暗闇の中に光が浴びせられる。そこに立っていたのはフリルのついた可愛らしい衣装を着た少女。
『みんな~っ、今日も私のライブに来てくれてありがとーーー!』
「うおおおおおおおお!」
20人ほどの観客から一斉に歓声と拍手が起こり、耳に響くほど狭い店内に反響する。
『うん、今日もみんな元気だね! それじゃあさっそく、最初の一曲いっちゃうよ~。恋はふわふわシュークリーム☆』
「ハイ! ハイ! オオーーッフー!!」
小さな簡易ステージに立つ少女がマイクを手に歌い始めると、観客は訓練されているように声を合わせてケミカルライトを振る。
少女の歌はそこまで上手くはないが、一生懸命さが伝わり、ダンスも飛び跳ねて元気一杯だった。
「みんなノリノリだね~! みんなの元気が伝わって私も元気元気だよ♪」
少女と観客が一体となったようなライブパフォーマンスが続き、ライブ会場に熱が籠もる。その時だった、真っ黒い服を着た1人の男が入り口から入ってくる。
「お客さん、チケットは……ちょっとチケットがないと中には……ぐぎっ」
男を止めようとしたスタッフが拳の一撃で顔を陥没させ、血を噴出して倒れた。
「う、うわあああああ!」
それを見たもう1人のスタッフが叫んで中へと駆け出す。何事かと観客達が振り向くと、血を流して倒れるスタッフの姿が目に入った。
「おい、誰か倒れてるぞ」
「血、血が流れてる!」
店内を見渡すと少女の姿を見つけ、男はステージに向かって歩き出す。
「邪魔だ」
騒ぐ客達を虫でも蹴散らすように、殴り蹴る。その度に先のスタッフと同じように人が死んでいく。
「ぎゃあああああ! 人殺しぃ!」
「逃げろ、早く! 殺されるぞ!」
「みんな! 危ないから落ち着いて!」
少女が観客を落ち着かせようとするが、パニックになった人々が押し合い逃げようとする。結果、転び踏まれ押しつぶされて怪我人が増えていく。
男はそんな人々など眼中に無いようにステージに向かう。
「どうしてこんな……私のファンを誰か助けて!」
少女は悲痛な声で叫び、マイクを通して声が部屋中に反響した。
「ここ最近、ラブリンスター配下の淫魔が頻繁にライブを行っているらしいね」
能登・誠一郎(高校生エクスブレイン・dn0103)が教室に集まった灼滅者達に事件のあらましを話し始める。
「今までは、バベルの鎖の効果でライブに人が集まらなかったんだけど、仲間になった七不思議使い達の噂を広める力で一般人を集めることに成功したみたいだね」
大した数ではないが、地下アイドル程度の人気はあるようだ。
「ここまでなら別に事件でもないんだけど、そこにダークネスが噂を聞きつけてやって来てしまうんだよ」
ダークネスにとって一般人など障害物でしかなく、邪魔なものは排除してアイドル淫魔へと真っ直ぐに向かっていく。
「目的は分からないけど、このままだと観客の人々に死傷者が出てしまうんだ。だからライブ会場に入る前にダークネスを倒して欲しいんだ」
会場内に入られれば、犠牲者を出さずにおくのは難しいだろう。
「会場となるのは普段はメイドカフェをしている店みたいだね。貸切で小さなライブ会場として使っているみたいだ」
小さな会場で観客は20名ほどで一杯となるような場所だ。
「現れるのはアンブレイカブルだよ。細身で長身の鍛えられた体をした男のようだね」
ボクシングを遣うアンブレイカブルのようだ。
「アンブレイカブルを待ち構える方法の他に、先にライブを解散させてしまうという手もあるよ。その場合淫魔との戦いになっちゃうけど、一般人は避難させることが出来るよ」
だが戦闘中にアンブレイカブルが現われれば、同時に2体を相手取る事になってしまう。
「まあ、そういう方法もあるって事で、どうするかはみんなが好きに決めて欲しい。とにかく一般人に犠牲が出ないよう、よろしくお願いするね」
誠一郎の言葉に頷き、どうするのかと灼滅者達の話し合いが始まった。
参加者 | |
---|---|
