星野・未来(虹の彼方の空の星・d26796)は、こんな噂を耳にした。
『貧乳を笑う都市伝説と、それを慰める都市伝説が現れた』と……。
この都市伝説は常に二人で行動しており、貧乳女性を見つけると『あはははは、何アレ! ちょーウケる。甲板胸って奴? それとも、洗濯板? あはははは、どっちにしても面白れぇ』と言いつつ、茶髪の都市伝説が爆乳を揺らして馬鹿にするようである。
それに気づいた黒髪の美少女風都市伝説が、『あ、あの……胸が小さくたって気にする事はありませんよ。ほ、ほら、そのうち大きくなるかも知れませんし。女の子の魅力は胸だけじゃありませんから』と言って、同じように爆乳を揺らすようだ。
そのため、都市伝説に絡まれた貧乳女性は、絶望のどん底に突き落とされ、どんよりとした空気を纏いながら、胸の大きな女性に対して激しい恨みを抱くようである。
しかも、都市伝説達はこれみよがしに胸を揺らして、谷間で挟み込もうとするため、色々な意味で要注意。
そういった事も踏まえた上で、都市伝説達を倒す事が今回の目的である。
参加者 | |
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九条・泰河(祭祀の炎華・d03676) |
リアノア・アイゼンガルド(金色の夢・d06530) |
清水・式(愛を止めないで・d13169) |
星野・未来(虹の彼方の空の星・d26796) |
杠・狐狗狸子(銀の刃の背に乗って・d28066) |
照崎・瑞葉(死損ないのディベルティメント・d29367) |
イヴ・ハウディーン(怪盗ジョーカー・d30488) |
風上・鞠栗鼠(言霊使いの読書家・d34211) |
●ふたりの爆乳
「まさか、初めての依頼が、これとは……」
風上・鞠栗鼠(言霊使いの読書家・d34211)は複雑な気持ちになりながら、仲間達と共に都市伝説が確認された場所に向かっていた。
都市伝説は茶髪の爆乳と、黒髪の爆乳の二体で、貧乳女性をからかって絶望のどん底に突き落としているようだ。
一応、黒髪美少女風の都市伝説がフォローを入れているようだが、実際には茶髪の女性と同じような事を言っているため、相手のダメージも凄まじいようである。
「……この依頼、まずいわね……」
杠・狐狗狸子(銀の刃の背に乗って・d28066)が、険しい表情を浮かべた。
かつての狐狗狸子であれば、都市伝説の話を聞いただけで、ブチ切れていた事だろう。
だが、狐狗狸子は『ある』側の人間。
例え都市伝説と目が合ったとしても、ターゲットにされる事はないだろう。
だが、それでも……嫌な予感しかしなかった。
「……煽って慰めるとか、余計にダメージ負うんだよ、こんちくしょおおおおおおお!?」
その途端、星野・未来(虹の彼方の空の星・d26796)が、怒りで拳を震わせる。
ある意味、最強最悪の存在。
そういった意味で、存在させておく理由はゼロ。
躊躇う事無く跡形もなく消し去るのが、精神衛生的にも一番良い方法と言えるだろう。
「何だか、素晴らしい都市伝説だね! 美味しそうなんだよ!」
それとは対照的に、九条・泰河(祭祀の炎華・d03676)が、興奮した様子で鼻息を荒くさせる。
まさに極楽! 色々な意味で美味しい依頼である。
「毎度思うけど、なぜ女性は胸の大小を気にするんだろう。大きいからどうと言われても、いまいちピンとこないし。何よりそれを自慢する女性はバカっぽく感じるし、胸が小さいからって悲観する人も、なぜか人として悲しむ点が違うだろって思える。男には、わからない悩みなんだろうか?」
清水・式(愛を止めないで・d13169)が女装した状態で、不思議そうに首を傾げた。
式にはまったく理解する事の出来ない悩みだが、女性達にとっては笑って済ませる事が出来ないほど、深刻な問題なのだろう。
そう言った空気だけは感じる事が出来るため、なるべく触れないようにしているのだが、既にまわりはピリピリムード。
何がキッカケで誰かが暴れ回る野ではないかと思うほど、危険な状況になっていた。
「どんな理由があれ、人の抱えているコンプレックスを笑うのは褒められた事ではありません。この方々にはお説教と、キツイお灸をすえてあげなければなりませんね」
リアノア・アイゼンガルド(金色の夢・d06530)が、自分自身に気合を入れる。
そんなリアノア達の前に、都市伝説達が現れた。
すぐさま、茶葉の都市伝説がリアノア達を上から下まで品定めをすると、これみよがしにぽよんと爆乳を揺らす。
「あれれー? あの子達はなんで胸にスイカとかメロンつめてるのかなぁ? ……ってちがうやー、これ胸だ、あははははははは」
それに気づいた照崎・瑞葉(死損ないのディベルティメント・d29367)が、血の涙を流しながら笑い声を響かせる。
あんな大きな胸があるわけがない、あり得ない!
