「うわっなんだここ!?」
Tシャツにジーンズというラフな格好の少年が目を覚ますと、そこは薄暗い岩肌の空間だった。硬い地面に横たわっていた少年が飛び起きる。
「ここって洞窟か? なんでこんなところに……えっと、確か夏休みのアルバイトの面接をしてたはず……」
きょろきょろと周囲を見渡した少年が何故こんな場所に居るのかと、混乱した頭を斜めにして記憶を振り返る。
「これって夢? ……じゃないよな」
壁に触るとごつごつとした岩の感触を確かに感じる。土の匂いにじめっと流れる汗、それらは確かに現実だった。
「なんか蒸し暑いし……とりあえずここから出よっ! えっと、出口はこっちかな? まあ、明るい方に向かえば出れるよな」
少年は少しでも明るい方向へ向かって歩を進める。その先には出口ではなく、炎を纏った竜が居るとも知らずに……。
「やあ、もう夏休みだね。でもダークネス達の行動に休みなんてないみたいでね」
夏休みの教室に集まった灼滅者達に、能登・誠一郎(高校生エクスブレイン・dn0103)が溜息と共に説明を始めた。
「どうやら理由は分からないんだけど、竜種イフリートの巣にしている洞窟に少年が迷い込んでしまうみたいなんだ」
結果、イフリートの機嫌を損ねて少年は殺されてしまう。
「今ならまだ少年が犠牲になる前に助ける事が可能だよ。みんなには子供を救出して、竜種イフリートを倒してきて欲しいんだ」
その言葉に灼滅者達は頷き、作戦の詳細に耳を傾ける。
「洞窟があるのは群馬県の山で、元々は小さな場所だったのを竜種イフリートが拡張して巣にしたみたいだね」
中は薄暗く明かりの届かない場所もある。
「洞窟は一本道だから迷う事はないよ。竜種イフリートに近い場所に少年は居るんだ、それを保護して竜種イフリートを倒して欲しい」
目覚めた少年はイフリートの居る方向に向かって歩き出す。急ぎ確保する必要があるだろう。
「竜種イフリートも物音に気付くと動き出すみたいなんだ、だから少年を守りながら戦う可能性が高くなると思うから気をつけて」
狭い洞窟内だ、竜種イフリートの攻撃にさらされないよう気を配る必要がある。
「このイフリートはおそらく朱雀門が戦力増強の為に集めた戦力なんだと思うんだ。どうしてこんな状況になったのかは分からないけど、敵戦力を削る機会だからね、夏休み早々に悪いけど、みんなに頑張ってきてもらいたいんだ」
誠一郎が暑い中ごめんねと箱に入った棒アイスを差し出すと、灼滅者達は一本ずつ引き抜き、冷たいアイスを食べながら焼けそうな日差しの外へと歩き出した。
参加者 | |
---|---|
峰崎・スタニスラヴァ(エウカリス・d00290) |
黒曜・伶(趣味に生きる・d00367) |
焔月・勇真(フレイムエッジ・d04172) |
フランキスカ・ハルベルト(フラムシュヴァリエ・d07509) |
神原・燐(冥天・d18065) |
橘樹・慧(月待ち・d21175) |
楠・神名(冒険行こうぜ・d32211) |
カルム・オリオル(ヒッツェシュライアー・d32368) |
●巣
群馬県の山に出来た薄暗い洞窟の中へ、灼滅者達は慎重に足を踏み入れる。
「夏にイフリートと洞窟で戦闘って暑そうだよな……」
橘樹・慧(月待ち・d21175)は用意しておいた水筒の入ったリュックを洞窟の脇に置く。
「面接と言って人物を集め、なにか試す人物がいるということでしょうか。無事に少年を助けだして聞かないといけませんね」
疑問を解消する為にもまずは行動を開始しようと黒曜・伶(趣味に生きる・d00367)が仲間に振り向く。
