夏の終わりに線香花火の都市伝説現る

    作者:東条工事

     八月終盤。空に鳴く虫の音も、そろそろ変わり始める夏の終わり。
     とある人気のない空き地に、一つの都市伝説が出ると噂されていた。
     いわく、線香花火オヤジ。
     夏の終わりに着流し姿で件の空き地に現れるという都市伝説は、小さな子供達を引き連れて現れる、と言われていた。
     その子供達は夏を迎えられずに死んでしまった亡霊で、その子供達を慰める為に線香花火をするという。
     運悪く、その場に居合わせてしまったのなら、子供達が喜ぶように共に花火を楽しまければならないという。
     もし出来なければ、子供達と線香花火オヤジが襲い掛かり、亡霊の仲間入りをさせるという。
     そして子供達を楽しませれば、亡霊の子供達は満足し成仏すると言うが、あの世の子供達を更に慰め続ける為に、線香花火オヤジはあの世に連れて行こうとするという。
     それはいわば、なんていう事の無い怪談噺。ただの都市伝説にすぎない筈であったのだが――

    「誰かが巻き込まれる前に、解決しないといけませんね」
     軽田・命(ノーカルタノーライフ・d33085)の言葉に、
    「ええ。夏の終わりを気分良く終わらせる為にも、皆さんにはご足労をお掛けしますが、お願いしたい所です」
     東雲・彩華(高校生エクスブレイン・dn0235)は返すと、集まってくれた灼滅者達に説明を始める。
    「軽田・命さんからの情報により、夏の終わりの時期に現れる線香花火の都市伝説の行動予測を行いました。灼滅をお願いします」
     そう言うと資料を皆に渡し更に続ける。
    「今回の都市伝説ですが、資料にある空き地に午後九時に出て来ます。幸い人気のある場所からは離れている事もあり、当日ならば一般人の方達は現れません。ただしこの日を逃すと条件が変わってきますので、ぜひ当日決着をつけて下さい。今回の都市伝説の対処法ですが、大きく分けて二つあります」
     ここまで言うと、皆が資料を確認してくれるのを待ってから続ける。
    「一つ目は、都市伝説が現れると同時に戦闘を行うやり方です。この場合、敵となる相手は子供達と線香花火を持った着流し姿の都市伝説になります。子供達は四人ですが、着流し姿の都市伝説を倒さない限り、何度灼滅しても一分後には復活してきますので、戦いの際は特に注意が必要になります。
     二つ目は、子供達の都市伝説と一緒に花火をして楽しんでから、着流し姿の都市伝説と戦うやり方です。この場合、花火で満足した子供達は消え失せ、着流し姿の都市伝説だけと戦う事になります。ちなみに、楽しむ花火は線香花火以外でも可能です。必要があれば、よほど無理なもの以外はこちらで用意させて頂きますので、仰って下さいね」
     そこまで言うと、一息つくような間を開けて都市伝説の戦力に関して説明する。
    「今回の相手ですが、着流し姿の都市伝説は怪談蝋燭と縛霊手に相当するサイキックを使ってきます。ポジションはディフェンダー。かなりの防御力を誇ります。子供達の都市伝説も同様に怪談蝋燭と縛霊手に相当するサイキックを使います。ポジションは二人がスナイパー、残り二人がメディックです。攻撃力だけならば、それほど脅威はありません」
     ここまで言うと、最後に激励を口にする。
    「夏の終わりの怪談といった都市伝説ですが、どうか皆さん、怪我も無く無事に戻られて下さい。皆さんのご武運を願っております」


    参加者
    風雅・晶(陰陽交叉・d00066)
    マルティナ・ベルクシュタイン(世界不思議ハンター・d02828)
    高瀬・薙(星屑は金平糖・d04403)
    桃之瀬・潤子(神薙使い・d11987)
    楠木・朱音(繋ぐ鎖・d15137)
    海弥・障風(障り毒祟り風・d29656)
    伴・創(子不語怪力乱神・d33253)
    禰・雛(ファクティスアーク・d33420)

