ドラゴンヘッズ

    作者:baron

    「もう弟に酷い事しないで……」
    『ああ。いいともさ。御友達を連れてきたら、代わりに解放してあげるよ』
     少女が暗闇の中で、奇妙な格好の女に懇願していた。
     良く見れば弟らしき小さな少年が、女に抱きすくめられ……首から血を流していた。
    「そっそんなことしたら、友達にひどいことするんでしょ? そんなのだめだよう」
    『じゃあ弟は放っておいても良いのかい? まあ、あたしも悪魔じゃないからねえ……もう、終わったから返してあげるよ』
     少女が言い返すと、女は笑って少年をその場に降ろした。
     少年はボーっとした瞳で周囲を見ていたが、女が何事かを囁くと……少女の方に向かって歩いて来る。
    『ほうら返してあげるよ。……その代わりに、こんどはあんたの番だ。血はたっぷりと吸ったし、あんたはお弁当にしたげようかね。』
     女は血に濡れた唇でニタリと笑って、パチンと指を鳴らすと再び少年に何かを囁く。
     そうするとどうだろう、少年は姉である少女に、後ろからしがみついたのである。
    「やっ。やだやだやだ! はなしてっはなしてよ!!」
    『いいともさ。安心おし、全部終わったら二人とも着飾って、お人形にしてあげるからさ。そしたら、町に離してあげるよぅ。精々、あたしの代わりに御仲間を増やしとくれ』
     おかしなことに、少女が暴れても少年はビクともしない。
     それだけではない……いつもうるさいくらいに付きまとい、笑って追いかけてくるあの笑顔がちっとも浮かんでいないのだ。
     まるで女が先ほど言った様に、人形であるかのようだった。
     女が着ている騎士とか銃士のような奇妙な装束が、今だけは、何故か似合っているように思えた。
     それが少女の覚えている、最後の光景である。

    ●少女の悲鳴
    「なあ、何か聞こえなかったか?」
    「直ぐ先は別荘地だし……吸血鬼くさいなあ」
     巡回中の灼滅者が、少女の悲鳴を聞き付けた。
     より正確には、聞こえたような気がする……というのが正しいだろう。
    「間違いかもしれないけど、ひとっぱしり言ってくるわ。その間に他の連中を頼めるか?」
    「了解。敵がいるとしたら、格上の吸血鬼だ。舐めて掛らずに、俺達を呼べよ」
     そうして灼滅者達は探し始める者と、その場に残ってメールや携帯を掛ける者に別れた。
     しばらくして、怪しげな屋敷を見つけたと連絡が入った事で、事件が確定に近づいた。
     なにしろ、この近辺では復活した吸血鬼が、かつての栄華を取り戻そうと悪事を働いているとか、居ないとか……。
     おそらくは、高い確率で敵であろう。

     ……その屋敷は古風な様式の作りにななっており、貪欲そうなに口を広げた竜の頭が紋様に描かれていたそうである。


    参加者
    分福茶・猯(不思議系ぽこにゃん・d13504)
    久我・なゆた(紅の流星・d14249)
    コロナ・トライバル(トイリズム・d15128)
    宮代・庵(中学生神薙使い・d15709)
    ファルブン・ダイス(クロックワークス・d18001)
    タロス・ハンマー(ブログネームは早食い太郎・d24738)
    アンゼリカ・アーベントロート(黄金奔放ガール・d28566)
    櫻井・聖(白狼の聖騎士・d33003)

