2015年、夏
7月19日と20日の2日間にわたり開催された、今年の学園祭。
クラブ企画や水着コンテストなどで、とても盛り上がったのではないだろうか。
しかしもう夕刻。学園祭は終わりを迎えてしまった。
だが――学園祭の夜はこれからである。
みんなで楽しく打ち上げといこう!
今夜は特別に、プールが開放されている。
水着コンテストの会場となったプール。用意した水着で遊ぶもよし、その水着を鑑賞するもよし。
いつもと違う雰囲気のプールを、思いっきり楽しもう!
後夜祭に特別解放されたプール。入ればすでに楽しげな喧騒と水音が聞こえてくる。
作楽と蓮は、定時と偶然会った。
「企画で作ったクッキーのお裾分けですよー」
「学園祭の来店感謝だ」
「二人ともサンキ……これの中って?」
「ご心配なく、普通のチョコチップです」
蓮がクッキーを並べる。作楽は琥界に「あーん」。素直に食べる彼に、考え込む作楽。
差し出すと食べるのは、甘えているというより、私が甘やかされてる……?
腹ごしらえの後は、プール遊びだ。
「ルーちゃん、潜水競いますよ」
蓮と霊犬が潜り、作楽が審判を務める。
――負けないよ、ルーちゃん。
泳ぎで負けてるからせめてこの勝負は……と思い隣を見れば、気にせず浮上するルーの姿。
――か、悲しい。
「お疲れ様」
哀しい勝利だが、頭を撫でる作楽の声は暖かい。気を取り直し笑顔を浮かべる蓮だった。
「さゆちん可愛い!」
アメリアが初めて見る、早雪の水着姿だった。青を基調に、肌の露出がない水着。
「可愛い可愛い!」
「なんだか面映ゆいな」
プールサイドに座る二人。足で水をはねてはしゃぐ親友に早雪も微笑む。
「もう疲労困憊だ。今はそれすら心地良いけど」
「本当、素敵な二日間だったわ……なんだかスッキリした顔ね?」
「気持ちの整理が、少しね。エイミーは頬が溶けそうだぞ?」
指摘に相好を崩すアメリア。学園祭で彼氏ができたらしい。夢中で話す彼女に、つい早雪に悪戯心が灯る。えいっと手を引きプールへドボン。
「やったな!」
「ふふ、惚気るからだよ」
掛け合いが始まる。水しぶきが二人の笑顔を彩った。
「涼しくて気持ちいいね」
「そうだね」
プールサイドで過ごす麒麟と司。視界には色取り取りの水着。
「きりん、来年はコンテスト出ようかな」
「水着コン?」
今日のきりんさんも負けず劣らず可愛いけど……と彼女へ向けた視線が急に邪なものに感じ、視線を彷徨わせる司。しかしそれは、麒麟には水着鑑賞に映ったようで。もやもや不満顔。
「ええと、せっかくだし入ろ?」
プールに入り、司を引っ張る麒麟。よそ見していた司は「わ!?」とバランスを崩し水に落ちる。
「あっ、大丈……きゃっ」
「びっくりさせたお返し!」
笑いながら水をかけてくる司に、「きりんもお返し……!」と、水の掛け合いが始まった。
思わず。
詩音はカティアの胸に手を当てた。思考停止の表情だ。
「あら、男の子って知らなかった?」
巫女の言葉は笑みを含む。面白そうだから黙っていたのだ。
「ごめん。私てっきり」
「あ、謝らないで」
これからもよろしく、とお見合いのようなやりとりをする二人。
改めて水遊びが始まる。巫女が言った。
「さぁ、目一杯楽しむわよー」
「あ、ちょっと巫女さん」
詩音の耳打ちに、巫女が笑みを広げた。
「いいわよ。やりましょうか」
視線は男の娘へ。ひと泳ぎしようとする彼に、潜って近づき奇襲をかける。
「何してるんですか二人ともー!?」
「カティアさん捕獲です!」
「どう、挟まれた感想は?」
左右から密着され、男の娘は錯乱した。
「いやあの顔に胸、柔らか、じゃなくて!」
「あらダメよ。逃がさないから、ね?」
