●マナちゃん商店街とタイアップ
商店街の端にあるビルの地下、小さなライブ会場。
舌ったらずな歌声がポップな曲にのって流れ、演奏が途切れると声が弾んだ。
「今日はお兄さんたちたくさん来てくれてー、マナとっても嬉しいですー♪」
ステージでスカートの裾握ってもぢもぢっとしているのは青いワンピースに白いエプロンドレスの少女――否、淫魔。黒髪を編み込んで青いリボンで留めている。
「入口でお渡しした短冊はー、商店街の笹に飾って帰って下さいねー? マナもお兄さんたちにたくさんお歌聞いて貰えるようにってー、お願い書いちゃいまーす! やん♪」
「「「マーナぢゃーん!」」」
二十人程度の観客が歓声っつか雄叫びをあげた。
次のイントロが流れ始めた時、扉を蹴り開け背の高い男が入ってくる。
「邪魔だ」
男の両腕から肩までを青い寄生体が覆い尽くした。目の前の一般人を無造作に突き飛ばすと血の華が咲く。次から次へ客を突き飛ばし引き裂かれ、マナが茫然と立ち竦んだ。
●千客万来も善し悪し
「ラブリンスター配下の淫魔のライブの話は、耳にしているだろうか」
埜楼・玄乃(中学生エクスブレイン・dn0167)はなんとも複雑な表情で話し始めた。
ライブをしてもバベルの鎖によって客が集まらないのが彼女達の悩みの種だ。しかし仲間になった七不思議使いたちのおかげでライブ情報が巷に流れ、小規模ながら一般客を獲得しているらしい。
「この淫魔、マナも大喜びで結構だが、問題はこのライブ会場に野良デモノイドロードがやってくる点だ。ステージ前の一般客が皆殺しになる。これを阻止して貰いたい」
ライブは午後6時から始まっているが、デモノイドロード・鷲都は午後7時ごろ単独で現れる。デモノイドと咎人の大鎌のサイキックが攻撃手段だ。
迎撃するならビルに入る前、裏路地あたりに誘導した方が一般人の被害の心配がないだろう。幸いというか、ビルは商店街の端にある。人通りは少ないし路地裏まですぐだ。単純な性格をしているので誘導も苦労はするまい。
一息ついて、ぴっと指をたてて玄乃が続けた。
「そしてもう一手、マナのライブを解散させる、という方法も提示させて貰う」
もちろんこの場合、ライブを邪魔されたマナとの戦闘となるが、一般人の避難は可能だ。マナの戦闘力はそう高くないが、時間がかかれば鷲都が乱入してくる可能性も否めず、難易度は上がるかもしれない。
「鷲都、マナのどちらもダークネスには違いない。目的は一般人の被害を防ぐことだ。どちらの手を取るかは諸兄らの判断に委ねる」
ファイルを閉じた玄乃は、ふと思い出したように続けた。
「そういえば、マナのライブ会場の入口で七夕の短冊を配っている。願い事を書いて、商店街の笹につけてみてはどうだろう」
ライブを解散させても受付に短冊は残っている。
小さな商店街の笹ではあるけれど、込めた願いは夜空に届くはずだ。
参加者 | |
---|---|
陰条路・朔之助(雲海・d00390) |
トランド・オルフェム(闇の従者・d07762) |
ゼノビア・ハーストレイリア(神名に於いて是を鋳造す・d08218) |
本田・優太朗(歩む者・d11395) |
楠木・朱音(繋ぐ鎖・d15137) |
レイッツァ・ウルヒリン(紫影の剱・d19883) |
サイラス・バートレット(ブルータル・d22214) |
葵・さくら(ツンデレ系女子高生・d34645) |
●待ち受けるもの
ライブの喧騒が遠くなる。ビルの壁のライブの案内表示を剥がし、本田・優太朗(歩む者・d11395)は廊下を見渡して確認した。剥がした案内を受け取ったゼノビア・ハーストレイリア(神名に於いて是を鋳造す・d08218)が、角を揃えて廊下の片隅に置く。
「マナくん……どんな人かな……ライブさんしてるって事はラブリン派の淫魔さんだと思うけど……」
目的はデモノイドロード鷲都の灼滅だが、淫魔マナに関する情報収集もしておきたい。
「変なことしてないといいな……うー」
ゼノビアの気持ちはわかる楠木・朱音(繋ぐ鎖・d15137)である。これがもし一般人を籠絡するためのライブなら、見過ごすことはできない。
ちょうどライブ会場の扉を開けて葵・さくら(ツンデレ系女子高生・d34645)が出てきた。客の入りや避難経路の確認など会場の下見を兼ねて入ってきたのだが、ついでに楽しんできたらしい。