「さて、足元に気をつけつつ早急に向かいましょう」
「竜種イフリートとは初めて相対することになんなあ」
今までの戦いを思い出しながらカルム・オリオル(ヒッツェシュライアー・d32368)は頷く。
「どうしてこういうことになったんかは分からんが、このまま見過ごすわけにもいかんし、いっちょ頑張ってくとすっかね」
気負い無くカルムは洞窟に足を踏み入れた。
「理知なき筈の竜達の巣穴へ、示し合わせた様に時期を同じくして一般人が連れ込まれる……何者かの意図を感じずにはいられません」
事件にきな臭さを感じながらも、フランキスカ・ハルベルト(フラムシュヴァリエ・d07509)は目の前の危機にまずは集中しようと頭を一つ振った。
「夏休み中のバイトの面接中だったって人、多いね。さて、どこの会社の面接中だったんだろ」
スタンこと峰崎・スタニスラヴァ(エウカリス・d00290)は滑りにくい靴で岩肌の剥き出した洞窟の中を慎重に進む。
「何はともあれ、早く助けて竜種も倒さないとな」
焔月・勇真(フレイムエッジ・d04172)は足元に気をつけながらも、気持ちが急かすように少しでも歩む速度を上げる。
「奥は少し暗いですね、ライトを点けておきましょうか」
神原・燐(冥天・d18065)がライトを点けると、仲間達も点灯して周囲を照らす。そして暫く進むと奥から若い男の声がする。
『くそっこっちであってるのか? 間違ってたらまた戻らないといけないのかよ』
灼滅者達が歩く速度を上げると、そこには悪態を吐きながら壁伝いに進む少年の姿があった。
「え? 明かり? おーい! 誰かいるのかー!」
照明の光に気付いて少年は振り返り声をかける。
「ここ危険なんだ、声立てないでくれな」
近づいた慧が威圧して気力を奪いながらそう告げる。だがその時だった。むっとするような熱気が洞窟を吹き抜ける。そしてドシッドシッと重々しい足音が響く。ぬうっっと曲がり角から顔を出したのは竜の如き姿。開いた口からは炎の吐息が漏れ出る。
『グルルルルゥゥ』
喉を鳴らしその視線がギロリと侵入者である灼滅者と少年に向けられた。
「やっほー。すげー、ドラゴンだぜ! っと、助けるの優先だ!」
思わず興奮した楠・神名(冒険行こうぜ・d32211)が歓声をあげるが、慌てて少年に駆け寄り軽々しく持ち上げるとライドキャリバーの世界を駆ける馬に乗せた。
「兄ちゃん、ここは危ないから急いで逃げるぜ!」
「り、竜……」
竜を見て呆然とする少年を支えて神名は駆け出す。
「飛ばせ、世界を駆ける馬! すぐに戻ってくるからそれまで任せたぜ!」
外へと向かう神名達を追いかけようと竜が足を踏み出す。だがその前を残った灼滅者達が遮った。
「頼んだぜ神名、ここは任せろ!」
背を向けたまま声をかけ護るように勇真は剣に炎を纏わせて恐竜へと向ける。
●目覚めた竜
『ギュオオオオオオオオッ!』
洞窟中に響き渡るような咆哮と共に、竜が噛み砕かんと口を開いて襲い掛かってくる。
「さて、それでは戦闘を始めましょう」
前に出た伶は影を壁にして竜の一撃を受け止める。だが竜は影を噛み切り顔を振って角で伶を吹き飛ばした。
「まずは足を止めるよ。お願い、梔」
スタンの足元から影が伸びて鋭い刃となって竜の足に突き刺さる。
『ギュゥォッ!』
竜が周囲を薙ぎ払うように尻尾を振るう。
「ここから先には行かせねぇ!」
勇真が真っ向から剣で受け止める。吹き飛ばされそうになる体を地面を抉るように踏ん張って堪える。その横にライドキャリバーのエイティエイトが突っ込んで尻尾の勢いを止めた。
「行ったみたいやな。ほな、はじめよか」
