宵神楽

    作者:菖蒲

    ●祭囃子
     夏の夜は永い。
     響き渡る笛と太鼓の音色に誘われる様に歩を進めれば、灯りを零す提灯が鮮やかに周囲を照らす。
     陽気な民謡に合わせて踊る人々を通り過ぎ、大きな境内に昇ればもうすぐ大空を花が彩る事だろう。
     屋台の並ぶ祭りの小路。安いよと囃したてる声に誘われて、鼻孔を擽るソースの香りに腹の虫がきゅうと疼いた。
     ぱぁん、となった射的の音に、棚の上でぐらぐらとぬいぐるみが揺れている。
     コーティングされた林檎達が光を反射してきらりと光れば気泡を揺らすラムネの瓶でビー玉がころりと揺れる。
     尾を揺らした金魚達は新たな主人を期待する様に見つめては、知らないと首を振って逃げる様に背を向けた。連れない態度に拗ねたように水に浸せばポイは簡単に水の中へと誘われた。

    「マナの実家……関西の方なんだけど、大きなお祭りがあるらしいの」
     不破・真鶴(中学生エクスブレイン・dn0213)は両親から聞いたという祭りの誘いに胸を躍らせて笑みを浮かべる。
     メインストリートの屋台、そして盆踊りの会場と打って変わって花火会場へと姿を変えるその祭りは夏にうってつけの場所だ。
     屋形船の行きかう川沿いからも、ひっそりとした神社の境内も花火を見るには良い場所だ。
    「良ければ一緒に行きましょうね。マナ、射的とかしてみたいな」
     からからと下駄を鳴らせば、そこは巡る巡る幻想の世界。
     祭囃子に誘われて――宵の世界に暫し留まろう。