    ■リプレイ


    「あー、いかんな。家族やら兄弟やらそういう話にゃ弱いんだ。助けに行くか」
    「人の生き血を吸い悪を為す……。典型的な邪悪な吸血鬼ですね!」
     現場を見ていたタロス・ハンマー(ブログネームは早食い太郎・d24738)から話を聞き、宮代・庵(中学生神薙使い・d15709)はヴァンパイアの仕業と断定した。
    「物語の世界ならいざしらず今時、クラシックスタイルな吸血鬼は流行りませんし、ご近所にとって害なのでさっさと灼滅決定ですね!!」
    「拠点にしてる別荘を探し出せば良いと思う。吸血鬼って立派な屋敷とか衣装に気をつける相手が多いよね。見栄っ張りって奴なのかな?」
     今にも走りだそうとする庵に、久我・なゆた(紅の流星・d14249)がアイデアを出す。
     別荘地を中心にしていると判って居るならば、その別荘を探し出すまでだ。
    「巻き込みが心配だし、屋敷外での戦闘は避けて、屋敷の中で追い込むべきかな。みんなに焦らないでって、連絡入れないと」
    「多少なりとも身の上を知っちまったから余計にな。さっさと終わらせようぜ」
     なゆたとタロスは手分けして連絡。次第に合流して行くだろう。

    「探すとしたら古風な様式の屋敷ですか。お手入れはちゃんとされているのか心配ですね」
    「ブレイズゲートだから綺麗な状態なんじゃないかな? でも、退治したら……その後判らないけど」
     ファルブン・ダイス(クロックワークス・d18001)が奇妙な心配をした時、櫻井・聖(白狼の聖騎士・d33003)がフォローにならないフォロー。
     過去の栄華を繰り返すブレイズゲートらしいので、ものぐさな吸血鬼が蘇ってない限りは、豪奢な建物になるだろう。
    「吸血鬼倒したら、大掃除するべきなんでしょうか」
    「その後で使うならかな? 血で一杯だったら使いたくないし」
     ファルブンの疑問に対し聖は端的に答える。
     その顔を見ながら、ファルブンは柔和な笑顔の裏で色々思いついた。
     具体的には、チョイスした『物語』を少しばかり大げさなアレンジを決定する。
     どんな話にしようかと思っていると……。
    「おっ、アレじゃないか!?」
     元気印な声が、思考を中断させた。
     一緒に走って居た仲間が、俄然やる気を出して前に前に出てくる。
    「見えた来たっなかなか立派な屋敷じゃないか、私たちの秘密基地にするのもよさそうかな!」
     アンゼリカ・アーベントロート(黄金奔放ガール・d28566)は、古めかしい様式の別荘を発見。
     先ほど二人が言っていた事を思い出し、遊び場に替えてやろうと豪語する。


     灼滅者達は合流しながら、吸血鬼の後を追って庭先に忍び込むと、紋章やら別荘を確認し始める。
    「それ、とつげっ……もががっ。危ない危ない。すぐにぶっ飛ばしたいけど、たくさん人がいるからな!」
    「思い出してくれたかの? とりあえず、皆を待つついでに、ちと観察してくれようか」
    「ここは我慢の子だよ。人払いしてないし、皆も到着してないからね」
     アンゼリカの突進は脇から出て来た仲間に留められた。
     ほっぺをつまみながら分福茶・猯(不思議系ぽこにゃん・d13504)が、お腹の筋肉をつまみながらコロナ・トライバル(トイリズム・d15128)が現われる。
     二人に留められたアンゼリカは、そこは口を塞ぐとか、目隠しじゃないのかと首を傾げた。
     そこで、楽しくないからと答えるのが、二人のジャスティスである。
    「屋敷の外で戦えば一般人がまた洗脳されるかもしれないからな! もう少し待って倒すか」
    「うんうん。ドラキュラ伯爵の手下になんか負けないぞー」
    「これは派生紋じゃから違うのではないか? 龍の頭の紋章か……これより強い吸血鬼が居るんじゃろうが、復活しとるのかね?」
     アンゼリカに影響受けたコロナがガッツポーズしてると、猯は意地悪そうに唇を曲げた。
     タヌキさんは狸なので、仲間も悪戯の対象である。
    「……竜の紋章ってそういう意味じゃないの?」
    「竜騎士団をイメージしとるのは確かじゃろうが、まだ、イトコ筋が近いかのう。日本の紋と一緒で、家系が1つ離れるごとに派生するもんなんじゃよ」
     有名吸血鬼映画を引き合いに出して首を傾げるコロナに、猯は女吸血鬼の映画を例に出した。
     エルベジットさんちの領地で有名な嵐竜サーカニィ(竜人とも)の紋章に近い感じだが、あれは咆哮を意識した物であり、これは貪欲さを示している。
     たろっと、の亜種で見た気もするが、横文字は嫌いなので良く知らないのであった。
    「イトコ筋? それも吸血鬼なんですよね? よくホラー映画とかだと吸血鬼さんが人狼と十字架が苦手ってことがあるけど本当なのかな……? ちょっと興味が有るよ、うん」
    「どちらかというと、吸血姫ですね。知ってますか? アイアンメイデンの拷問で有名な、何百人もの乙女の血を抜きながら死刑にはならなかった伯爵夫人のお話を……もしかしたらその人は、今でも……」
     話を聞いていた聖の耳元で、ファルブンは後ろから抱きついて『物語』を始めた。
     それは実在の人物でありながら、そんじょそこらの吸血鬼など及びもつかない殺戮者の話だ。
     そして、恐ろしい事に……彼女は永劫に閉じめられる刑を受けただけであり、処刑されて無いのだという。
    「お、脅かさないでよ。うん」
    「ふふっ」
    「(しまった、わしもあんな風に脅かせば良かったのう。知っておったんじゃし)」
     ファルブンが聖の耳元で囁いて脅かすのを見て、自分もやれば良かったなーとか思う、猯なのでした。

