7月19日と20日の2日間にわたって開催され、多数のクラブ企画や水着コンテストなどで、とても盛り上がった学園祭。
しかし、その学園祭も、とうとう終わりを迎えてしまった。
「でもでも、学園祭の夜はこれからだよね~♪」
お菓子やジュースを抱えて空色・紺子(高校生魔法使い・dn0105)が教室に現れた。
「みんな、学園祭どうだった? 打ち上げってことでこの教室でおしゃべりしない? お菓子やジュースもあるよ! もちろん、持ち寄り歓迎中~! 一緒に楽しく学園祭を締めくくろうよ♪」
飾り付けされた教室で、学園祭の余韻に浸りながら。
どんな風に学園祭を過ごしたか友達と語るもよし。屋台で購入した食べ物をゆっくり味わうもよし。頑張った仲間と最後に一騒ぎしても良いかもしれない。
「さあ、最後にめいっぱい楽しんじゃおうっか♪」
紺子はそう言いながら、机に持ってきたお菓子を並べるのだった。
●後夜祭が始まるよっ!
「皆様ご唱和ください! カンパーイっ」
高沢・麦(とちのきゆるヒーロー・d20857)が、教室に集まったみんなに向けてコップを傾けた。
教室のあちこちから、乾杯と声が上がる。
学園祭は今年もかなり盛り上がっていたようだ。
水着コンテストに、クラブ企画。沢山の生徒達が楽しんだ、らしい。
と言うのも、麦自身はアルバイトに行っていて、聞いたところによるのだが。
だからこそ、せめて後夜祭は楽しみたいと仲間達で打ち上げにやってきたのだ。
「お疲れー。俺なんもやってないけど!」
「後夜祭ね……中々忙しくて回れなかったから、こういった所で祭りの余韻を味わうのも良いかもしれないわね」
夜舞・悠(影触手の姫・d21826)が集まった生徒達を見回して、何かに気付いて項垂れた。
「……ていうか、何も食べ物買ってないんだけど! 高沢と天草は何か買ってるの? 少しは残ってたりするのかしら……?」
「あまり学園祭は参加出来なかったから、せめて後夜祭は盛り上がろうぞ」
すると、天草・日和(深淵明媚を望む・d33461)が屋台で買ってきたと言うりんご飴を手渡してくれた。
「他にも、たこ焼きにチョコバナナもあるのだ」
「俺、グルメストリートで余り物もらってきたー」
麦も山ほどの食材を取り出す。
祭りといえば鉄板系。お好み焼きに焼きそば、たこ焼きまである。
貧乏って損よね……と、遠い目をしていた悠の目の前に焼肉まで並んだ。
「肉! 焼き肉やってるトコあったよ夜舞さん!」
「……凄いわね。良かった、影触手で取ってこようかと、一瞬考えちゃったわ」
悠は目の前に並ぶ料理を眺めた。沢山の屋台の食べ物に、香ばしいソースの匂いに、食欲がそそられる。それに甘い飴やチョコレートの匂いも、とても魅力的だ。
「タダメシやっほー!」
麦の明るい声が周囲に響いた。
「おっと、飲み物を忘れていたな。喉が渇いて敵わん、と、紺子殿もこちらで一緒に食べるのはいかがだろう?」
料理を囲む三人の机に紺子が近づいてきたのを見つけ、日和は手招きをした。
「え? いいのー? えへへ。じゃあちょっとお邪魔しようかな~。ジュースあるよー!」
紺子はにこやかに頷き、ペットボトルを数本取り出す。
「では、このりんご飴と物々交換というのはどうだろう?」
「ありがとうー! 飲み物どうぞ! りんご飴、美味しいよね~。みんなも食べるの?」
紺子が言うと、麦が大きく手を上げた。
「りんご飴! もちろん食う食う!」
「沢山あるぞ」
選ぶなら一番赤くてでっかいのだよねと、日和からりんご飴受け取り、麦が大きくかぶりついた。
「天草さんは水着コン参加してたね! 可愛いかったよー」
っつか、スゴかったよ……! と、心の声が聞こえた。
「ん、焼肉美味しい……」
「わ、焼肉まであるの?! って、スゴかったって、何が?!」
焼肉を味わう悠を見て紺子が目を輝かせた。それから、水着の件について身を乗り出す。
まだまだ後夜祭は始まったばかり。
教室のあちこちで、楽しげな話し声が聞こえてきていた。
●お祝いと打ち上げと!
