毒蟲

    作者:るう

    ●夜の住宅街
     それは、巨大な蛾であった。
     いや、蛾と呼ぶにはおぞましすぎる、名状し難い蟲であった。
     サイケデリックな翅の下には、赤と黒の入り混じったぶよぶよの芋虫の体。その腹部は異様に膨らんでおり、中に別の存在があるかのように蠢いている。
     それが飛翔する。目敏く見つけた、暑さに開けたままになっている窓へと。
     部屋には少女。蟲はぎちぎちと不快な音を立てた後、少女の『中』へと跳躍する。
     蟲が少女に吸い込まれた一瞬、少女は苦悶の声を上げた。それからしばらく、うなされ続ける。
     けれどもいつしか……少女の寝息は安らかに戻る。自らの中にいる者の事など、何も知らぬかのように。

    ●武蔵坂学園、教室
    「絆のベヘリタスの卵に関する事件を、覚えているでしょうか?」
     忘れた、あるいは最近武蔵坂学園に来た灼滅者のために、園川・槙奈(大学生エクスブレイン・dn0053)は改めて説明する。
     少し前、謎の人物が人々に『ベヘリタスの卵』を植えつけ、その人の持つ絆を奪う事件が発生していた。それが『ベヘリタスの卵の事件』だが、最近はこの種の事件が全くエクスブレインに未来予測されていなかったのだ。
    「けれども、それには理由があったようです……」
     彩瑠・さくらえ(望月桜・d02131)の調査によって、その卵から生まれたと思しきシャドウが発見されたという。それは眠っている人間を探し、何らかの事件を起こす模様だ。シャドウの羽化により敵は目的を果たしたために、灼滅者たちの警戒活動を嫌い、新たな事件を起こさなかったのかもしれない。
    「犯人の目的も、シャドウの目的も不明です。けれども……これを放置するわけには行かないだろう事は確かです」

     敵の『バベルの鎖』に察知されないためには、シャドウが少女の中に入り込んだ後、すぐに追ってソウルアクセスする必要がある。その時、敵はソウルボードに入った直後であるので、配下や悪夢を使った罠などはない。殺風景な何もない空間で、シャドウ単体との戦闘になるだろう。
    「同じ『ベヘリタスの卵』から生まれたシャドウでも、個体ごとに能力は異なるようです。この個体は、燐粉を使った毒や催眠を多用してきます」
     とはいえソウルボードの内部では、シャドウはあまり強くない。問題は、ソウルボード内で敗北したシャドウは現実世界に現れる事だ。
    「この時……使うサイキックは同じなのですが、シャドウはかなりの強敵になります。皆さんであれば、決して灼滅できない相手ではないとは思いますが……」
     そこまで話を続けてから、槙奈は一瞬言葉を切った。
    「……いいえ。必ず灼滅して下さい……何か、嫌な予感がします」
     その予感の理由には、シャドウの腹部の蠢きの中に、別のシャドウの気配が感じられる事もあるかもしれない。戦闘能力は非常に低いと思われるが、場合によっては三連戦の危険すらある。しかしこれもまた、倒せるなら倒しておいた方がいいだろう。
    「確かな事は、何一つ言えません……このような未来予測で皆さんを送り出す私が言えた事ではないかもしれませんが、どうか皆さん油断せず、ご無事で帰ってきて下さい……」


    参加者
    空井・玉(野良猫・d03686)
    アイスバーン・サマータイム(精神世界警備員・d11770)
    鏃・琥珀(ブラックホール胃袋・d13709)
    フィオレンツィア・エマーソン(モノクロームガーディアン・d16942)
    石見・鈴莉(偽陽の炎・d18988)
    羅刹・百鬼(一人ぼっちの百鬼夜行・d27920)
    饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・d28385)
    シフォン・アッシュ(影踏み兎・d29278)

