もんじゃパニック!

     アリシア・ウィンストン(美し過ぎる魔法少女・d00199)は、こんな噂を耳にした。
     『もんじゃまみれにする都市伝説が存在する』と……。
     この都市伝説は酔っ払いのおっさん風で、口からもんじゃを吐いて、辺りをもんじゃまみれにしているようである。
     そのため、都市伝説が確認された周辺は、濃厚なもんじゃ臭に包まれているらしい。
     しかも、都市伝説がれろれろともんじゃを吐く姿を目の当たりにして、もらいもんじゃ的な行為をしている一般人達もおり、事態は深刻。
     足元に転がっているのか、もんじゃなのか、まったく別物なのか分からぬまま、一般人達が不安な毎日を送っているようである。
     そう言った意味で、都市伝説は強敵。
     迂闊に近づけば、もんじゃを吐きかけられてしまうため、色々な意味で注意しておく必要があるだろう。
     そういった事も踏まえた上で、都市伝説を灼滅する事が今回の目的である。


    参加者
    艶川・寵子(慾・d00025)
    アリシア・ウィンストン(美し過ぎる魔法少女・d00199)
    黒洲・智慧(九十六種外道と織り成す般若・d00816)
    仲村渠・弥勒(マイトレイヤー・d00917)
    峰・清香(高校生ファイアブラッド・d01705)
    黛・藍花(藍の半身・d04699)
    皇樹・桜夜(夜光の死神・d06155)
    四季・彩華(蒼天の白夜・d17634)

    ■リプレイ

    ●都内某所
    「これまた厄介な都市伝説じゃのぅ……」
     アリシア・ウィンストン(美し過ぎる魔法少女・d00199)が事前に配られた資料に目を通しながら、仲間達と共に都市伝説が確認された場所に向かっていた。
     この都市伝説は酔っ払いのおっさん風で、口からもんじゃを吐いて、辺りをもんじゃまみれにしているようである。
     そのため、都市伝説が確認された周辺は、濃厚なもんじゃ臭に包まれており、それを目の当たりにした一般人がもらいもんじゃ的な行為を繰り広げているようだ。
    「何というか、非常に恐ろしい光景になっていますね」
     黒洲・智慧(九十六種外道と織り成す般若・d00816)が、思わず口元を押さえる。
     辺りに漂っていたのは、酸味の強い刺激臭。
     反射的に顔を背けてしまうほどの臭いが漂っているため、ガスマスク並の装備がなければ息をする事さえ難しかった。
     それでも、鼻が馬鹿になってきたせいで、先程と比べて気にならなくなってきたようである。
    「……と言うか、ここにあるのって、アレだよね。もんじゃじゃなくて、絶対にアレだよね……!?」
     四季・彩華(蒼天の白夜・d17634)が、今にも泣きそうな表情を浮かべた。
     見渡す限り、もんじゃ、もんじゃ、もんじゃ。
     いや、違う。
     正確には吐瀉物8に、もんじゃが2。
     場合によっては、もんじゃが1である可能性も高そうである。
     それを見分ける方法は、ただひとつ。
     もんじゃにあるまじき具材と、臭いのみ。
     だが、それだけでは確実性がないのも、また事実であった。
    「さすがに、吐瀉物をもんじゃ呼ばわりは風評被害がすぎるだろう……」
     峰・清香(高校生ファイアブラッド・d01705)が、呆れた様子で頭を抱える。
     一応、都市伝説が吐いているのはもんじゃのようだが、こんな状況の中で食べたいと思う者はいないだろう。
    「あのちねりちねり焼くぷれい、私も嫌いじゃないけど……お口からでてくるもんじゃは……どうなのかしらね? 食べ物は入れた場所から出すものじゃあないわ」
     艶川・寵子(慾・d00025)が、自分なりの考えを述べる。
     おそらく、どんなにもんじゃが好きであったとしても、都市伝説が吐き出すもんじゃは食べたいとは思わないだろう。
     そんな物好きが実在しているのであれば、この目で見て見たいところである。
    「もんじゃ焼きは好きだけど、口から出すよーなもんじゃはいらなーい」
     仲村渠・弥勒(マイトレイヤー・d00917)がげんなりとした表情を浮かべて、辺りにカレー粉を撒いていく。
     これで多少は臭いが軽減されると思ったのだが、まわりの臭いと混ざって新しい臭いを作り出していた。
    「……とりあえず、もんじゃ焼きには罪はないと思いますが、まあ、こんな都市伝説が生まれてしまったのは、もんじゃ焼きの形状のせいだと思いますが……」
     黛・藍花(藍の半身・d04699)が、あまりの臭さに視線を逸らす。
    「うっぷ、気持ちが悪ィ……」
     そんな中、酔っ払いの都市伝説が、青ざめた表情を浮かべてフラついていた。
     都市伝説は吐く場所を探しているのか、喉の奥から込み上げてくるものを必死に押さえ込んでいるようだった。
    「不衛生な都市伝説ですね。即刻、退場願いましょうか」
     皇樹・桜夜(夜光の死神・d06155)が、嫌悪感をあらわにする。
    「うおえええええええええええええええええ」
     その間も都市伝説はブロック塀に手をついて、レロレロともんじゃを足元に吐いていた。

