武藤・雪緒(道化の舞・d24557)は、こんな噂を耳にした。
『ぬめった触手がプールに現われ、掃除する事が出来ないほど、ぬるぬるにしている』と……。
この都市伝説は妙に体がぬるぬるとしており、少し触っただけでも、ぬめっとした糸を引いてしまうほど。
そのため、プールを掃除する事が出来ず、清掃員が困り果てているようである。
しかも、無理やり退かそうとすれば、ネバネバを糸を分泌するため、触る事さえ出来ず放置状態にあるらしい。
それが原因でプールは半ば閉鎖状態になっているらしく、都市伝説が好き放題やっているようだ。
そういった事も踏まえた上で、都市伝説を倒す事が今回の目的である。
参加者 | |
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綺堂・妖(大神狐金色五尾・d15424) |
卯月・あるな(正義の初心者マーク・d15875) |
夜舞・悠(影触手の姫・d21826) |
武藤・雪緒(道化の舞・d24557) |
水霧・青羽(幸せの青い鳥・d25156) |
仮夢乃・聖也(小さな夢の管理人・d27159) |
セトスフィア・アルトフォード(よくわからない生物・d32010) |
双見・フェイ(ノイズィメイジ・d35210) |
●都内某所
「へぇぇぇ……触手ね。この私を差し置いて触手しようなんて良い度胸じゃない………ぬるぬるしてようが何だろうが、一本残らず駆逐してやるわ」
夜舞・悠(影触手の姫・d21826)は事前に配られた資料に目を通しながら、仲間達と共に都市伝説が確認されたプールにやってきた。
現在プールは閉鎖されており、入口には『臨時休業』と書かれた紙が貼られていた。
いまのところ、再開の予定は未定。
数日ほど前までスタッフが裏口から出入りしていたようだが、完全に諦めてしまったのか、今日は姿を現していないようである。
「プールを汚していく触手とは何て迷惑な! 困っている人達のためにもここはこの触手を全力で倒してやるのです!」
仮夢乃・聖也(小さな夢の管理人・d27159)が、覚悟を決めた様子で裏口に向かう。
裏口には鍵が掛かっておらず、中には誰もいないようだった。
もしかすると、鍵をかけ忘れたまま、家に帰ってしまったのかも知れない。
だが、どちらにしても、聖也達には都合が良かった。
「スライムと触手の地位向上のため! 人を困らせる汚物は消毒だー!」
武藤・雪緒(道化の舞・d24557)も、覚悟を決めた様子で聖也に続く。
「……なんじゃ、お主の親類か何かの?」
綺堂・妖(大神狐金色五尾・d15424)が不思議そうに首を傾げ、雪緒にサッと視線を送る。
「さて、諸君……」
それに気づいた水霧・青羽(幸せの青い鳥・d25156)が、小さくコホンと咳をした。
仲間達も何事かと思い、声の主である青羽に視線を送る。
「我々がこの任務を実行するにあたって最大の懸念材料は諸君らも理解していると思う。……そう。仲間にも触手がいるということだ! 見分ける方法は簡単。仲間の触手はドクロ付き。ドクロを攻撃しなければ、多分オールオーケー」
青羽が仲間達に対して言い放つ。
しかし、青羽にはひとつ不安があった。
……万が一、都市伝説にもドクロがあったら、どうしよう、と……。
もちろん、そんな事はよほどの事がない限り、あり得ない。
あり得ない事なのだが……、都市伝説は悪い意味で期待を裏切らない。
そういった意味で、嫌な汗が止まらなかった。
「ぬるぬるでネバネバな触手って……何だかエッチな都市伝説だけど正義のヒロイン(見習い)は負けないよー!」
卯月・あるな(正義の初心者マーク・d15875)が、自分自身に気合を入れる。
既にプールのシーズンが過ぎているため、放っておいても、勝手に自然消滅しそうな気もするが、あえてその事は考えない事にした。
「初めての相手はネバネバでヌルヌルな触手だけどがんばるぞー!」
その横で双見・フェイ(ノイズィメイジ・d35210)も、何となく気合を入れる。
何やら妙なフラグがオプションの如く頭上を付き纏っているが、わざと気づかないフリをしているようだ。
それが何を意味しているのか分からないが、フェイ自身は……分かっているようだった。