加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151) |
犬神・夕(黑百合・d01568) |
狩野・翡翠(翠の一撃・d03021) |
ミルフィ・ラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・d03802) |
五十里・香(魔弾幕の射手・d04239) |
戒道・蔵乃祐(グリーディロアー・d06549) |
安楽・刻(ワースレスファンタジー・d18614) |
津島・陽太(ダイヤの原石・d20788) |
●アイドル
日も落ち始めた頃、ライブ会場となるメイドカフェの中ではイベントの準備をしている。それを確認すると灼滅者達は動き出した。
「近頃は、ラブリン一派の地下ライブが盛んですわね、、まあ、一応は友好相手ですけども、、世話が焼けますわね」
メイド服のミルフィ・ラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・d03802)は肩を竦めながらも、カフェへ向かう一般人を笑顔で案内する。
「ご主人様がたぁ、ライブ開始まで、こちらの方へどうぞ~♪」
「公園ですか、ここで戦うのが良さそうですね」
戒道・蔵乃祐(グリーディロアー・d06549)が小さな公園を見つけ、見渡して人気が無いのを確認すると戦場に使えそうだと仲間に報せる。
「迂回路はあちらです。ご理解とご協力をよろしくお願いします」
工事業者のヘルメットを被った五十里・香(魔弾幕の射手・d04239)は、担いだ看板を置き三角コーンを並べて人々が進む道を誘導する。
「やっと、みんなに歌を聴いて貰えるようになったのにな。今度は、ダークネスの乱入か」
加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)『ライブ会場はこちら』と書かれた看板を設置していく。
「一般人のファンの人達の犠牲を出さないためにも、アンブレイカブルは必ず止めてみせるぞ……しかし、このアンブレイカブル何が目的なんだろうな?」
そんな疑問を抱きながらも、まずは倒す事が先決と準備を進める。
「こっちに居てほしい」
道行く人を魅了した安楽・刻(ワースレスファンタジー・d18614)は、公園周辺から人を引き離す。
「どうやら来たようですね」
周囲を観察していた犬神・夕(黑百合・d01568)の視界に、真っ黒い服を着た男が入る。細身で筋肉質な獣のような雰囲気を持った男だった。
「ライブが軌道に乗ってきてるのですし邪魔はさせません!」
ぐっと拳を握った狩野・翡翠(翠の一撃・d03021)が、力強く踏み出し敵の行く手を阻む。
「何だ貴様らは?」
男が殺気を放つ。吹き飛ばすような見えない圧力が駆け抜ける。だが灼滅者達は微動だにせずに正面を向き合った。
「ほう……」
一般人ならば意識を奪うような殺気に耐えた灼滅者に、男は口の端を吊り上げて嗤う。
「ここでは戦いにくいです、場所を移しましょう」
堂々とそう告げると津島・陽太(ダイヤの原石・d20788)が歩き出す。その先にあるのは人気の無い小さな公園。
男が黙ってその後ろを歩き始めた。
●ボクサー
「俺をここに連れ出して、どうするつもりだ?」
男は公園を確認するように見渡す。
「あなた、アンブレイカブルですよね? このライブ、人間以外お断りらしいんですよ。でも駄目だと言われても止まりませんか」
蔵乃祐が男と向き合い話かけた。
「余興代わりに僕らと勝負しませんか、ライブは逃げたりしませんよ。あなたも勝負からは逃げませんよね?」
「ほう? 俺に対して挑発をするとは、腕に自信があっての事だろうな? ん?」
獲物を見定めるように、目を細めた男が灼滅者を凝視する。
「アンブレイカブルなら、ライブより命を賭けた死闘の方が好みなんじゃないか」