    ■リプレイ

     都市伝説は鬼火と共に現れた。
    「出迎えて頂けるなんて、感謝感激雨あられ」
     夜の闇から滲み出してくるようにして、鬼火を周囲に漂わせ四十路半ば程に見える着流しの男が五・六歳ほどの子供達を連れ立って現れる。
     着流し男の後ろに隠れるようにして子供達は、期待感一杯の眼差しで灼滅者達を見詰めていた。
     そんな子供達に桃之瀬・潤子(神薙使い・d11987)は、
    「一緒に花火してもいい? みんなでやるときっと楽しいよっ」
     楽しさが溢れるような声で呼びかけ、同様に海弥・障風(障り毒祟り風・d29656)も、
    「俺達と花火を楽しまないか? 色々な花火を用意している」
     都市伝説の雰囲気から話せば分かる相手だと判断し誘いの言葉を向ける。それに着流し男は、
    「嬉しいですねぇ。ほら、お兄ちゃんやお姉ちゃん達が遊んでくれるそうですよ? お願いしてみてご覧なさい」
     それに子供達は恐る恐る灼滅者達の前に進むと、
    「遊んでくれる?」
    「あのね、線香花火、あるの」
    「あげる。一緒にしよう」
    「だめ? お兄ちゃん? お姉ちゃん?」
     灼滅者達を見上げ、不安も滲ませながら呼び掛ける。それに灼滅者達は応えた。
    「ああ、一緒に遊ぼう。線香花火は最後にして、その前にみんなが持って来た花火で遊ぼうな」
     静かな声で、ポロシャツとジーンズ姿のやや中性的な少年、伴・創(子不語怪力乱神・d33253)が呼び掛け、
    「線香花火は一番好きなのだよ。こう、儚く風情がある。最後の締めに楽しめるのは良いな。一緒に楽しもう」
     禰・雛(ファクティスアーク・d33420)も、子供達に差し出された線香花火を受け取り呼び掛ける。
     これに子供達は嬉しそうに笑顔を浮かべ頷く。
    「それじゃ、線香花火は締めって事で、まずは他のを楽しむか。その前に火事にならないように用意しないとな」
     楠木・朱音(繋ぐ鎖・d15137)は水の入ったバケツを配置する。それを他の灼滅者達も手伝い、子供達も手伝おうと右往左往。それに高瀬・薙(星屑は金平糖・d04403)は、
    「シフォン、少し相手をしてあげてくれますか?」
     自らの霊犬に子供達の相手を頼む。シフォンは肩を竦めるような間を置いて子供達の傍に寄る。
    「わんちゃん!」
     喜ぶ子供達。それに同じく霊犬を連れていたマルティナ・ベルクシュタイン(世界不思議ハンター・d02828)は、
    「権三郎さんも、遊んであげて……」
     無表情で呼び掛ける。それに応え子供達と遊んでやる権三郎に、
    「楽しんでる、子供達……これはもっと楽しませる為に権三郎さんロケット花火計画を実行すべき……」
     ぽつりと呟き、権三郎は『マジかこの女いやマジだ!』と思ったのかは定かではないが、思いっきり主と距離を取る。そうして準備が整う中、
    「それでは、皆で花火を楽しみましょう」
     風雅・晶(陰陽交叉・d00066)の呼び掛けで、子供達は花が咲くような満面の笑顔を浮かべ花火を手に取り楽しみ始める。
     最初に色が次々変わる変色花火。火を点ければ勢い良く緑の炎が噴き出したかと思うと、徐々に弱まり小休憩のような間を開けて、今度は赤い火花が広がる。それを繰り返すようにして、花火は鮮やかに炎の花を咲かせ続ける。それを綺麗と喜ぶ子供達。それに創は、
    「花火は綺麗なだけじゃないだ。もっと凄い事だって出来るんだぞ? 水の中でだって出来るんだから」
     静かな声で呼び掛ける。
    「本当に!?」
     興味津々に聞き返す子供達。それに小さく、けれど優しい笑顔を向けながら、創は持って来ていたガラスの杯に水を注ぎ、中で花火をしてみせる。消えずに炎を吹き出す花火に歓声を上げる子供達。そうして喜ぶ子供達に、
    「こっちの花火もやってみる? たんぽぽみたいにまあるく弾けるんだよ」
     潤子は新しい花火を差し出し、それを嬉しそうに手に取る女の子達。ぱちぱちと弾ける綺麗な花火に嬉しそうな笑顔を見せる女の子達に、男の子達も羨ましそうに見つめる。それを潤子はくすりと笑うと、
    「一緒にやろう。楽しいよ」
     男の子達も誘い楽しむ。そんな中、薙はたくさんの種類が入った花火セットを広げ、
