淫魔のいけない施療術

    作者:るう

    ●淫魔の施療院
     もみ、もみ、もみ……。
     そのマッサージ術は絶技であった。何がどう絶技なのかは、あまりに絶技すぎて言葉には表せないが、代わりに一つのエピソードを挙げる事ができる。

     今、彼女の施療を受けている男は六六六人衆。個人的趣味から安土城怪人の傭兵となっていたが闘争の末敗走し、収まりきらぬ殺意を抱きつつ治療を求めて現れたのだが……それが言う。
    「ああ、貴女を殺す気が失せました」
     それは最大限の彼女への感謝。それを理解した淫魔のナースは、掛け値なしの笑顔で男を見送るのだ。

    ●武蔵坂学園、教室
    「道後温泉に、DOG六六六っていう組織があったのは憶えてる?」
     天野川・カノン(中学生エクスブレイン・dn0180)が仁左衛門を操作すると、スクリーンにナース姿の淫魔が映された。
    「DOG六六六のいけないナース達は、安土城怪人と天海大僧正の抗争で傷ついたダークネス達を、陣営関係なく琵琶湖周辺のマンションで癒してるみたい。どうにか灼滅したいんだけど……一つだけ、問題があります」
     それは……彼女らは極めて警戒心が強く、大怪我した相手以外が近付くと、すぐに逃げ出してしまう事。
    「けれど、みんなが二つのグループに分かれて本気で戦えば、全員が戦闘不能になった側はナースを逃がさずに乗り込めると思うよ」
     あとは施術中のタイミングで、勝った側も乗り込んでナースを灼滅すればいい。
    「正直、ナース自体の戦闘力は大したことないみたい……治療中の相手は何が何でも守ろうとする性質を利用すれば、逃がす心配もないと思うし」
     カノンはそう語る。むしろ、がっつり戦闘不能になるための同士討ちの方が、よっぽど熾烈な戦いとなるだろう……いや、熾烈にならなければナースにこちらの意図を察知される。互いに本気で戦いたくなる口実くらいは作っておくといいだろう。例えば、塩ラーメンか、醤油ラーメンか、とか。
    「まあでも、真の目的はいけないナースの灼滅なのを忘れないでね。今は無差別治療をしているナース達が特定の勢力に所属したとしたら、必ず厄介な事になると思うから」


    参加者
    伝皇・雪華(冰雷獣・d01036)
    花檻・伊織(蒼瞑・d01455)
    堀瀬・朱那(空色の欠片・d03561)
    天宮・黒斗(黒の残滓・d10986)
    シエラ・ヴラディ(迦陵頻伽・d17370)
    雪峰・響(雪風に潜む白兎・d19919)
    栗元・良顕(紙を切らしてる・d21094)
    茶倉・紫月(影縫い・d35017)

    ■リプレイ

    ●塩VS醤油
     七人分の喧々諤々が、栗元・良顕(紙を切らしてる・d21094)の読書を妨げた。ちら、と文字から目を上げれば、まず聞こえてくるのが花檻・伊織(蒼瞑・d01455)の声。
    「塩ラーメンの混じり気ない旨みこそ至高なんだよ。それを醤油がいいなんて、味音痴だとは思わないのかい?」
    「醤油ラーメン……おいしい……よ 日本人は……醤油の国の……人なのに……」
     シエラ・ヴラディ(迦陵頻伽・d17370)が訥々と言葉を紡ぐ。それを見た堀瀬・朱那(空色の欠片・d03561)がここぞとばかりに、塩派をまとめて批難した。
    「ふ~ん、塩派は女の子を泣かせるンだ。へぇ~……」
     そんな風に言われてしまえば、雪峰・響(雪風に潜む白兎・d19919)も黙ってはいない。
    「悪いな。人格批判にすり替えるつもりなら、手加減はあまりできない」
     そもそもシエラは喋るのが苦手なだけで、泣いて言葉が出ないわけでは決してない。塩派が彼女を泣かせたという事実自体、どこにも存在しないのだ。
    (「演技……のはずなんだけどな」)
     チョコミントアイスが食べたいな、と茶倉・紫月(影縫い・d35017)はふと思った。例え演技であったとしても、人は段々とそれにのめり込むものだ。そう考えると恐ろしい……けれど紫月も、決して殴り合いは嫌いじゃないタイプだ。雰囲気作りとしては調度いい……後で仲直りする事さえ忘れなければ。
     そんな事を思いつつ正面を見ると、伝皇・雪華(冰雷獣・d01036)の顔に浮かんだ呪が、仁義なき死闘の開始を告げていた!
    「そういう事なら、殺り合おかぁ……『開門』!」
    「望むところだぜ。こんな機会、滅多にないしなぁ!」
     爆発的に膨れ上がる雪華の闘気を、天宮・黒斗(黒の残滓・d10986)の手から伸びた光が両断する!

