プールはコウモリお断り

    作者:佐和

     古き好き景観を残す、豪奢な西洋屋敷。
     しかしその見事なまでの屋敷は、全ての良さを台無しにしてあまりある、見事に莫大なゴミの山に埋もれていた。
    「ぶほっ、ぶほっ、ぶほっ」
     屋敷の最奥、ゴミ山の中心にいる1人の太った男が嗤う。
    「る……瑠架ちゃん僕の瑠架ちゃん。今こそ君を助けたい助けたい。
     そして感謝されたい見られたい認識されたい瑠架ちゃんに!
     僕を見て! 見て瑠架ちゃん!」
     突然、脈絡も無く叫び出したその男は、口から何か液体のようなものを吐き出した。
     その液体はビチャッと床にへばりついたかと思うと、やがてモゴモゴと蠢いて。
     1体のタトゥーバットへと姿を変える。
     さらに、ビチャッ。モゴモゴと。
     次々と数を増やしたタトゥーバットは、男を囲むように飛び回った。
    「派手に暴れてこい! 派手に暴れれば、瑠架ちゃんは僕の事を思い出す!
     そしたら瑠架ちゃんは僕の事を思い出して心強くなるので、そしたら瑠架ちゃんは心強くなって僕の屋敷に訪ねてくるはず!
     思い出して! 子爵である僕の事を思い出して! 瑠架ちゃん僕の瑠架ちゃん!」
     眷属は主の叫びに応え、ゴミの上を飛び行き屋敷の外へと出る。
     
    「ヴァンパイアの眷属、タトゥーバットが現れるそうだ」
     教室に集まった灼滅者達を見渡してから、志賀野・友衛(高校生人狼・d03990)はそう切り出した。
     ちなみに、本来話をするはずの八鳩・秋羽(小学生エクスブレイン・dn0089)は、友衛の足元でレアチーズケーキをもぐもぐしています。
    「タトゥーバットは、この山の方から飛来して、麓にある施設を襲う。
     どうやらその施設にいる人を虐殺しようとしているようなんだ」
     地図を示しながら、見逃すわけにはいかない、と重く頷く。
    「そして、タトゥーバットが向かう施設についてだが……」
     しかし、その地図の上に施設のパンフレットを広げると。
    「温泉の熱を利用した温水プールだ。ウォータースライダーもある」
     友衛の真剣な表情の中に、隠しようもない期待が混じった。
     まずは、敵について説明しよう。
     タトゥーバットは、その名の通りコウモリ姿の眷属である。
     空中を自在に飛翔し、『超音波』によって魔法現象を引き起こす。
     体表面に描かれた呪術紋様たる『紋様の瞳』は、直視した者を催眠状態に陥れる魔力を帯びており、また、『呪術紋様』は自己回復を行うこともできる。
     眷属ゆえにさほど強くはないが、放っておくことはできない。
     そんなタトゥーバットが4体、件の施設へ向かってくるという。
     施設は麓にあり、タトゥーバットは山間を抜けてくる。
     なので、施設の近くで待ち伏せて、山の中で迎撃することが可能だ。
     そして、迎撃が終わったならば。
    「ウォータースライダーだけでなく、流れるプールもあるようだな。
     スピード感を楽しんだ後は、ゆったり揺蕩うのもいいかもしれない」
     瞳を輝かせて真面目にパンフレットを読み込む友衛を見上げて。
     秋羽はまた、ぱくりとチーズケーキを口にした。


    参加者
    ミネット・シャノワ(白き森の旅猫・d02757)
    アリス・クインハート(灼滅者の国のアリス・d03765)
    志賀野・友衛(高校生人狼・d03990)
    戒道・蔵乃祐(グリーディロアー・d06549)
    神楽・武(愛と美の使者・d15821)
    赤城・碧(願い・d23118)
    風間・紅詩(氷銀鎖・d26231)
    矢崎・愛梨(中学生人狼・d34160)