     それはそれとして、ここまでくれば、遠慮は不要だ!
    「待て、吸血鬼っ!」
    「吸血鬼ー! お前の悪さもここまでだぞ!」
     そこまでだ!!
     なゆたやアンゼリカ達は、クロスグレイブを十手の様に掲げて二階に上がろうとする吸血鬼に声を掛ける。
     十字架を模した武器が、何本も立ち並ぶ姿は、壮観である。
     お縄を頂戴しろ!


    「そこいく竜の頭の人。じゃなくて吸血鬼、悪いけど攻略させてもらうよ! 少年少女を帰してもらうよっ」
    「子供達を離せ! 貴様達がやったことは全てまるっとお見通しだ!」
    『ふうん……。正義の味方ってやつかい? 今時流行らないと思うんだけどねェ』
     なゆたやコロナの啖呵に、吸血鬼は小馬鹿にしたような薄笑いを浮かべる。
     そして思案をしているような表情を、一瞬だけ浮かべた後……。
    『どうしたもんかねえ。……まあ、連れていても邪魔だし、たべちゃおう。あーあー、あんたらがこなけりゃ、血を吸わなかったかもしれないのにねェ』
     吸血鬼が悩むフリをした後、一気に少女の首元に唇を馳せる。
     そうするとどうだろう、先ほどまで気絶していた少女は、不自然な態勢のまま起きあがった。
     瞳は虚ろで、真っすぐこちらに向かってくる。
    「ぐぬぬ。なんと卑怯な! 所詮は悪逆非道のダークネスと言う事ですかっ! 灼滅して差し上げます!」
    「罪のない人を洗脳して自分の部下として使うなんてちょっと邪悪かなって思うよ、うん。恨みはないけど神の名の下に灼滅させてもらうから、覚悟してね、うん」
     庵と聖は開戦の狼煙をあげ、半包囲すべく散開。
     仲間達も同様に展開していく。
    「夜刀神の末よ! 冥土の土産にわたしの華麗なる神楽の舞を見せてあげましょう! これがカミの力にて邪を薙ぐ神薙使いの力です」
     庵の踊りはダンスダンス、レヴォルシオン。
     ゲームで伝説的なスコアを叩きだした、神霊加味の力だ。
     ただ歩くだけでリズムが拍子を刻み、髪や服に付けた飾りが奏でるカンという音が、神に通じて周囲を言祝いで行く。
    「仔狸は置いてきた……この戦いにはついていけそうにないからの」
    「子狸も野生の生物と比べたら相当なレベルだが、吸血鬼とは差があるからな」
     猯のギャグにタロスが付き合いつつ、子供達を解放する為に異なる十字を切った。
     剣を掲げて縦横に刃で十字を切り、あるいは十字架を取り込んでブン殴る。
     そして二人は仲間達の壁と成って、敵が天に刻んだ罪人の十字架を防ぎ止めた。
    「くっ。同じ十字架じゃと言うのに押し負けるとは。……これがこの地を滑る吸血鬼の力じゃと言うのか。てっきりまだ上の存在が居ると思ったのじゃが……」
    『ふふっ。言い事を教えてあげるさね。あたしは下っ端もいいとこ、上には素晴らしい方々が控えているんだよ』
     猯は二重の意味でガッツポーズを心の中で刻んだ。
     実際に上が蘇って居るかは別にして、おおよその力関係が判ったことが一つ、もう一つは漫画ネタを相手から引き出せた事である。
     どうでも良い話ではあるが、そこに命を掛けるのが赤松式とか教団の良い所である。