「とりあえず、イロモノにはなりたく無いですねえ」
セトスフィア・アルトフォード(よくわからない生物・d32010)が、やれやれとばかりに溜息をもらす。
色々な意味で巻き込まれるつもりがないため、仲間達とはある程度の距離を取っているのだが、それでも妙な気配を感じているため、警戒ムード。
都市伝説の不意打ちに備えて、いつでも攻撃を仕掛ける準備が出来ているようだ。
●プール
「しかし、この時期にプール閉鎖かー。……特に問題なくね? いや、放っておくわけにもいかんけど……」
青羽が複雑な気持ちになりつつ、目の前のプールに視線を送る。
プールには都市伝説がプカプカと浮かんでおり、髑髏の代わりに仮面のようなものがついていた。
しかも、その仮面は雪緒の髑髏と酷似しているため、一見すると見分けがつかない代物だった。
「どうやら、眠っているのです」
すぐさま、聖也が間合いを詰め、都市伝説にオーラキャノンを放とうとする。
それに気づいた都市伝説がぬめっとした触手を伸ばし、あっという間に聖也の動きを封じ込めた。
「うわわわ、本当にヌメヌメして気持ち悪いのです!」
次の瞬間、都市伝説の触手が聖也の身体を撫でるようにして、ぬるりと服の中へと入っていく。
「うわああああん! 私のロッドがああ!」
その拍子にロッドを足元に落としてしまい、パニックに陥って泣き叫ぶ。
「……って、これは誰得映像じゃ! 責任者を呼べぃ、責任者を! 視聴者はこういうのを求めてはおらぬぞ」
妖が納得の行かない様子でツッコミを入れる。
だが、それなりに需要があるのか、その隙に都市伝説があんな事や、こんな事。
ぬめっとした粘液を撒き散らして、大暴れ!
「触手なんかに絶対に負けないっ!」
そんな中、フェイがキリッとした表情を浮かべて、都市伝説に突っ込んでいく。
「フェイちゃん、そんなに突っ込んだら危な……」
それに気づいたあるながあちこちを飛び回りながら、バスターライフルを構えてフェイを援護!
しかし、フェイは自ら率先して都市伝説の触手に襲われ、全身ネバネバヌトヌトになった。
「うふふ……コレいいかもー?」
フェイが色っぽい表情で素肌に粘液を塗りたくり、あるなに対して流し目を送る。
「……えっ? フェイちゃん!?」
あるなが身の危険を感じて、愛想笑いを浮かべた。
「大丈夫、怖くない、怖くないから」
だが、フェイは何かに取り憑かれたような表情を浮かべたまま、あるなにジリジリと迫っていく。
「んくっ……!」
しかも、都市伝説の触手があるなの両手両足に絡みつき、まったく身動きが取れなくなった。
「ね、怖くないでしょ?」
フェイが妖艶な笑みを浮かべて、ネバネバの触手をあるなの服に忍ばせる。
しかし、あるなは抵抗する事が出来ず、甘い声を押し殺すようにして、悲鳴を上げる事しか出来なかった。
「どうやら、全力で叩きのめさないと面倒な事になりそうね。触手は皆、敵……。すべて潰す!」
それと同時に悠が影触手を使って、雪緒に攻撃を仕掛けていく。
「あ、あの……何か勘違いをしているようだけど、俺は味方だから! ほら、都市伝説はあっち。……あっちだから!」
これには雪緒も驚き、必死に逃げながら叫ぶ。
それに気づいた青羽が雪緒に誤射を繰り返した後、ようやく気づく。
「……悪い、わざとじゃないんだ」
青羽が申し訳なさそうにしながら、雪緒に対して謝った。
その割には雪緒だけを集中的に狙っていたが、わざとではない……らしい。
「まあ……不幸な流れ弾や、ぬるぬるの見分けがつかなくなった場合は、まぁ、一依頼の間なら多分……いや、恐らく……誤射の範囲じゃろう」
そんな中、妖が何となくフォロー。
明らかに雪緒を狙ったものがあったような気もするが、よく似ているのだから仕方がない。
「だったら、こちらが本物という事ですね。それじゃ、遠慮なく凍らせるとしましょうか。これならば、どんなに頑張っても、ねばねばしようが無いですからねえ」
セトスフィアが屋根の上から、都市伝説めがけてコールドファイアを使う。
その一撃を食らった都市伝説が凍りつき、身体の半分がバリバリとひび割れ、床の落ちたのと同時に砕け散った。
●薄汚れたプール
