7月19日と20日の2日間に渡って開催され、多数のクラブ企画や水着コンテストなどで、とても盛り上がった学園祭。
始まりには終わりがつきもの。そして今、とうとうその時を迎えてしまった。
けれど、学園祭の夜はこれから。
最後にみんなで楽しく打ち上げをしよう!
「学園祭楽しかったですね~。美味しいものもいっぱい食べれたし」
榛名・真秀(中学生魔法使い・dn0222)が、グルメストリートだった場所を歩きながら橘・創良(高校生エクスブレイン・dn0219)に話しかける。
「真秀さんは食べることに忙しそうだったね」
「えー、そんなことないですよ。他もちゃんと回ってましたよ」
そういう真秀の手には、今もしっかりとクレープが握られていた。
「まあ、真秀さんはともかく……学園祭中はゆっくり食べられなかった人もいるだろうし、打ち上げをこの屋台通りでやるといいと思うんだ」
「あ、それいいですね!」
余ってしまった食べ物や飲み物、食材を持ち寄って、みんなで打ち上げをすれば盛り上がるだろう。
「せっかくだから、持ち寄った食材でメニューをアレンジしたりしても楽しいんじゃないかな」
「たとえばクレープなら、自分の好きなもの全部盛りとかしちゃってもいいんですね!」
真秀はぐっと力強く拳を握りしめている。
また、屋台自体の撤去は明日なので、調理道具なども使うことができる。みんなのアイデアで新しいメニューを作り出すのも楽しいだろう。
「新しいメニューが好評なら、来年の学園祭に出してもいいしね」
さあ、みんなでアイデアいっぱいのアレンジグルメで打ち上げを楽しもう!
●アレンジに潜む罠
屋台通りで打ち上げを始める生徒たちは、それぞれ料理や食材を調達して、オリジナルのメニュー作成に取りかかっている。
「アレンジねえ……よし、せっかくだし勝負だ。どっちがより美味しくつくれるか! 負けた方は今度お昼ご飯オゴリでどーよ」
その様子を横目に、識守・理央(オズ・d04029)は、セシル・レイナード(レッキングガール・d24556)にそんな提案をする。
「おう、いいぜ。だが……旨いものを作れるかって勝負はお断りだね。祭りの焼きそばはジャンキーだけど旨いだろ? だから、楽しんだ方が勝ちってことにしようぜ!」
「なるほど、楽しんだ方が勝ちね。いいじゃん。受けて立つ!」
学園祭の余韻を楽しむように、二人はお祭りらしい食材を使ってアレンジグルメを作り出す。
「僕の才能とアイデア力がおそろしい。くらえ! たこやきをクレープに巻き込んでの悪魔合体!」
理央は粉物軽食同士の相性のいいコンビを手早く完成させる。そしてセシルは楽しそうに、怪しげに思われる何かを混ぜていた。
「焼きそばベースだろー。あとそこらの学生屋台で売ってたよくわからん肉とー。よくわからん野菜とー。よくわからんナニカ」
「待てよ!? いくらなんでもエンジョイしすぎだろ!?」
せめて食材は明らかにして欲しい。よくわからんものが合わさった結果が未知数過ぎて恐ろしい。
「大丈夫、食べ物だから死にゃしねえ!」
「いや、死にゃしないけど、それアレンジっていうかどんだけよくわからないんだよ!?」
そして完成した、よくわからん怪しい何か。セシルはまず自分で食べると確信を持って頷く。
「あっははは! いやこれまずい! 思ってた三倍まずい! リオのは予想通り旨いけど、これは予想以上にまずいな!! ほら、折角のお祭りだ。勢いでお前も食えよ! あーんしてやるぜ、あーん♪」
悲痛な悲鳴を上げつつも、セシルにあーんされ、しっかり完食する理央。その顔はややぐったりとしている。
「ひどいめにあったって顔だな。でも楽しかったろ? ……オレは、楽しかったぜ!」
「あー……そうだね、楽しかったよ」
味はともかく、勝負はセシルの勝ちのようだった。これ以上にないいい笑顔をしている。
これも学園祭最後のいい思い出。理央はセシルにありがと、と呟くのだった。
●運試しと甘いスイーツ
【超常研】の二人はまずはジュースで乾杯!