    「子供は俺たちが引き受ける。お前達は吸血鬼を倒せ」
    「りょーかいっ。空手で鍛えた技から打ち込まれるサイキック、受けてみろ!」
     タロス達が子供達の洗脳を物理的(気絶させるとも言う)に解いている間に、なゆたは吸血鬼へ躍りかかった。
     壁を蹴って三角飛びからの飛び蹴りを浴びせ、十字架を掲げ直す。
    「灼滅者は、闇の力には屈しないよ! アンゼリカっ!」
    「よしきた断罪ナッコー! 灼・滅・開・始!」
     なゆたが十字架でブン殴ろうと態勢を整えながら、アンゼリカに指示を飛ばした。
     そして巨大な筋肉を召喚しながらアンゼリカの鉄拳が迫る!
     正義の拳をそれ見たか!
    「ふっふっふ、後悔したってもう遅い。この屋敷はボクの別荘として使わせてもらう! その為にも、悪は死すべし!」
    『お前もな!』
     コロナはグハーっっと血を吐くポーズをしながら攻撃し、ツッコミ返しに良い笑顔を浮かべた。
     戦場でのノリ・ツッコミは、赤松式に置いて当然・当たり前・そして常識である!


    「今がチャンスだ。うん。一人目、助けるよ」
     聖は操られた少女へ疾風の如きスピードで襲いかかる。
     だがそれは倒す為ではない、気絶させて後方へ送る為。
     爪をギリギリでひっこめて出来るだけ傷つけない様にすると、掌底気味の一撃を浴びせる。
    「まあまあ、櫻井様の肉球攻撃ですわ。なんと可愛らしい」
    「もー。冗談言ってないで、この子が巻き込まれない位置にお願い」
     ファルブンに気絶させた少女を任せながら、聖は再び正面に向き直る。
     今度は剣の霊異を解き放つ準備をするのだが、少年の方も大丈夫だろうか?
     男の子である分だけ耐久力は高いようで、ディフェンス陣もうまく削れてない様である。
    「あの子もディフェンダーなのかしら? なら長丁場に成りそうですね。私も治療に専念しませんと」
    「そうですね。今回はサーバント使いの方が居られませんし……、特別に私も向かいますっ」
     ファルブンは女の子を後方に運びながら、傷ついた前衛達に声援を送った。
     そして彼女の声と懸念のどちらかが届いたのか、庵は溜息つくと向き直る。
     吸血鬼に攻撃したいのは山々であるが、まずは敵の壁を落して、態勢作りの方が先であろう。
    「これで助けることが可能になったはずです。流石わたし、なかなかの見極めですね!」
    「いやいや、序盤はエンチャント重視の者が多いし、単純に手番の問題じゃないかのう」
     ば、馬鹿な!?
     庵はタヌキさんの突っ込みを受けて、少しだけうろたえた。
     ズリおちそうになった眼鏡を押し上げることで、なんとかセルフコントロール。
     庵と猯は仲良くチャカポコチャカポコと、敵を守る少年を倒しにかかる。
    「二人とも仲良さそうだね。でも、あんまり酷く叩いたらダメだよ? 叩いて良いのはダークネスだけ!」
    「その教団的な表現もどうかと思うがな。……しかし屋敷にしろ格好にしろ、嬢ちゃんの演劇にしちゃあ随分と力が入ってるな?」
     なゆたが苦笑しながら回し蹴りを放ち、一回転すると今度は鉄拳を連打する。
     そして子供が倒れた事を確認して、タロスはコッキッコキと肩を鳴らして吸血鬼を抑えにかかった。