二人がさらに接近。比例してカティアは沈む。
「きゃー!?」
声は水に消えていった。
「う……」
彼が気づくと、詩音に膝枕されていた。
「大丈夫ですか?」
覗き込む詩音の顔が近く、カティアは赤面した(ナレ:巫女)。
悠里と黒はプールで競争をしていた。
「あっちまでだよ」
「負けないっすよ。次はボールで遊ぶっす!」
二人は泳いだり、ボールを投げ合ったり、浮き輪に揺られて時間を過ごす。
「プールって潜ると鼻がツーンってするよな」
鼻を押さえた黒が、ふと悠里の水着を見る。
「コンテストの?」
「そうだよ。似合ってる?」
気恥ずかしげに、青花のようなバンドゥビキニを弄う悠里。「うん。なんかすごいっす」と彼の返事は悠里の心を弾ませる。
「黒君、サンドイッチ食べよ♪」
バスケットから、手作りサンドイッチが顔を出す。
「あーん」
「ちょ、恥ずかしいっす」
慌てるも美味しそうに食べる黒。大好きな人と一緒だと楽しいな、と悠里は微笑んだ。
井の頭2ー9、太一には計画があった。
「大胆水着で泳ぎたいとはハレンチな。堪能してやる!」
クク、と視線の先には蒼月と珠緒。
「珠緒さんの水着、大人っぽくて格好良いね! ね、ね、どうする?早速泳ぐ?」
「うん、およごっ!」
珠緒の水着は左から見ると腰紐がなく、沢山の肌色が堪能できる!
太一は密かに左に回るが、間に蒼月がいて中々見えない。
蒼月、あとで猫ボールと代わるから今だけ動いてくれ!
という太一のたわけた願いは通じた。蒼月がボールを追って移動。同時に珠緒が視線に気づいた。
「こらぁ! どこ見てるのよ!」
「話せばわかる!」
「わかるか! あと蒼月さんに失礼でしょ!」
太一の悲鳴はバックドロップの軌跡で没した。
「おま、珠緒! 許さないぞ!」
「はっはっは、えっちぃのはよくないっ」
泳ぎ逃げる彼女を追う太一。そこで蒼月が戻ってきた。
「あーっ2人だけで鬼ごっこなんてずるいずるい! 僕も仲間に入れてよー!」
知らぬが仏か。蒼月は元気いっぱい、二人を追って泳ぎ出した。
今年もイルカ浮き輪で漂流するシェリカ。斬夜も隣で浮いている。
「水着、どうですか。去年よりちょこっと大人っぽいのにしたんですよ~」
「バッチリだ。赤も良いアクセント」
「斬夜さんも来年出てみません?」
「うーん俺も一度は遊んでみたいなあ」
言いつつ、イルカに掴まり恋人の水着を堪能する斬夜。
かわいい+眼福=幸
「? はっ」
視線に、シェリカが何かに思い至り斬夜に飛びつく。
「去年のお返し、とりゃー☆」
「うわ!?」
沈む水の中。リベンジを果たされ。やられたと思いかけた斬夜が考え直す。
いや待て。これはこれで嬉しいかも……柔らかい感触とか。
どうも幸せ病の疑いがある斬夜であった。
「とりあえず、手を取ってのバタ足は出来るようになったみたいですね」
イローナと皆無の水泳教室は休憩に差し掛かっていた。
「水に顔をつけるのも、そんなに怖くないでしょう?」
「ちゃんと体て浮くんデスネ。顔をつけれるようになたの嬉しデスヨ!」
そんなイローナに微笑む皆無。
「次はビート板で一人で泳いでみましょう」
「ビート板て、浮いてる板みたいなものデシタよネ」
不安そうなイローナに、皆無はジュースを手渡す。
「大丈夫ですよ、ちゃんとそばに控えていますので」
「まだちょと不安デスけド、もうちょと休んだら練習するデス」
挑戦前の休息。二人は話しながら、プールサイドでの休憩を満喫した。
「夕月さん!」
アヅマの声に、夕月はプールから上がった。アヅマは出店のメニューを持ち込んでいた。お好み焼きにたこ焼き、大判焼き等々。
「わぁ沢山。えへへー、何にしよー」
「お茶もあるよ。後夜祭を満喫しよう。」