    ■リプレイ

    ●夢の中
     暗い。
     それがアイスバーン・サマータイム(精神世界警備員・d11770)が最初に感じた印象だった。
     これが彼女の愛したソウルボードなのか? 無表情に『眠り姫』をそっと手に取って、彼女はそれに囁きかける。
    「ターリア。とっても綺麗ですから、働いてくれると嬉しいかな? って」
     ダイダロスベルトは得意げに舞い上がる。目の前の、毒々しい色の蟲へと向かい。
     蟲は闖入者たちを見回すかのように伸縮し、それから大きく羽ばたいた。紫色の粉末を乗せた風が吹きつける。
    「行くよクオリア。為すべき事を為す」
     空井・玉(野良猫・d03686)は相棒へと声をかけ、それから共に跳躍した。毒の燐粉の上を一輪のタイヤが駆け抜けて、そのままシャドウの翅に微かな模様の乱れを生む。
     悪趣味ね、とフィオレンツィア・エマーソン(モノクロームガーディアン・d16942)。
    「並の女性なら、こんなにもグロい虫は大嫌いよ?」
     それからフィオは自分の拳を、躊躇いもなく蟲のぶよついた腹へ。もしも、その忌避の感情がシャドウの餌になるのだとしたら、その思惑に乗ってやる理由などどこにもないのだから。
    「ひゃは、おー動いてら動いてら! きめーな!」
     羅刹・百鬼(一人ぼっちの百鬼夜行・d27920)が狂ったかのように笑った。その視線の先は常に蠢く腹。そして自らの体を戒めていた拘束服を引き千切り、凶暴な両腕が敵の前に姿を現す!
    「大穴空けてやんぜぇ!」
     服が飛び散った勢いのまま、四方に伸びてゆくベルト!
    「うわ百鬼ちゃん、危ないよ!?」
     慌ててシフォン・アッシュ(影踏み兎・d29278)は身を屈めた。正直、このヘンなクラスメイトが何をしでかすか、今でも予想できない事がある。けれど……目的だけは間違いなく同じ。シフォンの目元が不意に真剣味を帯びて、自分の九つの『尾』を百鬼のベルトと共に這わす。その姿はまるで妖狐のごとく。
     シャドウは大きく翅を羽ばたかせ、ベルトの嵐から身を逃した。けれども捩った首筋に、金色の獣が跳びかかる!
     いや獣にあらず、獣人なり。これまた見る者を魅了せんばかりの美しい妖狐――その正体は人造灼滅者である饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・d28385)だ――が、天雲なる儀礼用の大太刀を首筋へと当てる。
     急所に巨大な質量を受ければ、さしもの悪夢の権化といえども麻痺し、地に落ちる以外の選択肢はなく。
     死に掛けの蝉のごとく床でのたうつシャドウの上に、霊力の網が覆い被さった。
    「確かベヘリタスは、『秘宝』なんていうのも持っているんだっけ?」
     片手で巧みに網を操りながら、石見・鈴莉(偽陽の炎・d18988)は問う。無論、シャドウは答えない。
    「ま、答えてくれるわけなんてないよね」
     鈴莉がつまらなそうに頭を振ると、腰までの長いツインテールがふわりと揺れた。シャドウはようやく最初の衝撃から立ち直り、翅を動かして起き上がる。
     同時に、エンジン音が鳴り響いた。鏃・琥珀(ブラックホール胃袋・d13709)を乗せたラウンドフォースは、シャドウを真上から踏みつける。
     ぐちゃりという音。
    「猛烈に嫌な感じなのよ」
     それは潰した腹の感触も、シャドウの企む陰謀も。
     蟲は、琥珀の前にその中身を露にする事はしなかった。代わりに歪んだシャドウの体は、何もない殺風景な空間の中に溶けるように消える。
     だが……それは灼滅者たちにとっての勝利ではない。
     消えたシャドウをすぐに追い、灼滅者たちの姿もまた夢の中から消えた。