「マナちゃん、かわゆし♪」
上機嫌の彼女によれば、ダークネスとしての力を使って誘惑したり催眠をかけたりもしておらず、大盛り上がりだという。
「淫魔のライブってのが気に食わないが、今はそれだけの様だし、一般人には関係無いからな……」
朱音は唸るしかなかった。そろそろ合流の時間だ。
その頃地上、ビルの外で、偽のライブ会場入口の案内を貼った看板をトランド・オルフェム(闇の従者・d07762)が用意していた。呼びこみの相方を務める陰条路・朔之助(雲海・d00390)が油断なく周囲に目を配る。
敵を誘いこむための路地の奥ではレイッツァ・ウルヒリン(紫影の剱・d19883)が待機していた。正直言えば淫魔を助けて良いのか迷うけど、被害は最小限にしたい。
「ライブやってるのが淫魔とはいえ……お客さんの熱意は本物だろうからね」
「……歩く凶器を放り込む訳にもいかねぇからな。さっさと片付けようぜ」
ビルの外壁に身を預けたサイラス・バートレット(ブルータル・d22214)がマナのライブのチラシを手に淡々と応じる。チラシも手作りの本当に小さなライブだ。けれどこれはマナが努力している証でもある、と思う。
不意にサイラスは身を起こした。彼の鼻に鷲都の重ねた業の匂いが突き刺さる。
「……来やがったぜ。随分と臭いやがる」
近づいてくる。人に害を為すダークネスが。
●青い破壊者
人の少ない通りをやってくる、背の高い青年――鷲都。
「マナのライブ会場こちらですよ~」
呼びこみをするさくらの声に反応し、まっすぐビルを目指してやってきた。ビラを手にしたトランドに近づき一枚受け取る。
「お兄さん、マナのライブに興味あります? もうライブ始まっているのでこっちはもう入れなくて。申し訳ありませんが裏口からどうぞ」
トランドの言葉に無言のまま、鷲都が朔之助の後に続いた。ライブ会場の場所はともかく、ビルの構造は知らないらしいことに、入口の陰でゼノビアは安堵した。
「……どういうことだ」
鷲都の前には行きどまりの路地。無論ビルの裏口などもない。最奥で人払いの百物語を語るレイッツァの傍ら、サイラスが飄々と出迎えた。
「手荷物検査といこうか。物騒な得物とか持ってねぇか……とかな」
黒い礼服にいでたちを変えたトランドが一礼し、朔之助も険しい表情で振り返る。
「あんた何しに来たんだ?」
眉間にしわを寄せる鷲都に、彼女は問いを重ねた。予測を思い出すと怒りが沸き上がる。
「どんな理由があれ、一般人に被害があるなら絶対許さねぇけどな」
朔之助を見返し、鷲都が無造作に応じた。
「俺の邪魔なら潰す。理由はいらない」
退路を断つ位置を取った朱音の隣に立ったゼノビアが、いつも手にはめている黒ヤギ人形のヴェロをぴょこぴょこと動かす。
「オレっちたちは襲撃の理由を聞いてるんだぜぃ。どういうことでい鷲都の旦那」
べらんめぇ口調のゼノビアと彼女が動かすヴェロを交互に眺めて、鷲都が不審げに眉を寄せた。ぼこりとその肩で青い寄生体が蠢き、両腕まで覆ってシャツが裂ける。
答える意志がないと見てとり、優太朗が少し申し訳なさそうに宣戦布告をした。
「すいません、貴方にどんな事情があるか分かりませんが……このままあなたの好きにさせると困る方々が居るので、食い止めさせてもらいます」
「折角の特設クラブだ。存分に踊ってもらおうか!」
周辺から音を遮断した朱音が、白鋼棍光刃十字槍を携えて地を蹴った。
素早く退いた鷲都の右腕が大鎌のように変形し、一閃すると黒い波動が放たれる。
「やらせねえぜ!」
朔之助と彼女の相棒、ド根性がタイヤを鳴らして朱音と優太朗の前に滑りこみ、ゼノビアの傍らに顕現し前へ出たヴェロニカも波動を受けて揺れた。朔之助が霊力の光で自身を癒し、ド根性がエンジンを噴かす。
「俺が来ると何故知っていた。マナに頼まれたのか?」
答える代わりに礼服の鮮やかな紅い裾を翻して踏み込んだトランドが、白銀の薔薇が描かれた黒いバベルブレイカーを振り抜く。鈍い駆動音と共に撃ち出されたのは漆黒の十字架。回転するそれが鷲都の肉体を引き裂いて深く抉った。
ゼノビアから飛んだ光の輪が朔之助を癒して加護を与え、ヴェロニカが素早く距離を詰めて鷲都に霊撃を加えた。
「……マナーもクソもねぇ奴は門前払いってこった」
