暴虐の鬼共は宝石を求める

    作者:のらむ


    「おい、てめえら。準備は出来てるんだろうな?」
    「ういーっす」
    「ヘイ、アニキ。武器の準備は完璧ですし、いざとなったら俺らには鬼の拳もありますぜ」
     とある歓楽街の中心を物凄い勢いで走る黒いバンの中に、無骨なドクロのマスクを被り物騒な武器を構えた3人の男がいた。
     そして異様な3人を乗せた黒いバンは、とある宝石店の前に急停車した。
    「作戦は単純だ。扉を破る、中の奴を殺す、宝石を袋に詰める。これだけだ。警察なんざ糞の役にも立ちはしねえ。根こそぎ奪い尽くせ」
    「へーい」
    「了解っすアニキ!」
    「行くぞボケ共!!」
     そして兄貴分らしき男を筆頭にバンから飛び出した3人は、宝石店の扉を破り、中に突入する。
    「おうコラいわゆる強盗様だ!! 命乞いをする必要はねえぞ全員殺してやるからな!!」
     兄貴分の男は鉄塊の如き大剣を勢いよく振るい、入り口近くに立っていた店員を斬り潰す。
    「ぶっ殺すぞおらー」
     やる気無さげな男が身の丈程もある弓を構え、放った無数の矢で客の大半を射殺した。
    「ひ、に、逃げ……」
    「アニキが皆殺しっつったら皆殺しなんだよ! 大人しく死ね!!」
     最後に残った店員は裏口に向かって必死に走るが、三下風の男が放った散弾によって頭を吹き飛ばされた。
    「よしてめえら! さっさと宝石詰めろ! 一個でも落としやがったら後でぶん殴るからな!」
    「へいへいへーい」
    「これは大量だ……しばらくは豪遊できそうっすね!」
     そして店内の宝石を奪い尽くした3人は、複数の死体だけを残し消えていく。
     圧倒的な暴力を撒き散らしたこの3人の男の頭には、黒曜石の角が生えていた。


    「灼滅者が力をつけるにつれ、今ではより強力なダークネスも姿を現すようになってきています。それに合わせ、今では力の弱いダークネス達が徒党を組み生き延びようとする事もあるみたいです……そんな訳で、事件です」
     神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)は赤いファイルを開き、事件の説明を始める。
    「今回私が予知したのは、3体の羅刹がとある店で宝石強盗を行う事件です。中にいた人々は問答無用で惨殺され、宝石も全て奪い尽くされています。奴らが強盗をするのも、これが初めてでは無い筈です。チャンスが生まれた以上、ここで確実に灼滅しましょう」
     この3人組の羅刹の名は、リーダー格の男が佐古田、やる気無さげの男が村口、三下風の男が吉岡である。
    「この三馬鹿は黒いバンに乗って宝石店までやってくるのですが、今回は未来予知の優位もあり、皆さんは奴らがやってくる30分前から宝石店内に入る事が出来ます。その隙に、店員や客を逃がしておくのがいいでしょう」
     それだけでも十分戦闘は行えるのだが、闘いを優位に進めたいなら更に出来る事があるとウィラは続ける。
    「一般人達を逃がした後、皆さんは三馬鹿が宝石店内に押し入るのを待ち受ける事になるんですが……この際、皆さんは奴らに奇襲を仕掛ける事が出来ます」
     店の外や中、どこに待機していても構わないが、羅刹達の不意を突く様に奇襲を仕掛ける事が出来れば、羅刹達は超驚き戦闘が始まってから一分間は、灼滅者達が一方的に羅刹に攻撃することが出来るとウィラは説明する。
    「ここで重要なのは、如何にインパクトのある方法で襲撃し、驚きを与えるかという事です。単純に現れた羅刹を取り囲むだけでは奇襲の効果はありません。しかし皆さんで工夫し協力すれば、奴らを滅茶苦茶驚かせる事も可能だと思います」
     そう言って資料をめくり、ウィラは敵の戦闘能力について説明する。
    「敵は、3人合わせて灼滅者10人分程度の力を持っている様です。3人は共通して神薙使いのサイキックを使用し、それに加えて佐古田は無敵斬艦刀のサイキック、村口は天星弓のサイキック、吉岡はガトリングガンのサイキックを使用する様です」
     また、リーダーの佐古田は中衛から確実に回避と攻撃を仕掛けていく様な戦いを、村口は後衛から正確な射撃を行っていく様な戦いを、吉岡は前衛で仲間の盾になる様な戦いをするらしい。
    「誰から倒すかは決めておいた方がいいでしょう。早々に敵の数を減らす事が出来れば、闘いは相当優位に終わる筈です」
     そこまでの説明を終え、ウィラはファイルをパタンと閉じた。
    「説明は以上です。力が弱いとはいえ、敵はダークネス。一般人の力ではどうしようもありません。これまで彼らに殺された方々の仇を取る為にも、これ以上奴らの犠牲となる人を出さないためにも。ここで確実に灼滅して下さい。お気をつけて」