そう思い込もうとしても、目の前で特大サイズの胸が揺れていた。
それは瑞葉にとって、あり得ないほどのサイズだが、都市伝説からすれば、普通サイズのようである。
「しかし、都市伝説は二人組か……。鞠栗鼠姉ちゃん、茶髪の都市伝説見て、凄く恐い顔してたな……。世の中の貧乳さんのため、都市伝説にお仕置きだな」
そんな中、イヴ・ハウディーン(怪盗ジョーカー・d30488)が、色々な意味で恐怖を感じてガタガタと体を震わせた。
●爆乳乱舞
「あんなに胸が大きくて、肩が凝らないんでしょうかね?」
リアノアが不思議そうに首を傾げて、都市伝説達に視線を送る。
都市伝説達の胸は不自然なまでに大きいため、普通に考えれば肩が凝りそうである。
「つーか、凝る訳ねーだろ。この完璧ボディに無駄はねぇ。つまりスタイルがいいから、片は凝らねー。つまり、そういう事だ」
茶髪の都市伝説が独自の理論を展開した。
一体、何の根拠があって、そんな事を言っているのか分からないが、とにかく自信満々である。
「スタイルいいのは、わかったので。静かにしてもらえませんか? それとも、頭に栄養が回ってないのでしょうか」
それでも、式は怯む事なく、残念な目で都市伝説達を見た。
「ほら、来た。貧乳特有のひがみ。だったら、お前は胸の栄養まで頭に行っちまったのか」
茶髪の都市伝説が、ケラケラと笑う。
「やめようよぉ。きっと、これから……大きくなる……はずだから……」
黒髪の都市伝説が、何となく式にフォローを入れているものの、明らかに同情の眼差しを送っており、本心からそう言っているようには思えなかった。
だが、式は女装しているだけ。
そのため、何を言われても傷つく事はない……はずだった。
「うるさい。その醜い脂肪をなんとかしてください。目が汚れます」
気がつくと、式は涙を流していた。
もしかすると、志半ばで散った貧乳女性達の霊が、式に何となく憑依したのかも知れない。
そう思ってしまうほど、都市伝説達の言葉が、心にグサリと突き刺さる。
しかし、これは間違いなく、貧乳女性達が感じた痛み。
性別は違えど彼女達の気持ちを理解する事が出来たのだから、ある意味で貴重な体験かも知れない。
「さっきから好き勝手な事ばかり言って、どうなるのか分かっているんでしょうね!」
瑞葉が怖い笑顔を浮かべて、都市伝説達に攻撃を仕掛けていく。
「……って、ちょっと待って! 敵はあっちよ、瑞葉! いた、あいたたっ!」
その巻き添えを食らって、狐狗狸子もボッコボコ。
「あれ? 狐狗狸子ちゃんだ。ちっぱいオーラ出してるけど、なんかこの前一緒に濡れ透け都市伝説退治に行った時、さりげなく確かな膨らみがあった狐狗狸子ちゃんだ。ねぇ、なんで貴女はちっぱいじゃなくなったの、あはははははははははは……」
瑞葉は笑いながら、狐狗狸子を殴っていた。
泣きながら、狐狗狸子を殴っていた。
何故だか理由は分からない。
だが、何となく裏切られたような気持ちになった。
「いや、だからっ! 敵はあっち! あっちなの!」
狐狗狸子も必死に落ち着かせようとしているが、瑞葉の耳には全く届いていない。
「おうおう、やれやれ、やっちまえ!」
茶髪の都市伝説はそれを見て面白がった。
「うう……、このままやと過去のトラウマ見てまうわ……」
そんな中、鞠栗鼠が黒いオーラを纏う。
茶髪の都市伝説を見たせいか、過去のトラウマが蘇った。
おそらく、それは以前、告白した野球部の先輩に似ているせい。
残念ながらフラれてしまったが、その先輩と都市伝説がダブる。
「おい、こら! さっきから何を見ていやがる」
それに気づいた茶髪の都市伝説が、鞠栗鼠の胸を揉む。
その途端、まるで先輩に胸を揉まれているような感覚に陥り、何とも言えない妙な気分になった。
「こ、このままだと、まりりす姉ちゃんが……!」
すぐさま、イヴが斬影刃を放ち、茶髪の都市伝説の服を破る。