サイラスの意を受けた帯が迸り、鷲都を引き裂いて戻るとじわりと狙いを修正する。その傍らを抜けた朱音が、白銀の氣を纏う十字槍で螺旋を描いて突きかかった。神気の凝った穂先が鷲都の胸をとらえ、血の糸を引く。
「何故今回のような行動を……? もしかして、淫魔に限らず賑やかな場所を恐怖で埋め尽くす事が貴方にとっての「悪」ですか? それとも、ほかに理由が?」
「答える理由はない!」
優太朗から放たれたダイダロスベルトに引き裂かれながら、鷲都がきっぱりと拒絶する。
「構いません。答える理由も、答えさせる権利もある訳じゃないですから」
優太朗の言葉も終わらぬうちに、槍を構えたレイッツァが軽い足取りでサイドから突きかかった。楽しげな表情とは裏腹に、彼我の立ち位置を冷静に見定めて素早く戻る。
仲間の傷を癒したいけれど、届く回復の術を持ち合わせないさくらは唇を噛んだ。出来ることをするしかない。怒りをこめたオーラを狙い澄まして撃ち放つ。
寄生体から刃を生み出して斬りかかる鷲都を紙一重でかわし、朱音が拳を握りこんだ。
「DMWセイバーの怖さは良く知ってるんでね……早々食らうつもりはない!」
●防がれた暴虐
庇い手として動く朔之助が鷲都によって度重なるダメージを負ったが、麻痺やトラウマを積み上げられた鷲都の動きはみるみる鈍くなっていった。
足をもつれさせながらも跳び退く鷲都の周囲に、虚空から喚び出された無数の怨念の刃が姿を現す。それが後衛めがけて放たれるとヴェロニカがさくらの前に、朔之助がレイッツァの前に飛び込んだ。
「……っ!」
彼らばかりでなく、カバーが間に合わなかったサイラスの身体が引き裂かれる。
「仲間を傷つける事は許しません事よ!」
仲間が傷つくのは耐え難い。さくらがすぐさま彼をオーラで包んで癒した。
「ほらほら、オレっちの方を向いたらどうでい!」
ゼノビアの手元でヴェロがぴょこりと動くなり、ビームが鷲都を直撃した。苛立たしげに唸る背中にヴェロニカの霊障波が続けて着弾。
「お前さんの目的は知らないが……歌が聞きたいなら聞いて行け!」
朱音が歌い始めた。鋭いけれど柔らかく、訴えかけるようにボルテージをあげる。路地で跳ね返る残響とともに、こめた想いと歌声が激しく鷲都を揺さぶった。苛立ったような表情を見る限り、ただ歌が聞きたいわけではないらしい。
「折角の楽しい時期と、楽しんでる人を興ざめさせるような事はやめてよね」
頭を押さえてふらつく鷲都の脇腹に、子供のように唇を尖らせてレイッツァが螺旋を描く刺突を捩じこんだ。衝撃をうけてびきびきと這うように進む氷の浸食。
「貴様ら、俺に恨みでも……!」
麻痺する足を引きずる鷲都の寄生体が刃を形成したが、その刃を向ける先、ゼノビアを探して一瞬彼の動きに迷いが出た。
「いくぜ、トランド先輩!」
躍りかかる朔之助が縛霊手で鷲都を打ち据える。軋みをあげて動きを阻害する霊力に抗えない鷲都に、ド根性が突撃をかけて跳ね飛ばした。
朔之助に頷くトランドの傍らに、彼の腰ほどもある大型犬の影が浮かびあがる。それはトランドの指すままに飛び出すと、鷲都に食らいついて膨れあがり呑みこんだ。トラウマに打ちのめされ、鷲都を蝕む氷が弾けて割れる。
「ぐあ!」
「テメェには何の恨みもねぇさ。殺っときゃ都合がいいってだけだ」
たたらを踏んだ鷲都へ、駆動音をあげるサイラスのバベルブレイカーが杭を打ち込んだ。びきん、と音をたてて深く氷が浸食し、なんとか鷲都が踏みとどまった時。
音もなく背後をとった優太朗の片腕が寄生体に覆われて青く変じると、生成された刃が鷲都の背から胸をひと息に貫いた。
「は……呆気、ねえ、な」
自らを嘲るような吐息をもらして。
鷲都の体は自壊して青い液体となり、路地にばしゃっと叩きつけられた。アスファルトを蝕む力もなくしゅうしゅうと音をたてて泡立ち、見る間に消えていく。
「つっかれたー!」
血にまみれた朔之助がどっとビルの壁に身を預けた。急いでゼノビアとさくらが仲間の治療にとりかかる。
「これで安心ですわね」
治療を終えたさくらが眼鏡を外して汚れを拭き始めた。眼鏡がないと印象が変わって可愛いことに気がついた仲間が思わずしげしげと彼女を眺める。
「さて、マナ君のライブでも観て行きましょうか」
礼服の埃を払ったトランドの言葉に、異を唱えるものはいなかった。
●星の河の下
