飛翔する眷属、タトゥーバット

    作者:陵かなめ

     古き好き景観を残す、豪奢な西洋屋敷。
     しかしその屋敷は、全ての良さを台無しにしてあまりある、莫大なゴミの山に埋もれていた。
    「ぶほっ、ぶほっ、ぶほっ」
     屋敷の最奥、ゴミ山の中心で、ひとりの太った男が嗤う。
    「る……瑠架ちゃん僕の瑠架ちゃん。今こそ君を助けたい助けたい。そして感謝されたい見られたい認識されたい瑠架ちゃんに! 僕を見て! 見て瑠架ちゃん!」
     突然脈絡も無く叫びだしたその男は、口から何か液体のようなものを吐き出した。
     その液体はビチャッと床にへばりついたかと思うと、やがてモゴモゴと蠢き、一体のタトゥーバットへと姿を変えた。
    「派手に暴れてこい! 派手に暴れれば、瑠架ちゃんは僕の事を思い出す! そしたら瑠架ちゃんは僕の事を思い出して心強くなるので、そしたら瑠架ちゃんは心強くなって僕の屋敷に訪ねてくるはず! 思い出して! 子爵である僕の事を思い出して! 瑠架ちゃん僕の瑠架ちゃん!」
     
    ●依頼
     教室に現れた千歳緑・太郎(中学生エクスブレイン・dn0146)が説明を始めた。
    「ヴァンパイアが派遣した眷属、タトゥーバットが一般人を襲うことが分かったんだよ」
     場所は駅構内、時間は夕方。現れるタトゥーバットの数は5体だ。
     その日は一般人の利用客も多く居る。敵が一般人を襲い始めたところから介入できるので、もし犠牲を出したくないのであれば戦いながら逃がす事も考えたほうが良いだろう。
    「そっか。もし一般のお客さんを助けたいなら、念入りに相談したほうが良いよね」
     空色・紺子(高校生魔法使い・dn0105)が頷いた。
    「もしかしたら知っている人もいるかもしれないけど、眷属のタトゥーバットは体に描かれた眼球状の『呪術紋様』によって魔力を強化された、コウモリの姿の眷属だよ」
     太郎が敵について説明する。
     彼らは空中を自在に飛翔し、人間の可聴域を越えた超音波によって擬似的な呪文詠唱を行い、数々の魔法現象を引き起こす。また、その肉体に描かれた呪術紋様は、直視した者を催眠状態に陥れる魔力を帯びていると言う。
    「敵は魔法弾や石化の呪い、それからギルティクロスのような攻撃も仕掛けて来るよ。敵の数が5体と多めだけど、回復のサイキックを使う個体は居ないから、みんなで協力すればきっと灼滅できるはずだよ」
    「なるほど。えっと、結構広い駅みたいだね。もし一般人を逃がすなら、敵を一箇所に止め置いて、色んな場所に逃がすほうがいいのかな?」
     駅構内の見取り図を見ながら紺子が首を傾げた。襲撃の場所は構内の広場。そこから東西南北に続く通路や脇道など、逃げ場所は豊富にあるようだ。
    「そう言う方法も良いね。でも、みんなの判断に任せるから、やりやすいように工夫してもいいと思うよ」
     太郎が頷く。
     最後に、太郎はくまのぬいぐるみをぎゅっと握り締めた。
    「タトゥーバットは、それほど強力な眷族では無いよ。でも、沢山の一般人を殺そうと動いているみたいだし、見逃す事はできないよね」
     そう言い、説明を終えた。


    参加者
    裏方・クロエ(土星の守星者・d02109)
    霧月・詩音(凍月・d13352)
    篠宮・一花(妄想力は正義・d16826)
    糸木乃・仙(蜃景・d22759)
    迦具土・炎次郎(神の炎と歩む者・d24801)
    千重歩・真斗(白昼夢・d29468)
    旭日・色才(虚飾・d29929)
    八月一日・梅子(薤露蒿里・d32363)