【星空芸能館】のメンバーは、学園祭で運営していた『歌声喫茶☆Star light song☆』の余った食材や飲み物を持ってきていた。
「今年は部門3位入賞することができました。さあ、お祝いと打ち上げです♪」
椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)は喫茶店の制服を着ている。
「ボクたちの歌声喫茶が部門3位入賞だなんて……えへへっ♪」
榊・くるみ(がんばる女の子・d02009)がうれしそうに皆の顔を順に見た。
『歌声喫茶☆Star light song☆』は学園祭クラブ企画にて見事3位に入賞したのだ。
みんなの頑張りが実を結んだと思うと、くるみの心にこみ上げてくるものがある。泣きそうなほど、うれしいのだ。
「えへへ、部門3位入賞ってやっぱり嬉しい!」
望月・心桜(桜舞・d02434)もうれしさに頬を緩ませる。
「今年も繁盛したようで良かったわ」
羽丘・結衣菜(歌い詠う蝶々の夜想曲・d06908)は入賞記念のリボンを巻きながら周囲を見た。
メンバーは、喫茶店の制服を着たりステージ衣装を着たりと、まだまだ学園祭の盛り上がりが続いているようだ。
「紺子先輩もご一緒に食べて飲んでお祝いしましょう!」
「え? いいのかな? 楽しそう!」
心桜が紺子の手を引っ張り、みんなの輪の中に連れてきた。
「紺子お姉ちゃんも一緒にお願いします♪」
柚澄が言うと、紺子が笑顔で頷く。
「ありがとう♪ それから、入賞おめでとう!」
「ぜひぜひ私達のおもてなしで楽しんでいって下さいね♪ 皆、お好きな物食べて下さいね~♪」
周囲に星野・えりな(スターライトエンジェル・d02158)の声が通った。
「とりあえず、喫茶店でのあまりものを全部持ってきたが、これはこれで結構大変だったぜ」
メニュー表を広げ、ファルケ・リフライヤ(爆走する音痴な歌声銀河特急便・d03954)が腕まくりをする。
軽食メニュー、デザートメニュー、ドリンクメニューと、メニュー表には様々な品物が丁寧に解説付きで表記されていた。
「しかし毎年入賞していますなぁ。おめでたいです」
桜庭・智恵理(チェリーブロッサム・d02813)がメニュー表を覗き込む。
「ヴィーナス蜂蜜レモネードってまだ残ってますのん?」
智恵理の注文を皮切りに、次々と希望があがった。
「えと、えと、わらわ、うしかい座の生クリームパンケーキ……。それにヴィーナスレモネードもつけて……」
心桜は学園祭をがんばった。がんばったら、お腹がすいたのだ。
生クリームとメープルシロップたっぷりのパンケーキは、きっととっても甘くて幸せな味がするに違いない。
くるみは天の川ミルク、結衣菜は天の川アイスクリームを注文した。
「やはり夏はアイスよね~♪」
結衣菜が言うと、えりながにっこり頷く。
「私は『バニラポラリス』いっちゃいます♪」
アイスクリームは冷たくて美味しそうだ。
「ボクはチーズケーキを食べようかな。飲み物は紅茶で」
柚澄もいくつか食べ物を注文した。彼女の衣装はサーミの民族衣装だ。
「えっと、ドリンクにアイスにプリンに……はい、承りました」
注文を聞いて、紗里亜がくるくると忙しく回る。そのウェイトレス姿は、後夜祭でも健在のようだ。
「紺子さんも皆さんもご注文どうぞー♪」
「わー。ありがとう! 私はドリンクを貰おうかなー♪」
紺子や教室内に居た生徒達からも注文の声が上がる。
皆にドリンクがいきわたったところで、くるみがグラスを掲げた。
「入賞おめでと~♪ カンパ~イ!」
明るい声に合わせ、そこかしこで乾杯の声が上がる。
「あ、美味し」
甘くてさわやかで。智恵理がレモネードを一口飲んで、ほっと口元を綻ばせた。
「じゃあ皆、どんどん歌っちゃいましょ?」
歌声喫茶らしく、と。えりながギターを取り出した。
えりなの伴奏に合わせて紗里亜が歌い、くるくると皆の間を回りながら給仕を続ける。
「いいですね、えりなさん♪ みんなで歌いましょ~♪」
くるみも楽しげに歌い始めた。
盛り上がった学園祭の雰囲気そのままに、教室内がぐっと華やぐ。
まだまだ教室では、後夜祭を楽しもうと皆が盛り上がっていた。
●楽しいときはきっと飛ぶように過ぎていく!