「学園祭お疲れ様ー!」
霧島・サーニャ(北天のラースタチカ・d14915)が作ったのは、8個のシュークリーム。ただし、その中の1個にマスタードたっぷりの外れがあるロシアンシュー!
学園祭で食べたものはどれも美味しかった。せっかくの後夜祭。普通の物を作るのでは味気ないとスリリングな一品にチャレンジしたのだった。
「おっ、これサーニャが作ったのか? ありがたく頂くぞ!」
学園祭で美味しいものを食べたが、まだもう少しいろいろ食べられるとほくほく顔の七瀬・悠里(トゥマーンクルィーサ・d23155)がサーニャの作ったシュークリームに手を伸ばす。
「さあ、どっちがラッキーか勝負でござる!」
「じゃあ、カスタードが溢れてるこれ! えっ、勝負ってなん……」
大きく口を開けてかぶりついたが、数秒後に真っ赤な顔をして悶絶する悠里。カスタードに見えたものはマスタードらしかった。
悠里の悶絶する姿にリアクション芸の神髄が見えた気がして、サーニャは静かに合掌。
「酷い目に遭った、舌が……」
なんとか復活した悠里に、口直しにとサーニャが大きな屋台の鉄板でパンケーキを焼いてくれた。クリームや蜂蜜、チョコシロップなどのトッピングを用意してどんどん作ってたくさん食べる。
「おっ、パンケーキ! 甘そうだしこっちは喜んでもらうぞ! うん、すげーうめー!」
お返しにと悠里は同じ鉄板でクレープを焼く。こちらにはアイスもプラス。
「サーニャ、お礼にこれ食べてくれ!」
差し出されたクレープをわくわくと口に運ぶサーニャ。
「……甘くて美味しー!」
甘すぎるかな、と心配した悠里だったが、サーニャの反応に大満足。喜んでもらえると作り甲斐があるというもの。
二人は、作った物を半分こしながら、仲良く学園祭の夜を楽しんだ。
●素直になれなくて
「いやー激動の学園祭だったなー。全然出し物とか回れなかったけど……もいかの水着が見れたからOKだ」
アルヴァン・ルティック(青い月を求めて・d21573)は黒島・もいか(豊後水道のマーメイド・d22385)に、笑顔でそう語りかける。
「べ、別に水着はあんたのために着たわけじゃないし!! そりゃ、まあ、そう言ってくれるのは嬉しいけど……」
水着コンテストに参加したもいかの水着は、リボンとフリルがかわいい青色のビキニ。
「胸の流水感といい腰の綺麗なラインといいすらっと伸びた美脚といい。さすがマーメイドだな!」
ぐっと親指を立ててべた褒めのアルヴァン。もいかはというと、マーメイドと言われて顔を真っ赤にして恥ずかしがる。もちろん嬉しい気持ちもあるが、恥ずかしい気持ちと半々だ。
「う、うっさいわよ!!」
「もいか、そんなに照れなくていいんだぜ? ちゃんと受け入れろよ」
そうは言われても、なかなか素直になれないもの。だから、言葉以外で気持ちを表す。
「しょうがないからアレンジグルメ作ってあげるわよ」
「え、マジで! すげー期待して待っちゃうぜ?」
わくわくしながら、もいかが料理する手元を見つめるアルヴァン。もいかは手慣れた様子で、焼きそばに卵、山盛りの千切りキャベツなどの材料を用意して、借りた鉄板で調理を開始。串焼き用の肉やエビ、イカも加えてできたのは――。
「はい、広島風お好み焼きの完成よ!」
「お、美味そう! さすがだな!」
できたてのお好み焼きを口に運び、アルヴァンはしみじみ呟く。
「もいかって本当料理上手だよなぁ。いいお嫁さんになれるぜ。あ、俺んとこ来る?」
「だ、だ、誰があんたのお嫁になるっていうのよ!?」
顔を真っ赤にしたもいかのぐーがアルヴァンにクリーンヒット。
「って何でここでぐーぱんなの!?」
できれば拳ではなく、はにかんだ笑顔辺りが欲しかったが、それでも美味しい手料理とかわいい姿に、まあいいかと思うアルヴァンだった。
●sweet sisters
ミルドレッド・ウェルズ(吸血殲姫・d01019)は妹分の月影・瑠羽奈(蒼炎照らす月明かり・d29011)と一緒にスイーツ作りをすることに。花園で知り合って仲良くなった二人だが、今まで一緒に遊びに行く機会がなかった。だから、この機会に親睦を深めたいなとお互い思っているのだった。
「……ボクの方が背も低いけど、お姉様なんだからがんばらないと」
年上のミルドレッドが姉らしく振る舞おうと小さく呟く。
(「お姉様……わたくしより背丈が小さい事を気にしてるのでしょうか……?」)
瑠羽奈が大きいわけではないのだが、小柄なミルドレッドは気にしているようだった。
(「背丈など関係ないのに……でも小柄なお姉様も可愛いですわね♪」)
そんなわけで、姉として張り切ってスイーツ作りに勤しむミルドレッド。いいところを見せようと頑張るも、生まれつきの不器用さは如何ともしがたく、見た目はちょっぴり残念な様子。
猛特訓してお菓子作りも上手になった瑠羽奈は、元々手先の器用さには自信があった。
見た目の差はあれど、それぞれの個性が光るアレンジスイーツが完成!