    ■リプレイ

    ●確認
     駅構内に電車が到着したアナウンスが流れる。その度、多くの利用客があちらこちらへと移動した。聞いていた通り、一般人の往来は沢山あるようだ。
    「嫌な時間に仕掛けてくるもんだね」
     糸木乃・仙(蜃景・d22759)は慎重に辺りを辺りを見回す。とにかく、速やかに敵を見つけ出さなければならない。
    「夕方の駅なんて長引くと大変だからね」
    「だよねー。ええと、それじゃあ、私は南に向かう通路へ避難させれば良いんだよね」
     相槌を打ちながら空色・紺子(高校生魔法使い・dn0105)が一般人避難の確認をする。仙は、動けなくなった人を運んであげる事や、もし一般人へ攻撃が向かった場合に守って欲しい事などを手短に伝えた。
    「東側はオレが担当だよね。コロはタトゥーバットの動きを注意して見てもらおうかな」
     一般人に被害が及ばぬよう、東西南北に伸びる通路に一人ずつ避難誘導する仲間を配置する方針だ。その中で、千重歩・真斗(白昼夢・d29468)は東の通路を担当する。それから、一般人を庇えるようにと、霊犬のコロに指示を出した。
     また、西側は篠宮・一花(妄想力は正義・d16826)が、北側は八月一日・梅子(薤露蒿里・d32363)が担当する。
     各自の持ち場を確認している時だった。突如、辺りにキィキィと不快な音が響きわたる。
     暗い色の何かが五つ飛んでいた。
     灼滅者が見上げる。それらは身体に眼球状の『呪術紋様』が描かれたコウモリの姿をしていた。
     互いに合図を送りあい、仲間が一斉に動き出す。
    「まぁ、何だか汚物のような臭いのする眷属ですこと」
     梅子はチラリと飛翔する敵を見てそう言った。
    「派遣した者の素性が知れるようですね……」
     その言葉に、霧月・詩音(凍月・d13352)がこくりと頷く。
    「……何やら変質者、もとい変態と思われる敵の気配がするわけですが」
     一般人の避難を仲間に任せ、詩音はタトゥーバットへ向かって走った。
    「うぇぇ、なんていうか、うん、なんていうかね……。この蝙蝠の後ろにすっごい気持ち悪い何かを感じるよ……」
     一瞬、素の自分が出た一花は、ふるふると首を横に振った。
     駅での無差別攻撃は大変な状況だし、頑張らねばと思う。
    「く、くっくっく、民草のことを気にかけるのも王としての務め。私の誇りにかけて庇護を与えよう! 蒼刃の魔王が力、とくと見るがいい!」
     一花は魔王キャラを演じながら西側通路の避難に向かった。ライドキャリバーの黒蹄號はタトゥーバットの押さえに向かわせる。
     そして、ここにもう一人。
    「封印されし絢爛なる魔獣よ、我が力として顕現せよ!」
     旭日・色才(虚飾・d29929)が大きくカードを天に掲げた。
    (「眷属が相手か……」)
     色才のウイングキャット、クロサンドラの鈴がひらりと降り立つ。
    「俺の眷属、クロサンドラの鈴との格の違いを見せてやろう!」
     ビシリと指先を伸ばし、色才がタトゥーバットに啖呵を切った。
     自分の設定した世界観に浸る、中学二年生辺りに多く見られるとか何とかの有名な病(?)に積極的にかかった一花と色才は、それぞれのキャラ設定を守っているようだ。
     それはともかく。
    「さて、蝙蝠退治と洒落込みますか」
     キィキィと鳴くタトゥーバットに迦具土・炎次郎(神の炎と歩む者・d24801)も向かっていく。傍らには霊犬のミナカタがつき従う。
    「そうだよねー。こんなアホヴァンパイアに騒ぎを起こされるのは面倒なのですー」
     裏方・クロエ(土星の守星者・d02109)も自身のウイングキャット、エコーを呼んだ。
    「こんな奴らは害虫と一緒や。蚊みたいに駆除したるで!」
    「お掃除しちゃいましょうなのですよ」
     2人も武器を構え敵に向かう。
     それぞれの持ち場へ急ぎ、灼滅者達は戦いを始めた。

