マコトの誕生日~海であそぼ!

    作者:カンナミユ

    ●海行こう海!
    「相馬先輩! 海いきませんか?」
     真夏の暑さなど何のその。結城・相馬(超真面目なエクスブレイン・dn0179)にそう言う三国・マコト(正義のファイター・dn0160)は元気いっぱいだ。
    「海?」
    「夏っていったら海かなって思ったんですよ!」
     セミの声を耳に下敷きでぱたぱた扇ぐ相馬にマコトは元気に返す。
    「海ねえ……」
    「楽しそうじゃないですか! 水平線眺めながら船さがしたりとかー、のんびり歩きながら貝殻とか綺麗な石を探したりとかー、あとスイカ割り!」
     にこにこと言うマコトだが、何か肝心なものが抜けているような。
    「泳がねえの?」
    「…………」
     しーん。
    「……え、えへ☆」
    「えへじゃねえよ」
     可愛く誤魔化そうとするマコトに相馬は速攻でツッコミを入れた。
      
    ●海行くよ海!
    「そんな訳で海に行こうと思うんだ」
     外からの爽やかな風を感じつつ、相馬は下敷きで扇ぎながら相馬は灼滅者達に声をかけた。
    「海?」
    「ああ、ちょうどマコトが誕生日だからさ、折角だし海の家の店主にお願いして海水浴場ごと1日貸切にしてもらったんだ。日中は泳いだり遊んだりして、日が沈んだら花火でもやろうかなって思ってね」
     みんなで楽しく海水浴やスイカ割りをしたりと日中は楽しみ、夜はささやかに花火を。
    「せっかくの夏休みだしね」
    「久しぶりに泳ぎたいかも」
     エクスブレインからの誘いに言葉を交わす灼滅者達だが、
    「マコトは泳がないのか?」
     何となく気になった灼滅者の言葉に相馬はちょっと微妙な顔をした。
    「泳げなくはないんだが……」
     聞けばマコトは海で泳げないらしい。
     
    ●みんなで海!
    「一応マコトの誕生会みたいなもんだけど、その辺は気にしないでくれよ。本人も皆と海に行けるだけで十分って言ってたしさ」
     そう言いながら相馬は下敷きを灼滅者達へと向け、扇ぎながら言葉を続けた。
    「みんなで楽しく海で一日過ごそうぜ。日焼けや熱中症対策はちゃんとしてこいよ?」


    ■リプレイ


    「お誕生日おめでとう!」
     沢山の言葉に誕生日のマコトは応え、ぐるりと見渡し聞えるのは楽しい声。
     今日は貸し切りの、真夏の1日。
     

     水着があって! 夏なのに! 海に行かないなんて考えられない!
    「というわけで、今年も新しい水着なのよ! たゆんでぽよよんなういを堪能するがいいのだ!」
    「たゆんでぽよ……って、ソレ自分で言うか!?」
     羽衣と慧樹は浅い場所で水遊びをしていたが、
    「羽衣、せっかくなんだし海入ろうぜ!」
     泳げない羽衣をおんぶし、いざ海へ!
    (「……むむぅ、なんかムネが邪魔だわ」)
     愛しいに人におんぶをしてもらっているのに胸が邪魔で、むにょっと遠い。なので全力でくっつき――、
    「……ちょっ、息が…できねぇー!」
     堪能していた慧樹は死にかけた。
    「……ふえ? ごめん、苦しい? 天国なような地獄なような?」
     天国も地獄もまだどっちも行きたくない。
    「さぁもうちょい沖まで泳いでみようか」
     いつの間にかその背は広く腕も長い。ドキドキを胸に羽衣は愛しい人と沖へと向かうと、恋人のくるみを後ろに乗せて沖に出たタージは水上バイクをかっ飛ばしていた。
     波を蹴立てて、お日様の光にしぶきを光らせれば輝きが舞い、
    「あはははっ♪ ほら、くるみ、ジャンプだよっ!」
     水上バイクがぐん、と動いてジャンプ!
    「キャ、あははっ♪」
     急なジャンプにちょっとびっくりするくるみだが、それも一瞬。
     喜んでもらおうと運動神経のかぎりを使い、タージはアクロバッティックに水上バイクを走らせる。
    「キャーッ……」
     水しぶきが舞い、そのアクロバティックな動きに思わずくるみはタージにしがみついてしまった。
    「……くるみ、ごめんね、ちょっとやりすぎたかな。大丈夫かい?」
    「もう、マハルさんたら……えへへっ♪」
     振り向き心配する愛しい人の言葉に許せば水上バイクは再び駆け出した。
     