    ■リプレイ


     心地よい祭り囃子に誘われて。下駄をからんと鳴らした千穂は【czas】の仲間達を振り仰ぐ。
     クリーム地に撫子と萩の浴衣に髪は結い上げた大人女子風のいでだちにすずめは綺麗と瞳を細める。
     白地に金魚を泳がせる彼女の傍で藍の甚平に朝顔を咲かせた瑛多が胸を張る。
    「婆ちゃんに買って貰いました!」
     祭りにはしゃぐ彼を追い掛けて、視線を向けた一哉は可愛いの言葉が気恥ずかしくて似合ってるの言葉を告げてふいと顔を逸らしてしまう。
     漂う香りに腹をきゅうと鳴らせた彩は分け合おうと嬉しそうに微笑んだ。
     逸れない様に歩いて行こう、射的で打ち抜く思い出の欠片を探しながら。
     人込みは苦手だとゆっくり歩む海月の傍らを歩む涼風は「ゆらゆら流されない様にね」と笑いかける。
     どれにしましょうと迷う裄宗は二人――【細雪】の仲間を振り仰ぎ、お好み焼きを目にして瞳を輝かせた。
    「たこ焼き、にしてみましょうか」
    「わたがし……!」
     次は何を買おうか。美味しい物が沢山あるだろうから。
     久しぶりの裕士とのデート。はしゃぐ夜露は「お兄ちゃんと二人でええね」と祭りを堪能する。
    「そやな。また出かけよ?」
     楽しそうな彼女から落ちた頬へのキス。額へ返して手を繋いで共に居よう。
     美味しいものはあるだろうかと周囲を見回す流希はゆっくりと祭り会場を行く。
     祭り好きの血が騒ぐ。射的の姿勢指導の為に空煌の身体を支えた流雨は「引き金を引くだけですわ」と頷く。
    「え、ええっと、こうでしょうか?」
     懸命に照準を合わせた空煌の銃が狙いをしっかりと打ち抜いた。
    「うさぎさんが好きなんだよね? 真鶴にプレゼントするねー。
     いつもエクスブレインのお仕事お疲れ様ー。もっと遊ぼうね」
     輪投げに奮闘する絢莉彩。応援する真鶴の視線は兎へ向いていて。
    「お目当ての物は取れたか?」
     輪投げやボンボン釣りもどうだと真鶴を誘う十六夜はこっちだと手招いた。
     シンプルな黒字のかすれ縞、雷歌は華やかな浴衣を纏った華月に華やぐ心を収めるように目を逸らす。
    「屋台、屋台」
     どれに行こうと迷う彼女の手にはかき氷。あーんと差し出して、次は射的へいこうか。
     気になるウサギを手に入れれために、挑戦だ。
     日頃のお礼にと誘った後輩は人込みに押し流されそうになる。縺れる足が不安で侑二郎は六華の手を掴んだ。
    「あ、その……ず、ずるい、です……ずるい」
     強引な仕草があまりに気恥ずかしくて。逸れないようにと結んだ掌に小さく呟いた「たのしい」は喧騒の中、照れ隠しの言葉に変わる。
    「何喰おっかなー」
     男三人。屋台で楽しまないでは損ではないか。
     允が手にしたやきそば、串焼き。女子と言えば林檎飴と笑う冬崖に晴汰は土産に購入してゆく。
    「射的あるよ! 勝負しよ!」
     指差す晴汰に冬崖と允も参戦。勝負は射的だけじゃない。浴衣美人をゲットするのも大切だ。
    「えっ、彼氏居る? ……そッスか」
     八つ当たりと八つ当たり。落としたお菓子は彼女へのお土産にしてよと差し出した晴汰に冬崖は肩を落とした。
     一方で、学園祭から付き合い始めて初デートと言う甘酸っぱい二人はめかしこんで祭りの中へ。
    「変じゃないでしょうか……」
     紫陽花柄の青い浴衣に身を包むえなの頬が赤らんだ。彼女に似合っていると告げた飛鳥も恥ずかしげ。
     祭りが楽しいなんて、子供時代ぶりだと言う彼は「またデートしよう」と彼女を誘う事だろう。
     白地に赤百合。対象的な紺に黒。律花と春翔は寄り添って歩いてゆく。
     金魚掬いがやりたいと言う律花に春翔は器用に金魚をぽいぽいと掬ってゆく。
    「ぐ、春翔の方が上手……」
     赤色を捕まえるのは君に似てるから、何となく一匹は捕まえておきたかった。
     こうして兄とともに祭りを回れるのは夢の様で。綿あめを食べながら目にとまった金魚すくいが智秋の心を揺さぶった。
    「どうしたの、智秋? やってみたい?」
     笑みを浮かべる兄へと繊細な智秋は餌をちゃんとやるからと金魚すくいへとチャレンジする。
     ちゃぷりと沈んだ袖に気付かずに懸命に掬い続ける妹のためにと「兄貴らしい処を見せて上げようかな」と掬いあげた大きな出目金。
    「やっぱり、お兄ちゃんすごいな、って」
     手を繋いで、幸福を感じられて、とても幸せ。