    「どれが良いですか? 好きなのを取って下さいね」
     子供達に差し出す。そうして思い思いに子供達は花火を楽しむ。それにシフォンは、
    「あんまり間近で花火見てるとヒゲ焦げますよシフォン」
     薙に苦笑されながら言われる程、近くで見つめる。それに子供達はシフォンにもさせてあげようと持ち手を咥えさせる。咥えたまま走り回りその後を追いかける子供達。
    「花火くわえたまま走り回らないで下さい危ないですから、熱っ」
     薙の注意の声もなんのその、シフォンも子供達もはしゃいで回る。それを見ていたマルティナは、
    「今こそ権三郎さんロケット花火降臨の時……」
     束にしたロケット花火を権三郎に括り付けようとするも、既に思いっきり逃げていた。
    「残念……花火はやはり派手でないといけないのにこのままでは盛り上がりが……」
     悩むマルティナの横で晶は、
    「派手な花火なら、吹き上がる花火も良いかもしれません」
     子供達を呼んで一時童心に返ると、共にはしゃいで楽しんでやる。そうして楽しむ中、
    「子供達も楽しそうで何よりだ……」
     雛は呟きながら、心の中で同時に、
    (「成仏しても仲良く遊ぶのだぞ」)
     祈るように願っていた。その願いに応えるように子供達は更に花火を楽しむ。特に、ねずみ花火は派手に動き回り、それに合わせて皆と駆けっこのように遊べるので子供達は喜ぶ。
    「おお、ねずみ花火か。面白い」
     子供達と花火の様子に雛が楽しそうに声を上げれば、
    「やっぱり派手なのは良いみたい……ならここは、ロケット花火でバトル、とか……」
     マルティナがぽつりと提案。とはいえ危ないので、
    「いや、危ないから花火は人に向けちゃダメだろ。まぁ、俺もしたことはあるけれど」
     朱音は注意の声を上げ、
    「フライパンで打ち返す、とかも考えましたけど、危ないですよね」
     薙は苦笑しながら言う。
     これに返したのは着流し姿の都市伝説。
    「それならあっしも協力しやしょう。他所に燃え移りそうなのや人に当たりそうなのはコイツで撃ち落としやすから、皆さんは楽しく遊んでくださいな」
     言葉と共に周囲を漂っていた鬼火が灼滅者達の傍に寄る。これに、
    「それで良いのか?」
     着流し男の傍で、一連の進行が巧くいっているかを顔色などから判断していた障風は尋ねる。これに着流し男は、
    「勿論でさ。あの子達と、そしてあの子達と遊んでくれる皆々様が楽しんで貰えるのが一番でやすからね。それが、あっしらにとっちゃ一番なんでやすよ。勿論、あんたさんも楽しんで貰えりゃ、それが一番でさ」
     漂々とした笑みと口調で、けれど願うような響きを込め返す。それに、
    「……分かった。遊んで、楽しめば良いんだな」
     障風は受け止めるような響きを込め返し、皆と共に花火を楽しんでいった。
     こうして花火を皆は楽しみ、やがて終わりの時はやって来る。最後に灯すのは線香花火。子供達と灼滅者達、皆が言葉も無く赤く灯り飛び散る火の花を見詰め続ける。
     最後まで落としてしまわないように、花火を持つ子供達の手を支えるように自分達の手で包み込んでやりながら。
     そうして花火は咲き終わる。余韻のような静寂が広がると、子供達は次々に笑顔で喜びと感謝の言葉を告げ姿を薄れさせると火の玉と化し空へと昇る。そうして一瞬ぱっと輝き広がると、雪のように輝きを降らせ消えて行った。
     残るは着流し姿の男のみ。
    「やっぱり残るのですね。では、やりましょうか」
    「子供達が満足してくれたんだから、お前さんも一緒に消えてくれたら良かったんだがな……」
     臨戦態勢を整えながら告げる晶や朱音の言葉に、
    「あいにくあたしゃ、そういう物語でして」
     着流し男がすまなそうに返すと周囲を飛んでいた鬼火が集う。両手に集まり勢い良く燃え上がったかと思うと、それは籠手の形で固定化された。
    「どうかあっしとあの子達の物語を静かに終わらせて下さいな。誰も殺さず、終れるように」
    「心配するな」
     力強く返したのは障風。
    「お前達の物語、暗い思い出なんて残させやしない。ハッピーエンドで終わらせてやる」
     この言葉に都市伝説が柔らかな笑みを浮かべる中、戦いは始まった。