曲の邪魔をしないようトランドがそっと会場の扉を開くと、ライブも終盤のようだった。アイドルソングは好きではないけれど、後学の為に朱音も仲間に付き合って続く。
「マナちゃ~ん、こっち向いて~♪」
サイリウムを振って熱のこもった応援をするさくらに思わず朔之助がツッコんだ。
「めっちゃ楽しそうじゃん!」
「あら……」
さくらが赤面する前で、青いスカートの裾からペチコートのフリルを覗かせながらマナがくるりとターンした。ステージいっぱい駆使して踊り、歌う。朱音の予想した通りの典型的なアイドルソングだったが、ファンたちはマナの歌を満喫していた。
「とても愛らしいですが……バベルの鎖とは皮肉なものですね。今はまだ戦うに及ばない状況ですが、今後矛を交える日も来るのでしょうか」
ふとトランドが呟いた。彼女がいつか一般人に害を為すならば、ありうるだろうけれど。
ライブが終わり、一行が顔をだすとあっさり楽屋まで通された。
「武蔵坂のお兄さんとお姉さんたちー! 来てくれてありがとうございますですー!」
まだ頬を上気させてへっこんと90度のお辞儀をするマナを、朔之助が笑顔で労った。
「お疲れさま、すごかったじゃん!」
「……それなりに上手くやれてるみてぇだな。お疲れ」
サイラスがドリンクの差し入れを渡すと、マナは嬉しそうにはにかんだ。
「まだラブリンスター様のようにはいきませんけどー、お客さんが来てくれるだけでマナ、嬉しいですー」
おずおずとゼノビアは、気になっていたことを聞いてみた。
「最近何か気になる……変わったこととかなかったさん……?」
「いいえー、特にはー?」
「じゃあ……ライブさん襲撃された……お友達さんとかいかなったさん……?」
「いいえー。マナが聞いてないだけかもしれませんけどー」
不安そうにマナが答える。ライブの襲撃はかなりの数にのぼるが知らないのだろうか、ゼノビアはうー、と唸った。
「無事ライブ終わって良かったよね!」
「お疲れさまでした。また頑張って下さい」
「ありがとうございますー。その、またいらして下さいねー」
レイッツァと優太朗の言葉にマナがもじもじとスカートの裾を握る。その両手をとったさくらがぶんぶんと派手な握手をして、一行は彼女に別れを告げた。
「あっ、あったよ、笹。飾っちゃおー♪」
レイッツァの言葉どおり、アーケードの方へ歩くとすぐに七夕の笹が見えてきた。一行もペンの置かれたテーブルで、それぞれの願い事を書きつける。
「願い事か……こんなのもアリかね?」
『コミュ力のセンス向上祈願』と記した朱音が短冊を結わえている間に、『二人のママが幸せでありますように』と低いテーブルでゼノビアが短冊に認める。
『毎日つまらなくなけりゃいい』書いたサイラスが笹に結わえて、ふと首を傾げた。
(「……適当過ぎたが、まぁいいか」)
その隣にレイッツァが鼻歌交じりにやってくる。『今年も美味しいものが食べられますように!』という願いは一見軽そうだけれど、飢餓の苦しみを知ればこそ。
『あの人と夏祭りに行けますように!』と書いたはいいものの、さくらが固まる。
「うっ、恥ずかしい……」
その後ろでこっそり朔之助が、短冊に『幼馴染が幸せになりますように』と書いて隠す。願い事は自分の力で叶えるものだと思ってるけれど、七夕ぐらいは願ってみてもいいだろう。誰にも見られないように急いでつける。
待っていたトランドと優太朗に合流し、一行は商店街を歩きだした。レイッツァがお腹を撫でてぼやく。
「何だか働いた後だしお腹空いてきちゃったなぁ」
「あっちの店で肉巻きおにぎり売ってたぞ!」
「ほんと? 食べてこうよ!」
朔之助の助け船にとびついたレイッツァの声が弾んで、仲間が同意の声をあげる。
かくてマナの生ライブは、灼滅者たちによって守られたのだった。
空を仰げば雲が切れて、わずかにのぞく天の川。
想いを交わす二人が両岸に立つ天のほとりまで、短冊に想いを込めた人々の願いが届きますように。
作者:六堂ぱるな |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年7月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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