    ●夜空の下の戦い
     脹らんだ図体を引きずりながら、シャドウは夜の町へと這い出てゆく。僅かに遅れて灼滅者たち。
    「ここから先は通行止めなのよ」
     フルスロットルのラウンドフォースで窓から跳び上がった琥珀が、シャドウの目と鼻の先に落下して巨大な杭をかざした。憎悪から、あるいは恐怖から、人ならざる声を上げて翅を広げるシャドウ。
     けれどもどこか無機質めいた叫びは、町で眠る人々にまでは届かなかった。琥珀から少し間を空けてアスファルトに降り立った玉が、結界にて音の拡散を阻んでいたがために。
    「随分育ったね。教えてよ、何を食べたらそんなに大きくなるの?」
     このシャドウに奪われた絆を想い、玉の声色にあからさまな不快感が篭もる。
    「私も玉ちゃんとと同感だよ!」
     靴からの爆発的な空気の放出が、シフォンの体を不規則に揺り動かす。その動きは予想外の角度から、最大威力の魔力をシャドウに見舞わせる!
     仰け反る暇も与えない。赤黒の塊を、百鬼の鬼の爪が毟り取る。
    「食われてーか毒虫!」
     けれども百鬼は……近付きすぎたのだ。彼女を左右の翅から睨め付ける、巨大な、呑み込むような同心円状の『眼』から、仲間たちの視線を遮るほどに。
     最初に異変を察知したのは、彼女の心の破片……ナノナノだった。慌てた様子のナノナノに気付き、鈴莉が百鬼を霊力で打つ。
     異変の原因は明らかだ。鈴莉が警戒していた通り、翅の眼が百鬼を催眠したのだ。
    「大丈夫よ百鬼さん。それと皆も。シャドウが何をしてきても、あたしが必ずどうにかするよ」
    「期待してるわ」
     答えるフィアは鈴莉の方は見ず、蠢くシャドウの動きにだけ目を配って風刃を放った。少なくとも今のところは、周囲にはシャドウが放つものの他に、『業』の匂いは感じられないから。
     ただでさえ不定形のダークネスの肉体は、度重なる攻撃に身を削られて、さらなる異形へと変わっていった。
    「ますます気持ちの悪い見た目のシャドウさんになりましたね……」
     そう呟いてアイスバーンは自らの影を喚んだ。
    「ジンギスカンさん、こんな悪夢は食べちゃって下さい」
     数匹の羊の群れの姿をした影が、揃って闇へと突進してゆく……その脇を併走する樹斉。本当に食べたら毒になりそうだとか、実はこの姿も蛹で、ここからさらに変態するとしたらどうしようだとか思うところはあるが、一族のしきたりと、今は兎に角倒すのが先決という考え方から、口から流れ出るのは敵に破滅をもたらす歌声のみ。
     闇が何度も身を捩り、その度に毒粉を撒き散らす。夢の中のおぼろげな苦痛とは違う、刺すような痛み……けれども。
     影の羊の群れが毒蟲を食らう。体を伸縮させて羊を引き裂こうともがく闇は、どうやら灼滅者たち以上の苦しみを受けているようだ。
    「とはいえ油断は禁物ね」
     シャドウが羽ばたかせる翅の動きをフィオは見つめた。どうやら、演技で油断させるつもりではないらしい。
    「なら……仕留めるまでね」
     シャドウの頭はフィオの鬼の拳を受けて、ぐにゃりと上空へと伸びてゆく。
     続いて琥珀とラウンドフォース。立ち上がった形になったシャドウの体は、大きく肥大した腹部を曝け出している!
    「中にいるのごと突き刺してやるのよ」
    「私も行くよ琥珀さん!」
     さらにシフォンも剣を持つ。尾の一本を自らに取り込み、変質させて作った剣を。
     怒涛。けれども元より不定形のダークネスの体は、杭や剣で貫かれた程度では潰れない!
    「しぶといよ……」
     シフォンが闇の中から剣を抜こうとした、その時……。
    「気をつけろバーカ!」
     百鬼が急に飛び出して、シフォンを真横に突き飛ばす!
    「あーあ、やっぱ食えないか……げぇーっ」
     シフォンの代わりに毒燐粉を大きく吸い込んだ百鬼の顔は蒼白で、四つに這うのが精一杯だった。
    「ビャクダン、百鬼さんを助けてあげて」
     鈴莉の後ろから飛び出したウィングキャットが、リングを光らせ毒を消す。随分と血色のよくなった百鬼の首根っこを掴み、強制的にクオリアに乗せて後方へと連れてゆく玉。一応はクラスメイトだ、死なれるのは寝覚めが悪い。
    「あんな戦い方ばかりしていると、いつかは死ぬよ」
     それを聞くべき者は既に遠く。代わりに玉はシャドウを睨む。死地に臨む自由への、微かな羨望を想いながら。
    「ビャクダン、百鬼さんを治療し終えたらこっち来て」
     呼びかける鈴莉。役者は交代したけれど、舞台はまだまだ終わらない!