    ■リプレイ

    ●森の中で
     横を通り抜けた風に少し肌寒さを感じて、アリス・クインハート(灼滅者の国のアリス・d03765)はそっと自分を抱きしめるように身を縮めた。
     ふわり揺れた長い金の髪を払うように、木々の間から空を見上げ、ぽつりと呟く。
    「タトゥーバットさん……ここ最近になって、突然現れましたみたいですけど、一体何が起ころうとしているんでしょうか……?」
     不安気な青瞳は、寒さに震える仕草が怯えているかのようにも見え。
     同じ空を見上げた神楽・武(愛と美の使者・d15821)は肩を竦めた。
    「無差別攻撃って正気かしら?
     なんか気持ちの悪い奴が後ろで糸引いてるみたいだケド」
     がっしりとした体格ながら、柔らかい女性的な動きで、武はくねっと首を傾げる。
     戒道・蔵乃祐(グリーディロアー・d06549)も無表情に空を見た。
    「動機はどうも、自己顕示欲? みたいな所ですか。
     そのためにこれ程の数の眷属を作り出している、と」
     思い起こすのは、秋羽から得た今回の依頼の予知内容。
     そして、他にも聞き及んでいる類似した依頼の数々。
    「エクスブレインが予知してくれただけでも、既に百匹くらいは居るんじゃないですか?」
     この場に現れるのは4体だけだが、各地に複数のタトゥーバットが現れ灼滅者達が向かっている現状に、蔵乃祐の声は低い。
     脳裏をよぎるのは、予知から漏れ、被害を食い止められていないケースも無いとは言い切れない、という危惧。
    (「これからまだまだ増えるかもですしね」)
     そして。
    「でも、計画性とか戦略性とか、そういうのを感じないのよネ。
     ホント、頭の方が弱い相手なんじゃないの?」
     視線を落とした蔵乃祐に、武は少しおどけた仕草で、指で自分の頭をつついてみせた。
    「それでも子爵級。相当な地力の高さがうかがえます」
     この事態を引き起こしているのが、たった1人の相手だ、という敵能力の高さへの懸念。
     確かにネ、と同意しながら、武は肩を竦める。
    「考えの足りないヤツが力を持ってるとロクでもない、って典型かしら?」
    「面倒な敵ですね……」
    「まったくだワ」
     片方は淡々と、片方は大仰に、同時にため息をついた2人を見て、志賀野・友衛(高校生人狼・d03990)は苦笑しながら声をかけた。
    「ヴァンパイアの動きは気になるが、今は、プールを楽しむ人達を襲わせない様にするのが第一だな」
     友衛自身、この事態の向かう先や、その裏にあるかもしれない何かが気にならないわけではない。
     だからこそ1つ1つ、目の前のことをこなしていこうと、頷いて見せる。
     そんな中、風に運ばれてきた羽音に、風間・紅詩(氷銀鎖・d26231)は振り向いた。
    「現れたようです」
     言葉を待たずに木々の向こうに1体、また1体と見えてくるタトゥーバットの姿。
    「……どこから来たやら……」
     ミネット・シャノワ(白き森の旅猫・d02757)は呟きながら素早く箒に座り。
     長い黒髪を揺らしながら、ふわりと空中へ浮かび上がった。
    「蝙蝠か。鬱陶しいな、よし撃ち落とそう」
     淡々と、だがあっさりと物騒な宣言をした赤城・碧(願い・d23118)の手には、すでに大鎌が握られていて。
     その傍らに、白いドレスを纏ったビハインド・月代が寄り添うように姿を見せる。
     矢崎・愛梨(中学生人狼・d34160)は周囲を見回し、手近な木に目を留めると、その幹をそっと歩いていく。
     そして、手にした弓に矢を番えて、近づいてきたタトゥーバットへ向けて構えて。
    「とにかく、全部まとめて倒しちゃいましょうか」
     大きくなっていた羽音の中に、キイキイと甲高い鳴き声が威嚇するように交じった。

