臨海学校2015~日本で一番暑い夏

    作者:湊ゆうき

     新潟県の西部に位置する佐渡ヶ島。一概に日本海側というのは雪が多く寒い印象を持たれるが、佐渡ヶ島は暖流である対馬海流の影響から、冬は本土より暖かく降雪も少ない。それでいて、夏も本土側より涼しく過ごしやすいという。
     だが、近頃その佐渡ヶ島に異変が起きていた。

    「日本全国真夏日が続いてるっていうけど、ここ最近の熱さは尋常じゃないよな」
    「気温が40℃を超えるなんて……こんなこと今までなかったよな」
     佐渡ヶ島の住人達は、噴き出る汗をぬぐいながら、口々に噂をする。
    「暑さのせいかしらないが、佐渡金銀山の廃坑のあちこちに、アフリカで育つような植物が繁殖して、廃坑の中が緑で埋め尽くされてるんだってさ」
    「このまま島全体がジャングルみたいになるんじゃないだろうな……」
     まさか、と口にしながらも、一向に収まる様子のない熱波に住人達は不安を募らせるのだった。
     
    「みんな、集まってくれてありがとう」
     橘・創良(高校生エクスブレイン・dn0219)は、全員に優しく微笑みかけながら説明を始めた。
    「新潟県佐渡ヶ島で異常な熱波が発生して、佐渡金銀山の廃坑がアガルタの口と化そうとしている事件が起こっているみたいなんだ」
     アガルタの口は、軍艦島攻略戦の際に、軍艦島の地下に現れた謎の密林洞窟である。
    「この事件を解決しないといけないから、急遽、臨海学校が佐渡ヶ島で行われることになったんだ」
     ええーっと驚きの声を上げる灼滅者達。だが、急ぎ解決すべき事件であることは誰もが理解していた。
    「みんなも知っての通り、ダークネスの移動拠点となった軍艦島だけど、これが佐渡ヶ島に近づいてきているのかもしれないんだ」
     このまま放っておくと、佐渡ヶ島全体が第二の軍艦島になってしまうかもしれないと呟く創良。そして最近北陸地方で発生していたご当地怪人のアフリカン化の事件は、このことが原因かもしれないと。
    「そこでみんなには、佐渡ヶ島の廃坑を探索して、アガルタの口を作り出している敵を撃破してきてもらいたいんだ。それから、軍艦島の襲来に備えて、佐渡ヶ島の海岸でキャンプをしてもらうよ」
     アガルタの口を作り出している敵を撃破しても、その後24時間は佐渡ヶ島は40℃以上の熱波が続くので、海水浴にはもってこいだと創良は言う。
    「アガルタの口が撃破されて、佐渡ヶ島に多くの灼滅者が集まっていることを知れば、軍艦島のダークネス達も計画の失敗を悟って、撤退していくはずだからね」
     ひとまずアガルタの口を制圧し、その後は臨海学校を楽しみつつも軍艦島の接近に備えて欲しいと創良は説明した。
    「アガルタの口を作り出しているのは、スイカ型の植物形眷属だよ。廃坑の奥で、佐渡ヶ島の移動拠点化を行おうとしているんだ」
     また、佐渡ヶ島の廃坑はたくさんあり、探索を行う灼滅者達は、それぞれ別の廃坑を探索することになるのだという。
    「アガルタの口となった廃坑の一番奥には、スイカ畑が広がっているんだ。そこで成長したスイカから、スイカ型の眷属が生まれているよ。その数はすごく多いみたいだけど、まだ眷属化していないスイカもいるみたい。そんなスイカは普通に食べても大丈夫だよ」
     スイカ型眷属は浮遊しながら噛みつき攻撃を行ってくる。苦戦することはないだろうが、とにかく数が多いのだと創良は説明した。
    「廃坑奥のスイカ型眷属を全滅させることができれば、廃坑のアガルタの口化を阻止することが出来るよ。そうすれば、気温が普通の夏に戻るからね」
     そこまでが今年の臨海学校だと言う。
    「せっかくの臨海学校がダークネスのせいで邪魔されてしまったのは残念だけど……しっかりアガルタの口化を止めた後は、出来る限り臨海学校も楽しんでほしいんだ」
     佐渡ヶ島の気温が元に戻るのは、もう少し時間がかかる。だが、その分海水浴にはうってつけだ。海水温はそこまで上昇していないので、気持ちよく海に入れるだろう。
    「年に一度の臨海学校。海で泳いだり、夕食を作ったり、花火をしたり……あ、スイカ割りもいいんじゃないかな。とにかくこの機会に楽しんできてね」
     だけど、40℃を超える熱波の中での依頼となるから、水分補給などは忘れずにね、と言いながら創良はみんなを送り出した