    ●避難
    「こっちです。落ち着いてね」
     避難する一般人を先導するように悠花が通路を行く。
    「大丈夫ですかぁ? 手を貸しますぅ」
     動けなくなった人を宵が助け起こした。
    「こっちです。足元に気をつけてくださいねー!」
     紺子が声を上げる。
     南側の通路を担当する紺子は、サポートの仲間達と共に順調に避難誘導を行った。
    「さぁ、こっちだ! 我が同士たちが怪物を押さえている間に急ぐがよい」
     ばさりと自作のコスプレ衣装を広げ、一花は周囲の一般人を見渡した。
     混乱を招かぬよう、ESPを使い一般人にしっかり言い聞かせる。
    「あの、ありがとう」
     ふいに、避難をしていた女の子に声をかけられた。
    「……うん、一花今回も頑張るっ」
     思わず素に戻り、一花が拳を握り締める。それから、はっと気付き慌てて固く口を結んだ。
    「う、うむ。よきにはからえ!」
     とか何とか取り繕って、再び誘導を再開する。
     どうやら西側の通路も問題なく避難が進んでいるようだ。
    「一噛みでも命に関わる危険な蝙蝠だから、絶対に近づかないように!」
     東側の通路では真斗が注意喚起しながら避難誘導を行っていた。
     保健所の関係者を匂わせ、上手く一般人を誘導する。人々は不安な表情を浮かべながらも、素直に真斗に従い避難を続けている。
     チラリと背後を確認した。
     どうやら仲間が上手く敵を抑えてくれているようだ。避難通路まで敵が飛んでくる様子は無い。
    「こちらは危険です、押さず手助けをしあって避難を行ってください」
     梅子は北側の通路で避難誘導を続けていた。
     まずは子供や老人を逃がし、次に女性を逃がす。
    「どうぞ小さい方のお手伝いを」
     我先に逃げようとした成人男性を見つけ、声をかける。
    「……してくださいますよね、勿論?」
     穏やかな微笑で語りかければ、男性はたらりと汗を流し喜んで子供の避難に手を貸した。おお、その令嬢の穏やかなる笑顔の裏に、なんだかとてもすごいあつりょくをかんじる。
     その後も滞りなく避難を続け、最後に出入り口に立ち入り禁止の看板を置いた。
    「避難は完了したよ。皆も大丈夫だよね」
    「バッチリだよ! 避難通路の担当を決めておいて良かったよね」
     真斗の言葉に紺子が頷いた。
    「こちらも避難完了です、逃げ遅れは居ません。それでは私達も参加させて頂きましょうか」
    「うん、行こう」
     梅子と一花も避難の成功を確認し合い、戦場へと走る。
     皆無事に避難誘導を終えた。これで一般人に被害は及ばないだろう。
     戦場では、仲間達がタトゥーバットを囲いながら戦い続けていた。