蝶胡蘭は手にした槍を回転させ、ぴたりと切っ先を男へと向けて構えた。
「ははっその通りだ。ライブよりも楽しませてもらえるんだろうな?」
男は腕を上げてボクシングの構えを取る。
「さしあたっては、ラブリンスター勢との対抗組織辺りが有力と言った所でしょうか」
夕の腕が獣ように半獣化していく。
「いずれにしろ、やるべき事はやらないとですね」
獣のように駆け出すと一気に間合いを詰め、腕を振り抜く。刃物のように鋭い爪が男の胸を切り裂いた。
「なかなかのスピードだ」
男が傷跡は浅かった。男が寸前にスウェーで身を引いていたのだ。
「貴方の魂に優しき眠りの旅を……」
兎のように飛び跳ねた翡翠は、腕を巨大化させて殴りつけた。男は腕でガードするが、勢いに負けて吹き飛ばされる。
「次はハードパンチャーか、だが直撃しなければいい」
男が左右にステップを踏みながら接近してくる。
「先に私が相手だ」
割り込んだ香は鞭剣で包むように展開して盾にすると、男はそこに右拳を打ち込む。すると鞭剣の守りが弾けた。続けて男の左拳が香の顔を狙うが、香は体を捻って肩で受け止める。
「ライブ会場に、ダークネスの席はございませんわよ」
追撃しようとする男に、ミルフィが純白の光帯を剣のように飛ばして牽制する。
「行くよ、母さん」
刻とビハインドの黒鉄の処女が男の左右から仕掛ける。棘の一撃を男がステップで躱すところへ、刻の飛び蹴りを食らって男はバランスを崩す。
「ライブの邪魔はさせません!」
そこへ陽太が射出した帯が男の腕を貫いた。
「そこそこはやるようだな。なら次はこちらの攻撃を見せてやる!」
男は素早い動きで陽太に向かって突っ込んでくる。
「止まって、仲間は僕達が守るよ」
そこへ刻が薄暗い障壁を張って立ち塞がる。その障壁に男がジャブを放つ。一発ニ発と連続で打ち込まれる拳に盾が砕けた。そこへ右ストレートが叩き込まれる。避けようと顔を逸らすが顎を掠め、脳を揺らして僅かな間体の自由を奪う。そこへ必殺の左フックがこめかみを狙って迫る。その一撃を黒鉄の処女が代わりに受け止めた。
「防いだか、今のでKOするつもりだったんだがな」
男はステップを刻みながら間合いを計る。
「ならこちらも仕留めるつもりで行かせてもらおう」
疾風のように槍を手にした蝶胡蘭が鋭い突きを放つ。胸を突こうとする一撃を男はスウェーで躱す。蝶胡蘭は更に槍を突くが、男は上半身を振って躱し続け、ダッキングで槍の下を潜るように踏み込む。
「流石はアンブレイカブルだな、躱すと思っていたぞ」
蝶胡蘭は槍を回転させ、石突で男の顔を打ち上げた。
「ぐぁっ」
回転する槍を止めると切っ先を向けて突く。穂先が男の腹を抉る。
「いいコンビネーションだ。だがボクサーの鍛え抜かれたボディを貫くにはまだ足りんな!」
腹筋に力をいれた男は槍を押し返す。そして懐に飛び込むとボディブローを放った。
「なら、これはどうだ?」
横から接近した夕が右の拳を脇腹に叩き込む。その一撃で体を浮かせたところへ拳の連打を浴びせた。男は腕でガードしようとするが、その上から滅多打ちにしていく。
「ぐっ、シッ!」
男はその拳に合わせて拳を打ち込み、反動で後方へと逃れた。
「反撃する間もないラッシュとはな、なら次は俺のラッシュを見せてやるっ」
右へ左へと小刻みに動き、男は夕を惑わすように近づく。
「どれほどのものか、私が見てやる」
その目の前に香が鞭剣を伸ばして行く手を阻むと、男は狙いを変えて香に襲い掛かってきた。顔に迫る拳を剣で受け止める。男は素早く死角へ動きながら拳を浴びせてくる。そのうち一発の拳が顔を捉える。その瞬間、男は動きを変えて一気に接近すると畳み掛けるように拳の連打を放った。香は急所だけは守るように剣を盾にする。拳はガードしていない部分を抉っていく。
「全力で……いきます!」
翡翠は背丈ほどもある白塗りの大刀を担いで跳躍する。落下する力を乗せて炎を纏った刃を振り下ろした。
「くぉっ」
