市場独占! 迫る銀の槍

     夏といえば何を置いても海水浴だ。
     今年もたくさんの海水浴客が海を訪れ、この夏を満喫している。
     しかし、海の楽しみ方はなにも泳ぐだけではない。
     この埠頭には何人もの釣り人が腰を下ろし、静かな海に釣り糸を垂らしている。
     と、一人の釣り人にあたりが来たようだ。糸が激しく引かれている。
     周りの人びとが注目する中、その釣り人は必死に竿を引く。
     海面の影の大きさを見ると、どうやら相当の大物のようだ。
     周りの人も一緒になって必死に格闘するが、なかなか釣り上げられない。
     奮闘の末、ようやく大物が水面から飛び出した。
     大物の正体は巨大な魚――ではない! 
     地面に両足で着地したその怪物は、細かい牙が並んだ口にぎらりと酷薄な笑みを形作った。
    「オレの名は大分産ハモのご当地怪人シルバーパイク! この旬の時期にハモ以外の魚を釣ろうとは許せんな!」
     シルバーパイクが手をかざすと、周囲から大量のハモが集まってきた。
     悲鳴を上げる間もなく、視界がふさがっていく――。
    「ハモといえば京都の祇園祭で有名ですね。というわけで八千草・保(月濡桔梗及びゆーの嫁・d26173)さんからの報告で明らかになった今回の事件は、大分産ハモのご当地怪人シルバーパイクが引き起こすものです」
     教室に集まった一行に、エクスブレイン西園寺・アベル(さいおんじ・-)は、きれいに骨切りされたハモのスープを振る舞いながら説明を始めた。
    「シルバーパイクは出現と同時に大量のハモを呼び出し、埠頭じゅうをハモまみれにしてしまうようです。ゆくゆくはあらゆる漁場をハモだらけにするのが目的だとか……。それこそ足の踏み場もない状態になってしまいますし、足場が滑って不安定になってしまうので立ち回りには十分注意して下さい」
     戦う時も注意が必要だが、埠頭にいいるであろう釣り人の避難を行う際にも十分気をつけなくてはならない。
    「大分産ハモのご当地怪人・シルバーパイクは、ひょろ長いハモの胴体に手足の生えた怪人です。主な武器はその手に持った三叉槍と、出現時に呼び出す大量のハモのふたつですね。細い体を活かして狭い隙間に隠れつつのヒットアンドアウェイ攻撃が得意なようです」
     三叉槍は灼滅者の妖の槍と同様の能力に加え、海水を巻き上げて敵に叩きつける単体狙いの遠距離攻撃「シルバースプラッシュ」の能力を持っている。
    「この攻撃は相手を大きくふっとばす効果があるので、そのまま海に落ちてしまわないように気をつけて下さい。今回はただでさえ足元が不安定ですからね」
     もう一つの大量のハモは直接ダメージを与えるものではないが、敵の手足に絡みついてその行動を阻害してくる。
     手に絡みついてきた場合は【武器封じ】、足に絡みついた場合は【捕縛】のバッドステータスを受けてしまう。
    「他にも、シルバーパイクは奥の手を持っているようですね。瀕死状態になると細長い体をまっすぐ槍状に硬化させ、強烈な突進攻撃を仕掛けてきます。動きは直線的になりますが、最後まで気を抜かないで下さい!」
    「好きなものは大量に食べたいと思ったりもしますが、さすがに埠頭いっぱいというのはやり過ぎです。他の海の幸が失われてしまうのを避けるためにも、海の平和を守って下さい!」


    参加者
    狐雅原・あきら(アポリアの贖罪者・d00502)