     初めての夏休み、折角のそれを【あえか】の面々で過ごしたいのはあとりなりの幸福だろう。
    「金魚すくいですか?」
     苦手だと肩を竦めた玉は掬えた事がないと言いながら二匹程度確保して居て。
     中々難しいと首を傾げながらも懸命に掬いあげる涙の器にも一匹の紅色が揺蕩う。
     救えなかったと肩を落としたりち子へと金魚三匹手渡したあとりはゆっくりと屋台へと足を進めた。
     紫陽花の浴衣を着用し、記憶にない夕暮れ刻。ざわめきが不思議だとミレイは茫と眺める。
    「ミレイ、つい、二本買っちゃったからよかったら一緒に食べない?」
     にっこりと笑ったリースリングが手渡した綿飴はほんのりと甘い。
     エネルギー補給は大切だ。目玉焼きの乗った焼きそばを手にしたつねは「斉藤君、ちょっと食べてくれない」と困った様に肩を竦めた。
     任せてと親指をぐっとして春は射的の屋台へと足を進める。残念な結果のつねの『仇』をとるべく発射した弾は残念、全て外れてしまった。
    「さあ、次は綿菓子でも食べに行こ」
     互いに真顔だった。
    「たこせん食べたいー」
     えびせんべいにたこ焼き代わりに目玉焼きを。籤引きでその枚数が代わると璃衣は真剣な表情を見せる。
     恋人の様子に楽しげに笑みを浮かべる翔琉のくじでは三つ。璃衣は二個。
    「ほら」
     食いしん坊番番長へと分けた目玉焼き。美味しいと瞳を輝かせる彼女は「鶏が与える味覚のパラダイスやー! 大いなる海の気持ちも伝わる&恋人とお祭りスパイスで美味しい!」と勢いよくコメントを発した。
     紳士として先に待つべき――しかし、今日は遅れてきて良かったとクレイは百合を眺めた。
     彼の好みに合わせた浴衣姿。正しく「愛くるしい百合の花」のけなげな姿が目に眩しい。
     遠巻きに眺めれば待ち合わせには早かったか、変じゃないかと髪をいじって時計を眺め。
     クレイの姿を認めれば、強がった様に「全然おかしくないし、来たばっかりだし」とふるりと首を振る。
    「ほら、行きましょ。時間は有限よ。……貴方と一緒なら、きっと、とても楽しいわ」 
     薄墨に桜撫子、浅黄の帯を締めた美希の傍らに立った黒い狐は濃紺を纏い下駄を鳴らす。
     握りしめた指先の温もりに、優生へと差し出された綿菓子は何処までも甘くて。
     狐の面に水風船、祭りの下ごしらえは上々だと笑う美希はぱぁと瞳を輝かせ手招いた。
    「お祭りのメインディッシュですね!」
     二人揃って好物だから。半分に分けて落とさない様にねと笑った彼に美希は夢中になって口へと含む。
     幸福を噛み締める彼女に、いつだか同じ言葉を投げかけ、寒くなり始めたあの日に隣り合った彼女へと言葉を発して。
     その言葉は、耳元で――囁いて。しあわせの言葉になる筈だから。
    「林檎あ……えぇー最後ー?」
     千慶の拗ねたような表情に鈴はじゃんけんでチョコバナナの本数を決めようと一つ勝負を仕掛けた。
     そう言う時だけ勝つんだからと次に拗ねたのは鈴。5本のチョコバナナがなんとも言えない。
     金魚すくいはNG。ヨーヨーにしようと屋台を往く。制覇した頃にきっと花火が上がる筈だから。
    「ラムネで乾杯しながら休憩しよっか」
     普段と大差ない格好だろうけれどと時兎は帯を澄んだ白と紅に変えて和泉の隣を往く。
    「出店……迷う。どれも、たのしそ」
     金魚すくいやヨーヨー釣りを眺めながら和泉は意地悪く笑う「簡単に捉えられない更紗和金に興味があるんだ」
     意地悪に笑うのはどちらも同じ。勝負をして、林檎飴かべっこうあめを強請ろう。また、共に来たいと約束を指にはめて、凋むことない想いを詰め込んで。
    「浴衣ですか! と、とても似合っております」
     頬を赤らめた姫月にワルゼーは「かき氷に行くぞ」と手招いた。憧れの『教祖様』
     気軽に懐祭りへ赴けるなど――夢のまた夢。
    「なに? 我に憧れて学園に来たと?」
     光栄なことよ、と笑うワルゼーに姫月は頬を赤らめ、来年もと嬉しそうに目を細めた。
     お下がりの浴衣は蓮杖にぴったり似合っていて。食べ物と視線を釘付けにした彼にアルベルトは肩を竦める。
    「はいはい、食い物は逃げねーから、ゆっくり食えや……」
     林檎飴を食べるアルベルトに気付きがじ、と齧った蓮杖ははい、と焼き鳥を差し出した。
     おやつタイムの後は夕食を。やきそば、いかやき、綿菓子、アメリカンドックに人形焼き。
     買って一緒に帰ろうか。繋いだ手は離さないまま――