    「気をつけてね、モエ」
    「大丈夫大丈夫! 海の男萌火さまをなめるなよ……うわぁっとっ!」
     心配するクリスタに応える萌火はこけかけるがすぐに立て直し、笑ってみせる。
    「クリスこそ足滑らすなよな!」
     転ばないよう注意しながらも二人は岩場でカニ探し。
    「モエーここに一匹隠れてる」
    「おおっないす!」
     クリスタの言葉に岩カニを捕まえていた萌火はささっと移動し、新たなカニをゲット!
     ハラハラするクリスタを尻目にカニを顔の横にカニピースする萌火はカニハンタークリスの誕生にけらけら笑う中、この子達は食べられるのかしらと疑問を抱くクリスタだが――、
    「あっ、そうだ」
     バケツ一杯のカニを目に二人はプレゼントにしようと話す中、藍凛は過去のトラウマを克服すべく、菖蒲と共に泳ぎの練習中。
     浮き輪もあるし、何があってもすぐに助けられるから大丈夫! ……だと思う。
    「……離すなよ? 絶対に手離すなよ……」
     浮き輪を手放さない藍凛と共に菖蒲も浮き輪を手放さず、まずはバタ足から。
    「……うぇ……海の水しょっぱい……」
    「はは、海だしなー」
     少しパニックになってしがみつく藍凛に応え、ふと菖蒲は浜へと向ければ楽しげな様子が目に留まる。
     弾む声を耳にしばし眺める菖蒲だが――、
    「……あ、菖蒲……タスケテ……」
    「って、なんでそんなとこに?!」
     いつの間にか藍凛が浮き輪と共に遠くへ漂流しているではないか。
     灼滅者だから死にはしないだろうけど、菖蒲は慌てて藍凛を迎えに泳ぎ出す。
     
    「マコトー! 誕生日おめっとー!」
    「マコト君は15歳、イオちゃんは20歳おめでと~!」
     ぶんぶんと手を振るイオとレビの声にマコトはくるりと振り向いた。
     実はイオもマコトと同じ誕生日なのだ。
    「でもイオちゃん20歳かぁ……違和感ありまくりだよねぇ」
     黒猫飴とフルーツポンチを受け取るマコトを目に言うレビの言葉にイオは反応し、
    「だって小学生……良くても中学生にしか見えないし?」
    「……あーのーなー! 折角20になった日にそういうこと言うなよ!」
     からかう後輩を懲らしめるべく浜辺で追いかけっこ。
    「ハイハイ、降参です。お詫びにこれあげるね?」
     逃走の末に捕獲されたレビが先輩の髪に留めるのは黒銀のヘアピンだ。
    「ん? これ……もしかしてプレゼントか? ったく……ありがとな!」
    「おめでとうございます、柏木先輩」
     プレゼントに触れ、イオは照れ笑い。
     
     夜のプールも楽しかったけど、やっぱり夏は可愛いお嫁さんと一緒に海だよね!
     そんな拓馬は樹と二人で海を満喫中。
     浅瀬で水をかけあったり、追いかけっこをしたりとカップルらしい事をしたり。少し苦手ではあったが喜ぶ愛しい人の表情に来てよかったと樹は思う。
    「いい眺めね……」
     新調した水着に身をむ樹がビニールボートから眺めれば、雲一つない空には鳥がはばたき、水面では魚がぱしゃんと跳ねる。
    「やっぱり、夏の海でも、俺には照りつける太陽より樹が一番輝いて見えるよ」
     拓馬に抱きしめられ、頬に優しいキスが一つ。
    「もう、拓馬くん。ここはみんなの前……」
     拓馬からの言葉はとても嬉しいが、恥ずかしい。
     海鳥の声を耳に、二人だけの時は優しく、爽やかに流れていく。
     