それに気づいた男は咄嗟に拳を当てる。大刀と拳が鬩ぎ合う。だが翡翠が体重を乗せて押し切り男を地に叩き伏せた。
「どんな怪我も僕が癒します」
蔵乃祐が帯を伸ばし、打撲で青くなった香の傷に巻きつけて痛みを抑える。
「ぐぅぅっ」
男は地面を転がって跳ね起きる。
「折角ですわ、わたくし達のパフォーマンスも御覧あれ!」
大きく跳躍したミルフィのシューズが【Gear change Star!】の電子音と共に星屑を纏うように変形する。
「そんな大技が当たるか!」
男が避けようとしたところへ陽太が蹴りを当てる。
「こちらには仲間がいるんです。フォローします!」
陽太は男を押し返す。そこへミルフィの飛び蹴りが炸裂した。胸を蹴られた男は吹き飛んで滑り台にぶつかる。
●KO
「ごほっ、思ったよりもやるようだな」
男は血の混じった唾を吐き捨てて立ち上がると構える。
「次のラウンドだ、ここからは全力でいくぞ!」
男が弾丸のように飛び込んでくるのに合わせ、前に出た刻が正面に構える。
「速い……でも止めてみせる」
刻が槍を振るって氷柱を飛ばす。男はステップで避けると一気に間合いを詰めた。槍を拳で弾き懐に入ってくる。
「シッ!」
右のボディブロー、左フック、右ストレートのコンビネーションが一瞬にして打ち出され、刻の体は地面に倒れた。だが倒れたまま腕から液体を飛ばす。
「まだ動けるか!」
液体が男の服に付着すると、強烈な匂いと共に溶かしていく。それは強酸の液体だった。
「攻撃を受ける準備はしてたから」
起き上がった刻の周辺には小さな光輪がいくつも浮いていた。それが攻撃を弱めさせたのだ。
「はっ、なら全部打ち落としてやる」
男が光輪をジャブで打ち抜いていく。
「そんなに必死になって……なんだお前、アイドル淫魔のファンか何かか?」
蝶胡蘭が尋ねながらもオーラを纏った左拳を打ち込む。
「お前も奴に丸め込まれたくちか?」
続けて夕がブラフで引っ掛けようとしながら、反対側から拳を打ち込んだ。
「ああん? 奴って誰だ? そんなこたぁどうでもいいんだよ! 今はファイトの途中だろうが、集中しろ!」
男はその拳を掻い潜って蝶胡蘭にカウンターの一撃を放つ。
「それは失礼した、ならば戦いに集中しよう」
蝶胡蘭は右腕で受け止め、左の拳を男の脇腹に叩き込んだ。男がよろめいたところへ夕もその顔に拳を打ち込む。
「貴方がここでやろうとしたこと……そのまま返します!」
翡翠が巨大な拳を追い打つように打ち込む。男はスウェーで躱そうとするが間に合わずに殴られ地面を転がった。
「っまだだ、ボクサーってのは殴られるのも日常茶飯事ってもんさ」
鼻が折れ血を流しながらも男は立ち上がる。
「ご自慢の足が止まってますわよ」
跳躍したミルフィが炎と纏った回し蹴りを浴びせる。男はダッキングで躱してアッパーを浴びせようとするが、ミルフィは蹴りの勢いのまま回転して後ろ回し蹴りを男の顔にぶちこんだ。
「ぐぅっおお!」
男は咄嗟に拳でガードしていた。そして着地際のミルフィを狙う。
「気合だけでは勝てない事を教えてやる」
そこへ香が剣を鞭状にして殴ろうとしていた右腕に巻きつけ引き寄せる。軌道の逸れた拳は空を切った。そして香が剣を引くと、腕がずだずだに切り裂かれる。
「つぅっ、これは使い物にならんか……だがな、腕が一本あればボクサーは戦える!」
だらりと右腕を下げたまま、男は左腕だけでファイティングポーズを取り、香にジャブを放つ。香はガードするが角度を変えながら連続で打ち出されるジャブに被弾していく。
「次は僕が相手をします」
交代するように刻が男の攻撃を盾で受け止める。だが速度を上げる男は後ろに回り拳を打つ、それを背中を守るように立つ黒鉄の処女が受けた。ならばと男は全て叩きのめさんと拳を打ち込んで来る。
「あなたがどれだけ攻撃しようとも、僕が仲間の受けたダメージを全て癒してみせます」
蔵乃祐が白き炎で仲間を包み、受けた傷を癒していく。
「動きを止めます!」