カルムは神名と少年の後姿が見えなくなったのを確認すると動き出す。竜の背後に回り込み鞭剣を振り抜く。うねるように伸びた切っ先が竜の脇腹に突き刺さった。
『ギュギュッオオォッ!』
咆える竜が尻尾を鞭のように振るう。
「やっぱり近づいただけで暑いな」
割り込んだ慧はその尻尾を蹴り飛ばして軌道を変える。暴れる尻尾が岩壁を抉って破片が飛礫のように迫る。それをキャリバーが機銃で撃ち落とした。
「絶対的な常闇の冥き皇の星」
燐がカードを手に力を解放する。
「惨禍。今日もお願いね?」
隣にふわふわと現れたナノナノの惨禍の頭を撫で、オーラの塊を竜の頭目掛けて撃ち出し、続けて惨禍も風を巻き起こす。だが竜は長い尻尾を振りオーラと風を纏めて吹き飛ばした。
「その邪魔な尾を断ち切る!」
フランキスカが跳躍する。それを打ち落とそうと迫る尾を何もない空間を蹴って軌道を変えて躱すと、交差する瞬間に太刀を振り抜く。炎が撒き散らせれびちゃりと何かが地面に落ちる。それは竜の尻尾の先端。鋭い刃は硬い鱗を貫き斬り落としていた。
『ギィィィォォ!』
振り向いた竜は怒りに口から炎を漏らし、大きく開かれた口の奥に炎が渦巻く。一気に吐息が吐き出され火玉が放たれた。空中のフランキスカは空いた手で銀色のナイフを引き抜きながら火玉を切るが、火玉は爆発してその身は吹き飛ばされ壁に衝突して落下した。
「みなさんの怪我は、わたしが癒します」
すぐさま燐が矢を番え放つ。真っ直ぐに飛んだ矢はフランキスカに当たると吸い込まれるように消え、体を巡る力が焼けた皮膚を元に戻していく。
『ギュオオッ!』
もう一度竜が大きく息を吸い込み、炎が体内に蓄積される。
「残念、炎は吐かせないよ」
スタンの影が何本もの剣の形となって竜に襲い掛かる。舞うように鱗を傷つける影を、竜は鬱陶しそうに前足で追い払う。
「こう狭い洞窟では動き回られると厄介ですね」
背後から伶が影を伸ばし、竜の体を縛るように巻きつける。
『ギィォッ』
「そのままじっとしてろ!」
引き千切ろうともがく竜に、勇真が光輪を投げつける。それを屈んで避けようとする竜。だが光輪は曲線を描いて曲がり、竜の背中を斬り裂いた。
『ィィィォオオ!』
竜は体を壁に叩きつけるようにして暴れる。
「その鱗を貫く!」
フランキスカが持つナイフの刀身が光を帯びて伸びる。間合いの外、構わず光剣を振るうと光の刃が放たれる。
『ギイォオッ』
刃は傷ついた鱗に当たり打ち砕いた。傷口から火が溢れ出る。ギロリと睨むと竜は腹を膨らませ、大きな顎門から溜まっていた炎を吐き出した。その炎球の前に慧とキャリバーが立ち塞がる。
「これじゃあまるでサウナだな」
慧がマジックハンドを伸ばし結界を張る。炎が結界を貫く、そこへキャリバーが突撃して吹き飛ばされながらも炎の勢いを弱めた。
「あっついなぁ……ちょっとは大人しくできんのか」
炎が薄くなった部分を突っ切り、カルムが腕に装着した巨大な杭を竜の胴体に撃ち込む。
『オオオオォッ!』
竜は衝撃に体内の炎を吐き切る。そして体をねじってカルムを見つけると、牙を突きたてようと口を開いて襲い掛かる。
「いっけー、スターゲイザーッ!」
そこへ壁を蹴って跳躍した神名が飛び蹴りを放って竜の顔を横へ押し出した。牙は岩壁を噛み砕く。
「ただいま! 無事に避難させたぜ! ここから全力で竜退治だ!」
着地した神名が笑みを浮かべる。仲間達も頷き竜と対峙した。
●灼熱の炎
『ギュォオオオオオオオ!!』
竜の咆哮が洞窟内に木霊する。大気が震えるほどの音に近くに居た灼滅者達の動きが止まる。そこへ竜が牙を剥く。