    米田・空子(ご当地メイド・d02362)
    雨霧・直人(はらぺこダンピール・d11574)
    杉凪・宥氣(天劍白華絶刀・d13015)
    空本・朔羅(うぃず師匠・d17395)
    八千草・保(蒼天輝緑及びゆーの嫁・d26173)
    小堀・和茶(ハミングバード・d27017)
    クレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295)

    ■リプレイ

     目的の埠頭が近づくにつれ、潮の香りが強くなってきた。
     遠くから聞こえる波の音が、耳に心地よい。
    「うーん……夏って感じデスネー。このまま泳ぎに行きたい気分デスヨ」
     おかしな口調でそんなのんきなことを言っているのは狐雅原・あきら(アポリアの贖罪者・d00502)。
     赤毛をポニーテールに結い上げた少女だ。
    「皆さん夏バテとか大丈夫ですか? 夏バテ防止には栄養たっぷりのあんぱんがおすすめなのですよー♪ はむはむ」
     この暑さの中、ロングスカートのメイド服姿で汗ひとつかかずに大量のアンパンをぱくついている米田・空子(ご当地メイド・d02362)に、雨霧・直人(はらぺこダンピール・d11574)は呆れ顔だ。
    「お前、この暑いのによくそんな格好で平気だな。……ところでそのアンパン、よかったらひとつもらえないか? 朝食べてなくてな」
    「いいですよー。ご遠慮なく。あ、みなさんもよろしければどうぞ」
    「しかし、ハモ怪人ねえ……普通に魚屋にでも売ってれば美味しく頂けたのに、もったいない……あ、いっその事倒したあとに美味しく頂くという選択肢も……」
     なんだかとんでもないことを言い始めた黒髪の少年、杉凪・宥氣(天劍白華絶刀・d13015)に、元気印の空本・朔羅(うぃず師匠・d17395)が同意する。
    「鱧といえば、湯引きに天ぷらっすよね! 鍋にしたり餃子にしても美味しいっすよね! うえっへっへっへ、今からヨダレが止まらないっすよ……」
    「朔羅ちゃん、それ年頃の女の子がしたらあかん表情やから……でもまあ、無理もあらへんかな。淡白なようでいて、この時期のは旨味も甘みも最高やからなあ」
     柔らかい口調で言う八千草・保(蒼天輝緑及びゆーの嫁・d26173)。
    「うーん、それにはわたしも同意だけどぉ……今回は埠頭いっぱい出てくるんでしょ? ううっ、想像しただけでぞわぞわしてきたぁ……」
     小柄な体を震わせている小堀・和茶(ハミングバード・d27017)の頭に、クレンド・シュヴァリエ(サクリファイスシールド・d32295)の大きな手のひらがぽんと置かれた。
    「だーいじょぶだって! さくっと捌いて蒲焼きにしてやるよ」
     この8名が、今回の事件を解決すべく集まった灼滅者だ。
     8名はやがて、今回の事件の舞台となる埠頭に辿り着いた。
     埠頭には十数人の釣り人が、静かに釣り糸を垂れている。
     ここまでは普通の光景だが……。
    「こんにちわー。釣れますかー?」
     腰をかがめて釣り人の一人に声をかけた空子の視界を、怪しげな影がかすめる。
     たくさんの釣り糸がたらされた水面、そこに明らかに普通の魚ではありえない巨大な影が泳いでいるのだ。
     釣り人たちが声を上げるその前に、その影は水面から水柱を立てて飛び出してきた!