    「青い海! 白い砂浜! 輝く太陽! そして……海の家でだらだらしてる迦月さん! これぞ、日本の夏ですね!」
     白ビキニにレースのパレオ、ピンクのウサ耳フードパーカーの遥香が言えば、迦月はぱたぱたと団扇を扇ぐ。
    「……って、泳ぎに行かないんですか? せっかくの海なのにー」
    「駄目だ、俺は海に入ったら溶けてしまうんだ……」
     居座る気満々の迦月は遥香の頼みに日焼け止めを背中に塗りたくり、
    「それじゃ行ってきまー……ひゃっ、砂熱いっ!?」
     準備完了の遥香は砂の熱さに驚きつつも海の中へ。
     しばらく海の家にいた迦月も波打ち際へと素足で向かうが……。
    「……本当に熱いな。海の家に帰りたい」
    「あ、来てくださったのですねっ。でも早く海の家に戻らなきゃ……溶けちゃったら大変! なんて……ふふっ♪」
     泳ぎ終えた遥香は迦月を見付け、二人で海の家へ向かうとマイケルがクーラーボックスから出したものを冷蔵庫へと移していた。
    「何してるの?」
    「何でもないよ、マコトさん」
     クラスメイトに尋ねられ、マイケルははぐらかすと相馬や店主と共にお手伝いに取り掛かる。
     隠した秘密は夜のお楽しみだ。
     
    「水は得手ではないが……この解放感は心地よいな」
     厳しい日差しも海辺だとあまり気にならないと白ビキニ姿のリリエンタールが見渡せば、
    「準備良いよー」
     新調した水着の友莉はスイカを置くと、その場を離れていく。
    「これが日本の文化スイカ割りですか……実は初めて見るんですよね」
     日本に来て、しかも新調したばかりの初水着のアリスはしげしげとスイカと目隠しをするバンリに興味津々。
    「お気の済むまで回して下さいまっせー!」
     とっておきのモノキニを身に着け、いざスイカ割り!
    「こっちこっちー」
     手を叩き誘導する友莉やミシェル、環が誘導するも、かく乱させる声に足取りは怪しくて。
    「バンリちゃん、右! 右だよっ!」
    「へひー……スカったであります……」
     尊の声に振り下ろして目隠しを外せばスイカはちょっぴり右。バンリは環とバトンタッチ。
     新調した水着は地味かもしれないが、そこはアイドル(自称)。過剰な露出はNGなのだ。
    「もっと右、もっと右だよ。そこから左上上右左右左AB……」
    「左です、左に進んでください」
     明るい緑ビキニのシヴィルが声を上げれば、アリスも誘導する。
     誘導の声に従う環は他と違う誘導を耳に、最初からの誘導の声に従い動く。そして、大上段から振り下ろし――、
     ぼこっ!
    「もう少し!」
     亀裂を目に友莉が声を上げ、環もバトンタッチ。
    「回るついでに足下も回るんだけど……意外と地面でこぼこで、歩きにくい……ふぎゃ」
     初めてのスイカ割りに星希はふらふらと転んでしまい、
    「尊ちゃんはただ己の勘を信じて真っ直ぐ進むのみーって冷たっ……! う、海だこれ! ちょ、っと待って前見えない深くなってく泳げな……!!!」
     うっかり深みに嵌った尊は皆に助けてもらったり。
     皆の声より鼻を頼りにスイカを粉砕しようとするリリエンタールは、尊から爪は駄目だと聞いてしょぼんとし、
    「わ、私スイカじゃないよう!」
     食べる専門の友莉はカニを追って一緒に歩けば迫る棒に慌てて脱兎の如く駆け出したりしていると、皆の言葉を信じてふらふわ~と歩くミシェルの一撃でスイカは真っ二つ!
     近くで見すぎたせいで、飛び散ったスイカで汚れてしまったアリスも受け取ったスイカを一口。
    「おいしいですね」
    「うん、疲れた後に食べるスイカはサイコーだねっ!」
     皆で割ったスイカを手に取り、尊もしゃくり。
    「分類は野菜だけど、甘くておいしいな。塩はあるかい?」
    「塩……持ってないけど、海に浸けたらダメだよ」
     シヴィルと星希が言葉を交わせば、食べ終えたリリエンタールが飛び出た耳と尻尾をぱたぱたさせて、お代わりを口にする。
     皆でスイカ割りを楽しんだ後は、海水浴!
     はしゃぎすぎかとミシェルは気にするが、皆とっても楽しそう。
    「あー! 太陽がまぶしー☆」
     波打ち際ではしゃぐ若い子――そう、エンジェル達の水着姿をバンリと環が眺めていると、アリスは全力で飛び込み泳ぎ出す。
    「キルンベルガーさん、この浮き輪でちょっと浮いてみる?」
    「……水も、そこまで怖くないのだな」
     星希から受け取った浮き輪でぷかぷか浮くリリエンタールだが、その近くで友莉と星希が異変に気付く。
     何か一人足りない。
    「さっきは溺れたけど今度は溺れなちょっとまって深い溺れるもががが」
    「って、山上さんが溺れてる!?」
     いつの間にか溺れている尊を目にミシェルが声を上げ、再びの救出劇を眺めながらシヴィルはパラソルの下で荷物番。
     文庫本も読みながら過ごすのは、優雅な一日。
    「……そうだ、皆の写真を撮ってあげよう」
     カメラには沢山の、楽しく眩しい思い出が収められていくのであった。
     