「……ミリーお姉様のは少々不格好ですが……い、いえ、個性的でとても素敵ですわ!」
「ありがと。瑠羽奈のは見た目もすごく美味しそうで素敵だよ」
姉としては、ちょっぴり残念な結果になったけれど、二人で作った時間は特別。できあがったスイーツを仲良く分け合って食べることに。
「はい、瑠羽奈、あーんして」
姉らしく、ミルドレッドが瑠羽奈の口元にスイーツを運ぶ。
「ふふっ、美味しいですわ♪」
こちらもどうぞ、と今度は瑠羽奈がお裾分け。
「ん、美味しい♪」
笑顔があふれる、後夜祭の夜。きっと忘れられない思い出に。
●美味しく召し上がれ
九条ネギのスイーツをたくさん持ち込んだのはヘイズ・レイヴァース(緋緋色金の小さき竜・d33384)。自身に取り込んだ七不思議・九条ネギ餃子怪人の姿となったヘイズは、黒ごまペーストを練り込んだクレープを焼いては、九条ネギアイスや九条ネギのベイクドチーズケーキを具に、白味噌クリームや砕いた九条ネギクッキーでデコレーション。
「すごーい、ネギが全部スイーツになるんだね!」
興味津々で見ていた榛名・真秀(中学生魔法使い・dn0222)が九条ネギスイーツに感動。振る舞ってくれたヘイズにお礼を言って早速試食。
「わ、ネギの匂いがきついかと思ったけどそうでもないね。イズ先輩、すっごく美味しい!」
「喜んでもらえたなら嬉しいであります。橘先輩もどうぞ」
今度は白味噌アイスや京トマト、万願寺とうがらしのクリームに変えたものを、橘・創良(高校生エクスブレイン・dn0219)に振る舞う。
「京野菜がこんな素敵なクレープになるんだね。上品な甘さがすごく美味しいね」
お礼にと、創良はインスタントのお吸い物にたこ焼きを入れた、だしたこを差し出す。たくさん食べて疲れた胃にも優しく食べられる一品だ。
「アレンジたのしそ!」
みんなのアレンジグルメを見て、わくわくと自分も作り出したのは尾守・夜野(小学生人狼・d35200)。お肉が大好きな夜野はクレープ生地が破れる限界まで肉を詰めて、トルティーヤのようにして食べ始める。
「ムグムグ、おいし!」
とっても美味しかったらしく、さらにお菓子とお肉などを組み合わせて食べ続ける。
「……肉かき氷!」
焼き肉のたれをシロップ代わりに、肉と氷のコラボが完成。
「夜野くん、それって美味しいの?」
真秀がおそるおそる訊ねると、夜野はうんうんと頷く。肉が大好きなので、本当に美味しいのだろう。
「これも食べる?」
真秀が作ったフルーツクレープももぐもぐと完食。気持ちのいい食べっぷりに、どんどん料理を渡すと余った料理が次々なくなっていく。
「美味しく食べるのがなによりだね」
遠くで打ち上げられた花火を見つめながら、創良が呟く。生徒達は、いたるところで後夜祭を楽しんでいる。
祭りの後、残るのはきっと楽しい思い出だけ。しっかりと後片付けをして、また来年の学園祭を楽しみに。
ごちそうさまでした!
作者:湊ゆうき |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年8月4日
難度:簡単
参加:10人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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