    参加者
    白・理一(空想虚言者・d00213)
    月見里・月夜(は宿題と決別した・d00271)
    阿々・嗚呼(剣鬼・d00521)
    東雲・悠(龍魂天志・d10024)
    水月・沙霧(天然迷彩・d16762)
    クロード・リガルディ(柘榴石と約束と・d21812)
    凪野・悠夜(朧の住人・d29283)

    ■リプレイ


     とある深夜の宝石店。この場所の前に急停止したバンの扉が開き、3人の羅刹が姿を現す。
     威勢よく店内に突入した羅刹達は、店内にいる人々を虐殺し、宝石を根こそぎ奪う。
     筈だった。
    「おうコラいわゆる強盗様だ!! 命乞いを……んあ?」
    「んー?」
    「はぁ?」
     威勢よく店内に突入した3人がまず目撃したのは、血塗れの状態で床に倒れたダグラス・マクギャレイ(獣・d19431)だった。
     実際の所血ではなく唯の血糊であったが、羅刹達はそれが本物だと信じた。
    「おいこりゃどういう事だ! まさか俺等より先にここを襲った連中が……」
    「いえ、しかし宝石はまだここに……」
     ガシャァァン!!
     羅刹達の会話を遮る物音を立て、店内の防犯シャッターが唐突に降ろされる。
     程なくして全ての灯りが消え、店内は暗闇に包まれた。
    「おうおうおうなんだコリャア!」
     暗闇に右往左往する羅刹達。その時、店内に不気味なチェーンソー音が響く。
    「………………」
     羅刹達が振り向くと、そこには血みどろの兎の着ぐるみを被った月見里・月夜(は宿題と決別した・d00271)が、これまた血塗れのチェーンソーを持ちながらゆらりと接近していた。
    「お、おいおいおい……ここは普通の宝石店じゃあ……」
     思わず後ずさりしたリーダー佐古田が、何かの気配を感じて振り向く。
    「ウゥゥゥ……」
    「恨めしや……」
     そこにはやたらリアルなゾンビやら白装束に三角巾な和風幽霊やらに扮した東雲・悠(龍魂天志・d10024)と水月・沙霧(天然迷彩・d16762)が、薄暗い灯りに照らされながら気味の悪い声をあげていた。
    「ウウウゥゥ……ウオオォォオオオ!!」
    「この恨み……はらさでおくべきか!!」
     悠と沙霧が物凄い勢いで羅刹達を威圧し、羅刹達は全く状況が飲みこめずに混乱する。
    「おい誰だ宝石店とホラーハウスの場所を間違えやがったのは! こんなの聞いてねえぞ!」
    「下調べ位ちゃんとしろよリーダー」
    「俺にも何が何だか……」
     その時。カタカタカタ、と乾いた何かが動く音が羅刹達の耳に入る。
    「七不思議が1つ、『骸大蛇』……」
    「今度は一体、て、ちょ、グアアア!!」
    「あ、チンピラが喰われた」
     暗闇に紛れクロード・リガルディ(柘榴石と約束と・d21812)が語った怪談よって生み出された巨大な骸の蛇が、吉田の身体に喰らいつき牙から毒を注入した。
    「クソ! 結局敵か!! 全然見えねえがこの俺様を相手にした事をこうかグベッ」
     威勢よく佐古田が大剣を振り上げた直後、店内に潜んでいた灼滅者達が声の方に向かって唐辛子爆弾を投げまくる。
     殺傷力こそないものの、撒き散らされた唐辛子に羅刹達の混乱は更に深まっていた。ついでに灼滅者達も数人咳き込んでいたが、やたらゴツイマスクで平然としている灼滅者達も多くいた。
     そして店内の灯りが一気につき、灼滅者達は一斉に攻撃を仕掛ける。インパクトのあるこの方法で、奇襲は成功したといっていいだろう。
    「やっぱり悪い子にはきっちりオシオキしなきゃね! というわけで、ぶった斬ります!!」
     威勢よく飛び出した白・理一(空想虚言者・d00213)が影の刃を放ち、羅刹吉田の全身を切り裂く。
    「強盗とはまたみみっちい事を……まあいい、テメェらは細ぎれにしてやるよッ!」
     戦闘が始まり、普段の温厚な様子から豹変した凪野・悠夜(朧の住人・d29283)が刀で鋭い斬撃を放ち、吉田の防護ごと斬り裂いた。
    「始めまして御三方。嗚呼です。今回はシャッター閉める係を務めさせて貰いましたが、どうだったでしょうか。まあその様子から見るにドッキリ大成功といった所ですね」
     阿々・嗚呼(剣鬼・d00521)が鋭い刺突を放ち、吉田の肩を深く抉った。
    「ウグオオ……! 何だコイツラは、いきなりピンチっすよ!」
    「まあ落ち着けよチンピラ」
    「そうだ落ち着け! こんな奴等、俺ら3人にかかれば瞬殺だ! かかれ!」
     そして羅刹達は武器を構え灼滅者達と相対し、闘いが始まった。