    ●Battle 1
    「雑味ばかりの拳だな……まるで醤油ラーメンのようだ」
    「どういう意味や? 黒斗はん」
     言葉ではそ知らぬフリをしつつも、雪華はその意味を知っている。『拳法』ではなく『喧嘩殺法』に過ぎない雪華の拳は、確かに黒斗の言う通り、洗練を欠く未熟なものだ。
     だが……。
    「そうやって油断しとったら痛い目見るで?」
    「往生際の悪い挑発だな。麺の味を引き立てる、塩ラーメンのさっぱりさとは大違いだ」
     直後、黒斗の視線が脇に逸れ、力を解放したばかりの朱那を捉えた。すると、朱那は楽しそうにぺろりと舌なめずりし、全身でバネのように大地を蹴って黒斗へと迫る!
    「来い……返り討ちにしてやる!」
     受け流しの構えで立ちはだかる黒斗。だがその時……朱那が標識を大きく振るった!
    「恨みっこなし……ってね!」
     反動で軌道を大きくずらし、朱那は黒斗を避けて伊織の元へ!
    「俺を狙う? 私闘の経験はライブハウスだけではないんだけどね」
     伊織の瞳の中で自負が膨れ上がった。同時、コートの下よりその身を伸ばす、一本の鋭いダイダロスベルト! それが朱那の全身を貫かんとした瞬間……。
    「……何?」
     それを妨げた一頭の霊犬の姿に、伊織は興味深そうに眉を上げた。思わず彼が足を止めた理由が、割り込んだシエラの霊犬『てぃんだ』にあったのか、朱那の振り上げた赤い標識にあったのかは定かではない。
     続けざま、別の布帯がてぃんだを狙う。響の放った『Milky Way』は、きらきらと輝きながら宙を舞った。けれどもそれを、今度はシエラ自身が受け止める。
    「醤油は……日本人の……ソウルフードの……はずなのに……」
     シエラの腕に命中した布帯が、再び空に天の川を描いた時には既に、響は場所を動いている。それと入れ替わる形で前に出た紫月が、朱那へと呪符を投げつける!
    「!」
     脱力を堪える朱那の方へと、紫月は一度だけ申し訳なさそうな表情を向けた。実は醤油派な紫月にとって、できる事は、せめて安らかに眠らせる事だけだ。
    「圧されとる……良顕はんも手伝うてや!」
     雪華のかけた声が耳に飛び込んだので良顕は、最初から内容なんて全く頭に入っていない本から顔を上げ、はて、より体が温まるのはどちらだろうかと首を傾げた。暖かい事は良いことだ。
    「塩派の人に攻撃すればいいのかな……」
     やおら立ち上がると、ポケットから無造作に取り出したストローで黒斗をぶすり。
    「……寒っ」
     良顕にとっては『良くない』と同義の言葉を呟いて、彼は再び本へと目を落とした。

    ●死闘は続く
    「……で。油断禁物というのは今のの事か?」
    「さあ、どうやろうな?」
     雪華の拳が黒斗に迫る。塩派の守りの要はこの女だけ。ならば……これさえ倒せば醤油派の勝利は近い!
    「食らえ……!」
    「なるほど、気迫は確かに大したものだ」
     けれども雪華の突撃を、黒斗はひらりといなしてみせる。愛用の特攻服に掠らせもしない身の動き。黒斗の指先が天を指す。瞬間……二連撃が雪華を襲う!
     振り向いた雪華の再突撃を、紫月の標識が制止した。その赤が与える禁止効果で、雪華の体が傾いたまま動きを止めて……次は伊織。
     シエラは思わず目を瞑った。伊織がいまだ鞘から抜かぬ剣。その柄に彼が手を触れたのを見て、次に何が起こるかを彼女は理解してしまったが故に。
     けれども運命を変えてみせんと、シエラは歌を紡ぎ出す。伊織を醤油ラーメンへと誘うように。
     それでも伊織は、その誘惑に負けはしなかった。柄を掴む指に力が篭もり、神速不可視の抜刀術! ……が!
    「んっ……!」
     シエラの唇から声が漏れる。削られたのは彼女の魂魄だ。歌が戦いを止められずとも、素早き剣筋が見えずとも、それがあるべき場所に身を投げ打てば、剣は止まる。
    「随分と強いな」
     響は無表情のシエラの中に、何かの感情を見つけたようだった。
    「けれどもオレも、強くならなければならない」
     そのためにはまず、呪いで動きを封じられている雪華に、最後の一撃をくれてやらねばならない。響も剣に手をかけた……その時!
    「……言うたやろ? 油断したらあかんてな」
     印も呪文もなしに紡がれた雪華の魔法の光が、黒斗の胸元を貫いていた。
    「ぐっ……なるほど、これが伝皇家……魔法使いの末裔の技か……」
     私もまだまだだな、と呟いて黒斗は、雪華が響の刃に打ち倒されたのを確認した後、悔しげながらも満足そうにその場に崩れ落ちる。
     両陣営、一人ずつの脱落。けれども、勝負はまだ続く。
    「ここまで来れば後は攻めるだけ、ってね!」
     朱那の靴底が炎を灯す。次は、伊織辺りを狙おうか?
    「……ってほら良顕、ぼーっとしてンじゃないの!」
    「ああ、うん……」
     朱那に発破をかけられて、もう一度ストローを使おうか、それともマフラーを使おうかと悩んでいた良顕は、ふと全然関係ない事を思い出した。
    「強いて言えば、味噌が好きかな……」
     すぐに塩・醤油連合軍による集中砲火が、彼を遥か彼方へと弾き飛ばした。