    「ケケケーッ! お前ら、釣り人なら釣る魚は選んでほしいものだな!」
     びちゃっと音を立ててコンクリートの上に着地したその怪人は、ぬらぬらと濡れ光る銀色の鱗で全身を覆ったハモの姿をしている。
     細かい牙が並んだ口元を笑みの形に歪める怪人。
    「俺の名は大分産ハモのご当地怪人・シルバーパイク! そおら、魚を釣る手間を省いてやろう!」
     シルバーパイクが両手をかざすと、空から何かが大量に降ってきた。
     コンクリートの上を見る見る埋め尽くしていくのは、大量のハモだ。
    「ぎゃー! 魚くさーい!」
    「ふははは! まずはこの埠頭から始めて、すべての漁場をハモだらけにしてやるぞ!」
     思わず悲鳴を上げるあきらに、高笑いを返すシルバーパイク。
    「うおお……確かにハモはうまいけど、ここまで大量に出てくるとさすがに気持ち悪いな……」
     足元にうごめく大量のハモに、たまらずうめき声を上げる直人。
     しかし、嫌がっている場合ではない。
    「さ、僕らは一般人を避難させなきゃ。八千草くん、行くよ!」
    「足止め班のみんな、ハモは噛み付くと痛いから、気をつけるんよ?」
     そう言い残して、宥氣と保は釣り人たちの避難へ、残りのメンバーは怪人の引きつけに回る。
    「来い、秋刀魚男! 秋刀魚は凄く美味しいが....それでも貴様を滅する!」
    「なん……だと……!? 最近の若者はハモと秋刀魚の区別もつかんのか嘆かわしい!!」
     クレンドの挑発にあっさり乗せられたシルバーパイクは、手にした三叉槍で怒りの螺穿槍!
     対するクレンドは斜めに構えたWOKシールド「不死贄」で一撃をいなし、さらにそのまま体当たりをする勢いでシールドバッシュを仕掛ける。
     大きく弾かれたシルバーパイクに追撃を仕掛けようとするクレンドだが、シルバーパイクは長い体を蛇のようにくねらせ、そばに積んであったコンテナの影に素早く隠れてしまった。
    「くそ! つかみ所のないうなぎ怪人め!」
    「だーからうなぎじゃなくてハモだと言っとろーが!」
     怒声とともに飛んできたのは、三叉槍の先端に集められた海水だ。
     圧縮された海水が撃ちだされる!
    「水遊びなら、もっと安全なやり方があるでしょう!」
     そこへ素早く空子が割って入り、水流をガード。
     合わせてその背中に隠れていた朔羅が飛び出し、コンテナの影に隠れたシルバーパイクに迫る!
    「いくっすよ、師匠! やあああっ!」
     掛け声とともに妖の槍を振り回し、シルバーパイクに打ち掛かる朔羅。
     シルバーパイクも負けじと、三叉槍で応戦する。
     しかし、はじめは互角と見えた攻防は、次第に朔羅が押され始めた。
     見れば、手にした妖の槍には無数のハモが絡みついている!
    「うわわ、大漁大漁……って、槍が重ーい!」
    「そのままではまともに戦えまい! はあっ!」
     動きが鈍った朔羅の隙を突き、シルバーパイクは三叉槍を横薙ぎになぎ払う。
    「きゃあっ!」
    「危ない!」
     ふっとばされた朔羅を直人が辛うじて受け止めるが、シルバーパイクはすでに次の行動に移っていた。
     コンテナの上に飛び移り、シルバースプラッシュの連射で一行を狙い撃ちにするつもりのようだ。
     上の方から降り注ぐ水流を必死にガードする一行だが、足元の大量のハモのせいで踏ん張りが効かない。
    「うううーっ、このままじゃ防戦一方だよ!」
    「ディフェンダーのメンバーで攻撃を引き付ける! 和茶さん、防御を固めてくれ!」
    「あいあいさーっ!」
     クレンドの声に応じて、和茶がラビリンスアーマーで仲間のガードを固める。
    「ふん、それならまずは盾役のお前らから先に……うおっ!?」
     三叉槍からシルバースプラッシュを放とうとした矢先、直人の足元から伸びた影が槍に巻きつき、強引に攻撃の方向をずらした。
    「さあ、一本釣りと行こうか!」
     そのまま直人はさらに数本影を伸ばしてシルバーパイクの両足を拘束、コンテナの上から引きずり下ろす!
     空中で器用に身をくねらせて体勢を整えようとするシルバーパイクだが、着地を待たずにあきらの放った炎の弾丸が襲いかかる!
    「さぁ、満足させてくださいヨ?」
     シルバーパイクは全身を炎に巻かれたまま、ハモだらけの地面に墜落。
     チャンスとばかりにデッドブラスターを撃ち込むあきらだが、はっとした表情になる。
     着弾の煙の中、敵らしき影が消えている!