    「随分とビビってたじゃねえかよ三馬鹿トリオ。俺達の迫真の演技が凄すぎたか。もしくはお前らの心臓が小さすぎるからかもな!!」
     血塗れの着ぐるみを脱ぎ捨てた月夜は吉田に突撃し、全身の闘気を雷に変換する。
    「けど俺達はゾンビや幽霊なんかと比べ物にならねえほど怖いぜ!!」
     そして放たれた重いローキックが、吉田の鳩尾に抉りこんだ。
    「グオ……るっせえ死ね!!」
     よろめいた吉田はそのまま何とか引き金を引き、無数の弾丸をばら撒く。
    「いやあ、三下はつらいよねー。前に出てお仲間を庇わなきゃいけないなんてさ」
     理一は吉田にそう投げかけつつ片腕を鬼の如く異形化させ、吉田に突撃する。
    「……まあ、そんなのは関係ないけどね。受けちゃった仕事だし、ちゃんとやんなきゃねー」
     そして理一が放った巨大な拳は吉田の顔面を打ち、思いきり吹き飛ばした。
    「更にもう一撃。……さっきの奇襲がかなり効いたみたいだねぇ。もうボロボロじゃないか」
     畳み掛けるように理一が放った影の刃が吉田の胸に突き刺さり、抉った。
    「全力の脅かしに成功したなら、後は全力で灼滅しにいくだけだぜ!!」
     構えた槍に爆炎を纏わせ、悠は地を蹴り一気に吉田まで接近する。
    「こいつはもう瀕死だ! このまま一気に決めてやれ!!」
     そして悠が振り上げた槍が吉田の胸を打ち、全身を焦がしながら天井近くまで打ち上げた。
    「わたしも援護します。全身を切り刻んであげましょう」
     沙霧は店内に仕込んでいた鋼糸『銀雲花』を手繰り、一気に引く。
     すると煌めく糸が打ち上げられた吉田の身体を一気に締め上げ、その全身に無数の傷を与えた。
    「だったら俺が仕留めてやる……その腐った根性ごと、消し飛ばしてやる!!」
     悠夜は『連接剣【蛇骨之顎門】』を構え、その荒々しい刃を伸ばしながら自身の身体を超高速回転させる。
    「これで終わりだ……細ぎれになって死んで逝けッ!!」
    「グ……グォォォオオ!!」
     そして放たれた竜巻の如き勢いの斬撃が、吉田の全身を削り取り、跡形も無く消滅させたのだった。
    「護り手が落ちましたか。次は貴方ですよ、リーダーの佐古田さん」
     嗚呼は淡々と呟くと圧壊刀『かいしん』を構え、佐古田の懐まで一気に接近する。
    「クソが! 人間如きが俺様の部下を殺しやがって!!」
     佐古田も巨大な大剣を振るい迎撃するのだが、嗚呼はその攻撃を冷静に見切る。
    「残念当たりません」
     そして嗚呼が放った斬撃が佐古田の斬撃の威力を殺し、そのまま足を斬った。
    「そもそも、羅刹に宝石なんてのが笑える話だ。豚に真珠、猫に小判と同異義語だな」
     ダグラスはそう言い放つとニヤリと笑い、全身の闘気を拳に纏わせ佐古田に接近する。
    「どの宝石もテメェ等の手に渡るのは嫌だってよ!」
     ダグラスが放った重い拳は佐古田の胸を打ち、佐古田の身体は床に叩きつけられた。
    「グォッ! ……ふざけやがって!」
     すぐさま立ち上がった佐古田は大剣から重い斬撃を放ち、灼滅者達を一気に斬る。
    「まあ確かにそこそこの攻撃だな……大丈夫か?」
     クロードが語った暖かな語りが灼滅者達の身体を癒し、瞬く間に傷は塞がれた。
    「お前達はかなり攻撃に偏っている様だが……少し回復を疎かにしすぎた様だな……」
     そう呟きクロードが放った赤の逆十字が、佐古田の身体と精神を傷付けた。
    「グ、頭がいてえ……! 絶対許さねえぞテメエら!」
    「こんな狭くて塞がれた場所じゃなければ、さっさと阿保リーダーを捨てて逃げてる所なんだけどね」
     怒る佐古田と冷静な村口は、それぞれ武器を構える。
     相当追い詰められている筈だが、未だ諦めてはいない様だった。