    ●勝負アリ
     ただでさえ紫月の呪符と標識が、数少ない醤油派の決定力を奪っている。その上、不幸な事故によりさらに数を減らした醤油派が、戦況では随分と不利になっていた。
    「ああもう……動いてヨあたしの体!」
     口先ばかりは威勢がいいが、紫月の停止指示を脱せない朱那を守り、シエラとてぃんだが立ちはだかる。けれども、広げた腕のすぐ脇を、輝く布帯がすり抜けてゆく……Milky Wayだ。
    「卑怯と言われるかもしれないが、これが勝負だ」
     響は兵士の顔で言い放った。朱那が倒れる音がする。はっとしたシエラの目の前に……伊織の居合い術が迫っていた。
    「なに大丈夫、急所は外すよ……できたらね」
     そのまま剣を三日月形に一閃。朱那を追って倒れるシエラは、紫月の呪符に眠らされ、痛みを感じはしなかった。
     そして勝者たちは戦場を去り……しばらくして、敗者たちが息を吹き返す。

    ●いけない施術
    「んにゃ~~! 来てよかった~~!!」
     そのマンションの一室で、朱那が気持ちよさそうな声を出す。鼻の下を伸ばしてる系男子はここにはいないし、怪我の回復ばかりか骨格から美人にされてる気分だし。
     その満足した表情を覗き込み、淫魔は嬉しそうに微笑みを浮かべた。
    「皆様にご奉仕するのがいけないナースです。治療のご奉仕はもちろんのこと、エステ、鍼灸、果ては夜のご奉仕まで、存分にお申し付け下さいませ」
    「夜のご奉仕までは要らへんけど……うちは男子やからな?」
     何故か自然な流れで女性用エステを兼ねたマッサージを受けていたので主張してみた雪華だったが、どうにも説得力がまるでない。仕方ないね、従姉に調教されすぎてたせいだもんね。
    「ところでお坊ちゃんも、早く服を脱いでそのベッドに……」
     いけないナースに促され、けれども良顕は厚着したままベッドにうつ伏せになった。
    「……寒い」
    「では、室温をもう少し……」
    「いい。このままじゃ無理かな……」
     服を脱ぐのは恐ろしい。そんな事をすれば良顕は、自分の闇を抑え込むものがなくなる気がするから。
     ナースは少しばかり考えた後、大丈夫ですよ、と微笑んで施術を始めた。服を着たままのマッサージでもできるのならばと、シエラはてぃんだを抱え上げ、自分の隣に伏せさせる。
    「てぃんだちゃんも……マッサージ……いい?」
    「もちろんですとも」
     今度はナースは即答した。
    「イフリートの方でもシャドウの方でも、どなたにでも気持ち良くなっていただくのがいけないナースの務めですから……」
     そう言ってナースはシエラに馬乗りになる。ごりっと悪い部分を押し出す度に、シエラの口からんぁっと息が洩れ……。
    「そこまでだ」
     ……唐突に、四人の灼滅者が乗り込んできた。