    『はん! どうせ愉しむなら派手が良いのさ! 我慢なんざ吸血鬼のする事じゃないね!』
    「そっか、じゃあお前も派手に倒してやるよ。それで血が足りなくなったら、レバニラでも食うんだな」
     タロスは十六文を遥かに超えるヤクザキックを放ち、そのままの勢いでブン殴る。
     十字架パンチが血の刃を砕きながら吸血鬼を吹っ飛ばしたところに……。
    「よーし、泣くなよー? 強い私達がまるっと解決したからな。人質も解放したし、本気でいっくぞー!」
    「さっきから本気だった気もするけどなー。まっいっか。これでも喰らえ、差し押さえ光線(アンチサイキックレイ)!」
     少年を運んだアンゼリカが戻って来る!
     そして暴れん坊ジェネラルのBGMを掛けながら、コロナと一緒にビームを放った。
    「ねえ、吸血鬼さん。吸血鬼さんは人狼と十字架が苦手って聞いたけど、両方持ってるボクのことはやっぱ苦手なのかな?」
    『んな分けないだろ。何が後ろめたいのさ!?』
     聖は『うん、そうだと思った』とだけ告げて、聖なる刃で血の刃と鍔迫り合いを続ける。
     受け流されてしまったので格闘に切り換え、10cmの密着位置からパンチをお見舞いする。
    「……うーん。吸血鬼というよりは海賊さんですね。お口が悪いし……速さはあっても重さがありません。もはや我々の勝利ですよ」
     ファルブンは言霊に力を乗せて仲間達を励ましながら、相手を分析した。
     回避力はそれなりで致命傷を与え難いが、逆に言えば一撃は軽い。
     このまま戦線を維持すれば勝てる。
     いや、ジャマーの厄介さは壁役が守ってこそだ、子供達を早めに救出したことが功を奏したと言えるだろう。
    「そう、この為に子供達を先に助けたのです。読み通り、わたっ……あ」
    「よーし、ここを避暑地の別荘とする! まずは何かないか探索だー」
    「親玉がおるのか、このレベルしか復活できてないのか、が、気に成るのう」
     庵が勝ち誇ってる間に、コロナがトドメを刺して敵の懐を探り始めた。
     持ち物を一通り奪って、鍵か何かないか確認しつつ、猯たちと一緒に周囲を探索。
    「え……? 何か気味悪いしすぐに帰ろっ。コロナちゃんは本気でここに住む気?」
    「だとしたら、頑張ってお掃除しませんとね」
     なゆたが請求に帰還を呼び掛けると、ファルブンは良いじゃないですかと、よりにも寄って長居の準備をし始める。
     吸血鬼が棲んで居た屋敷なのに?
    「(あれ、なゆたはここ怖いのかー?)」
     その様子を見ていたアンゼリカは、そーっと、なゆたの後ろに忍びより……。
    「……なんというか、巻き込まれない内に帰るか」
    「うん。子供達も心配だしね。二人とも背負える?」
     タロスは胸を叩いて聖の要請を引き受けつつ、悪戯っ子から距離をとる事にした。
     間もなく訪れる絹を割くような悲鳴と、ギャーギャー暴れ回る様子が、今から見える様だ。

    作者:baron 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年7月28日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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