「楽しかった学園祭も終わり! 一緒に回れて楽しかったです」
「最後はのんびり座って話でも……」
児玉・環奈(高校生七不思議使い・d34352)と郁毘・璃杜(飛べない鳥はキックの鬼・d34379)は並んで教室に入ってきた。
「さぁさ、あとはどんどん騒ぎましょう」
「ってまだ騒ぎ足りねえのか? まぁいいけどな!」
教室では、すでにあちらこちらで乾杯の掛け声や歌声が聞こえている。
環奈も学園祭の興奮が冷めやらぬ様子だ。
「のんびりするのは普段でも! あ、騒ぐのも普段でもできますね。郁毘さん、何か食べたいものはありますか?」
沢山のお菓子を抱えた環奈が璃杜を見た。
「あたしはなんでも食べるぞ? そういう環奈はお菓子とか食べるか?」
璃杜もお菓子を取り出し、いくつか交換し合う。
それから、二人、ジュースで乾杯した。
「思えばあっという間に終わっちまったな、学園祭」
「この二日間、なんだかすっごく楽しくて、まるで飛ぶように過ぎて行ってしまいました」
炭酸がすっきり心地良い。
環奈はにこりと璃杜に笑顔を向けた。
「きっと一緒だったから楽しかったんですね」
「楽しいことやってると時間がすぐ過ぎるって言うのも、あながち間違いじゃなさそうだな」
二人は頷き合い、持ち寄ったお菓子を食べながら学園祭の思い出を語り合う。
教室内では、他のグループも楽しげに色々な話をしているようだ。それだけ学園祭が楽しいものだったのだろう。
そして、きっと、来年も楽しくなると思う。
「また来年も一緒に見られたらいいですね!」
「ああ、来年が楽しみだな!」
笑顔の環奈の言葉に、璃杜も笑顔で返事をした。
「約束ですよ!」
「きっとだぜ!」
二人は笑い合い、少なくなったコップにジュースを注ぐ。
お菓子もまだまだ沢山残っているし、話したい事は山ほどある。
環奈と璃杜の会話は、いつまでも楽しく続いた。
●みんなで盛り上がった後夜祭!
「柚澄の初ステージも見れたしなー。衣装もよく似合ってたが、何よりも輝いていたぜ?」
ファルケは、歌は他のメンバーに任せて、今日は料理を担当している。
隣で皆の歌を聞いていた柚澄が恥ずかしそうに顔を伏せた。彼女が今着ている衣装がまさにそれなのだ。
「この服、似合う……? あまりそんな事言われても恥ずかしいよ……」
小さくそう言い、柚澄はチーズケーキを食べた。
「恥ずかしがることはないんじゃないかなー」
ファルケは柚澄を見つめてから、歌い踊る仲間達に目を向ける。
「学園祭ライブのアンコールのつもりで思いきり歌います!」
気持ちの良いくるみの歌声が響いていた。くるみはライブの衣装としても着ていたTシャツ姿だ。
「そういえばうち、ここのクラブの部員ではありますが、実はあまり人前で歌うってことしていませんなぁ」
そう言っていた智恵理は、くるみの隣でテンポのいいダンスのステップを踏んでいる。皆の歌に合わせた即興のダンスのようだ。色々な歌のリズムに合わせた軽快な踊りは、見るものを沸かせた。
「素敵なのじゃ!」
心桜が歓声を上げ、手拍子を贈る。
「アイドル風ダンスやで」
智恵理は親指を上げてそれに応えた。
「ふふっ、楽しくて疲れもふっとんじゃいますね♪」
ダンスにあわせてシェイカーを振っていた紗里亜が笑う。
「えりな嬢ー! 歌ってー!」
ギターで伴奏をしていたえりなにもリクエストが飛んだ。
「私、歌いますか? じゃあ、歌わせてもらいましょうか?」
えりながマイクを取り、結衣菜に目配せをした。
「学園祭初日で間に合わなかった分は埋め合わせるわ!」
頷き、結衣菜がマイクを持つ手に力を込める。
「学園祭に関わったみんなに、感謝の気持ちを込めて!」
「皆、盛り上がっていきますよ~♪♪」
結衣菜とえりなの声に誘われるように、教室に居た生徒達が大きく拍手をした。
「よし気が変わった。一緒に参加すっか」
お祭りは眺めているだけじゃ面白くない。そう言い、ファルケも準備を始める。
「パーティの主役の座を頂くつもりでいくとしますか」
教室内では、まだまだパーティーが続いていた。
力のこもった歌が、楽しげなダンスが、そして応援する声が、皆の気持ちを盛り上げていく。
気付けば後夜祭もあと少し。
楽しかった学園祭が全て終わろうとしている。
「最後は応援歌『がんばれ がんばる 武蔵坂』です!」
紗里亜が集まった生徒達に向かってそう言うと、応援歌を知っている皆が立ち上がった。
運動会の応援合戦でも歌われたあの曲だ。
学園祭では『歌声喫茶☆Star light song☆』で学園祭バージョンが披露された。
軽快な伴奏に合わせ、力強い歌声が教室に響き始める。
その歌声を聴きながら、ある者は学園祭の思い出に浸り、ある者はきゃあきゃあと皆を盛り上げ、ある者は手拍子を送る。
「本当、楽しいねえ! 良かったねえ!」
楽しい雰囲気を見て、紺子が笑った。
「Jokainen on hauskaa yhdessa. みんな一緒で、楽しいです♪」
柚澄も笑顔でみんなを見る。
来年も楽しい学園祭になりますように。
それぞれの思いを胸に、後夜祭は最後まで楽しく続いた。
作者:陵かなめ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年8月4日
難度:簡単
参加:13人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 0
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