    「やれやれ……微妙にやり辛いな……っと!」
     朱音は鬼神変により巨大化させた拳を叩き込む。まともに食らい吹っ飛ばされる都市伝説。そこへ追撃に入ったのは薙とシフォン。
    「援護しますね、シフォン」
     主の言葉より先に跳び出したシフォンを援護するべく影業を起動。瞬時に地を這い攻撃の間合いまで伸びた影は現実の厚みを伴い都市伝説を切り裂き、同時に距離を詰めていたシフォンが斬魔刀を連撃で叩き込む。
     そこへ小太刀二刀流で踏み込んだのは晶。右手に鎬に白い筋の通った黝い刀身の小太刀・肉喰、左手に鎬に黒い筋の通った白い刀身の小太刀・魂結。自らの傷を恐れぬ踏込は俊足にして巧妙、瞬時に死角を制し黒死斬を放つ。
     まともに食らう都市伝説。これに違和感を感じた晶は問い掛ける。
    「避ける気はないのですか?」
    「まさか。皆さんが強いだけでさ」
     とぼけるように言う都市伝説に、マルティナと権三郎の連撃が入る。
    「派手に行くね……」
     エアシューズでローラーダッシュ。高速移動の勢いを込めた跳び蹴りを放つ。蹴りの軌跡に絢爛な流星の輝き纏うそれは都市伝説の胸元に命中、地響きをさせる勢いで蹴り倒した。
    「派手ですが、それ以上に綺麗でさ」
     静かに告げ起き上がる都市伝説に権三郎の六文銭射撃が。足に受け動きが鈍る。その隙を突くように、都市伝説の攻撃で傷付いた仲間にラビリンスアーマーを使ったのは雛。
    「戦わないんですかい?」
    「仲間を癒す事も戦いです」
     凛とした声で返す雛に、どこか心地よさそうに笑みを浮かべる都市伝説。そこに踏み込んだのは潤子。
    「ごめんねおじさん! 私達はあの世へ行けないの」
    「お気にせずに優しいお嬢さん。戦いってのは、そういうもんでさ」
     うそぶく都市伝説に距離を詰めた潤子は斬撃の間合いに踏み込むと、翻弄するような速さを見せながら無数の斬撃を叩き込んだ。
     血に染まり、けれど平然と立つ都市伝説。そこへ声を掛けたのは障風。怪奇煙を使い自らのジャミング能力を高めると、戦闘へと集中するかのように黙っていた障風は、小さなナイフを突きつけてひと呼吸置いてから宣言する。
    「俺が……お前の悲しみを取り除いてやる」
    「嬉しい言葉ですねぇ。それだけで、胸が痛くなるほどでさ」
     心地好さ気に都市伝説は目を細め、待つかのように佇む。そこへ創は更に告げる。
    「少しだけ待ってろ。必ず、終わらせてやる」
     イエローサインを使いBS耐性を付与し戦いの流れを組み立てて行く創に、そして全ての灼滅者達に都市伝説は返す。
    「手加減遠慮はご無用で。なにしろあたしゃ、あんたらを殺すしかできない物語なんですから」
     懇願するように都市伝説は告げた。