    参加者
    日向・和志(ファイデス・d01496)
    芥川・真琴(焔と共に眠るもの・d03339)
    現世・戒那(紅天狼主三峰・d09099)
    霧月・詩音(凍月・d13352)
    ルナ・リード(夜に咲く花・d30075)
    四方祇・暁(天狼・d31739)
    苔石・京一(こけし的な紳士・d32312)
    ヘイズ・レイヴァース(緋緋色金の小さき竜・d33384)

    ■リプレイ

    ●熱波の佐渡ヶ島
     うだるような暑さの中、今年の臨海学校は幕を開けた。
    「……此処まで暑苦しくなった原因が、此処にあったとは……割と殺意が湧くレベルの暑さなので速攻で片付けましょう」
     40℃を越す気温は、もはや猛暑という言葉でも物足りない気がする。霧月・詩音(凍月・d13352)は表情こそ涼しげではあったが、皆の気持ちを大いに代弁していた。
    「さー、臨海学校だ。さっさと片付けて楽しもうじゃないの」
     日向・和志(ファイデス・d01496)が明るく皆に声をかける。
    「終われば楽しいBBQとー」
     明るい笑顔と声が、次の言葉と共に死んだ目をした虚ろな表情に変わる。
    「悲惨でしかねぇコイバナだー」
    「海に行くことは初めてです。なので、とても楽しみにしているのですが……面倒なすいかさんがいらっしゃるのですね」
    「面倒なことはさくっと終わらせて臨海学校を楽しもう」
     ルナ・リード(夜に咲く花・d30075)の言葉に現世・戒那(紅天狼主三峰・d09099)が応える。楽しいイベントを邪魔する存在を早く片付けてせっかくの臨海学校を全力で楽しもうと皆で意気込む。
    「九条ネギをはじめとした京野菜をたくさん持ってきたであります。BBQの用意はばっちりでありますよ」
     クーラーボックスに詰めて食材を持参したヘイズ・レイヴァース(緋緋色金の小さき竜・d33384)も笑顔で声をかける。それぞれが臨海学校を楽しむための準備をしっかり行っていた。
    「楽しみでござるな」
     BBQの道具一式を持ち込んだ四方祇・暁(天狼・d31739)も初めての臨海学校にわくわく。武蔵坂に来るまで学校というものに通ったことがなかったので、学園行事に戸惑いつつも最近は楽しいと思えるようになってきたのだ。
     八人はエクスブレインの予知に従い、佐渡金銀山の廃坑のひとつに足を踏み入れる。少し移動するだけでも噴き出る汗が滴り落ちる暑さだ。
    「眷属が出るだけで本格的な侵攻はなし、かー……向こうも夏バテしてるのかなー……」
     眠たげな表情の芥川・真琴(焔と共に眠るもの・d03339)が、この状況を分析する。寒いのは苦手な真琴なので、暖かい分には歓迎だが、それも度を超すとどうかと思う。
     各々持参した照明道具で辺りを照らし、慎重に歩みを進めていく。廃坑の奥から伸びてきているのだろう、熱帯の植物らしきものが足元や壁にも生い茂っていた。
    「外と違って少しはひんやりとしていると良いのですが」
     そう呟く苔石・京一(こけし的な紳士・d32312)の目からビームのようなライトが出て辺りを照らす。――いや、いつもかぶっているこけしの被り物の目の部分から光が出ているのだ。内部に装着したヘッドライトのせいだが、なかなかにホラーな光景だった。
     しかし廃坑内も相当な熱気だった。最奥にいるという眷属がこの熱波を生み出しているからだろう。
    「スイカの匂いを探してみようか」
     そう言って戒那が狼に変身して敵の位置を探る。暁も耳を澄ませ、眷属が立てる物音を聞き逃すまいと穴の奥に注意を向ける。詩音も奇襲がないか周囲への警戒を怠らない。
     歩くこと数分。迷うことなく最奥まで辿り着いた灼滅者たちは、熱波の中、廃坑に広がるスイカ畑に出会うのだった。