     それに気づいた瞬間、地面を埋め尽くすハモの群れの中から突き出した三叉槍の先端から強烈な水流が吹き出した。
    「うわあっ!?」
     墜落したシルバーパイクは、ハモの群れの中に身を潜めていたのだ。
     不意を打たれ、直撃を受けてしまうあきら。
     しかも地面のハモに足を取られ、海の方に向かってふっとばされてしまった。
    「ふふふ、海水浴なら水着じゃないとあかんよ?」
     しかし間一髪、避難を終えて戻ってきた保がぎりぎりのところであきらを抱きとめた。
    「白玉ちゃん、回復を!」
     身を起こしたあきらのところにナノナノ・白玉ちゃんが飛んでいき、回復を行う。
    「ああ、良かった。まだ僕らの出番はあるみたいだね」
     軽口を叩きつつ、一緒に戻ってきた宥氣が静かに深呼吸をし、戦闘態勢を整えた。
    「ふん、ひとりふたり増えたからといってオレはたやすくは倒せんぞ!」
     シルバーパイクが振りかざした手にしたがって、足元のハモがざわざわとうごめく。
     かと思うと、ハモたちはいっせいに雪崩を打って襲いかかってきた!
    「これだけ活きが良かったらええ食材になるのに、もったいない……」
     言いつつ、仲間たちを拘束しようとするハモの群れをラビリンスアーマーで弾き飛ばす保。
    「師匠、皆を守るっす!」
     朔羅の指示で、ナノナノ・師匠が群がるハモを必死に跳ね飛ばす。
    「活きが良いお魚は、ちゃーんと冷凍保存してあげないとね!」
     身軽にコンテナの上に飛び乗ってハモの群れから逃れた和茶が、下にいるシルバーパイクに向かって冷気の渦を放った。
     シルバーパイクはシルバースプラッシュでの迎撃を試みるが、身をかがめて間合いを詰めた宥氣の螺旋槍が三叉槍を弾く!
     バキバキと音を立ててシルバーパイクの両足が凍りつくのとほぼ同時に、直人が両足にハモを絡みつかせながらもバベルブレイカーを構えて突進!
    「これで動きにくいのはお互い様だな!」
     ズドン、という腹に響く轟音とともにドグマインパクトが炸裂!
     足元を凍らされたシルバーパイクは避けることもできず、必殺の一撃をまともに食らう。
    「がはあああっ!!」
     大きくふっとばされたシルバーパイクが地面にたたきつけられるのを待たず、和茶が除霊結界で追撃をかける。
     空中で更に攻撃を受けたシルバーパイクは受け身も取れずに地面に激突。
    「このまま叩き潰してや……」
     止めとばかりに攻撃を仕掛けようとしたクレンドの動きががくんと止まった。
     シルバーパイクが操るハモが、両足にガッチリと絡みついている!
    「ぐぐぐ……ははは、まだだ! まだやられはせんぞ!」
     ふらつきながらも立ち上がったシルバーパイクは三叉槍を投げ捨てると、くねらせていた長大な体を硬化させ、一本の長槍と化した。
    「いよいよ本気のようやね……! おいで、清らかな風……ハモさんらはおとなしゅうな」
     間一髪、保が清めの風で拘束された仲間を開放したと同時に、その頭上を閃光と化したシルバーパイクが通り抜ける。
    「あんなの直撃したらひとたまりも……うわっ来たあっ!」
     辛うじてブリッジで回避するあきらだが、次の攻撃はすぐに来る。
     次の攻撃が狙っているのは空子だ。
     とっさにシールドで受けるものの、そのすさまじい突進の勢いを殺しきれず、一気に後ずさりさせられる。
    「うわわわ……っ!」
    「そらどうした、もう後がない……ぐわあっ!」
     空子を一気に追い詰めようとしたシルバーパイクに、横合いから氷の弾丸が降り注ぐ。
    「さっきはよくもやってくれましたネ! お返しデスヨ!」
     あきらの妖冷弾の連射で、シルバーパイクは体をくの字に曲げて引き剥がされる。
     しかしシルバーパイクは素早く体勢を整え、再び猛然と向かってきた。
    「足元を拘束されてはロクに避けることもできまい! 串刺しにしてやる!」
    「串刺しにされて蒲焼きになるのはそっちのほうっす!」
     シルバーパイクの突進攻撃を、朔羅が真正面から受け止める!