     かくして戦いは続く。異様に都市伝説はタフだったがそれも繰り返される攻撃の中限界は見え始め、終わらせるべく灼滅者達は攻撃を叩き込む。

    「行くぞ」
     言葉少なく戦いの意志を胸に創は踏み込む。エアシューズを使いローラーダッシュ。摩擦により生まれた炎纏う蹴りを叩き込む。
     都市伝説は籠手で受けた腕を蹴りの勢いで砕かれ炎に包まれながら反撃の拳を放つも紙一重で当たらない。
    「外れちまいやした」
     攻撃を外し楽しげに言う都市伝説に、終わらせるべく連撃が叩き込まれる。
    「油断はしないで下さいよ。あっしは自分を自分で自由にできねぇんですから」
     まっすぐに踏み込んでくる朱音に警告するように言う都市伝説へ、
    「心配するな。ここでやられちまったら、間抜け以外の何物でもないからな……」
     朱音は一切の油断なく間合いを詰め、反射的に迎撃の拳を放つ都市伝説の攻撃を交わし無数の拳打を叩き込む。
     拳打の勢いに動きが止まる都市伝説に薙とシフォンの追撃が入る。先行して放たれたのは黙示録砲。聖歌と共に放たれた光弾に都市伝説は楽しげに告げる。
    「花火みたいに趣きがありやすな」
    「あいにくと、炎ではなく氷ですけどね」
     薙の言葉通り、光弾着弾と共に凍てつく都市伝説。そこへシフォンの六文銭射撃が叩き込まれた。
     繰り返される攻撃は間髪入れず続く。間合いを詰めていた晶の影が都市伝説を飲み込む。
    「貴方のトラウマとは何なのでしょうね?」
     晶の問い掛けに、
    「死んだ子供への鎮魂歌、それがあっしらのトラウマにして物語の元でさ。事実か空想か、それはあっしらにも知れぬこってすが」
     都市伝説は静かに返す。そこに追撃を入れたのはマルティナ。
    「何だか寂しそうな話……だから夏で花火で親父なのに打ち上げ花火じゃないのかな……?」
     呟きながらも攻撃の手は止めず縛霊撃を叩き込む。霊力の網で動きが止まった所を権三郎の斬魔刀が切り裂いた。
     繰り返された攻撃によろける都市伝説。そこへ真正面から武道の挨拶のように一礼をし攻撃を放ったのは雛。
    「参ります」
     手にした怪談蝋燭から炎の花を飛ばす。それはまともに当たり更に炎で包まれた。
     そこへ潤子は鬼神変を叩き込むべく踏み込む。武を嗜む彼女は凛として物怖じせず距離を詰め、
    「ごめんなさい!」
     攻撃の直前、繰り返し鍛錬した構えを取り拳を放つ。それは芯を捕えまともに入った。
     もはや都市伝説は死に体。そこへ小さなナイフを手に障風は踏み込む。薄い笑みを浮かべる都市伝説に叩き込まれたジグザグスラッシュは、都市伝説に止めを刺した。
    「ありがとうでさ。良い終わりでしたよ」
     静かに告げる消え逝く都市伝説に、
    「まだだ! こんな終わり方は違う、お前の物語はこんな終わり方じゃない!」
     怒るように障風は告げる。
    「なんでお前自身が子供達と遊んでやれない。そんな物語は歪んでる。来い、俺がお前達の望む物語を語ってやる!」
     その呼び掛けに都市伝説は苦笑するように笑みを浮かべると、障風の七不思議の一つとなるべく取り込まれた。
     後に残るのは静寂。戦い終わり鬼火も消えて、晶の用意した光源だけが周囲を照らす。
     どこか寂しげな空気が広がる中、それを吹き飛ばすように朱音は歌を口にする。それは何処かを目指すような力強さを響かせ、夜の空へと広がって行くのだった。
     

    作者:東条工事 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年8月31日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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