    「にーさん、いっくよー!」
     ウォーターガンから勢いよく飛び出る水は、リュカの明るい声と共に真人の顔をばしゃりと濡らす。
    「やったなー」
    「にーさんこそ!」
     学園祭で着た水着は互いが手にするウォーターガンの攻撃でずぶ濡れになってしまうが、気にしない。
     浜辺に二人の笑い声と笑顔が溢れ、いっぱい楽しんだ後は海水浴。
     泳げないリュカの両手を持つ真人のレクチャーにバタ足は少しずつ上達していくが――、
    「わっ!」
     慣れた頃合を見計らってわざと真人が手を放すと、リュカは驚き沈みそうになってしまう。
    「大丈夫か?」
    「離さないでって言ったのにー」
     腰を持って助けられたリュカが少し拗ねて見上げれば、そこにあるのは真人の顔。
     二人の距離が近づき、見つめ合う顔がほんのり赤らむ、そんな時間。
    「あつい、ね……」
     水着に着替えた智秋は夏の日差しに目を細めると、シャーリィと共に波打ち際へ。
    「しょっぱ!?」
     掛けられた水が口に入るとシャーリィはびっくり。
     水を掛けあったり、波から逃げたりした後は協力して砂のお城作り。
    「作ってみると結構難しくて……わ、智秋ちゃん器用ですのー」
     波が来ないよう二人で工夫し、完成するのはお姫様が住むようなお城。
    「急いで、食べると、きーんって頭……痛くなっちゃう、よね」
     初めて一緒のお出かけを楽しむ二人は海の家で氷を口にし智秋が話す矢先、頭がきーんとなったシャーリィが笑って誤魔化したり。
    「この後は、どうしよっか」
     泳いでみるのも素敵だと智秋は口にするが、
    「……ぁ。私、泳げないんでしたの……」
     シャーリィの言葉に風鈴が鳴り、爽やかな風がふわりと抜けた。
     
    「やほー! 海だー! 泳ぐぞー!」
     目の前に広がる海を前に、翔は元気いっぱいだ。
    「海で泳ぐ前にちゃんと準備運動しないと足をつって溺れても知らないよ?」
     心配そうに颯は言うが、灼滅者だから溺れても死なないから大丈夫!
    「お、瑠璃花も泳げるのか? じゃあオレと遠泳でもするー?」
    「翔さん望むところですよー。えへへ、でも潜るのも楽しーから、後で潜ろーね♪」
     応える瑠璃花を目に翔は仲間達を見れば、黒いパレオの透は泳がないらしい。
    「夏ときたら海! 年に一回は一度は泳がねェと損だ!」
     アイデンティティであるウサミミ帽子を被ったヘキサも【箱庭】メンバーと海を楽しむべく、気合十分!
    「翔も瑠理花も準備体操はしっかりしろよォ、遠泳するなら尚更だぜェー」
     準備体操もばっちり、泳ぐついでに大物をゲットすべく、ヘキサも海へと繰り出していく。
    「んー、やっぱり海はきもちーですー」
     翔と共にすいすい泳ぐ瑠璃花だが、気持ちのよさにぷかぷか浮いて、寝てしまいそう。
    「ひと泳ぎしたら海の家でも行こうかな」
     ちゃんとご飯を食べて体力回復しないと楽しく遊べない。翔はすいと泳ぐと、
    「獲ったどォーッ!!」
     響くのはヘキサの声。
     素手で取った大物を透に見せて驚かせ、そっと海へと逃がしてやる中、浜辺では颯達がパラソルを開いて物置き場作り。
    「アイツら、本当手伝わないのな」
     海で遊ぶ様子を目に手伝う透に応える颯の言葉は柔らかい。
    「僕は良いんだよ、大人で保護者だからね。遊ぶのは子供の役目ってね」
    「兄さん甘くね? って、保護者役なんてそんなモンか」
     言いながら透はちらりと視線を向け、
    「……そこの砂浜で城作ってる奴、こっち手伝え。」
    「ね、ねーさん壊さないで下さいよ! せっかく大きく作れたのに……」
     瑛斗が作った砂の城を壊してしまう。
    「安心しろ、瑛斗。オレが壊さなくても波に壊されてただろうよ」
     折角作った城は崩れ、波に流されていくと、砂の中から白い綺麗な貝殻が顔を覗かせる。
    (「これでアクセサリーでも作ったら、ねーさん喜ぶかな……」)
    「皆もある程度泳いだらお腹空かして戻ってくるだろうし、それまでに何か見繕っておかないとね。先に何か食べちゃおうか」
    「さ、海の家に買い出し行くぞ。お前、荷物持ちな?」
     貝殻を手にする瑛斗は颯と透の声に顔を上げ、立ち上がる。
    「好きなの買ってきて良いからね」
     海から聞える楽しそうな声を耳に、颯は二人を見送った。
     