「……あれ? 何だかヌルヌルじゃなくなっちゃったよ!? それにさっきと比べて元気がないし……」
フェイが驚いた様子で声を上げる。
都市伝説は凍り付いた触手部分を捨てて、自分の身体を再構成し始めているようだが、そのせいでヌルヌルとネバネバが半減してしまったらしい。
「今のうちに、ぱぱっと終わらせてやるのです!」
ようやく、都市伝説の触手から解放された聖也が、耳まで真っ赤にしながら、オーラキャノンを撃ち込んだ。
しかし、一度オトコの味を知ってしまった都市伝説は病みつき状態。
聖也の身体をむしゃぶりつく勢いで、無数の触手を伸ばしてきた。
「何も分かっていないようですね。こっちに来たら、容赦はしませんよ。それじゃ、壊し尽くしましょうかねえ。もちろん、覚悟は出来ていますよね。ふふふっふふふふふっ」
次の瞬間、セトスフィアが含みのある笑みを浮かべ、再び都市伝説にコールドファイアを使う。
「……!」
それに気づいた都市伝説が、慌てた様子で触手を引っ込めた。
「思っていたよりも、呆気なく倒す事が出来そうだな。いや、そもそもコイツって、エロス面に特化しているだけで、大して強くないんじゃあ……」
青羽が色々と察した様子で、都市伝説に視線を送る。
おそらく、エロス系の行動が多ければ、大活躍したと思われる触手。
だが、その自慢の触手がほとんど活用されず、絶体絶命のピンチに陥っていた。
そう言った意味で、都市伝説が哀れに思えたが、ある意味これも運命である。
「だからって、俺を狙ったら駄目だよ。何度も言うけど、髑髏の方が俺だから。都市伝説は仮面っぽい奴ね」
そんな中、雪緒が警戒した様子で、仲間達に対して釘を刺す。
しかし、この状況でも安心は出来ない。
何故か、仲間達が雪緒にターゲット、ロックオン!
このまま一気に仕掛けるらしく、あからさまに殺る気満々である。
「……って、本当に駄目だからっ! そんな事をしたら、マジで死ぬからね。笑い事じゃ済まないよっ!」
それに気づいた雪緒が、都市伝説の反対側に逃げた。
「……む? なんじゃ、こやつ急に動きが活発になったのぅ。ほれ、そこじゃ!」
すぐさま、妖が棒読み口調で、雪緒を攻撃!
それに合わせて仲間達も、集中攻撃。
「だから違うって! ……と言うか、分かってやっているよね? 間違いなく狙っているよね!? ほら、そこ! 視線を逸らさない! わざとらしく、口笛を吹かない! うわあああああああああああ」
半ばパニックに陥りながら、雪緒が必死になって逃げ惑う。
「お、すまん、すまん。ぬるぬるばかり見ておったから、お主の髑髏や殲術道具が視界に入らんかったようじゃ。まあ、安心せい、『死なないように』加減をする努力はするからのぅ」
妖が扇で口元を隠して、クスクスと笑う。
「巻き添えがあるかもしれないけど、仮にも灼滅者。死にはしないでしょ」
悠も躊躇う事無く、雪緒を攻撃。
そのため、雪緒は虫の息。
口からひょろりと魂が抜け、絶体絶命の大ピンチ。
その間に都市伝説が抜き足差し足モードで、プールから逃げようとした。
「……って、逃げたらダメだから!」
あるなが思わずツッコミを入れながら、都市伝説にH2ロケットキック(ご当地キック)!
未だに体がジンジンするものの、続きはフェイとほにゃららである。
「……!」
それと同時に都市伝説がグチャッと潰れ、弾け飛ぶようにして消滅した。
「触手、恐るべしなのです……ぐすん」
その途端、聖也が胸元を隠して座り込む。
どうやら、都市伝説好みの『味』だったらしく、色々な意味で酷い目に遭った。
幸い、禁断の領域まで都市伝説の触手が侵入する事はなかったが、それでもトラウマモード全開中。
すべてを忘れるまでは、しばらく時間が掛かりそうである。
そして、聖也達は戦いの疲れを癒すため、近所にある銭湯に向かうのだった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年9月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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