「そうはさせないよ、梔」
スタンが自らの影に呼びかけると、反応したように影が動き槍のように竜の足を貫いた。それでも牙を向ける竜に惨禍が割り込んでしゃぼん玉を飛ばす。
「惨禍が相手をしてくれているうちに、夜霧で敵の目を欺きます」
竜の気が逸れているうちに燐が匕首を振るう。すると夜霧が周囲を覆い仲間達を癒しその身を隠した。
『ギィィッ』
竜は頭を振って角を惨禍に叩きつけて地面に叩き付け、更に霧を追い払うように角を振り回して周囲を薙ぐ。
「残念、こちらですよ」
伶が帯を飛ばす。鋭い刃と化した帯は竜の右目に突き刺さった。
『ギィィギギィィィァッ!』
金切り声のように竜の苦悶の声が響く。
「俺の剣も熱いぜ! 味わってみろ!」
駆け出した勇真に竜は角を向ける。だがそこにエイティエイトが機銃を撃ち込むと、嫌がった竜は顔を背ける。その隙に炎を纏った剣を振り抜いた。竜の胸を斬り裂き炎が肉を焼く。更に剣を切り返して振るうが、竜は蹲って硬い鱗で身を守る。
「守りに入ったか。ならば鱗を貫くまで重ねるのみ、見切れるか!」
フランキスカが太刀と光剣の二刀を持ち、駆けながら斬りつける。竜は反撃に頭を振るうが、跳躍して避けると反対側からまた斬りつける。幾重にも剣を走らせ傷を残していく、そしてとうとう鱗を破り竜の背から炎が吹き出た。
『ギギギィィィォオオ!』
口を開けた竜が炎を撒き散らすと、キャリバーが前に出てその攻撃から仲間を守る。
「このままじゃ蒸し焼きになりそうだな。少しその口を閉じてもらうよ」
離れた場所で慧が槍を回転させ炎を捌き、鋭く突きを放つ。穂先から放たれた氷柱が竜の口に当たり凍りつかせた。
「やっぱドラゴンは迫力あるなー! けど、灼滅者のチームが負けるもんかよ!」
神名は巨大な刀を担ぐと一気に飛び込む。跳躍した勢いを乗せて振り下ろす刃は竜の頭を叩き伏せた。ぐらりと竜の巨体が揺れる。
『ッオオォォォ!』
倒れそうになった竜は踏み止まり、その怒りに満ちた視線を神名に向けると顎門が開いた。喰らってやろうと剣のように鋭い牙が迫る。
「そんなに口開けたらアホかと思われるで」
いつの間にか懐に入り込んでいたカルムが、影を纏った拳を突き上げる。顎を捉え打ち上げると口を無理やり閉ざした。
「火を吐くようだけど、自分が焼かれるのは耐えられるかな」
スタンの影が起き上がり先端に火が灯る。一瞬にして燃え上がった炎が竜に浴びせられる。
『ギィィッ』
皮膚が焦げるように焼け、竜は逃れるように寝床のある巣の奥へと向かう。だがその足に影が纏わりついた。
「おっと、ここからは逃がしませんよ?」
伶の伸ばした影はそのまま広がり竜を呑み込んだ。
「奥は行き止まりだろ、そっちに行っても逃げられないぜ」
矢のように真っ直ぐに突っ込んだ勇真は構えた炎の剣を竜の喉に突き刺す。開いた穴から炎が漏れ出る。
『ギグゥゥゥウォォッ!』
壁にぶつかるように竜が暴れ回ると勇真は剣を手放して離れる、入れ替わるように光線が飛来し竜を貫いた。
「こんな狭い場所で駄々をこねると危ないですよ」
竜が向かってくると、燐は壁を蹴り頭上からもう一度腕から放つ光線を浴びせる。
『ィィィィィッ』
口元から炎を漏らし竜は顎門から灼滅の玉を放とうとする。
「そんな見え見えの攻撃をさせるとでも?」
勢いをつけて跳躍した慧が飛び蹴りを放ち、顔の側面を蹴りつける。だが竜は踏ん張り顔を振って慧を押し返す。
「よっし! 俺も手伝うぜ!」
続けて神名が跳び、慧の隣に蹴りを打ち込んだ。衝撃に竜の顔が壁に押し付けられる。
『ギィォア!』