たこ焼きを頬張るアヅマ。今年は時間の取れなかった彼に、夕月は楽しかった場所、美味しかったお店のことなど話していく。
「来年は一緒に回ろうねー。あ、そうだ競争する?」
休息が終わり、再び水に入る夕月。アヅマが苦笑した。
「俺、今水着じゃないって」
「しないのー? 残念」
「見守ってるから。いってらー」
それはそれで妙な構図な……と思いながら夕月は泳ぎ出すのだった。
「曜灯たち遅いね」
茶葉研究会『LEAVES』の打ち上げ。着替えで遅れ気味の女性陣に勇介がぼやく。健が笑った。
「女子はお洒落に時間かかるモンだろうなー?」
「そういうものかな」
勇介は黒、健は龍模様のハーフパンツ、健のタオルマフラーを除けばパーカーとスタイルは似ている。
「勇介は水着祭りに関心ないのか?」
「それが、コンテストは企画に夢中ですっかり忘れてたんだよね」
「まぁ僕も企画巡りの限界に挑戦してたなーっと、来たみたいだ」
曜灯と陽桜が歩いてくる。二人ともコンテスト出場水着だった。陽桜は何故か浮かない顔で曜灯に手を引かれている。
「どうかしら?」
曜灯が髪をかき上げポージング。
「ほら、陽桜ネも」
「えー」
しなきゃダメ? という様子で陽桜が男性陣を見やれば。
「可愛い……二人とも似合ってるよ」
「晴れ姿待ってたぞ! 二人ともマジイイ感じにお似合いだよなー」
二人の言葉に照れる曜灯。陽桜はバッグから水鉄砲を取り出し発射した。
「やらしー目つきはダメだからね!」
「わわっそういうのじゃないって!」
「何時ものと違う姿にチョイ釘付けになっただけだよなー?」
二人の抗議に曜灯が笑い、陽桜も笑みを取り戻した。
改めて、打ち上げの始まりだ。
「それでは企画の成功を祝して」
「乾杯」
「みんなお疲れ様」
プールでのお茶会。グラスはアイスの入ったPray for LEAVES。
いつから水着コンの水着を着ると思っていた?
「あれは魅せる用! 泳げるわけないでしょ!」
ミケは黒いビキニだった。ひらひらフリルが胸元を強調している。
「ほう。黒とはな。肌に映えていーじゃねーの。な、寅綺」
口笛を吹く鷹秋。寅綺も頷いた。
「意外だったけど……でも、それはそれで可愛いね」
「おめーはボキャ貧か!」
鷹秋が寅綺の首に腕を回す。
「もと褒めてやれ。口がだめなら恥ずかしがってないでもっと見ろやっ。行動で示せ!」
「うっさいわ山岡さん! ちゃんと見てるよ。見ない訳ないでしょうてかなに言わせんだよ!」
「よく言った。じゃ一緒に見っか」
「あんまり見るな殴るぞ鷹秋!」
でも寅綺の反応にぐっじょぶ、と思うミケであった。
「ミケもアリスもよく似合ってるよ」
沙雪が言う。アリスは淡い桃色ワンピースだったが、彼がパーカーを渡すとほっとしたようだ。
「沙雪……ありがとう。ちょっとはずかしかった」
しばらくして、ビーチバレーをすることになった。
「最初は私が……サーブ!」
高く上げるかと思いきや、開幕鋭い一撃を放つミケ。
「誰が打ち上げると言った! 悔しければやり返せ!」
「最初から殺る気たーな。潰すぜ!」
「全部スマッシュでもいいんだ」
鷹秋と寅綺が行動に移る。ミケに集中攻撃だ。沙雪も均等に振り分けていたが、途中からミケ討伐に乗り出す。
「ガンガン行くよ。空気は読まないとね」
「そんな空気読むな! ちょ、やめ、卑怯だぞ集中砲火は!」
「お姉ちゃん覚悟なの」
鷹秋の背を蹴り高く飛ぶアリス。やるからには勝つ。
「アリスお前もかっ。でも頑張れ!」
「おっしゃミケ粉砕だーうお!?」
「日頃の仕返しだ、山岡さん」
「やりやがったな寅綺!」
乱戦開始。派手な飛沫と笑い声が連鎖する。
●通称【花園】の噂(確定情報含む)
確定:企画「花園迷宮」部門1位獲得!