「何しやがるんだっ、こん畜生!」
「ま、まあ、落ち着いて。きっと、みんな羨ましいのよ」
茶髪の都市伝説が爆乳をあらわにしてブチ切れたものの、黒髪の都市伝説が慌ててフォロー。
「嫉妬し絶望を齎すいけないおっぱいには、たっぷり堪能してお仕置きだよね!」
すぐさま、泰河が黒髪の都市伝説の背後に回り込んで胸を揉む。
「きゃああああ、変態っ!」
これには黒髪の都市伝説も驚き、辺りに悲鳴を響かせた。
「さすがにそれは……やり過ぎです」
それと同時に未来が笑顔を浮かべつつ、泰河に対して殺気を放つ。
この先、どう転んでも少年誌レベルでは収まらないと判断したのだろう。
不自然な光だけではカバーではないと判断したため、その殺気も刃物の如く鋭く光っていた。
●爆乳大決戦!
「ねぇ、何で。どうして、胸があるの? 少し前までなかったよね? ぺったんこだったよね? それがどうして? ひょっとして、悪魔的なモノと契約したとか? それとも、今まで、ずっと騙していたの?」
その間も瑞葉が暴走気味に狐狗狸子を襲う。
狐狗狸子もそれに拳で応え、熱い思いで火花を散らす。
「これはさっきのおかえしですっ! えいっ!」
それと同時に黒髪の都市伝説が顔を真っ赤にして、泰河が胸の谷間で挟み込む。
こうすれば、泰河も悪い事が出来ないと判断したのだろう。
泰河がどんなに暴れても、挟んだまま離そうとしなかった。
「私もどちらかといえば大きい方に入りますが、あの方々の前では霞んでしまいますね」
それを目の当たりにしたリアノアが、感心した様子で溜息をつく。
「きゃあああ!」
その途端、イヴがわざとらしく悲鳴を上げ、派手にバランスを崩す。
「はははははっ! 油断したなっ! これで身動きが取れまい!」
茶髪の都市伝説はその隙を逃す事無く、イヴの顔を胸の谷間で挟み込む。
「この弾力たまりませんな」
それと同時にイヴが胸に吸い付く勢いで、茶髪の都市伝説に襲い掛かった。
「……って、罠だったのか!」
すぐさま、茶髪の都市伝説が、その場から飛び退いたものの、霊犬の野良が胸の谷間にダイブ!
『絶対に都市伝説は逃がさない』とばかりに、茶髪の都市伝説を押し倒した。
それに合わせて、鞠栗鼠が七不思議奇譚『赤狼』を使い、都市伝説を追い詰めていく。
「……覚悟はいいね」
続いて式がビハインドの神夜と連携を取って、都市伝説達に攻撃!
何故か神夜はマジギレしており、都市伝説の胸を切り落とす勢いで、何度も攻撃を仕掛けていた。
「散々、迷惑かけておいて、反省しとるんかいな? 特に茶髪……」
鞠栗鼠は都市伝説達に視線を送る。
都市伝説達は既にボロボロ。
黒髪の都市伝説に至っては、神夜に胸を切り落とされて、呆気なく消滅した。
そのため、鞠栗鼠は茶髪の都市伝説を吸収すると、疲れた様子で溜息をもらす。
「……虚しい勝利ですね」
未来が色々と察した様子で、落ち込む瑞葉を慰めに行く。
「……あれ? そう言えば、戦闘は?」
そこで狐狗狸子がハッとした表情を浮かべ、驚いた様子で辺りを見回した。
どうやら、瑞葉を相手に拳と拳で語り合っている間に、全てが終わってしまったようである。
「でも、改めて思うけど……特に放置しても良かった気がするというか……いや……こういうのが跋扈するこの世界に戦慄を覚えずにはいられない気がするね」
その横で泰河が小さくコホンと咳をした。
何やら一瞬、妙な殺気を感じたため、おそらくこう答えるのが正解である。
そんな事を考えながら、泰河がその場を後にした。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年8月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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