    「死ねや!!」
     佐古田は大剣を振り回し突撃し、灼滅者達に荒々しい斬撃を叩きこんでいく。
    「随分と焦ってるみたいだな……だけどもう全てが遅い!」
     悠夜は放たれた斬撃をひらりと避け、連接剣に畏れを纏わせていく。
    「絶対に逃がしはしねえ!」 
     膨大な殺気が込められた鬼気迫る斬撃は、佐古田の身体に深い傷を刻み込んだ。
    「あいつの体力は、あと僅かの筈だ。一気に決めるぞ……」
     仲間たちに呼びかけたクロードは己の魔力を指輪に充填させつつ、狙いを佐古田に定めていく。
    「お前の動きは確かに速いが……もう見切った。絶対に外しはしない……」
     そしてクロードが放った魔の弾丸は見えざる速度で佐古田に肉薄し、その心臓を撃ち貫いた。
    「グア、クソ……!!」
     苦しげに胸を抑えた佐古田は、憎悪の瞳で灼滅者達を睨み付ける。
    「宝石なんてのは別嬪飾ってこその代物だろうが。テメェ等の糧になるのなんざ、まっぴらご免だろうぜ。ましてや一般人を簡単に虐殺しようとする野郎共なら尚更だ」
    「黙れ! 人間なんざ俺らに搾取される為に存在してる様なもんだろうが!!」
     ダグラスの言葉に激昂し、佐古田は巨大化させた剛腕でダグラスに殴りかかる。
    「勝手なもんだぜ……だが、これで終わりだ」
     佐古田の攻撃よりも早く、ダグラスはバベルブレイカー『Miach』を駆動させ、激しいエンジン音と共に突きだした。
    「グゴアァァァァッ!!」
     放たれた杭は佐古田の身体の中心を貫き、佐古田の全身は灰となり消滅していった。
    「あーらら、チンピラもリーダーも死んじゃったよ。ホント勘弁してほしいね」
     淡々とした口調で語る村口は巨大な弓を構え、無数の矢を番える。
    「こりゃ絶望的だ」
     そして放たれた無数の矢が、灼滅者達に降り注ぐ。
    「その割には全然動揺見せてないねぇ。まだ勝てる気なのかな? それとも、悟りの境地って奴?」
     矢を受け止めた理一は足元の影を操りながら、村口にそう問いかける。
    「いや、まあ俺だって死にたくないけどさ。土下座しても許してくれないでしょ? それにここ狭いし出口少ないしで無理やり逃げれる気もしない。じゃあ受け入れるしかないよ」
    「そう。だったらそのまま大人しくしててねー」
     そして理一が放った巨大な影の刃が村口に襲い掛かり、その肩口を大きく斬る。
    「宝石ばかり集めて、新たな鬼ヶ島でもやりたかったのでしょうか、あなた達は。でも、もう凶行は起こさせません。ここで確実に灼滅します」
     沙霧は『影桜』と冠された槍を構えると村口に一気に接近し、そして不意に横に跳ぶ。
    「……どこだ」
    「こっちですよ……隙ありです!」
     一瞬にして村口の視界から消え背後に回り込んだ沙霧は槍を突出し、鋭い刺突を叩きこんだ。
    「お前は遠距離から攻めるタイプらしいな。だったら撃つ前に至近距離まで潜り込むだけだ!」
     悠は槍に己の妖気を纏わせながら、村口との距離を一気に詰めていく。
    「いやいや、俺の早撃ちも中々捨てたもんじゃない……よっと!」
     村口は悠に向けて彗星の如き威力の一本の矢を放つが、悠は走りを止めない。
    「……今だ!」