     屋台で買った焼きそばとりんご飴。手にした湊と足並みをそろえた【エリカ】の面々は皆楽しげで。
    「お小遣いはなんですか? 奢ってはくれませんか?」
     うろうろと供助の周りを行ったり来たりする禄太は瞳をきらきらと輝かせる。
     浴衣を着用した夜野は不安げに禄太や供助を見上げ「ひとおおいの、こわい……」と震える様に手を伸ばす。
    「お祭りは初めてですが、学園祭のようですね」
     人ごみにやや気圧されたように屋台を遠巻きに眺めた玻璃ははっとした様に顔を上げる。
     空を飾る華はどこまでも鮮やかで――
     男三人屋台で食事。そして浴衣を眺める年頃の【保健室】メンバー。
    「俺は結構浴衣好きだぞ。何つーか、着物より少し気安い感じがしていいよな」
    「切るだけで雰囲気変わるじゃんね。男は知らんけど」
     翌檜の言葉に意外と喋るんだなと小次郎は冷静な表情で頷いた。むしろ、拝聴させて貰っている。
    「……浴衣女子、好きなんだな。鶏皮餃子喰うか?」
     差し出す葉が見上げれば、空に花火が昇ってゆく。
     お昼寝して準備万端。さあ、花火を楽しもうと手を引く芥汰に夜深は「ゆックり、のンびり」と嬉しそうに笑う。
    「……格好良、あくたん浴衣姿モ。目立たズ、済ム、し」
     呟きは心配症と笑う彼らに花が咲く。克ち合う視線に瞬けば、花火見てたと頬を赤らめる小さな彼女が可愛らしい。
    「お昼寝効果も夜には勝てないか」
     寝てしまったら抱いて帰ってあげるから。繋いだ指先は熱を持っていた。
     二人で花火を見るのは二回目。なゆたは神羅が触れた頬の熱さにかっと巡る血潮を感じる。
    「綺麗であるな、花火も……なゆた殿も」
     重ねた視線が、笑って誤魔化す事も許されない気がして、なゆたはへらりと笑みを浮かべる。
    「君が好いてくれるからだよ!」
     強くなりたいし、綺麗になりたいと重ねた掌は暖かくて。
     揃いの帯に初めて袖を通した浴衣。恋人同士になったばかりの樹里とつばさにとっては緊張の初デート
     花火さえもどこか違って見えて。つばさは雰囲気を感じとる様にそっと寄り添った。
    「花火も綺麗だけど浴衣を着たつばさちゃんが……すごく綺麗で可愛いよ」
     重ねた唇に、抱きしめられた体の心地よさが感じられて。
     綿あめにとうもろこし。両手いっぱいのそれを手にした涼子にさくらえは味見させてと手を伸ばす。
     二つ返事でお裾わけを貰い、「美味しいでしょ」と自慢げな彼女にさくらえは柔らかく笑う。
     兄の様に姉の様に――親友の様に。
     距離感は白い指先と共に詰められた。昇る華の美しさが何よりもうれしくて。有難うの言葉さえ愛おしい。
     金魚と林檎飴。はしゃいだものだと笑う千影はゆっくりと石階段へと腰掛ける。
    「本当に、スマートに掬っていたなあ。東京までちゃんと連れて帰ってあげないと」
     笑う遼平に花火に夢中だったと千影ははっと顔を上げ「そ、そうだね」と慌てた様に告げる。
     夜空の大輪も地上の花も。どちらも好きだけれど――一人きりじゃないだけで空が美しい。
     二人一緒だから楽しいと口にした言葉は幸福な思い出を作って行く。
     学園祭で一緒に作業をした事がきっかけだった。海星は男の子と出かけるのは初めてと緊張を隠せない。
     浴衣を纏った彼女にルーチェは瞬いて、「――だね」と一言だけ声にする。
     聞き取れない言葉にうん、と小さく答えた海星は空に昇る花の美しさに目を奪われた。
     光に照らされる君が綺麗だから――もう少し勇気を以って、ちょんと指先を触れ合せていたい。



