学園祭2015~思い出を刻む夜

    作者:朝比奈万理

     二日間にわたり楽しい思い出を刻んできた学園祭も、終わりを迎えた夜。
     熱気の余韻はまだまだ学園を包み込んでいた。
     さぁ、みんなで楽しく学園祭を打ち上げよう。

     教室には、グラウンドのキャンプファイヤーの火と、花火の色彩鮮やかな光が入り込む。
     特設ステージからは賑やかな音が響き、特設屋台通りからはおいしそうな香りも届いてくる。
    「実に賑やか。打ち上げにふさわしいな」
     窓辺にすわり、グラウンドやステージ、屋台通りの賑わいを眺めるのはうさぎのパペットを連れた小柄の少女。皆の楽しそうな様子ににんまりと笑んで、お菓子をつまむ。
    「学園祭、もう、終わりなんだね……」
     楽しかったなぁ。と、ちょっと寂しそうに窓にもたれた少年の花飾りが揺れた。
    「始まりがあれば終わりもあるものだ。楽しかった思い出を心に刻むには、反芻するのがいいらしい」
     と、人の気配に気がついて二人は、それぞれの笑顔でにっこりと笑んで来訪者を迎え入れ。
    「きみの学園祭の思い出を聞かせてもらいたいな。どうだった?」
     と、静かに尋ねるのだった。


    ■リプレイ


     夜の帳が下り始め、鮮やかだったマジックアワーも落ち着いた色合いになる頃、キャンプファイアーの灯りと花火の微かな色彩が、暗い教室を優しく照らし出す。
     遠くから賑やかな音と、漂ってくる美味しそうな香りも合間って、まだまだこのお祭が続くような期待と、もう終わってしまうと言う切なさが入り混じる。
    「……ちょっと旅立ってくるぞ」
     そう言って教室を後にした千星を見送って、花近は椅子に腰掛けつつ窓枠にもたれて外の喧騒を眺めていた。
    「花近さん」
     聞き覚えのある声に名を呼ばれて振り返った先にいたのは、リンゴ飴を二つ手にした桜。ひとつをどうぞと花近に差し出した。
    「ありがとう♪」
     笑顔で受け取った花近は、楽しかった時間を思い出し、中でもクラブ企画を盛り上げていた桜の奮闘を思い出す。
    「桜ちゃん、とっても頑張ってたよね。お疲れ様♪ で、他は回れた?」
    「わたしは所属しているクラブにほとんど篭ってしまって……あまり回れていないんです。ついついはまってしまって……」
     お恥ずかしながら。と桜は小さく笑んだ。
     去年はクラブの店番もなく、一人で学園祭を巡った。そんな学園祭も今年は違う。
    「今年はみなさんと遊んだり、お誘いに乗っていただけて嬉しかったです……。本当に、ありがとうございましたっ」
     長く尾を引くリボンを揺らしてぺこりと頭を下げた桜の頭が上がるのを待って、
    「俺も、桜ちゃんやみんなのおかげで初めての学園祭、とっても楽しかったよ。こちらこそありがとね」
     花近はふんわり笑んだ。
     桜も、花の色を湛えた瞳をふんわりと細める。
    「よろしかったら、花近さんの学園祭の様子もお聞きしたいです……!」
    「俺はね、ゲームの企画でたくさん遊んだよ」 
     と、打ち上げ花火の鮮やかな色が教室を一層明るく照らし、ふたりは思わず空に咲く大輪のに目を向けた。
    「綺麗で鮮やかなお花、まさに学園祭の思い出みたいです……」
    「鮮やかだからこそ、心にずっと残るんだろうね……」
     桜の言葉に花近は小さく頷いた。
     窓際の席の前後に腰掛けてせりあと暁は、アイスチャイを飲みながらグラウンドで燃えるキャンプファイアーを眺めていた。
    「学園祭もあっと言う間だねー。今年の学園祭は忘れない日になっちゃった。せりあお姉ちゃんと付き合えるようになった大事な日」
     声を弾ませて暁はとても幸せそう。
     なぜなら学園祭で告白して、やっと恋人になれたのだ。
    「でも、私は何故かこう、あまり実感がなくて。これからも一緒にいれば、そういう実感とか出てくるんでしょうか?」
     ……恋人……、なったんですよね?