     悠は放たれた矢を高く跳ぶ事によって避け、槍の先端を真下の村口に向ける。
     そして放たれた無数の氷の刃が、村口の全身に突き刺さった。
     直後、刀を構えた嗚呼が村口の前に進み出る。
    「まあ、宝石を狙いたい気持ちは分かります。綺麗ですから。私はガラス玉も好きですが」
    「ああ、俺も綺麗な物は好きだよ。でもとっておこうとしてもあの阿保リーダーがいっつも全部売っ払っちゃてたんだよな……」
    「上司が阿保だと苦労しますね。……とまあそれはさておき、さっきのドッキリのお題として、命でも貰っておきましょう」
     嗚呼はそう言って刀を構え真正面から村口に突撃する。
     そして抜刀。放たれた居合い切りは村口の胸元を斬り、綺麗な傷痕を残した。
    「ドッキリの押し売りかよ。性質悪いな……しかも驚いてたのはほぼチンピラとリーダーだったし、イテテ……もう俺も終わりかな」
     顔を歪めながら、村口は再び弓を構える。
    「まあ死ぬのはもう分かってるけどさ。冥土の土産に誰でもいいから首寄越してくれないかな」
     村口はそう言い再び矢の雨を放つが、灼滅者達は誰一人として倒れはしない。
    「お前には首も宝石もやらねえよ。あの馬鹿2人に混ざったてめぇのマヌケさを呪うんだな」
     月夜はそう言って担ぐように持った左手のチェーンソー剣を構え、エンジンを一気にフル駆動させる。
    「これで終わりだ……いくぜ!!」
     月夜が呼びかけると、灼滅者達は村口に一斉攻撃を叩きこんだ。
     悠が放った炎の一撃が全身を焦がし、
     沙霧が放った無数の糸が全身を切り裂く。
     理一が放った鬼の拳が脳天を打ち、
     クロードが放った紅き十字架が胸に刻まれる。
     ダグラスが放った無数の拳が全身の骨を砕き、
     悠夜が放った激しい斬撃が胸を抉る。
     嗚呼が放った一閃が首筋を斬ると、
     月夜が怒涛の勢いでチェーンソーを振るう。
     激しいエンジン音が店内に轟き、その凶悪な斬撃は村口をズタズタに切り裂いた。
    「ゲホ、ガ……! 末恐ろしい連中だよ、全く……クソ。もっと金が欲しかった……」
     村口は自身の身体から流れだした血溜まりに倒れ、全身が崩れ落ち消滅していった。
    「小物は小物らしくしてな。所詮その角なけりゃただのゴミクズよ」
     咥えていたロリポップの棒を吐き捨て、月夜はそう呟いた。

     こうして戦いは終わった。
     ホラーな雰囲気の奇襲作戦は無事に成功し、灼滅者達はかなりの優位を保ったまま勝利を収める事が出来た。
     あの三人の悪鬼共が、店を襲う様な事は二度とない。
     灼滅者達は起こる筈だった数々の残虐な事件を未然に防いだのだ。
     これから別の事件に繋がる調査をしてもいいし、何かしらの仮説を立て推理してもいい。
     だがひとまずは学園へと帰還し、闘いの傷を癒すとしよう。
     

    作者:のらむ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年8月30日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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