「皆さんのおかげですわ♪ 盛大に祝いましょう。乾杯♪」
『乾杯♪』
りんごの声に続き、花園女子たちの祝いの声があがる。
確定:花園女子×水場=何も起きない訳がない
「一緒に泳ぎませんか?」
「せっかく来たんだから遊ばないと」
緋頼や由希奈が言って、プールに入る。
「そういえばこの水着、泳いでいいのかな?」
「大丈夫ですよ。わたくしは入ってきますね」
泳いだらフロントジップが開けないか心配する早苗に、りんごはそう言って水に入る。大丈夫の前に「むしろ脱げても」が入った気がするが、さすがに噂の域を出ない。
紅葉が霊犬を抱えて来た。
「マカロが綾波やセコイと泳ぎたいって。というわけで」
確定:第一回チキチキ花園霊犬犬かきレース開催
「ふっ、コセイの首の浮き輪は伊達じゃないですよー!」
「水上で負けたら第二型ネームシップの名が泣くよっ」
悠花が「GO!」とコセイを放ち、天霧が綾波をスタートさせる。早苗は悩んだ末、天霧とともにプールサイドに座って観戦。悠花は先に入ったタシュラフェル(以降タシェ)に忍び寄る。紅葉が叫んだ。
「頑張れ負けるなマカロ! 10万ボルトだ!」
確定:無茶言うな!(マカロ困惑)
「タシェさん、それっ」
「……やりましたね」
水をかけ逃げる悠花に、タシェが接近戦を敢行。伸ばした手はしかし、悠花の黄色いビキニ紐に掛かる。
「あ、悠花」
「え、なに?」
振り返った拍子にすぽーんとタシェの手に収まる悠花の水着。どこか楽しそうにUターンするタシェを、悠花が慌てて追いかけた。
「緋~頼~さんっ」
今日は悪戯心全開の紅葉。背後から緋頼に強襲を仕掛ける!
「紅葉さん?」
「ふにゃっ」
カウンターで水が顔に掛けられる。その隙に背後に移動した緋頼に拘束された。
「紅葉さん、結構大きいですよね」
「ひゃん、つついちゃ嫌っ」
「あ、ごめんなさいね」
髪を撫でられ、同い年に完敗を自覚する紅葉、十八の夏。
「高校生って、なんだかすごいね……」
そんな光景をプールサイドから見、早苗と天霧が複雑な息を吐く。悠花が腕で胸を隠し来た。
「タシェさん見た?」
知らない、と言いかけた早苗は、突如水面から現れた手に引きずり込まれた。早苗に足をつかまれ、天霧も没した。
確定:小学生もやばい
「セカイさんも由希奈さんも、いらっしゃい♪」
「なんですかりんごちゃ……ひゃあ!?」
「あ、あのりんごさん……」
近づいた二人を、即座にりんごの手が堪能していく。
「セカイさん、スイカ運んで下さってありがとう♪」
「それはスイカじゃなく、その……」
「わ、私だと桃くらいかなぁ……」
「わたくし、桃も好きですわよ?」
「やぁぁんっ、手つきがいやら……ぁ」
「りんごさん、たまにはやられる側はいかが?」
そこに緋頼が、紅葉を拘束したままやってくる。
「紅葉さんを戴けたら考えます」
「どうぞ」
「そんな!?」
りんごのよって犠牲者の声がまた一つ。
「ごめんね、誰かの水着とっちゃった」
「私も」
水着の乱れた早苗と天霧。手にはタシェと悠花の三角があった。上下を失くした悠花が必死で、タシェを追いかけていた。
確定:水着が宙舞えば、そこに花園の魔空間有り
「今年は色々回れて楽しかったわ」
櫂と冬崖は水の中を歩きながら話していた。
「テラリウムやおみくじ。それに貴方のお友達もね」
「そいつは良かった」
で、これはなんだ。と冬崖は櫂が髪に差してきたハイビスカスの髪飾りを指さす。櫂が笑う。