    ●裂かれる闇
     樹斉が振り下ろした天雲の下で、シャドウは夢の中と同じようにもがいていた。
     けれどもまだまだだ。重ねて天雲を叩きつけ、翅も千切れよと急所を穿つ。
     翅の模様が蠢いて、催眠のパターンを作り出す。今回は、模様から視線を遮る者の姿はない。でも……。
    「その分、あたし達が頑張ればいいよね」
     鈴莉は楽天的だった。催眠パターンの片隅で、先ほどから玉が警告の標識を振っているのが見える。ただでさえ複雑で計算され尽くした模様は、余計な黄色が加わっただけで、たちどころに効果を激減させてしまう。
     それでも全くの無害ではない。けれども光には光を。視界が妙にちらつくのに気付いた鈴莉は、霊力の光で自らの目を浄化する。もう大丈夫だ。
    「ここからは反撃タイムなのよ」
     琥珀の様子は気だるげだったが、振り上げた手の中に宿した闇は、今のシャドウが纏うものよりも濃く。ブラックホールのように歪んだ闇の弾丸が、シャドウの体を食らうかの如く蝕む!
     野獣の吼え声のような悲鳴! その音量を掻き消すかのごとく上がった咆哮は、樹斉の犬歯の間から吐き出されたものだ!
     急所狙いの天雲は、今や闇雲の力任せへと変わっている。敵を弱らせるためでなく、敵を粉々にして滅ぼすために。
     毟り取られた翅の一枚が、空中でばらばらに砕け散った。その時に生まれた燐粉吹雪は、せめてものシャドウの抵抗の意志か。けれどもそれは……急に吹きつけた風に乗り、遥か彼方へと飛ばされてゆく。
     百鬼が、少女のように純真に風に祈っていた。そんなクラスメイトに小さく頷いて、魔杖で天を指し示すシフォン。
    「百鬼ちゃんの分まで、私がシャドウに報いてみせるよ!」
     百鬼の生んだ風に乗り、さらに靴の空気を爆発させて、シフォンはシャドウの元まで急加速!
     そんなシフォンの周辺を、無数の風の刃が取り巻いていた。
    「そろそろ止めになりそうね。完膚なきまで叩き潰すわ」
     シフォンに遅れることコンマ数秒、フィオの風の刃は無様に変形したシャドウの体を毟り取ってゆく。
     巨大な十字架を掲げたアイスバーンがゆっくりと、しかし確実にシャドウへと迫った。そして……ぐちゃり。
     頭部を失っても動き続けていた蟲の腹部は、一度痙攣してから動きを止めた。その中央付近には、新しく生まれた一つの裂け目。
     ぞくり……不意に漂ってきたつんとした臭いに、フィオは戦慄を隠せなかった。
    「出てくるわ……それも沢山」
     倒したばかりの蟲を小さくしたようなシャドウの姿が、一匹、二匹の話ではない。三匹、五匹……まだ増える!
    「ソウルボードの中よりも、よっぽど現実の方が悪夢です」
     一匹一匹潰してゆくアイスバーンだが、到底それでは間に合わない。
    「轢き潰すのも嫌なのよ」
     琥珀がラウンドフォースに命じると、シャドウ達は機銃に撃たれ、すぐに路上の染みと化す。けれども七匹、十匹……。
    「ひえええっ!?」
     あまりのおぞましさに獣人化の半ば解けかけた樹斉が、情けない悲鳴を上げて蟲を凍らせた……だがまだ出る。
    「お腹の中のも逃がさないんだから!」
     シフォンが大地を揺り動かすと、新たな蟲は震える地面に叩きつけられて死んだ。代わりに、驚いた蟲たちがさらに腹の外へ!
     玉の目元に嫌悪感が灯った。
    「けれども常に、私は為すべき事を為せばいいだけ」
     慌てて出てきた蟲たちは、玉の結界に押し潰される。これでそろそろ、二十体近くを処分した事になるだろうか?
     腹が裂けた当初と比べれば、蟲が這い出る速度は随分と遅くなっていた。その棲家である腹部も溶け始めており、恐らくは、そろそろ終わりが近付いているのだろう。
    「おらおら出て来い! アタシが全部ぶっ潰してやんぜぇ!」
     百鬼のベルトが、二十六匹目の小蟲を消した。残りの蟲は、赤と黒のぬかるみの中で這いずっているような形だ。
     その上を、鈴莉の蹴りが大きく薙いだ。生まれた竜巻に巻き込まれ、最後の蟲たちは体を切り裂かれながら天へと昇ってゆく……。