     学園祭でせりあに起こった、ちょっとしたサプライズ。
     こうしてゆっくりしたら実感も湧いてくるかもしれない。
     少し戸惑うようなせりあに満面の笑みを見せる暁の頬はほんのり色づいて。
    「これからも、せりあお姉ちゃん。宜しくね!」
     空いている手を握れば優しく握り返すぬくもり。
    「……うふ。こちらこそ、よろしくお願いします」
     遠くから聞こえる喧騒を背に。
     飛鳥とえなも飲み物を片手に、空き教室で思い出話にささやかな花を咲かせていた。
     心地のいい疲れにふんわりと眠気に襲われたえな。そんな彼女にそっと寄り添った飛鳥は、いつでも肩を貸せる体制を取る。
    「長々つき合わせてしまったな、すまん。お疲れさまだ」
     えなは寝入ってしまうかしまわないか――。そんなまどろみの途中。
     飛鳥はしばらく遠くを眺めていたが、学園祭の記憶を思い起こせば、そこにいるのは、やはり……。
    「ありがとうな……えな。やっぱり、俺は……君が好きなんだな」
     寝ているであろう彼女が絶対に聴いているはずもない告白を口にし、それでも気恥ずかしくって自分も寝入ってしまおうと目を閉じようとした。
    「はいっ」
     静かな教室に響き渡ったのは、上ずったえなの声。
    (「え、あ、す、すき……? な、なにが「はいっ」ですか、私。もっとちゃんとありがとうございますとか、私もですとか答えなきゃ……!」)
     飛鳥も流石にびっくりして、思わず彼女に目を向ける。
     やがて、飛鳥の肩に寄せられたのは、えなのあつく火照る頬。
    (「こ、これで伝わるかな……?」)
    (「……まさか聞いていたなんてな」)
     飛鳥はそのままえなを抱き寄せて頭にひとつ、小さくくちづけを落とした。
     企画巡りに付き合ってもらったお礼にと、香が奢りで買ったお茶をお互いの手に。
     香と蓮太郎は誰も居ない教室の座席についた。
    「賑やかなところを巡ったのなら、最後は静かでもいいじゃない」
    「静かなのもいいもんっすよね」
    「遠くから花火の音や喧騒が聞こえてくるのを聞くのも、好きよ」
    「俺も、こういうの嫌いじゃないっす」
     他愛ない会話の後、静かな場所だからそこきちんと届く言葉を香は紡ぐ。
    「今日はありがとうね。楽しかった」
    「こちらこそ! 先輩と学園祭回れて、すげぇ楽しかったっす」
     蓮太郎はうわずり気味に声を弾ませた。まさか憧れの先輩と二人きりで学園祭を楽しめたなんて……。
     舞い上がる気持ちと同調するように打ち上げ花火が上がり、次々と咲いては散っていく。
    「グラウンドの花火、見える?」
    「はい、よく見えるっす。キレイっすねえ」
     先輩の方がキレイですよ! ……なんてキザな台詞はちょっとはけないけど。
    「ああいうのってやるのも楽しいけれど、見てるだけでも綺麗」
     花火の豊かな色彩に照らされながら呟く香の横顔が、ふと蓮太郎のほうを向き。
    「……来年もこうやって、学園祭に参加出来たら、いいわね」
     その言葉に蓮太郎はひとつ大きく頷いて見せた。
    (「その時は、きっと今と違う関係で。なんて望むのは、欲張りっすかねえ」)
     約束のようなささやかな期待。そして入り混じるのは淡い期待。
    「お。ここ空いてるな」
     善之と啓太郎は誰も居ない教室に、よく冷えた緑茶とコーラを手にやってきた。
     そして椅子に腰掛けると外を見た。
     丁度、色彩豊かな花火が二人の前でぱっと花を咲かせ、音をひとつ残して散っていく。
     そうやって何個か花火を見送った時、善之の口が動いた。
    「……楽しいことなんて、あっという間なんだよな」
    「善之?」
     そんな言葉に花火に見惚れていた啓太郎が思わず彼を見た。善之は続ける。
    「あんたと学園祭で過ごした時間もこんな風だった。今は静かに終わる時間を過ごしてる」
     それは、さっきまでの時間がとても輝いていたから。それがとても名残惜しい。