    ●包囲
     キィキィ、目の前のタトゥーバットが、仙の視界から逃げようとスピードをつけて飛んだ。
     仲間達と協力して包囲した敵は、隙を見つけては逃げようとする。
     仙が地面を蹴った。
     手にしたクロスグレイブで、飛んで逃げようとした敵を横から殴りつけ強引に元の場所へ吹き飛ばす。
    「悪いね、君たちの相手はこっちだよ」
    「ギ、キィ、ィ、キィィ」
     特にダメージにはなっていない。敵は器用に低空で旋回し、再び飛び上がった。
    「目の前の障害を取り除いたほうが暴れ放題だと思わない?」
     しかし、そこは仙の攻撃の間合い。
     十字架の全砲門を開放し、仙はオールレンジパニッシャーでタトゥーバット達を薙ぎ払った。
    「……って言った処で聞く能力あるのかな」
     今度こそ、タトゥーバットが激しく地面に叩き付けられる。思うように身体が動かないのか、吹き飛ばされた敵達がその場でもがいているのが見えた。
    「……主の居場所を吐かせたいところですが、その気はありませんよね」
     詩音がキィキィとしか鳴かない敵を見て言う。
     既に纏わり付いた氷が敵の体力を奪っているようだ。初手に放った詩音のフリージングデスが効いたのだ。
     次に詩音は周囲を確認する。
     まだ一匹たりとも逃がしていない。足止めは今のところ成功しているのだと思った。
     詩音は状況を確認し、鋭い刀に変えた影で飛び回る一体の敵を斬り裂いた。
     コウモリはキィキィと鳴くだけで、やはり何も話さない。
    「所詮は煩く鳴くだけの眷属。期待するだけ無駄と言うものだぜ」
     クロスグレイブの全砲門を開放し、色才が頷いた。
     タトゥーバット達が何とか包囲網を逃れようと更に高く飛び上がる。
    「クロサンドラの鈴、出番だ」
     武器を構えながら色才はウイングキャットの名を呼んだ。
     クロサンドラの鈴が色才の側へ軽やかに走り寄る。
    「行け」
     短い指示に従い、高く飛んだタトゥーバットへ向けて魔法を撃ち出した。
    「キィ、ギ、ィィィィィィ」
     対して、敵も魔法の弾丸を発射する。
     魔法はぶつかり、互いを打ち消した。
     すぐにクロサンドラの鈴がその場を飛び退く。
    「よし、上出来だ」
     色才はタイミングを合わせ光線を乱射する。その攻撃は敵を薙ぎ払い、高く飛んだ敵を撃ち落した。
     自由を奪われ、コウモリ達がキィキィと鳴く。
    「逃がさへんよ」
     続けて炎次郎が縛霊手を構えた。
    「火を生み給ひて 御保止を所焼坐しき、如是時に吾が名の命の吾を見給ふなと申す」
     厳かに祝詞を詠唱すれば、炎のような色の結界が発動する。
     逃げようとしていた敵も次々に炎次郎の結界に絡め取られていった。
     それでも、広場から延びている通路は四つもある。
     確実に敵を抑えるには包囲あるのみ、とクロエが手薄になった場所へ走った。
    「こちらは、ボクが。みんな、傷は大丈夫です?」
     それぞれが敵を囲む事を意識し動き、今のところ抜かれる心配は無いようだ。
    「ギ、ィ、ギィィイイイ」
     動きの鈍ったタトゥーバットが、それでも魔法弾を打ち出してくる。
     クロエは一歩前に出て、仲間を背に庇った。
     一つ一つの攻撃はそれほど強くない。もっとも、五体同時に攻撃されたら、石化の呪いを一斉にかけられたら危ないだろうけれど。
     今のところは大丈夫だと、クロエは浄化の風を呼び寄せ周囲の仲間と共に自身の傷を癒す。
    「エコー」
     ウイングキャットのエコーもリングを光らせクロエの傷を回復させた。
     他のサーヴァント達も指示通り立ち回り、回復や包囲に尽力する。
    「もう少しや。ほら、あそこ」
     炎次郎が遠くの通路から駆けて来る仲間を見つけた。
     避難誘導をしていた仲間が戻ってくる。そうすれば一気に畳み掛ける事ができるはずだ。
     灼滅者達は頷き合い、慎重にタトゥーバットを取り囲んだ。