    ●眷属蝙蝠
    「タトゥーバットさん達、貴方がたのお相手は私達です……!」
     アリスの声に応えるように、友衛は手近な相手に魔法の矢を撃ち放つ。
     そのままタトゥーバットが戦闘態勢を整える前にと、蔵乃祐の帯が翼のように広がり、射出された。
    「どんだけアホな奴が黒幕だろうとも、力があることだけは確かネ」
     傷を負いながらも変わらぬ動きで飛び回る姿を見上げ、武はしなりと手を掲げて。
    「すぐ近くにプールあるわけだし、気を引き締めて行きマショ☆」
     その手の示す先、タトゥーバット達が集まる場所の熱を奪う、冷気の魔法を放つ。
    「麓の施設には行かせません……!」
     アリスも白の女王のケープを広げ、タトゥーバットを捕えんとその空色の輝きを操った。
     空中を飛び回る相手に対応すべく、灼滅者達は遠距離攻撃を揃え。
     施設へ向かおうとする動きを阻む目的もあり、広範囲に攻撃をばら撒いていく。
     さらに、牽制になればとミネットが同じ空中を飛び回り、タトゥーバットの進路に割り込むように動く。
     空からも振り撒かれる冷気の魔法。
    「本当は格闘術が得意なのですけど」
     慣れない攻撃に苦笑して、小さく呟きながらも、ミネットはタトゥーバットの動きを逃すまいと箒を握りしめた。
     愛梨は木を歩いて登り、地上からとはまた違った角度で矢を撃ち放つ。
     もう少し施設に近い場所だったなら、平坦な壁が使えてもう少し動きやすかったところだが、木の幹ではちょっと足場が悪い。
     それでも、森の中ならばと枝葉を盾にできるように死角も狙って、そろりそろりと場所取りをしてみる。
     武は油断なく相手の位置を見据え。
     蔵乃祐は相手の動きに合わせた立ち位置をと、注意深く状況を探る。
     そして、碧の寄生体が作り上げた砲台から撃ち放たれた死の光線が、タトゥーバットの1体を貫き、屠れば。
    「よし、まずは1体!」
     それを確認した友衛が、皆に聞こえるように声を上げた。
    「あと3匹!」
    「次はこのあたりですか?」
     残数を愛梨が数え、紅詩は傷の深いタトゥーバットを選ぶと、皆に示すように影の刃で切り裂く。
     相手の数が少ないとはいえ、万が一にも撃ち漏らしてしまえば大変なことになる。
     だからこそ、互いに声をかけ合い数を確認するよう、灼滅者達は意識を合わせていた。
     各人それぞれが考え、それぞれに取った対応が幾重にも重なり。
     数の利があることもあって。
     戦況は、灼滅者達が狙った通りに動いていく。
     それを確認して、少しだけ安堵しつつも油断しないよう、ミネットはタトゥーバットの周囲を飛び回った。
     その時ふと、予想外の臭いが鼻をつく。
    「……何でしょう、洞窟とは違う……それこそ、ゴミ山の臭いがします……」
     ミネットは顔をしかめて不快そうに呟いた。
     その瞬間を隙と見たのか、1体のタトゥーバットが、ミネットの横をすり抜けるようにして逃亡を図る。
     だがしかし、しっかりとその動きを把握していた蔵乃祐が、逃げる動きを遮らんと爆炎と共に大量の弾丸を撃ち込んで。
    「……逃亡は許可しない」
     遅れて気付いた紅詩も、すぐさま影の刃を伸ばした。
     さらにガトリングガンの連射が、追いかけるように空を駆け上る。
    「ッダルァァァッ! 逃がしゃしねぇぞ、ウォラァァッ!」
     爆音のような連続する銃声の中、響いた怒声に友衛は思わず振り返った。
     にやりと怖い笑みを浮かべてタトゥーバットを見上げていたのは、武。
     つい先ほどまでとは一変した様子に、愛梨も目を瞬かせて。
     そんな視線に気づいた武は、ガトリングガンを隠すように後ろ手に回した。
    「あら、アタシったら興奮しちゃって☆」
     そしてまた戻った口調と照れるような仕草を、友衛はぽかんと見つめてしまった。
    「ええと……あ、あれが最後です」
     はっと我に返ったミネットが、気を取り直そうと、1体だけとなった敵を指し示す。
     愛梨もふるふると首を振って何かを払ってから、弓を構えて矢を撃ち込んだ。
     しかし見切られたそれはひらりと交されて。
    「ジャバウォックさん……!」
     避けた先に伸びたアリスの影が巨大なドラゴンの首を象り、がぶりとかぶりつき、飲み込むようにして包み込む。
     その漆黒へと向けて碧が大鎌を振るい、召喚された無数の刃が影ごとタトゥーバットを切り裂くと。
     間髪入れずに月代の霊撃が放たれる。
     それが最期となり、タトゥーバットは影業と共にその姿を消し。
     元の静かな森に戻った空間へと顔を向けた月代は、木漏れ日の中で白いドレスを翻すと、別れの挨拶のようにふわりと1つお辞儀を見せた。