    「確かに楽しいことはあっという間に過ぎちゃうけどさ、俺は今この時間もすっごく楽しいよ。だって善之と一緒に過ごせてるんだもんなー」
     と、啓太郎は笑った。
    「はい、善之もこれ飲んで元気出して」
     そして持っていたコーラを善之に差し出した。
     善之はそれを受け取ると、
    「入学した年に誰かとこうやって過ごすなんて思いもしなかった。人の縁は良く分からないもんだな」
     と一口あおった。そんな様子を見て啓太郎は少しだめ目を細める。
    「俺も。こんな風に誰かと学園祭を楽しめるなんて思ってなかった」
     善之は飲みなれないコーラに少しだけ眉をしかめて、それから口を離す。
    「……またいつか、俺と過ごしてくれるか?」
    「ああ、もちろん。いつだってご一緒するよ。……むしろ俺の方からお願い、また一緒に過ごしてくれな」
     お互い考えていることは一緒。それがとても嬉しく幸福だったりするのだ。
     別の空き教室に、たこ焼きを持ってやってきたのはイカルとるる子。
     適当な席で並んで、たこ焼きをつまみながら学園祭を振り返っていく。
    「クラブの出し物でメイド服やらセーラー姿が多かったけど、水着も充分可愛かったと思うよ」
     その言葉にるる子はとってもご満悦。思わずニコニコと笑みがこぼれる。
    「……そういえば、るるってあんまり薄着なイメージがないな」
    「るるは幼児体型だから、薄着になってもあんまり需要がないかなって、ついつい思っちゃうんだよね」
    「そんなことないだろう」
     笑いながら寄りかかってくるイカルの頭を、るる子はわしゃっと撫でる。
     ふと会話が途切れれば、聞こえてくるのは内から外からの賑やかな声。
    「賑やかなのは好きだけど、疲れることは嫌いなんだ……。このまま気兼ねなく過ごせる世界だけが続いていけば良いのに、なんて」
     イカルがポツリ呟いた言葉に、るる子は答える。
    「いつまでも気兼ねなく過ごせる世界なんて、ぬるま湯みたいな世界かもしれないけど、そーまと一緒って意味なら、居心地のよい世界かもしれないね」
     あれ、そういう意味じゃなかったかな? と、るる子は一人呟き、
    「まぁ、先のことを難しく考えないで、今を満喫しないとね」
    「ぬるま湯、か……。大体あってはいるけど、それなら何時かは温め直さないといけないとも思う。こんな風にな」
     とイカルは、悪戯っ子のような笑みを浮かべて抱きしめるフリをしてみせる。
    「意地悪しないでぎゅーしてよー!」
     ぷんぷんと怒るるる子。そんな彼女が愛おしくて、イカルは肩からるる子を抱き寄せた。
    「ここなら花火もよく見えるよな♪」
     別の教室では、たこ焼きややきそばの屋台の定番とお茶をお供に、遊と桃香の二人だけのお疲れ様会が開かれていた。
    「遊さん学園祭、お疲れ様でした!」
    「毎年、学園祭は楽しいけども大忙しだよな。……桃香もお疲れ」
     労いの乾杯を始めれば、鮮やかな花火が打ちあがる。
    「桃香は、学園祭どうだった?」
    「私は当日はあまりたくさんはまわれませんでしたけれど、準備とか忙しかったので、くたくたです~」
     告げると桃香はゆっくりと伸びをして体をほぐす。
    「オレはクラブにちょこっと顔出したり、知り合いのとこに遊びに行った程度。来年は余裕があったら、何処か桃香と一緒に回ってみるのも楽しいかもな」
     楽しい思い出を肴に食べていたら、やはり疲れた体は睡眠を欲するもので。
    「睡魔がヤベェ……。桃香、ちと膝貸して?」
    「ひ、膝枕ですか!? えと、あと……い、いいですけれど……」
     桃香がかちこちになって膝を揃えると、遊は彼女の膝にゆっくりと頭を預けた。
    「大丈夫、三十分したら、起きる。……多分」
     そう言い残し、すうすうと寝息を立て始める遊。
     桃香は緊張してあわあわと挙動不振気味だったが、自分の膝で安心しきって寝ている遊の金色の髪にそっと触れてみた。柔らかな手触りに思わず笑みがこぼれ。