    ●消滅
     東西南北、それぞれの通路から避難誘導をしていた仲間達が走り込んで来た。
    「待たせたな、同士達よ! さあ黒蹄號よ、我が眷属としての誇りを見せるのだっ!」
     西側から走ってきた一花は、敵の抑えの指示を出していたライドキャリバー、黒蹄號に声をかけた。
     戦場を駆け続けていた黒蹄號は、仲間を庇い傷を負いながら頑張っていたようだ。
     ざっと戦況を確認し、主に仲間を庇っていた前衛の仲間に向け、クルセイドソードからセイクリッドウインドを放った。剣に刻まれた「祝福の言葉」は風になり開放される。
    「ありがとなのです。それじゃあ、ボクも攻撃に移るよ!」
     回復役が加わり、クロエが縛霊手を構えた。
     今まで誰一人沈む事無く敵を包囲し続けられたのは、クロエが気をつけて回復に回っていた事が大きい。
     それもここまで。
     この先は、回復する目安を下げ攻撃に移る。
    「エコーをメディックに移しますので」
     言いながらエコーに指示を飛ばし、クロエは除霊結界を放った。
     近くにいたタトゥーバット達がキィキィと悲鳴を上げる。
    「お待たせ、避難は無事完了したよ」
     続けて、東側の通路から真斗が駆けて来た。
     クロエの結界に捕らわれている敵に向かい、狙いを定める。
     手にした妖の槍『煌龍蒼星』を繰り、タトゥーバットの身体を抉った。確実に攻撃を当てた手応えがある。
     あと一撃で目の前の敵が沈みそうだ。
     真斗は近くで両手に闘気を集中させている詩音を見た。
    「……ここからは、一体ずつ減らしましょう」
     包囲する事に主眼を置いてきたけれど、敵は確実に弱っている。
     詩音は頷き、勢い良くオーラを放出した。
    「ギ、ィ……」
    「……無能な主に仕えた己を恨みなさい」
     言い捨て、自らの攻撃で敵が消滅した事を確認する。
     残ったタトゥーバット達が上空で、床スレスレの位置で飛び回り逃げ場を探した。
     だが、敵を囲んで逃がさない。
    「そうだね。一体ずつ確実に。急がば回れだね」
     今まで敵の行動を邪魔する事を主眼に戦ってきた仙も、単体攻撃に切り替え一気に畳み掛ける。
     足元から影を大きく伸ばし、虫の息の敵を飲み込んだ。
     影の中でタトゥーバットがキィと小さく鳴く。
     仙の影に飲まれ、また一体、敵が消えた。
    「ギ、――――、―――、――」
     残された三体のタトゥーバットが一斉に、何かを詠唱し始める。とても聞き取れないけれど、それが攻撃のためのものだとすぐに分かった。
     敵から呪いが発せられたのだ。
    「ここに来て、させへん。さ、俺の後ろに」
     すぐに炎次郎が前に飛び出る。
     仲間の痛みを肩代わりし、さらに攻撃を仕掛けた。
    「喰われてしまい!」
     大きく影を伸ばし、飛んで逃げる敵を強引に飲み込ませる。
     飲み込まれた影の中で、どうにかして逃げようとタトゥーバットが暴れまわった。
     さて、北側の通路から梅子が帰ってくる。
    「不思議と酷く醜悪な気配がしますね。あまり長時間相手にしていたいとは思えません」
     炎次郎の影に捕らわれた敵を見てそう言い、除霊結界を展開した。影に飲まれ結界に捕らわれ、もはや敵は消滅寸前だ。
    「止めをお願いします」
     梅子は色才を見た。
     仲間の傷を癒していた色才は頷き、再びクロサンドラの鈴を呼ぶ。
     魔法やパンチで攻撃を繰り返していたクロサンドラの鈴は、忠実に呼び声に答え走り寄ってきた。
    「仕留めるぞ」
     色才がボロボロのタトゥーバットを指差す。
     羽を大きく広げたクロサンドラの鈴が魔法を繰り出すと、敵は静かに崩れ去った。
     皆が合流し戦い方を各個撃破に切り替えた灼滅者達は、瞬く間に三体の敵を撃破して見せた。
     更に攻撃の手を休めず、もう一体も仕留めた。
     残るは最後の一体のみ。
     灼滅者達は皆で威力の大きな、そして確実に当たるサイキックを一斉に繰り出した。
    「キ、ィ、――……」
     これほどまでに激しい攻撃に、耐えることなどできようか。
     最後のタトゥーバットは、小さく鳴いて消滅した。

    「お疲れ様でございました、皆様」
     周辺を探り、異常がないことを確認した梅子が皆を見た。
     それぞれ敵を倒した事を確認し合い、大きな負傷が無いと安堵する。
     進入禁止に使ったものを回収し、灼滅者達はその駅をあとにした。

    作者:陵かなめ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年9月29日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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