    「まぁ……先祖の魂を迎え供養する踊りですか。素晴らしいです」
     首を傾げるマリィアンナに熱志はしっかりと説明する。愛情を感じ始めて――少しでも恋愛に向いてくれればと願ってやまない。
     つい、と靴先が引っ掛かる。転ぶマリィアンナと共に熱志は受けとめて小さく笑った。
    「また誘わせていただきます」
     シンプルな浴衣を纏った当麻の前で笑みを浮かべる音々は白地に赤い花を咲かせて。
    「その……よく、似合ってると思う」
    『とーまさんも』と返した筆談。静かな場所で二人して花火を眺めるのはその時間があまりにも尊いから。
     ちらりと向けた視線が、光りを浴びた表情が何時もと違った様に見えて。
     心が音を立てる。来年も――その時はこの関係性が代わって居ればと胸に秘めて。
     黒字に微塵格子。雪駄を履く昴の隣で黒に赤牡丹を咲かせからからと音鳴らす黒斗はゆっくりと歩いてゆく。
     人酔いしてふらつく視界を支えて冷たいかき氷を見下ろす黒斗の結い上げた髪に、項が目に眩しいと昴は俯いた。
     遠巻きの祭り林に、溶けるかき氷が指に冷たい。
     交わす言葉が無くとも、花火の音が掻き消してしまう事無い思い出が、幸福だった。
     お待たせと下駄を鳴らして蓮花は美樹の元へと走り寄った。楽しみなのは彼女が傍に居るからと笑い掛け、二人して空に咲いた花を眺める。
     呼ばれた名に首を傾げた彼女が花火を反射して光を浴びた美樹の顔をついと見上げる。
    「―――」
    「なぁに?」
     聞えなくともいい。言葉はきっと思いとなって通じている筈だから。
     下駄に馴染みがないハイナにとって縁の履物はあまりに不便なものに思えて。
     問いに応えながらも神社の石段を登る縁は鳥居の前でぴたりと立ち止まる。夜は神域入るべからずだ。
    「……僕はよく空に過去を見る。君は何かある?」
    「えと……兄と、お祭りに来た思い出があります」
     過去は故郷の物だから。それを塗り替える様な思い出がそこにはあればいい。花火に照らされた彼女を引き寄せて。
    「なあいろはすさん。ひとつ僕に思い出をくれよ」
     重なった唇は。
     初めて着用した浴衣。緊張しながら花火会場へと向かうフリルは帽子の中で耳がぴょこんと出てきてしまう。
    「私を誘って」の言葉通り、夏祭りへと訪れた暦と静香は二人して花火を見上げる。
     願掛けしよう――約束と、傍に居る事を。固く結んだ掌が柔らかな熱を帯びてゆく。
    「静香の『本当』も見つけないとだし、ね?」
     自信なんてないけれど、そう言って笑っていられればそれでいい。
     神社の境内からは絶景だとヒノエと菖蒲は茫と空を眺める。
    「ヒノエは、花火とか好き?」
     好きならクラスメイトと遊ぶのも楽しそうだと菖蒲は笑みを見せた。今とは違う様に見えるだろう空の華が何処か楽しみで。
    「なぁなぁ、て、繋いでいい?」
     勿論ですよ、と返したヒノエの掌の温かさに菖蒲はほっと息を付く。
     空の花が目の前に眩しくて――彼らは指先を絡めあった。
    「今日は誘ってくれてありがとうございます」
     こちらこそ。その言葉を飲みこむ大輪の花は、夏の空に眩しい。

     花開くのは思い出も同じで。夏の夜を騒がす祭り囃子と花火の音は。
     鼓膜に焼き付いて、心へとその景色を残してゆく。

    作者:菖蒲 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年8月20日
    難度:簡単
    参加:85人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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