    「……さ、三十分だけじゃなくても、いいんですよ……?」
     クラブの皆とひとしきり花火を楽しんだ仲次郎とまぐろは、誰も居ない教室の一角に座り込んでいた。
    「それにしても、今年もクラブ企画が入賞するなんて、みんなのおかげよね」
     まぐろが部長を勤めるクラブは喫茶部門で3位に入った。
    「そうですねー、本当にみんなのおかげですねー」
     嬉しそうに話すまぐろに穏やかに笑む仲次郎。
    「あーるはどうだった?」
    「今年はまぐろさんとあまり回れなかったことが心残りですねーうふふ、光画部、忙しかったですものねー」
     こうして思い出を語り合う二人だったが、そのうちに賑やかだったまぐろが仲次郎の身体に寄りかかり、すっかりと夢の中へ……。
    「おつかれさまですよー」
     労いと愛情を込めて。
     仲次郎はまぐろの頬にそっと、キスを落とした。
    「学園祭、楽しかったね」
    「でも、おわっちゃった、ね」
     暗い教室でひっそりと座り込んで語らうのは、飛雲と糸子。
    「ひーくんは、たくさん思い出できた?」
    「ん、楽しかった」
    「今年も一緒にいられてうれしかったよ」
    「たくさん、来てくれて。嬉しかった」
    「今年はより一層賑やかで……。あっという間に一年が過ぎちゃったなぁ」
    「ふふ、賑やかだった、ね。今年も、糸子と、回れて。思い出も、たくさん。……ほんと。あっという間、だった」
     ほんのちょっとの沈黙に、学園祭の余韻が押し寄せる。
    「お祭りの後は物悲しい気分になったりするよね」
    「終わるの、は。ちょっと、寂しい。けど」
     と飛雲が言葉を止め顔を上げる。
     静かに語らう二人の目に飛び込んできたのは打ち上げ花火。鮮やかな花がふわっと咲き誇る。
    「あ、花火」
    「――きれいだね」
     暫し二人は咲いては消える花火を楽しんでいたが、糸子の心はきゅっと切なさを感じたいた。
     この花火が終わったら夢のような楽しい時間も終わり……。
    「……来年も楽しく過ごせるといいなぁ」
     糸子が独り言のように小さく零すと飛雲はなお一層、彼女に寄り添う。
     この声が花火の音に埋もれないように。
    「来年も、一緒に。ね」
    「……ん、一緒に……」
     耳元で響いた心地のいい声に糸子も、彼に聞こえるように呟いた。
    「学園祭。モ、終了ナのネ……楽シ、時間。あット言う間だタ、の。否……沢山、想イ出。完成しタ、ネ?」
     机の上にはクラブの企画で二人一緒に作った物を並んでいる。夜深はそれをいとおしそうに眺めていた。
    「ホント、あっという間に時間が過ぎてたな。沢山見て回ったっていうのもあるケド、夜深と一緒だと時間が経つのが早い……」
     芥汰は名残惜しそうに、彼女と過ごした楽しかった時間を思う。
    「作成品……何処、飾りまショ? 並べル? 別々?」 
    「お揃いで作った猫の兄弟とかは並べて、それぞれイメージし合って作った物はお互いの部屋に置いても良いかも」
    「成程。兄弟さン、は。一緒、べキ!」
     芥汰の提案にこくこくと頷く夜深。
    「……えへへ。此の侭ジャ、御家内。想イ出、溢れチャう予感ヨ。幸福、けド…困チャう、ネ?」
     夜深は増えていく思い出に宝物に幸せそうに笑んで芥汰に寄り添う。
    「……ん?思い出いっぱい、確かに困っちゃいそう。夜深がお家にいない間、作った物見て顔が勝手にニヤけそうだし」
    「ぴゃっ!? ち、違ウ、のヨ! にヤけチャう、故……違クて! 置き場所トか、収納場所トか、関係で……!!」
    「って、何を慌ててるの。真面目サンなんだから」
     可愛らしい彼女の言動に芥汰はふんわりと笑んだ。
     思い出一杯に宝物を眺めていたら、心地よい眠気がふんわりと夜深を襲って。
    「二日間。ずット一緒、デ……我。最上、幸福でシた。謝々、あくたん。大好キ、ヨ……」