「さっき掛け合い、潜って逃げたでしょ。ずるいからハンデ。濡らしちゃだめよ?」
「おい待て、そりゃ卑怯」
問答無用。どっちにしろ濡れた。冬崖はふと思う。櫂は以前より笑うようになった。ともすれば、それが一番嬉しいことかもしれない。
水の中を踊る金魚のような赤を抱きしめ、髪に口づけを落とした。
「来年もこんな風に過ごしたいわ」
「……そうだな」
そのまま余韻に浸った。
日麗と識は、クラブの打ち上げに泳いでいた。
「ほぼ接客姿のまま泳いでるってのも、妙な光景だ」
「そもそも識のために着てるんだからね!」
「そうだな、可愛いぞ」
悩殺目指してのお色気路線だったが、いまいち識の反応が淡白でため息をつく日麗。
――リィに色気がないから?
「まぁいいや。識最近忙しそうだから、一緒にいられるだけで嬉しいっ」
「!」
腕に絡んだ日麗に、識が向きなおった。
「その、デートとかできてなくて悪い」
「いいんだよ? 識のこと大好きだし別に……」
「よくない。俺だって大好きなんだ」
日麗は、彼が淡白な訳を知った。
「今日、色気ありすぎ」
作戦大成功。近づく識の顔に、日麗はそっと目を閉じた。
雛と夕陽もクラブ企画の打上で来ていた。
泳げない雛は浮輪を取ろうとした瞬間、夕陽に抱えられていた。
「せんてひっしょーゆだんたいてきっ!」
「ぴにゃぁあああぁぁ!?」
水柱に声は消え、再び浮上する。
「ぷはっ、あー冷たくて気持ちいい!」
「うぅぅ、びっくりしましたぁぁ」
げほごほする雛。気づけば浮き道具はなく、夕陽に抱きつくしかない状況。夕陽、見的抹殺の策略(?)である。水も滴る雛に言った。
「雛、学園祭お疲れ様」
「はい……っ!?」
ほにゃっと笑ったところで沈められ、水中でキスされる雛。浮かぶ頃には色んな意味でライフはゼロだ。
「センパイも、お疲れ様でした」
しかし反撃の唇は、狙い通り彼の唇に触れた。
千夏の水着姿。
「ううむ」
有無が悩ましい声で唸る。
「有無さん、流し素麺楽しかったですね」
そうだ。千夏もまた女性。
「カタヌキが上手くできなかったし」
脱げば当然「おんな」ではないか。
「有無さん、聞いてます?」
だが驚いた。水着を着るとは露にも――
「えい」
プールサイドから、上の空の有無は水に投げ込まれる。
「話の最中に何考えていたんです?」
縁にしゃがみ、千夏は彼を見詰める。
「君が嫌がるから言わない」
気の置けない存在。性を意識してなかったとは。
「一応、少し怒ってるんですけど」
有無がため息を吐く。
「愚かな男だ、私は」
「同感です」
せっかくの機会だし構って欲しい……とは言えず、千夏は苦笑した。
未来は分からない。
この日、この一瞬は夜空に咲いた花火のようだ。
特別な刻は、でも、いつでも己が内に在り続ける。
一瞬の輝きを求めて――来年また、盛り上がろう!
今年の学園祭はこれにて終了。
人の消えゆくプールで、名残り惜しげに水面が揺れていた。
作者:叶エイジャ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年8月4日
難度:簡単
参加:46人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 3
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