     その後ろに素早くクレンドがついて、なんとか二人がかりでシルバーパイクを押しとどめた。
    「貴様の矛と俺の盾、どちらか上か.……勝負っ!」
    「ぐはあっ!」
     ぬらつく地面を何とか踏みしめ、クレンドが上からシールドを叩きつける。
     起き上がろうとするシルバーパイクに、さらに朔羅が除霊結界で動きを封じる。
    「ハモは丁寧に骨切りしてないと、もしゃもしゃするっすよね! ってわけで、やっちゃってくださいっす!」
     そう朔羅が叫ぶのとほぼ同時に、妖の槍を振りかざした直人が直上から落ちてきた。
    「させるものかあ!」
     シルバーパイクはついに二人がかりの押さえ込みを振りほどき、真上に向かって突進!
     ふた振りの槍の穂先が真正面からぶつかり合う!
     火花を散らして噛み合った穂先、先に弾き飛ばされたのは直人の方だ。
    「まだまだっ!」
     しかし直人はダブルジャンプで体制を整え、再度突進!
    「バカめ、何度やっても同じことだ!」
     シルバーパイクも同じく、真正面から突進をかける。
     再び穂先がぶつかり合うかと思えた瞬間、直人は強引に身をひねった。
     胸元をかすめたシルバーパイクを、上から叩き伏せる!
    「宥氣ぃっ!」
     その声に真下で待ち構えていた宥氣は、深く腰を落として身構える。
     丹田に氣を充実させ、必殺の連撃!
    「椿・急の型! 白雨・濫觴打! りゃああああっ!!」
     上から打ち落とされた無防備な姿勢のシルバーパイクの全身に、渾身の乱打が炸裂する!
    「がああああーっ! お、おのれぇぇぇ……っ!
     止めの正拳突きを頭に食らったシルバーパイクは、空中高く叩き上げられる。
     そのまま地面に降りることなく空中で爆発、辺り中に水しぶきを撒き散らして消滅した。
    「ふぅー……っ」
     拳を構えて残心を取る宥氣。
     その足元にうごめいていたハモの群れも、シルバーパイクの消滅とともに姿を消していく。
    「ううむ、やはりハモも一緒に消滅してしまったか……」
     戦闘の疲れよりもハモを持って帰れなかったことに意気消沈している様子の直人に、あきらがからかうように言う。
    「せっかくだから釣りでもしていきマスカ? またなにか大物が釣れるかもしれませんヨ?」
    「もー、あきらさんったら。さすがに二回連続で怪人が出てきたらシャレになりませんよう。ハモはダメになっちゃいましたけど、あんぱんならありますよ? ハモにも負けてませんよ? 牛乳との相性は最強ですよ?」
     ここぞとばかりにあんぱんアピールを仕掛ける空子。
    「お疲れ様っす!怪我は大丈夫っすか?」
    「そっちこそ怪我はないか?」
    「こんなのへっちゃらっす!」
     朔羅の元気な様子に、クレンドも安堵の笑みを浮かべた。
    「毎年、美味しゅういただきますからなぁ。成仏したってな」
     海風に髪をなびかせなら黙祷する保の隣では、和茶が同じように目を閉じている。
    「……だけどまあ、わたしはしばらくはハモはいいかなぁ。なんかもう今日だけで1年分はハモ見た感じー」
     一行の眺める海にはもう怪しい影はない。
     さわやかな潮風が、一行を慰撫するように吹いていた。

    作者:神室樹麟太郎 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年7月30日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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