     愛らしい笑顔を残したまま芥汰の身体にこてんと寄りかかって眠りに落ちる夜深。
     芥汰はその重みに寄り添いながら、小さな背中を優しく叩き。
    「こちらこそ、二日間ずっと一緒で嬉しかった。幸せな時間をありがと。……俺も、夜深の事が大好きよ」
     そのぬくもりと優しい揺らぎは夜深を包み、眠りを妨げるくらいの大きな花火の音にも負けなかった。
     おそろいの夜の色の羽織りは、中に着ている衣装が水着だと言う事を隠してくれる。それにこうして寄り添えば大きな布のよう。
     内から外から響く声が遠くに感じる。近くにあるのは、壁に映りこむ色彩。そして水着姿のお互いのぬくもり。
     清十郎と雪緒の胸は、高鳴りを抑え切れなかった。
    「さっきからずっとドキドキが止まらないよ。俺のドキドキなのか雪緒のドキドキなのか」
    「……近くに居ると、どちらのどきどきか解らない、ですね」
     清十郎は雪緒の身体に腕を回してきつく抱き寄せれば、その背に腕を回した雪緒は、清十郎の胸に頬を寄せた。
    「……学園祭はもう終わってしまうけど、すぐに夏休みだね。今年はどんな夏休みになるのかな?」
    「ですねー、夏休みなのです。……また北海道に遊びに行きますですか?」
     山に、海に、花火に、お祭りに――。
     学園祭の思い出を胸に、二人で新しい思い出を作り重ねる夏は、これから。
     霞とオリガは屋台通りで買った食べ物をたくさん持ち込んで、二人きりの打ち上げを楽しむ。
    「屋台、まだまだいっぱいあったねー」
     お肉大好きな霞の前には牛串に焼き鳥。デザートはりんご飴。
     一方のオリガの前にはたこ焼きにやきそば。デザートはカキ氷だ。
    「オリガちゃんのたこ焼きもおいしそう……。お肉とちょこっと交換こしません?」
    「カスミちゃんのも美味しそうネ。じゃぁ、一口ちょうだいな」
     お互いの牛串とたこ焼きを食べさせあう。
    「ん、お肉美味しい♪」
    「おいしいけど、熱! はふはふです」
     と牛串とたこ焼きを頬張るのだった。
    「お、ずいぶん美味そうではないか」
     二人に話しかけたのは、屋台通りで調達したわたあめを持った千星。
     ……正確には、わたあめを持っていたのはうさぎのパペットなのだが。
    「よかったら一緒に花火みませんか?」
    「そうね。もし良ければ、ご一緒どうかしら?」 
     二人の誘いに千星は、共に花火を堪能する事にした。
    「そういえばこのパペットちゃん、お名前はあるのかな?」
     霞が、千星のうさぎのパペットの頭を撫でると、
    「あ、私もこのコのお名前気になるワア」
     オリガもほっぺたをふにふに。
     千星は困ったように眉尻を下げると、うさぎのパペットを操る。
    「お名前、実はまだないのであります」
    「この子が一番の新入りでな、まだ名を授けていないのだ」
     そろそろ付けてあげたいのだけどな。と千星は困り笑顔。
    「そっか。私は霞だよーよろしくね!」
     と、夜空にぱっと一際大きな花火が上がる。
    「カスミちゃん、チセ! 見て見て、花火よー!」
     大きな音を上げ、散っていく。何発も、何発も――。
    「来年はオリガちゃんと一緒に、色んなお店めぐりできるといいな!」
    「そうね、来年は一緒に回りたいナ♪」
     約束を交わすような二人に、千星はにんまりと笑むのだった。

     学園祭の打ち上げも、もうすぐ終わり。
     星空と討ち上がる花火だけが皆をみていた。

    作者:朝比奈万理 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年8月4日
    難度:簡単
    参加:23人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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