    ●スイカ割り in 廃坑
    「よそに敵がいないとも限らないし、念のため」
     和志が戦闘音で他の敵を呼ぶことがないようにとサウンドシャッターを展開する。
    「まことさん、先にスイカ確保しておくねー……」
     眷属になる前のスイカは食べられるとのことで、先に無事なスイカをいくつか確保する真琴。スイカ眷属とスイカの見た目はほぼ同じだが、スイカ眷属は、灼滅者を見るなり浮遊して攻撃態勢を取ったのですぐに判別がつく。
    「うわあ、スイカ眷属ってちゃんと目と口がついてるんだねぇ」
     ふよふよと浮いているスイカ眷属を見て、思わずそう呟く戒那。強くはないとのことだが、確かに数だけは多かった。
    「Summon Raid」
     かけ声と共にスレイヤーカードの封印を解放し、ヘイズは亡き母の面影を宿した九条ネギ餃子怪人の姿になる。
    「さーて、臨海学校のお楽しみ、スイカ割りといこうじゃないの」
     和志が破邪の光を放つクルセイドソードでスイカ眷属を一閃。そこへ霊犬の加是がすかさず六文銭射撃を行う。じたばたと暴れるスイカ眷属だが、すでにかなり弱っている。
     ルナがバイオレンスギターを奏で、音波で狙い撃つと、浮遊していたスイカ眷属は力尽きたように地面に落ち、動かなくなった。
    「一体一体はそう強くないようですね」
     けれどまだまだ数は多い、明かりで照らし出しているとはいえ、まだ暗闇にいくら隠れているかわからない。
     そこで灼滅者達はできるだけまとめて効率よく攻撃を行う。
    「……スイカならスイカらしく、そこで冷えていなさい」
     坑内にこもっていた熱が急激に奪われる。スイカ眷属たちが詩音の攻撃により一瞬にして凍り付く。
    「お、ちょっとだけ涼しくなったねー」
     そこへ戒那がウロボロスブレイドを高速回転させ、凍り付いたスイカを一気に切り刻みにかかる。
     ヘイズが九条葱宗をかかげ、無数の九条ネギの幻影を作り出し、敵を攻撃する。辺りにはほのかに九条ネギを焼いた香ばしい匂いが漂う。
    「合わせるでござるよ」
     そこへ暁も同じように百鬼夜行の群れを作りだし敵を襲わせる。連続攻撃を受け、動きを止めていくスイカ眷属達。
     だが、まだまだ元気なスイカ眷属達がふよふよと浮きながら、お化けのようなギザギザの口で噛みついて攻撃を行ってくる。いくらかはよけることができても数が多いので、よけきれない。
    「遊ぶ前に怪我したら残念だもんねー……」
     真琴が後衛の味方に対し巨大なオーラの魔方陣を展開し、癒しを与えると共に天魔を宿らせる。
    「苔石流、鬼啼き名応用!」
     京一が苔石流柔術を応用し、スイカ眷属の群れに杭を打ち込み、振動波で一斉にダメージを与える。
    「この調子でどんどん撃破してこうぜ!」
     和志が戦況を見て仲間達にそう声をかけながら、手のひらから炎の奔流を放ち、スイカ眷属の群れを焼き払う。
    「スイカはどんな悪夢を見るかなー……」
     真琴も生み出した炎を武器と共に叩きつける。
    「うわ、暑いっていうか熱い! みんな、大丈夫?」
     さらにぐっと温度が上がる廃坑内。戒那がうわっと叫びつつ仲間を気遣う。
     そこへ京一がすっと現れ、こけし頭の口から冷たい炎に変換した冷気を放つ。
    「日本の良き夏を返して頂きます」
     ルナと暁が弱ったスイカを確実に攻撃し、その数を徐々に減らす。ヘイズは炎を宿した九条葱宗から葱色をした葱坊主の炎を飛ばす。
     詩音は手近なスイカを殴りつけ、辺りを見回す。
    「……次に叩き割られたいスイカは、何処ですか」
     スイカ眷属からの攻撃にもこまめに回復を行い、暑さの中、スイカ眷属の討伐はこうして無事に完了したのだった。