    ●もんじゃおじさん
    「さすがに地上で戦うのは、遠慮したいところじゃな」
     すぐさま、アリシアが空飛ぶ箒に飛び乗り、気まずい様子で汗を流す。
     文字通り、足の踏み場がない状態。
     そのため、みんなバレエダンサーの如く、つま先立ちで移動を繰り返していた。
    「上空から様子を窺うなんて流石ですね! これなら、何処が安全なのか一目瞭然!」
     智慧が適当にアリシアを褒めつつ、期待の眼差しを送る。
    「い、いや、安全な場所はないのぅ」
     アリシアが躊躇う事なくキッパリと答えを返す。
     辺り一面、もんじゃと吐瀉物まみれ。
     まだこの辺りの方が、マシだと言えるレベルであった。
    「う、もらいもんじゃしそう……」
     弥勒が青ざめた表情を浮かべ、エチケット袋を掴む。
     色々な意味で、吐きそう。吐いてしまいそうである。
     だが、そんな事をすれば、確実にまわりも吐く事だろう。
    「魚えええええええええええええええええええええ」
     そんな事など気にせず、都市伝説がもんじゃを吐きまくり。
     そのせいで、もわんと漂うもんじゃ臭!
    「うっ……、匂いはもんじゃだけど……」
     彩華がドン引きした様子で口元を押さえる。
     匂いは確かにもんじゃだが、まったく食欲が湧かない。
     それどころか、食欲が減退気味。
     しばらく何も食べたくないというのが本音である。
    「……まあ、気を強く持って、もんじゃはもんじゃなのだと思い込めばなんとか?」
     藍花がビハンイドと一緒に、レインコートを着込む。
    「おいおい、そんなに怖がらなくてもいいじゃねーか。別に俺は吐いている訳じゃねーんだ。これはもんじゃ、もんじゃだから。おうええええええええええええええええ」
     そう言いつつ、都市伝説がフラフラと迫っていく。
    「んん、なんだかドロッとしたゲル状のナニカと戦う美少女たちの図っていうのも、オツなものよねえ!」
     そんな中、寵子が妄想全開で、ウットリとした表情を浮かべる。
     どうやら、頭の中で凄い映像が浮かんでいるらしく、戦いどころではなくなっているようだ。
    「……とは言え、さすがにこのまま放っておく訳にもいかないだろう」
     清香が警戒した様子で、都市伝説をジロリと睨む。
     都市伝説は吐く気満々。
     少し歩いて吐き、歩いては吐きを繰り返し、アスファルトの地面をもんじゃ色に染めている。
    「さあ、狩りの時間だ!」
     次の瞬間、桜夜が都市伝説に視線を送り、スレイヤーカードを使うのだった。

    ●吐瀉物天国
    「……自分で吐いたものは自分で片付けてください。食べたら意外と美味しいかも知れませんよ……、もんじゃ焼きらしいですし……。まあ、私は食べませんが……」
     藍花が都市伝説と対峙して、皮肉混じりに呟いた。
    「いや、食い過ぎて気持ちが悪いから……うおえええええええええ」
     そう言って都市伝説が、再びもんじゃを吐く。
     この様子では、自分の意思に反して、吐き続けているのだろう。
     そのため、会話をするだけの余裕がなく、物凄く気分が悪そうに見えた。
    「街のために灼滅はするけど、絶対に巻き込まれたくはない……!」
     彩華が思いっきりドン引きしながら、ブルージャスティスを使う。
    「だ、だから、気持ちが悪いから、そうやって刺激を与えるのは……おうえええええええええええええええ」
     反射的に都市伝説が、吐いて、吐いて、吐きまわる。
     そのたび、もんじゃの香ばしい匂いが辺りに漂い、彩華達が色々な意味で複雑な気持ちになった。
    「……早く片付けてスイーツでも買って帰りましょう」
     藍花がビハインドを励ましながら、都市伝説に攻撃を仕掛けていく。
     その言葉を聞いたビハインドが、藍花を守るようにして、全身にもんじゃを浴びる。
    「……寧ろ、都市伝説に香水をかけるのも、一つの手かもしれませんね」
     そんな中、智慧が自分の鼻をつまみながら、都市伝説に香水を吹きかける。
    「お、おい、こら。そんなものを吹きかけたら、おうええええええええええええええええ」
     その拍子に都市伝説が口からもんじゃを吐きかけてきたため、智慧が驚いた様子で後ろに飛び退いた。
    「こういうものは手早く片づけるかのぅ」
     アリシアが空飛ぶ箒に乗ったまま色々と察した様子で、都市伝説にマジックミサイルを撃ち込んだ。
    「だ、だから、さっきも言ったように……おうえええええええええ」
     都市伝説が再び口からもんじゃを吐き、涙目になってアリシアを見上げる。
     やはり、吐きたくて吐いている訳ではないのだろう。
     そう言った意味で、都市伝説も被害者。
     都市伝説なりに苦しんでいる可能性が高かった。
    「……いっそ、焼却処分しちゃおうかー」
     弥勒が足元に気を付けつつ、ブレイジングバーストを仕掛ける。
     その一撃を食らった都市伝説がもんじゃを吐き出し、ジュッとした音と共に、香ばしい匂いが辺りに漂った。
    「これで終わりにしましょう。その方がお互いのためです」
     それに合わせて、桜夜がレイザースラストを放ち、都市伝説にトドメをさす。
     次の瞬間、都市伝説が噴水の如くもんじゃを吐き上げ、ドロドロに溶けるようにして消滅した。
    「……終わったか」
     清香がホッとした様子で溜息をつく。
     都市伝説との戦いで、すっかりもんじゃまみれになってしまったため、とりあえずクリーニング。
     だが、まわりにある吐瀉物が消える事はないので、しばらくの間は 混乱が続く事だろう。
    「クリーニングはしたけど、何だか気持ちが悪いわね。せっかくだから、心もほっこりしておかない。例えば、銭湯に行くとか?」
     そう言って寵子が仲間達を銭湯に誘う。
     そして、寵子達は戦いの疲れを癒すため、銭湯に向かうのだった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年9月15日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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