    「ん、暑いね……けど、楽しい……」
     今年買ったセパレートの水着姿の時雨はペタンと座り込み日和と作るのは砂のお城作り。
     日和は窓の部分をくり抜き、中を空洞にして……。
    「できたーッ!」
     完成した大きなお城を前に、二人は顔を見合わせる中、
    「フォルケさん、このネジはここでいいんでしたっけ」
    「あ、その瑠璃さんの付けてる位置でたしか大丈夫だと~」
     瑠璃とフォルケは大きな鉄のボビンっぽいものを組み立てていた。
    「ロケットモーターの噴射角度これで……よかったでしたっけ?」
     あやふや状態で作業するフォルケだが、完成は間近である。
     
    ●おめでとうは花火と共に
     日も沈みだし、瑠璃とフォルケがチェックをしているとマコトの姿が見えた。
    「あ、そこゆく三国さん、ちょっとこっちへ」
     作戦通りに瑠璃は呼び止め、
    「「お誕生日おめでとうございま~す」」
     お祝いの言葉と共にロケット点火!
     轟音と共にボビンは勢いよく暴走し、蛇行。そして海に突っ込み自沈。
    「やっぱり駄目でしたか。まぁ……ある意味予想の範疇ではありますが」
    「う~ん、やっぱり設計が甘かったですかね……」
     眺めて顔を見合わせる二人だが、
    「あ、三国さーん。おたんじょーびオメデトーッ!」
    「ん、誕生日おめでとうございます……これ、どうぞ……」
    「どうもありがとう!」
     日和がお祝いの言葉を言い、時雨が猫の顔のクッキーを贈ればマコトは笑顔を返し、お礼とばかりに線香花火を手渡した。
    「わ……綺麗……」
     手にする線香花火は淡い光を灯し、パチパチと花を散らす美しさに時雨は感嘆する。
    「サヨさん、キレイだねーっ」
     日和の言葉に頷き見つめれば、散る火花は刻々と姿を変えていく。
     
    「おーっ、思ったより派手だな、これ」
     勇真は色々な種類の花火を試していた。
    「締めはこれにしようぜ」
     テンションは高めの勇真が最後に選ぶのは線香花火。
     どれだけ長く保つか競えば、先に落ちるのはマコトの火花。
    「俺の目に狂いはなかったな」
     誇らしげに言う勇真の前には笑顔のマコト。
    「2日遅れですけど、おめでとうございます。焔月先輩」
     思いっきり遊んだ今日はいい一日だったと思う中、
    「花火なんて何年ぶりだろうなあ」
     幼い頃を思い出す隼人を花火の灯りがまばゆく照らす。
     自分が作る洋菓子も花火のように色が変わるようになれば面白いのに、と思う隼人がマコトと手にするのは色とりどりの花火に線香花火、そしてちょっと苦手なねずみ花火。
     花火は徐々に減り……。
    「マコト、誕生日おめでとう!」
     こっそり用意しておいたオレンジゼリーを渡すとマコトは満面の笑みで受け取り、
    「おめでとう、マコト」
    「これ、オレ達からのプレゼント!」
     クリスタと萌火も岩カニをプレゼント。
    「わ、どうもありがとう!」
    「マコトさん、Happy Birthday~!!」
     喜ぶマコトへマイケルが用意したのは冷蔵庫に隠していた誕生日アイスケーキ。
    「マイケルもケーキありがと、凄く嬉しい!」
     蝋燭の火を吹き消し、切ったケーキを口に言うマコトを目にマイケルもにっこり笑顔。
     
     浜辺には花火を楽しむ声が響き、夏の一日はこうして過ぎていくのだった。

    作者:カンナミユ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年8月25日
    難度:簡単
    参加:40人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 8
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