォォ!』
3度目のアラームと共に赤武者は塵となった。
●北へ
赤武者を倒すのに精魂尽き果て、黒武者達は転移してしまう。
「何とかなりましたねぇ」
シャルリーナは大きく息を吐いて気が抜けたように座り込んだ。
「作戦終了。これで終わり、かな」
「そうっすね。もうくたくたっすよ」
ダメージの大きなアイナーと拳虎は木にもたれるように体を預ける。
「……もう一度、新しい源平合戦でも起こすつもりなんでしょうか」
歴史に出てくるような武者達が何を思うのかと、想は応急手当をしながら遠い歴史に思いを馳せた。
「大丈夫でございますか?」
「……すまん。無茶とは思ったが、つい」
鸞が尋ねると、黒武者に組み付いた力生が感触を失っていた。
「骸骨の癖にやたらと強い奴等だったな」
「全部蹴散らしたかったですね」
戒と雪雨は全て灼滅したかったと悔しがる。
「連中の行く先は北海道か――」
力生が北の夜空を見上げた。
作者:天木一 |
重傷:アイナー・フライハイト(フェルシュング・d08384) 榊・拳虎(未完成の拳・d20228) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年6月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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