    ●BBQ時々コイバナ
    「コレくらいの気温の方が過ごしやすいんだけどなー……」
     佐渡ヶ島の海岸。波打ち際で水に手を浸しながら、真琴が呟く。スイカ眷属を倒したとはいえ、気温が落ち着くのにはもう少しかかるというが、寒く、熱のない世界を恐れる真琴にはこれくらいでちょうどいい。
    「金山の観光とかもしたいけどー……見張るまでが臨海学校だからなー……」
     見晴らしのいい場所に行っては、軍艦島の影が見えないかしっかり確認するのだった。
    「こ、これどうなってんでござるか!?」
     夕方になり、BBQの準備を始める生徒達。暁はコンロの設営の仕方がわからず仲間に助けを求める。
    「これは、こうしてー……こうするんだよ。これで美味しいお肉が焼けるよー」
     最年長の戒那が丁寧に説明。みんなを見守りつつ準備を手伝う。
    「飲み物、ここにおいておきますね」
     まだまだ熱波は続くので、詩音が水分補給用にと飲み物を用意。和志はパラソルや椅子を用意し、暑さ対策とくつろぎを提供する。
    「少しでも出来ることはお手伝い致します」
    「それじゃあ、お皿を並べてもらえるでありますか?」
     おずおずとしたルナの申し出に、九条ネギをはじめ、持ち込んだ京野菜を食べやすく切っていたヘイズがそうお願いする。
     準備も整い、いよいよBBQ! 
     京一がせっせと肉を焼いては、取り分けをサポート。
    「お肉、焼けましたよ?」
     あまり食べていない人がいれば、いつの間にか背後に近づきそっと肉を差し出す。
    「九条ネギもたくさん食べて欲しいのであります!」
     ヘイズの持ち込んだ京野菜を皆で美味しくつまむ。
    「……美味しいです」
     野菜を中心に食べていた詩音も思わずぽつりとこぼす。
    「おっと、そこはまだ焼けてない! 生焼けであります!」
     まだ食べ頃でない野菜や肉を見つけると、きっちり指摘してはBBQ奉行となるヘイズだった。
    「じゃあそろそろーコイバナでもするー……?」
     お腹もそれなりにふくれたところで、真琴がそんな風に切り出した。
    「こ、恋の話でござるか……」
     暁がうぐぐと困り顔。けれど、みんなの注目が集まる。
    「そーいや四方祇はユリアーネとはどうなのよ?」
    「ど、どうしてそれを!?」
     和志の何気ない問いかけに、暁は驚きのあまり声が裏返る。
    「や、なにげに知り合いだったってこの前気付いてさ」
     なんだか相手のことを知っているというのも気まずいが、他の皆からの無言の促しを感じ、暁はぽつりぽつりと語る。
    「何から話したら良いものか……」
     ほとんど一目惚れだったこと、それから学園祭の夜遅くにデートをしたことなど、これぞ青春という甘酸っぱい思い出を盛大に照れながら話す暁。聞いている方も、なんだかこそばゆくなってしまう。
    「拙者にとっては……大好きな、かけがえのない人でござるよ」
    「いいねえ、いいねえ」
    「まことさん、ちゃんと人を好きになったことって無いんだよねー……だから、人を好きになることが出来る人ってホントに凄いと思うんだよねー……」
     戒那が青春だねぇと頷き、真琴が本当にすごいと感心する。
    「うわあああ、そんな超甘酸っぱい話した後に、俺話しづらいじゃないかー」
     和志が頭を抱えてうずくまっていた。
    「みなさん聞きたがっていますし、ぜひ聞かせてください」
     京一がそっと背中を押す。和志は半分やけっぱちになりながらも、語ってくれた。
    「いいか、これは悲惨な話だ。反面教師にしてくれ……」
     曰く、異性に異性と見られない点はあったが、忙しいことを言い訳に恋愛に対して時間を割くことをせずにいたら、元来のネタ体質によっていつのまにか恋愛のレの字もなくなってしまったということだった。
    「恋愛したければ全うな青春を謳歌しろよ、おまえら……」
     まだ高校三年生という若さながら、何かを達観したような遠い目をする和志。そこにはある意味全てを受け入れた強さがあった。
    「日向先輩の貴重なお話、参考にさせていただくであります」
     ふむふむと真剣に頷くヘイズ。未だ恋とは縁のないヘイズだが、九条ネギを美味しく一緒に食べてくれる恋人……という空想に思いを馳せてみる。
    「……そこのお肉、丁度良い焼け具合のようですよ」
     話に夢中のあまり、食事の手が止まったので、詩音がそっと声をかける。
     そして、最後にルナの前に自然と視線が集まる。ルナの白く細い左手の薬指にはきらりと指輪が輝いていたからだ。視線を受け、ルナが静かに話し始める。
    「私の恋愛経歴は参考にしていただきたくないものですが」
     そう前おいて始まったコイバナは、馴れ初めから。出会った頃には、相手はルナのことを意識してはいなかったけれど、ルナの相手に対する想いがどれほど強いかを証明したところ、最初は契約という形で恋人になったのだという。
     そしてその後、ルナの想いが届き、相手にも受け入れられ、本当の恋仲となった。そうして先月結婚に至ったと。
     物語になりそうなドラマティックな話に、誰ともなく感嘆の吐息がもれる。
     三者三様のコイバナは、とても思い出深く、皆の心に刻まれたことだろう。