駆け出した陽太がスライディングするように蹴りを放つ。足を刈り勢いづいた男は勢いよく倒れる。
「最終ラウンドだ」
蝶胡蘭がハート型のロッドに魔力を込め、全力で振り下ろす。
「うぉっ」
男は地面を転がってその一撃を避ける。ロッドは地面を叩き大きな穴を開けた。
夕が男を蹴り上げ、拳を打ち込むと、そこへミルフィが飛び込む。手にした鞄が巨大な杭へと変形し男の胸を貫く。男は咄嗟に体を捻って致命傷を避ける。
「シッ」
男の拳がミルフィの顎を狙う。だが香がその拳に巨大な杭を撃ち込んだ。
「その腕ではもうボクシングも出来ないな」
香が腕に装着した杭を装填し直す。その視線の先には赤く腫れ上がった男の拳があった。
「はっ、この程度で拳を打てないような奴はなぁ、本物のボクサーじゃないんだよ!」
男は無理やり拳を握り締め香に殴り掛かる。その横から蔵乃祐が体当たりするように盾を叩き込み、続けて刻が氷柱を飛ばし、黒鉄の処女が衝撃波を放って左右からの圧力で男の動きを止めた。
「うぉおお!」
男は気合を放ち、拳を構える。
「これが僕のストレートです!」
陽太が巨大な杭を撃ち出すと、男は反射的に拳を打ち出す。杭は僅かに軌道を逸らして男の耳を吹き飛ばした。
「まだ俺を倒すには足りないな」
「なら、これでどうですか!」
滑り台を踏み台にして更に大きく跳躍した翡翠が、頭上から大刀を振り下ろす。
「シッ!」
男の左肩に刃が食い込む。だが同時に男の拳も翡翠のボディを捉えて吹き飛ばしていた。
「まだ俺はやれるぞ!」
千切れそうな拳を構える男の前に蝶胡蘭が立った。放たれる左と左の拳。倒れたのは男の方だった。燃え尽きたように、男の体は白く崩れ去った。
●ライブ
『みんな~っ、今日は私のライブに来てくれてありがとねー! 愛してるよー!』
「おおおおおおおおお!」
最後の曲が終わり、興奮さめやらぬうちにアイドルが退場していった。満足そうなファン達が帰り支度を始める中、灼滅者は関係者を装って楽屋に向かった。
「あれ? 君達はファンの子かな?」
淫魔が首を傾げて灼滅者達を見る。
「ライブ成功おめでとうございます」
「ライブ成功おめでとう。それと、どうもダークネスに狙われてたみたいだから注意してくれ」
翡翠が花を差し入れし、蝶胡蘭が軽く事件の説明をした。
「そーだったんだー助けてくれてありがとうね!」
淫魔も満面の笑みで返し、感謝の言葉と共に頭を下げた。
「大変な事にならずに良かったですよ」
陽太はライブも見られて満足そうに笑う。
「こほん、ライブの方も、貴女の元気さが伝わり、まあ、悪くはございませんでしたわ、近頃は貴女がたのライブに害を与えようとする輩も多いですし、お気を付けを」
「いっそ初めから学園の生徒を警備に雇ってはどうだ」
差し入れのお菓子を渡したミルフィも忠告し、続けて香がそんな提案をした。
「んー考えておくね!」
何も考えてなさそうな笑顔で淫魔が頷いた。
「以前、貴女のようにトップアイドルを目指す婬魔と会った事があります。なんというか……灼滅者が言えた義理じゃないかもですが、応援してます」
真っ直ぐに夢に進む姿を蔵乃祐は羨ましいと思う。
「ありがとう! これからもライブ活動がんばるね!」
「ライブってすごいね」
抑揚のない声だが、刻は口元を少し緩めて笑みらしきものを作った。そうでしょーそうでしょーと淫魔がライブの良さを語り始める。
「こういうのも偶にはいいですね」
ダークネスが目の前に居るのに、皆楽しそうにお喋りしている。そんな様子を夕は目を細めて眺めた。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年7月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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