    ●施設の中で
     ぐるりと周囲を見回して、戦いの終わりを確認した紅詩は、無言で皆に頷いて。
     碧がその青瞳を伏せると、月代が音もなく姿を消す。
     友衛も、白炎灯籠をカードに戻して、ふと顔を向けると。
     蔵乃祐が抱えていたのは、水着に水泳帽、ゴーグルにタオルといった水泳セット。
    「行きます? プール」
     少し離れた場所に見えるその施設を視線で示す蔵乃祐に、ミネットがちらちらと皆の様子を伺いながら問いかける。
    「秋に入ってますけれど……泳いじゃっても、いいですよね……?」
     その様子は、楽しいことに突進したいのを何とか堪えているかのようで。
     隠し切れないわくわくが、金色の瞳を輝かせていた。
     だからこそ。
    「皆で行きましょう!」
    「はい……っ♪」
     愛梨の弾むような声に、アリスがふわりと微笑んで頷くと。
     灼滅者達は、守り切った施設へ……温水プールへと向かった。
     水着を持ってきていなかった愛梨は、施設で借りた平凡な水着に着替えると、早速、プールの横にそびえ立つ山のようなそれを上っていく。
     頂上から、プールサイドに小さく見える仲間に大きく手を振ってから。
     見下ろすのは、水の流れる長い長い滑り台。
     その長さと高さに、くねくねと曲がるコースに、臆するどころか表情を輝かせた愛梨は。
    「わーい、ウォータースライダーってはじめてー!」
     躊躇うことなくその身を滑らせて、初めての感覚を楽しんでいく。
    「いっちゃいますっ。きゃー♪」
     アリスもはいっと手を挙げてから、楽しげな悲鳴を上げながら滑り降りた。
     続く友衛も、一気に滑り降りるスピード感と爽快感を味わって。
     ゴールたるプールに大きな水しぶきを上げて滑り落ちた。
     ぷはっ、と水面から顔を出し、次の人のためにと場所を開けるように泳いで、プールサイドに近寄ると。
     ミネットが自分の恰好をちらちらと気にしながら歩いているのが見えた。
    「どうかしたのか?」
     水から上がって隣に並ぶと、ミネットが苦笑して。
    「ちょっとサイズが心配だったんです。古き懐かしき高校時代のですからねー……」
     胸元を気にするように手を添えると、身体を少しひねるような形になって。
     その動きにふわりと、短いスカートのような水着が揺れる。
     黒髪に揺れる花の飾りも、可愛らしさと彩りを添えていて。
    「上手い言葉は言えないが、とても似合っていて素敵だと思うぞ」
     友衛の武骨ながらも素直な賛辞に、ミネットは笑顔を返した。
    「私は……これ、お気に入りなんです」
     そこにちょこちょこっと近寄ったアリスは、その場でくるりと回って。
     空色のチューブトップのフリルが、躍るように楽しげに揺れて魅せる。
     友衛も、少し照れながらワンピースのような水着の裾を摘まんで見せた。
    「あら。みんな素敵ね。
     それじゃアタシも、自慢の水着、披露しちゃうワ☆」
     そんな小さな水着発表会に、乱入してきたのは武。
     振り向いた女性陣の前に、ガチムチお兄さんのブーメランな水着姿が飛び込んできた。
     キレッキレなその姿に驚き、無言のまま立ち尽くしていると。
    「ふぉぉッ!」
     視線を集めた武は、気持ちよくポージングを決めた。
     困ったようにそれを見ていた友衛は、何か言おうかと迷い、考え込み、目を反らして。
     武に背を向けるようにして、女性陣に向き直る。
    「……もう1回、滑りに行かないか?」
    「あ……さ、賛成です」
    「ウォータースライダー、楽しかったもんね」
    「私も一緒にいいですか?」