    ●暑夏の夜
     すっかり夜も更けてきたので、夏の楽しみのひとつ、花火を行うことに。
    「花火いっぱい持ってきたよ。好きなのやっていいからね」
     戒那が花火を手渡しながら、危険がないかしっかり目も配る。
    「打ち上げ花火もあるんですね。落ちてくる落下傘を拾うのも楽しそうですね」
     水着に着替えた京一が浜辺で花火を楽しむ。こけしの被り物の下の身体は、なかなか逞しい筋肉で覆われている。
    「海上には今のところ異状はないようでござるな」
     双眼鏡で覗きながら、暁が海の彼方を確認する。
    「まことさんも時々見てたけど、いまのとこ軍艦島の姿は見えないねー……」
     そうとわかれば、今はみんなで花火を楽しもう。ルナは、同じく臨海学校で佐渡ヶ島に来ている旦那様と一緒に過ごすとのことで、花火には参加していない。
    「この暑さも明日までかー」
     和志が花火を見ながらしみじみと呟く。
    「気温が下がったのを確認するまでが臨海学校とのことでしたね」
     詩音の言葉にヘイズも頷く。
    「暑かったり、いろいろあったでありますが、楽しい臨海学校でありましたね」
     ダークネスの野望を事前につぶすことができたなら、大きな収穫だ。
    「みんなー、スイカ切れたよー」
     廃坑から持ち帰ったスイカが切れたと戒那が皆を呼ぶ。
     暑すぎる夏もあとほんの少し。その余韻を惜しむように、花火とスイカでひとときを楽しむ。
     そして廃坑から持ち帰ったスイカがとても甘くて美味しかったことは、臨海学校の忘れられない思い出のひとつとなって皆の心に刻まれたのだった。

    作者:湊ゆうき 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年8月26日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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