    ●夜風吹いて
    「……疲れました」
     そんなアイスバーンの呟きが、竜巻を見送っていた灼滅者たちの意識を引き戻した。不意に夜風がそよぐ中、アイスバーンはいそいそとダイダロスベルトを仕舞い込む。
    「いやーでもビックリしたよね! まさか小さいシャドウがあんなにいるなんて」
     無口でスマートな獣人はどこへやら、ぽっちゃり少年の姿に戻った樹斉が、今まで言葉を語らなかった分を取り戻すように喋り始める……その標的となった琥珀はこめかみを押さえながら、渋い顔で聞き流していたけれど。
    「とにかくベヘリタスだかタカトだかの企みは、これで一つは止めたはずなのよ」
     琥珀が苦し紛れに話の結論を出すと、それを聞いた百鬼が辺りの民家の屋根の上に跳び上がり、爛々と辺りに目を光らせ始めた。
    「どこだベヘリタス……タカト……見てるならアタシの前に出て来やがれ……!」
     獰猛に吼える、鬼を滅ぼすために作られし少女へと、フィオは静かに首を振る。
    「残念ながらもう、近くには業の臭いはないみたいね」
     それは敵が彼女の鼻が利かないほどの場所から見ているせいか、それとも最初から彼女らを見ていないためかはわからない……が。
    「いずれにせよ、早いところ見つけてとっちめないとね」
     ぞくり……鈴莉の中で、最悪の想像が膨らむ。すなわちシャドウが、闇堕ちを介さずに増える方法を発見した可能性。
    「……なんてね」
     その想像が正しいかどうかは判らない、ただ、一つ確実に言える事があるとすれば、ダークネスの思惑は、灼滅者たちが想定する最悪の、さらに上を行く場合もあるだろうということ。
    「帰ろう。長居をするのは危険すぎる」
     クオリアにまたがり岐路を急ぐ玉の背を、シフォンが明るく笑いながら叩いた。
    「玉ちゃんは悲観的すぎると思うよっ! もうちょっとエクスブレインの人とか、学校にいる他の仲間を信じてもいいのよ!」
    「知ってるさ。だから私は、為すべき事だけを為す」
     それだけ呟いて夜道を走り去る玉を、シフォンは不思議そうにまばたきしながら見送るのだった。

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年9月7日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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