    ●Battle 2
    「お姉さん、今度二人きりでマッサージをお願いしたいところだったけれど……醤油派を匿うのなら仕方がないね」
     伊織の剣が一閃し、ナースを壁際まで吹き飛ばす。
    「な……何なんですか貴方たちは……」
     斬られた胸を抑えて怯えるナースに、紫月は一時停止の呪縛をデリバリー。
    「ちーっす。塩ラーメンの素晴らしさをお届けに参りましたー」
     折角なのでその時に、そんな配達員っぽい挨拶を付け加えてみる。
     配達員にしては眠たげな声の紫月を押し退けて、黒斗と響が前に出た。
    「私も、そこの奴には随分とお世話になっちまってねえ。そいつの怪我を治せるんなら、私の怪我も治してくれればいいんじゃないか?」
     黒斗が肩幅に足を開いて光の剣を具現化させると、響の服の隙間からは、再び輝く布帯が顔を出した。インナー姿の女子が目に入り、慌てて目を背けた響に呼応して、布帯は真っ直ぐに朱那へと飛んでゆく!
    「きゃーっ! 殺されるーっ!」
     Milky Wayがバスタオル代わりになろうとしてくれている事には気付きつつ、朱那は逃げ惑うついでにナースを突き飛ばす。
    「こんな時に暴れるのはおよし下さい! お客様の事は何があっても私がお守りいたしますから!」
     慌てて『お客様』を宥めるいけないナース。その足元に、何か暖かい毛玉がぶつかった。
    「きゅぅぅぅん……」
     なんで蹴ったの? お詫びにもふもふして? 抱っこして? と、言いたげに、てぃんだはナースの目を注視する。思わず見つめ合う一瞬……は、Milky Wayが淫魔の全身を貫くのに十分すぎる隙だ。
     淫魔の体を抜けた布帯はきらきらとした光を撒き散らしながら螺旋を描き、そのまま、響が女性陣の刺激的な姿を目にせず済むようなトンネルを作る。
     唱える呪詛が、弾丸を作る。淫魔を縛める呪いの弾を。
     それでもナースの反撃の注射器が、ショッキングピンクの液体を湛えて闖入者へと迫る。流石は医療特化のダークネス、呪詛が動きを阻んでいても、その注射器捌きは灼滅者以上!
     けれどもそんな時、良顕がナース服の裾を掴んで言った。
    「やっぱり、寒いな……」
     引かれて腕が僅かにぶれる。本来、黒斗の腕の血を吸い尽くすはずの注射器は、腕の代わりに光剣に刺さる。ぶん。振り払うと同時に注射器が割れる。
    「やはりお前たちとは解り合えんな……」
     黒斗の言葉は醤油派に対するものか、あるいはダークネスに対するものか。塩派の殺意に当てられて、ナースは醤油派の灼滅者たちに呼びかけた。
    「逃げて下さい……その窓から飛び降りてくれれば、私も追います!」
    「ちょっと待った、ナースはん! うちの服、そこの籠から取ってくれへん? 脱がさせたんはナースはんやし、このままやと困るわー」
     窓辺の、ちょうど後続の脱出を妨げる場所に陣取ったまま、雪華が振り向いた。
    「あたしが取りに……あ~、籠は塩派の前なンよー!」
     それに便乗し、伊織の前に飛び出す朱那。慌ててそれを庇った淫魔へと、紫月の憐れみの視線が投げかけられる。
     彼女はナースの本分を果たしただけ。間違った事はしていないのだ。
     それでも彼女は、灼滅されねばならない……それは彼女が、ダークネスだから。
     生かせば、必ず悲劇の元となるから。
     だから、伊織の剣に迷いはない。なに、身勝手な理由で人を殺めるなどは、今に始まった事じゃない。
     伊織の最後の抜刀は、呆気なく淫魔の身を斬り裂いた。紫月にできる事があるとすれば、全てを、安らかな眠りの中で終わらせるだけ。

    ●帰り道
    「くぅ~ん……」
     甘えた声を出すてぃんだの体を、シエラは優しく抱き上げてやった。ナースのマッサージの甲斐あってか、てぃんだは随分と調子が良さそうだ。
     一方、朱那は複雑そうな顔を浮かべる。
    「体はすっきりしたけどさ、治してもらったンにだまし討ちとかすっきりせんわぁ……」
    「そやろけど、うちは女性用エステの事、今も結構根に持っとるわ……」
     違う意味で複雑そうな顔の雪華。その時パンと、伊織が両手で大きな音を立てた。
    「そんな事は今は忘れて、ラーメン食べに行こうラーメン。俺は折角だし塩……いや醤油もいいなぁ」
    「なら俺も、本来の醤油派に戻るとするかな……その後はチョコミントアイス食うけど」
    「何だと紫月? やはりお前たち醤油派とは解り合えないみたいだな……」
     一瞬だけ戦闘態勢に入ってから、黒斗は豪快な笑い声を上げた。その力強い声を聞き、響は一瞬、羨望の眼差しを宿す。
    (「オレも、あんな風に強くならないと」)
     それから、何事もなかったかのように皆についてゆく。
     そんな七人に流されるように、良顕もまたその後を追いかけていった。きっと、味噌ラーメンは暖かいだろう。

    作者:るう 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年10月6日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 0
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