     提案に次々我に返った女性達は、どこか言い訳するような声を揃えながら、ウォータースライダーへと向かっていく。
    「ちょっと、アタシも一緒に行くわヨ!」
     それをしなやかに追いかける巨躯を見送って。
     プールサイドにある段差に腰掛けた碧は、ふぅ、と息をついて視線を水面へ戻す。
     ウォータースライダーから水が流れ込み、飛び込む者が絶えないプールは、常にキラキラとその水面に室内灯の明かりを反射していて。
     色々な輝きを見せるそれをじっと眺めて、碧はその重大な事実を思い出していた。
    (「そういえば俺、泳げないんだったな……」)
     皆のノリにつられて水着に着替え、プールまで来てはみたものの。
     ざぶん、とウォータースライダーから人が飛び込むプールはそれなりに深い。
     浮き輪などの補助具を付けたままで滑ることも禁止されているとなれば。
     歓声を上げて次々と水しぶきを上げる仲間の楽しそうな姿を、碧は何とも言えない気分で眺めていた。
     同じように、紅詩もプールサイドから泳ぐ仲間達を観賞していて。
     無表情なその顔は、淡々と景色を眺めているかのようだった。
     2人が少し離れているからいいものの、並んで座っていたら結構寂しい光景です。
     そんな2人の前を、水をかき分けつつゆっくりと、蔵乃祐が進んでいく。
     泳いでいるのではなく、水中ウォーキングだ。
     プールが深いと言っても、足が着かないわけではなく。
     長身ぞろいの男性陣なら肩は水面上にしっかりと出ている。
     何となく、地域のプールでのんびりぐるぐる歩き続ける中高年やお年寄りの姿を重ねながら、碧がゆっくり進む姿を目で追っていると。
    「やります? 健康のために」
     視線に気づいた蔵乃祐が、ちらりと視線を投げて招く。
     泳げなくてもこれくらいなら、と応えた碧がそっとプールに入って。
     並んでゆっくり歩き行く、2人の男の姿。
    「灼滅者なので、雑な健康管理や不摂生が祟って戦闘面で足を引っ張る、ということは無いのですが、それと長生きが出来る出来ないは話が別なのですよ。
     有酸素運動で脂肪を燃やすのです……」
    「なるほど」
     訥々と語りながら去っていく2つの背中を、紅詩はしばし見つめて。
     それから、視線を楽しくはしゃぐ女性陣(オネェさん含む)へと戻した。
    「……今度は2人で来たいな」
     紫色の長髪を脳裏に思い描いて、紅詩はぽつりと呟くと。
     組んだ腕に埋めた顔に、あるかなきかの微笑が浮かぶ。
     そんなまったり男性陣を置いておいて。
     ウォータースライダーを堪能した女性陣は、隣の流れるプールへと移動する。
     流れに身を任せながら、時には逆らいながら。
     楽しげな歓声と水しぶきとが煌めいていく。
    「ふふ……とっても素敵なプールですね……♪」
     一休み、と浮き輪でぷかりと浮かんだアリスが、ふんわりと微笑むと。
     ミネットと愛梨が顔を見合わせ、笑顔を交わし。
     武が、うんうんと頷いて見せる。
    「思わぬ形で夏が続いたが……
     どんな季節でも、こうして皆で遊べるのは楽しいな」
     友衛もにっこり笑顔を返して、少し温かい水の中へと身を躍らせた。
     

    作者:佐和 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年10月2日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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