竜はそのまま炎を放った。壁にぶつかり自らを燃やすように炎が拡散し、巻き込まれた慧と神名が吹き飛ばされる。
「炎であろうと、間合いに入ったものは全て斬る!」
フランキスカが燃え広がる炎を剣で斬り、空間を捻じ開けた。
「そろそろ終わりにしよか、これ以上動いたら汗だくになってまうし」
カルムがのんびりした調子でその空間に詰め、高速回転する巨大な杭を腹に叩き込み、貫通した先端が洞窟の壁に突き刺さし体を縫いつけた。
「祓魔の騎士・ハルベルトの名に於いて汝を討つ。灰燼へと還れ!」
動けなくなった竜へフランキスカが太刀を突き刺す。刃が燃え、内部から竜の体が焼かれていく。
『グギグォォォオオ!』
致命傷を受け倒れた竜の体中の傷口から炎が噴出し周囲を燃やし吹き飛ばしていく。戦いで何度も衝撃を受けた洞窟が崩れ始めた。
「やばい! 逃げよう!」
神名が一目散に逃げ出すと、他の仲間たちも一斉に駆け出す。外の光が当たる頃、奥では断末魔の悲痛な竜の声が響き、洞窟は埋まった。
●謎
「無事だったんだ! あの竜みたいなのはどうなったんだ?」
洞窟の脇で座って待っていた少年が立ち上がる。
「当然勝ったし、俺達の力なら余裕だぜ!」
満面の笑みを浮かべ神名は胸を張る。
「大変だったな。あ、水とか飲むか」
「あ、ありがと」
勇真が置いておいた鞄から水筒を取り出して渡すと、喉の渇きを思い出したように少年はゴクゴクと飲み干す。
「何でこんなとこにいたんだよ。山歩き好きなのか?」
「違うって、気付いたらここにいたんだ!」
慧が軽い調子で尋ねると、まだ混乱している少年は慌てて首を振る。
「体には異常はない? わたしたちは改札を出たらここにいたんだけど」
スタンは相手を落ち着かせようと、自分達も同じような身の上だと語る。
「ここへ来る前、誰かと会ったり見られていたりした覚えはありませんか?」
「体は別に、平気だと思う。ここに来る前……アルバイトの面接してたんだよ。そこで志望動機とか聞かれたりして、出されたジュースを飲んだんだ。そっから覚えてない。いきなりこんな洞窟にいたんだよ!」
フランキスカの言葉にどうしてこんな場所にいるのかと、落ち着いた少年はようやく状況を飲み込んで周囲を見渡す。
「どうして面接を受けようと思ったんですか? それと面接のための募集要項なんて書いてあったか覚えてますか?」
「張り紙でバイト募集してたから、別に変なところは、普通の募集だったと思う……」
伶の質問に少年は首を捻って思い出すようにして答えた。
「差支えなければですが、何処の会社か教えて貰えますでしょうか? 若しかしますと案内出来るかもしれませんので」
「芦屋だよ、イベントスタッフ募集のバイトを出してた会社があったんだ。ここって神戸のどこらへん?」
燐が丁寧に尋ねると、答えた少年も尋ね返す。
「ここは群馬県や、神戸からはかなり離れとるな」
「ええええ!? 群馬県ってどこだっけ?」
目を丸くした少年に肩を竦めたカルムが説明する。
「もう訳わかんねーよ」
「オレらがちゃんと送ってやるから、元気出せ!」
ぐったりと脱力する少年を励ますように勇真が肩を叩く。
スタンが念の為連絡先を交わし、少年を駅まで送り届けようと、灼滅者達は涼やかな風の吹く山道を歩き出すのだった。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年8月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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